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zoom RSS ヨルムンガンド二次創作 第15話 ディーラーズウォー Phase3

<<   作成日時 : 2013/01/30 20:07   >>

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「では、ラストスパートです。オーストリアを回って、イギリスで商談を手早く済ませて、ゴールです。」
 ソフィ達は、ベルギー、デンマーク、オランダ、スロバキアに続き、チェコでの商談を済ませて、オーストリアに向かう。
 その度に、ソフィはある事を実行に移していた。
「たく、タフだよな。こんだけあちこち回って、商談成立させて、他にもなんかやってるんだろ。どこから、そんな力が湧いてくるんだか…。」
 欧州各地を回っているソフィ達は、商談が成立すると、すぐに次の目的地に向かう。
 まさに、強行日程であった。
「オーストリアからイギリスに戻るまでは、ゆっくり眠れますよ。ついでに美味しい物でも食べてください。ファーストクラスを取りますから。」
「おう。頼むわ。」
 軍隊出身とはいえ、アールもマオも疲労の色を隠せなかった。
 寝る時は、常にアイマスクと耳栓をつけて、出来る限り深く眠るようにしているが、その間も、ソフィは、商談の進め方を考えていた。

「それでは、商談成立という事で。」
「ありがとうございます。ウィンストン大佐。」
「いやいや。こちらも質の良い武器をこの値段で提供していただいて、兵士たちも喜びますよ。」
 イギリスで、最新型の暗視スコープ、SEALSの依頼で開発され、現在テスト運用中で専用の工具がいらずに組み立てが可能など、整備・運搬面にも優れているアキュラシー・インターナショナル社製アンチマテリアルライフル AS50にシュミットベンダー社製高性能昼夜兼用スコープ、改修を計画しているタイフーンに、搭載予定のAN/APG−80 AESAレーダーである。
「いえ。こちらこそ、取引に応じていただき、感謝いたします。今後とも我がHCLI社を、お引き立てくだされば幸いです。」
「誠実で、質の良い装備を提供して下さるお相手ならば、我が軍は、いつでもドアを開いておりますよ。それで、先程、お話が合った件ですが…。」
 3時間ほどで、取引は終了した。

「ふい〜。やっと、ゴールインだぜ。」
 アールが、体の筋肉をほぐす。
「ソフィも大変だったね。全部の取引を終えるのは、大変だったろう。」
 マオがソフィの苦労をねぎらう
「これが、仕事ですしね。ホテルに帰ったら、僕がご馳走しますよ。高級ステーキにワインはいかがですか?」
「ご馳走になるぜ。」
「何はともあれ、帰ろう。無事な姿を、ココさんに見せてあげたいしね。」
 マオは車を運転して、ココが宿泊しているホテルに向かう。

「解った。」
 トロボフスキーの護衛が、連絡を受ける。
「アマーリア。ソフィア・スティーナ・アルムフェルトが、イギリスに戻ってきました。」
「随分、慌ただしかったわね。ドイツ、ポルトガル、ベルギー、デンマーク、オランダ、スロバキア、チェコ、そして、イギリス。」
「はい。各国と、相当な額の、武器取引をしてきたようです。驚きですな。この若さで。」
「それだけ、ココちゃんの信頼が厚いという事。相当に有能なのよ。できれば、敵にしたくないわ。」
 ソフィを評価しながら、トロボフスキーは、どこか引っかかっていた。

「お帰り、ソフィ。お疲れ様。って、少し痩せてない?」
「食事を、軽く済ませたからかも、しれませんね。こっちが早く動いた分、向こうも早く動きましたから。」
 事実、ソフィが早く商談を早く進めたために、失敗した物の、ライバルのディーラーも素早く動こうとした。
「よし、まずは、お風呂ね。ゆっくり入ろ。髪もちょっと痛んでるみたいだから、美容院行こうね。それから、ご飯、美味しいとこ行こう。」
「アールさんとマオさんもいいですか?お二人とも疲れてますから。バルメさんも気づかれしてますし。」
「ソフィが言うなら、いいよ。じゃ、まずは、お風呂、お風呂。」
 ココが、ソフィと腕を組んで連れて行く。
「そう言えば、UAVの件はどうなりました?」
「全然。オジサマたちが、籠絡されちゃってるから。今回はあきらめるしかないね。その分、ソフィが稼いでくれたから、黒字にはなったけど。ま、これもまた人生ってね。」

「チェックメイトですね。アマーリア。」
 護衛が話しかけるが、トロボフスキーは、ココの言葉を、一つ一つ丹念に考える。
「私が、女優業をやめて、この世界に入った理由が解る?」
「は?い、いえ。」
 いきなりの質問だったが、護衛には、華やかな舞台を、敢えて降りた、トロボフスキーの心中は、理解できなかった。
「舞台は極めれば、素晴らしい芸術となるわ。でもね。結局は作り物。それに気づくと、どんなに精魂込めて役を演じても、心は空虚なままなのよ。何かを演じる。それは自分を騙す事とイコールなのよね。少なくとも、私にはそう思えた。そして、周囲も騙す。自分の内面を見せないのだから。騙し、騙され。人が生きるというのは、そういう物だけど、気づくと舞台は酷く空しかったわ。もっと、早く気づけばよかった。私には、女優は向かないって。」
 護衛は黙って、トロボフスキーの言葉に耳を傾ける。
「夫が亡くなって、遺産整理をしていく中で見つけた、ウェポンディーラーの人脈。それを通して見た世界。騙し騙され、でも、大きなリスクを背負う。舞台とは決定的に違う点。私は、そこにこれ以上なく魅かれた。死の商人という言い方もできるから、悪魔の誘惑に魅せられたと言われても、反論する気は無いわ。だって、事実だもの。」
 言い終わると、トロボフスキーは護衛の顔を見る。
「ココちゃんは、嘘をついているわね。どんな手を用意しているかまでは解らないけど、何かを考えている。この圧倒的に不利な状況を覆す、何かを。」

「ご苦労様。」
 B国にいるレームからの連絡を受けたココは、電話を切る。
「B国は、ほぼ、nEUROnで決まりかけてるみたいだね。」
「両刃の剣と解っていても、これから、さらに拡大するUAV市場に食い込んでおきたい。思惑としては、そのような所ではないでしょうか?機体の一部の生産でも、請け負う事ができれば、部分的ですが、技術を習得できるでしょう。そして、それを活かして、将来の国産UAV開発に繋げる為の、第一歩になる可能性は、否定できません。ただ、リスクもありますね。開発が伸びに伸びて、結局、他国産のUAVを購入する可能性も、あります。B国としては、nEUROnに決まりかけていても、一抹の不安を持つ高級将校達の、最終的な決定に対する影響力もあって、まだ、決まるところまでは行っていない。国内情勢としては、こんな所だと思います。」
 驚いたココは、一瞬、目を見開いたが、嬉しくなって、ソフィに抱き着く。
「さすが。私も、同意見だよ。それにしても、人間、どんな秘められた才能があるか、解らないね。ソフィは新しい兵器のチェックを欠かさない内に、試作されていても、とん挫していった兵器を多く見ているから、そういった結論に達するんだろうけど、誰もがそうはいかない。冷静な分析力がないと、無理。本当に、さすがとしか、言いようがないね。」
 B国内の、UAV導入に関しての状況を、ここまで正確に分析するソフィに、ココは改めて驚かされる。
「後は、周辺国の動きを、どう見るかですね。青写真や予想図のままでは、兵器は運用できない。そう考えて、実績重視の国が、多くあるのも事実。それらの国の動きが、どんな影響を、与えるのでしょうね?他にも、世の中、色々ありますし。」
 そう言って、ソフィは悪戯っ子のような笑みを浮かべた。

