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zoom RSS 機動戦士ガンダム 〜Test Force Story〜 第6話 宇宙歴80年1月1日

<<   作成日時 : 2012/10/13 23:57   >>

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『ア・バオア・クー。ジオンにとっては、サイド3を守る、最後の砦か。本当は、無視するシナリオだったんだがなあ。』
 ガウェインの一室にあるモニターに移る、ジオンの要塞をみながら、ヒルトは疲れて体が重くなったような気分で、そう思った。

本来は、ソロモンを陥落させた事で、ア・バオア・クーを攻略せずに、迅速に大兵力を持って、サイド3を攻略する手はずだったが、総司令官のレビル将軍が、ジオンの新兵器ソーラレイによる攻撃で戦死。
主力艦隊も大打撃を受けて、攻略部隊の三分の一にまで数を減らしていた。
 連邦軍は、残存艦隊を再編成して、攻略を決定した。

「わが部隊は、敵の防衛ラインのこの部分。通称Nフィールドの防衛線を突破し、ア・バオア・クーに取りついて、内部から制圧する。」
 第3艦隊司令のワッケインは戦死し、後任で第3艦隊司令になった、ルプレヒトが、作戦を説明する。
「この際、最大の障害になるのが、偵察隊が撮影に成功した、この大型空母だ。」
 ディスプレイに、巨大な空母の姿が映る。
『これはこれは、また…。一筋縄どころか、生還の希望もないように思えるぜ。まるで、地獄の門だな。』
 ダンテの神曲を思い出しながら、ディスプレイに移った空母を見る。
「この空母を沈めないことには、先へは進めない。幸い、艦艇数においては、わが軍が勝る。搭載されるMSは、発進する前に発進口を破壊し、無力化する。この空母は、艦砲射撃で沈める。これが基本構想だ。」
『それでも、いけるかどうか疑問だな。それぐらいは、向こうも予想しているだろうさ。けど、他に妙案がないんだよなあ。精々、さっさと発進口を破壊するくらいだが、それには、高機動性を持つ、MSがないとなあ…。ジムじゃ、きついぜ…。艦砲射撃以外にも、火力が欲しい。さて、どうしたもんか…。』
 空母の全長は推定500mと説明を受けて、ヒルトは絶望的な気分になる。
 どれだけのMSが搭載されているかもわからないし、残ったエースも少なからず、この艦を母艦にしているだろう。
 それを考えると、作戦の困難さが嫌でも理解できた。
 ヒルトは会議に参加している各部隊の指揮官の表情を観察するが、似たようなものだった。

「と言いながら、希望の欠片くらいは残ってるもんだな。」
 ガウェインに戻ったヒルトは、搬入されたMSを見上げた。
 FA−78HM フルアーマーガンダム・ハイマニューバ
 ガンダムに追加装甲を搭載し、防御力と攻撃力を向上させるフルアーマータイプの系譜の一つだが、大推力追加スラスターを装備し、高機動化も目的としている。
 試作型を経て完成した、強化型ビームライフルに、肩部の75mmガトリング砲4門、右腕に装備されたツインビームサーベルシールド。
 100mmガトリングガンとヒートサーベル2基に装備が変更された、左腕の複合兵装シールド。
 さらに背部には、ビームキャノンとビームサーベルが2基ずつ搭載され、腰部には4連装ミサイルポッドが左右に装備されており、武装も申し分ない。
「ついに、ガンダムまでテストですか。俺らのジムも増加装甲と武装が強化されていますけどね。」
 アランとアレクのジムCには、ルナ・チタニウム製の追加装甲が装備され、量産向けに試作されたビームライフルに、240mmキャノン砲2基、腕部に75mmガトリング砲が装備されている。
 機動力を落とさないよう、スラスターの推力も引き上げられていた。
「俺たちが、道を開くことになりそうだな。ジムだと死屍累々だ。とにかくあの化け物空母のMS運用能力を潰さないと、後が辛すぎる。」
「ですね。」
「いや、本当に。」
 3人で、自分たちのMSを見上げた。

「ブリュンヒルトハルトマン。フルアーマーガンダム・ハイマニューバ、出撃する!各機続け!!」
 戦闘が始まったのは、作戦会議から3時間後だった。

『妙だな。ビームライフルとビームサーベルを装備したMSが出るのは想定内にしても、パイロットの練度が低い。』
 MS−14A ゲルググ。
 MS用ビーム兵器で、連邦に後れを取っていたジオンが開発に成功した、初のビーム兵器標準装備のMSであり、高いスペックを誇っている。
 が、ヒルトが交戦したゲルググのパイロットは、その性能をほとんど活かしていない。
 一部の機体には、熟練パイロットが乗っているようだが、それ以外は素人もいいところの技量だった。

「中佐、おかしいですよ。ザクやドムは腕利きが多いですけど、ビーム兵器持ってる新型は、素人だらけだ。どうなってんです?」
 アレンが、通信を入れてくる。
「お前も気づいたか。どうやら、学生も動員して最低限の訓練を受けさせて、戦場に送り出した。そんなとこだろうな。」
 1機ゲルググを仕留めながら、そう答えた。
「こっちは3分の1やられてからの、作戦開始だけど、向こうは向こうで余裕がないってことですかね?」
「だろうよ。けど、油断すんなよ。エースだって、それなりにいるだろうし、あの化け物空母もある。何としてでも、そこまでいくぞ。」
「「了解!」」

「第4戦隊のMS部隊は、よくやってくれているな。たしか、フルアーマー化した上で、高機動化した試作型ガンダムが運用されていたな。」
「はっ。隊長のハルトマン中佐は、前任のワッケイン司令が、ソロモン攻略に当たって、自ら白羽の矢を立てたパイロットです。地球でのキャリフォルニア攻略戦でも、多大な功績をあげていますし、ソロモン攻略戦でも、活躍しています。」
 副官の話を聞いたルプレヒトは、しばらく考え込む。
「よし、彼らが道を切り開いたら、MS隊はそこに集結させろ。一点突破を図る。各部隊に命令を伝えろ。」
「はっ!」

「ええい!なぜ、あの部隊を止められん。部隊をさらに投入しろ!!」
 ドロス艦長のアパリシオ中佐は、ヒステリックになりながらも、ヒルト率いる第4戦隊のMS隊に新たな部隊を叩きつけた。

「MAかよ!何てもの、ぶつけやがる!!」
 部隊に無視できない損害を与え続けるMAを見て、ヒルトは悪態をつく。
 MA−05 ビグロ。
 ジオンが、初めて開発に成功した、宇宙空間での運用を前提としたMAである。
 優れた加速性能と強力な武装を併せ持つ、優れたMAで連邦のMSパイロットには、これ以上ないほどの疫病神だった。

「だが、こっちだって、高機動仕様なんだよ!!」
 ビグロから発射されたミサイルを回避し、肩部のバルカン砲でけん制しつつ、ビームライフルと、背部のビームキャノンで撃破する。
 ビグロの爆発を隠れ蓑にするように、格闘用のクローでガンダムを仕留めようとする新たなビグロが現れるが、左のシールドに装備されている100mmガトリングガンで蜂の巣にする。
 他のビグロも、ボールの支援砲撃でけん制して、ジムが止めを刺すという戦法で、ビグロを仕留めていた。
「ようし、見えたぞ!ジムは、バズーカを用意しろ。ボールは精密砲撃用意。カタパルトを潰して、搭載しているMSとMAを発進不能にする。」
 命令しながら、ヒルトも精密射撃用のスコープを出して、狙いを定める。

「砲撃開始!!」
 ガウェインに続いて、オリオン、デュケーヌ、アウグストが砲撃を開始する。
「敵部隊の砲撃!来ます!」
「迎撃せよ!!ドロスがただの空母ではないことを、思い知らせてやれ!」
「敵MS部隊、艦底部に接近!」
 ここに至って、アパリシオはオルドリッジの策に気づいた。
「おのれ!狡猾な!!発進可能なMSを、すぐに発進させろ!」
「駄目です。間に合いません!!」
 オペレーターが報告するころには、MSカタパルトの半分が破壊され、格納庫の弾薬に誘爆していた。
「第1、 第3。第4、第6格納庫、弾薬に誘爆!」
「消化を急げ!!隔壁閉鎖!他の区画への誘爆を、何としてでも防ぐのだ!!」
 アパリシオの命令に従い、ドロスの将兵は死に物狂いで作業に当たる。
 しかし、状況は悪くなる一方だった。

「よし。半分は、ア・バオア・クーに向かえ。ガウェインには支援砲撃を頼んでおく。残りの半数は、周囲の掃除だ。俺は、このデカブツに引導を渡す。」
「「「「了解!」」」」
 ヒルトの命令に従い、第4戦隊の半数は、ア・バオア・クーに向かう。
「とはいえ、被害は3割を超えちまった。さてと。」
 ビームライフル、ビームキャノン、100mmガトリングガンの狙いをドロスに定める。
「沈め!!」
 止めを刺されたドロスは、あちこちから爆炎を吹き出し轟沈した。

「ドロス轟沈!!」
「Nフィールドの敵、間もなく要塞本体に取りつきます!!」
 ア・バオア・クーの指令室では、オペレーター達の報告が続く。
「直衛部隊をすべて出せ。なんとしても、取りつかせるな。」
 ギレンを、父デギン謀殺の罪で射殺したキシリアは素早く指示を出す。
「はっ!」
「Sフィールドは、どうか?」
 ルザル艦隊が攻略を担当している、Sフィールドの戦況を尋ねる。
「既に、防衛部隊は壊滅寸前です。」
『もたぬな。』
 陥落は時間の問題と、キシリアは判断した。

「ようし、あと一息だな。」
 ガウェインで補給を受けいる最中、レーションで食事を済ませたヒルトは、コックピット内でチェックを大急ぎで済ませていた。
「中佐。あと一息だ。必ず、生きて帰ってこい。他の者も、できる限り多く連れ帰ってな。」
「了解しました。」
 オルドリッジとの通信が終了した後、ヒルトは出撃しようとしたが、その前に、ア・バオア・クーは陥落。
 脱出を図ったキシリアも、要塞内で乗艦が沈み脱出できなかった。
 その後、抵抗を続ける部隊を掃討しながら、年が改まる。

 宇宙歴80年1月1日。
 地球連邦とジオン公国との間に、終戦協定が結ばれ、世にいう1年戦争が、終結した。

「じゃ、元気でな。」
 荷物をまとめたヒルトは、アレン達に別れを告げていた。
「中佐、本当に除隊するんですか?大佐たちだって、引き留めていたのに。」
 アレクが引き留めようとする。
 最終的に、第4戦隊のMS部隊は半数近くが失われたが、Nフィールドの防衛ラインの攻略で最も活躍した事は事実であり、ヒルトはオルドリッジらから、考え直すよう、求められたが、腐った上層部に愛想を尽かしていたヒルトは、それに耳を貸そうとはしなかった。
「さすがに疲れたしな。退職金に年金も出る。これからは、第二の人生を歩むとするさ。」
 そう言って、空港のターミナルに向かった。

『さて、どうするかねえ?働かなくても暮らせるから、のんびりするのも悪くない。ま、ゆっくり考えるさ。時間は山ほどあるんだからな。とにかく疲れた。頼むから、このまま、平和が続いてほしいものさ。』
 そう願いながら、ヒルトは飛行機の窓から外を見ていた。

後書き
ようやく終わったという感じです。
当初は、ちょっとした連載のつもりだったのですが、思ったより長引きました。
中々、予定通りにはいかないものですね。
ガンダムの二次創作では、ガンダムAGEの二期後半の展開に手を加えた上での、オリジナルのキオ編のネタがあります。
連載するかどうか、プロットがきちんと整ったうえで、判断して連載しますか。
他の二次創作としては、コードギアスとか、マブラヴオルタネイティブのスピンオフのような作品とか、ネタはいろいろあります。
どれにしますかねえ。
ゆっくり考えますか。


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