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zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第35話 亡霊の足跡

<<   作成日時 : 2013/01/26 22:27   >>

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「いい加減にしてちょうだい。ドクター。あなたのお陰で、白式は前代未聞の第三形態に進化したし、とうとう、織斑千冬までISを出してきたわ。性能から察するに、間違いなく篠ノ之束が開発した物よ。おまけに織斑一夏がいる以上、さらなる性能向上も考えられる。これ以上、こちらを苦境に陥らせないでちょうだい。」
「そうは言いましても。私は、幹部会に作れと言われているだけですからのう。貴方の部下とはいえ、幹部会には逆らえませんな。」
「詭弁も大概にしてちょうだい。じゃあ、なんでバーミリオンが動いたの?その点に関しては、幹部会は指示を出したことは無く、あなたの越権行為だと言っているわ。これ以上、妙な事をすれば、私はあなたの処遇に関して、幹部会に意見を言う必要がある。忘れないでちょうだい。」
 受話器を置いたスコールは、大きなため息をつく。
 すでに現役を退いたとはいえ、その実力は衰えを見せない千冬が、束が開発した第四世代IS舞桜を持って、表舞台に立つというのは、スコール達実働部隊にとっては、考え得る最悪のシナリオだった。
 さらに、一夏がいる以上、様々な性能向上の為の改修をする可能性は十分にある。
 そうなれば、どういう事態になるか、予測不能である。
 一夏ですら、もう、手に負えない存在になっている。
 これに千冬が加わるのだから、もはや、泣きっ面に蜂である。
「なんとか、対策を考えましょう。」
「対策も何も、すでにもう決まっていると思うがな…。」
 エムは、その先を、敢えて言わなかった。
 言わなくても、スコールは、理解していたのである。

 弾の家で、リフレッシュしてきた俺は、いつも通りに訓練をしていた。
 それにしても、シミュレーターどうするかな。
 新しい、シミュレーターをハードレベルから、作るかな。
 ハイパーセンサーの技術を応用すれば、いけると思うんだよな。
 よし、その線でいくか。
 考えていると、訓練が終わる時間に、皆が、疑惑の視線を向けてくる。
「どうしたんだよ。皆?」
 なぜか、楯無さんもなんだが、皆が不機嫌そうだ。
「一夏さん。どうして、唇に手を当てられるんですの?」
 え?
「何か、怪しいわよね。弾の家で、何かあったの?」
 鈴が睨む。
 いや、まあ、その…。
「ふうん。あったんだ。そういえば、妹さんがいたよね。可愛い子が。」
 何で、シャルロットが怒るんだよ?
「一夏…!貴様は…!!」
 ラウラ、ナイフしまえって!
「そうか。やはり、あの蘭という子がらみか…。」
 紅椿を待機状態に戻した箒が、緋宵をゆっくりと抜刀し始める。
「ふうん。一夏は年下好みか。矯正の必要ありね。将来の為にも。」
 玲子がF2000タクティカルにマガジンを装填し、セーフティーを解除する。
 ちょっ、待てって!!
「一夏…。あなたは、どうして、そうも誘惑に弱いの…?このままなら、私は…。なら、いっそ…。」
 簪、ストップ!!
 目がヤバい!!
 ヤンデレじゃんか!!
「こうなったら、隙を見つけて、お姉さんのセクシーな体の虜にしないと駄目ね。そうしないと、取り返しがつかないし…。」
 なんで、あなたが出てくるんですか?楯無さん!!
 ていうか、どうしてこうなるんだ!?
「というか、このままだと遅刻だからな。俺は行くぞ。皆も早く来いよ。」
 後ろを振り返らずに、俺は一目散に走る。
 ただ、走る。
 ひたすらに、走る。
 笑いたければ、笑え。
 俺だって、命は惜しいんだよ!!

「かいちょ〜う。第二外国語、何選択するの?」
「そう言えば、どうするかな?」
 IS学園では、3学期から、第二外国語という授業が始まる。
 英語は普通の高校で使っている教科書を使用しての授業があるが、それ以外に、外国語を履修する。
 ISに関係すると、就職後や国家代表になったとに、母国以外にも行くことが珍しくないので、何カ国語かは話せないと、後が大変になる。
 ちなみに俺は、NATO圏は全部話せるし、旧東側も問題ない。
 中国語も問題ないというか、ユーラシアはほぼ問題ない。
 選択されるので一番多いのは、ドイツ語、イタリア語、フランス語、ラテン語。
 その当たりか。
 でも、俺の場合、どれも、読み書き日常会話に、翻訳、通訳。
 全く問題ないんだよな。
 どうすっかね?
 まあ、いいや、後で考えよう。
 今の俺は、色々な事で、一杯、一杯。

「ふうん。な〜んか。怪しいね〜。いろ〜んな意味で。」
 束は、20世紀以降の様々な、記録を徹底的に洗い出していた。
「舞桜をちーちゃんが使った以上、亡国企業の事も、きちんと調べておかないとね。」
 しかし、調べれば調べる程、亡国企業は奇妙な組織だった。
 その一つが、上層部に関する情報が、何も見当たらない事である。
 歴史の闇に、記されている可能性を考慮しながら調べているが、束ですら、皆目見当がつかなかった。
「一応、ちーちゃんに知らせておくか。」

「成程。興味深い。確かに奇妙だな。」
「こっちでも、引き続き調べるけど、ちーちゃんの方も調べておいて。とにかく、奇妙過ぎるから。」
「解った。互いに、連絡を取り合う事にしよう。」
「うん。じゃあね。あ、箒ちゃんといっくんの事もよろしくね。白式に関しては、まさか、第三形態に、しかも、こんなに早くなるなんて、思ってなかったから。それに釣り合うように、いっくんが無理しないか、心配なんだ。箒ちゃんも、心配していると思うし。」
「解っている。ちゃんと見ているさ。しかし、お前は人間には興味ないが、箒はともかくとして、私や一夏は気に掛けるんだな。考えてみれば、奇妙な物だ。」
「ちーちゃんは私のたった一人の、無二の親友。いっくんは、血は繋がってないけど、やっぱり、私の弟。だから、箒ちゃんといっくんは、守りたいんだ。専用のISだって、作ったしね。」
「お前の専用機か。相当な高性能機だろうな。」
「まあね。でも、白式には劣るかも。ちょっと、あの性能は、私から見ても、とんでもなさすぎだよ。」
「それに関して、周囲がひどく慌ただしい。既に手は打っておいたがな。では、次の提示報告でな。」
 千冬は、携帯の電源を切る。

『豚共、一夏を道具にするなら、私は、自分の良心に麻酔を打ちこんで、道徳だのモラルだのという言葉は、ゴミと一緒に捨てて、対応するぞ。』
 心の中で、委員会や政治屋に警告しながら、千冬はふと考える。
『もしかしたらと思うが…。あるいは、そちらか…。』
 千冬も、独自の調査を開始した。

『このメニューでいくか。』
 俺は、食堂でミートソースを食べながら、自分の訓練メニューを考えていた。
 結局は、俺自身の反応速度と判断力を、さらに高めるしかない。
 ハードウェアのスペックアップじゃなくて、俺を含めた、ソフトウェアのスペックアップが、現時点では重要だという結論に達した。
 他に、もう一つ、思惑があるが、保険みたいなもんだから、必要ないかもしれないけどな。
 弾の家に遊びに行って、気分をリフレッシュさせてから、頭が大分働くようになった。
 偶には、こういう事も、必要なんだな。
 1人で気晴らしに行く機会も、作るか。
 日曜は空いてるから、これを当てるとしよう。

「さて、始めるか。」
 夜、宿直室で、束は亡国企業についての、ありとあらゆる記録に目を通し始めた。

「あの、狂人め…!」
 忌々しい者を見るような目つきで、どうにか、エムは声を絞り出す。
「何とかしなければ、あのドクターのスタンドプレーで、実働部隊は破滅だわ。そうなれば、幹部会の捜査に乗り出し、見つけ次第、塵も残さず殲滅する為に、作戦行動を取るわね。特殊部隊にIS部隊、双方、選りすぐりの部隊を編成して。それを、率いるのは…。」
 そこで、スコールは言葉を切る。
 言う必要はないからである。
 その時、亡国企業は終焉を迎え、幹部会は生きていたことを後悔する程の、地獄を見るだろう。
「実動部隊のメンバーにも、釘を刺しておかないと。事と次第によっては、一番被害が及ぶのはこちらだもの。」
 別に派閥争いの類をしているわけではないが、幹部会に対する技術部の影響力が増し、実動部隊がいい様に使われるのは、願い下げだった。
「さしあたり、一番危険なのは、あいつか…。消すことを、考慮すべきかもしれんな。」
「事と次第によっては…、ね…。」
 スコールはエムの考えを、承認した。

