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zoom RSS 機動戦士Zガンダム〜ネオ・ジオン戦役〜 第33話 翻る反旗

<<   作成日時 : 2013/01/11 21:23   >>

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「サイド4は、未だに戦闘が継続中か?」
「はっ。情報に誤差はありますが、苦戦している模様です。」
 サイド5に駐留しているグレミーの元に、士官が報告に来る。
「ご苦労。下がれ。」

『ハマーンが、苦戦するほどの相手か…。』
 グレミーはデスクの椅子の背もたれに体を預けて、しばし考える。
『今の所は、ハマーンが劣勢。このまま、討たれるか。それとも挽回するか。それによって、これからの事が変わるな…。いずれにしても、駒を盤上に並べるべきか…。』
 グレミーはある場所に通信を入れる。

「承知いたしました。準備をさせます。」
「うむ。ハマーンは、こちらの動きを探るどころではないだろうが、慎重に事を運べよ。」
 主任と周囲に呼ばれる研究者は、通信機のスクリーンからグレミーの顔が消えると、喉の奥から聞こえるような笑い声上げる。
「全てのカプセルの冷凍モードを、解除しろ。但し、例の一体は除け。それと、あれは別口で、密かにサイド3に。段取りは解っておるな?」
「全て、心得ております。」
 士官が、指示を受けて部屋を去る。
『さて、精々戦って、データを提供してもらうとするかの。』
 主任の思惑の全てを、グレミーは知っているわけではなかった。

 一方、サイド6では、マシュマーとイリアの慣熟訓練が終了し、作戦会議が開かれていた。
「時は、来た。今こそ、このサイド6の連邦軍を叩きのめし、ネオジオンの領土の一部にする。」
 遂にサイド6に駐留する連邦軍との決戦に臨むに際して、各艦のMS部隊の隊長と参謀たちは、緊張を隠せなかった。

「連邦軍は、無理に攻めはしないだろう。防御に徹し、籠城戦ともいえる今の状況を最大限に利用するのは、明白だ。そこで、何としてでも、奴らをこちらの懐に誘い込んで殲滅しなければならない。」
 マシュマーがコンソールを操作すると、宙域図が表示される。
「最初は、我らが攻めかかる。但し、士気が極めて高い連邦軍の防御を破るのは、容易ではない。敗れたとしても、犠牲は少なからず出る。そこで、最小限度の犠牲で撤退し、奴らをおびき寄せる。向こうが引こうとすれば、こちらから攻めかかり、敵が攻勢に出れば、軽く戦って退く。基本的には、この戦術の繰り返しだ。」
「つまり、相手が気付かぬうちに、両軍の間隔を狭め、しかる後に包囲殲滅。と、言うわけでしょうか?」
「そうだ。忍耐が必要とされる戦術だが、力押しで無駄な犠牲を出すのは、私の本意ではない。我慢比べは性分ではないだろうが、堪えてもらいたい。」
『予想以上に、安定しているな…。』
 イリアの予想以上にマシュマーの精神状態が安定し、沈着冷静に彼我の戦力差、士気等を総合的に分析し、作戦を立案できていることに、驚きを隠せなかった。

「マシュマー様。敵を包囲網に引きずり込む役目、私にお任せください。必ずや、マシュマー様の策、成功させて御覧に入れます。」
 イリアが引き込み役を、志願する。
「ふむ…。」
 自分の副官であるイリアには、出来る限り傍にいてもらいたかったが、作戦が成功するかの鍵となる役割である以上、信頼できる人材に任せたいという考えが、マシュマーにはあった。
「よかろう。お前に任せる。必要な戦力を計算し、報告してくれ。後に部隊を編成し、作戦を実行する。頼んだぞ。」
「はっ!お任せください。」
 マシュマーは、満足そうに頷く。
「次に、包囲網についてだが…。」
 作戦会議はしばらく続き、マシュマーの艦隊は準備に取り掛かる。

『策は完成した。問題は、例の件…。』
 サイド6攻略作戦の準備は順調に進んでいたが、マシュマーには懸念事項があった。

「はあ、はあ、はあ。強い…。底力が、半端じゃない…。」
 ロベリアのコックピットで、ウラキは呼吸を整えながら、ハマーンの強さに驚愕しながら、ビタミンと各種アミノ酸を添加したドリンクを一息に飲み、水分を補充していた。
 有線サイコミュデバイスはいまだ健在だったが、ハマーンは使う隙を与えなかった。
 白兵戦に移行し、ウラキが押してはいるが、ハマーンはウラキの猛攻を防ぎ切っていた
『どこか、どこかに隙があるはず…。それさえつければ…。』
 大きく深呼吸したコウは、操縦桿を握りなおす。

『どこまでだ…。あと、どれくらい持つ…?』
 ハマーンはウラキの猛攻を防ぎきっているとはいえ、余裕はなく、気力も体力も、限界に近づきつつあった。
 NT専用MSではないとはいえ、ロベリアの性能は、ヴィルジン・ヴァイスを明らかにしのぐ。
 有線サイコミュデバイスを使う隙を与えてはいないが、それもどこまで続くか、ハマーンは不安を感じていた。
「この私をここまで追い詰め、不安まで感じさせるとは…。」
 ハマーンは既に汗だくで、目もかすみ始めていた。
『これ以上戦い続ければ、勝機はほぼなくなる。その前に、何としても堕とさねば…。』
 コンソールを見ると、核融合炉の出力が不安定になっていて、戦闘可能な時間も既に少なくなっていた。
 MSの核融合炉は、常にカタログスペック通りの出力が、維持できるわけではない。
 通常は、カタログスペックより低出力で運用する。
 小型化に成功した核融合炉には、高出力を常に維持できないという弱点がある。
 故に、最大出力の状態を維持しようとすれば、無理がたたって、出力が不安定になる。
 ヴィルジン・ヴァイスはハマーン専用のワンオフ機であり、核融合炉も優れた物が搭載されているが、それでもこの弱点を完全に払しょくされてはいなかった。
 一方、ロベリアの核融合炉は、当初から、最大出力を常に維持することを大前提とする、非常に困難な課題をクリアすべく開発がスタートし、開発陣の努力の結果、当初の目的を達成した核融合炉である。
 それもあって、ヴィルジン・ヴァイスは、カタログスペックの約7割が平均出力になっている。
 疲労度は、ほぼ互角。
 だが、MSの状態では、明らかにヴィルジン・ヴァイスが不利であった。
 加えて、艦隊戦でも、サイド4駐留部隊に押されている。
 アマーリエの戦死と、ハマーンの劣勢により士気が下がり、練度の差もあって、部隊の秩序をどうにか保っているというのが、手一杯であった。
「勝負を預けるぞ。」
 悔しさを堪えながら、ハマーンはサダラーンに戻る。

「退いたか…。」
 ウラキはキースに通信を入れる。
「大丈夫か?コウ。」
「何とかな。済まないが、暫く部隊の指揮を頼む。俺は一旦、母艦に戻る。」
「解った。きちんと休養して来い。その時間くらい。俺達が稼ぐ。」
「頼む。」
 通信を切ったウラキは、カーネルシナプスに帰艦する。

「ロベリア、帰艦しました。」
「損害は?」
「レーザービット全損。他に損害はありません。ですが、ウラキ中佐の疲労が、かなりの物です。今、医療室に運ばれて治療を受けています。」
「ハマーンを相手にしていたのだ。無理もあるまい。他の部隊の状況はどうか?」
「我が方が押しております。テーラディアス隊が敵のNT専用MSを撃破した事に加えて、中佐がハマーンを追いつめたことで、明らかに敵の士気が下がっております。」
『中佐。よくやってくれたな。後は我々に任せろ。』
 死力を尽くして、ハマーンを追いつめたウラキに感謝しつつ、カニンガムは、ここで一気に勝負をつけることを決断した。
「両翼を伸ばせ!包囲陣を敷くのだ!!補給が必要なMSは全て帰艦させて、速やかに補給を終了させよ。その後、決着をつける。急げ!!」

「そうか。こちらが優勢か。」
 医療室のベッドで、各種点滴を投与されながら、軍医から戦況報告を受けていた。
「まもなく、決着が着くでしょう。アーガマも向かってくれています。きっと良い報告が入るかと。」
 聴診器を首にかけ、モニターでウラキの心拍数、血圧、呼吸数等を確認した軍医が、ウラキを安心させるように言う。
「済まないが、例の薬を持ってきてくれ。点滴が終了次第、私も出る。ロベリアの補給・整備とジェンシャンを用意させろ。」
 それを聞いた軍医は、ウラキが再び出撃する気だという事を悟る。
「しかし、それでは、中佐のお体が…。」
「軍医。これは命令である。背くようなら、抗命罪で軍法会議に告発するぞ。」
 無論、ウラキにそんな気は無い。
 だが、サイド4駐留部隊MS隊隊長として、部下に対する責任を果たさねばならないと考えるウラキは、できうる限り早く出撃するつもりだった。
「…解りました。」
 ウラキの決意が変わらない事を知った軍医は、渋々了承し、以前、コウが「星の屑」を食い止める際に使用した薬物を棚から出した。
『ハマーンは、もう出撃できるような余裕はないはず。ここで一気に仕留める。』
 コウの予想通り、サダラーンに帰艦したハマーンは艦隊の秩序を保とうと、疲弊した体に鞭打って指揮をしていた。

『ハマーンめ。相当に手こずっているな。副官は戦死し、自らの新型も損傷か。』
 報告書を読みながら、グレミーは心の中で嘲笑していた。
 そして、たかだか、コロニー1つ落とせないようでは、さしたる障害にはならないという判断に至った。
「サイド1及び、サイド6攻略部隊に暗号電。わが部隊はこれより、サイド4攻略部隊の増援に向かう。」
『この時が来たか。』
 通信士官に暗号電を送るよう命じた後、グレミーは執務室の通信装置で暗号電文を送った。

「ほう、遂に動くか。こちらも準備は終わった。頃合いという所かの。グレミー様に暗号電、「盤上の駒、いつでも動かされたし。」」
 グレミーと一部の人間しか知らぬ施設では、動きが慌ただしくなり、様々な物資が搭載されていった。

 ハマーンとサイド4直属部隊の戦いは、膠着状態を迎えていた。
 損害が想定を大きく上回ったハマーンは、大きく後退し、サイド4駐留部隊も後退して、物資の補給と各艦艇の補修・整備等、戦力を整備していた。

「今日で3日になるな。ハマーンに動きは?」
「先程入った偵察部隊からの報告ですと、全くないようです。」
 通信士からの報告を聞いて、カニンガムは考え始めた。
『増援を待っているのか?それとも、撤退の算段を始めているのか?後者であってほしいものだな。我々としては、サイド4を守るのが最優先。ことさら、ハマーンを撃滅する必要はないのだからな。』
 カニンガムは、サイド1及びサイド5の情報も、月に諜報員を派遣させて調べさせていたが、今の所は何も入ってこなかった。
 そして、再び3日が過ぎた。

「お待ちしておりました。グレミー様。」
「うむ。例の物は?」
「既に、戦列に参加できます。プルツーが見に行っておりますが、あれに関しては、伏せてあります。」
「それでいい。全てを見せる必要はない。」
 主任と話をしていると、プルツーが戻ってくる。
「気に入ったか?プルツー。」
「ああ。あれなら、私の力を存分に発揮できる。お前の望みも、果たしてやる。」
「ふっ。頼もしいな。お前が私の切り札だ。頼んだぞ。」
「任せておけ。」
 満足した様子で、プルツーはグレゴリオに戻る。
「進発する。当初の作戦通りに、行動せよ。」
 グレミーのこの行動が、状況を大きく変える事となる。

「グレミーめ。遂に尻尾を出したか…。よりにもよって、このような時に…。」
 ある程度は予想していたが、ハマーンとしては最悪のタイミングだった。
「直ちに、サイド3に撤退し、守備艦隊と合流。陣を敷く。」
「敵はどういたしますか?ハマーン様。」
 参謀の一人が尋ねる。
「気にする必要はない。奴らは、サイド4を守るのが主目的だ。我らが退いても、後は追わぬ。」

「敵部隊、急速に撤退を開始します。」
「退いた?あきらめたのか。」
 MS部隊の報告の為、ブリッジにいたウラキは、ハマーンの突然の撤退に驚く。
「月から入電。サイド5のネオジオン艦隊。アクシズに向かっています。」
「反乱か。」
 カニンガムは、直ぐに状況を理解した。
「つまり、サイド5のネオジオン艦隊の司令官は、この時を虎視眈々と狙っていたということですか?閣下。」
「そのとおりだ。中佐。今、アクシズには大した兵力は残っていまい。奪取する為の準備も抜かりなくしておるだろう。ハマーンはさらに頭痛の種が増えるだろうな。」
「アーガマ隊より入電。明日、わが部隊と合流するとのことです。」
「まずは、ブライト中佐らと共に、対応策を練るとしよう。全てはそれからだ。」

 1人の男が掲げた反旗が、新たな争いを起こそうとしていた。

後書き
ハマーンとウラキの戦いは、ウラキが優勢なまま、ハマーンが退いたことで決着つかず。
しかし、双方共に、ボロボロ。
あのハマーンを押していたウラキは、各種点滴が必要で、出撃にはデンドロビウムに乗っている時に使っていた、劇薬が必要な程。
ハマーンも、心身ともに疲労の極み。
ここで、グレミーが遂に動きます。
こうなると、ハマーンも退かざるを得ません。
とりあえず、サイド4の戦いは終了です。
しかし、マシュマーには、何やら動きの気配。
され、何やら…。


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新年3回目の投稿になります、ZESTです。
今回の話で、死闘ともいえる戦いを繰り広げたコウとハマーン。
それぞれの原作アニメの戦闘アニメを凌駕する戦いをイメージして、思わず心躍ってしまいました。

次に、ZZ本編では、強化処置で性格が変わった上、ラカン率いるスペース・ウルフ隊との戦いで、謎の緑フィールドを発生させながら散華したマシュマーさんが、常識人である事に、この小説を読み始めた時から意外な点だと思っていました。
本編とは違い、強化措置が、サイコミュを扱える様になる程度の軽いものだった事もあるでしょうが、キャラの様な猪突猛進な指揮官を抑えるストッパーも必要な事も想像して、苦笑してしまいました。

そして、いよいよグレミーが決起しました。
更に、サイド3に移送される事になった『例の一体』。
26話を読んだ後で予想していたのですが、その正体は、「シャアの再来」と呼ばれたあの男なのでしょうか。

長いコメントとなってしまいましたが、次回も楽しみにしております。
ZEST
2013/01/15 15:51
ZESTさん。
コメントありがとうございます。

>それぞれの原作アニメの戦闘アニメを凌駕
>する戦いをイメージして、思わず心躍ってし
>まいました。
 そう言っていただけると、嬉しいです。
 ハマーンに散々煮え湯を飲ませたウラキで
 すし、成長速度の速さは、短期間でガトー
 に、同等の存在と認めさせる程ですから、
 そこから、レベルアップを考えれば、MS
 のスペックが高ければ、対抗できると考え
 て、この時期の疑似サイコミュ搭載機の頂
 点を極めた機体として、フルバーニアンを
 徹底的に強化したMSに乗せて、双方共に、
 心身共に極限まで消耗する戦闘にしてみま
 した。

>強化処置で性格が変わった上、ラカン率い
>るスペース・ウルフ隊との戦いで、謎の緑フ
>ィールドを発生させながら散華したマシュ
>マーさんが、常識人である事に、この小説を
>読み始めた時から意外な点だと思っていま
>した。
 強化措置自体、Vガンダムの時代でも未完
 成でしたからね。
 ある程度の強化に留めておけば、大丈夫じ
 ゃないかなというのを、逆襲のシャアのギ
 ュネイを見て考えていたので、そうしてみ
 ました。
 個人的に、ガンダムでも戦略や戦術の駆け
 引きを書きたかったというのもありました
 が。

>更に、サイド3に移送される事になった『例
>の一体』。
 後々を考えると、非常に重要な「駒」とい
 うのがヒントです。
 ただし、ちょっとひねりを利かせています。
CIC担当
2013/01/17 00:36

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