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zoom RSS ヨルムンガンド二次創作 第06話  パイレーツ・ストリート Phase1

<<   作成日時 : 2012/11/28 23:55   >>

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「トージョ。状況は?」
「エネミー1、5時の方向より、毎時60kmで接近。エネミー2、2時方向より、毎時120kmで接近。さらにエネミー3、6時方向より、毎時80kmで接近。」
 ココの貨物コンテナ船の艦橋で、レーダーを睨みながら、トージョが状況を報告し、皆に伝わる。
「いい。1人残らず、海の藻屑にするよ。狙う相手を間違えたことを、地獄で後悔させてやる。ソフィはエネミー2をお願い。機種はMi−8MTV。12.7mmガンポッドとS−5 57mmロケット弾を装備してる。できる限り、早く仕留めて。」
「では、仕留めます。それにしても、何で海賊が、こんなの持っているのやら…。」
 ぼやきながら、XM109の引き金を引いて、エンジンとボディに25mm弾を撃ち込み、海の藻屑に変える。

「ヘリがやられた!奴ら、とんでもねえもん、持っていやがる!」
 後方のボートに乗っていた海賊の一人が、驚愕しながら毒づく。
「おい、こっちにも来るぞ!」
 他の海賊が、仲間に警告する。
「あばよ。」
 レームが構えた、対戦車ミサイルジャベリンの発射機から、ミサイルが発射されボートを粉微塵にする。
「くそ!残りは俺たちだけか!!」
 海賊のリーダーが、どうするか考えていると、ボートに何かが落ちてくる。
 軍用プラスチック爆弾の束だった。
 線の先には、ワイリがおり、スイッチを押すと爆発して、海賊は全滅する。

「しっかし、容赦ねえよな。お嬢。」
 アールが、半ば呆れながらココを見る。
「フフーフ。この私の船を、狙ったのが悪い。というか、真面目に働けば、こんな目には合わない。つまり、私は悪くない。」
 ココは胸を張って言う。
「でも、あんな装備、どこで手に入れたんです?重武装のMi−8MTVなんて、海賊が手に入れられる代物じゃないでしょう?」
 XM109を担ぎながら、ソフィが戻ってくる。
「お疲れ様〜。凄いスナイプ、ひょっとして、事前に狙いつけてた?」
「トージョさんから連絡があって、少ししてですね。というか、ライフル持ったままですから、危ないですよ。」
 抱きついて、頬ずりしてくるココに、ソフィは苦笑する。
「でも、真面目な話。ガンポッドにロケットランチャーまで装備したのって、完全に軍用だぜ。どっかの軍隊からの横流しってのも、説得力に欠けるんじゃねえのか?お嬢。」
 Mi−8MTVは、Mi−17M/Vという名で、海外に輸出されている、ロシア製汎用ヘリコプターで、民間や警察でも使用されているが、ガンポッドやロケットランチャーは装備されていない。
 ルツの疑問は、もっともだった。
「ま、確かにね。私は民間機に、どっかの武器商人から武装を買い付けて、重装備のヘリにした。そう、読んでる。私たちの他にも、武器商人はいるし、中にはクロシキンみたいに、現役の軍用ヘリを、丸ごと2桁単位で調達出来るやつもいる。」
「けど、資金はどうするんです?いくら海賊でもそこまでの資金を調達できるとは、思えませんが…。」
 バルメの言葉で、皆は考え込む。

「身代金を投資資金にするって手、ありなんじゃね?」
 レームが、咥え煙草で歩いてくる。
「なるほどねえ。最近、ソマリアの海賊が投資に手を出して、そこそこ儲けて、豪邸建ててるって話はよく聞くけど、ここまで重装備可能な成功を収めた奴まで、出てきたのか。」
「それを嗅ぎ付けた武器商人が、営業に来た。そんなところだな。その線で、調べてみる。」
 話を聞いて、トージョが早速情報収集に掛る。
「僕も、パイプのある情報屋を、当たってみます。」
 ソフィも、早速、行動を起こす。
「それにしても、間が悪いというか、何というか。」
 マオがぼやくのも無理はなかった。
 今回の商売相手は、ソマリアの海賊退治を請け負っている、PMC達である。

