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zoom RSS コードギアス−反撃の騎士− NORTH07 虐げられた者達

<<   作成日時 : 2012/12/28 23:58   >>

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「あのスザクがな…。」
「枢木首相の忘れ形見が、ブリタニアの欧州侵攻軍の主力、四大騎士団の一つを壊滅させた最大の功労者に…。」
「各地の抵抗運動の士気が、以前とは比べ物にならない程、上がっている。あのコーネリアが、散々手を焼くほどにな。」
 京都。
 かつては、世界有数の古都であった京都も、現在はイレブンと呼ばれるようになった日本人が住む区画、ゲットーの一つである。
 その京都のとある場所で、6人の男たちがスザクについて話し合っていた。

 キョウト六家。
 日本のレジスタンスを束ね、支援する、嘗て日本に存在した、財閥の当主たちである。
 その中で、最も老齢の男が、目を閉じて静かに考えていた。
 桐原泰三。
 スザクの父、ゲンブが首相になる際の立役者だったが、日本がブリタニアに敗北し属領となると、一転して、ブリタニアに協力するようになった。
 日本人からは、こう呼ばれている。
「売国奴の桐原。」と。

「いずれにせよ。スザクの存在。無視はできん。何とか、手を組みたいものじゃな。」
「無理でしょう。」
 部屋に、透き通った声が響く。
 皆が振り向いた紗季には、あどけなさを残しながらも、凛とした少女がいた。
 皇神楽那。
 キョウト六家の盟主である、14歳の少女である。
「それは何故ですかな?神楽那様。」
 六家の当主の一人が尋ねる。
「象と蟻が、対等の関係になれますか?」
 その一言で、皆は神楽那の言いたいことを理解した。

 抵抗が激烈で、コーネリアが手を焼いている日本のレジスタンスを束ねる六家とは言え、ブリタニアが本腰を入れれば、いつでも潰せる。
 そうしないのは、ゲットーに住む日本人たちの代表でもある六家に、利用価値があるからである。
 所詮、自分たちは蟻のような物。
 神楽那は、今の日本のレジスタンスと六家がどの程度か、よく理解していた。
「とは言え、この先、日本のレジスタンスと六家が生き残り、再び日本を嘗ての姿を取り戻すには、蟻のままでは無理ですね。象になり、他の象の協力を取りつけ、ブリタニアを打ち破る必要があります。その際には、スザクの存在は、日本にとっては不可欠。関係を持つ手段は、模索する必要はあります。そうですね?ゼロ。」
 最後の名詞を聞いた途端、桐原でさえも驚きの表情を見せる。
 神楽那の後ろには、30代半ばの精悍な表情の、嘗ての日本軍の軍服を纏い、刀を手にした男と、仮面を被った謎の人物がいた。
 ゼロ。
 サクラダイトの分配に関する国際会議で、日本解放戦線の一派が起こしたテロを解決した、黒の騎士団の長である。
 もう一人の男の名は、藤堂鏡志朗。
 日本軍で中佐の階級にあった男で、日本とブリタニアとの戦いで、唯一、敗北しなかった男で、「奇跡の藤堂」の二つ名を持つ。
 特に、厳島での戦いは、ブリタニア軍が最も損害を受けた戦いである。

「神楽那様!何故、ゼロがここに!?」
「答えは一つ、蟻が象になる術を聞かれ、それをお話しする為。」
 神楽那に替わって、ゼロが答える。
「皆には申し訳ありませんが、私の独断で彼を呼びました。無論、私もまだ、全面的に彼を信用してはいません。藤堂中佐は、ゼロの監視役です。」
「成程。ゼロが神楽那様に危害を加えようとした際は、斬る。そうだな?藤堂。」
 神楽那の言葉を理解した桐原は、藤堂に訊ねる。
 藤堂は、黙って頷いた。

 ゼロと藤堂が加わり、話し合いが再開された。
「して、如何にして、我らという蟻が象になる?」
 桐原が、ゼロを試すかのような視線で見る。

『桐原泰三…。変わらんな。俺とナナリーが、日本に来た時を思い出す。あの老人の周囲だけは、時が止まっているのかな。』
 ゼロ。
 その正体は、ルルーシュだった。
 スザクが戦っていることを知り、ルルーシュもまた自分なりのやり方で戦いを始めたのである。
 仮面の男、ゼロとして。

