cogito,ergo sum

アクセスカウンタ

zoom RSS 機動戦士Zガンダム〜ネオ・ジオン戦役〜 第26話 蠢く者達

<<   作成日時 : 2012/09/21 23:24   >>

面白い ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 2

「おい。いいニュースが入って来たぜ。」
 ジブラルタルで、アーガマが、宇宙へ戻る準備をしている最中、ヤザンが吉報を持ってきた。
「何です?中尉。」
 麾下のMS整備状況の書類に目を通して、サインを済ませたカミーユが、訊ねる。
「サイド4のウラキ中佐が、ネオジオンの攻略軍を全滅させたとよ。」
 一瞬の沈黙の後、ブリッジは喜びの声に包まれた。
「さすがに、ウラキ中佐といった所か。見事だ。」
 以前の戦いで、ウラキの技量を高く評価していたクワトロは、称賛しながらも、納得した。
 パイロットとしての技量。
 指揮官としての作戦立案能力に、指揮能力。
 それらを全て備えるウラキならば、並みの部隊は叩きのめせると考えていた。
「ハマーンにとっては、頭痛の種が増えるだろうな。人材に余裕が無い分、新たな指揮官を選ぶのは、容易じゃない。さらに、兵の練度が低いと解っていても、その兵で新たな部隊を再編しなければならない。魔法のランプが、あるわけではないからな。最悪、サイド3が手薄になると解っていても、自らの直属部隊を率いて、サイド4を攻略するしかないな。」
 書類のチェックを終えたブライトが、シートから顔をのぞかせて、自分の意見を言う。

「そうなれば、ことだな。ハマーン相手に、どこまで持ちこたえられるか。これは難問だぞ。今までの、パイロットとは天と地ほどの差がある。」
 地球の戦況が、カラバ優勢になり、議論の結果、アムロは、フォン・ブラウンで竣工した、新造戦艦のMS隊長に就任すべく、アーガマに乗り込んでいた。
「私と、カミーユ、フォウ少尉に、エレオノーラ少尉。それに、アムロ大尉。この辺ではないかと、思うのだが…。」
「どうしたんだ?クワトロ大尉。何か思う所でも?」
 クワトロの口調から、何かほかに言いたい事があるように思ったアムロが、訊ねる。
「ウラキ中佐の、潜在的なポテンシャルが気になる。それ次第によっては、或いは…。」
「僕は、クワトロ大尉とは別の視点で、ウラキ中佐は、ハマーンとも渡り合えるような気がします。」
「何だ?そりゃ。」
 クワトロの意見には、納得できたヤザンだが、カミーユの意見が理解できなかった。
「中佐のMSのデータを見せてもらったんですけど、拡張性が高くて、改修の余裕が、大分高いんですよ。他にも、ユニットを追加しての、戦力強化が可能だと思いますよ。」
「成程。」
 MSの専門知識にも造詣があるアムロは、すぐに理解する。
「つまり、あれか?あのMS、まだ強くなる余地があると思って、いいのか?」
「ええ。それも、我々の予想以上に。設計段階から、戦況が激化した際に性能強化を前提としていた気がするんです。」
「まあ、そこの所は、宇宙に行きゃ解るだろ。これで、ケリをつけようぜ。」
 ヤザンの言葉に、皆が頷く。
「艦長。準備完了、いつでも行けます。」
「よし、アーガマ発進!」
 後部に増設された、大気圏突破用のロケットブースターに火が付き、マスドライバーを一気に駆け上り、宇宙に向かう。

『サイド4攻略部隊が、全滅…。』
 報告書を読み終えたハマーンは、酷くなる頭痛を必死にこらえていた。
 グレミーの部隊の敗北の報の次に、これほどの凶報が届くとは、さすがにハマーンも予想していなかった。
 それ以上に、サイド4の戦力を過小評価していた自分に気づき、さらに頭痛が増す。
『今は、各サイドに睨みを聞かせるだけで、手一杯。これ以上、部隊は割けぬ。とはいえ、放置しておくわけにもいかぬ。だが…。』
 部隊を編成できても、水準を下回る司令官と、練度の低い兵で構成された部隊では、やられに行くようなものだ。
 人員と物資を無駄に浪費するほど、ハマーンは愚かではなかった。
 しかし、愚策と解っていても、それを用いるしかない状況が、すぐそこに近付いている事をハマーンは皮膚で感じていた。

