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zoom RSS ヨルムンガンド二次創作 第05話 バレット・オーケストラ Phase2

<<   作成日時 : 2012/11/21 23:56   >>

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「ねえ、いつでも命が狙われてるのが、解ってる武器商人が、何でこんな所で、のんびり買い物してる訳?教えてよ?」
 ココの手首を握って、チナツが問う。
「殺し屋ふぜいが、気やすく触るな!!お前に答えることなど、何もない!!失せろ!!オーケストラ!!」
 殺し屋から恨みを買うのがウェポンディーラーである事は、ココとて百も承知の上である。
 それが理由かは、解らないが、ココは殺し屋を嫌う傾向が強い。
 自分達の命を狙う殺し屋に対しては、慈悲の欠片も与えない。

「ココ!」
 店から出てきたバルメが銃を抜こうとするが、既に師匠がチナツ達から離れたテーブルの一角に座っており、ベレッタ M8000“クーガー”から、45口径弾が発射されて、バルメの動きをけん制する。
 
 その時、オッドアイがM11を師匠に向けて撃ちまくると、師匠はテーブルを倒して盾代わりにする。
 32発の.380ACP弾が、テーブルを穴だらけにする。
「やってくれるじゃねえか!テメェ!!」
 テーブルから体を最低限出して、反撃しようとするが、もう一丁のM11が既に狙いをつけていた。
 この時、最初に撃ったM11には予備マガジンが装填されている。
 もう一丁を出す時に、マガジンを取りだし装着。
 薬室に装填していた。
 師匠が他のテーブルに移動すると先程のテーブルに、穴が32個増える。
 少しでも遅れていたら、蜂の巣になっていた事は、明白だった。
 鳴り響く銃声に驚き、ショッピングモールから、一般市民が逃げ出す。

 バルメは、オッドアイの出現に驚いていたチナツの隙をついて、側面に回りココから引き離して、花壇の影に隠れていた。
「2人とも、無事なようですね。」
 合流したオッドアイがほっとして、リュックを開ける。
 オッドアイは、G36のカスタムを取り出し、バルメはビゾンを取りだす。
「ココ。頭を下げてくださいね。危ないですから。」
 折り畳んでいたストックを戻して、すぐに師匠達を狙う。
「あっちのテンガロンは、こっちが引き受けます。あなたは、あの男を。」
「解りました…。」
 バルメと打ち合わせをして、互いの敵に銃を向ける。

「くそっ!改造した、アサルトライフルかよ。」
 師匠は、AKS−47を。
 チナツは、ビゾンと同じイジェマッシ製のサブマシンガン、ケダールを取り出し、応戦を始める。

 しばらくすると、パトカー数台が到着する。
『まずいな…。こっちに目を向けさせないと、警官の方は全滅か…。狙撃班は近すぎるし…、何をやっているのやら…。』
 警察の防弾シールドでは、アサルトライフルの弾は防げない。
 狙撃の有効範囲にしても、必ずしも相手をアウトレンジ出来るとは限らない。
 そこに関する認識が、足りていない。
 オッドアイは、そう感じた。
 犠牲者を出す前に、相手を刺激し出来る限り、弾を浪費させる必要がある。
 G36を撃ちながら、グロック29を取りだし、隙になっている足元を狙い、弾をふくらはぎにかすめさせることに成功する。

「やりやがったな。テメェ!!」
 自制がきかない興奮状態になり、さらにAKを撃ちまくる。
『狙い通り…。』
 G36のマガジンは横に連結できるので、素早く交換しながら警察に目がいかないようにした事を確認する。

『また、随分、手の込んだことするもんだぜ…。何だかんだいっても、根はお人よしじゃねえのか?』
 オッドアイからのメールを見て、駆けつけたレームは、オッドアイの意図をすぐに見抜いて、微かに笑う。
 あくまで、オーケストラと自分達の戦いなので、警察を巻きこんで被害者を出したくない。
『ま、あいつはあくまで、警察じゃ歯が立たないと踏んだと判断したんだろうな。あいつは気づいてないか。』
 そう考えながら、ヘッドセットをつける。

「アルシロップショッピングモールで、殺し屋オーケストラの襲撃を受けている。拳銃じゃなくて、いつものあれ持ってきてくれ。ルツ。ワイリと鐘楼に登れ。ウゴ、アール、マオ、トウジョウも急げ。ノートと無線忘れるな。かなりイカれた連中だ。拳銃程度で終わらねえぞ。それじゃあ、状況開始。」
 Mk23にサイレンサーをつけながら、ヘッドセットをつけてレームは指示を出す。
『とりあえず、一匹仕留めるか…。』
 慎重に狙いを定めて、師匠を撃つ。