「どうすんだ?ココ。向こうは小回りが利く装備だが、こっちは鈍亀の貨物コンテナ船。まわりをちょろちょろ動き回られると、面倒だぞ。」
 レームが、これからの行動指針をココに尋ねる。
「フフーフ。それに関しては、すでに手を打ってあるよ。別に、これで行くわけじゃないしね。」
「別の船で行くんですか?ココ。」
「そっ。無論、今回の取引に必要な分の商品は搭載できるし、この船より、足も、ずっと速い。」
 バルメの質問に答えた時、ココの無線機に、連絡が来る。
「そっ、来たんだ。うん。積み荷の載せ替えと、給油の準備お願い。」
 無線機のスイッチを切ると、ココが振り返る。
「それでは、諸君。乗り換えて、商品を届けるよ。」
 驚かせてやろうという気のココが、皆に乗り換えるよう、言う。
「なんですかね?」
「さあな。」
 ソフィはウゴに尋ねるが、ウゴが知るわけもなかった。

「そうですか。結構な成功を収めている奴は、いますか。」
「ああ。でも、複数いるし、もう、足を洗ったやつもいれば、そう見せかけてる奴も、いるみたいだ。もう少し、時間をくれ。必ず、見つけ出す。」
 ソフィは、知り合いの情報屋と、コンタクトを取っていた。
「報酬は通常の2倍。いえ、3倍支払います。できるだけ早く。」
「解った。任しとけ。」
『やれやれ。』
 通信ソフトを終了させると、ソフィは溜息をつく。
「とにかく、ココさん達に話すか。」
 今、乗っているのは、HCLIのグループ企業の造船会社が売り出している、高速輸送船である。
 但し、ココがビジネスに使うために、通常の物より大きく、通常の輸送船に搭載されている物より、高出力のガスタービンを搭載し、ウォータージェット推進方式を、採用。燃料のスペースも増やして航続距離はさほど低下していない。
 搭載量も、今回の取引の商品を搭載しても、十分すぎるほど余裕がある。
 さらに、見た目はビジネス用だが、軍艦構造で、船体は高い耐弾性の複合素材で、できている。
 窓も、無論防弾仕様で、高性能レーダー等、電子装備も優秀である。

「成程。レームの考えが大当たりな上に、数も結構いるから特定は、まだ時間がかかるか。」
 皆に集合してもらったソフィは、調査の途中経過を話した。
「トージョ。そっちは?」
「こっちも、時間がかかる。投資をしてる海賊が、思ったより多い。割り出すのは、骨だ。」
「ふーん。思ったより、大変だね。」
 ココが、しばらく考え込む。
「同時並行で、帰りの事も、考える必要がありますね。この大きさですから、海賊も襲う気になれないでしょうが、帰りは、相手も我々の事を割り出す可能性は、少なくないですよ。それでなくても、同業に声をかけるという可能性も、十分以上にあります。」
 ソフィの言葉に、皆が考え込む。
「ま、とにかく、相手を割り出すことを考えようよ。こっちも社の情報網で当たってみる。今は、クライアントに商品を届けることを最優先しよう。」
「ですね。」
「だな。」
 ソフィとレームが、ココの意見に賛成する。
「それじゃ、みんな解散。」

 部屋に戻ったソフィは、デスクの上の地図を睨みながら、今後の事を考えていた。
『基本的に、今までの海賊の装備は、漁船に使用されるような小型船。航続距離は、さほどない。けど、今日の事を考えると、違法改造を各所にし、速力、航続距離双方で優れた船が出てくる可能性が出てくる。最悪のパターンは、重武装の戦闘ヘリが、複数出てきた場合か…。スティンガーはあるけど、他の船と連携されたら、最悪の状況もあり得る…。』
 デスクを人差し指で叩きながら、最悪の状況になった場合の対処法を考える。
「気分を入れ替えてくるか…。」
 地図を持って、船内のプレイルームに向かった。

「どうした?地図なんか持ってきて。」
「これからの対策を、考えていたんですよ。で、ちょっと、気分を入れ替えようと思って。」
 アールに答えて、棚から、ウィスキーの瓶を取り出し、氷とミネラルウォーターを持ってきて、水割りを作る。
「帰り道の事か?」
 アールが、水割りを一口飲んで、地図に目を落とすソフィの所に来て、地図を覗きこむ。
「いずれにせよ。何か対策を考えないと…。今日の相手が、束ねられた勢力の一部だとしたら、復讐に来る確率は、かなり高いですよ。向こうだって、確実に獲物を獲る為に、それなりの情報網は、持っているはずですからね。そうでなくても、面倒な相手がいると解れば、徒党を組んで、始末しようとする筈です。とにかく情報が欲しい…。焦っては駄目だと解っていても、それでも、平静ではいられないんです。で、まあ、ちょっと気分転換をと思ったんですけど。」
「心配せずにはいられないか。真面目だな。お前は。」
 アールが苦笑いする。
「そうそう。少し、肩の力抜けって。なるようにしか、ならねえよ。こういう時は。」
 ルツが笑いながら、ソフィの肩を叩く。

「で、なにか、いい知恵は思いついたか?ソフィ。」
 白ワインを注がれたグラスを2つ持ってきて、レームが問う。
「情報がないと、細部は詰められませんが…。」
 ソフィは、グラスを一息であけて、煙草に火をつける。
「結局は、本拠地を見つけて潰すか、リスクが少ないルートを見つけるか、強行突破するか。この3つが、選択肢になると思いますが、相手の装備が解らないと、的確な選択はできませんよ。」
 煙を吐いて、グラスの中の水割りを、一気に飲み干す。
「こういう時は、焦らずに待つしかないよ。焦っても、いい考えは出ないさ。」
 諭すような口調で言いながら、マオは水割りを作って、差し出す。
「解ってはいるんですけどね。今の我々は、ジョーズがうようよしている海のど真ん中に、いるようなものです。どう対応するかを考え、それに備える必要があります。そう簡単に、情報が集まらないと解っていても、焦りますね。似たようなことは、今まで幾度も経験してるのに、こんな事、初めてですよ。」
 溜息をついて、水割りを飲む干す。
「トージョも本社も調べている。加えて、ソフィも、情報屋に、大分、金、積んでるんだろ?何とかなるさ。今は、客に商品を届けるまで、気を抜かないことに集中しようぜ。」
 ワイリが、ソフィの肩を叩く。
「そうですね。それが、最優先事項ですしね。」
 ワイリの言う事に頷いて、ソフィは軽く体を伸ばす。
「ありがとうございます。来てよかったです。」
「礼を言われるような、ことはしてないさ。君は優秀な兵士だが、それ故かな。何でも自分でやろうという傾向が見えるから、ちょっと、気を付けてほしかっただけさ。」
 そう言いながら、濃いめに作った水割りを、ソフィに差し出す。
「ま、ここには、俺みたいな、超絶凄腕傭兵もいる。それに、どんなに腕が立とうと、お前は俺たちから見れば、まだ、ガキだ。ガキは大人を頼りにするもんだぜ。ソフィ。」
 レームが小さく笑う

「ソフィ。そろそろ、お風呂入って寝るから、こっち来て。」
 ココが、プレイルームに顔を出す。
「解りました。じゃあ、今日はこの辺で。」
 最初は一緒に入浴することに抵抗があったソフィだが、最近は仕事と割り切って、すっかり慣れた。
「おう。精々、いい思いしてこい。」
 アールがにやにやしながら言うと、ソフィは苦笑する。

ココの部屋に向かっている時、不意に抱き着いてくる。
「なんか、最近、柔らかくなってきたかな。いい傾向だよ。それと、情報収集にかかった経費は申告するんだよ。ソフィの事だから、相当払ってるはずだからね。」
『お見通しか。さすが、僕たちのボスという所かな…。』
「解りました。きちんと申告します。領収書は無いですけどね。
「うん。素直でよろしい。さ、お風呂、お風呂。私、ソフィの髪洗うの、好きなんだ。凄く綺麗で、サラサラしてるんだもん。肌も雪みたいに白くて、綺麗。羨ましくなっちゃう。」
 機嫌がよくなったココは、自分の部屋に行きながら、ソフィに抱き着いたままだった。
 抱き着かれたままになっているソフィは、今までの自分とはどこか違う自分に、やや戸惑いながらも、決して悪い気分にはなっていなかった。

後書き
いつかは書いてみたかった、海賊との戦いです。
本編では、ココが南に会いに行く時に蹴散らして終わりでしたけど、それをスタートにして、本格的に海賊とドンパチする話にすることにしました。
ちなみにソマリアでは、海賊稼業で稼いだ資金を元手に、本当に投資をしている海賊がいるらしいです。
話を聞いた時、目が点になりましたね。
本当に、何とかなりませんかね?
せめて、商船護衛の為に派遣する低コストの護衛艦を保有してもいいですし、もしくは海保に軍艦構造で機銃掃射なんてびくともしない防御力を持たせて、57mm砲に、遠隔操作の20mm機銃か対戦車ミサイル等の重装備の巡視船を配備してくれませんかね?
日本の生命線であるシーレーンを守るのは、極めて重要な事なのに…。








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