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zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第37話 臨戦態勢

<<   作成日時 : 2013/02/16 10:01   >>

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「大丈夫ですね。異常はありません。」
 検査を担当した医師から、千冬は説明を受けていた。
「ですが、学園の医務室の医師からの診断にあるとおり、運動性慢性疲労の兆候が、明らかに出ています。何より、肝臓や脾臓は2、3日経ってから破裂することも珍しくありません。5日程は入院していただいて、様子を見させていただきます。」
「よろしくお願いします。」
 千冬は、深々と頭を下げる。

「弟君の方は、病院が全力を挙げて看護に努めることを、お約束します。どうか、ご安心を。」
「いえ、こちらこそ、最上級の個室の病室で、しかも無料で入院させていただけて、申し訳ない限りです。どうか弟を、くれぐれも、よろしくお願いいたします。」
 互いに深々と、頭を下げる。

 一夏は、久方ぶりにある事をしていた。
 活花である。
 師匠である、月山竜芳によって教えられた物の中の一つで、ここのところ活けていなかったが、久方ぶりに活けたくなり、花を買ってきてもらって、活けていた。
「久しぶりだから、ちょっと不安だったけど、イメージ通りになったな。」
 活け終わった花を、一夏はベッドの近くに飾る。
「失礼いたします。一夏様。それ、如何なされたんですか。」
 冬菊が、一夏の活けた花を見て、驚く。
「あ、どうも。久しぶりに花を活けたくなったので。」
「華道をなさるんですか?どこの流派ですか?」
「嵯峨御流です。」
 第52代天皇である嵯峨天皇を開祖とし、8世紀後半に世に出たと言われている。
 その後、一時衰退したが、第59代の宇多天皇が伝統文化の復興に努め、広く世に知れ渡った流派である。

「そうだったのですか。でも、素敵。それに、神聖な何かを感じます。」
 神無月さんが、すっかり見惚れている。
 ブランクあったけど、上出来だったって事か。
「俺に華道を教えてくれた家元も、同じようなことを、おっしゃっていました。それだからでしょうか。華人の号として、聖華という号を授かりました。まさか師範にまでなるとは思いませんでしたよ。華道も茶道も、人に教える気は無くて、教養を身に着け、精神を鍛えるためと、剣の師匠に言われて、始めた物なんですけどね。」
 ホント、茶道、華道、書道、日本舞踊、舞、さらに能の舞台にも連れてもらって舞い方を教わったな。
 我ながら、いろいろやったよなあ。
「茶道の流派は、どちらですか?あ、私も、茶道と華道を習っておりまして…。」
 お嬢様だからな。
 色々、やってて当然か。
「茶道は遠州流です。茶人の号は清夏と申します。」
「華人としての号も、茶人としての号も、どこか曇りのない物を感じます。きっと、一夏様に号を授けられた方も、そう考えられたのですわ。忘れていました。これ、召し上がってください。消化の良い物なら、大丈夫と言われたので…。」
 神無月さん、なんか、顔真っ赤だな。
 風邪か?寒いからなあ。俺も気を付けないと。
 小さな鍋を開けると、コンソメスープに、トーストを千切った物と、卵の黄身が入れられていた。
「黄身とトーストを混ぜて、召し上がってください。」
 どれどれ。
 あ、旨い。
 取り立てて、ご馳走ってわけじゃないけど、胃に優しいし、スープを吸って黄身が絡んだトーストが何とも言えない。
 料理上手なんだな。
 作り方はすぐに解ったし、今度千冬姉に作るか。