「師匠、よけて!」
 チナツが、師匠に回避を促すと、レームの一撃は見事に外れた。
「マジかよ!あのタイミングで、かわすか!?」
 必中のタイミングでの一撃が外れたことに、レームは唖然とする。
 そして、しばらくすると、警察は引き上げる。
 傍に落ちていた防弾シールドで、レームの射撃を防ぎながら、師匠とチナツはオッドアイとバルメを相手に、銃撃戦を繰り広げる。
「トカレフなら、防ぎきるみたいですね。あの盾。」
「相手は、理性のない獣みたいな連中ですから、近接戦闘が可能な状況を作るのは、難しいですよ…。1人は仕留めないと…。」

「いいじゃねえか!あのガキ。武器商人の護衛にしちゃあ、いい演奏だ。堪らねえぜ!!」
「師匠。45口径は重いよ。そろそろキツイ。」
 サイレンサーで押さえられた銃声が聞こえるごとに、盾を直撃する45口径弾の威力に、チナツは、耐えかね始めていた。
「おい!!そこのジジィ!!シケた音、鳴らしてんじゃねえよ!!折角、いい曲になってんだ!失せろ!テメェ!!」
 こめかみに幾つもの血管を浮き上がらせて、師匠が怒鳴る。

「はあ?何がいい曲だ?とうとう、頭がイカれたか。銃撃戦なんてもんはな。一般市民の皆さま方には、迷惑以外の何物でもねえんだよ。それを行う俺達は、精々、周囲に申し訳なさそうにするのが、道理ってもんだ。頭に、叩き込んでろよ。原始人のなりそこない。」
「おもしれえ事、抜かしやがるな。」
 しばらくすると、マガジンを取り替えながら、物騒な笑いを浮かべる。

「仕切り直して、決着をつける。オッドアイ。ココを連れて逃げ回れ。ルートの指示と援護は任せろ。とにかく、只管逃げ回るんだ。」
 花壇の影に移動したレームは、ヘッドセットを渡して、今後の行動を指示する。
「了解…。」
 頷きながら、リュックの中から、大きめのウェストポーチを取り出して、予備のマガジンを入れる。
「ココさん。僕の手を握ってください…。絶対に離さないように…。」
「解った。お願い。」
「それでは、行きます…。」
 バルメの援護射撃を受けて、オッドアイ達は走りだす。

「未完成のままだな。今回の曲は。そろそろ引退して、ひっそり暮らせば長生きできるんじゃねえのか?」
 サイレンサー付きのMk23の銃声が響く中、レームは師匠を挑発する。
「うるせえ!!ボケ!そりゃ、テメェの方だ!!」
 ますます怒り狂って、撃ちまくる内に弾が切れる。
「AKの弾丸。もう、ないよ。」
「それに、あの武器商人の小娘とガキもいなくなっちまった。ここにいても意味ねえな。行くぞ。」
 ライフルをレームに投げつけて、オーケストラはショッピングモールを去った。

「あの男、相当にヤバいですけど…。」
「テンガロンの方が、もっとヤバイな。」
 見るも無残な光景になったショッピングモールを見て、オーケストラについて、バルメとレームは意見交換をする。
「まるで、全方位レーダーだぜ。不意打ちするのも一苦労だな。バックアップもうまい。あいつがいるから、原始人もどきはあの滅茶苦茶な戦い方ができると見ていいな。引き離さねえと、面倒だ。」
 レームは師匠とチナツを分断する策を、考え始める

「噂以上に、イカれた連中だね。オーケストラ。」
「できれば、関わりたくなかったんですけど、ほかの一般市民の方々が巻沿いを食わない内に、2人とも仕留める必要がありますね。」
 オッドアイは、早期に仕留めないと惨劇が繰り広げられる可能性が高いと考えていた。
「何か、作戦でもあるの?」
「まあ、プランはいくつか。多分、レームさんはルツさんを呼んでいるはずですから、その時に仕掛けます。もっとも…。」
 後ろから、銃撃戦を繰り広げるオーケストラと、アールたちを見ながら、小さくため息をつく。
「楽とは言えませんが…。」
 しばらくして、ウゴが運転する車は、ココ達を盾にするように並ぶ。