「まず、認識してもらいたいのは。象とて、始めは仔象だという事だ。年月を経て、成長し、正真正銘の象となる。」
「何が言いたいのだ!ゼロ!!」
 当主の一人が、苛立たしげに声を上げる。
 どこの馬の骨とも知らない、男に不信感を募らせているだけでなく、名門の当主としての誇りが、仮面を被り素顔を隠した、怪しげな男がここにいる事を、許容できなかった。
「刑部公。少しは落ち着かれる事だ。私一人の存在すら許容できない事には、ブリタニアから日本を取り戻すことなど、夢のまた夢だぞ?」
 ルルーシュは、今は日本を取り戻すことを第一に考えるよう諭す。
「刑部殿。落ち着いてください。ゼロ、話を続けてください。」
 神楽那が仲裁に入り、刑部を落ち着かせる。
「まずは、戦力を整えるのが第一。日本に無くて、ブリタニアにある強力な兵器とは何かな?」
「ナイトメアを生産しろと?だが、奴らの目を盗んで製造するのは、容易な事ではないぞ。まして、誰が設計をする?日本には、ノウハウすらないというのに。」
 占領下にある日本では、レジスタンスが独自のナイトメアを開発するのは、ほぼ不可能に近い。
 世界の最も重要な資源であるサクラダイトを、最も多く産出する地であるが故に、日本が電撃的に占領されたのもあるが、ナイトメアの情報を、軍上層部が軽視していた為に、基礎研究すらされていなかった。

「日本が占領される前に、海外に多くの日本人が滞在しており、亡命を受け入れた国がある事はご存知かな?」
「無論だ。」
 桐原の答えを聞くと、ルルーシュは懐から、USBメモリーを取り出す。
「これは、反撃の為の手段…。既に生産された物が、密かに日本に向けて輸送中だ。」
「それは、本当ですか?ゼロ。」
 神楽那は信じられないといった表情になり、藤堂もルルーシュに鋭い視線を向ける。
「日本で生産されてはいないが、開発に当たったスタッフは、全て日本人だ。動力源であるエナジーフィラーは、ブリタニアと同規格。それから、我が黒の騎士団が調達した、サザーランドも十分な数を進呈しよう。藤堂中佐と、その部下四聖剣には、運ばれるナイトメアの、カスタムタイプが用意されている。到着まで、後、3日といったところか。これで、基盤は整う。それに、生産拠点は、今ならば築ける。コーネリアの出陣が重なって、総督府の統治機能は、機能不全を起こしているといってもいい。」
「目を盗み、製造工場を築け。そう言いたいのですね。」
 日本の地下には、サクラダイト採掘の結果、多くの巨大な人工の空洞が存在する。
 桐原が総帥を務める、桐原産業は嘗てサクラダイト採掘を独占していた為に、それに関するデータを唯一保有している。
 このデータは、ブリタニア側が一切興味を示さなかったために、接収されなかったのである。

「解った。準備をさせよう。」
「それがよろしいだろう。だが、その後、やっておかねばならないことがある。」
 ルルーシュの提案に、六家の当主たちは騒然となった。

「その様な事、できるというのか!?相手は、コーネリア。ブリタニアの魔女だぞ。」
 刑部が、再び声を上げる。
「策はある。この私には!いや、この私だけには!!」
 胸に手を当て、ルルーシュは堂々と言い放つ。

「どうしても、必要ですか?」
「あのテロが、それを証明しています。神楽那様。人の体が新陳代謝をするように、組織にもそれが必要なのです。今が、その時がなのです。黒の騎士団を中核とし、藤堂中佐が実戦部隊の指揮を執る。これが、最も合理的な組織です。その組織を完成させ、時が来た時に、ある方を呼び寄せねばなりません。それまでは、時間が掛りますが…。」
「スザクですね…。」
 神楽那は、即座に理解した。
 優秀な前線指揮官に、藤堂。そして、組織の象徴として、自らも戦場に立ち兵たちを鼓舞する存在。
 それには、前首相枢木ゲンブの唯一人の忘れ形見であり、欧州で勇名を轟かせたスザクこそが、最もふさわしい。
 六家の当主、神楽那、藤堂、ルルーシュ。
 ここにいる全ての人間の、共通認識であった。

「一つ、確認したいがいいかな?」
「ご随意に、桐原公。」
「そなたの真の狙いは、何かな?さらに、年寄の勘だが、そなたは日本人ではない気がする…。」
 しばしの間、沈黙が降りる。

「我が、真の狙いは、ブリタニアを地に叩き落とす事。日本解放は、その通過点。そして、仰る通り、私は日本人ではない。」
『この尋常ならざる、ブリタニアに対する憎悪。そして、我々の事をよく知っているような事を伺わせる感じ。誰だ?誰だというのだ…?』
 考えている時、ふと桐原の脳裏に幼い子供の姿がよぎる。
『そうか。そういう事か…。成程な…。』
 桐原は、全てを理解した。

「神楽那様。そのゼロという男。信用に値する男。この桐原が保証いたします。そして、私が知る限り、最も、ブリタニアを激しく憎悪する男。この者の策を用いるが上策かと。」
 神楽那を真っ直ぐ見て、桐原は話す。
「解りました。貴方がそこまで言うのでしたら、私も貴方を信じましょう。ゼロ。」
「ご信頼いただき、何よりです。では、この中身に、目を通しておいていただきたい。引き渡しの手筈も、入っております。」
 ルルーシュは、USBメモリーを神楽那に手渡す。

「うまくいったのか?ルルーシュ。」
 トウキョウ租界。
 ブリタニア人、そして、ある程度の権利が保証された日本人、名誉ブリタニア人が暮らす地にある、私立アッシュフォード学園。
 そこにある、クラブハウス。
 ルルーシュにとって、家でもあるそこに帰った時に出迎えたのは、犯罪者が着る拘束服を着た、神秘的な少女だった。
 名をC.C.という。
 本名は、別にあるようだがルルーシュは知らず、また、知ろうとも思わなかった。
 そのような事は、どうでもよかったのである。
 ルルーシュに与えた物に、比べれば。

「ああ。ギアスを使うかと思ったが、その必要もなかった。物解りがよくて、助かったよ。もっとも、少し、ひやりとする場面もあったがな。」
 ルルーシュの左目に、ある紋章が浮かび上がる。
 ギアスの紋章が。
 ルルーシュはC.C.によってギアスを与えられ、優れた頭脳とギアスを駆使して黒の騎士団を作り上げ、海外でナイトメアフレームを開発している日本人の存在を突き止め、その入手に成功した。
 ゼロという、己のもう一つの姿を最大限に使用し、それを成功させたことだけでも、ルルーシュの優秀さが伺える。
 その他にも、幾つもの手を打ち、必要な物を調達していた。
 サザーランドも、その一つである。
「うまくいったのは、喜ばしい事だな。お前にとっても、私にとっても。お前が為すことが、うまくいってくれなくては困る。何のために、ギアスを与えてやったのか、解らなくなるからな。」
「心配するな。契約は果たす。そろそろ、自分の部屋に戻れ。お前の存在は、俺達だけの秘密だからな。」

「お兄様。ここの所、あちこちにお出かけですけれど、お勉強は大事ですか?留年してしまっては、ミレイさんに迷惑がかかりますよ?」
 車いすに乗り、アッシュブロンドの髪を長く伸ばした小柄な少女。
 ルルーシュの妹である、ナナリーが心配そうに尋ねる。
「大丈夫だよ。お世話になっていることぐらいは、十分に弁えているから。ナナリーを心配させるようなことはしない。大丈夫だ。」
 ナナリーは安心したように、微笑む。
 だが、その瞳は閉ざされていた。
 ある事情から、歩くこともできず、目は光を失った妹のナナリーを、ルルーシュはこれ以上なく大切に思っている。
 ゼロとしての行動の理由に、大きく関係するほどに。

『条件は、クリアされた。幾分不確定要素はあるが、さほど問題ではない。待っていろ、コーネリア。そして、ブリタニア皇帝、シャルル・ジ・ブリタニア!!』
 ナナリーが寝た後、テラスに出たルルーシュは煮えたぎる怒りを心の中で、竜のように、暴れ狂わせていた。
 ルルーシュが、ブリタニアを激しく憎悪する理由。
 それは、出自にあった。
 ルルーシュの真の名は、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア。
 ランペルージは仮の性で、ブリタニアの皇族の一人であった。
 だが、母である、マリアンヌ皇妃がテロで殺害され、皇位継承権を剥奪され、日本に送られて、運命が変わった。
 それが、ルルーシュがブリタニアを激しく憎悪する理由であった。
 ブリタニアを地に落とし、ナナリーが安心して暮らすことのできる世界を作る。
 それが、ルルーシュがゼロとして、行動する理由であった。

後書き
一転して、今度はエリア11。
日本が舞台です。
黒の騎士団がデビューしただけにとどまらず、密かに日本を取り戻すことを目指しているキョウト六家。
しかし、それには確固とした戦略構想が必要です。
桐原公と神楽那なら、それも立案できたでしょうが、他の面々は怪しいですね。
それを感じてか、神楽那は密かにゼロ。
即ちルルーシュとコンタクトを取り、ルルーシュもメリットがあると感じて応じ、策とナイトメアの調達を約束。
桐原公の保証もあり、神楽那の信頼も得て、いろいろ黒の騎士団も楽になりそうですね。
スザクが発端となって起きた変化と言う波紋は、世界という水面にどこまで広がるでしょうか?
さしあたっては、コーネリアを何とかしないといけませんがね。


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