「ご馳走様。美味しかったですよ。それと、俺の事は一夏でいいですよ。様をつけられるほど、偉い人間じゃないですから。」
 というより、堅苦しい。
 俺は、いい友達は欲ししけど、こういうのはちょっとな。
 茶道や華道の世界だと話は別になるから、しょうがないけど、普通の時はな。
「でも、貴方様は、私の命の恩人。文字通り命を懸けて、私を救ってくれたお方です。」
 俺は俺の誓いに従って、戦っただけなんだけどな。
 さすがに、ゴーレムと生身でやりあうなんて思ってなかったけど。
「それでは、こうしましょう。俺は神無月さんの事を、名前で呼びます。だから、俺の事も名前で呼んでください。」
「それでは、一夏…さん…。そう呼ばせていただきます。この口調は直らないので、ご理解いただければと…。」
 まあ、それくらいならいいか。
 セシリアみたいのが、増えたと思えばいいし。
「解ったよ。冬菊。あと、これ、旨かった。ご馳走様。」
「はい…。」
 冬菊が瞳を潤ませ、頬を染めて、一夏を見る。
 そして、意を決したように、顔を近づけ、唇を重ねる。

 えっ?
 ど、どうなってるんだ。
 何で、俺の唇に、冬菊の唇が…。
「申し訳ありません。はしたない事とは、重々承知しております。でも…。失礼いたします。」
 スープを入れていた鍋をもって、病室を出て行った。
 何が一体、どうなっているんだ?

「お前は、またか…。」
 千冬姉が、呆れたような顔をして、病室に入ってくる。
 またって、何だよ?
 またって?
「検査の結果は、問題ないそうだ。おそらく、少彦名神が傷ついた体を治癒したのだろう。」
 防諜シールドを展開して、千冬が検査結果と、ボロボロになった体が治った理由を予想して話す。
 多分、あってるな。
 そうでもなきゃ、説明できない。
 あれ、話とくか。

「コアとの、コミュニケーションの可能性が、高いな。今まで、確認されていないが、お前は、コアとの相性が良いのかもしれん。」
 そういえば、コアネットワーク上で互いの意識がシンクロしたって、何かの論文で見たことがあるな。
「さて。これからが、本題だ。今回の事件を受けて、IS学園にいる、全学年の専用機持ちに、コード249が発令された。つまり、亡国企業の襲撃があった際は、即座にこれを撃滅する。すまんが、サファイア、ケイシー、そして、布仏姉妹の専用ISを早急に設計してもらいたい。教師陣には、束が汎用型の第三世代を数機作ってもらうことで、話がついている。入院の間に、設計図を完成させてほしい。」
 思ったより、事態は大きくなったか。
「解った。大急ぎでやってみる。元々、端末は対防諜モードが標準搭載だから、ここで、大丈夫だしな。」
「すまんが頼む。」
「OK!」
 始めようとすると、千冬姉が俺を抱きしめる。
「済まなかった…。お前が窮地に陥っている時に、またしても…、私は助けてやれなかった…。もう…、あの時のようなことは起こさないと…、誓ったのに…。」
 いつもの千冬姉じゃない。
 なんだか、凄く脆い感じがする。
 そうか…、あの時、俺が誘拐された時も、千冬姉はこんな感じだったんだな。
 誘拐した奴らを責めて、俺を守れなかった自分を責めて、そして憎んだ…。
「千冬姉のせいじゃないさ。あんな条件を出して、関係ない冬菊まで囮にした女が悪い。だから、自分を責めないでくれよ。俺、そんな千冬姉を見てると、辛いから…。」
 千冬姉を抱きしめ返して、言う。
 千冬姉には、何の罪もない。
 おっかないけど、俺はいつもの千冬姉が好きなんだ。
 だから、いつも通りにしてくれよ。千冬姉。
「私は、お前の為に、できることは全てする。お前にも常に警戒してほしいが、私も警戒は怠らん。既に、新しい教師も、到着している。もし、それでもだめなら、お前の、稽古の相手は、私が務める。」
「ああ、頼むよ。千冬姉。」
「では、そろそろ帰る。設計を4機分頼んでいうのもなんだが、無理はするなよ。」
「ああ。解ってる。」
 安心したように頷いて、千冬姉が病室を出る。
 俺は、端末を起動させて、防諜モードを最高レベルにセットして、設計を始める。
 今まで、ISの改修や設計に結構携わってきたから、開発のノウハウもたまってきたからな。

 夜、宿直室で缶ビールを飲んでいた千冬の目には、憤怒の業火が宿っていた。
「随分、面白い事をしてくれたな…。だが、たとえ生身であっても、一夏の、私の弟の心を折る事は出来ないことは、分かっただろう。それでもやるのなら…。」
 空になった空き缶が握りつぶされ、ロープ程度の太さになる。
「私が、直接相手をしてやる…。まともでいられると思うなよ…。」
 ISの講師を務める教員の中から、千冬は、真耶を含めて、精鋭を5人選んだ。
 そして、IS委員会の承諾を取り付け、2人いる2年の専用機持ちの片方、第二世代機コールドブラッドを持つフォルテ専用の第三世代IS、3年生唯一の専用機持ちダリル専用の第三世代IS、楯無と共に一夏の護衛を務める布仏姉妹専用の第三世代IS。
 そして、武装教官用の第三世代ISの量産タイプ。
 計9機のIS開発をスタートさせた。
 これ以上、弟も学園も、奴らの好きにはさせない。
 千冬の、亡国企業に対する徹底抗戦の意を示す、行動でもあった。

「生身でゴーレムシリーズの最新型を6体も葬ったか…。しかも近接戦闘用のブレード一本だけで…。」
 エムは一夏とゴーレムの戦闘の録画を見て、呆然とした。
「それ以上に驚きなのが、これだけボロボロになりながら、目に宿った意志と闘志が衰えていない事よ。どんな修業をしたのかしらね?それに、この鎧のような物。ISじゃないわ。でも、普通のISスーツでもない。何なのかしらね?」
 駁竜を見ながら、スコールは考え込む。
「私が、聞きたい。一つ言えることはだ。迂闊に手を出すと、今度は、間違いなく、織斑千冬が出てくる。奴なら、倍出しても片付けるぞ。幹部会の阿呆共が、自滅するのは勝手だが、巻き込まれるのはぞっとしないな。」
 エムは、しばらく、行動を起こす気にはなれなかった。
「実働部隊は、私とあなたの他には、極少数。幹部会は、何を考えているのかしらね。それ以上にドクターね。あの男、どうも、気になるわ。結構好き放題やってる割には、おとがめなし。」
「確かにな。」
 自分の意見にエムが頷くと、スコールはある仮説を立てた。
『まさかね。ありえないわ。』

「一夏。元気?」
「鈴か。元気だよ。大事を取って入院してるだけだからな。」
 入院して3日になるが、体は動かせないし、外出は病院の敷地内だし、はっきり言って早く退院したい。
 一日中、ISの設計に時間を使えるのはメリットだけど、それを差し引いても、デメリットが、多すぎだ。
 とは言っても、退院しても、思う通りのトレーニングは、NGだろうな。
 やれやれ。
「はい。これ。」
 ん?何だ。
 お、マンゴープリンに、八宝飯(パーパオファン)、凍蛋(トンタン)。
 マンゴープリンはコンビニでもよく売ってるから、メジャーだけど、パーパオファンと、トンタンは、あまりなじみないだろうな。
 パーパオファンは、もち米を使った、甘い炊き込みご飯。
 上にドライフルーツや、ナッツをトッピングする。
 トンタンは、寒天を煮溶かした後、砂糖を入れて粗熱を取ってから、卵と香料を入れて、冷やして固めた物だ。
「悪いな。鈴。」
「気にしないで。一夏の事、心配だったし。ここの所、無茶な鍛錬ばっかりだったでしょ。少し、休んでなさい。おまけにゴーレムと生身で戦うなんて、無茶苦茶よ。まあ、一夏だから、ある意味しょうがないけど。」
 どういう意味だ?それ。
 う〜ん、パーパオファン、旨い。
 甘さの加減が、ちょうどいい。
 トンタンも、旨い。

