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zoom RSS コードギアス−反撃の騎士− NORTH17 変化を起こす為の戦い

<<   作成日時 : 2013/03/07 23:45   >>

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「ついに、完成ね。」
 ハンガーに並んだ、新品のナイトメアを、レイラは見上げる。
「W0X Type−01 アレクサンダ。私達、wZERO部隊の専用ナイトメアフレーム。そして、E.U.初の、ナイトメアとの近接戦闘を想定した、ナイトメア。この機体は間違いなく、E.U.のナイトメア運用思想に、一石を投じるわ。願わくば、この機体が、E.U.の制式機になってくれればいいけど。」
 リニアアサルトライフル「ジャッジメント」2丁、対ナイトメアフレーム用トンファー、腕部内蔵型ナイフ「ウルナエッジ」が両腕に搭載され、さらに、インセクトモードと呼ばれる昆虫のような体型に変形することにより、より機動性を高めることが、できる。
 武装は、あくまで標準装備であり、任務に合わせて交換することができる。
 しかし、革新的な技術を多数採用している事、ナイトメア関係の利権争いが関係し、正式採用にはならなかった。
 それ故、スマイラスはwZERO部隊専用機にすることで、開発を続行させたのである。

「現在、訓練が完了し作戦に投入できる、戦力は?ウォリック少佐。」
「ナイトメア部隊2個中隊、装輪装甲車を含む、1個機甲大隊、機動歩兵2個中隊です。」
 wZERO部隊の拠点である、ヴァイスボルフ城で、レイラは会議を開いていた。
「混成1個連隊と、いったところね。現在の訓練状況、及びアレクサンダの生産状況は?クレマン大尉。」
「明日までに、12機がロールアウトします。現在の生産施設では同時に生産が可能なのは4機迄です。」
『1個小隊分。パンツァー・ヴェスペより、遥かに少ない…。パンツァー・フンメルより、性能は向上しているとしても、結局は、戦車に足がついたような物…。ブリタニアに対抗できるわけがない…。今までの戦いが、それを証明しているのに…。』
 レイラは、必死に込み上げてくる怒りを抑えていた。
 アフリカ戦線の戦況は確かに互角だが、現地司令官が、様々な戦術的な工夫を凝らしての、ガラスのように脆い均衡であるのは、少し、物事を考えることができる軍人ならば、簡単に解る。
 現に、ブリタニア本国には、派遣できる戦力がまだまだ潤沢にあり、それを一気に投入されれば、戦線は一気に瓦解する。さらに、ブリタニアには、水中用ナイトメアもある。
最悪の展開として、地中海の制海権を握られ、イタリア州やフランス州等が、危険にさらされる。
 だが、政治家も軍上層部も、利権を優先し、ナイトメアとの近接戦闘を全く想定していない、パンツァー・ヴェスペを主力ナイトメアとした。
 ブリタニアの最新鋭ナイトメア、グロースターはナイトメアとの近接戦闘をより追求した機体。
 大量に投入されれば、パンツァー・ヴェスペを主力とした、E.U.ナイトメア部隊は壊滅的な損害を受ける。
 レイラは、そう確信していた。

「そう言えば、ハメル少佐。こっちに回されたパンツァー・ヴェスペ1個中隊に、パンツァー・フンメル2個中隊は、ヴァイスボルフ城の守りに回すのか?」
 ウォリックがハメルに、最近、wZERO部隊に配備された、パンツァー・ヴェスペ、パンツァー・フンメルの使い道を聞く。
 レイラが、軍上層部や政治家たちに怒りを抱き、必死に抑えているのを感じ、他の話題を出して、落ち着かせようとしての事である。
 アレクサンダが、これからのナイトメア戦に適しているのは、ウォリックも同感だが、まだ実績がない以上、生産ラインが小規模になるのは、ある意味、やむを得ない。
 実績を上げるにも数が必要だが、それでも、今は耐えるしかないのが現状である。
 実績を積み重ねれば、生産ラインの規模も大きくなる。
 ウォリックは、そう考えていた。
「その件ですが。司令。アレクサンダで、この城の直衛部隊を編成することを、許可していただけませんでしょうか?」
「アレクサンダで?数が揃うまで、待っていて。部隊編成にしても、アレクサンダの数が、まだ足りないわ。」
 レイラとしては、最低でも1個大隊分のアレクサンダが欲しかった。
 さらに、予備機も1個中隊分は、確保しておきたい。
 明日でようやく、1個大隊が揃うので、しばらくは城の警備には回せなかった。
「では、その間は、パンツァー・ヴェスペとパンツァー・フンメルで、警備を行いたいと思いますが、いかがでしょうか。」
「ええ。それでお願い。クレマン大尉。アレクサンダの生産。できるだけ、急いで。」
「解りました。」

 休憩中に、アレクサンダの生産について、レイラは考えていた。
『せめて、クルスクを奪還できれば…。』
 クルスクはブリタニアに奪われた工業都市であり、軍需産業も盛んであった。
 そこには、ナイトメアの生産設備もある。
 その他の各種兵器、軍需物資を生産して、補給の拠点とすることができれば、後顧の憂いなく、戦える。
 現在、軍は、ペテルブルクの奪還作戦を、立案している。
 レイラは、独自に作戦が発動された際の戦局の推移を分析したが、大きな犠牲を出しての失敗という結論しか、出なかった。
 投入される戦力は、1個連隊。
 ペテルブルク程の都市を奪還するには、少ない。
 すでに、ブリタニアは防御陣地を作り上げ、迎撃に備えている。
 持ちこたえている間に、後方を遮断されて包囲殲滅されるのが、明らかだからである。
 遠距離での砲撃戦なら、E.U.のナイトメア部隊でも対抗できるだろうが、自走砲や防御陣地の重砲による支援射撃と連動されれば、距離を詰められる。
 そうなれば、砲撃戦に長けているという、E.U.のナイトメアの長所は消えうせ、近接戦闘に弱いという短所が、浮き彫りになる。
 結果は、簡単に解る。
『今は、負けない戦いに専念する。その間に、ナイトメアとの近接戦闘を重視した、汎用性の高いナイトメアを配備し、訓練を積み重ねることにより練度を上げ、十分な兵力を揃えてからだわ。ブリタニアに奪われた、ロシアの戦略的に重要な地を取り戻すのは…。今のままでは、戦力の逐次投入の結果、確固撃破されて、軍が疲弊するだけ。』
 世論の反発を恐れて、政府は大規模な戦力の投入をしないが、それ自体がE.U.を滅亡へと追いやることに、政治家たちは気づいていない。
 それを思うと、レイラは、げんなりする。

「あまり、考えすぎると疲れるだけよ。レイラ。」
「アンナ…。」
 休憩時などの時間には、幼馴染ということもあり、ファーストネームで呼び合う仲である。
「考えたくもなるわよ。部隊は設立したのに、アレクサンダの生産設備は小規模。パンツァー・ヴェスペに集中されている。部隊の維持に必要な数の、アレクサンダが揃えられないのなら、何の為に、wZERO部隊が設立されたのか解らないわ。」
「気持ちはわかるわ。でも、実績がない以上、これが精一杯よ。元々、開発が中止されるはずだったのに、スマイラス閣下の尽力で、想定通りの性能を備えたナイトメアとして完成しただけでも、私はありがたいわ。今は、焦らないで。部隊を訓練して、戦う時に備えましょう。私たちが、必要となる時が必ず来る。だから。ね。」
 アンナが、優しく諭す。
「そうね。今はやれる事を、やるしかないのよね。ありがとう。アンナ。大分落ち着けたわ。」
 レイラが、笑顔で礼を言う。