「よし、見つけた。オッドアイとココさん確認。」
 トージョーが、ノートパソコンで足取りを追いながら、2人を確認する。
「ナイス、トージョー。アール、タイヤを狙え!立ち往生させた隙に、二人を乗せる。」
「んなこと解ってる。でも、この調子じゃ、狙いを定めるのも、一苦労だぜ!」
 イスラエル製軽機関銃ネゲフを撃ちまくる師匠に対して、反撃しながら、アールはマオに答える。
 その時、マオはあるものを見て、顔色を変えた。
「M2です!奴ら、M2で止めを刺す気です!!」
 7.62mmNATO弾とは比べ物にならない威力の、12.7mmNATO弾を発射するM2重機関銃の前では、特注の防弾車でさえ、中の人間は無事だったとしても、ただのスクラップになるのが確実である。
『よし。』
「すいません。ココさん。」
「えっ?」
 ライフルのスリングを手早く肩に掛けて、ココを抱えて、海の近くの踊り場に飛び降りる。

「ナイスだ!マオ、エンジン狙え。」
「了解!」
 しかし、オーケストラのトラックも防弾仕様で、5.56mmNATO弾では、そう簡単にエンジンを破壊できない。
 そうしている間に、トラックは迫ってくる。
「二人とも、一旦中に。それから、全員、対ショック姿勢!!」
「「「「了解!」」」」

「演奏を締めくくれ。チナツ!」
「了解。発射!」
 ハンドルについている発射ボタンを押すと、M2重機関銃が発射される。
 すさまじい発射音と共に撃ちだされた、12.7mmNATO弾の直撃に車が耐えている間に、ウゴは車を歩道に近づけ、ポールにわざとぶつけて倒立させて、やり過ごす。
「何!?」
 これは、オーケストラも想定外だった。
 そして、射撃のダメージが蓄積した結果とドバイの暑さが合わさって、トラックのエンジンに火が付く。
「くそっ。」

 ビルの陰で態勢を立て直そうとしているオーケストラの内の師匠の足元に、オッドアイが、ライフルで軽く斉射する。
「野郎!!」
『そろそろ、終わりかな。』
 別の方向から、発射音が聞こえ、師匠の胸板を貫く。
 ルツの狙撃だった。

 ストレートプルボルトアクションの、ブレーザー R93 LSR2 タクティカルを構えたルツが、次弾の装填を済ませ、空薬莢が落ちる音が響く。
「ハートショット、ヒット。膝をついて、一瞬止まる。」
 観測手のワイリが、膝をつく師匠の姿を確認する。
「ヘッドショット、エイム。ファイア。」
 ワイリの指示通りに、スコープのレティクルの中心に映った師匠の頭を、強力な338ラプアマグナムが撃ちぬく。
「ヘッドショット、ヒット。」
 師匠が倒れて、チナツへの射線が通った刹那、オッドアイがチナツの胸部の心臓がある部分に正確な斉射を撃ちこむ。
 師匠に遅れること、10数秒後、何があったか理解できないという顔をしたチナツが倒れて、絶命する。
「終わりだ。ルツ。もう一人は、オッドアイが仕留めた。原始人もどきが倒れる僅かな隙をついてな。」
『あいつじゃ、撃てねえだろうからなあ。』
 オーケストラの死体を見て、レームはそう思いながら、ルツのいる方向を見た。

「どうにか、一般市民に被害を出すのは、防げましたね。長居は無用。撤収しましょう。車は残念ですけど、廃車ですね。」
「死ぬよりかはまし。車は買えるけど、命は買えないもんね。」
 ココの言葉に、オッドアイは小さく笑う。
 そこに、パトカーが来て、中から現地の警察官と、白人の男が出てくる。
「ココ・ヘクマティアル。現行犯逮捕だ。」
 にやにや笑いながら、男はココを逮捕しようとする。
「ちょっと、あなた。勝手にしないでください。ミスココ・ヘクマティアル。貴方を保護するように署長から命令されて、お迎えに上がりました。どうぞ、中へ、あ、あなたもどうぞ。」
 男の表情が一変する。
「てめぇ、何が保護だ!!ふざけんな!!」
「ここは、ドバイで、ドバイの警察が治安維持に当たります。そして、あなたはドバイの警察の警官ではないでしょう?そういう事だと、思いますが…。」
「うるせぇ!!ガキは、引っ込んでろ!!」
 淡々としたオッドアイの口調が気に入らなかった男は、殴りかかるが、オッドアイはその勢いを逆手に取り、海に投げ飛ばす。
「じゃあ、行きましょうか。」
 パトカーは、警察署に向かった。

