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zoom RSS GUNSLINGER GIRL −FLAMMENTO− 第6話 サイレントミッション

<<   作成日時 : 2012/10/16 21:15   >>

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「ああ、昨日の。どうだい?ナポリは。」
「ああ。おかみさん。いい街だよ。ここで育ったおふくろが。羨ましいよ。」
 野菜を売っている40代の女性と、アルフは親しげに話す。
「そうかい。でも、あんたからは、ナポリの人間の匂いがする。そんな感じがするんだ。親しみを覚えるねえ。」
 観光をしながら、パダーニャの根拠地を探しているアルフは、すっかり地元に溶け込んで、住民とも仲良くなっていた。
「おふくろの血が濃く出てるって、周りから言われてるからかな。でも、親しみを持たれるのは、嬉しいよ。」
 しばらく雑談をして、アルフ達は他の場所に行く。

「4日前の捕り物で、この周辺のカモッラに店は、おしまいっと。」
 ナポリの地図の一角に、アルフはバツ印を書く。
「そんで、俺が叩きのめした奴らの店は、ここと。」
 パダーニャの違法パン屋があった場所に、丸印を書く。
 北部の人間が、南部で商売。
 しかも、違法パン屋の商売をするのだから、言葉は南部訛りが感じられなければならない。
 しかし、アルフは外人部隊やPMCに所属してきた中で多くのイタリア人に会い、双方の言葉の訛りの違いを良く知っていた。
 そして、ナポリに来て最初の日に、立ち回りをした店の店員には、僅かながら明らかな北部訛りが感じられた。
『最近は、資金確保の手段を広げたとは聞いていたが、南部のパン屋。しかも、違法とはねえ。北部の人間の自尊心をよく抑えられたもんだ。』
 合法のパン屋では、認定を受ける際の情報から、身柄が割れてしまう。
 違法となれば、十中八九、カモッラである。
 それを逆手にとった、パダーニャの資金確保である。

「しかし、ナポリは広いからな。こりゃ、なかなか大変だぞ。」
 ナポリのパン屋は一軒や二軒ではない。
 しかも、その中で合法と違法のパン屋の区別をつけなければ、ならないのである。
 それ自体は、認定証が店先にあるので簡単だが、違法パン屋の中でパダーニャとカモッラの区別も付けなければならない。
 それ自体も、言葉に北部訛りがあるか否かで、すぐにアルフは見分けがつく。
 だが、地道な作業になるので、時間がかかる。
 あくまで休暇で来ているという設定なので、ナポリに長居する事はできない。
『あいつを中心に、探ってみるか。』
 ナポリに来た日の騒動で、アルフはリーダーとまではいかなくても、ナポリのパダーニャの中では幹部クラスの男の店を特定していた。
「よし、出かけるぞ。」
 キャロルを伴って、アルフは行動に出る。

『森に紛れて、姿を隠すってか?にしては、不用心というか、何と言うか。』
 ナポリのとある銀行の近くのカフェテラスで、アルフは口座に入金する男を、密かに撮影していた。
 ボルジと呼ばれる、ナポリにあるパダーニャの資金調達グループの幹部と見る男を探しているうちに、幾つか情報が入り、それを元にパダーニャのパン屋をピックアップして、ナポリにいるであろうリーダーを探していた。

「でっかい袋、干しブドウについてくる物、その他諸々の仕入先については、何か解ったかい?」
 アルフ達の前に座ったのは、何とカモッラの男だった。
「調べちゃいるが、さっぱりだね。紙の扱いに関しては、ヒントは集まってきているけど、そっちばかりは難しいよ。」
 アルフは2人分のグラスワインを注文して、自分の分を一口飲む。
 奇妙なようだが、現在はパダーニャとカモッラは互いに商売敵である。
 カモッラが儲かれば、パダーニャの資金調達はうまくいかない。
 パダーニャが儲かれば、今度はカモッラの儲けが減る。
 できれば、ナポリから追い出したいが、最近は住民までカモッラと戦う姿勢を示しているので、下手に動けない。
 そこに、アルフが現れた。
 ナポリに来た時の立ちまわりは、カモッラの耳にも入っていたので、ひょっとしたらと声をかけてみたら、パダーニャについて調べているらしい。
 いざとなったら消してしまえばいいと考えて、その男はアルフに情報提供を申し出た。

「荷物を持った男達は、船に乗った。が、どうしたわけか。また戻っている。その後は荷馬車だ。奇妙だな。」
「ああ、本当に奇妙だ。」
 話しながら、アルフは会話の内容から、結論を導き出していた。
「充分かい?観光客さん。」
「ああ、充分だ。面白い話だったよ。」
 そう言って、アルフは周囲をさりげなくだが慎重に見まわして、100ユーロ札の厚い束を渡す。
「面白い話が聞きたかったら、また、声をかけてくれ。できれば、ナポリには長くいて欲しいね、その分、面白い話が聞かせてやれる。」
 グラスワインを飲み干すと、男はふらりとどこかにいった。
 その後、アルフは掌の上に載せられた紙を小さく折った物を、ポケットにしまう。

「よく、あんなことできますね。アルフさん、イタリア生まれじゃないのに。」
 カモッラの人間と接触して情報を引き出す事が、しかも、変装一つしない、アルフにキャロルはただ驚くしかなかった。
「それができるように訓練をするのが、自衛隊のレンジャー部隊だよ。敵地の真っただ中でも、協力者を見つけて生き延びることができるようにな。」
 レンジャー部隊の訓練以外にも、PMCに所属していた時は、アルフはどういうわけだか、妙な仕事を任せられる事が多く、今回のような事は、お手の物になっていた。
『カモッラの大物の娘か愛人でもいれば、引っかけて、ベッドの上で情報が引き出せたんだが。まあ、贅沢は言っていられないさ。』
 そう考えながら、アルフは折られた紙を広げていく。
 中には、USBメモリーが入っていた。
「さてと。どんな程度かね。」
 ノートパソコンを起動させて、メモリーを入れる。

『また、随分と手間をかけてるな。おい。』
 でっかい袋、干しブドウについてくる物、その他諸々。
 小麦粉と酵母、その他のパンの材料。
 それらを、ナポリで仕入れるのはほぼ不可能である。
 これは、カモッラも同じで、近年、ナポリの業者が悉く拒否している。
 故に、カモッラは独自のルートを持っている。
 当然、パダーニャも必要になる。
 紙。
 つまり、儲けに関しては、銀行に金を振り込んだ時間から、公社でプリシッラが振込先を調べている。

『ラ・スペツィアがスタート地点。奴らの正体は、ジェノバ派か。で、アマルフィとアグローポリ。随分小さいとこだな。ま、使えないわけじゃないが…。闇夜に紛れてこっそり陸に下ろして、荷馬車でナポリか。効率悪いねえ。ま、裏をかくぐらいはできるか。』
 アマルフィやアグローポリは、商業港という性格ではない。
 パンの原料を運びこむには、あまりに非効率である。
 だが、それを逆手にとって、輸送経路に組み込んでいる。
 アルフは、そう考えていた。
 最後は荷馬車。
 つまり、車両でナポリに運び込む。
 これが、パダーニャの原料調達ルートだと、アルフは結論付けた。

「やれやれ、ご苦労なこった。ローマにテロリストを送り込んだ次は、パン屋か?次は、何ですかねえ。ん?」
 最近は、ローマにテロリストをせっせと送り込みながら、違法パン屋まで営業するジェノバ派にアルフは溜息をついて、ソファに寝転ぶ。
 そのアルフの目の前にいたのは、シャワーを浴びて、バスタオルを体に巻いたキャロルだった。
「何度も言うけどな。女の子は慎みを持てよ。人前で、しかも好きでもない男の前でそんな姿を見せるな。」
 そう言って、再びノートパソコンに目を移すアルフを見て、キャロルは悲しそうな表情になる。
「ん。なんだこりゃ?」

 その日の夜。
 アルフは、のりのきいたスーツを着て、ナポリのホテルの一つ、グランド ホテル ヴェズヴィオのバーにいた。
『指定した席で、指定したカクテルを飲んでいろねえ…。情報料は結構弾んでおいたからか?』
 カモッラの男からは、数度情報を買っており、その度に報酬は少し多めに渡しておいた。

「好きなの?それ。」
 30代に差し掛かる頃の、妖艶な美女がアルフに話しかけてくる。
 アルフが飲んでいるカクテル、「ブラッディ・シーザー」を指す。
「何となく、飲みたくなってね。よければ、ご馳走しようか?」
「いただくわ。ブラッディ・マリーをお願い。」

