cogito,ergo sum

アクセスカウンタ

zoom RSS 機動戦士Zガンダム〜ネオ・ジオン戦役〜 第31話  サイド4の激闘(前編)

<<   作成日時 : 2012/11/30 23:57   >>

ナイス ブログ気持玉 5 / トラックバック 0 / コメント 0

「サイド4より、暗号電が入りました。」
「解読しろ。」
「はっ。…!サイド4より、ハマーンが指揮する艦隊が出撃。旗艦サダラーンを確認。」
 クワトロ、カミーユが報告も居あわせたブリッジに、緊張が走る。
「厄介極まるサイド4を、潰しにかかったか…。」
 キャラ率いる攻略部隊に大打撃を与え、新たな攻略部隊をほぼ全滅させたサイド4駐留部隊は、アーガマに並ぶ、ハマーンの頭痛の種だった。
「思い切ったことをしますね。留守を任せられる人材が、見つかったんですかね?」
 ネオジオンの最大の頭痛の種が、兵の練度と指揮艦クラスの人材不足である事は、カミーユも承知していた。
 それでも尚、ハマーンが自ら出撃したという事は、人材が見つかったと見るのがしぜんだろうと、ブライトは判断した。
「アーガマの改修並びに補修、リア・ファルの整備も、完了した。アーク・ロイヤルも、いつでも出撃できる。各艦に伝達。30分後、本部隊は出発する。目的地はサイド4だ。」
「はっ。各艦に告ぐ。これより、本部隊は30分後に、サイド4に向けて出発する。準備をするように。繰り返す。」
 ブライトの命令を、トーレスが他の艦に伝える。 
『いよいよ動くか…。ハマーン。』
 これまでにない、最強の敵との戦いを前に、ブライトの精神に緊張が走る。

「作業進捗率は70%か。順調だな。敵艦隊の位置は?」
 サイド4では、ウラキが迎撃準備の指揮を執っていた。
 スパイを潜入させると同時に、隕石に偽装した監視カメラを、各所に配置していた。
 ミノフスキー粒子の散布は、基本的には戦闘宙域で行うので、そこに向かうまでは、余程の事がない限りは、行われない。
 これに、偵察用MS部隊を組み合わせて、コウはハマーン率いる艦隊の位置を正確に掴んでいた。
「よし。十分に間に合うな。万全の態勢で迎撃できる。」
 報告に目を通したウラキは、満足そうに頷く。
「ハマーンとしちゃ、このサイド4をとっとと落としたいところだろうが、そうは問屋が卸さねえってな。」
 担当する宙域の作業の進捗の報告をしに来たモンシアが、ネオジオン艦隊の位置を見て、言う。
「あの時には、高見の見物をしていやがったが、今度は泣きっ面をかかせてやるとしましょうや。隊長殿。」
「勿論。」
 話しかけてきたベイトに、コウが笑顔で応える。

「マニュアルは、読んだ。良い機体だな。あれならば、私も存分に戦える。尤も、総指揮官である私が、いきなり出撃するわけにはいかん。出るのは、最後の仕上げか。最悪の展開か。どちらかだ。願わくば、前者でありたいものだ。」
「兵の士気は、高いのでその点は問題ないと存じます。」
「そうか。」
『だが、練度をそれで補えるか…。』
 アマーリエと、サダラーンのブリッジに向かいながら、ハマーンは最大の懸案事項である、兵の練度について考えていた。
 激戦の末に、攻略部隊を退け続けてきたサイド4駐留部隊のMSパイロットの熟練度は明らかにこちらを上回る。
 ハマーンは艦隊を編成するに当たり、サイド3の守備を天秤の反対に掛けて、熟慮したが、理想の部隊を編成したとは言えない。
 しかし、今の編成が望みうる最高の部隊である。
 だが、作戦を立案しても、うまく部隊が動くか、心許なかった。
『おそらくは、アーガマもこちらに向かっていよう。サイド7から駆けつけてくる以上、時間が掛るとはいえ、下手をすれば挟撃される。初手から、全力で攻めに掛り敵を包囲して、私が出て決着をつけるしかあるまい。』
 単純極まるが、最短時間で勝利することが可能で、且つシンプルな作戦はそれ以外に無かった。

