cogito,ergo sum

アクセスカウンタ

zoom RSS 機動戦士Zガンダム〜ネオ・ジオン戦役〜 第19話 時が動く時

<<   作成日時 : 2012/05/11 23:59   >>

ナイス ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 2

「そうか。解った。引き続き、情報収集に当たってくれ。」
 通信を切ったブライトは、大きな溜息をつく。
「敵の第二陣か。グレミー・トトと言ったか。聞かぬ名だな。」
 アクシズにいた頃の記憶を元に、思いだそうとするが、クワトロにも覚えが無かった。
「ラカン・ダカランは、一年戦争から、激戦をくぐり抜けてきた熟練パイロットとして、また、指揮官としても円熟の域に達していたと言っていたな。それに変わる以上、無能という事は無いだろう。」
 クワトロの評価と、これまでの戦いから、ラカンが無能とは、到底、思えなかった。
「ラカン以上の切れ者と、見るべきだろうな。常識的に考えれば。」
「そうだな…。」

「偵察部隊より、ダカールに接近する、MS部隊の存在を確認。映像出ます。」
 ブリッジのメインスクリーンに、砂漠をホバー走行する部隊が、映る。
「ドライセンか。まだ、これだけの数を。しかし、ラカンは宇宙に帰った。何故?」
 ブライトが訝しむ。
「トーレス。どこから来たか、進行コースからの予測は出来るか?」
「少々、お待ちください。」
 トーレスが、偵察部隊からのデータを元に、アーガマのコンピュータに、分析させる。
「出ました。ダカール北部と推定されます。」
「ロンメル。生きていたのか…。」
 クワトロが、やや苦々しげにつぶやく。
「知っているのか?」
「少し、話した事がある程度だがな。だが、砂漠戦では、右に出る者はいないと、もっぱらの評判だ。連邦も幾つもの部隊を繰り出したが、全てを撥ね退けた猛者だ。」
「総員。第2戦闘配置。MS隊発進用意。アーガマ緊急出港用意。」
 クワトロの言葉を聞いたブライトは、即座に決断した。

「アーガマが出港する?随分急だな。」
 キャプテンシートで、ハヤトは腕を組んで考え始める。
「アムロ。直属部隊を率いて、アーガマに加勢してくれ。残りのMS部隊にも、発進準備をさせろ。ダカールの守りを固めるんだ。」
「解った。後を、頼む。」
 アムロはMSデッキに、向う。

「敵との接触まで、後、4分。」
「対MS戦闘用意。MS隊、順次出撃!!」
 ブライトの指示に従い、アーガマは対空戦の用意を即座に整え、クワトロ達は、すぐさま出撃する。

「いい指揮官だ。戦力の逐次投入は無しか。」
 頭にターバンを巻き、砂漠の太陽に焼かれた浅黒い肌の、壮年の指揮官。
 ロンメルは、迎撃の為にこちらに向ってくるアーガマのMS隊を見て、戦力の逐次投入につけ込んだ各個撃破は無理だと、判断した。
「ならば、軍艦という奴が、MSの前では如何に脆いかを、改めて、教えてやる。カラハンは右。キャメルは左から攻めろ。残りの者は、私に続け、あの艦を牽制するのだ!」
 ビームバズーカを装備し、ホバーユニットを増設された、砂漠仕様のドライセンを、グレミーから密かに受領し、ロンメル達の士気は高かった。

「敵、左右にも回り込みます!」
 サエグサが報告した際に、ロンメルのドライセンが発射したビームバズーカが、命中し、船体が揺れる。
「左右銃座、敵MSを近づけるな!正面の部隊は、アムロ達に任せろ!」
 再び、船体が揺れる。

「カミーユ。左を叩け。私は右の部隊に対処する。」
「了解。」
 制式に部隊編成が行われ、カミーユは、フォウ、マハト追加装備仕様、Gアーチャー隊を率い、クワトロは、エレオノーラ、ファ、ラオプフォーフェル隊を指揮していた。

「ほう。あれが、噂のアムロ・レイの機体か。面白い。各機ランダムに動け。狙いを定めさせるな。」
「「「はっ!」」」
 一年戦争初期。
 地球連邦はMSの、圧倒的な機動性に翻弄されて、次々と艦を沈められた。
 ロンメルは、それを砂漠でやろうとしたのである。

「くそっ。チョロチョロと!」
 シーサーが、苦々しげに呟く。
「泣き言を言うな。その間に、この艦が沈むかもしれんのだぞ!」
 再び、アーガマは被弾する。
「左右銃座。弾幕薄いぞ!無理に狙おうとするな。相手の動ける範囲を狭くするんだ!」
 パイロット一人一人の練度が高いと判断し、無理に命中させるより、動ける範囲を狭くした方が賢明だと、ブライトは判断した。

「くっ!可動範囲が、狭く…。」
「もらった。」
 百式のビームライフルから放たれたビームが、カラハンのドライセンの装甲を撃ち抜く。
「カラハン少尉!」
「そこ!」
 メタスUの腕部メガ粒子砲が、ドライセンの1機を捉える。
「アレン、アマデウス。ミサイルでさらに可動範囲を奪え。その隙に仕留めるぞ。」
「「了解!」」
 残りのドライセンは、アーガマの対空機銃と、ラオプフォーゲルのミサイルで動けなくなった所を、撃破された。

「そこ!」
 キャメルのドライセンは、左腕をかざすが、Zのハイメガライフルの前では、無力で、機体は爆散する。
「そこで止まっては、命取りよ!」
 Mk.Vのビームライフルとメガビームキャノンが、ドライセンの胴体の装甲に吸い込まれるように命中する。
「フォウ、エカテリーナ。牽制して相手の動きを止める。Gアーチャー隊が止めをさすんだ。」
「「「「「了解!」」」」」
 カミーユの作戦が図に当たり、左右に回ったロンメルの部下は全滅する。

「馬鹿な!この短時間にか!?」
 既に、自分の部隊で戦闘可能なドライセンは、自分だけだと知った時、ロンメルは愕然とした。
 砂漠での戦いでは、絶対的な自信があった。
 今までも、ジオンの残党狩りに来た連邦のMSを、物資を奪い改良しつつ、戦術で補ってきた。
 そして、砂漠用にカスタム化されたドライセンを見た時に、アーガマを確実に沈められるという、確信が間違いなくあった。
 が、それが、今、無残にも崩れて行く。
 そして、自機も傷だらけだった。
 部下たちが、自分の命を盾にして、ロンメルを助けた結果だった。
 そうでなければ、とっくに撃破されていた事は、ロンメル自身が解っていた。

「投降しろ。これ以上戦っても無意味なのは、自分自身が一番よく解っているはずだ…。」
『ここで、こうまでして、生き恥をさらせるものか…!』
 ロンメルはフットペダルを踏み込んで、最大速度でηに迫る。
 しかし、その切っ先は、ηに届かなかった。
『時が動く時…。それは、我々の様な者達が散る時か…。まるで、変わる事のなかった砂漠の中にいた私達の様な、変わらぬ者達が…。』
 機体を両断されて、ロンメルは戦場の露と消えた。

「敵部隊、全滅しました。」
「各部署の応急処置が終わり次第、帰投する。MS隊に帰投命令を。」
 指示を出しながら、ロンメルが自分達を狙ってきた理由を掴みかねていた。
『わざわざ、この時期に来る必要がどこにある。これから、来るであろうネオジオンの第二陣と合流してからでも、遅くはないだろうに。』
「艦長。帰投の準備、整いました。」
 考えている内に、気が付いたら、アーガマの応急処置は終えていた。
「よし。回頭180度。ダカールに帰投する。」

「終わっちゃった。負けちゃった。」
 グレゴリウスの艦橋で、プルは、グレミーに話しかける。
「そうか。かの、ロンメルといえども、アーガマを沈める事は叶わぬか。伊達に、歴戦の兵が集まっているわけではないな。」
『この戦い、楽には勝たせてくれんか。やはり…。』
「よし。シュロスの部隊を、大気圏に突入させろ。アーガマとて、無傷ではないはずだ。出来うる限り早く、本営施設ポイントを確保。」
 命令を出して、指揮官席に座りながら、グレミーは今後の戦略の事を考え始める。

「プル。お前は、あの戦闘から、何を感じ取った?」
「んー。強い力。凄く強い。でも、優しい。」
 訊ねられたプルは、無邪気に応える。
「ほう。で、どうだ?お前は、その力に勝てるか?」
『さて、プルはどう答える。それ次第で、戦略が決まるが。』
 グレミーは、静かに答えを待つ。
「解んない。戦ってないもん。地球に着けば、解ると思う。」
「そうか。そうだな。」
「じゃあ、あたし行くね。おふろの時間だから。」
 そう言って、プルはブリッジを出て行く。

「サイコガンダムの整備状況は、どうか?」
「はっ。重力下での調整は、7割方終了しております。」
「急がせろ。場合によっては、使う事態になるやもしれん。」
「はっ。」

『シャア・アズナブル、カミーユ・ビダン。そして、アムロ・レイか…。こうも、熟練の域に達した、ニュータイプのパイロットが揃って敵になると考えるだけで、戦う気が失せようというものだが、生憎、ここで終わるわけにはいかん。一時の敗北を喫するにしても、何があっても、宇宙に戻る。』
 ごく限られた者しか知らない決意を、グレミーは新たに確認する。

「どうした!?」
 基地に帰投し、軽く食事をとっていたブライトは、ブリッジから呼び出されて、大急ぎで、来た。
「MSが大量に降下してきます。数20以上。」
「さらに、降下する物体を確認。何らかの物資と思われます。」
 トーレス達は、状況把握に、大忙しだった。
『敵の第二陣か…。よりにもよって、このような時に…。そうか、しまった。こういう事か。』
 ようやく、ブライトは、ロンメルの襲撃の意味を理解した。
 新たな戦力と、軍需物資の降下の時間を稼ぐ為に、グレミーが一計を案じたという事に。
「MSの整備状況はどうなっている。」
「あと、2時間はかかります。」
「なるべく、急いでくれ。今は、カラバと駐屯部隊が担当しているが、それだけでは、済まないかもしれない。」
 仮に、間髪いれずに反攻作戦が発動されたら、精鋭を欠く守備隊側の苦戦は免れない。
 それを考えると、今は、迂闊に部隊を動かす事が出来ず、只管、守りを固める事しかできなかった。

「グレミー様。先遣隊、本営設置ポイントを確保。現在設置中。本隊到着までに、完成しているとの事です。」
「うむ。各艦に通達。大気圏突入前の最終点検を、入念にしておくようにと。」
「はっ!」
『さて、ハマーンが、この時期にどう動くか…。気づかれては、まずい。時を稼がねばな…。』
 星々を見ながら、グレミーは口を開かなかったが、頭の中では今後の様々なケースを考えていた。

後書き
ダカールに駐屯しているのですから、やはりロンメルの話は書こうと思いました。
ZZでは、砂漠戦では円熟の域に達していても、ガンダムチームの前に、旧型MSでは差がありすぎ、敗北を喫したロンメル隊ですが、新型を受領しても、やはり、結果は同じだったと思います。
新型MSを運用しての戦い方と、旧型のそれは随分違うでしょうからね。
戦略も戦術も、時がたつごとに進歩する物。
それに取り残されては、やはり消えゆく運命だったのではないでしょうか。
そう考えます。






機動戦士ガンダム ZZ 7 [DVD]
バンダイビジュアル
2002-04-25

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 機動戦士ガンダム ZZ 7 [DVD] の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル



ブログ村のランキングに参加しております。
来てくださった方は、よろしければクリックをお願いいたします。
励みになりますので。

にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ

相互リンクはいつでも大歓迎です。
リンクをしてくださる方は、コメント欄にお書き下さい。
リンクの設定をした後に、お知らせします。

目次へ戻る

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 2
ナイス ナイス

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
やっぱり、ロンメル出て来ましたか。彼を見ると、ランバラルを思い出します。
いよいよグレミー&プルとアーガマの戦いが始まりますね。
サイコガンダムを見て、フォウは、何を思うのでしょうか…
PS僕は、リックディアスが大好きなので、せめてシュツルムディアスとかを、誰か新入りに乗せて貰えたら嬉しいです。(笑)
タケゾウ
2012/05/12 10:35
タケゾウさん
コメントありがとうございます。

>彼を見ると、ランバラルを思い出します。
 そうですね。
 どちらも経験豊富な指揮官で、骨太で男らしか
 ったですねえ。
 どちらも好きですよ。私は。

>サイコガンダムを見て、フォウは、何を思うの
>でしょうか…
 表現するのは、難しいと思いますよ。
 自分を苦しめたけれども、カミーユと出会う機
 会を作ったのもサイコガンダムですしね。
 心中は複雑でしょうけど、今は傍らに、カミー
 ユという、自分が愛し、自分を愛してくれる人
 がいるから大丈夫でしょう。

>リックディアスが大好きなので、せめてシュツ
>ルムディアスとかを、誰か新入りに乗せて貰え
>たら嬉しいです。(笑)
 リックディアスですか。
 いいMSですね。
 ムーバブルフレームでないのが、悔やまれます
 な。
 機体フレームをムーバブルフレームにして、設
 計した新型というのはいいかも。
 
CIC担当
2012/05/16 19:08

コメントする help

ニックネーム
本 文
ブログランキング・にほんブログ村へ
機動戦士Zガンダム〜ネオ・ジオン戦役〜 第19話 時が動く時 cogito,ergo sum/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる