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zoom RSS 機動戦士ガンダム 〜Test Force Story〜 第5話  ソロモンの戦い

<<   作成日時 : 2012/08/15 22:29   >>

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「うお!ピカピカの、新造艦じゃねえか!」
 アランの目の前には、真新しい新造艦があった。
 改ペガサス級強襲揚陸艦 ランスロット。
 連邦が初めて、MSの運用を前提に設計したペガサス級をベースに、戦訓を取り入れて、新たに設計された艦である。
 MS搭載能力はほぼ同じだが、対MS戦闘、対艦戦闘双方の戦闘力が向上している。
「俺達の戦隊の旗艦だと。んで、あっちの3隻が他の艦だ。」
 ヒルトが指を刺した方を見ると、改装したらしいサラミス級軽巡洋艦があった。
「左右に取りつけてあるのって、コロンブス級の船体を真っ二つにしたやつか?」
 奇妙な外観に、アランは首を傾げる。
「まさに、急造艦だが、これでもましな方さ。コロンブス級を母艦に改装して、数隻を集めて、艦で護衛する、一昔前の機動部隊みたいなのが、全体の6割以上だ。」
 ジャブローで、宇宙への打ち上げを待っている艦を見渡しながら、ヒルトはそう説明する。

 連邦は、戦争初期に多数の艦艇を喪失し、戦力を回復する為に艦艇の大量生産とMS開発計画V作戦を進めていたが、MSを運用する事を前提にした艦は、ペガサス級強襲揚陸艦と後に、ジャブローで受領した、ホワイトベースの戦闘データを基に設計を変更された、改ペガサス級のみである。
 これでは、戦闘に支障をきたすと言う声に、軍上層部の、頑迷な対艦巨砲主義者も無視するわけにはいかずに、補給艦コロンブス級の船体を両断し、MS用と、支援任務を主とする戦闘用ポッド、RB−79 ボール用のブロックとし、急造ながら、MSの運用能力を持たせた改装艦である。
 艦隊旗艦と艦隊の主力を務めるマゼラン級には、対空戦闘能力を強化する改装のみが行われ、MSの運用能力を備えたコロンブス級を護衛艦として、2隻が、護衛任務につく。

「地球のジオンは叩き出しましたけど、宇宙じゃ大丈夫なんですかね?主力のジムの性能じゃ、ザクはいけますけど、ドム系はヤバイですよ。」
 アレクが、不安そうな目で、搬入されるジムを見る。
「だからボールなんだろ。後方からジムを支援して、その内に、仕留めると。こんな所だと思うんですけど。どうですかね?隊長。」
 アランが、教師に問題の答えについて、教師に訊ねるようにして、ヒルトに話す。
「だろうな。とにかく、今の連邦には、ジオンほどの、MS運用ノウハウはない。それで出したのが、俺が地上で、お前達にやらせてた、集団戦闘だよ。ま、とりあえず、ソロモンを堕とせる目算が経つだけの部隊編成は、終了したってわけだ。後は、やれる事をやるだけだな。明日、宇宙に発つが、準備は?」
「「いつでも。」」
 2人の回答に、ヒルトは満足そうに頷く。

そこに、ジープに乗った兵士が来る。
「ハルトマン中佐。作戦会議の時間です。お迎えにあがりました。」
『ガキじゃねえんだから、自分で行くっつの。』
 心の中で、重い溜息をつく。
「済まないな。じゃあ、ちょっと行ってくる。」
 ヒルトが乗ったジープは、第3艦隊に割り当てられた施設に向かう。

