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zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第30話 キャノンボール・ファスト

<<   作成日時 : 2012/11/10 21:31   >>

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「お。似合ってるな。」
 試着室から出たシャルロットが着ているのは、淡いクリーム色のワンピースで今年の秋物だ。
 千冬姉の買い物で、服を買う時によく付き合わされたので、こういうのを選ぶのは割と得意だったりする。
 IS学園に入学する前は、千冬姉は必ずと言っていいほど、俺を連れて行った。
 多分、また誘拐されると、思っていたんだろう。
 今は、白式があるし、楯無さんにラウラ、のほほんさんに虚さんが、ボディーガードについてくれてるし、さしあたっては安全だ。
 でも、給料日には、俺の口座に相当な額の小遣いを振り込んでくる。
 できれば、そっちはストップしてくれると、ありがたい。
 芝崎インダストリーIS部門の社外相談役にもなっているので、その分の給料も入る。
 十分、一人暮らしだってできるのになあ…。
 20歳になったら、どんな顔するのかね?
「すいません。これに合う小物、お願いします。バッグとか靴とか、後、アクセサリーの類を。」
「かしこまりました。少々、お待ちください。」
 店員さんが、候補の品を取りに行く。
「いいの?服の他にも、プレゼントしてもらって…。」
 シャルロットが、申し訳なさそうに、俺に聞いてくる。
「前の訓練から、シャルロット頑張ってたしな。」
 出かける約束をしてから、シャルロットは自分の欠点を克服するために、練習の映像を見返して、研究し、放課後も可能な限り訓練していた。
 その成果は、しっかり出ている。
 まあ、努力賞という事だな。

「一夏め…。私の嫁だという事を忘れて…。」
「駄目よ。ラウラちゃん。今は、任務中なんだから。」
 今にも、その場に出ていきそうなラウラを、楯無が抑える。
「解っている…!解っているんだ…!!」
『ホント、一夏君の鈍感さは、凄いわねえ…。』
 唐変木ズ・オブ・唐変木と呼ばれているのは、伊達ではない。
 人の心の機微には鋭いが、事、恋愛に関しては、信じられないほど鈍い。
『国宝級というか、世界遺産級というか…。まったくもう。少しは自覚させないと…。』
 そう考えていると、楯無はあることを思いつく。
『ちょっと、お灸をすえないとね…。』
 微かに微笑むが、どこか邪悪な感じがした。

 買い物が終わった後、俺たちはネットで調べたイタリアンのレストランでランチにした。
 ノンアルコールのシャンパン、アンティパスト、プリモ・ピアット、セコンド・ピアット、コントルノ、ドルチェ、食後のエスプレッソ。
 1人前、8000円と値段は張ったが、シャルロットは時折フランスの家庭料理をよく作ってくれるので、いつか、お礼はしたかったからちょうどいいだろう。
「ごちそう様。すごく、おいしかったよ。」
 シャルロットが、すごく嬉しそうに微笑む。
 うん。こういう時のシャルロットの笑顔って、俺、すごく好きなんだよな。
 いつも、こうしていて欲しいと、心から思う。
 今までいろいろあったんだ、幸せの一つや二つはないと納得いかないしな。
 そう考えていると、店のオーナーらしき人が来た。
「いかがでしたでしょうか?当店の味を、ご堪能いただけたでしょうか。」
「はい。凄く美味しかったです。」
「お見事でした。来たかいがありましたよ。」
 俺とシャルロットがそう答えると、オーナーはすごくうれしそうな顔になった。
「それで、あの、大変厚かましいお願いなのですが、よろしければ、お二方のサインを頂ければと思いまして…。」
 シャルロットは、フランス代表候補として、モデルの仕事をいくつかこなしており、知名度があるので当然だろう。
 一方、俺はそういうのは好きじゃないんで、避けている。
 というより、研究が忙しいからなんだが…。
 まあ、サインくらいいいか。
 それより、周囲の視線が気になる。
 男は、シャルロットの方に、くぎ付けになっている。
 女は、俺の方ばっかり見ている。
 俺見て、なんか楽しいか?
 それより、シャルロットに嫉妬に似た視線を感じるのは、気のせいだろうか。

