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zoom RSS 機動戦士Zガンダム〜ネオ・ジオン戦役〜 第34話 2つのザビ家

<<   作成日時 : 2013/01/18 21:27   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 4

「お久しぶりです。カニンガム准将。」
「貴官も壮健で、何よりだ。残念なことは、再会を喜んでいる暇はないという事だな。」
 アーガマ隊は、サイド4駐留部隊と合流した後、ブライトがクワトロとカミーユを伴って、カーネルシナプスを訪れていた。
「グレミー・トトでしたな。以前、ダカールで矛先を交えたことはありましたが、このような行動を起こすとは、意外でした。」
「それは、私も同じだ。ハマーンとしては、わが部隊との戦いで戦力が少なからず消耗した後だから、堪らんだろう。」
「司令。グレミー・トトから、各サイド及び、地球、月に向かって演説をしています。通信波を捉えることに成功しました。」
 オペレーターの声に、皆が振り向く。
「よし。メインスクリーンに投影。」
「はっ!」

「今こそ、時は満ちた。ハマーンの掲げる偽りのジオンではなく、ザビ家の正統な血を引く者が決起する時が来たのだ。ハマーンは、我が姪である、ミネバを傀儡とし、ネオジオンと称しているが、それは、偽りのジオンである。では、真なるジオンとは何か?それは、今、目に前にある。」
「何を、訳の分からんことを言っている。我が姪?どういう事だ。」
 カニンガムが、顎に手を当て考え込む。
「私にも何が何やら…。」
 さしものブライトも、混乱していた。
「目の前にある、真なるジオン。それは、私が率いる軍である。妾腹とはいえ、私は、ザビ家の正統な血を引く者。父の名は…。」
 グレミーは、時間をおいて、衝撃の事実を口にする。
「我が父の名は、ギレン。ギレン・ザビ。即ち、わが名は、グレミー・ザビ!」

「ギレンの子だと!?」
「そんな!」
「ギレンに、愛人と子供がいるという噂は聞いていたが、与太話だと思っていた。真実だったとは…。」
 ブライトとカミーユは驚き、クワトロは笑い飛ばしていた噂話が真実である事に驚愕した。
「ウラキ中佐と各艦のMS部隊の指揮官を、集めろ。直ちに会議を開く。」
「閣下。私もアーガマに戻り、対策を考えます。」
「頼む。」

「グレミー・トト。いや、今はグレミー・ザビか…。」
「こういう展開が、待ってるとはなあ…。」
 いつもは陽気なヤザンも、クワトロと共に複雑な表情をしている。
「これで、グレミーは、サイド3のミネバ・ザビを担ぐ必要はありませんね。何しろ、自分自身が錦の御旗になったんですから。」
「そうね。ミネバは子供だけど、グレミーは、そうじゃない。その点でも、ハマーンより有利だわ。」
「自分こそが、ザビ家の正統後継者であり、ハマーンを、ミネバ・ザビを傀儡にする逆賊とすることができるものね。」
 カミーユ、フォウ、エレオノーラの言う事は、正鵠を得ていた。
 グレミーが成人した男子である以上、どうしても周囲はハマーンを、ミネバを傀儡にしているように見てしまう。
 ジオン残党の中には、ギレンを熱烈に支持する者も多い。
 宇宙にも、密かに隠れているかつてのジオン軍兵士が大勢いる。
 彼らの多くは、グレミーの掲げる旗を仰ぐ。
 ブライトもそう見ていた。
「後は、ハマーンが、この事態にどう対処するかか…。下手をすれば、サイド3からの離反者も出る。」
 アムロの言葉に、ブライトは頷く。
 サイド3の守備部隊。
 ハマーン率いる、サイド4攻略部隊。
 双方にとって、このような事態は、イレギュラーどころの話ではない。
 混乱が起きない方が、おかしい。
 それを考慮すると、これからの戦局を読むのは難しくなっていた。

「艦長。エゥーゴ参謀本部より通信です。」
「こんな時にか。いつもろくな助けにもならんだけでなく、足かせにしかならないのだから、黙っていればいい物を。構わん読め!」
 明確な、上層部批判であり、このような時に発言するのは不味いのだが、ブライトとしては、上層部に対しては我慢の限界まで、後1mmもないほどだったので、王様の耳はロバの耳とばかりに、言いたいことを言った。
「は、はっ。アーガマ率いる部隊は、直ちにアナハイム社の、フォン・ブラウン工場に向かうべし。以上。」
 いきなり月に戻れと言って、理由すら説明しない。
 それにブライトは憤り、激しく舌打ちした。
「まあ、そう怒るな。一旦退いて、戦局全体を見渡し、その上で、戦略を練るのは悪い事じゃない。何か、新兵器もあるかもしれないぞ。」
 アムロが、ブライトの怒りを鎮めようと、あえて、ポジティブな意見を言う。
「そうだな。そう思う事にしよう。ブリッジ。進路変更だ。目的地、フォン・ブラウン。」
「了解。」
 通信を切ると、ブライトは自分を落ち着かせるために、軽く深呼吸する。
「というわけだ、この状況なら、敵が襲ってくることもないだろう。ライトビアー程度の飲酒は許可する。くつろいでくれ。」
 ブライトはカフェテラスに行く。