「今回の作戦目標は、ジオンの要衝。宇宙要塞ソロモンになる。」
 各部隊の指揮官達がのどよめきが、会議室を満たす。
『あそこか…。ま、確かに、MSは揃ったけどな…。』
 ジオン本国の守りの要は、2つの宇宙要塞である。
 一つは、猛将として知られる、ドズル・ザビが守る、ソロモン。
 もう一つが。ア・バオア・クー。
 月にも、戦力は温存されているが、この二つを抜かれれば、ジオン本国は、丸裸になり、残存戦力の到着を待たずに、降伏する事になる。
 どちらも、落される事の許されない要塞である。
 それ故に、守りは固く、容易には落ちない。
『それに、ジムじゃなあ…。』
 コストパフォーマンスを最優先し、大量生産に成功したが、ヒルトは、今のジムでは戦力として不安を覚える。
『犠牲は、並大抵のものじゃ、ないだろうな。艦にしてもMSの運用が可能な船は多い。とりあえず、補給艦を改造してMSの運用を可能にした艦が、事実上、MSの運用艦。装甲は薄いし、火力も弱い。サラミスを護衛につけても、どこまで守れるか…。』
 ジムの開発初期から、テストパイロットとして計画に携わっているので、ヒルトは、今のジムがジオンのMSにどれだけ通用するか。すぐに理解できる。
 それ故に、艦隊も含めて、多大な犠牲が出る事は容易に、予想がついた。

「尚、今回の作戦において、我々の役目は陽動である。本隊が今回の戦いに備えて準備した、決戦兵器の使用が可能になるまで、敵の目を引きつけなければならない。故に、初期段階においては…。」
 ヒルトは、暗澹たる気持ちになった。
 今回の作戦は、総司令官であるティアンム率いる第2艦隊と、ワッケイン率いる第3艦隊が担当する。
 だが、第3艦隊は決戦兵器の準備の間、周囲の警戒に当たる必要があるので、第2艦隊が窮地に陥っても、援軍は出せない。
 準備がどれくらいで終わるのか、解らないが、その間はソロモンの全戦力は、第2艦隊に襲い掛かって来る事になる。
 開戦当初の熟練兵は、少なくなったが、それでも練度においては、ジオンが上である。
 ソロモンのMS隊にしても、同様である。
 最悪、艦隊が壊滅する危機すらある。
 ヒルトの認識は、他の指揮官も共有しており、苦渋の表情を浮かべる。

「諸君らの懸念は、私も解る。だが、今回の攻略作戦の要たる決戦兵器が、万全の状態になるまで、どうしても時間がかかる。苦しい戦いに、なるだろう。だが、堪えて欲しい。」
 ワッケインにここまで言われては、各部隊の指揮官も何も言えなかった。
 ヒルトを含めて、一斉に起立して、敬礼する。
 そして、ワッケインが答礼して、作戦会議が終了し、第2艦隊、第3艦隊は、宇宙に上がり、ソロモンに向かった。

「連邦の大部分が攻めてくるのに、増援が、未完成で問題を抱えた、MA1機だと!?せめて、リックドムの100機位、まわせんのか!?」
「はい。現状では、これが精一杯との事です…。」
 ソロモンの司令官を務める、ドズル・ザビが怒り狂うのを、副官が必死に落ち着かせようとする。
「ここで、喚いてもしかたあるまい。組み立てを急がせろ。総員第1戦闘配置。哨戒部隊を出せ。敵艦隊を発見次第、MS部隊を展開させる。要塞の全砲塔は、いつでも砲撃が出来るようにしろ。このソロモン。何があっても、落させる訳にはいかん。何としても、死守するぞ!!」
 ザビ家は兄弟同士が、政争を繰り広げているが、ドズルは純粋な軍事であろうとしている。
 だが、それ故に、まずい事になる場合もあった。
 今回は、まさに典型的で、しかも最悪の事例だった。
 が、それでも、ドズルは怒る自分を落ち着かせ、的確に指示を出していく。
 彼自身、決して無能ではなく、優秀な指揮官である。

「おお、おお。出てきたな。さすがに凄い数だぜ。」
 軽口を叩いてMSデッキに向かいながら、ヒルトはどう戦うかを考えていた。
「ブリッジへ、こちらブリュンヒルト・ハルトマン中佐。各艦のMS隊、出撃準備完了。」
「了解、順次発進せよ。」
「全機、出撃だ。行くぞ。」
 リバースが出撃して、各艦からもジムとボールが出撃する。