 それにしても、セシリアといいシャルロットといい、やっぱり美人だよな。
 セシリアが豪奢な薔薇なら、シャルロットは優しさを感じさせる花のような感じだ。
 それぞれに、良さがある。
 あ、俺が見られているのは美人といるからで、シャルロットは美人だからか。
納得、納得。
 だが、この後、恐怖のイベントが待っているとは、思わなかった。

「当日の警備体制は、これで万全だな。国外からの不法侵入者に関する資料を。」
「どうぞ。」
 虚さんから、空港警察からの報告書を渡され、手早く目を通す。
 うん。
 どうやら、キャノンボール・ファスト狙いは、いなさそうだな。
 とは言え、一般の旅行客に化けてないとも言えない。
 今時、精巧な偽造パスポートなんて、珍しくもないからな。
 他の資料。特に、公安からの資料には、注意して目を通す。
 諸外国にも、変な動きを見せているところは、今の所ない。
 尤も、油断はできない。
 今までも、予想もしなかった事態は、いくつもあったからな。
 とにかく、キャノンボール・ファストが終わっても、体育祭があるし、二学期はとにかく気が抜けない。
 3年の先輩たちは就職活動の真っ最中で、誘拐の可能性はあちこちに転がっている。
 とにかく、やつらがどう動くかが読めない以上、できうる限りの備えを相手に気取られないようにする。
 これしかない。
 念の為、各所には俺が作った、セキュリティシステムを渡してあるから、ハッキング対策も、それなりに何とかなっているはずだ。

「どうだった?」
 一夏たちの警戒対象たる亡国企業のアジトの一つである高級マンションでは、エムがスコールに、何か訊ねていた。
「駄目ね。警備体制の情報を掴もうにも、相手のガードが固すぎるわ。ハッキングも無理。お手上げね。」
 グラスにブランデーを注ぎ、スコールは一息に口にする。
 基本的に、今回は手を出すつもりはなかったが、データ収集のために、諜報員を送り込むことを計画し、警備状況を調べ上げようとしていたが、一夏のセキュリティシステムは堅固で、亡国企業の技術者もお手上げの状態だった。
「織斑一夏の仕業だな。隙のない奴だ。篠ノ之束め。相当に仕込んだと見える。」
 エムが苦い表情になる。
「システム工学においても、世界的権威ですものね。当然、相当に仕込んだのでしょうね。ISの制御システムも、ゼロから、様々なタイプを作ることから考えれば、当然と見るべきね。仕方ないわ。一般人に化けた上で、録画。後に、技術陣で分析。これしかないわね。」
「あまり、得るべきものがあるように思えんがな。」
「否定しないわ。でも、ないよりはましだもの…。」
 エムの意見の正しさを認めつつ、スコールは見ることも困難な蜘蛛の糸にすがることを選んだ。

「さあ、いよいよ。キャノンボール・ファストの日がやってきました。まずは、生徒会長の開会宣言をお願いします。」
 当日、キャノンボール・ファストの日は、可能な限り隠密性を保ちつつ厳しい警備体制が敷かれていた。
 その中で、いよいよ始まろうとしている。

「これより、キャノンボール・ファストを開催したします。俺を含めた1年生は、初めてですが、来年へのステップになると思いますので、一生懸命頑張りましょう。先輩方は、進路に関係しますので大変だとは思います。特に3年の先輩方は就職活動中ですから、尚更でしょう。ですが、よい思い出になれればとも、思っています。そして、今日は多くの観客の方々がいらっしゃいますし、各自治体の協力も得られて開催が可能となっています。そういった皆さんが、楽しめればと思い。お礼の言葉も兼ねて、開会宣言といたしたいと思います。」
 言い終えて、俺は一礼する。
 周囲の、拍手の音が、聞こえる。
 とりあえずは、大任を果たせたかな?
 ん?楯無さん。何してるんだ?

「ここで、ちょっとしたサプライズです。我が校の生徒会長にして、世界でただ一人、ISを動かすことが可能な男性な織斑一夏会長、屈強の国家代表レベルの、技量の持ち主。性格もいいですし、実務能力もピカ一。開催に至るまでも、各自治体との調整に、警備体制の構築及びチェックにと、見事としか言いようがありませんでした。」
 は?サプライズが、俺を褒めること?
 何だ、そりゃ。
 でも、楯無さんだからな〜。
 何か、凄え嫌な予感がする。
「しかし、呆れるほどの唐変木。どうしてこんなに鈍いのでしょうか?このままでは、先が思いやられます。」
 何でですか?
 俺、普通ですって。
 て、他の生徒も頷かないでくれ、お願いだから。
「そして、私は考えました。この唐変木を直さなければならないと。で、あるが故に…。」
 なんか、凄え嫌な予感がする。
 背筋が、無茶苦茶寒い…。
「各学年の優勝者は、希望があれば、1日、生徒会長とデートを楽しむ権利。」
「「「きゃー!!」」」
 ちょっと、待ってくれ!!
 俺の意見を無視して、そんなことするな!!
「素晴らしい!素晴らしいわ!」
「絶対に勝つわよ!」
「そして、織斑君と…。きゃっ。」
 頼む、乗せられないでくれ…。
「そして、そして、専用機部門で会長に勝利した生徒には、二泊三日の温泉旅行。部屋は同じで、貸し切りの露天風呂。二人の仲も急接近プランを、用意してあります!」
 おい!!
 それは、洒落じゃ済まん!!
 箒たちの視線が、肉食獣みたいになったぞ。
 こら、ラウラ。
 涎をぬぐうな!!
「これは、予想外の展開。愛しの王子様を巡って、乙女たちの熱いバトルが繰り広げられます。今年のキャノンボール・ファスト。目が離せません!」
 テレビ局の人も、乗せられないでください!!
 くそっ。
 こうなったら、もっともリスクの高そうな気がする専用機部門は、絶対に勝つ!!

「あの、馬鹿者が…。日本中に、恥をさらしおって…。」
 千冬は、頭痛を必死にこらえていた。
 全国ネットなので、これで、一夏の唐変木ぶりが、日本中に知られたわけである。
 千冬でなくても、頭痛がするだろう。
「織斑先生。これ、よく効きますから…。」
 真耶が、愛用の鎮痛剤と紙コップに入った水を差しだす。
「すまん…。」
 礼を言って、千冬は、差し出された鎮痛剤を飲む。
「それに、考えようによっては、いい機会かもしれませんよ。うまくいけば、織斑君も恋人を見つけられるかもしれませんし。専用機組は、しっかりした子ばかりですから。織斑君を任せても大丈夫ですよ。」
 これは、真耶の素直な感想だった。
 副担任として、生徒を指導する中で、特に専用気持ちの生徒には注目していたが、国家代表がほとんどで、箒は幼いころより剣術をつづけており、玲子は専用機組を除く一年の生徒の中では、5本の指に入る実力者で、努力家でもある。
 皆、芯はしっかりしていると、真耶は確信していた。
 普段、騒動を起こしてしまうのは、それぞれ一夏に対する思いの強さゆえであると、理解していた。
『そこは、織斑先生も理解していると思うけど、肉親としては、厳しく見てしまうのかしらね。』
 どうにか落ち着いた千冬を見て、真耶はそう思っていた。

 3年生の優勝者は、ケイシー先輩か。
 ま。妥当な線だな。
 何と言っても、専用機持ち。
 しかも、俺がチューンして、ISのスペックは大幅に底上げされている。
 背部と腰部、それに肩部のスラスターは、それぞれが推進にも姿勢制御にも使用できる汎用性の高い物だ。
 これだと、使い分ける時の制御が難しいんだが、さすがはケイシー先輩だな。
 まあ。この人なら大丈夫か。
 後は、2年と1年か…。
 楯無さん相手だと、フォルテ先輩もきつそうだな。
 楯無さんは、背部にメインスラスター。
 肩部と腰部に補助と姿勢制御を兼ねたスラスター。
 常識的だな。
 ミステリアス・レイディは、機動力も高いから、ことさら必要としなかったか。
 コールドブラッドはプロペラントに直結した巨大なスラスターを、3基背中に搭載している。
 肩と足は姿勢制御用かな。
 ゴツイなあ。
 でも、さすがに推力は高いだろうな。
 楯無さん有利だと思ってたけど、そうはならないかもしれないな。

 レースが始まると、フォルテ先輩のコールドブラッドが物凄いダッシュでトップに躍り出る。
 ま、あれだけゴツイメインスラスターしょってれば、当たり前か。
 そして、その後にぴったりと楯無さんがついて来る。
 あ、フォルテ先輩が、推力を上げた。
 全力で稼働させていた訳じゃないのか。
 後方から、妨害射撃が襲いかかるが、肩と足のスラスターを巧みに使って、躱す。
 なるほど、反撃せずに躱しで行く策か。
 ありっていえば、ありだな。
「さあ、ゴールは目の前です。このまま、フォルテ・サファイア選手の勝利なるか?それとも、生徒会副会長の更識楯無選手が逆転なるか!?」
 う〜ん、このまま、すんなりいかせるような人じゃないと思うな。楯無さんは。
 何か、隠し玉を持ってる気がする。