「いいんですか?この程度で。敵がNT専用機を投入してくる可能性を考えると、もっといろいろ考えた方が…。」
「これくらいでいいんだよ。第一、あまりごてごてし過ぎると、機体が重くなって機動性や運動性能が落ちちまう。その方が、問題だぜ。」
 ベイトが、ファンネル対策として改造させたビームバズーカを見て、満足そうな表情になるが、整備兵は逆にこの程度で大丈夫かと、懸念を示す。
 ベイトはそれに対して、機体に装備を増設しない理由を説明した。
「ちょいと卑怯だが、ハマーン以外に出てきたら、俺達3人で相手をするしかねえしな。」
「出来れば、一対一が好みだが、仕方ない。」
 モンシアは自分のMSパイロットとしての技量に自信を持っているし、事実優れたパイロットだが、決して無謀な性格ではない。
 一年戦争を戦い抜いた経験から、NT専用機の恐ろしさは骨身にしみて知っている。
 それ故に、自分たち3人で相手をするしかないという結論に至り、その為の対策をベイト、アデルと話し合い、結果、ビームバズーカにある物を増設していた。

 その頃、ウラキは、新たに改修されたフルバーニアンのコックピットで増設された兵装の最終調整をしていた。
 その横には、既に妊娠8カ月に差し掛かろうとしているコウの妻、ニナ・パープルトン・ウラキ。
 嘗て、アナハイムでMS開発の第一線に立ち、新たなフルバーニアンを開発した天才技術者が、コンソールに映し出された各種データに真剣に目を通す。
 やがて、調整が終了し、コックピットから出てきたコウの顔を見ると、笑顔になる。
「さすが、私の旦那様ね。想定以上だわ。これなら、この機体の性能を十二分に引き出せる。」
「ニナにそう言ってもらえると、嬉しいね。乗りこなして見せるさ。ありがとう。体の具合は大丈夫。君も、産まれてくる子供も、俺にとっては、掛け替えのない大切な宝物だ。どちらも、失うわけにはいかないんだよ。」
 心配そうな表情のコウを見ると、ニナは優しく微笑んで、キスをする。
「私は、あなたの妻よ。サイド4駐留部隊MS部隊隊長として、ネオジオンの攻撃を跳ね除け、部隊を全滅させ、百戦錬磨のMSパイロットであるあなたのね。あなたが留守の間、自分の健康管理もお腹の赤ちゃんも守れないようじゃ、あなたの妻なんて務まらないわ。それに、今のフルバーニアンも私が設計したMS。この機体が私たちの心を繋いでくれる。1人じゃないわ。大丈夫。」
「そうだね。本当にそうだ。少し、心配性になりすぎたかな。」
「ううん。嬉しいもの。あなたが、私と赤ちゃんの事を心から愛して心配してくれてるって解ったから。」
 恥ずかしそうに頬を描くコウを見て、ニナが嬉しそうに微笑む。
「じゃあ、行くわね。この機体も完璧になったから。」
「ああ。このサイド4。ハマーンには指一本触れさせやしない。向こうも余裕がなくなって来たみたいだ。アーガマも、全速でこっちに向かってきてくれている。しかも、あの、アムロ・レイもいる。大丈夫だよ。」
「ええ。」
 そして、キスをした後、ニナはコロニーの居住ブロックに帰っていく。

「いいですね!隊長さんは!」
「ったく、見せつけやがってよお!」
 ベイトとモンシアが不貞腐れていたが、コウは理由が解らなかった。
「モテない独身男たちの前で、イチャつくもんじゃないですよ。隊長殿。」
 アデルの一言で、周囲の事を忘れていたことを、ウラキは認識し、周囲を見渡すと、微笑ましく見ている者、ニヤニヤしている者より多く、モテなくて独身であることに悔し涙を流す整備兵やパイロットがいることに気付いた。
「隊長、カミさんとイチャつくのはいいですけど、それはハマーンの艦隊を叩きのめしてからにしましょうよ。」
「そういう事。そうじゃないと、あたしだって旦那とイチャつきたくなるからね。」
 キースとモーラに言われて、ウラキは赤面した。
「総員、速やかに乗艦開始。MS及び補修パーツ等の、各種物資の搬入開始。急いでな。」
 大きく咳払いをして、コウは出撃準備を命じる。
「工兵部隊帰投。仕掛けは終了しました。」
「第1偵察小隊、発進します。」
 偵察小隊のパイロット4人が、コウの元に発進の報告に来る。
「頼んだぞ。但し、決して無理はしないように。」
「了解しました。これより、偵察任務に向かいます。」
 それぞれ、偵察用MSに搭乗する。
 RGM−87R ジム・リカナザンス
 胸部等のヴァイタルパートを除き、装甲を薄くすることによって機体を軽量化し、各種センサー、通信機器、スラスターの推進力を強化。
 各種偵察機器を装備し、10分しか使用できないが、緊急離脱用のスラスターをオプションとして装備している。
 武装はハイパーバズーカを除いて、ジム・シュヴァリエと同様である。
「第1偵察小隊、発進。」
 偵察小隊が、発進していく。
 それを見送った後、コウは物資の搬入状況について、報告を受ける。