「ワッケイン司令。MS及びボール部隊、直衛を残し、全て発進完了。」
「第一段階、突撃艇部隊、発進!」
 大型ミサイルの搭載能力を持つ、パブリク突撃艇が発進しビーム撹乱幕を充填したミサイルを発射して、ソロモンのビーム砲台を無力化する。

「小癪な真似を。ミサイルで弾幕を張りつつ、MS部隊と突撃艇部隊で敵部隊を撃破しつつ、戦線を押し上げろ。撹乱幕はいずれ効力を無くす。砲台の破壊を許すな。」
 ドズルとて、一年戦争が始まって以来、幾多の作戦指揮を執ってきた将帥である。
 個人としては気が短くとも、司令官として、それを欠点にするような男ではなかった。

『思ったより、少ないな。予備兵力として温存しているのか?』
 MSが発進中のムサイを、腰部ミサイルで撃沈させながら、ヒルトはソロモンに駐留するジオン軍の攻勢が予想を下回る事に、疑問を感じていた。
「どうしました?中佐。」
 ドムを、宇宙用に改装した、リックドムをビームサーベルで仕留めて、アレンが、通信を入れる。
「温いなと思ってな。ドズルは猛将だ。全軍でこっちを仕留めると思っていたんだがな。」
「第2艦隊を、警戒してるんじゃないですかね?」
 ザクを仕留めたアレクが、自分なりの考えを言う。
「第2艦隊は、ソロモンの索敵網の外を航行して、決戦兵器の展開ポイントにいるんだ。それは無いさ。」
 3人で話こんでいると、高機動型ザクを指揮官とする部隊が、襲いかかってきた。
「とりあえず、目の前、何とかしよう。話こむ暇もない。」
「「了解。」」
 麾下の部隊の状況を確かめ、ヒルトは戦いに専念する事にした。

「ソロモン防御施設、完全に破壊。」
「突撃艇の損害は?」
「7割以上です。」
「そうか…。」
 ビーム撹乱幕で無力化し、後にミサイルで破壊する。
 要塞の防御施設を破壊する作戦は、突撃艇部隊に多大な損害を出す事は、ワッケインも承知していたが、予想を大きく超えていた。
「全艦隊に伝えろ。要塞に対抗する術なし。存分に戦うように。」
「はっ。」
『生き延びろよ。1人でも多く。』
 戦場で犠牲者が出るのは、やむを得ないが、作戦が成功すればどれだけ犠牲が出てもしょうがないという思考回路を、ワッケインは持ち合わせていなかった。

「こっちの損害は?」
 ランスロットに補給の為に帰艦したヒルトは、MS部隊の損害を確認する。
「既に、2割5分に達しようとしています。」
「くそったれが!!決戦兵器とやらは、何時使用可能になるんだ!?俺は、俺やアラン達は、腕もそうだが、機体のスペックが通常のジムより優れていたから、生存率も高いが、普通のジムじゃこうはいかないんだぞ!だから、コストダウンに固執するなと、プロトタイプが採用にならなかった時に、言ったんだ!それを…。」
 コストダウンを図った事で、ジムはより大量生産が可能になった。
 だが、代償として、様々な部分で性能の低下を招き、結果的に生存率の低下に現れていた。
 コストダウンしたジムが採用された時に、ヒルトには既にそれは予想の範疇だった。

「補給完了しました。」
「解った。」
 中身が空になった、チューブ式の宇宙食のパックをそのままにして、ヒルトはリバースに搭乗する。
「各機、よく聞け。発進したら、近くの連中とチームを組んだ後、互いの連携を、より密にするんだ。シールドも有効活用しろ。いいな。生き延びろよ!」
 命令を出した後、リバースはカタパルトに設置される。
「ブリュンヒルト・ハルトマン。ジム・リバース。出撃する!」