『組織の足跡そのものは、確かにある。だが、やはり細部に関しては、霞に包まれたようだ…。』
 戦争の世紀と言われる、20世紀。
 様々な理由で、多くの国家が争い、血を流し、それをインクとして、歴史は綴られた。
 まず、目を付けたのは、日露戦争だった。
 既に斜陽の国となった清国に利権を求めた列強勢力を、追い出そうとして起こった、義和団事件。
 それを利用して、清国が列強に宣戦布告して起きた北進事変。
 この際、日本は、列強の連合の半数、1万の軍を動員している。
 南アフリカのボーア戦争を抱えている、イギリスをはじめとして、軍の大量動員をする余裕は、どこにもなかったのである。
 可能だったのが、日本とロシア。
 そして、2万の連合軍が編成される。
 軍の近代化が行われたとはいえ、結局、清国と義和団は大敗。
 さらに、滅びへの距離が縮まる結果となった。
 各国は撤兵したが、ロシアは遼東半島の利権を手にし、朝鮮半島をも伺っていた。
 放置しては、喉元にナイフを突きつけられることになる事から、この動きを止めるべく、日本はロシアに宣戦布告。
 外債で戦費を賄ったが、アメリカやイギリスの投資家以外に、解明できない莫大な金の流れが確認された。
『これほどの金の流れを、どこから?表向きは、ユダヤ人投資家となっているようだが…。』
 様々な点から検証したが、千冬は断念した。
 金だけではない、第一次大戦やその他の紛争レベルの戦争にも、詳細に調べると納得できない点が見つかった。
『組織はある。だが、詳細。特に、指示を出している部門が、まるで見えてこない。亡国どころか、亡霊だな。スパイ小説に出てくる、影の政府のようだ…。』
 影の政府。
 スパイ小説に出てくる、世界を裏から操る組織をそう呼ぶが、それを連想させた。
『だが、それにしては、ゴーレムシリーズを開発すること自体が、奇妙すぎる。もし、本当に、影の政府だったら、ISを独占することも、不可能だとは思えんし、解析作業に必要な金も人材も困らんだろうに。』
 千冬が一番納得できない点は、そこだった。
 何故、ISの解析を進めて、性別に関わりなく、運用が可能な技術を開発しないのか。
 今までの調査を踏まえて考えれば、不可能とは思えない。
 束は確かに天才だが、世界各国から、有能な科学者を集めれば、実用化されてから、研究を始めていれば、可能ではないか?
 その点が、千冬の頭に引っかかっていた。

「また、負けた〜。」
「今の状態なら、勝てると思いましたのに…。」
 連携訓練で、俺を相手にしていた、鈴とセシリアは、肩を落とす。
 ちなみに俺は、パワーアシスト機能、PICの性能を3分の1に落としてある。
 つまり、武器を使うにも、ISを運用するにも今までの3倍の負担がかかる。
 様々な訓練法を考えた結果、俺が行きついたのは、相手の行動に対して反応速度を上げて、思考をそれに追いつかせる。
 より速く対処法を考え、より速くそれを実行する。
 そして、それが可能なように、体を作る。
 ある程度の水準に達したら、さらにこれを重くする。
 これを繰り返して、俺自身をさらに高みに引き上げる。
「3分の1でも、あれか〜。一夏君が強くなりすぎて、伸びる余地が少なくなっている。ゴールが近くなっているとも、言えるのよね。」
 ラウラとシャルロットに勝利した、楯無さんが俺の所に来る。
「それじゃ、駄目なんですよ。背伸びをし過ぎている事は解っていても、俺は千冬姉に近づくために、鍛錬を続けたいんです。」
 俺の目標は、あくまで千冬姉。
 モンド・グロッソには、欠片も興味がない。
 ただ、俺は、長い歴史の中にいた、剣を極めた剣豪。
 そして、ガキの頃から、俺を育て、守ってくれた千冬姉。
 目標としている所に行きついて、俺は知りたい。
 本当の強さを。
 守る力を。
 だから、俺は、鍛錬を積む。
 そこに、辿り着くために。

『考え物よね〜。』
 現役の国家代表である楯無から見ても、一夏は十二分に強い。
 スペックの差を、無人機故のメリットでカバーしているゴーレムですら、訓練の相手にもならないのだから、自分も誰かも、十分に守れる強さを持っている。
『要するに、織斑先生が原因か。』
 現時点の一夏を遥かにしのぐ強さを持つ、初代ブリュンヒルデにして、一夏の姉。
 その背中を追ってきたが故に、高すぎる目標を追っている一夏を思うと、何とも言えず複雑な気分になる。
 毎日の訓練も、以前より遥かに厳しくなっている。
 一夏が目指す、高み。
 楯無には、それがもう見えなくなっていた。

「思ったより、複雑だね〜。」
 束は、ゴーレムシリーズに使われている技術から、亡国企業を調べていた。
 ISにしろ、ゴーレムシリーズにしろ、様々な技術の集合体である。
 それを細分化して、その分野で秀でた企業と、何か繋がりがあるのではないか?
 その線から、束は調査を開始した。
「うまく巻けなかった、スパゲッティーみたい。」
 流れを追っていくと、いくつものダミーカンパニーがあり、それが複雑に関係し、先を辿るには、相当に労力を要する。
「でも、この束さんの目は、ごまかせないよ。うりゃ!」
 専用に構築したスクリプトが、ダミーカンパニーの関係を分析し、その全貌を明らかにする。
「向こうが気付いているかどうかは、解らないけど。スパイがいるね〜。さ〜て。もう少し、深く潜ってみよっか。」
 束は、再び調査を開始した。

「はあっ!!」
 藁を倍に巻きつけた、藁束を大太刀が真っ二つにしていく。
「はあっ!!」
 返す刀で、反対側の藁束も真っ二つにしていく。
「すごい…。」
「あんな。大きな刀で…。」
 俺は大太刀を鞘に納めると、真っ二つにした藁束の断面を見る。
 綺麗な断面だ。
 いつも使っている太刀の重さは、48両(1.8kg)だが、この大太刀は、91両(3.4kg)ある。
 ほぼ倍。
 重いったらなかった。
 でも、それは刀を持つ者が、心しておかねばならない物。
 刀は、人を殺す道具。
 故に、その道を修める者は、人を殺す道を究めようとしているのと同義。
 だからこそ、その狂気に負けぬように、心を強く持ち、己を律さなければならない。
 それを、自分の身に刻み込むように、俺は、この大太刀を片腕でも、自由自在に扱えるように、鍛錬を続け、今でも続けている。
 それを、忘れないように…。
 だからこそ、俺は亡国企業がやる事を許せない。
 何を考えているかは、知らないが、今までの襲撃は、他人が傷つこうが死のうが、どうでもいいという感じだった。
 それを認めるわけには、いかない。
 来るのなら、俺は、あいつらの企みをこれからも、叩き潰す。
 ゴーレムの性能を、どれだけ強化しても、俺は負けない。
 今までの鍛錬と、贈られた物に誓って…。

「で、この程度の数でいいのかな?倍でも、織斑一夏には、まるで勝てなかったが?」
「これで、十分。正攻法以外にも、やりようはある物よ。ドクター。お土産を期待して頂戴。」
 長い赤毛の女は、笑みを浮かべる。
「ふむ。幹部会からの命令が、お前さんがた実働部隊に行っている以上、儂は何も言わんがな。ま、気をつけることじゃ。」
「ご忠告。ありがとう。ドクター。」
『バーミリオンは、やり方が単純すぎたわね。搦め手というのは、どうやるか。見せてあげるわ。』
 その笑みは、背筋が寒くなるほどの、残酷さを感じさせる物だった。

後書き
亡国企業内部が、どうにも妙な事になってきているようですね。
組織という物は、各部門同士のいざこざがあると、大抵ろくなことになりません。
歴史を見ると、旧日本軍の参謀本部や、ヒトラーとドイツ陸軍参謀本部あたりでしょう。
命令系統を逸脱したような行動が起きているようで、組織に罅が入っているようです。
一方、千冬と束はそれぞれのやり方で、亡国企業の調査に。
組織を丸裸にして、上層部をお縄にすれば、亡国企業も終わりでしょうから、当然でしょう。
ですが、一夏を狙った動きもあり、何か、恐ろしい手を考えているようです。














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