「これを飲んでいるとね。少し前を、思いだすわ。ナポリがどんな土地かは知っているでしょう?」
 ブラッディ・マリーの名は、即位後に多くのプロテスタントを殺したイングランドの女王、メアリ1世に由来する。
「そうか…。俺も思い出さないわけじゃない。でも、俺は男だ。だから、こっちだな。」
 アルフが飲んでいるブラッディ・シーザーは、ブラッディ・マリーのバリエーションである。
「だからね。あなたからは、血の匂いがする。」
「そうか。あんたからも、血の匂いがする。けど。」
「けど?」
「あんたのは、移り香だな。血なまぐさい誰かの、匂いが移った。そんな感じかな?」
 そう言って、グラスを傾ける。
「聞きたい?誰の匂いがうつったのか。」
 そう言って、女はアルフに腕をからめてくる。
「他人のプライバシーには、深入りしない主義でね。」
『で、なんだ?この女。どうみても、堅気じゃない。カモッラか、関係者か?何でまた、あいつは俺を呼び出したんだ。俺の素性が割れて、消しに来たか。』
 黙って飲みながら、アルフは意識を戦闘のそれに切り替えていた。
 ホルスターには、護身用のベレッタ M3032が収めてある。
 弾丸の威力は心許ないが、数多の修羅場をくぐり抜けてきたアルフは、生き延びる自信があった。
「部屋で話さない?」
 女の視線から、何かを感じたアルフは誘いに乗った。

 その頃、キャロルは部屋の窓から、夜空を眺めていた。
『アルフさん。何してるのかな…。』
 いつもとは違い、まるでデートにでも行く感じだったアルフの事を思っていた。
『人前で、しかも好きでもない男の前でそんな姿を見せるな。』
 アルフの言葉が、ふと思い出される。
『私、最近、変なのかな?アルフさんにキスしてもらうと嬉しい。でも、それだけじゃ何か足りない…。』
 自分で整理できない気持ちを抱え込んだまま、キャロルは溜息をついた。

「素敵ね。あなた。最近では、極上だわ。」
 ベッドの中で、互いにワインを傾けながら、女は鍛えられたアルフの体に寄り添う。
「何でまた、見知らぬ俺と寝たんだ?」
「最初は、そんな気は無かったのよ。でも、あなたは不思議なほど親しみを感じたのよ。それだけ。こうしたいほどにね。」
 そう言って、アルフの唇に自分のそれを重ねる。
「荷馬車の行き先を教えてあげる。明日、着くわ。」
 それは、アルフが一番知りたかった情報だった。
『やれやれ。』
 結果的には、ベッドの相手が情報料になっている状況に、アルフは溜息をついた。

「アルフさんの情報には、助かりましたよ。ジェノバ派で、今回の違法パン屋に指令を出していた幹部を特定できました。任務を終えたジョゼさん達が、一番近くにいましたから、そっちに向かっています。」
 翌日、プリシッラがアルフに連絡を入れてきた。
「そうか。そっちは頼む、こっちも、今日で終わらせるつもりでいる。」
 アルフは、昨夜に入手した情報から、今日の夜にパンの原料が届く時に急襲して、任務を終わらせるつもりでいた。
「1人で、大丈夫ですか?課長が近くの支部から、何とか増援を出そうとしてますけど。」
 ロレンツォは、任務の最終段階では増援を出すつもりでいた。
「いや。今回の件で、ジェノバ派が他に何かやるかもしれん。あちらさん、台所事情は厳しいらしいからな。今回の事がそれを物語っている。それに備えて、戦力は温存ずべきだ。特に、荒事が得意なのはな。」
「解りました。気をつけて下さいね。あ、ところで、一つ相談が。」
 プリシッラがどこか、そわそわしながら話す。
「何だ?言ってみろ。」
「帰ったら、キャロルとブティックに行きたいんですよ。いい店が見つかりまして。」
「却下だ。堕天使に、天使を預ける趣味は無いよ。じゃあな。」
 そう言って、アルフは電話を切った。
「キャロル。準備はいいな。マガジンは、多めに持って行け。派手になるかもしれん。」
「全員殺しますか?」
「多分、そうなる。向こうさん、慌てふためくだろうからな。それにつけ込んで手早く片づけるには、そっちの方がいいだろう。」
 銃の整備をしながら、アルフはキャロルにそう答える。
「あの、アルフさん…。」
「ん?なんだ。」
「いえ、何でもありません。すいません…。」
 アルフが見たのは、何か言いたそうで、しゅんとしたキャロルだった。
『なんかあったか?帰ったら、ビアンキに相談するか。』
「終ったら、服でも買いに行かないか?好きな服を選んでいいぞ。」
 アルフは、キャロルの頭を優しくなでながら、言った。
「はい!」
 頬を染めながら、キャロルは微笑む。

『やれやれ、警戒が甘すぎだぜ。』
 ナポリの郊外にある倉庫。
 そこが、違法パンの原料の受け取り場所だった。
 既に、アルフはキャロルと共に倉庫の中で身を隠していた
『いろいろ、持って来るもんだな。技術部に、感謝感激と。』
 ナポリに来る前の支度で、技術部が開発した装備で、役に立ちそうなものを色々と持ってきていた。
 その中には小型カメラがあり、パダーニャの見張りが全員来る前に最初の数人を始末し、カメラをしかけて相手の陣容を確かめる準備をしていた。

「おい。アラン達はどうした?」
 倉庫に入ってきたパダーニャのリーダー格が、他のメンバーに言う。
「おかしいな。来ているはずだぞ。どこで、サボってやがるんだ。」
「もうすぐ、来るだろう。今日は、大事な日だ。」
『なんてこった、結局、あのボルジってのがリーダーだったのかよ。これなら、とっとと終わらせときゃよかったぜ。』
 最初に幹部ではないかと目をつけていた男が、結局はリーダーだったので、深読みをしすぎた自分に、肩をすくめた。
 そう思いながらも、気持ちを切り替えて、ノートパソコンの映像を見続ける。
『倉庫内は、10人か。最初に始末しておいたのと合わせると、違法パン屋の数と一致だな。受取人に警戒を兼ねさせて、荷を受け取って運び込むか。専門の運び屋を奴ら持ってない。ジェノバ派は、俺が以前しっかりと痛めつけてやったからな。』
 ローマのテロリスト関連で、アルフはジェノバ派と渡り合う事になり、手ひどく痛めつけていた。
『さて、今回もしっかり痛めつけてやるか。』
「キャロル、準備はいいな?車両が全部入ったら、手はず通りにしろ。後は、思う存分やれ。」
「はい。」
 しばらくすると、トラックが入って来る。

『よし、今回も無事に荷が届いたな。』
 周囲にしかけておいた盗聴機から、会話が聞こえてくる。
『しかし、ボルジも考えたよな。これなら、カモッラの奴らのルートとも重複しない。積み荷は違法じゃないし、安心してナポリまで運んでこれる。』
『まどろっこしいが、しかたないさ。北部だろうが南部だろうが、焼き立てじゃなきゃ売れないからな。後は、南部にも五共和国派を作るだけさ。』
『なるほどね。随分、ドライに物事を考えるんだな。こっちに拠点を作ろうとはな。』
 パダーニャは、元々、裕福な北部の血税が南部に流れるのを良しとせず、連邦制を目指す極右組織である。
 当然、南部にはいい印象を持っていない。
 にも拘らず、南部に拠点を作ろうと考えてるのは、目的の為には感情面で切るべき所は切る事が出来る人間である。
『ここで始末すべきだな。生かしておくと、面倒な事になる。いろいろ、喋らせた後にだがな。』
 そう考えながら、G36Cのセーフティーを外す。
『キャロル、作戦開始だ。扉を閉めろ。』
『はい。』

「な、何だ!?」
 レバー式の扉が閉まる。
 キャロルのHK416の射撃で、レバーが閉まる方に動かされたのである。
 やがて、扉が完全に閉まる。
『さて、いくかね。』
 アルフのG36Cから発射された弾丸が、パダーニャ達に襲いかかる。
「くそ。社会福祉公社か。応戦しろ!」
 しかし、今度は、背後に回り込んだキャロルからの射撃が襲いかかる。
「トラックの陰に隠れろ!」
 ボルジの指示で、残りがトラックの陰に隠れながら、応戦する。
「戦い方が、下手くそなんだよ。」
 陰から身を出した瞬間を逃さずに、アルフは着実に仕留める。
 過酷を極める、陸自のレンジャー課程では、都市戦闘での訓練も含まれる。
 そして、実戦で磨きをかけたアルフにとって、目の前のパダーニャは敵にもならなかった。

「キャロル。終ったか?」
「はい。」
 キャロルが、駆け寄って来る。
 パダーニャのメンバーは、ボルジ以外は全員死亡していた。

「さてと、知ってる事は、喋ってもらうぜ。」
 眉間に銃を突きつけて、縛られているボルジに自白を迫る。
「たいしたもんだな。完全に俺の負けだ。だが、喋る気はない。」
 ボルジの目は、絶対にしゃべらないという決意に満ちていた。
「キャロル、あれ、持ってこい。」
「あの、でも…。」
 キャロルが、珍しく躊躇する。
「いいから、持ってこい。」
「はい…。」