「一夏さん。入りますね。」
「ああ、冬菊か。」
 入って来た冬菊は、鈴を見て、手作りの点心を見て、最後に俺を見る。
「あの、一夏さん。そちらの方は…。」
「ああ。俺の幼馴染で、中国代表候補の凰鈴音。鈴、こっちは、神無月冬菊さん。それ、冬菊が活けた花か?」
 ふうん。腕は中々だな。
 これから、まだ伸びる。
「一夏さんには、まだまだ及びませんが、入院生活の間、少し部屋に華やかさをと思って。」
「そうか。悪いな」
 あれから、毎日お見舞いに来てくれて、手料理も持ってきてくれる。
 今日の、ミニ雑炊も旨かったな。

「で、何、2人の世界作ってるわけ?」
 鈴が、不機嫌そうになる。
「そういうんじゃねえって。じゃあ、お前も混ざれ。」
「じゃあ、混ざらせてもらうわ。」
 防諜モード、作動っと。

「神無月さんだったわね。ひょっとして、毎日来てるわけ?助けてもらったお礼に。」
 知ってたか。やっぱ。
 まあ、迂闊には喋らないだろうが。
「はい。一夏さんは、私の命の恩人。身を挺して、私を救ってくれたお方。これくらいは、当然だと思いますが?」
 なんか、空気が変わってね?
「そう…。確かにその通りだけど、一夏の身の回りの世話は、学園が終わってから、私がやるから平気よ。あなただって、学校があるんでしょう?そっちを大事にしないと。」
 いや、おい。ちょっと待てって。
「勿論、学業を、疎かにはしていませんわ。こう見えても、入学以来、学年主席ですもの。」
 うわ。秀才じゃん。
「それに、茶道と華道の、師範の免状もお持ちですし、活けた花を見ていただけますし。花があると、部屋の空気が華やぎますのよ。」
 華やぐどころか、あちこちに雷雲が見える気がするぞ…。

「何だ。鳳。お前も来ていたのか。」
 千冬姉。
 って、セシリア達もか。
 ちゃんと紹介しておいた方が、いいな。
 けど、やばかったかも…。
紹介する度に、雷雲が増えていった。

 冬菊が、病室を出た後、雷雲は雷を落とし始めた。
「一夏さん。入院中にまで…!」
 何で睨むんだよ?セシリア。
「本当。どこでも変わらないよね。それとも、一夏は、ああいう、お淑やかな女の子が、好きなの?」
 シャルロットが、むくれる。
「これは雑炊の匂い。食事の世話までして、花も活けてもらってるのか。まるで通い妻だな。」
 箒、俺の年じゃ、結婚できねえだろうが。
「一夏…。お前は、いつになったら私の嫁だという自覚するのだ。やはり、臨海学校で私の物にすべきだったか。今の内に、どこか予定を押さえさせてもらうぞ。」
 ラウラ…、落ち着いてくれ。臨海学校のあれの再現は、ヤバイ。
「一夏って、獣じゃなくて、フェロモンの塊みたいな物ね。一度自覚させないと…。」
 玲子、何する気だ!?
「あの人、スタイル結構良かったよね。やっぱり、一夏も男の子なんだ…。」
 何やら怖い空気を漂わせて、簪が小太刀を抜く。
 ちょ、ちょいストップ!!

「それくらいにしろ。ここは病院だ。」
 流石、千冬姉。
 一言で収めた。今度ばかりは感謝するぜ。
「ところで一夏。伸びた髪はどうするんだ?」
 あ、そうだった。あの時、どうしてか、髪が伸びたんだっけ。
「ああ。退院したら、切るぞ。」
「「「「「「「駄目!!」」」」」」」
 声を揃えて、反対された。
「観念して、そのままにしておけ。別に、男の長髪は、禁止されていない。中々、似合ってるぞ。それとも、この7人の反対を押し切って、ショートカットにする、度胸があるのか?」
 ありません…。
 チクショウ…。

