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zoom RSS 機動戦士Zガンダム〜ネオ・ジオン戦役〜 第27話  サイド7の白馬

<<   作成日時 : 2012/10/05 23:50   >>

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「戦況は、わが方に優勢か。少尉はよくやってくれている。」
 旗艦リュッセルドルフの艦橋で、サイド7駐留部隊指揮官の、アーサー・ハーウッド准将は戦況を見ながら、先ほど出撃したMSの事を考えながら、嬉しさを滲ませる。
「試作型なので、少々心配でしたが、杞憂でしたな。」
 艦長のアルフォンス・ボルマン中佐が、話しかけてくる。
「敵の新型機も、確認されている内、3機を撃破している。16歳の少女とは言え、頼もしいよ。リヒテル少尉は。幸い、調査のためにアナハイムから譲り受けたネモも、わが部隊には配属されている。ジムVも、あの新型以外なら相手はできよう。気を緩ませずに、来援まで持ちこたえるぞ。」
 エゥーゴの主力量産MSだったネモは、ジムVより運用コストが高かったが、全身にムーバブルフレームを採用し、装甲材にガンダリウムγを使用する等性能は高かったために、ハーウッドはアナハイムに依頼して、調査目的でネモを譲り受け、調査の結果、主力機にすることを決定し、グリーンノアの工場で武装を強化する等、若干の改良の上、量産させていた。
 そのネモは、ガ・ゾウム等のネオジオンの量産型MSとも十分に渡り合っていた。

「現在のところ、戦況は、サイド7駐留部隊に有利との、報告を受けている。だが、相手はラカン・ダカランだ。それに、新型のMS6機で編成される部隊を、自ら率いているとの情報もある。油断はできない。」
 アーガマでは、アムロを始めとするリア・ファルのMS隊のパイロットを含めて、ブリーフィングが行われていた。
「なるほど。我々なら、相手をできるが、他の部隊ではどうだかわからんからな。」
「新型MSの事も気になる。ブライト、情報は入ってないのか?」
「残念ながらな。」
 欲しい情報が手に入らず、アムロは腕を組んで考え込む。
「だが、希望も一つある。」
 ブライトがそれを話すと、雰囲気は明るくなった。
「到着は、明日だ。準備を整えておいてくれ。では、解散だ。」

「そうか。ラカンが苦戦か…。」
「はい。ドーベンウルフですら、及ばない強力なMSの存在が確認されています。」
 アマーリエの報告を聞きながら、ハマーンはこみ上げる頭痛をこらえながら、必死に試案を巡らせる。
『これ以上、部隊を引き抜くわけにもいかん。どこも手一杯だ…。ラカンならば、心配ないと考えたが、考えが甘かったか…。よりにもよってこのような時に…。』
 現在、ハマーンは宇宙での劣勢を覆す為の作戦を立案中で、兵力を裂く余裕は皆無であった。
 ラカンは、数少ない有能な指揮官だが、それでも援軍を向かわせることができないほどに、ネオジオンは追い込まれていたのである。
『いや、この手があったか…。後の為にも、よいかもしれん。リスクがないわけではないが…。』
 ハマーンは命令書を手早く作成し、アマーリエに手渡す。
「急げよ。アーガマも救援に向かっている以上、到着が遅れれば、ラカンは挟撃されて、降伏か死か、どちらかを選ぶことになる。」
「承知しました。」
 一礼して、アマーリエはハマーンの執務室を出る。

 ビームライフルから発射されたビームが、ドライセンの核融合炉を貫通し爆発させる。
「敵も、しぶといわね。」
 アリサは、ガ・ゾウムをビームサーベルで両断しながら、呟く。
 ラカン率いる部隊だけあって、練度は高く、サイド7駐留部隊が優勢とはいえ、そう簡単に崩れを見せない。
「この感触…。行きなさい!ビット。」
 シュヴァル・ブランのバックパックに装備された、試作型の複合ビットが射出され、編隊を組む、スペースウルフ隊に向かう。