「いいタイミングだったな。アムロ大尉。」
「何。付き合いが長いからな。こう見えても、どうすればいいかは、すぐに解る。」
「それにしても、どういう事ですか?フォン・ブラウンに行けって。」
「艦のオーバーホールは、ラヴィアンローズで終えているし、ことさら行く必要はないと思うけど。不思議よね。」
 アムロとクワトロが話していると、カミーユとフォウが命令の意味を考える。
「その点は、行ってみないと解らないさ。」
 アムロも、フォン・ブラウンに行けという命令の意味は、理解できなかった。

「そうか。フォン・ブラウンか。いずれにせよ。少し、休んだ方がいいだろうな。貴官たちも、疲れているだろう。何しろ、ネオジオンとの戦いで、あちこちを飛び回っているのだからな。それかもしれん。あるいは、貴官らの拠点を作り、本格的な反攻作戦を行うための準備かもしれん。」
「成程。そう言う見方もありますな。いずれにせよ。我々は、フォン・ブラウンに向かいます。」
「うん。気をつけてな。」
 カーネルシナプスとの、通信が終わる。
「少し、頼む。1時間ほどで戻る。」

 その頃、アムロの予想通りに、サイド3とサイド4攻略部隊では混乱が生じており、ハマーン、ランス、ニーはそれを鎮めることに、忙殺されていた。
『あの噂、真実であったとは…。警戒して、監視はつけていたが…。』
 グレミーが、ザビ家の血を引くという噂は、ハマーンも耳にしていた。
 だが、確証がなかった。
 それでも、念のために保険として、監視役をつけていたのである。
 その監視役からの定期連絡も、完全に途絶えている。
『取り込まれたか。殺されたか。どちらか解らんが、演説とこの事実が真実だと語っていると見るべきか。』
 大きなため息をつくと、サイド3からの報告書に目を通していた。
 留守を任せたランスとニーは、事態が沈静化すると、信頼のおける士官と兵たちで要所を固め、戒厳令を敷き、夜間の外出も禁じた。
 また、各所に監視もつけている。
 2人もハマーンも好むやり方ではないが、今の状況では、これはやむを得ない処置だった。
 放置しておけば、内部から瓦解して、アーガマなりグレミーなりに撃破される。
 それだけは、防ぐ必要があったのである。
『まずは、グレミーを叩くか。その後、守りを固め、エゥーゴを叩く。それしかあるまい。』
 執務室で、ハマーンは椅子の背もたれに、身を預ける。

「ふっ。さぞ、ハマーンは苦労しているだろう。ザビ家を利用した、報いという物だ。」
 今までハマーンの下にいることに耐えながら、時を伺っていたグレミーは、愉快そうな表情をしていた。
「苦労なさいましたな。グレミー様。」
「まあな。ところで、アーガマはどうした?」
「フォン・ブラウンに、向かっているとのことです。」
 怪訝に思い、グレミーの表情が変わったが、すぐに元に戻る。
「漁夫の利を占めるか。いずれにせよ。叩かねばならぬやつら。ザビ家の気高き理想を理解できぬ輩よ。今は、放っておいてやる。さし当たっては、迫ってくる、マシュマーの部隊を叩く。駒もいくつか盤上に並べる。どの程度か、見ておく必要もあるからな。」
「用意は既に。」
「うむ。この日の為に、用意をしてきたのだ、役に立ってもらわねばな。」
「オリジナルが失われたのは、少々痛手ですが、DNAは保存しております。幾らでもつくれますので、ご安心を。」
「そうならぬ内に、決着はつく。按ずるな。」
 主任をリーダーとするチームから報告を受けながら、ドックに着くと、そこには巨大な戦艦があった。
 改グワダン級超ド級戦艦グランツ。
 グレミーが密かに建造させていた、新たな旗艦である。
 艦名は、地球のある地方の言葉で、栄光を意味する。
 さらに、主力艦として、旧ジオン軍のムサイ級軽巡洋艦を発展させた、ケーニヒスベルグ級巡洋艦が建造されている。
「これで、艦隊のハード面での質は、ハマーンを凌駕した。さらなるコマも用意してある。ハマーン。貴様の罪、地獄で償ってもらうぞ…!」
 強い決意と共に、グレミーは宣言する。