 アレクサンダが1個大隊分揃って1か月後、スマイラスが訓練の視察に訪れていた。
「ようこそ、お越しくださいました。スマイラス閣下。」
「マルカル中佐自ら、出迎えとは恐縮だな。どうかね?訓練の方は。なかなか精強な部隊に仕上がってきたと、聞いてね。時間を作って、見に来たよ。」
「恐れ入ります。演習場はあちらになります。」

 ヴァイスボルフ城のオペレータールームに、スマイラスが入ると、皆が敬礼する。
「気にしないでいい。任務に戻ってくれ。これからかね?演習は。」
「はい。各機の状況は?」
「全機、機体に異常はありません。システム、オールグリーン。」
 オペレーターの1人である、オリビア・ロウエルがアレクサンダの状況を報告する。
「ランドル博士。パイロットのコンディションは?」
「若干のストレスはありますが、演習に支障はありません。ちょっと、緊張している程度ですね。」
 ソフィ・ランドル。
 E.U.における脳科学の権威であり、パイロットのコンディションの管理を行うために、レイラがスカウトした民間人である。
「念のために、いつでも対応できるようにしています。大丈夫です。」
 任務中にもかかわらず、キャンディを口にしている、太った男。
 ソフィの助手である研究者、ジョウ・ワイズが、緊急時への対処の準備は整っている事を、報告する。
「トレーニング用ミッションプログラム。A−87。起動準備完了。」
 オペレーターの1人である、サラ・デインズが訓練の準備が完了したことを、報告する。
「トレーニング開始。」
「了解。トレーニング開始します。」

 プログラムが起動すると、演習に参加している、新たに加わった砲兵部隊の砲撃が始まり、1個大隊36機のアレクサンダが、一斉に動き出す。
 モニターに、サザーランドやグロースターが表示され、データが表示される。
 無論、演習場にはいない。
 鹵獲された、ブリタニアのナイトメアは、全て軍の研究所に運ばれている。
 可能ならば、ブリタニアのナイトメアで編成されたアグレッサー部隊を相手に、よりリアルな演習を行いたいのが、レイラの本音だが、こればかりはどうしようもない。
『まあ、いいわ。実績を積んで発言力が強まれば、自ずと編成も可能になる。』
 今の境遇に納得しているわけではないが、要求を通すのは、実績を積んでからと、レイラは自分に言い聞かせて、自制している。

「あの1番機。突出したスコアを上げているな。搭乗者の名前は?」
 モニターには、各機のスコアが表示されているが、その中で、1機のスコアのみが、異常に突出している。
「日向アキト少尉です。スキルで言えば、我がwZERO部隊でも、間違いなくトップです。」
 正面の巨大なメインモニターに、アキトのパーソナルデータが表示される。
「若いな。まあ、君も含めて、この部隊は若者が多いがね。いい腕だな。それに、アレクサンダ。機動性も高いし、ナイトメア相手の、近接戦闘能力も優れている。いいナイトメアだ。上層部は、保守的でね。こういった革新的な物を、信用しない傾向があるが、この機体ならば、十分にブリタニア軍とも、戦えるだろう。機甲部隊、機動歩兵の練度も高いな。見事に仕上げて見せたな。君に任せて、正解だったよ。」
 wZERO部隊の仕上がりに、スマイラスは満足していた。

 演習終了後、スマイラスは、部隊全員に労いの言葉をかけて、レイラの執務室にいた。
「この部隊、貴重な戦力になる。実績を積めば、日本人に対する考え方も少しずつ、変わっていくだろう。」
「ありがとうございます。」
「さて。実は、ここに来たのは、通達事項があってのことでね。ペテルブルク奪還作戦が、正式に決定されたよ。第132連隊が担当する。」
 予想していたとはいえ、レイラは呆然とした。
「1個連隊…。ペテルブルク程の都市を、たった1個連隊で攻略するなど、不可能です。最低でも、3倍の戦力が必要です。すでに、偵察でブリタニア軍は堅固な防御陣地を構築し、あの都市はもはや城の類である事は、確認されています。城攻めに当たっては、籠城側の3倍〜10倍の兵力が必要なのは、軍事上の常識。あまりに無謀すぎます。…失礼いたしました。申し訳ありません。」
 興奮したとはいえ、上官であり、恩人ともいえるスマイラスに言い過ぎたと感じ、レイラは謝罪する。
「確かに、君の言う通りだ。だが、政治家たちは、戦力を大量に投入し、多くの死傷者が出るような激戦は、避けたいのだよ。世論からの反発が、大きい。場合によっては、失脚しかねん。それを恐れている。」
 自らの保身の為に戦力を出し惜しみ、結果、部隊が壊滅する方が、よほど世論の反発は大きい。
 その程度の事が解らない政治家の無能ぶりに、レイラは怒りを覚えるのも、馬鹿馬鹿しくなる。
「このままでは、連隊は壊滅的な被害を受けるだろう。政治家たちの思惑はともかくとして、それは避けたい。今後の事も考えてな。君なら、この状況をどう打開するだろうかと、考えるのか。それを聞いてみたくなったのも、視察に来た理由だ。」
「作戦を中止するのが、ベストですが、上層部は承諾しないでしょう。であれば、方法は一つあります。」
「それは?」
 スマイラスが、やや身を乗り出す。
「ペテルブルクに駐屯する兵力を、減らすのです。これしかありません。」
 レイラは、デスクの上にあるノートパソコンを持ってきて、ペテルブルク周辺の地図を表示させる。
「周辺には、小規模ですが、ブリタニアの軍事上の拠点があります。これらを奇襲により、いくつか攻略。これにより、他の拠点を守るために、ペテルブルクから増援を出すように仕向けます。」
「成程。周辺に部隊を展開することにより、心理的なプレッシャーを掛けることもできるな。攻略した後は、こちらが防御陣地を構築して、守りを固めれば、迂闊に攻めることはできんか。」
 スマイラスの表情が、真剣なものになる。
「加えて、戦線を押し上げます。この時に、我が部隊が口火を切ります。士気を高めると同時に、ある地点を抑えたいのです。今の戦力なら、十分に可能です。」
「どこだね?」
「ここです。」
 レイラが示したのは、クルスクだった。
「ここを抑えることができれば、各種工廠も手に入ります。ナイトメアのみならず、他の兵器、各種軍需物資が生産可能となります。補給拠点となり、今後の戦局にも、良い影響を与えるかと。」
「確かにな。ペテルブルク周辺の拠点の攻略部隊は、戦線から投入可能だし、クルスクを奪還できれば、ナイトメアの生産数も増やせる。勿論、君の部隊のアレクサンダもな。済まないが、作戦計画としてまとめて、私の所に送ってくれ。急いでな。」
「了解しました。」

 1週間後、レイラの作戦案は参謀本部で承認され、作戦計画は修正された。

後書き
いよいよ、wZERO部隊の初陣です。
亡国のアキトの第1章は、私も映画館に見に行きましたが、E.U.の世論や政治家には、心底あきれましたね。
アニメの世界とはいえ、日本がああだったら思うと、ぞっとします。
ペテルブルクは、史実ではレニングラード攻防戦で、ドイツとソ連が激しく争い、双方共に、多くの死傷者を出しています。
1個連隊が、攻略にあたっているという内容に、映画館で首を傾げまして、それを思い出して、E.U.の現在の状態と合わせて、話の大筋が出来上がりました。
レイラの作戦案の元ネタは、日露戦争の旅順攻略戦です。
ロシアが降伏したのは、結果的には兵力の損耗の結果、要塞を維持するだけの兵力が足りなくなった。
これをヒントにしました。
後は、ペテルブルクのブリタニア軍を引っ張り出すにはどうしたらいいかを、地図を見ながら考えて、出来上がりです。
そして、アレクサンダの生産数を増やす目的も兼ねて、クルスク攻略も織り込む。
こうして、レイラの作戦案は完成。
そして、戦いが始まります。
E.U.という、呆れかえるような状態の社会を変えるための、戦いが。


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