「またしても、やつか。かわせ!!」
 しかし、サイコミュを介して、パイロットの思うがままに攻撃を仕掛けるビットの攻撃を避けるのは至難の業で、撃墜を避けるのが精いっぱいであった。
「ビットの類が、そちらの専売特許だと思うな!!」
 ドーベンウルフには、インコムと呼ばれる疑似サイコミュ兵装と、やはり疑似サイコミュ兵装である有線式ハンドビームが搭載されており、指揮官機であるラカン機は、レーザー通信を使用したハンドビームが搭載されていた。
「そこ!」
 アリサは、冷静に攻撃を回避しながら、インコムとハンドビームのワイヤーを、全て切断し、無力化したところ、2機のドーベンウルフを撃墜する。
 疑似サイコミュとはいえ、3機のオールレンジ攻撃は、一見すると脅威だが、弱点があった。
 一つは、機動性である。
 コンピューターでサポートすることによって、疑似的にサイコミュを再現しているので、性能的には、どうしても、完全なサイコミュであるビットには、機動性は劣る。
 さらに、インコムやハンドビームは内部のエネルギーCAPで、ビームのエネルギーを賄っているので、定期的に機体に戻す必要がある。
 アリサは戦いの中で、そのタイミングを正確に見抜いていた。

「おのれ!」
 ラカンの闘志が乗り移ったように、ラカン機のハンドビームが襲いかかっているが、冷静な判断に基づかないハンドビームを落とすのは、アリスにとって造作もないことだった。
「隠し腕を忘れるなよ!」
 ラカンのドーベンウルフには、腕部の中に隠し腕が内蔵されており、ハンドビームを使用している最中でも、手持ち武器による戦闘に支障はなかった。
 シュヴァル・ブランとドーベンウルフは、ビームサーベルによる近接戦闘に入るが、明らかに、アリサが押し気味だった。
 刻々と悪くなる戦況が、ラカンの心に焦りを生み、動きを鈍らせていた。
「ラカン様!」
 MS部隊の一つが、ラカンの援護に入ろうとする。
「邪魔はしないで。」
 ビットから発射されたミサイルで、部隊は全滅し、ラカンがわずかに集中力を欠いた。
「はあっ。」
 シールドで防いでいるすきに、ビームサーベルを持つ、ドーベンウルフの右腕を、アリサは肩から切断する。
「くっ!おのれ!!」
 信号弾を発射し、ラカンは部隊を退かせる。

「お疲れさまです。今日は、もう敵も仕掛けてこないでしょうから、ゆっくり休んでください。」
 整備兵が差し出した、ミネラルドリンクをアリサは笑顔で受け取る。
「そうさせてもらうわ。でも、念のため、補給と整備はできる限り急いで。備えておきたいから。」
「了解です。」
『連邦初の、ビット装備のNT専用MSか…。よく頑張ってくれるわね。私のパートナーは。』
 アリサは、整備される、シュヴァル・ブランを見上げる。
 サイコガンダム系は、どちらかといえばMAと見られる。
 本来ならば、既存のMSかそれを少し上回る程度のサイズにすることを目的としていたが、不可能だったために40m級の巨大な機体になってしまい、MSとは呼べる代物ではなかった。
 故に、シュヴァル・ブランを開発したグリーンノアの開発チームは、この機体こそ連邦初のフルサイコミュシステムと見ていたのである。

翌日の朝、シャワーを浴びて食事をとっていたアリサに、吉報が届く。
「あと、3日か。」
 上機嫌で、アリサは食事を再開する。

「しばらくは、こちらからは手を出さん。損傷したMSを万全にする必要もあるが、ハマーン様が援軍を出してくださった。3日後に到着するそうだ。MS2機だが、そこらの部隊より、非常に頼りになるそうだ。それまで、部隊の状態を万全にする。距離を置き、各艦とMSの補修・整備に入る。すぐに準備に取り掛かれ。」

 サイド7に到着するのを明日に控えて、アーガマでは最終ミーティングが開かれていた。
「最新の情報によると、戦況はサイド7駐留部隊に有利なまま、膠着状態となっている。だが、それもそろそろ終わるだろう。未確認情報だが、ハマーンが、援軍を送ったそうだ。」
「半信半疑だな。今のネオジオンに、そんな余裕はないと思うが…。」
 サイド4攻略部隊全滅の結果、連邦とネオジオンとのバランスに変化が訪れた、全体的に、ネオジオンに不利に傾き始めたのである。
 この状態では、ハマーンとしては全軍の指揮を執らねばならない為に、そう簡単に動くことはできない。
 下手をすれば、連邦が部隊を派遣して空き巣になったサイド3を攻略しかねないからである。
 元々、戦力差でいえば、連邦の方が圧倒的に勝る。
 グリプス戦役自体は、そもそもエゥーゴとティターンズの内部抗争であるというのが本質なので、連邦の正規部隊は無傷である。
 各コロニーに援軍を送ることは可能であり、そうなれば、攻略部隊は駐留部隊と挟撃されて、全滅するしかない。
 最悪、ハマーンの部隊は流浪の集団になり、いずれ自滅する。
 それ故に、ハマーンは動けない。
 それを考慮すると、アムロは援軍の可能性に疑問を抱く。
「アムロの考えは解る。が、これを見てくれ。」
 モニターに、不明瞭ながらも映像が映る。
「惑星間用のブースター?」
「とすると、何かが運ばれた可能性が高いな。」
「貨物ユニットは、全長19〜20m位ですね。MSなら運べますよ。」
 カミーユとクワトロが、映像から仮説を立てる。

「でも、カミーユ。映像では、ブースターは2つよね。その程度じゃ、援軍にはならないと思うけど。」
「フォウ。ダカールでアムロ大尉は、2人相手にしたよね?」
「あの時の、ニュータイプ!」
 カミーユの言いたいことを、フォウは瞬時に悟る。
「私も、そう考えている。幸い、到着するのはタッチの差で、我々の方が早い。それぞれの部隊は、すぐに出撃できるようにしておいてくれ。この部隊に、ニュータイプが5人いる。しかも歴戦のだ。それを最大限に活かして、短期決戦で決着をつけるぞ。」
 長期戦になって、新たなニュータイプが派遣される可能性を想定して、ブライトは短期決戦で、敵を撃破する戦法を採用することを決めた。

「サイド7到着まで、後、1時間。」
「戦闘の様子、捉えました。映像出します。」
 メインスクリーンに、戦闘の様子が映る。
「始まっていますね。」
「ああ。こちらの方が、早かったな。トーレス。全艦第一戦闘配置。MS隊、発進。リア・ファルに発光信号。」
「了解。全艦第一戦闘配置。繰り返す…。」
「後方8時の方向から、何かが来ます。推定接触時間、約30分。」
 サエグサが、ブライトに報告する。
「タッチの差だな。全速前進。ネオジオン部隊の背後を襲う。主砲、ミサイル発射用意。予定通り、短期決戦で行くぞ。」

後書き
この時代、最大の戦力はやはりNT専用MSでしょう。
戦艦を母艦としたMS部隊でも、軽々と蹴散らし、母艦も沈めちゃいますからね。
まあ、今回の場合は、部隊がMk.Uの故郷であるサイド7という事もあり、Mk.UをベースにしたNT専用MSを出してみました。
外見の元ネタは、ガンダムエースで連載されている作品に出てくる、ニュータイプ専用MSル・シーニュです。
フランス語で白鳥を意味します。
それで同じフランス語で名前を付けました。
シュヴァルブランは、白馬を意味します。


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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
うぅ〜ん。新しい女性キャラクターの登場ですね。
シュバルブランは、mrkUの形を想像していましたが、少し違う見たいですね。
アリサの容姿が、詳しく書かれていないので、白鳥とビッ トから色黒で、額に何か付けているインド美人を想像しています。(笑)
ネオジオンの援軍は、やはりあの二人なのでしょか?
アムロ達には、勝てなくても、アリサ相手なら拮抗出来るでしょうか?

どうか、プルシリーズが無事である事を祈ってます。


タケゾウ
2012/10/16 10:24
タケゾウさん。
コメントありがとうございます。

> シュバルブランは、mrkUの形を想像して
>いましたが、少し違う見たいですね。
 ベースにはなっていますけど、少し違いま
 す。
 ル・シーニュというMSの絵をネットで探
 せば、ある程度想像できるかもしれません。

>色黒で、額に何か付けているインド美人を
>想像しています。(笑)
 さあ、どうでしょう?
 カミーユ達との対面を、お楽しみに。

>どうか、プルシリーズが無事である事を祈
>ってます。
 どうなるでしょうねえ。
 アムロ相手だと、きついでしょうが、プル
 達の動向によっても変わるかもしれません
 ねえ。
CIC担当
2012/10/17 22:20

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