『さすが、フォルテね。でも、勝つのは私よ。』
 背部の、アクア・クリスタルが生成した水が、複数の小さな渦になる。
 さらに蒼流旋の水も、渦をいくつも作る。
「逆転させてもらうわよ。フォルテ。クリアパッション!」
 背部の渦が、全て水蒸気爆発を起こし、ミステリアス・レイディのスピードが、一気に増す。
 と、同時に、蒼流旋の渦も水蒸気爆発を起こし、フォルテに襲い掛かる。

「何!?」
 予想外の展開に、フォルテは必死に回避運動を取るが、完全に回避できずにダメージを受け、その間に、楯無がゴールする。
 尚、楯無の後ろの2年は、全てクリアパッションに巻き込まれて、著しく遅れてゴールする。
「逆転、成功。」
 一夏のいる方を見て、楯無はウィンクする。

 なるほどなあ。その手があったか。
 クリアパッションを、推進力に変えるとは、驚いたな。
 喰らった相手は吹っ飛ばされるわけだから、やりようによっては、十分に推進力になるんだよな。
 コロンブスの卵だな。
 にしても、楯無さんとデートか…。
 大丈夫かな?なんか、不安なんだが…。

「一夏さん。」
 お、蘭か。
 今回も、チケットを送っておいたので、蘭と弾が来ている。
「楽しんでるか?二人とも。」
「おお。さすがにVIP席は最高だぜ。レースもよく見えてド迫力だしな。」
「そりゃ、よかった。あ、ちょっと御免な。」
 警備状況の定期報告の時間なので、俺は素早く目を通す。
 どうやら、妙な動きもないらしいな。
 このまま行ってほしいな。
「悪かったな。警備状況の報告が来てたんでな。」
「お前も、大変だよな。1年の内から、生徒会長。しかも、自治体との折衝やら警備体制との連携やら。」
 弾が労わるように言う。
 まあ、確かに普通の高校の生徒会長は、ここまでやらないだろうな。
「IS学園は、特殊な高校だからな。いろいろ大変だよ。ま、役員が優秀だから、助かってるけどな。」
「あの…、一夏さん…。」
「うん?どうした、蘭?」
 蘭が、不安そうに、俺を見上げる。
「専用機部門、一夏さんが優勝しますよね…?」
「負ける気はないさ。白式用の追加パックも作ってるしな。周りは手ごわいけど、大丈夫だと思うぞ。」
 ここで負けたら、肉食獣の檻に、放り込まれるようなもんだからな。
 負けるわけにはいかないし、檻から出ても地獄が待っていそうな気がするから、負けられない。
「あの、頑張ってくださいね。それと、これ…。」
 うん。何だ?この封筒。
 開けてみると、蘭が通う、聖マリアンヌ女学院の文化祭のチケットが、入っていた。
「サンキュー。必ず行くよ。」
「はい!」
 俺が行くのが、そんなに嬉しいのかね?
 どうも、よく解らん。
「ほい。俺の高校の文化祭の招待券な。」
 普通の高校の文化祭か。
 興味あるな。
 生徒会がどういう風に運営しているかも、興味がある。
「こういうのをもらったからには、負けるわけにも行かないな。絶対勝つから、見ててくれよ。じゃ、俺、そろそろ行くから。」
「はい。頑張ってください。」
「期待してるぜ。」
「サンキューな。あ、そうだ。蘭。」
 言っておくのを忘れてた。
 クラスメイトから、女の子が服選びに気合が入っていたら、ちゃんと褒めるようにって言われてたんだよな。
「今日の服も、可愛いな。それに、髪を下すと大人っぽくなるな。」
「ありがとうございます!」
 ほんじゃま、いっちょ勝ちに行きますか。

 いよいよ、俺たち専用機組の番だ。
 ちなみに、訓練機部門の優勝者は、のほほんさんだった。
 ま、非公式だけど、専用機持ちだからな。
 当然と言えば、当然か。

「さあ、いよいよ、本日最後のレースにして、最大のビッグイベント。専用機組のレースです。各国が威信をかけて開発した第三世代と、それを駆る国家代表が勝つか?それとも、世界でただ2機しかない、第四世代ISを駆る、IS学園生徒会長織斑一夏選手と、ISの生みの親である篠ノ之束博士の妹である、篠ノ之箒選手との一騎打ちになるか?間もなく、スタートです。」
 スタートのライトが点灯する。

「ついに始まりました。トップに出たのは、織斑一夏選手。瞬時に様々な状況に対応できる第四世代ISに追加パックを実装した興味深いバージョンです。それに続くのは、篠ノ之箒選手。天女の羽衣のような美しい追加パックを装備。尚、これを開発したのは、織斑一夏選手との情報が入っております。他の選手たちは、集団になり、なんとか先頭を行く2人に迫ろうと、妨害手段を駆使しております!!」
 セシリアたちは、何とか一夏たちに追いつこうとするが、その度に誰かの妨害に遭い、追いつけない。
 結果、3位以下は集団になっていた。
 箒は、何とか一夏に追いつこうとしているが、技術の差でそれが叶わず、食いついているだけで精いっぱいだった。
『負けない!お前に勝利して、私は、私は…!!』
 天の羽衣の出力を上げ、脚部の展開装甲も使用して、スピードを上げる。
「一夏、覚悟!!」
 空裂のレーザーが、一夏に襲い掛かる。

 うわっ、箒が本気になったか。
 作っておいてなんだけど、天の羽衣って性能高いしな。
 ある程度の時間なら、展開装甲と併用してもエネルギーは心配ない。
 差を詰めてきて攻撃してくる。
 だが、箒、こっちも攻撃できるって、忘れていないか?
 俺は、式神を展開して、箒に反撃する。
 箒は、紅椿の腕部の展開装甲でシールドを張り、式神の攻撃を防ぐ。
 よし、この間に差を広げさせてもらうぜ。
 極光の出力を上げて、俺は一気に差を広げようとする。

「そうはいきませんわよ!一夏さん!!」
 集団から抜き出たセシリアが、新開発らしい、長大なライフルから発射されたレーザーが、軌道を曲げて、俺に襲い掛かる。
 偏向射撃か。
 やっかいな能力だよな。
 けど、零落白夜にはエネルギー兵器は通用しないぜ。
 雪羅を零落白夜のシールドに切り替えて、防いで差をさらに広げる。
「行かせん!」
 今度は、ラウラか。
 レールガンとミサイルで、俺の動きを仕留めようとする。
 地面すれすれを飛んで、ミサイルをやり過ごそうとするが、追尾性能はかなり優秀だ。
 アサルトライフル「天穹」を実体化して、ミサイルを撃ち落としつつ、ラウラをけん制する。
 しかし、今度は鈴とシャルロットが迫ってくる。
 速い。
 加速性能でいえば、第三世代の高機動仕様の中でも、間違いなくトップクラスだ。
「ちょっと、シャルロット!どきなさいよ!!」
「こればかりは、譲れないよ!一夏と旅行に行くのは、僕だからね!!」
 あ、これは潰しあいの感じがするな。大丈夫だろう。
 安心していたら、戦衣を機動仕様にした巴御前を駆る玲子が、猛然と差を詰めてくる。
「一夏、観念しなさい!!」
 閃電と飛燕で、俺の機動範囲を狭めながら、玲子が宗近と巴型を手に迫る。
 さらに極光の出力を上げながら、式神で足を止める。
 くそっ、こんなことになるんだったら、なんか新型の兵装を考えておくんだったぜ、広範囲の攻撃が可能なのを。
「一夏、逃がさない…。」
 簪が、山嵐の発射準備を、整えていた。
 そして、山嵐の48発全力射撃が来た瞬間だった。

ワンオフアビリティ:自己進化機能、天照発動。

ホーミングレーザー「流星」構築。ウィングスラスター4基に実装終了。
使用準備完了。

 新しい武装か。
 試すか。
 4基のウィングスラスターから、レーザーが後方に広範囲に発射されて、山嵐を全て撃ち落とす。
 こういう時に、天照が発動するとはな。
 今の内に、極光を出力全開にするか。
 まだ、やったことないから、スピードがどれくらいになるか、わからないけどな。
「たった今、ゴールです。優勝は、織斑一夏選手!IS学園最強の貫録を見せつけての、優勝です。」
 声援の中、俺はほっとしていた。
 これで、死亡フラグから逃げ切ることはできたな。

「一夏さん。おめでとうございます!」
「やったな。一夏。」
 蘭と弾か。
「ああ。仮にもIS学園最強だからな、レースだって負けるわけにはいかないって。」
 何しろ、死亡フラグが点灯するかどうかの、瀬戸際でもあったしな。
 さて、これで、キャノンボール・ファストも終了。
 亡国企業もちょっかいを出してこなかったし、めでたしめでたしだな。
「さて、行くか。二人とも、文化祭、楽しみにしてるぜ。じゃあな。」
 閉会の言葉があるので、俺は仕事に戻った。
 本当は、専用機組を最初にして、備えさせるつもりだったけど、最後で盛り上げらせたいとの自治体やテレビ局の意向で、こっちの要求を収めるしかなかったけど、その分、警備に力を入れて、乗り切ることができた。
 ただ、今回は、奴らは何の手も出してこなかったけど、これからの事もあるし、気は抜けないな。

 その夜、とある場所で、2人の女性が会っていた。
「で、感想は?」
「今すぐにでも、織斑一夏を襲撃するべきだ。白式はこれ以上なく魅力的だからな。」
 サングラスをかけて、ジーンズに、女性用のジャケットを着た女。
 オータムは、すぐに行動すべきだと主張する。
 中継で、キャノンボール・ファストを見ていたオータムは、白式と一夏をすぐに確保すべきだと、結論を出していた。
「でも、こちらISはエムのサイレントゼフィルスと、私のトパージオンだけ。ゴーレムシリーズも生産中で、稼働できるのはわずかよ。今は、勝手な行動をしないでちょうだい。」
 もう一人の女、スコールは、オータムに釘を刺す。
「悪いが、あたしはあのガキどもに、お礼参りをしなければならないんだよ。はい、解りましたとは、言えないよ。」
 オータムは、怒りをあらわにする。
「私の言う事を、無視するわけね?」
「悪いが、あたしを止めるなんて不可能だよ。」
「そう…。残念だわ。」
 そう言った時、オータムは糸が切れたような人形のように、倒れる。
『ご苦労様。エム。』
『ふん。馬鹿な女だ。もう少し、自制心があれば、長生きできたものを。』
 コアネットワークを通じて、オータムを嘲笑する、エムの声が聞こえる。
 エムは麻酔薬の代わりに、致死量をはるかに超える毒物を入れた弾丸で、オータムを長距離から狙撃した。
 目立たない服装をした、男たちが数人、死体袋にオータムを入れて車に運び入れる。
「すぐに、処理してちょうだい。」
「はっ。」
 車がすぐに、その場を離れる。
『これからは、あなたに動いてもらうわ。オータムのようになりたくなければ、慎重に、冷静に動いてちょうだい。』
『奴のような馬鹿と、一緒にするな。私は、奴らの力量を今まで注意深く観察してきた、その上で動くし、幹部たちの意向を考慮した上で動く。』
『そうあってほしいわね。』
 通信を切ったスコールは、スポーツカーに乗って、その場を離れた。

後書き
いよいよ、キャノンボール・ファストです。
原作では、エムの妨害が入ってレースが中断してしまったので、きちんと書きたかったので、満足しています。
相も変わらず、楯無さんは盛り上げるためなら、一夏の人権を無視。
きっと、IS学園では、一夏の人権は無いも等しいのでしょうなあ…。原作の文化祭のクラスの出し物を決める時や、生徒会の副会長になった時の経緯を見ても…。
不憫ですなあ…。
でも、そういう主人公ほどいぢめるのは、楽しい物でして(笑)。
ISでは、白式が再び、新装備を構築。
謎のワンオフアビリティ天照は、どうして備わったのかも気になりだすところですかな?
亡国企業では、勝手に行動しようとしていたオータムが、退場。
これからは、スコールとエムの冷静な判断に基づいた作戦が主になるので、きつくなるでしょう。
一夏たちは、それを切り抜けることができるでしょうか?








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コメント(2件)

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続きが早く見たいです
戦輝神
2012/11/15 22:23
戦輝神さん。
コメントありがとうございます。
出来る限り早くアップできるよう、頑張って執筆していますので、お待ち下さい。
CIC担当
2012/11/17 00:10

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