「何?普通とは、違うジム?」
「はっ。おそらく指揮官機と思われますが、そのジムと、麾下の部隊の為に、こちらの損害が多く。戦線の維持に支障が出始めています。」
「ガンダム以外に、そんな奴がいるとは、報告されておらんぞ。姉君か…。」
 ザビ家の内紛が、敵軍の情報にまで及んでいる事を知って、ドズルは、壁を殴りたくなるが、どうにか、それを抑えつける。
「その、ジムを撃破しろ。出来る限り、戦力を回せ!!」

「くそ、マジかよ!!」
 ヒートサーベルで、リックドムを撃破しながら、ヒルトは舌打ちする。
 自分達の部隊に襲い掛かる敵が、急速に増えていた。
「なんか、やったんですか?中佐。」
 バルカン砲でザクを仕留めたアレンからの通信が、入る。
「んな奴に見えるか、俺が。軍人だがな。俺は模範的だぞ。常に、味方と部下の為にベストを尽くしてるんだからな。」
 リックドムのヒートサーベルを、ヒートサーベルで受け止めて、ビームライフルで仕留める。」
「だからですよ。こっちにはベストですけど。向こうに取っちゃ、最悪ですからね。」
 ビームサーベルで、ザクのジェネレータを串刺しにして、離れながら、アレクが、一息つきながら通信を入れる。
「そりゃ、すいませんでしたね。各機、きついじょうきょうだが、ペアを組んだ機との連携と、防御をしっかりする事を忘れるなよ。いいな。」
 リックドム3機のハイパーバズーカの射撃を、優れた機動性でかわしながら、すれ違いざまに、両断する。
 その時、ソロモンを強烈な光が、包んだ。

「何だ?あれ。」
 ヒルトが見たのは、強烈な光がソロモンを焼く様だった。
 内部では、多くのジオン兵とMS、艦艇が飴のように溶けていった。
「どうやら、決戦兵器らしいですね。」
「しかしまあ。すごいねえ。」

 その後、第2艦隊は、無傷の戦力を一気に叩きつけた。
 第3艦隊は、戦力を再編成して、第2艦隊と連動して総攻撃を仕掛けた。
 太陽光を大量のミラーで反射・収束する決戦兵器、ソーラレイによって、ジオンは多大な損害を受けた。
 しかし、全ての予備兵力と、完成したMAビグザムで徹底抗戦し、連邦軍に大量の損害を与え、総司令であるティアンムは戦死。
 だが、ビグザムはガンダムが撃破。
 組織的な抵抗が不可能となったジオン軍は、ソロモンを放棄し、撤退。
 連邦軍は、サイド3攻略の橋頭保を得た。

『生き残ったな。生き残ったが…』
 ヒルトの第4戦隊MS部隊は、3割を超える損害を出していた。
 だが、それでも、他の部隊に比べれば、まだいい方である。
 今回の作戦に投入されたMS隊は、4割以上が撃破されている。
 全滅した部隊も、少なくない。

『後は、ア・バオア・クーか。せめて、装甲を多少なりとも強化してやって、ジェネレータの出力を強化してやってほしいね。スラスターのセッティングの変更も難しいわけじゃない。整備中に、充分可能だ。』
 僅かな改良で、ガンダムのビームライフルも普通に扱う事も出来るようになるし、コックピット周辺とジェネレータ周辺の装甲を少し強化するのも、時間がかかる作業ではない。
 次の戦いは、間違いなく、もっと激しくなる。
 せめて、MSを僅かなりとも改修して、生存率を上げて欲しい。
 私室でベッドに入りながら、ヒルトは、切にそう思った。

後書き
簡単に書けるかと思いきや、結構悩みました。
試験部隊が主人公なので、その色を出すのが思ったより難しかったですね。
何と言っても、通常のジムとは、全く別物ですから、それを活かすのに苦労しました。
何とか、書ききれましたが、次も大変なんでしょうね。
さて、次で最終話。
きちんと書ききれるよう、頑張ります。


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