「敵MSは?」
「確認されておりません。ミノフスキー粒子の確認も、認められていません。」
 サダラーンの指揮艦席で、ハマーンは現在の状況について考えていた。
 あまりに、静かすぎる。
『まだ、気づいていないのか?それとも、罠か?もしくは、防御を固めた上で、待ち構えている可能性も否定できん。』
 今まで、散々、煮え湯を飲ませてきた相手にしては、動きが認められないので、ハマーンは相手がどう出るかが、見えなかった。
『今までの戦闘の記録を見ると、敵のMS隊隊長は、猛将タイプ。普通なら、そろそろ仕掛けてくるはずだが…。』
 こうも静かだと、こちらから仕掛けて主導権を握りたくなるが、ハマーンの頭の中で警告音が鳴る。
 そんな単純な手で勝てるのなら、サイド4はとうの昔に落ちている。
 ハマーンの思考の一部が、そう訴えかけてくるのである。
「第二戦闘配置。MS隊に出撃の用意をさせろ。私と、アマーリエのMSもだ。」
「はっ!総員第二戦闘配置。繰り返す、総員第二戦闘配置。」

 その頃、ダミー隕石に隠れて、動向をうかがっていた偵察小隊は、ネオジオン艦隊の通信の傍受に成功していた。
「隊長。向こうも準備に入ったみたいですね。」
「だな。暗号通信を送信後、直ちに帰投する。気づかれるなよ。」
 ダミー隕石に巧妙に隠れながら、偵察部隊は十分に距離を取ってから、全速で帰投する。

「暗号通信入電。間もなく、第一迎撃ラインに、差し掛かります。第1偵察小隊から連絡があった際の進軍速度から計算すると、差し掛かるのは、10分後と推定されます。」
「全軍の状況は?」
 カーネルシナプスの艦橋で、カニンガムは全軍の状況を確認する。
「全艦発信準備完了。MS隊もいつでも出撃できます。」
「全艦出撃。最終迎撃ラインで、敵を迎え撃つ。」
 カーネルシナプスを旗艦とし、改マゼラン級戦艦、アレキサンドリア級重巡洋艦、改サラミス級巡洋艦からなる、総数13隻のサイド4駐留部隊は出撃する。

『兵が焦れている。無理もない。この状況が続いてはな…。』
 不気味なまでの静けさに、ブリッジの兵たちは焦れはじめていた。
 考えた結果、サイド4駐留部隊は、ネオジオン艦隊がサイド4に向かって侵攻しているというと判断したハマーンは、警戒を厳にするよう命じていた。
 が、今は、それが裏目に出て、何もないことが、兵たちにプレッシャーを与えていた。
 そして、その時は来た。

「ミサイル接近!多数!!」
「何!?」
 本物の隕石に紛れ込んでいたダミー隕石に隠していたミサイルランチャーから、多数のミサイルが、発射された。
「弾幕を張れ!接近を阻止しつつ。全速前進!!突っ切れ!!」
『既に、罠にはまっていたのか…。』
 ハマーンは、ようやく、この不気味な静けさの理由を、理解した。
 サイド4駐留部隊は、周辺の隕石帯にダミー隕石に偽装した罠を仕掛けて、こちらの戦力を削ってから、全戦力を叩きつける。
 それが策であった。
 何とか、致命的な損傷は避けられたが、各部に被弾し、戦闘能力に少なからず影響が出た艦は少なくなかった。
「小細工を…。」
「ビーム多数接近。」
「撹乱幕発射!被弾する前に、無効化しろ!!」
 各艦から、ビーム撹乱幕が発射されるが、全てを無効化することはできずに、被弾し撃沈された艦が出た。
「ルドラ、ミンドラ撃沈…。その他2隻の損害も軽くありません。」
「構うな、今は、この罠から脱出することだけを考えろ。」
 正論であったが、サダラーン自体、ミサイルやビームに対応するので精一杯で、他の艦に救いの手を差し伸べるだけの余裕はなかったのである。」