「一夏さん。御髪を梳く、お時間ですよ。」
 冬菊も、俺の髪を、凄く綺麗だって言ってたな。
 男の髪が、そんなに綺麗か?
「では、失礼いたします。」
 見るからに高級そうな櫛で、俺の髪を梳く。
「本当にお綺麗ですわ。夜空の一部を髪にすると、こういう風になるのでしょうね。女の私でも、うっとりしてしまいますもの。」
 こっちは、それどころじゃない。
 千冬姉の手前、皆堪えているけど、退院したらどうなるか考えただけでも、心臓に悪い…。
 こうして、心臓と胃が悪くなりそうな日々が続き、ようやく退院して、オーストラリアとカナダのISメーカーから、技術者と組み立て式のファクトリーが、軍用機で運ばれ、日本からは、芝崎インダストリーが参加。
 ケイシー先輩と、サファイア先輩。
 のほほんさんと、虚さんのISの組み立てがスタートした。
 設計は完了して、各部と全体のシミュレートも完了して、手直しは済んでいる。
 メーカーも、大分、人手を回してくれたみたいだ。
 部品の自動製造ラインで製造した部品を組み立てて、一つのISにしていく。
 相変わらずの突貫作業だ。
 それでも、前よりは余裕をもって作業ができたし、寮に帰って寝ることもできた。

「じゃあ。テスト開始しますね。ケイシー先輩。聞こえますか?」
「感度良好、よく聞こえるぞ。」
 通信はOKだな。
「それじゃあ、ターゲットを出します。全ての武装を、色々なパターンで、使ってください。特殊兵装もです。機動は少しずつ複雑にする感じでよろしくお願いします。それじゃあ、テスト開始です。」
 俺は、ターゲットを出現させる。
 ケイシー先輩の新しい専用機。
 第三世代ISケルベロス。
 ヘルハウンドver2.5のコンセプトを継承しつつ、基本スペックを底上げして、射撃及び近接兵装を強化したISだ。
「じゃあ、まずはこいつからだ。」
 ケイシー先輩が、ガトリングライアットキャノン「ケルベロス・ファング」を撃つ。
 早い話が、全ての方針がライアットガンだが、ガトリングキャノン方式にして、発射速度と初速を増している。
 散弾とスラッグ弾が、任意に発射されているな。
 よしよし。
 いい感じだ。
「凄いな。これ。あたし思った通りの弾丸になる。」
 使用している弾丸は、散弾とスラッグ弾に別れてはいない。
 ナノマシンでできた、液体金属。
 パイロットの思考を読み取って、散弾とスラッグ弾に変化する。
 別々に弾を作る必要はないので、コストも下がる。
「んじゃ、次こっちな。」
 左右から挟撃しようとするターゲットに、ビームライフルと装着されているグレネードランチャーが発射される。
 回避したターゲットは、銃剣で切り裂かれる。
 グレネードランチャーに銃剣を搭載した、ビームライフル「テルシオ」。
「ついでに!」
 肩部の4連装ミサイルポッド「デスアダー」からミサイルが発射される。
 うん。射撃兵装は問題ないな。
 機動の方も、スラスター、シールド、PIC、どれも干渉し合っていない。
 テストは良好だな。
「それじゃあ、射撃兵装はケルベロス・ファングとデスアダーだけにして、白兵戦用兵装試してください。」
「ほいよ。」
 テルシオを拡張領域に収納すると、2振りのプラズマブレード「ジャッジメント」が現れる。
「おらおら!!」
 ケルベロス・ファングを撃ちまくりながら、ジャッジメントでターゲットを斬り裂いていく。
 さすがだな。
 そして、ジャッジメントが消えると、腕部、脚部、爪先からビームブレード「ヘルクロー」が展開される。
 今までのノウハウを活かしているから、第三世代でも、トップクラスの機動性と運動性を誇るのがケルベロスだ。
 ヘルクローだけにしても、軽々とターゲットを斬り裂いていく。
「それじゃとっておきだ。」
 ケルベロス・ファングとデスアダー、再び実体化したテルシオが、BT兵器のように動き回り、ケイシー先輩の援護をしていく。
 ケルベロスの特殊兵装BTデバイス「ドール・プレイヤー」
 射撃兵装を全てBT兵器のように運用可能にし、よりトリッキーな戦術ができるようにした。
 うまく、使いこなしてるな。さすが、先輩。
「テスト終了です。お疲れ様。」
「おう。」
 射撃兵装が、再び機体に戻ってくる。