「乗員、全て乗艦しました。出撃準備完了です。」
「よし。まずは、マシュマー・セロを、勝利への供物とする。出撃。」
 グランツに向かうグレミーを見る主任は、どこか憐れむような目で見ていた。

後書き
遂にグレミーが、本格的に行動を開始します。
ギレンの妾腹の子という設定は、以前に聞いたギレンのクローン説をネタに考えてみました。
サイド3には、ハマーンが備えをしている以上、ミネバを自分たちの錦の御旗にすることは、簡単ではありません。
ならば、自分の血を利用する。
こうすれば、宇宙に身を潜めている元ジオン兵という熟練パイロットも、自軍に取り込めて一石二鳥。
充分に準備をしていたので、ハマーンも苦戦することは明白。
しかし、このまますんなりでは、面白くないですね。
ハマーンも、今回の事は予想していましたから、…ね。
ちなみに、今回も後の作品の元ネタを仕込んでいます。
なんでしょう?


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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
いよいよ、グレミーが立ちましたか。
タイミング的には、ハマーンが苦戦している、今がベストかも知れません。

エゥーゴの上層部としては、ハマーンとグレミーの戦いを高みの見物として、漁夫の利を得るつもりでしょうか。

どちらにしても、三つ巴の戦いは、油断出来ません。
ほんの少しのタイミングのズレが致命傷になるはずです。

プルとマリーダさんが、プルツーと戦わない事を祈っています。
タケゾウ
2013/01/20 00:26
新年4回目のコメントとなります、ZESTです。

今回の話では、アムロがブライトさんの、エゥーゴ上層部に対する怒りを上手く宥めているのが印象的でしたね。

1年戦争の頃から、共に戦っているだけあって、さながらエースピッチャーと名捕手の様に映りました。

グレミーの反乱によって、様々な雑務に追われる羽目になったハマーン、ランス、ニー。
下手をしたら、ストレス性の胃潰瘍か鬱病を発症しかねないですね(汗)。

最後に、タケゾウさんのコメントの中で、「プルとマリーダさんが、プルツーと戦わない事を祈っています」という一文を見ましたが、私としては、戦いは避けられないのではないかと見ています。

ダカールで、カミーユとクワトロにボコボコにやられた為、次回以降の話で2人に加え、エゥーゴ艦隊にリベンジを晴らす為に戦う様を思わず想像してしまったのがその理由です。

コメントが長くなってしまいましたが、次回も楽しみに待っております。
ZEST
2013/01/21 18:12
タケゾウさん。
コメントありがとうございます。

>タイミング的には、ハマーンが苦戦してい
>る、今がベストかも知れません。
 そうですね。
 相手が嫌がる事をして勝利するのが、戦の
 常道。
 サイド4での戦いで、少なからぬ犠牲を払
 っての帰還後ですから、兵の士気も下がっ
 ていますしね。

>どちらにしても、三つ巴の戦いは、油断出
>来ません。ほんの少しのタイミングのズレ
>が致命傷になるはずです。
 ダブルゼータだと、エゥーゴや連邦の援軍
 が来ないことを前提にして、ビーチャ達が、
 介入のタイミングを、慎重に伺って動きま
 したが、エゥーゴの参謀本部はどうですか
 ね?
 メッチャーみたいのもいますし。
 ウォンあたりなら、そこの所を冷静に判断
 できそうですけど、あちらはあちらで忙し
 いですからね。
CIC担当
2013/01/22 02:55
ZESTさん。
コメントありがとうございます。

>1年戦争の頃から、共に戦っているだけあっ
>て、さながらエースピッチャーと名捕手の様
>に映りました。
 互いにサポートしあえますから、どちらも
 心強いでしょうね。
 ただし、敵にとっては悪夢でしょう。
 歴戦の名艦長と、白い悪魔と呼ばれた伝説
 のニュータイプの、名コンビ。
 相手にすると考えると、さぞ、食事も不味
 いでしょう。

>私としては、戦いは避けられないのではない
>かと見ています。
>ダカールで、カミーユとクワトロにボコボコ
>にやられた為、次回以降の話で2人に加え、エ
>ゥーゴ艦隊にリベンジを晴らす為に戦う様を
>思わず想像してしまった
 プルツーは気性が相当に荒いですし、プラ
 イドも高そうですからね。
 グレミーにしても、苦汁をなめさせられま
 したから、このままでひゃ腹の虫も収まら
 ないでしょうからね。
 しかし、今度は、アムロもいますから、最
 強カルテットの壁を突破できるかが最重要
 課題ですね。
 ヤザンにしても、相当に凄腕ですし。
 どうなりますかね。
CIC担当
2013/01/22 03:05

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