「ふざけんな。こら!!あんだけ、バカスカ撃ちあいやって、何が保護だ!?」
 海から上がって、タクシーを拾って警察署に来た男は、警官に食って掛かる。
「あのですね。先に撃たれたのは、ミスヘクマティアル達なんですよ。つまり正当防衛が成り立つと、判断されます。それより、あなたの方が問題ですよ。諜報関係だかなんだか知りませんが、権限もないのに逮捕しようとするなんて、留置所に放り込まれても、文句を言える立場じゃないことを、理解してくださいね。第一、身分を証明できるものが、あるんですか?」
 警官が言い終わると、男は身分証を投げてよこす。
「ほう。CIAの。こんな所まで、ご苦労ですなあ。で、お名前は。」
「スケアクロウ。俺はそう名乗ってるし、周囲もそう呼んでる。」
 自己紹介をすると、スケアクロウは大きなくしゃみをする。
 熱いシャワーを浴びて、服を着替えても、海の冷たさは堪えていた。

「大変でしたね。オーケストラでしたか。随分、危険な連中だそうですな。撃ちあいに関しては、問題がありますが、警官に死傷者は出ていませんから、不問としましょう。ただし、滞在中は、ホテルから出ないでもらいますよ。こっちもいろいろありますから。理解していただけますね?」
「解りました。部下たちにもそう言っておきます。」
 仕事中にできたコネの一つが、ドバイの警察署にもあったので、ココは異例の待遇を受けていた。
「では、この件はそれまで。ですが、面倒なのに、目をつけられましたね。通称スケアクロウ。CIAの工作担当官。」
 署長は、ディスプレイをココの方に向ける。
「金目当てでしょうね。こういった地域でのCIAの担当官は、金欠ですから。逮捕した後、私の財産を資金にする。そういうシナリオだったと、思います。では、私は失礼します。」
 自分の考えを話して、ココは来客用のソファから立つ。
「お連れの方からは、いろいろ話を聞かせてもらいましたよ。後処理は、少し面倒ですけど、問題ないレベルだ。お父上によろしく。」
「伝えておきます。」
 ココが署長室を出ると、オッドアイが待っていた。
「終わりましたか?」
「終わったよ。帰ろうか。」

「待ちやがれ!コラァ!!」
 スケアクロウが、警官を引きずりながらココの後を追う。
「正面からお帰りとは、いい身分だなぁ!悪党!!」
 ココを殴ろうとするが、その拳を、オッドアイに止められ、逆に腕の関節を極められる。
「あなたがその気なら、いつでも、僕がお相手しますよ…。あなたみたいに、国の力をカサにきた小物では、つまらない限りですがね…。」
 手を離すと、ココと一緒に外に出る。
「覚えてろよ!てめえら!!このスケアクロウ様が、まとめて、ブタ箱にぶち込んでやる!!」

「とんだチンピラだ。見たところ、CIAの工作員みたいですけど、質の酷い工作員ですね。もうちょっと、まともなのはいないんですかね?」
「ま、私たちにとっては、邪魔者だから、無能であるのはいいことだけど。」
 ココの言葉を聞いて、オッドアイは苦笑する。

「オッドアイ。君は本当に優しいね。君からは兵士として、戦いに臨む厳しい姿勢と、人間としての優しさを感じる。不思議だよ」
「前にも言いましたが、優しい人間は、もっとまともな稼業につきますよ。軍人とかね。でも、僕は自分がどの国の人間か、解らない。そして、気が付いていたら、まともな職業に就けない、クズに成り下がっていました。」
 そう言って、ココをまっすぐ見る。
「あまり、過大評価しないことです。あなたの目の前にいるのは、只のクズです。そして、あなたはどういうわけか、只のクズを雇った。理解に苦しみますね。ミスターヘクマティアルなら、人格に関係なく、戦闘力のみを評価して、雇うでしょうけど。」
「それは、君がそう思っているだけ。君からは、優しさを感じるよ。こういう時の私の勘は、いつも正しいんだよ。オッドアイ。」
 ココも、まっすぐオッドアイを見て言う。
「じゃあ、初めて、外れますよ。」
 ココと並んで、ホテルに戻る。

