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zoom RSS 緋弾のアリア−Another DA− Bullet10 過去は消えて

<<   作成日時 : 2013/01/22 21:27   >>

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『手強い…。ここまで、武勇に秀でた男とは、久しぶりに戦う。一撃一撃が、重い。グラムがあるから、折られずに済んでいるが、あまり長引かせたくないな。』
 ルークはグラムを構えながら、突破口を見出そうとする。
『これ程、骨のある武偵が居たか。始めから小細工などせず、俺が行った方がよかったかな?幾度も楽しめそうだ。』
 槍を構えながら、シュェンヂェンはこれ以上ない程、心が満たされていた。
 既に兜は無く、鎧もあちこちが破損しているが、そんな事が気にならない程、ルークとの戦いに没頭していたのである。
「行くぞ!!」
「おおっ!!」
 再び、グラムと槍が激突する。

「あれは無理だな…。」
「康永でも?」
「ああ。死ににいくようなものだ。Sランク同士の戦いに、介入できるような腕じゃないよ。俺は。情報収集なら、いけるかもしれんが。」
 忍の武器は、隠密性と素早さ。
 隠密性が役立つような戦闘ではなく、素早さでも、ルークとシュェンヂェンが康永を軽く凌駕する。
 到底、介入は不可能で、見ているしかなかった。
 その間、2人は凄まじい死闘を演じていた。
 
「来ぬな…。」
 リーファは紹興酒を呑みながら、連絡を待っていた。
 資格として差し向けたのは、Aランクのスナイパー。
 シュェンヂェンとの戦いの隙をついて、十分に仕留められる数を揃え、大口径のNTWを与えている。
 それでも、ルークを仕留めたという知らせがなかったとすれば、どういう状況だろうかと、リーファは考え始めた。
「新手が来たか。しかも、同クラスの…。」
 再び紹興酒を呑みながら、リーファは何かを悟ったような表情になった。

「どうした?息が上がって来たぜ。もう、歳なんじゃないのか?」
「ふん。そんな訳があるか。アドレナリンが体中に充満しているのでな。何とか、体から排出して、冷静さを保とうとしているだけだ。」
「それは、それは!」
 再び、戦いが再開されるが、明らかにシュェンヂェンの動きは鈍くなっていた。
 そして、徐々に押されていく。
 
「そろそろ、幕引きといきたいな。」
 ルークがグラムを、握りなおす。
「奇遇だな。俺もだ。」
 シュェンヂェンが、槍を構える
 互いに再び距離を取り、隙を伺う。
「「行くぞ!!」」
 互いを狙って、渾身の一撃を放つ。

 次の瞬間、シュェンヂェンの槍が空を舞い、砂浜に突き刺さる。
「俺の勝ちだ。」
「俺の負けだ。九龍に行け。そうすれば、解るだろう。お前ならばな。そんな気がする。これ以上の情報は言えん。」
「だろうな…。」
 ルークはそれ以上の追及はしないで、手錠を二重に掛けて、ワイヤーで縛る。
 近くの警務処から警官が来て、シュェンヂェンを連行する。
『さてと、行くか。』
 ルークは、九龍に向かった。

「どうする?追うか。」
 康永が、アビーに訊ねる。
 アビーは黙って、首を横に振った。
「この仕事、もう、あたしたちがどうこうできる段階じゃないわ。あの鎧を着た化け物みたいなやつが出た時から、私達の世界とは違う世界になってたのよ。悔しいけど。」
「そうね…。それは認めるしかないわ。でも、ルークは、その世界にいる。私は後を追う。スナイパーとしての誇りに掛けて。」
「俺も、見届けるくらいはしよう。それくらいなら、許されるだろう。」
「僕もそのつもりだ。」
 康永とアランが、レンタカーで借りた車に向かう。
「そうね。見届けるくらいなら…。」

 そこは、九龍の一角にある屋敷だった。
 表向きは、資産家の名義となっている。
 だが、アストラローベは、ルークをその方角に導いた。
「資産家の屋敷なら、防犯装置位はつけろ。」
 門を入った途端に、アサルトライフルを持った黒服の男達、ドーベルマンの群れ等、生きた防犯装置が立ちはだかった。
「失せろ。お前たちとじゃれている暇はない。」
 MSPに、マガジンを装填する。

 その部屋には、巨大な液晶テレビがあった。
 外の様子を見ることができるようになっているが、屋敷の主はその必要を認めなかったのである。
『奴ら程度で、どうこうできる相手ではあるまい…。』
 カツン、カツン。
 足音が近づいてくるのを、他人事のように聞いていた主は、扉を蹴破る音を聞いて、顔を向ける。

「思いのほか早いな。現世の犬では、地獄の番犬には勝てんか…。」
「俺は、別に、そんな二つ名を、名乗った覚えはないがな。」
 MSPを向ける。
「ふん。まさか。あの李密(リーミィ)の子孫がいたとはな…。」
 李密。
 字名は法主(ファヂュ)。
 隋の貴族の一人で、楊玄感の乱の際には、参謀役を務めたが、隋軍に捕えられ、都に護送される途中で逃げ出し、隋代末期に幾つも起きた反乱の中、瓦崗の反乱軍の軍師役となり、隋末期の名将張須陀(ヂャンシュトゥォ)率いる、最強の反乱軍鎮圧部隊河南討捕軍を打ち破り、張須陀を戦死させたほどの才の持ち主で、やがて群雄の一人となるが、唐が建国されてから、建国の祖、李淵(リーユェン)の子、李世民(リーシーミン)に仕えるが、後に処刑された。

「で、なんで、こんなことをしたんだ。ご先祖様の代わりに、裏の世界でも支配したかったのか?だとしたら、つまらん限りだがな。」
「すまんが、そのつまらん限りの理由だ。血がそうさせたのかもしれん。俺は李密の子孫であるが故に、その道しか選べなかったようだ。お前が誰の子孫かは知らんが、どうせなら、張須陀の子孫に捕えられた方が、興があったが、そううまくはいかんか。連れていけ。俺は俺の生き方を全うした。挫折はしたがな。お前はお前の行き方を全うしろ。」
 ルークは黙って手錠をかけて、香港武偵局に連行した。

「成程。別口で、向こうは保険を掛けていたのか。」
 武偵局の一室で、ルークはアビー達と話をしていた。
「意外に信頼がなかったんだな。俺は。まあいい。やるべきことはすべてやった。香港のこれで、全てが片付いた。俺は明日帰る。じゃあな。局長に挨拶をして、ホテルに戻る。」
 ルークは部屋を出て、局長室に向かう。
「怒ってはいなかったな。まあ、形は別口だったから、怒る気もなかったんだろうが。」
「私達にも誇りがあるように、ルークにも、Sクラス武偵としての誇りがある。局長は、どう見たのかしらね?私達は、彼から見れば所詮は下っ端だもの。」
「さてな…。」
 マルチナの問いに、康永は答えを見いだせなかった。

「急だな。3、4日観光でもして行ったら、どうだ?それくらいは、報酬に上乗せできるが…。」
「いえ。観光に来たわけではないので、直ぐに日本に帰ります。では。」
「怒っているのかね?増援要請をしたことを。」
 局長がそう訊ねた時、ルークは局長を見る。
「何故、そう思われますか?」
「君は、欧州でも屈指のSクラス武偵。相応の誇りがあるだろう。だが、私は私の判断で、増援が必要だと考えた。君には、荷が勝ちすぎているなどとは、思わずにな。それは、頭に入れておいてほしいんだ。」
「過ぎた事です。どうこう言う事でも、無いでしょう。では、失礼します。」
 ルークが局長室を出た後、彼は、ルークという人間を、見誤っていたことを悟った。
 常に、1人で事件を解決してきたのは、1人で問題ないという分析結果を、自分の実力と状況を基に出し、それが誤っていれば死を受け入れる誇り高さを持つ武偵。
 それが、ルークであり、今回、その誇りを著しく傷つけた事を、骨身に染みて理解していた。
 もし、ルークの力が必要になったとしても、依頼を引き受けてくれるだろうか?
 ルーク程の実力の持ち主なら、仕事は山ほどあるし、一流の武偵企業からのスカウトもあるし、フリーランスの武偵としても十分にやっていける。
 そういった事を考えると、不安に思っていた。

 ホテルに戻ったルークは、これからの事を考えていた。
『一つだけ解決していないな。あのステルス銀行強盗が。それに関わりがあるような物も、出てくると思ったが…。』
 しばらく、ルークはソファに寝転がって考えていた。
『休暇届出すか。少し、海外を回る必要があるみたいだしな。多分、向こうから、尻尾を出してくるだろう。』
 犯罪者の世界では、ルークの名を知らない者はいない。
 それを逆手に、黒幕が解らない事件の完全な解決をしようと決定した。

「いない?」
「はい。既にチェックアウトなされました。」
 アビー達が、ルークを尋ねた時、既にチェックアウトした後だった。
「怒って帰ったのかしら。」
「そんな、ガキじみたことはしないさ。何か、思う所があるんだろう。何かまでは解らんがな。」

 その頃、キャンセルが出た日本行きの飛行機で、帰途に着いていたルークは、これからの段取り、必要な装備、収拾する情報について考え続けていた。

「リーファがやられおった。やはり、強者よ。」
「あの、シュェンヂェンが、やられるとはな。手ごわいとは聞いていたが…。小細工はもう通用せん。切り抜けられるだろう。力でねじ伏せるしかない。」
「では、それに見合ったものを作るとしようかの。」
 裏側の世界は、再び騒がしくなり始めていた。

後書き
李密というのは、中国史では、かなりマイナーな人物ですが、中々に個性があって面白いので、子孫はいないのですが、出してみました。
張須陀が討ち死にした戦いにしても、相手は河南討捕軍が敗れる程の相手ではなかったと思うのですが、それでも、討ち死にさせたことは、評価できますしね。
乱世の奸雄といえば、曹操ですが、私個人としては梟雄というか、何とも、食えない男です。
配下とした李世民は、早くから危険を感じていて、用済みになったから敢えて、不満を持たせるようなことをして、処刑したようです。
これで、香港の事件は解決。
ですが、裏の世界ではいろいろあるようで、今後も大変そうです。


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