「どうですか?ケルベロスは。」
「ああ。最高だな。コンセプトは変わってないから、扱いやすい。けど、武装は強化されてる。特に近接戦闘をしながら、ドール・プレイヤーで奇襲を掛けられるのは、面白いよ。戦術に、幅が広がる。」
「先輩なら、使いこなせますよ。じゃあ、サファイア先輩。準備お願いします。」
「ほいよ。」

 サファイア先輩のISはエインガナ。
 コールドブラッドのコンセプトを継承しているが、機動力に難があったコールドブラッドとは違い、機動力も高めている。
「通信、大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ。じゃあ、始めようぜ。」
「了解。ターゲット射出。」
「頂き!」
 背部に2門ずつ装備された、高初速プラズマ砲「バニップ」、高初速レールキャノン「ウィラジュリ」が一斉に発射され、一瞬にしてターゲット4基を撃破する。
「はい、次。」
 腰部に2門装備された、大出力高収束荷電粒子砲「ランギ」、肩部8連装ミサイルポッド「エオラ」が発射され、瞬く間にターゲットが破壊され、全ての兵装を発射しつつ、ターゲットの群れに突入すると、腕部と爪先に搭載されていたビームブレード「ビラングヌル」を併用しながら、ターゲットを撃破していく。
「そんじゃあ、締めな。」
 あ、あれか。
 バニップ、ウィラジュリ、ランギを構えると、一斉に発射する。
 だが、初速が段違いだ。
 当然、威力も段違いなので、余波だけでも、ターゲットは破壊される。
 兵装加速機構ダーラマラン。
 より、兵装の命中率を上げるのにはどうすればいいかを考えた時に、回避できないくらいの初速にすればいいし、余波でもダメージは与えられると閃いて開発した。
「終わりです。降りてください。」

「ご感想はどうですか?」
「凄えなこれ。FCSの性能もだいぶ上がってるし、高速で動き回っても、高感度ハイパーセンサーがいらないぜ。何より、ダーラマランだな。いろいろ使いようがあるな。さすがだよ。織斑。」
 よし。とりあえず、先輩たちのISは問題なし。
「そんじゃ、のほほんさんと虚さん。準備お願いします。」
 この2人のISがきちんと稼働するのを確認して、俺の仕事は終わりだ。

「いいな。のほほんさんも、織斑君お手製の専用機か。」
「えへへ。いいでしょう。」
 のほほんさんは、専用IS不知火の待機状態、プラチナのチェーンとルビーのブレスレッドを嬉しそうに見る。
 不知火は、高い汎用性を重視しており、近・中・遠全ての距離で、性能を発揮する。
兵装は、雪片をベースに開発した日本刀型の多機能プラズマブレード「閃電壱型丙」。対エネルギー兵器対応シールドも展開できるシールドに内蔵されたレーザーマシンガン「雷」、腕部に内蔵された、遅発信管内蔵の高初速フレシェットガン「連矢」、高出力荷電粒子砲「雷電」。
特殊兵装は、定点高熱空間発生機構「不知火」
特定の大きさの空間の、大気中の分子を振動させて、空間内を数百度にする兵装だ。
 剣を主兵装にしたISは、作りやすいな。
 間合いが槍より短い部分は、射撃兵装でカバーできるし、懐に飛び込まれそうになることを想定した場合は、機体の機動性を高くしておけばいい。
 まあ、白兵戦を想定しているISは、機動性の高さは共通しているがな。

 虚さんのISは、雪風。
 不知火とは兄弟機に当たり、共通して使用している武装として、遅発信管内蔵の高初速フレシェットガン「連矢」がある。
 槍を主武装にする虚の戦闘スタイルに合わせて、剣や短剣に飛び込まれた際の近接戦闘を、重視している。
 兵装は、雪片をベースに開発した、多機能プラズマランス「閃電弐型丙」。脚部内蔵型、ビームブレード「暗器」。  肩部独立可動型シールドに内蔵された、高収束レーザー砲「蛇矛」、腰部レールキャノン「撃針」。
 特殊兵装は、近接圧縮刃「雪風」。ISの機体名にもなっている。
 相手のごく近くで大気に高い圧力をかけて、鋭利な剃刀状の刃を複数作り、風を相手に巻きつけるようにしながら、斬り裂く兵装だ。
 もちろん、風が吹いたように、任意の目標にダメージを与えることができる。
 アイデア次第では、色々と使いようがある。
 待機状態は、ホワイトゴールドと真珠のブレスレット。
 2人とも、見事に扱って見せた。
 虚さんがIS使うの見たけど、あの人の槍の腕前、かなりのもんだよな。
 俺も、槍は習ったけど、実際にやり合ったらどうなるんだろうか?
 槍の腕前で言えば、楯無さんとそう遜色ないぞ。
 代々、更識家の当主に仕えているから、強いのは当たり前なんだろうが、整備課か。
 なんか、勿体ない。
 一度、手合わせ、申し込んでみるかな。
 束さんのISも、近日中には届くそうだ。
 これで、迎撃準備は完了するな。

 山田先生を始めとする、千冬姉が選んだ先生たちは、それぞれ元軍人だったり国家代表だったりと、腕は折り紙つき。
 セシリア達の技量も、かなり向上している。
 はっきり言って、悪の組織やめて、まっとうに暮らした方が良いと思うけどね。
 いや、マジで。

「いっくんの新型。凄かったねえ。束さんもびっくりだよ。第四世代ISでも危ないね。あれは。それだけ、経験を積んで伸びた証拠だから、嬉しいけど。あ、例のは、二、三日中に、確実に届けに行くから。」
「お前、自らか。解った。各々のパーソナルデータは、こっちで纏めておく。ところで、前に話した、緊急モードなんだが、仮説は立ったか。」
 白式緊急防衛システム駁竜。
 前例がないどころか、千冬ですら見たことが無いので、束に話していた。
「正直私も、見当がつかない。仮説で言えば、白式は進化の過程、つまりフラグメントマップに、ISスーツにそういった機能を付与することも、進化のステップとした可能性があるって事だと思うよ。絶対防御から、必要だと判断したのかもね。何らかの理由でISを展開できなくても、ある程度の戦闘とパイロットを守るために。残りの未完成度は、フラグメントマップを解析しないと解らないけど、白式のフラグメントマップは、経験を糧にどんどん変わるから、多分、調べようがないなあ。」
「そうか。では、待っている。」
「うん。その時は、束さんの専用機も披露するから、楽しみにしててね〜。」

『これで、臨戦態勢は整った。いつまでも貴様たちが有利とは限らんことを、骨の髄まで思い知らせてやる。卑劣な手段で、一夏を甚振ってくれた報い、たっぷりとくれてやる!!』
 死んでいてもおかしくない程の傷を負っても、己の誓いを曲げなかった一夏。
 そこまで追い込むのに、下種な手段を使った、亡国企業。
 その亡国企業に、一夏の姉として、必ず報いを与える事を、千冬は誓った。

後書き
前回の死闘を制した一夏。
何はともあれ、体は大丈夫そうですね。けど、5日間の入院。
様子見も必要ですから、まあ、それ位はね。
さて、一夏の隠れスキル(?)、華道発動。
他にも、いろいろありそうですな。
千冬は一夏の前でだけ、本当の姿を見せるんですね。
たった二人の姉弟ですから…。
しかし、これ以上、亡国企業に好き勝手をさせない為に、一夏に専用機の設計を依頼。
ダリル、フォルテ、のほほんさん、虚さん。
生徒の中でも、腕利きの戦力強化を図ります。
それに、束にも依頼して、武装教官の精鋭にも、専用機を開発してもらう模様。
千冬の怒りも、頂点に達し、前回のような卑劣な真似をしたら、徹底的にぶちのめすつもりの様。
亡国企業の実戦部隊もそれを察すると共に、技術部を束ねるドクターに疑念を持った模様。
そして、一夏は、また、誰かを惚れさせたみたいです。
いい加減にする様に…。





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