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zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第28話 たまには散歩で一休み

<<   作成日時 : 2012/08/11 23:56   >>

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 紅椿のデータを見ながら、俺はラボで作業をしていた。
 はっきり言うと、第四世代ISは、追加武装パックを使用する事を想定していないので、開発は難しい。
 原因は、第四世代の特徴である展開装甲だ。
 状況に即時対応する展開装甲は、それ自体が、追加武装パックと言える。
 それ故に、第四世代ISは、様々な状況に即時に対応できる。
 言ってしまえば、追加武装パック自体が必要ない。
 パックを使用する事によって、状況の変化に対する対応能力が弱くなる可能性もある。
 装備した部分の展開装甲が使用できなくなっては、何の意味もない。
 何より、今は、亡国企業の出方を考慮する必要がある。
 情報によれば、盗まれたままになっているISは、サイレント・ゼフィルスのみ。
 今の所は、スペックの面では、ブルー・ティアーズの方が勝ってるし、セシリアも確実に腕を上げている。
 ただ、相手の技量が解らない以上、油断はできない。
 これは、セシリアも解っているだろう。
 セシリアだけじゃない。
 IS学園の専用機持ちは、全てターゲットになる。
 だが、事が事だから、真相を話せない。
 皆、自主的にステップアップしているし、足りない分はチームワークで補うしかないだろう。

 とにかく、キャノンボール・ファスト用のパックだ。
 俺はコンソールを操作して、展開装甲のない部分を色分けする。
「やっぱり、肩部、上腕部、腰部に脚部の外側か…。」
 また何とも、ハードな所だな。
 まあ、普通のISも上半身には装甲自体ほとんど無いのも少なくないしな。
 白式はあるけど。
 今は万能型だけど、俺自身、近接戦闘が多いからそれへの対策だろう。
 物理装甲も、かなり頑丈だし。
 しかし、難しいぞ。これ。
 白式は紅椿のデータをもとに、展開装甲の配置が考慮されているが、紅椿の場合、全身に展開装甲を実装したISの実験機としての性格が、強い気がする。
 確証はないが、俺の技術屋の勘と、各種データを突き合わせるとそう結論が出る。
「PICにするかな…。」
 ISの浮遊・飛行のメインシステムのPICを応用すれば、いけそうだけど。
「駄目か…。」
 最適化したとはいえ、紅椿の燃費の問題が解決した訳じゃない。
「だいたいは、追加スラスターとかで解決するけど、さて、どうするか…。」
 俺も、少なからず、追加スラスター増設型だしな。
 他の推進システムとなると、きついけど、あれになるかな…。
 でも、あれは冷却ユニットの小型化とか、やること多い割には、推力低いしな。
 技術的には可能だけど、これはボツだな。
 けど、普通のスラスターじゃ、展開装甲を機動に回した際のスピードに追い付けないよなあ。
 うん?まてよ。
 あれなら、いけるか?
 併用すれば、うまくいくはずだな。
 ただ、それだと、エネルギー問題が付きまとうな…。
 いい線いったと思ったが、また、エネルギーの問題か…。
 待てよ…。
 あの手があるか。
 よし、これで行ってみよう。
 俺は、シミュレーション・プログラムにアイデアを検討させる。
 無論、俺も、駄目だった場合やさらにいい手がないかを考える。
 とりあえず、一歩進んだな。
「いい結果、出てくれよな。」
 しばらくして、非常に有効だという結果が出た。
「おっしゃ!」
 俺は、思わずガッツポーズを取る。

 サーバーで、試作型のナノマシンの図面を作って、製造に入る。
 その間に、俺はテスト環境を整える。
 しばらくして、ナノマシンが完成する。

 ナノ。
 1mの十億分の一の単位の大きさだが、立派なハードだ。
 目には見えないので、普通の人は実感ないだろうけどな。
 俺は、それをテスト環境にセットして起動させる。
 虹のように輝く、ナノマシンの群体。
 テスト結果が、ディスプレイに表示される。
 よし、充分に実用レベルに達している。
 これなら、紅椿でも問題ない。
 何でも、やってみるもんだな。
 これで解決。
 そんじゃあ、ファクトリーに、データを入力して製造開始と。
 ファクトリーでは、部品の製造、組みたてを全自動工程にして、最後は俺がチェックをする。
 ま、最後は人間のチェックが無いと仕上がらないから、完全な全自動製造ラインなんて無理だね。
 それを目指している企業もあるけど、現在のコンピューターで、人間より高性能な物はない。
ISのハイパーセンサーは、処理速度が速くなっているので、様々な処理を並列して行えるが、人間の経験に基づく部品の品質チェックのような、繊細な処理は無理だ。
人間の脳こそ、グレートコンピューター。
これは、しばらく変わらないだろう。俺はそう見ている。
 ちなみに、俺は製造工程の進行具合をリアルタイムでチェックできるときは、気になったら一旦止めて、大丈夫かどうかをチェックする。
 欠陥が発見されたら、それを突き止めて、改善しやり直す。
 大丈夫なら、そのまま続ける。
 いつもこうしたいが、色々忙しいから、どうしてもそうはいかない。
 だから、パーツやユニットのチェックの前に、製造過程のデータに目を通して、特に気になる点があれば、それを洗い出す。
 技術者の中では、結構、アナログな方だろうな。俺は。

 さて、ようやく終わったので、各部のチェックに入ろうとすると、携帯の着信音が鳴る。
「一夏さん。今、よろしいですかしら?」
「セシリアか。今、ちょっと、立て込んでるけど、少しならいいぞ。」
 何かは解らないが、とりあえず話は聞こう。
「あ、あのですわね。明日、お暇ですかしら?もし、よろしければ、街に出ませんか?ここの所、キャノンボール・ファスト関連の事で、一夏さんはほとんど休む間も、なかったでしょう?実は、パリにいる、私の知り合いのフレンチのシェフが、日本に出店なさるんですの。ほら、学園からよく見えるホテル。あそこの最上階。ご好意で、特別室を一番に使える事になりましたの。ランチを挟んで、たまには息抜きをなさりませんか?」
 息抜きねえ。
 つってもなあ…。
 紅椿用の高機動ユニットの、最終チェックがまだ終わってないんだよな。
 本当の最終チェックは、紅椿に実装してからだけど、その前にやれる限りはやっておきたい。
 その結果次第だな。
「ちょっと、今、立て込んでるんだ。2時間したら、こっちからかけ直して返事をするってのは、駄目かな?」
「ええ。構いませんわ。じゃあ、お返事お待ちしておりますわ。」
 そう言って、セシリアは電話を切った。
 そんじゃま、いきますか。

 セシリアは、部屋の壁にある時計に、目を向けた。
『一夏さん。いつも、お忙しいのですわね…。』
 おそらくは、紅椿に関する事。
 セシリアは、そう見ていた。
 キャノンボール・ファストに向けての展開装甲の調整で、箒が苦労している姿を、よく見かけていたのである。
 最近は、一夏が蓄積された経験をもとに、最適化と各部の微調整を行ったが、それでも駄目らしい。
 そうなると、頼みの綱は開発者であり、箒の姉である束か、束の直弟子である一夏になる。
 2時間後にかけ直すという事は、開発は最終段階だという事は、セシリアにもよく解る。
 うまくいってほしい。
 切にそう思った。

「OK!後は、紅椿に実装しての最終テストと微調整だ。」
 滞りなく作業は進み、最終テストも問題無し。
 きちんと想定通りに行くと、ほっとするな。
 傍にあったドリンクを、一口飲む。
 これで、箒の悩みも解消されるだろう。
 燃費の悪さに対しても、工夫してるしな。
 さて、セシリアに電話、電話と。

「大丈夫ですのね!?」
 セシリアは、改めて一夏に念を押す。
「ああ。お陰さまで、用事が片付いたからな。明日、大丈夫だぞ。」
「そ、それでは、明日、校門の前に9時で如何ですか?」
「了解。じゃ、明日な。」
「ええ。明日。」

『一夏さんと、特別室でのフレンチのランチを挟んで、デート!この所、出遅れておりましたけど、最低でも追いつけますわ。うまくいけば…。』
 そっと、自分の唇に触れる。
 千冬が明言した通り、惚れただけでは、一夏を自分の物に出来ない。
 なら、相思相愛になって、一夏が、誰よりも、自分に夢中になるようにする。
 後は、学園にいる3年間で、自分の技量を徹底的に磨く。
 BT兵器の偏向射撃ができるようになったが、それで満足するつもりはない。
 その上を、必ず目指して見せる。
 そうして、やっと、一夏を自分の物にできる。
 険しい道だが、セシリアは歩む決心をしていた。

「ほう。紅椿用のは完成したか。」
 一口サイズの、牛肉のレモンペッパーステーキを食べながら、千冬は感心したように言う。
「ああ。前から考えていたアイデアも、あったしな。それを利用して、終わったよ。さすがに苦労したぜ。」
「その事で、束に連絡をしてみたのだがな。」
「どう言ってた?」
 一夏としても、束の本意は興味がある。
「お前に、経験を、積ませる為だそうだ。これから、何があるか解らんからな。」
「成程…。」
 ISや追加パック、兵装開発の経験を積ませて、さらに高性能のISを開発できるようにする。
 束の狙いはそれだと、一夏は解釈した。
「で、どんなものなのだ?私にくらい、教えてくれてもいいだろう。」
「月曜のお楽しみだぜ。千冬姉。」
 そう言って、一夏は片づけを始める。

『経験か…。』
 寝る前に、俺はこれから自分が積むべき経験とは何かについて、考えた。
 ISでの戦闘は当然として、関連するあらゆる開発技術。
 操縦者に合わせての、各部の微調整。
 IS、パイロット双方の応急処置。
 CQC及びCQB。
 剣術に武術。
 考えれば考えるほど、頭に浮かぶ。
 とにかく、やれる事は全部やってみるか。

『誰も、いませんわよね…。』
 今年の秋の新作の、フレアスカートとブラウスに上着を羽織ったセシリアは、慎重に寮の校門に向かう。
 何しろ、自分の周囲には、想い人である一夏を狙うライバルだらけで、その他の生徒からも、専用機持ちは一夏を独占し過ぎだと、クレームが来る。
 一夏自身は、人付き合いは悪い方ではないが、休日も鍛錬や研究に当てるので、あまり遊びにはいかない。
 こういった状況で、デートに行くのが他の生徒に知られれば、どうなるか。
 間違いなく、一夏と待ち合わせをする前に、妨害される。
 とにかく、一夏と待ち合わせをすれば、セシリアの勝利である。
 学園に入学する前に受けた、軍事訓練の経験をフル活用して、校門に辿り着くと、既に、一夏がいた。

「おはよう。セシリア。」
 ベージュのジャケットに、スラックス。
 白のイタリアンカラーシャツに、無地の赤いアスコットスカーフをつけた一夏が、既に校門の前にいた。
 普段から、研究と鍛錬ばかりで、ファッションには疎いのではと、セシリアは思っていたが、目の前にいる一夏は、見事に着こなして、野性味を漂わせながらも、知的で紳士的な印象を与える。

 どうしたんだ?セシリア?
 何か、固まってるし、顔赤いし、風邪か。
 ちょっと、失礼して。
 ううん。熱はないんだけど、ますます赤くなったな。
 何だ?
 耳元で呼び掛けるか。
「セシリア!」
「あ、はい。あ、一夏さん?」
 いや、一夏さんじゃないだろう。
「どうしたんだよ?セシリア。俺を見るなり固まって、俺、変か?」
 入学してから、いろいろあって、各国のIS関係者と会う事もあるので、俺なりにファッションの勉強はしていて、今日は、秋をイメージしてみた。
「ふむ。中々、様になっているな。偶には、ウィンドウショッピングをして、ファッションセンスを磨け。これからは、各国政府や企業のVIPとも知り合いになる。不愉快な思いもするだろうが、そこは堪えろ。いずれにしても、服はきちんとした物を着ろ。それくらい、私が買ってやる。」
 そういうわけで、ちょっとした合間でも、ファッション系のサイトを覗いたりしている。
 服も自分の金で買おうと思ったが、千冬姉が俺の口座に振り込んでくる。
 20歳になるまで、こうなりそうだな。
 やれやれ。

「いえ。とても素敵ですわ。一夏さんの私服は、あまり見ませんけど、本当に素敵です。さ、行きましょう。」
 そう言って、セシリアは一夏の腕に自分の腕を絡ませて、上機嫌で歩いて行く。

「ねえ。あれって、織斑一夏よね。夏休み中、テレビでちょっとだけ見たわよ。」
「あ、本当だ。ハンサムよね。」
「あの娘、確かイギリス代表のセシリア・オルコットよ。国家代表やって、大富豪の令嬢で、織斑一夏とデート?不公平よ。」
「格差社会よねえ…。」
 ショッピングモールを歩いていると、休日で遊びに来ている、女子高生が一夏とセシリアを見て、見惚れたり、嫉妬したりする。
 世界でただ一人、ISを動かせる男性にして、世界でも有数の科学者。
 そして、美少年とくれば、放っておく年頃の少女はいないだろう。
 その一夏が、セシリアと腕を組みながら、楽しそうに話している。
 どこからどう見ても、デートである。
 できるのならば、代わりたいと思うだろう。
 だが、そうならないのが、現実である。

 しばらく歩いていると、ジュエリーショップの前に来る。
 お、これ。セシリアのブラウスに、よく似合うな。
 セシリアは、イギリスではモデルの仕事もやるから、ファッションセンスは俺よりあるし。
 プレゼントの一つも、するか。

「結構、息抜きになるもんだな。セシリアは、休日とか、よく出かけるのか?」
 ウィンドウショッピングをした後、俺達は紅茶専門店に入った。
「私も、休日の訓練は一夏さんほどではないにしても、度々行っていますから。よく来るというわけでは、ありませんが、それなりには。パーティーやレセプションに着ていくドレスや、身につけるアクセサリーを見て回って、後は、お茶を飲んだりしていますわ。
 何か、セシリアだと絵になりそうだな。
 写真集にしたらいいかも。
「じゃあ、ちょうど良かったかな。これ。」
 俺は、ジャケットのポケットから、さっき買った物を取り出した。
「開けてよろしいのですよね?」
「ああ。」
 リボンをほどいて、包装紙を丁寧にはがして、ケースを開けたセシリアが見た物は、薔薇をモチーフにした、エメラルドとルビーで作られた、精緻なブローチだった。
「綺麗…。」
「セシリアは、俺よりファッションセンスあるからさ。うまく使いこなせると思うぜ。それに、セシリアには、薔薇がよく似合うからな。気に入って貰えると、嬉しいな。」
「ありがとうございます。一夏さん。大事に使わせていただきますわ。」
 目に涙をためて、嬉しそうな笑顔をして、セシリアが礼を言ってくる。
 ハンカチを取り出して、俺はセシリアの涙をそっと拭う。
「喜んでくれるのは嬉しいけどさ、俺、涙が無い方の笑顔が、セシリアには、似合ってると思うぞ。」

 一夏には、裏表がない。無論、言うべきでない事は言わないが、言うべき時にいう言葉は、厳しい時もあれば、優しさにあふれている部分もある。
 今の言葉は後者だ。
 人は、嬉しくても涙が出る。
 が、一夏は、涙のない笑顔が好きだという。
 その方が、セシリアには似合っていると、心から思っているからこそ、一夏は言った。
 涙をぬぐう時も、これ以上なく優しかった。
『一夏さん。やはり、私、貴方が…。』
「そろそろ、時間ですわね。一夏さん。参りましょう。」
 セシリアは思いを胸に秘めて、一夏を連れて、ランチを取るフレンチのレストランへ向かう。

 ベネディクションズ・デ・ラ・ナチュール。
 フランス語で、自然の恵みという名である。
 パリの本店のオーナーシェフ、アントワーヌ・オーディアールが、日本に出店するに当たり、本店のスタッフの中から、選びに選び抜いた者達が、日本店を任されている。
 嘗ては、馬鹿にされていた日本料理だったが、その奥深さが知られるにつれ、新しいメニューのヒントを得る為に、各地の名店を訪れる事も珍しくない。
 日本店の料理長、クリストフ・バシェレリーもその1人で、2年間、京都の名店で修行を積んでいる。
 その彼の作る料理は、素材の味を壊さない、繊細な一皿。
 出店に当たり、食器も日本の職人に依頼して、自分のイメージ通りの物を作らせている。
 フランス料理と、日本料理が融合した彼の料理は、パリの本店でも絶賛された。

「じゃあ、行きましょうか。ミス・オルコット。」
「ええ。エスコート。よろしくお願いしますわ。」
 セシリアが俺と腕を組んだのを確認して、エスコートしてホテルに入っていく。
 このホテルは、海外からのビジネスマンも多く、様々な国の言葉が飛び交う。
「ミスターイチカ・オリムラに、ミスセシリア・オルコットではないかな?」
「ほう。美男美女のカップルか…。」
「そう言えば、お2人とも、恋人はいらっしゃらないとか…。」
「ありえますなあ。」
 IS関係の企業のビジネスマン達なら良かったが、中にゴシップ記事を狙っていた記者がいた。

「Aujourd'hui, nous arrivons a` notre boutique, Je vous remercie beaucoup.
Par ailleurs, et se plaire a` venir monsieur Orimura est dirige' d'honneur.
S'il vous plai^t profiter s'il vous plai^t, le de'jeuner des "Be'ne'dictions de la nature."(本日は、当店にお越しいただき、誠にありがとうございます。しかも、ムッシュ・オリムラにお越しいただけるとは、光栄の至りです。ベネディクションズ・デ・ラ・ナチュールのランチを、どうぞご堪能下さい。)」
 特別室に案内されると、日本店を任されている、クリストフ・バシェレリーが挨拶に来る。
 そうか。俺もそんなに有名人になっていたのか…。
 外でも、気をつけないとな。
 やれやれ。

 ノンアルコールのシャンパンから始まり、オードブル、ポタージュ、ポアソン、アントレ、ソルベ、ロティー、サラダ、アントルメ。全部に共通するんだけど、和のテイストを感じる。
 そういえば、日本料理からヒントを得る、海外のシェフが多いって聞いたことあるけど、この人もそうなのかな?
 締めくくりのカフェが運ばれると、セシリアが、バックからそっと何かを出す。
「開けて下さいな。」
 丁寧に開けると、畏まったパーティー用の、プラチナの台座に宝石をちりばめたブローチと、スカーフ。ちょっとした外出用のブローチとスカーフが入っていた。
「先程のお礼ですわ。一夏さんは白がお似合いになるでしょうし、何より、白式は白のISですもの。きっと一夏さんにお似合いになりますわ。」
 そこまで言われると、ちょっと照れるな。
「ありがとう。大事にするよ。」
「ええ。お互いに。」
 2人でくすりと笑って、店を出てから、町が一望できる展望台に行って、街を見下ろし、海の近くに行って、小さいが評判のケーキショップから海を見ながら色々話してから、俺達は学園の校門前で別れた。
 尚、一夏の知らぬ事だが、ホテルにいたゴシップ誌の記者が、一夏とセシリアが街を散策した事をデートとして記事にしようとしたが、ラウラから知らせを受けた千冬が、裏で手を打って記事にはならなかった。

「これが、紅椿用の高機動追加ユニットか?」
 翌日から、ISの授業は本格的にキャノンボール・ファスト対策となった。その日、俺は箒に紅椿用の高機動追加ユニットを渡し、箒は粒子化して、展開したが、見た目は楯無さんのアクアクリスタルに良く似ているので、そうは見えなかった。
「稼働させれば、すぐに解るぜ。」
「あっ。ああ…。」
 稼働させると、各部のユニットからナノマシンが放出され、それらが群体となって羽衣のようになる。
「こ、これは…。」
「綺麗…。」
「まるで、天女の羽衣みたい…。」
 皆が見惚れる。
 確かに今の箒は、羽衣を纏った天女みたいだからな。
「じゃあ、いつも通りに飛んでみろよ。展開装甲も普通に使えるぞ。」
 箒は、早速試し始める。
 加速と機動性は、いつもの紅椿をかなり上回る。
 しかも、これはちょっとした慣らし運転だから、本番はさらに凄い。
 我ながら、うまくいったな。

 展開装甲を使用したりして、一通り試した箒は地上に降りてユニットを停止させる。
「凄い、凄いぞ。一夏!まるで、翼が生えたようだ。」
 箒が興奮して、俺の手を握る。
「織斑君。篠ノ之さんの高機動追加ユニットって、どういう原理なんですか!?」
 山田先生が、信じられない物を見たという顔で、俺の所に来る。
「天の羽衣。複合式磁気推進システムです。地球だと太陽風はどうしても微弱なので、太陽風を増幅する事によって、高い加速性能と機動性を実現したんですよ。磁気推進機構は冷却等の問題が、どうしても、つきものなんですけど、それを、ナノマシンによって、解決させているんです。さらに、幾つもの太陽光発電用ナノマシンで、エネルギーをまかなっています。」
 紅椿だと、通常のスラスターじゃ無理だからな。
 これ位しか、俺には考えられなかった。
 束さんだと、どう考えたのかね?興味あるな。
 ちなみに、聞いていた山田先生は、呆然としている。

「一夏さんのも変わっていますわね。各部のスラスターはともかくとして、胸部の装甲はなんですの?」
 そうだな、もう、ぼちぼち説明していいか。
「稼働試験をしてから、説明するよ。」
「そういえば、次はお前だな。行って来い。」
「はい。」
 イギリスでは基礎データを取った程度だから、本格的に動かすのは、初めてだな。
 そんじゃま、行くか。

「凄い、速い…。」
 見ている、クラスメイトは呆然としている。
 白式の高機動追加ユニットは、脚部と腰部、ウィングスラスターの間にスラスターを搭載し、胸部装甲を追加している。
 一見すると、たいしたことないように見えるが、実は胸部装甲に秘密があったりする。

 設計通りだな。
 後は、妨害対策か。キャノンボール・ファストは、相手の妨害が許されているので、それを掻い潜らなければならない。
 ま、機動性も想定通りだから、普段の鍛錬の成果を出せれば、大丈夫だろう。

「あの〜、織斑君。先生、また聞きたい事があるんですけど〜。」
 どことなく、表情がひきつっている山田先生が、俺の所に歩いてくる。
「えと、スラスターは燃費をよくする為の、ギヤードターボファンエンジンを使用していまして、後は白式周辺の空気抵抗を、限りなくゼロに近づけているんです。」
 胸部推進補助システム「神翼」。
 ISを覆う空気を全てイオン化し、プラスの電気を帯びさせて磁場をかけ、ローレンツ力によって空気抵抗を可能な限り減らす事により、白式のスピードを高めている。
 エネルギー配分を考えると、開発は苦労したな。
 とにかく、想定より燃費も抑える事が出来て、ほっとしている。
 白式のウィングスラスターは、大飯喰らいだからな。
 そう言えば、簪と高階さんはどうしたんだろうか?
 千冬姉の話だと、打鉄弐式は、倉持技研が、専用追加ユニットを開発。
巴御前は、リヴァイブ用の追加ユニットを、改修して使うって聞いてるけど、一応確認しておくか。

「あ、織斑君、これから高階さんの改修テストをしますのでそちらを見て、後、更識さんの方も見てあげて下さい。」
 やっぱりそうなったか。
 もうひと踏ん張りしますか。

 それから、2人ともチェックしたが、特に問題はなかった。
 打鉄弐式は、元々、高機動戦闘を前提としているし、リヴァイブも第二世代ISの中では、加速性能と機動性はトップだしな。
 ただ、高階さんは今ひとつ納得していなかったみたいなので、白式のギヤードターボファンエンジンを使用した追加ユニットを、急遽作って使用してみたら、凄く相性が良かったので、これになった。
 打鉄弐式も、調整が必要な部分があるような気がしたのか、簪に頼まれて調整したら、性能がさらによくなった。

「ありがとう。織斑君。これ、すごくいい。」
「一夏、ありがとう。」
「そりゃ、よかった。当日は、お互い頑張ろうぜ。高階さん、簪。」
 その時、高階さんは、むくれたような、表情になった。
「どうして、私だけ名字なの。名前で呼んでよ。玲子って。私も一夏って呼ぶから。」
 いや、まあ、そりゃいいけど、怒るほどの事か?
「解った。お互い頑張ろうぜ、玲子。」
「うん。頑張ろうね。一夏。それと、お礼。」
 玲子は、背伸びをして、俺の頬にキスをしてから、自分の部屋に戻った。

「何だ?一体。」
 やっぱ、女子の思考って解らんな。
 今度、弾にでも聞くか。
 妹持ちだから、俺よりかは解るだろう。

「一夏、そこに座って。」
 整備室の近くには、自販機とベンチがあり、簪はそこに座るよう促す。
 そして、座った途端に、柔らかい感触の何かが、俺の唇に重なる。
 それが、簪の唇だと気づいたのは、多分2、3秒後ぐらいだと思う…。
 唇を話した簪は、頬が赤くなり潤んだ瞳で、俺を見ている。
 な、何だ?
 俺、何か、したか?

「一夏…。貴様、何をしている…!」
 そこには、激怒して、緋宵を鞘から抜いた、箒がいた。
 すると、簪がどこに入れていたのか、小太刀を抜いて、俺を庇うようにする。
「一夏には、傷一つ、つけさせない!」
 ちょっと、ストップ!
 なんで、こうなるんだ!?2人とも落ち着け!

「双方、刀を納めろ。時代劇の撮影所ではないぞ。」
 ちょうど、千冬姉が、通りがかってくれた。
 この時ばかりは、救いの神に見えてくる。
「もう、調整が済んだのなら、自分の部屋に戻って疲れをいやせ、しばらく、ハードな授業になるからな。」
 そう言われて、俺達は、部屋に戻った。

「はあ。2人追加ですか。どうしてこう、モテるのに、鈍いんでしょうか?」
 真耶が、不思議そうに首を傾げる。
「解らん…。まったく。あいつの周りは、女が多すぎる。ま。今のままでは、一夏は、渡さんがな。」
 そう言って、職員室に戻る千冬を見て、真耶はくすりと笑った。

後書き
今回は、セシリアが一夏を誘ってのデート。
一夏にとっては、ちょっとした息抜き位ですけどね。鈍いですから(呆)。
高校の生徒会長としては、異常なほどの多忙さに加えて、さらに紅椿の追加ユニットの開発。
第四世代にはいらないのに、敢えて作れと言われると、下手をすれば性能を落とす羽目にもなりかねないので、苦労は並大抵ではありません。
そして、紅椿と白式のお披露目。
元ネタは、天の羽衣は、ガンダムSEED DESTINYの外伝に出てくる、ヴォワチュール・リュミエールという推進機構と、ベースになった磁気推進機構。
極光は、SEEDで、アークエンジェルがオーブから宇宙に出る際の理論。ポジトロニック・インターフェアランスです。
さて、他にも改修作業が入った事で、一夏に想いを寄せる女の子が増えました。
キャノンボール・ファストや亡国企業対策も大事ですけど、女性問題何とかような。一夏(笑)。








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