「ハマーン様。グレミー・トト様、御帰還なされました。」
「通せ。」
 アマーリエにグレミー帰還を告げられ、ハマーンは、思考を一時中断した。

「ご苦労であったな。グレミー・トト。」
「いえ。せっかく、サイコガンダムまで預けていただいたのにも関わらず、むざむざ、敵に破壊され、敗退しての帰還。このグレミー、言うべき言葉も見つかりませぬ。」
『ハマーンは、どう出る?サイコガンダムまで破壊されたとあれば、ラカンのようには行くまい…。』
 恭しい態度の裏で、グレミーは自分の進退を考えていた。
 常識的に考えれば、閑職に回されるだろう。最悪、自殺を持って罪を購えと言われる可能性も、少なくない。
 ラカンの時とは異なり、相手と同等の性能のMSを与えられ、強力な拠点制圧力を持つ、サイコガンダムを失っているとなれば、敗北という言葉の重さが違うからである。
『賭けだな…。』
 今後の自分の未来を勝ち取る為に、グレミーは一世一代の賭けをしていた。

『ほう。少しは、自分の立場を、理解しているようだな。さて、どうするか。いや、今の状況では、既に答えは出ている。』
「サイコガンダムの件は、さほど気に病む必要はない。元々、拾い物だ。それに、NT用MSをぶつけた際の戦闘データを、得る事が出来た。痛手だけを被った訳ではない。それに、サイコガンダムを預けるまでの、調査・修復で、多くのデータや技術を物に出来た時点で、失っても、さして、痛手を被りはせん。任務ご苦労であった。データは、技術陣が分析している、後の我が軍のMSの開発にも、役立とう。その後、汚名を晴らせ。機会は存分にあるし、連邦の俗物共など、お前の敵ではない。今は、休むがよい。」
「寛大なるご処置に、感謝します。汚名は、必ず晴らしてごらんに入れます。では。」
 恭しく礼をして、グレミーはハマーンの執務室を去る。

『ふん。今頃、賭けに勝ってほっとしておるだろうよ。だが、何度も勝てるとは思うなよ。今は必要だから、生かしておるにすぎん。それを忘れずに、身を慎んでおれば、多少の事は大目に見てやろう。』
 ハマーンは、今回の帰還が、グレミーにとって、今後の未来を勝ち取る為の賭けになる事を充分理解していた。
 状況次第では、左遷なり、自殺なりさせていたが、そんな余裕はないので、そうせずにいるだけである。
『いずれにしても、奴は必要だ。あまり、愉快な気分ではないがな…。』
 急にアルコールが欲しくなったハマーンは、棚から、年代物のシェリー酒とグラスを取り出す。

『どうにか負けずには済んだな。今の所、運に見放されてはいないという事か。サイド4攻略部隊が全滅した事が、良い風を吹かせたとは、何と皮肉な事か…。』
 自分の執務室に戻ったグレミーは、椅子に腰かけながら、口の中に苦々しさを感じずには、いられなかった。
 今までは、全てのコロニーが睨みあいになっていたが、その均衡がサイド4で崩れた。
 情報によると、全てのコロニーに情報が届いている事から、連邦の士気は上がり、ネオジオンには少なからぬ動揺が走っていると、グレミーは見ている。
『もはや、動かずにはいられまい。その時こそ…。』
 グレミーは、デスクにある物とは別の通信機を取り出し、回線に繋ぐ。

「主任、グレミー様から通信が入っております。」
 白衣を着た中年の研究者が、主任と呼ばれる研究者を呼ぶ。
「お帰りになったか。今、行く。」
 作業の手を止めて、主任は通信機の前に座る。
「お帰りなさいませ、グレミー様。」
「早速だが、作業の進み具合はどうだ?」
 グレミーの質問が、よほど嬉しかったのか、主任は笑みを浮かべる。
「調整はすでに済んでおり、今は学習段階の大詰めです。全体としては、8割を終えたところでございます。」
「そうか。まずは喜ばしい報告だな。で、例の物は。」
「既に、最終調整に入っております。地球でのデータが来ましたので、いよいよ大詰めでございます。如何なさいますか?ここでは、少々…。」
「そうだな。だが、くれぐれも気づかれぬように用心しろ。気づかれれば、互いに破滅だ。解っているな。」
「承知しております。では、直ちに…。」

 通信機を元に戻して、グレミーはこれからの事を考える。
『時が来るのを、待つばかりか…。後は、どう使うかだ。駒を活かすも殺すも、指し手である私次第だからな。』
 対峙する相手。
 ハマーン・カーンという指し手が、どれだけ手強い相手か解っているだけに、駒を動かすにも、慎重さが要求されることを、グレミーは改めて認識していた。

「よいデータが取れますね。主任。」
 グレミーとの通信が終わってから、主任は近くの研究者と話をしていた。
「うむ。極上のデータがな。相手は、百戦錬磨のニュータイプ達。実地でのデータは、さぞ、次へのステップの助けになるだろうて。」
 主任は喉の奥で、笑い声を立てた。
「それまでは、あの試作品に、精々手を貸して差し上げよ。とは言っても、ザビ家の正統な血が流れておるがの。いやいや、あの方もお人が悪い。自分に万が一の事があっても、こういった保険を掛けておられた。ま、その成果が、あの御仁の手駒。そして、さらに優秀な技術の粋が誕生する。そして、それはさらに優れた技術の礎となる。ザビ家の為のな。で、ミネバ様の周辺とは連絡を、取っているだろうな?」
 主任が、研究者に確認する。
「無論です。誰にも気づかれておりません。あの御仁も。」
 主任が満足そうに、頷く。
「マハラジャの小娘も、知らぬとはいえ、よくやってくれておる。もう少しばかり、踏ん張って貰うとするか。ふふふ…。」
 10個のカプセルの奥に、さらにカプセルがあり、そこには何も書かれていないネームプレートがある。
 主任は、歩いて行き、ネームプレートを見る。
「さて。親としては、名前をつけてやらねばの。番号では、ちと興がない。」
 そう言って、顎に手を当て、考え始める。

 その頃、アーガマと、アムロが隊長を務めるMS隊を搭載した、アイリッシュ級戦艦「リア・ファル」は、あるコロニーを目指していた。
「それにしても、最強カルテットに新型機か。アムロ大尉のMSも航行中に改修。忙しいこった。」
 ヤザンはフォン・ブラウンで受領し、サイコミュ調整をしている、カミーユ達の新たな機体を見上げていた。
「そういう中尉達こそ、Zプラスには慣れましたか?」
 書類にサインして、整備兵に渡しながら、アストナージはヤザンに訊ねる。
「Z系なら問題ねえよ。なんせ、何度も戦ってるし、フォン・ブラウンでの訓練も、すぐに慣れたから、ぱっぱと終わっただろう?それに、バイオコンピュータは、ハンブラビで慣れてたからな。シロッコの野郎、勝手に仕込みやがって。」
 嘗ての乗機ハンブラビの開発には、シロッコも関わっており、密かにバイオコンピュータが搭載されていた。最初に搭乗した際、ヤザンは得体のしれない何かを感じたが、今は既に慣れていた。
「まあ、そこまで言うんなら大丈夫なんでしょうがね。それにしても、アーガマは、手のかかる機体ばかりに。なったもんだ。」
 新たに配備された、カミーユ達の新型機。
 ヤザン達の乗機として、新たに配備されたZプラスC3型。
 マハトは、全てが追加装甲を装備されている。
 ZプラスC3型は、頭部にメガキャノンを装備したC2型の改修型で、改良され、ニュータイプ以外のパイロットにも対応できる、バイオコンピュータを搭載し、ジェネレータ出力を強化。
 威力を維持しつつ、小型化に成功したビームスマートガンを装備した、新型機である。
 高性能だが、Z特有のピーキーな操縦性の為に、可変型MSに乗りなれていて、且つ高度なテクニックを持つパイロットにしか扱えない機体になっている。

「リア・ファルには、C1型か。C3型よりは整備がしやすいとは言え、整備は楽じゃない。それに、今はηが改修中だしな。まあ、もう、終わる頃だけどな。しかし、テストをする暇もないからなあ…。」
「やむを得んだろう。ようやく、上がりかけた士気を高める為に、今回の作戦は重要だ。テストは実戦でやらざるを得んさ。」
 サイコミュ調整が終り、話を聞いていたクワトロが、ドリンクを受け取りながら言う。

 一方、その頃、アーガマとリア・ファルの目的地。
 サイド7では、駐留部隊とネオジオンの攻略部隊との間に、激しい戦闘が繰り広げられていた。
「戦況は?」
 自機の補給中に、ネオジオンサイド7攻略艦隊旗艦である、戦艦ウルバヌスの艦橋に、ラカンが姿を現す。
「はっ。スペースウルフ隊は、さらに1機が破壊され、戦況も敵に優勢のままです。」
 報告を聞いた、ラカンは拳を握りしめ、表情に悔しさをにじませる。
「あのMSさえ叩けば、戦況は変わる筈。私のドーベンウルフの補給を急がせろ。次の出撃で仕留める!!」
 ラカンの命令で、MSデッキでは、ドーベンウルフの補給と整備作業が、急ピッチで進められる。

「補給、終ったぜ。念の為、シールドを新品にしておいた。」
「すいません。助かります。」
 16歳位で、肩のあたりで髪を切りそろえた少女が、コックピットに入る。
 乗り込んだMSは、Mk.Uに似ているが、よりスマートなフォルムをしていた。
「アリサ・ベアトリーセ・リヒテル。シュヴァル・ブラン、出ます!」
 MSは再び、激戦の中に飛び込んで行った。

後書き
頭痛を抑えるための鎮痛剤が、どんな副作用を及ぼすか解らないグレミーという状況は、なんとも辛いものです。
組織にとって、真に、人材は宝ですな。
その宝を韓○とか○国に放出している、間抜けな経営者が山ほどいる国は、我々の国ですなあ…。
さて、そのグレミー陣営でも何やら怪しい動き。
どうやら、ハマーンも、知らないうちに利用されているようで。
そして、サイド7のラカンは、目下苦戦中。
理由は一体、何でしょうね?


機動戦士ガンダムMS大全集〈2009〉MOBILE SUIT Illustrated 2009
アスキーメディアワークス

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 機動戦士ガンダムMS大全集〈2009〉MOBILE SUIT Illustrated 2009 の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル












ブログ村のランキングに参加しております。
来てくださった方は、よろしければクリックをお願いいたします。
励みになりますので。

にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ

相互リンクはいつでも大歓迎です。
リンクをしてくださる方は、コメント欄にお書き下さい。
リンクの設定をした後に、お知らせします。

目次へ戻る。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 3
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
Zプラスって、確かZの量産機でしたっけ?
あんまり覚えて無いです。
確かZツーと言うのは、設計だけしたけど、ダブルZを開発したから実際は、出来て無いはずですよね(*_*)

ZプラスのC2がメガキャノン付き、と言うのを見て、ダブルZを想像してしまいました。
その想像から、勝手にラカンが苦戦しているのが、アニメじゃない子供達かも?と妄想しています。(笑)

部隊は宇宙へ、今回初めて出てきた、マッドサイエンティストっぽい科学者も気になる所です。
ハマーンは、自分が出ればコウ以外の敵なんて、一捻りなのに歯痒いでしょうね。

では、フォウ&カミーユの活躍を期待し



ています。(*^_^*)
タケゾウ
2012/09/26 12:31
タケゾウさん。
コメントありがとうございます。

>Zプラスって、確かZの量産機でしたっけ?
 カラバが大気圏内用に再設計して、後に連
 邦で少数宇宙用が生産されたMSです。

>勝手にラカンが苦戦しているのが、アニメ
>じゃない子供達かも?と妄想しています。
 さあて、どうでしょうかねえ(笑)?
 でも、ちょっと趣向を凝らしていますよ。

>ハマーンは、自分が出ればコウ以外の敵な
>んて、一捻りなのに歯痒いでしょうね。
 どこかの部隊の増援に行こうものなら、下
 手をすれば、士気も練度も高い、コウの部
 隊が出てくる可能性もありますから、動け
 ませんね。
 しっかり、コウ達が楔になっていますなあ。
 とにかく、人材不足は痛い…。
CIC担当
2012/10/01 00:35

コメントする help

ニックネーム
本 文
ブログランキング・にほんブログ村へ
機動戦士Zガンダム〜ネオ・ジオン戦役〜 第26話 蠢く者達 cogito,ergo sum/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる