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zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第25話 ヘパイストスの足跡

<<   作成日時 : 2012/05/19 23:36   >>

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「本日は、IS学園文化祭にお越しいただき、ありがとうございます。1年1組の副担任で、IS訓練を担当しております、山田麻耶です。既に、各国の政府および軍関係者の方々は、御存知かと思いますが、昨年、当IS学園でIS訓練担当主任兼1年1組担任の織斑千冬教諭の弟さんの織斑一夏君が、世界で唯一、男性にも拘らず、ISを稼働させる事が可能である事が確認され、今年入学し、世界でどの国でも開発に成功していない、第四世代IS白式を専用機としております。その影響でしょうか。今年の新入生は、多くの専用機持ちが、入学しております。また、ISの生みの親である、篠ノ之束博士の妹さんである、篠ノ之箒さんも入学し、臨海学校において、世界最新鋭の第四世代IS紅椿を専用機として所有する事になりました。さらに、織斑君はIS開発に関しても類稀なる才能を持っており、既にフランス代表候補シャルロット・デュノアさんの専用機である、第三世代ISノブレス・イリュジオン。最近、新たに専用機持ちとなった高階玲子さんの専用機、第三世代IS巴御前を開発しており、また、倉持技研で、開発が難航していた第三世代IS打鉄弐式も完成させております。その他、学園にいる他の専用機持ちの専用機も、彼の手によって改修され、性能が向上しております。」
 真耶が、IS学園の現状を話す。
 各国政府や軍、企業のIS関係者達が、それぞれ、何やら話し始める。
「そこで、今回は専用機持ち達にペアを組んでもらい、実戦仕様のターゲットと戦闘を行ってもらいます。無論、ターゲットの戦闘力の設定は最大にしておりますので、楽ではありません。この状況下でどこまで戦えるか、どのような過程、撃破するまでの時間で、ISのスペックや専任操縦者の技量が図れるかと考えます。」
 真耶が言い終ると同時に、戦闘が始まった。

『布仏さん。目くらましは問題ありません。システム制御はお願いしますね。』
『了解です。会長達には、存分に戦って下さいと、お伝えください。』
 真耶は、外から見て欺瞞がうまくいっている事を、虚達に知らせる。
 作業がうまくいっている事を知らされた虚は、一夏達に思う存分戦ってほしいと伝言を頼んだ。

「思う存分戦ってくれか。元からそのつもりだ。私の嫁が改修した、このシュヴァルツェア・レーゲンの強さ。思い知らせてやるさ。」
 第1アリーナでは、獲物を見つけた猛獣のように、ラウラが舌なめずりをしていた。
 一夏が、日本に帰国した後、改修の結果、どれだけスペックが向上したかをラウラは、良く知っていた。
 目の前のゴーレムUが、チューンされていても、自分の技術とシュヴァルツェア・レーゲンがあれば、負けるとは微塵も思っていなかった。

「ちょっと。いつから、一夏が、ラウラのお嫁さんになったの?勝手に決めないでよね。」
 トネールを撃ちながら、シャルロットがラウラに抗議する。
「決定事項だと、言ったはずだが。そら。もう、1機が、お前の攻撃で、結構ダメージを受けたぞ。どうやら、やられるまえに、お前を仕留めるようだ。」
 ゴーレムUの1機が、シャルロットに突撃する。
「飛んで火にいる。何とやらってね。」
 右腕で、正拳を入れる構えをとる。
「はあっ!」
 両腕に装備されている、小さめの物理シールドに隠された、イリュジオンの接近戦装備にして、威力でも一、二を争う、電磁式パイルバンカー「リオン・セール」。
 特殊合金製の杭が、胴体を容赦なくぶち抜き、胴体に大穴があいたゴーレムUを吹き飛ばす。
「忘れていたが、お前のISは一夏が開発を手掛けた物だったな。それ位は出来て当然か。さて、私も一体、仕留めるか。」
 一夏の改修で機動力を増した、ラウラのシュヴァルツェア・レーゲンのワイヤーで、ゴーレムUの動きを封じ、両肩のレールカノン「ツヴィリング」の折り畳まれていた砲身を展開して、砲口を、ゴーレムUに押し付ける。
「消し飛ぶがいい…。」
 発射された弾丸は、ゴーレムUの上半身を、容赦なく吹き飛ばし、下半身はアリーナの地面に崩れ落ちる。
「残り一体か。とっとと、片づけるぞ。」
「そうだね。」
 それぞれ、武装の狙いを、残ったゴーレムUに定める。

『あらあら、技術部御自慢の、カスタムタイプのゴーレムUが、形無しね。』
 IS学園から、徒歩10分ほどのウィークリーマンションの一室にいる、一人の少女。
 亡国企業のエムのインカムに、通信が入る。
『だから、言ったろうが。無駄だと。カスタム化しようと、ゴーレムUでは、もはや奴らには勝てん。』
 IS学園側の、カモフラージュは、映像解析用の特殊装備を実装したゴーレムによって、破られ、スコールのいる部屋と、エムの部屋に送られていた。
『今回は、オータムの独断よ。まさか、こんなことの準備をしているとは、夢にも思わなかったわ。単機特攻なら、充分に予想できたけど。』
 オータムが、周囲に知られぬように、技術部がカスタム化したゴーレムUと、完成したゴーレムVを隠匿し、準備をしていた事を知ったのは、オータムがIS学園に向った後だった。
 そこで、一夏達の戦闘データを収集する為と、何より、オータムの処分を決める為の判断材料として、特殊装備のゴーレムで、高高度からIS学園のアリーナの戦いを、観察していた。

 第2アリーナでは、ケイシーとサファイアが、圧倒的としか言いようがないほどに、戦いを優位に進めていた。
「おらおらおら!!」
 速射型に改造された、ショットカノン「ファイアー・レインU」から、豪雨のように、スラッグ弾と散弾がランダムに発射され、ゴーレムUはズタズタになり、ピクリとも動かなくなってから、アリーナの隅に放り出される。
「うわ…。先輩、エグイッスよ。もうちょっと、こう。慈悲という物をですね。」
 そう言いながら、サファイアは、ゴーレムUの懐に飛び込んで、腕部装甲に内蔵されている、アーミーナイフで、両腕を叩き斬り、改修して威力が増した、オロファトとイピリア。それに、新たに一夏が開発し、左右腰部に装備された、大出力高収束荷電粒子砲「ダウティナ」を、一斉に発射して、ゴーレムUを只の残骸に換える。
「お前に言われたくないよ。」
「私は、苦しまないように、止めを刺しますけど、先輩は、拷問と、変わりないッス。」
「お前も同じ穴の狢だ!そら、最後だ。とっとと、終わらすぞ。それにしても、あれだな。うちの生徒会長は凄いな。なんだかんだいって、結局は第二世代のあたしらのISを第三世代に全く引けを取らないレベルに、性能を引き上げちまうんだからさ。」
「そうッスね。国のお偉いさんは、会長を誘惑して、引き込めないかって、真剣な顔して、私に聞いてきましたよ。」
「ふうん。で、お前、何て返事したよ?」
「隙があったらって、返事したッス。ああ見えて、可愛いんですよね。会長。」
 女子同士の恋話も混じったような会話をしている間に、残ったゴーレムUは、無残に破壊され、周囲には細々とした部品しか、散らばっていなかった。

「うわあ。ケイシー先輩と、フォルテ先輩のIS。私達よりスペック高いよ。やっぱり、会長がチューンすると違うのかなあ。」
 本音が、驚きと羨望が混じったように言う。
「あの、篠ノ之博士の一番弟子だもの。それに、普段から研究熱心だから。本音も少しは、見習いなさい。」
 整備科主席の虚としては、来年は整備科に進むつもりの妹の本音には、今の内から、性根を据えて、ISの整備開発の勉強を今の内にする事を望んでいた。
 同じクラスに、一夏という天才的な技術者がいるのだから、教えを請う事も出来る。
 ところが、生徒会の仕事をサボっては、その尻拭いを一夏がする始末なので、虚はその度に溜息をついていた。
「とにかく、私達はやるべき事をやるだけよ。今回は、サボりは許されないのよ。解ってるわね!?」
「解ってる〜。もう少し、妹を信用してよ〜。」
 心外だと言わんばかりに、本音はこぼす。
「なら、普段から、信頼されるようにしていなさい。」
 話しながらも、虚も本音も、欺瞞処理が正常稼働しているか、チェックに余念がなかった。

「信じられんな。どれ程チューンしても、所詮は第二世代と考えていたが、あれほどの高性能とは…。」
「同感ですな。カタログスペックでは、特殊兵装を除いては、第三世代にも決してひけをとらないとありましたが、実戦用のターゲット相手とはいえ、あそこまで圧倒的な戦いができるとは…。」
 オーストラリアとカナダの、IS関係者が信じられない物を見たという顔をする。
 すでに欧州では、試作機ではあるが、第三世代ISの運用試験に入り、その性能は、特殊兵装を除いても、第二世代を大きく引き離している。
「どういった改修をしたかは、ミスターオリムラから、データが送られてきましたが、正直、解らない部分も多いのが、現状です。情けないとしか、言いようがありませんが…。」
 コールドブラッドを開発した、オーストラリアの軍需企業テニックス社のIS開発部門の部長が、情けなさそうに言う。
 専用機持ちのISとなると、本国から新しい装備やパーツが性能向上や実用試験の為に送られてくるが、現状では、兵装しか新装備の開発が出来ないのが現状である。
 兵装を除去した状態のISを、下手にいじくれないからである。
「とにかく、データの解析を急いでくれ。物にできれば、第三世代ISの開発も可能になるはずだ。」

「やあっ!」
 巴御前の近接戦闘兵装である、刀身がプラズマブレードとなっている薙刀「如月」が、ゴーレムUの装甲を削る。
「隙あり…。」
 簪が、春雷でゴーレムUにダメージを与える。
 本音で言えば、それぞれ1機ずつゴーレムUを早々と仕留めて、最後の1機を仕留めたい簪だったが、スキルの点では、自分を含む他の専用機持ちに及ばない玲子の事を考えると、それは無理な話である。
 それで、自分が時に前面に出て、時に後方からサポートする遊撃的な戦い方をしている。
 その中で、少しでも玲子の経験値を蓄積させるしかないと、簪は判断した。
「高階さん。お願い。」
 先程の援護の前に、自分がダメージを与えたゴーレムUの動きを止めている際に、簪は玲子に援護を頼む。
「解ったわ。」
 イグニッション・ブーストで、ゴーレムUに突撃しつつ、ゴーレムUを真っ二つにする。
「させない!」
 高出力長距離荷電粒子砲「那須与一」で、背後から簪に襲いかかろうとしていたゴーレムUに、大きなダメージを与える。
「止め。」
 そして、簪が止めを刺す。
『うん。大分、慣れてきた。』
 文化祭当日まで、簪と共に、一夏から教えを受けて、巴御前を使いこなせるように訓練を続けてきたが、その成果が、大分形になってきた。

「最後の1機。簪さん。私、巴御前の特殊兵装を使うわ。あなたも打鉄弐式の特殊兵装を使って。一気に仕留めましょう。」
「解った。」
 他の専用機持ちより、自分の技量が劣るのは玲子自身、良く解っていた。
 だからこそ、出来うる限り早く戦いを終わらせる。
 その為には、第三世代ISに搭載されている、特殊兵装が必要不可欠だと考えた。
「じゃあ、行くわね。戦衣展開!」
 巴御前の装甲の各部が、展開装甲のようになる。
 それを確認した玲子は、イグニッション・ブーストで、一気に残りのゴーレムUに迫る。
 巴御前の特殊兵装、疑似展開装甲「戦衣」は、ISの展開前に攻撃・機動・防御の、どのモードで展開するかを設定する事で、展開装甲の能力を、ある程度再現する。
 玲子は、現在の自分の技量を考慮して、アリーナに向う際に、防御に設定していた。
 高められた巴御前の防御力を頼りに、玲子はゴーレムUの抑えに回る。
 そして、簪も打鉄弐式の特殊兵装を使用する。
 マルチロックオン・システムで個別に狙いを定める、多連装独立稼働型誘導ミサイル「山嵐」。
 最大48発のそれを、一斉に発射する。
 危機を感じたゴーレムUは迎撃しようとするが、玲子がそれを阻む。
「あなたの相手は、私よ!」
 ゴーレムUは、胸部の拡散型レーザー砲を発射して、玲子を引き離そうとするが、戦衣を展開して、格段に上がった防御力を頼りに、玲子はゴーレムUを足止めする。
 そうしている間に、山嵐が、ゴーレムUに襲い掛かり、四散させる。

「あれが、疑似的とはいえ、展開装甲の能力。」
「圧倒的ではないか…。あの防御力。」
 展開装甲に関しては、存在自体は、臨海学校時の戦闘で、各国のIS関係者に知られていたが、その基礎理論すら解明されていなかった。

「凄い…、ですね…。織斑君。第三世代に合わせて、もう、疑似的な展開装甲を開発するなんて…。」
「第二形態移行の際に、白式の背部と脚部には、展開装甲が実装されているし、雪羅も展開装甲の技術を応用している。それだけあれば、簡易的な物を作るには、資料は、事欠かないのだろうな。ひょっとしたら、他の実装していない部分にも実装する準備を終えているかもしれんな。」
 生徒会室で戦況を見守っている真耶と千冬は、第四アリーナの戦況を見ながら、巴御前について話していた。
「だが、高階が、まだ慣れていないな。巴御前の性能に、頼り過ぎている。まあ、専用機持ちになったのが昨日の今日だから、やむを得んが…。これ以上、襲撃があるとするならば、そうも言っていられんな…。」
 千冬が考え込み始める。

「残念。お姉さんには、効かないわよ〜。」
 楯無は、アクア・クリスタルが生成した水を、ヴェールのように展開して、レーザーを遮る。
 一夏が改修した結果、アクア・クリスタルが生成する水の量は4割近く増え、ナノマシンにも新たな性能が付与されている。
 さらに、より軽量で強固な装甲を使用して、物理装甲が体を覆う部分を、体の動きを妨げぬように注意しながら増やし、体の表面を覆う皮膜装甲の防御力も向上している。
「そろそろ、理解できたみたいね。じゃあ、反撃開始。」
 物理装甲にも組み込まれた、小型のアクア・クリスタルが生成した水は、ドレスのように楯無の体を覆っている。
 一夏は、改修にあたって、アクア・クリスタルを、増やし、攻撃と防御双方に幅を持たせた。
 小型のアクア・クリスタルは、ミステリアス・レイディの主兵装である、大型ランス「蒼流旋」にも組み込まれ、威力は数段上がっている。
 生成された水の螺旋運動は、ゴーレムUの装甲を薄紙の様に、貫通する。
「ばん!」
 楯無のその一言で、ゴーレムUの内部から、水蒸気爆発が起こる。
 クリア・パッション。
 ナノマシンで構成した水を霧状にして、攻撃する相手を包囲して、水蒸気爆発を起こす、ミステリアス・レイディの攻撃手段だが、アクア・クリスタルを蒼流旋に組み込んだ事により、全身を覆う水を使用せずとも、使用できるようになった。
「ふ〜ん。お姉さんが強すぎるのか、相手が弱すぎるのか、一夏君の技術力が凄いのか。とにかく、相手がこれじゃあ、ミステリアス・レイディの全能力を使う必要はないわね。さあて、オルコットさんはと。」
 自分が相手にしていたゴーレムUを仕留めた楯無は、セシリアの方を見る。

「カスタム化されているのは、本当でして?まるで、話に、なりませんわね。」
 ゴーレムUの攻撃を、軽々と回避しながら、スターライト・アローとブルー・ティアーズで反撃し、ゴーレムUに確実にダメージを与えて行く。
 各部のスラスターの出力が向上し、推力偏向方式に改修されたブルー・ティアーズの機動力は、強襲機動パック「ストライクガンナー」に匹敵する。
 新たな主兵装のスターライト・アローも、攻撃力では以前の主兵装である、スターライトmkVを上回る。
 何より、実体弾での攻撃を、ランダムに組み込む事で以前のように、エネルギー兵器に対する備えをされた時の不利を、払しょくする事が出来る。
「副会長が、お済みになられたのでしたら、私も終わらせませんとね。BT兵器のもう一つの姿を、見せて差し上げますわ。」
 スターライト・アローに、4基のビット。
 計5門のレーザーが、ゴーレムUに向けて発射されるが、回避される。
「本番は、ここからですわ。さあ、広がりなさい。水面の波紋のように。」
 5門のレーザーは、水面に波紋が広がるように軌道を変えて、最後にゴーレムUに向い、破壊する。
 BT兵器による偏向射撃。
 操縦者との適合率が、最大に達した時に、攻撃は直線的でなく、操縦者のコントロールで様々な軌道を描き、相手を仕留める。
 セシリアは、一夏がイギリスを去った後の特訓の最中に、身につけていた。
 トレーニング後のバスルームで、小さな水たまりに落ちた雫が、描いた波紋と、一夏によって改修されたブルー・ティアーズを展開し、大空を舞う自らの姿をヒントに。

 おっ、皆、うまくやってるみたいだな。
 全員のISの改修に関わっているから、結構、気になるんだよなあ。
 戦闘は、こっちに優位。
 俺が相手にしているのはどうだか解らないが、臨海学校のバージョン迄なら、チューンしても問題ないか。
 さて、俺もいいとこ見せないと、カッコつかないよな。
 スマートで、女性的なフォルムを持ち、左腕には、多連装レーザー砲を装備。
 右腕は、白兵戦用のプラズマブレード。
 周辺に浮いてるのは、雪羅の荷電粒子砲を防いだ事から、シールド用のビットか。
 後は、物理装甲の強度だな。
 あまり固いと、ちょっと面倒な事になるか。
 っと。
 考えていると、1機が俺に攻撃を仕掛けてきて、残り2機が後方から包囲しようとしてくる。
 なら、先ずは前からだ。
 折角装備した鋼牙も、試したいからな。
 新型の回避機動も計算しながら、増加装甲のハードポイントに搭載した、左右の「連弩」を発射する。
 小口径だから、弾数は多いので、景気良く撃てる。
 うわ。固いな。
 なかなか、思ったように装甲を削る事が出来ない。
 けど、ダメージは与えた。
 レーザー砲を発射しようとする腕を、抑え込み、プラズマブレードは物理シールドを展開した雪羅で防いで、右膝の鋼牙を、装甲が削られた部分に連続で叩きこむ。
 リオン・セールと同じ、電磁式である鋼牙のメリットは、何と言っても単位時間当たりの、攻撃回数の多さだ。
 胴体に大穴をあけ、3機の内1機は沈黙。
 そのまま、イグニッション・ブーストで上昇、降下しながら、雪片をエネルギーブレードに、雪羅はエネルギークローを展開。
 スピードを乗せて、斬撃を叩きこみ、零落白夜にモードを変えて、連続して斬撃を叩きこもうとする。
 その時だった。

ワンオフアビリティ:自己進化機能、天照発動。

腕部及び胸部展開装甲実装終了。
背部ウィングスラスター、最適化終了。

 え?
 第三形態移行じゃないようだな。
 まさか、天照は、形態移行とは別に、ISを進化させるワンオフアビリティなのか?
 なら、わざわざ、ワンオフアビリティとして、存在するのも頷ける。
 それにしても、つくづく白式は、妙なISだよなあ。
 今までの経験を元に最適化された、背部のウィングスラスターは、スマートになった形状とは裏腹に、今までと変わらないエネルギー消費量のまま、出力は35%UPしている。
 腕部と胸部の展開装甲。
 特に、左腕は、雪羅とは別系統だな。
 なら、展開装甲は、全て機動性の向上に回して、一気に仕留める!

 厚い物理装甲で身を包んでいても、これを喰らっては堪らない。
 真っ二つにされ、新型は大爆発を起こした。

「形態移行以外の、進化能力…。白式に、こんな能力が隠されていたなんて…。」
『成程。束が言っていた、真の第四世代とは、ある程度の経験を蓄積すれば、形態移行をしなくても、その都度、機体が進化するISの事か…。』
 形態移行後も、必要に応じて進化する能力を備えたIS。
 そして、形態移行後は爆発的とも言える、驚異的な進化を遂げるIS。
 それこそが、束が思い描いていた、第四世代ISだと、千冬は理解した。
 ところが、束にも理解できない理由で頓挫。
 一夏以外に稼働させられる人間がいない為に、形態移行以外の進化能力は、ワンオフアビリティとなっている事を、ディスプレイに表示されている情報から、理解した。
「ここが、IS学園でよかったな。白式の詳細が世界に公表されたら、どうなっていたやら…。」
「そうですね。下手をすれば、大変な外交問題になっていたでしょうね。」
 今でさえ、唯一、ISを動かす事が可能で、優れた科学者である一夏の帰属は決まっていない。
 これで、新たに解った白式のワンオフアビリティの詳細が、各国に知れ渡ったら、今以上に問題が拗れる。
 それを考えると、一夏が、IS学園に在籍している事は、国際社会に取っても、図らずしてメリットになっていた。
「まるで、ギリシア神話に登場する、鍛冶の神ヘパイストスですね。織斑君の各ISの改修や、開発の結果を見ると、人の業というより、神の業。そんな気すらしてきます。これで、まだ研究を続けているんですから、この先、どれだけ伸びるか。そら恐ろしくなってきますね。」
「束と比べれば、織斑はまだ人間の範疇に入る。その中にいる方が、あいつにとっても、おそらくは幸せだろう。」
「そう…ですね。これ以上伸び続けていれば、最悪、各国が何をするか…。」
 世界でただ一人、ISを動かせて、さらに類まれな才能を持っているだけで、帰属をめぐり紛糾しているのに、科学者としてもさらに伸び続ければ、諸国家が、あらゆる手で一夏を自国に帰属させようと、陰謀を巡らすだろう。
 IS学園には国家や企業は介入できないが、その状態がいつまで続くか、真耶も千冬も、正直、自信が無かった。
 故に、一夏の科学者としての足跡が、神であるより、人である事を千冬は強く望んでいる。
 一夏の事を考えながら、千冬は第3アリーナに目を移す
『第3アリーナは、アラクネだけか…。こちらもすぐに決着がつくだろうが、少々妙だな…。』

「観念するのね。自慢のおもちゃは、あのとおり粗大ゴミよ。痛い目に遭いたくなければ、ISを引き渡して、投降しなさい。」
 背後に、蜘蛛の足の様なPICデバイスが搭載されている、アメリカ製第二世代ISアラクネを展開しているオータムに、鈴は、双天牙月の切っ先を向ける。
「うるせえ!!勝負はこれからよ!そろって、ISを戴くぜ。ついでに、織斑一夏もISごと戴くとするぜ。以前、誘拐した時は、奪い返されたが、今度はそうはいかねえぞ!!」
 背部のデバイスに搭載されているマシンガンが、一斉に発射されるが、紅椿の腕部展開装甲で、全て、防がれる。
「そうか…。その時の当事者かどうかは知らんが、あの時の事を、お前は知っているようだな…。」
 箒の周囲の温度が、不気味なほど下がり、オータムの皮膚が粟立つ。
「へぇ。少しは、あの時の事を、知っているようだな。詳しく知りたいなら、あたしを叩きのめしてみな。」
 たかが小娘に、自分が恐怖を感じたようになっている事を、認めようとしないで、オータムは虚勢を張る。
「ふうん。じゃあ、あんたを叩きのめせば、あの時の事が、少しは解るのね?いいわよ。但し、後悔するわよ。この甲龍なら、殺さない程度に痛めつける事は、凄く簡単な事なんだからね…。」
 鈴の目が、不吉さを感じさせるように、鋭くなる。

 理由は、箒が転校し、入れ替わるように、鈴が転入してきた7年前に遡る。
 一夏が大きく関わった、ある事件の事だった。

後書き
亡国企業と、IS学園の専用機持ちとの戦いの火ぶたが、いよいよ切って落とされました。
迎え撃つ、IS学園の専用機持ちのISは一夏の手で、性能を増したカスタムタイプ。
亡国企業側は、以前敗れたタイプのゴーレムシリーズのカスタムタイプと、第二世代とはいえ、ISが1機。
臨海学校と、似た構図ですが、今回は上級生もいます。
特殊兵装を除けば、第三世代相当のスペックを誇る第二世代。
さらなる力を得た第三世代。
これを操るは、上級生の専用機持ち。
さらに高度な授業と、訓練を受けているので実力は折り紙つきです。
さて、一夏の方は、危なげなくゴーレムVを撃破。
しかし、その最中、白式に変化が。
ちなみに、白式の設定。
つまり真の第四世代ISの設定の元ネタは、宇宙の騎士テッカマンブレードというアニメです。
環境に適応し、徐々に進化し、やがて爆発的な進化を遂げるという設定がありまして、これを使う事にしました。
レンタル店に、DVDがあるかは解りませんが、面白いのでお勧めです。
次回は、一夏の過去にまつわる話です。
ある事件の事が、明らかになります。


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