 夜、オッドアイは、銃の手入れを終えてから、バーボンをグラスに入れて、一口飲むと、何か言いたげな、ルツが近寄ってきた。
「当ててあげましょうか?なぜ、あの女殺し屋を撃てたのか?でしょう。」
 ルツは何も言わずに、オッドアイを見た。
「簡単です。僕は少年兵だった人間です。同じ年頃の少年兵は、何人も殺してきましたし、民族紛争の地で仕事をしてきた時は、自爆テロをしようとした年寄りも殺しました。他にも、老若男女、テロをやろうとした人間も悉く。そもそも少年兵というのはね、他人から見たら人間の屑だと言われることを、何度もやらされる兵の事を言うんですよ。だから、今更、殺し屋が子供だろうが、年寄だろうが、男だろうが女だろうが殺す時は、殺す。そういう事です。」
 そう言って、再びバーボンを飲む。
「おいおい。あまり自分を悪く言うもんじゃねえぜ。聞いてていい気分がしねえな。」
「レームさんですか。ですが、事実です。唯一のね。」
 オッドアイは、瓶ごと、バーボンをラッパ飲みし始める。
「そういう割に、目は腐ってないな。君が本当に、只の屑なら、屑の目をしている。だが、君の眼は屑の目じゃない。それと、自分をオッドアイというのは、いい加減にやめろ。ちゃんと名前があるんだからな。」
「そうだよ。それから、呼び名を決めようよ。そうだな…。名前がソフィアだから、ソフィ。うん、今日から君はソフィだ。いいね。決定だよ。」
「ご自由に。」
 反対する気もないので、ソフィは反論しなかった。
「OK。これから、彼はソフィです。みんなもそう呼ぶように。オッドアイなんて呼んだら、減俸しますのでそのように。」
「「「「へ〜い。」」」」

 瓶に残ったバーボンを一気飲みしたソフィは、これからどう行動すればいいのか考え、複雑な表情になる。
「ちょっと、いいかな?」
「マオさん。何ですか?」
 部屋にあるブランデーを取りに行こうとしたソフィの肩に、マオは手を置く。
「ココさん。ちょっと、彼と話をしていいですか?10分程度で済みますから。」
「いいよ。10分だね。それが過ぎたら、ソフィはこちらに戻してね。基本的に、私専属のボディーガードなんだから。」
「解ってますよ。じゃあ、隣の部屋に行こう。」
 言われるままに、ソフィはマオに連れられて隣室に行く。

「済まないね。こんなとこまで来させて。」
「構いませんよ。で、お話は何ですか?」
「私の事を、話したいと思ってね。」
 ソフィは怪訝そうな顔をする。
 自分の事と、マオの事に共通点があるとは思えなかった。
「私は、砲兵部隊の出身だ。訓練では、毎日、大砲をボンボン撃っていた。だが、国は平和だったよ。」
「いいことじゃないですか?それで、何故、ココさんの部隊に?」
 マオはほろ苦い笑みを浮かべて、話を続けた。
「訓練中の事故が原因で、部隊は解散。私は除隊を余儀なくされたんだ。偶然、私の国を訪れていたココさんが、私を雇ってくれてね。ここにいる。私には、妻と二人の子供がいる。恥ずかしながら、家族には嘘をついていてね。詳細を話すことは許されていないが、軍の仕事で世界中を飛び回らなければならなくなったとね。どうしても言えなかったんだよ。武器商人の私兵になったなんてね。まるで、自分が悪人の片割れになった気がしてね…。」
「ご家族がいれば、無理からぬことでしょうね。」
「ココさんに、一度、その事を話したら。「当然だ。だが、仲間だけは誇れ。クズは、一人もいない。お前もクズではない。なぜなら、私は、クズを部下にするような悪趣味はない。今までも、そして、これからも。」そう言ったよ。ココさんは、人を見る目は確かだ。もし、君がクズだったら、今、ここにはいない。だから、もう少し、自分について考えてみてほしいんだ。私も、君はクズだなんて、思っていないからね。さて、戻るとしようか。」

 その夜、いつも通りにココの隣で、半分眠りながら周囲を警戒しながら、ソフィは考えていた。
『初めてだよ。こんな風に接した人達は…。』
 今日の戦友が、明日の敵になる。
 傭兵稼業では、珍しくもない事である。
 故に、こういった商売では、あまり、関係を深くしない。
 情報屋や武器商人とも、ビジネスライクな関係である。
 故に、ソフィは戸惑っていた。
『まあ、いい。僕は、僕のやり方で仕事をしていくだけだ。』
 ソフィは、考えるのをやめた。

後書き
オーケストラ編の完結です。
以前に、少年兵の事を扱ったテレビ番組を見たことがありましたが、少年兵の現状は酷い物でした。
ほとんど、消耗品扱い。
少女は他の兵士たちの、夜の相手。
日常では考えられない、殺戮の日々の中で、心はボロボロになり、保護されて、精神科の専門医の治療を受けても、回復するとは言い切れず、むしろ、一生、トラウマとして抱えることになる方が、多いそうです。
オッドアイ改め、ソフィはそれに耐えるために、自分をクズだと思い込みました。
しかし、周囲はそう思いません。
まるで異質の環境で、これから彼はどういう日々を過ごすのでしょうか?


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