 しばらくして、キャロルが小さなトランクを持ってくる。
「こいつの中身が、解るか?」
「拷問の器具か?」
「いいや、違うね。」
 アルフはトランクを開けて、中の物を見せつける。
「最新型の自白剤だ。こいつを使われた人間はな。かなり高い確実で、廃人だ。最悪、死人。さ、どうする?とっととしゃべって、生き残る道を選ぶか、そうでない道を選ぶか。好きにしろ。俺は、どっちでもかまわん。」
 冷たい目で、ボルジを見下ろす。
「好きにしろ。この活動に加わった時から、覚悟はできている。廃人なり死人なり、好きな方を選べばいいだろう。」
『やけって、感じじゃねえな。腹を括った人間の目だ。時間がかかるな。さて、どうしたもんか?』
 少し考えて、アルフは公社に連絡を入れた。

「そうか。任務は成功したか。残りは一網打尽にするなどたやすい。それはこちらがやる。お前たちは、宿を引き払って戻ってこい。アルフォンソをナポリの近くで待機させてある。リーダーは引き渡せ。」
「解りました。」
『こういう事態を見越していたか。さすがに、俺たちのボスだな。』
 倉庫の場所を教えながら、ロレンツォの手回しの良さにアルフは舌を巻いた。

「で、どうだ?」
 公社に戻って、数日後、アルフは、アルフォンソに、ボルジの尋問の状況を聞いていた。
「本人は、特に何も知らないようです。ただ。」
「ただ。どうした?」
 アルフはアルフォンソの言い方が気になり、訊ねる。
「パン屋を始める前に、見た事もない奴がなにやら提案していたらしいという事は言っていました。」
「そうか…。」
『ヤーセルの手下か?だが、奴にしては、やり方が大人し過ぎる。』

「尋問の程度は?」
 ボルジの言った事にひっかかる点があったので、さらに訊ねる。
「自白剤を、使うつもりか?」
「お前には、関係ないだろう。ヒルシャー。あいつは俺の獲物だ。」
 自白剤の使用に反対するヒルシャーを、アルフは睨みつける。
「よせ。こんな所で、いがみあっても何もならないぞ。」
 ジョゼが慌てて、仲裁に入る。
「ジョゼさん。ここは言わせて下さい。アルフ、お前のやり方は手段を選ばなさすぎる。我々は、裏方の人間だが、何をやってもいいというわけじゃないだろう?」
「悪いが、俺は、任務遂行を第一にするんでね。それくらいの覚悟がないと、パダーニャは潰れねえよ。ただ、義体もお前も、他の奴らも、仲間だと思ってる。決して、見捨てやしねえ。とにかく、ちょっと気になる点があるんでね。ここは、引かねえぜ。」
 そう言って、アルフはオフィスを出る。
『別に、お前が嫌いなわけじゃねえ。けど、奴に関する限り、俺は譲らねえって、決めてんだよ。』

「こりゃ、絡んでそうだな。」
 遊び人風な担当官が、口を開く。
 アレッサンドロ・リッチ。
 諜報部出身の、二期生の義体の担当官の1人である。
「何がだ?アレッサンドロ。」
「ほら、あいつだよ。例のアラブの。」
「ヤーセル・アル・カリドか!」
 アルフが気になっていた事に、ジョゼは気づいた。

「そうか。火は燃え上がらなかったか。残念だな。」
 周囲に高価な家具や調度品が置かれてある豪邸の主は、つまらなさそうに言った。
「はい。あの、社会福祉公社の実力はかなりの物です。」
「だからこそだ。面白そうな事になるから、武器も提供してやったし、多少、知恵も貸してやった。」
 ボディーガードに、そう話した
「例のパン屋ですな。」
「まあ、盲点となる場所に資金を集める場所と拠点を作ってみてはどうかと、言ってやっただけだがな。」
 金のスプーンで、キャビアをたっぷり口にほうりこんだ男の名を、ヤーセル・アル・カリドといった。
「そう言えば、アフリカに面白い奴がいたな。」
「ジャコモ・ダンテですな。」
「ああ。あれは、なかなか楽しい男だ。コンタクトを取ってみるとするか。」

後書き
久しぶりの掲載です。
いよいよ、黒幕の登場となりました。
ちょっと出ですが、それだけでもロクな奴じゃないことが、お分かりいただけたかと。
それにしても、違法パン屋というのは、何とも理解しがたいですな。
あまり収入にはならないと思うのですが、ナポリマフィアのお歴々は、何を考えているのやら。
黒幕も何かをしでかすようです。
何でしょうかね?


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