「もう、態勢は決したような物でしょう。ミストロボフスキー。貴方方の勝ちですよ。今更、私を取り込んでも意味があるとは思えませんね。」
「そう思いたいのですが、何しろ相手は、ミスヘクマティアル。それに、ここ2カ月で、目覚ましい才覚を現した、ミスターアルムフェルト。油断はできませんわ。」
 ココ達が、食事をしている途中、トロボフスキーも、動いていた。
 リーパー派の1人、マルケスを取り込むために、ロンドン市内のレストランで食事を共にしていた。
「失礼いたします。中佐。これをご覧ください。」
 部下から渡された、資料に目を通す内に、マルケスの顔色が変わる。
「ドイツがリーパーを30機輸入します。自国産のセンサーと組み合わせて、運用するようです。ミスターアルムフェルトが、契約を取りまとめたとか。私は即刻、アポイントメントを取る必要があります。それでは失礼。」
『ココちゃんの、反撃ね。それにしても、ソフィアさんが、契約を取りまとめた?ココちゃんじゃなく?』
 トロボフスキーは、他に何かがあるように思えて仕方がなかった。
「各社の幹部を集めて。大至急。」
「アマーリア。ポルトガルも、リーパーを10機輸入するとの情報が入りました。」
「ポルトガルも…。」
「それだけではありません。ベルギー、デンマーク、オランダ、スロバキア、チェコ、イギリス。計6か国で100機以上のリーパー輸入が決定しています。」
『ドイツ、ポルトガル、それに、ベルギー…。そういう事。取引の前倒し自体が、完全なフェイク。本命は、周辺国へのリーパーの売り込み。B国に対し、実績のある機体の優位性を示して、nEUROn計画への揺さぶりをかけるつもりね。ソフィアさん。こちらが、向こうを包囲するなら、そこから密かに抜け出して、こちらを逆包囲する。』
 いくら才覚を現したとはいえ、2か月程度の経験しかないディーラーでは、手に余ると考えていたトロボフスキーにとっては、大きな誤算だった。

「やられたぜ!糞!!」
 40代半ばの男が、大慌てでトロボフスキーの所に駆け寄ってくる。
「ナッソス専務。何かあったの?」
 B国の元国営企業で、現在は民営化したEAE社の重役である。
「TOBだ!ヘクマティアル・インヴェストメント・バンクって名の、投資銀行が、ウチの株を中心に、nEUROn計画に参加している企業の株を、とんでもねえ勢いで買い漁っている。しかも、7か国で分散して買って、しばらくは気づきにくいように、していやがった!!舐めやがって!!俺は、すぐに国に戻って、対策を練らなきゃならねえ!他の幹部連中も、大慌てで戻った!!」
『7か国…!揺さぶりを掛けるだけじゃない。B国に部下を向かわせて、目を逸らさせようとし、各国との商談を盛んに行う。加えて、各国との商談を前倒しにする三段構えのフェイクの裏で、我々を噛み殺そうとしていたのね。してやられたわ。』

「旨かったぜ。体に力が漲ってくるな。」
「いやはや、まったく。」
 アールとマオが満足そうに言う。
「何、現金な事言ってるんだか…。」
 ココが、そう言った時、携帯の着信音が鳴る。
「今夜、お時間よろしいかしら。お話があるの。」
「ええ。いいですよ。ソフィも一緒ですね。解りました。」
 トロボフスキーからの用件を承諾して、電話を切った。
 少しして、携帯にメールが入る。
「トロボフスキーさんからですね。」
「そう。そろそろ、コールの時間だよ。ソフィの作戦で、向こうも大慌てらしいから。あ、今、レームからメールが来たよ。TOBの件で、EAE社その他は、上を下への大騒ぎ。フフーフ。」
 ソフィの首に腕をからませて、ココは楽しそうに笑う。

後書き
遂に、ソフィの策が明らかに。
株取引は、各国で時間も規模も、多く扱われる銘柄も違いますから、そこを突いてみようと思いました。
そして、トージョ達をB国に行かせて、ココはビジネス。
その裏でソフィは、スケジュールを前倒しにして、商談を進めつつ相手を揺さぶり、さらに生殺与奪を握ろうとする。
相手の裏をかくのが、戦の常道ですが、フェイクにばかり目が行って、トロボフスキーさんはしっかり足元を掬われました。
さて、このままにはしておけませんが、どうするつもりでしょう?





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