「敵、間もなく、第3防衛ラインを、突破する模様。」
 監視カメラからの映像から、ハマーン率いるネオジオン艦隊が、まもなく防衛ラインを突破することを聞かされたカニンガムは、黙ってうなずき命令を下す。
「全艦第一戦闘配置。MS隊出撃。ミノフスキー粒子戦闘濃度に散布。対艦、及び360度対空戦用意。」
「はっ!」

「全艦第一戦闘配置。MS隊出撃。ミノフスキー粒子戦闘濃度に散布。対艦、及び360度対空戦用意。」
 オペレーターを通じてのカニンガムの命令は、コックピットで待機しているコウ達サイド4駐留部隊のMSパイロットにも聞こえる。
 やがて、カーネルシナプスのMSカタパルトの扉が開き、中央カタパルトにジェンシャンの巨体が固定される
 他のカタパルトにも、テーラディアス隊と、ジム・アルシェの面影が見えるMSらが、カタパルトに固定される
「コウ・ウラキ、ガンダム フル・バーニアン ジェンシャン。行きます!」
 カーネルシナプスの中央カタパルトから、巨大なシルエットのジェンシャンが出撃する。
「チャック・キース。サジテール。行きます。」
 RGM−87S サジテール。
 ジム・アルシェのカスタムタイプで、キースの専用機として開発された。
 ビームスマートガンを主兵装に、ビームキャノンを背部に2門。
 両腕部に、連装ビームガンを内蔵。
 肩部にミサイルポッド。腰部に大型の連装ミサイルランチャーを装備。
 白兵戦用にビームサーベルを2基。
 頭部にバルカン砲を4門搭載し、ジェネレーター出力、スラスター推進力も向上させて、火力、機動力、運動性能の全てを向上させた高性能機である。
 続いて、ベイト率いるテーラディアス隊が出撃し、他の艦からもMS部隊が出撃していく。

「全艦、前進。敵艦隊が射程距離に入ったら、即時に、MS隊の援護射撃に入る。」
 艦隊も速度を上げて、進撃する。
 サイド4の激闘の幕が、今、開かれた。

後書き
遂に、ハマーンの艦隊と、ウラキ達サイド4駐留部隊との、決戦の幕が上がりました。
罠の元ネタは、ダブルZで、ジュドーがダミー隕石にいろいろ隠している事や、大東亜戦争時の日本軍の米軍との戦いの待ち伏せ等です。
兵の練度があるとはいえ、ハマーンが出張ってきたら、さすがに無傷とはいきません。
司令官たる者、常に味方の損害を、最小限に抑えることを考える、義務があります。
それなら、味方に犠牲が出ない罠を仕掛ければいい。
宇宙には、あちこちに隕石があります。
ダミー隕石は、かなり精巧でしたから、これは使えると考え、仕込みを考えた次第です。
次は、いよいよ、MS戦。
コウとハマーンの直接対決は、あるでしょうか?











戦術と指揮―命令の与え方・集団の動かし方 (PHP文庫)
PHP研究所
松村 劭

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 戦術と指揮―命令の与え方・集団の動かし方 (PHP文庫) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル



ブログ村のランキングに参加しております。
来てくださった方は、よろしければクリックをお願いいたします。
励みになりますので。

にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ

相互リンクはいつでも大歓迎です。
リンクをしてくださる方は、コメント欄にお書き下さい。
リンクの設定をした後に、お知らせします。

目次へ戻る。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 5
ナイス ナイス
なるほど(納得、参考になった、ヘー)
面白い
ガッツ(がんばれ!)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
ブログランキング・にほんブログ村へ
機動戦士Zガンダム〜ネオ・ジオン戦役〜 第31話  サイド4の激闘(前編) cogito,ergo sum/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる