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zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第24話 IS学園の文化祭

<<   作成日時 : 2012/05/05 23:40   >>

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「お兄!キョロキョロしないでよ。みっともない。しかも、女の子ばっかり、見て。」
「ちょっと、ちょっとだけ、許してくれ。こんな幸運滅多にないんだから。な。」
 弾。
 お前、色々な物、捨ててないか。
 こう、人間にとって大事な物を。
 俺は、空中投影式のノートで、各クラスや部活の出し物の状況を、チェックしながら、そう思った。
 て、いうか、そんなに幸運なのか?

「あ、織斑君。」
 3組の代表、伊藤さんか。
「どうしたんだよ?」
「1組の喫茶店、織斑君が接客やる時間あるんでしょ?絶対、行くからね。じゃあ。」
 それだけか?
 いちいち、呼び止めるほどでもないと思うが。
「織斑君。お仕事お疲れ様。そっちは、友達?」
 5組の霧島さんが、話しかけてくる。
「ああ、こっちは五反田弾。中学の時の友達。それで、こっちが妹の蘭。中3で、ここが第一志望なんだ。それで、見学も兼ねて招待券を送ったんだよ。簡易適性試験でもA判定出してるからな。」
「へえ。すごいじゃない。と、すると、入学したら、クラス代表になる可能性もありか。期待の新入生候補ってわけね。蘭さんは、どこの中学?」
「聖マリアンヌ女学院です。今は、生徒会長をしています。」
「聖マリアンヌって、あの、超お嬢様学校の?大学までエスカレーターで、就職先は、超優良企業よね。これは、筆記も軽くクリアかな?それに、簡易適性試験とはいえA判定か…。」
 まあ、そりゃ驚くよな。
 IS学園に入学しなくても、将来は約束されてるもんな。
 でも、どういうわけだか、IS学園を志望。
 本当、何でだろうな?
「あ、ごめんね。長話しちゃって。じゃあ、織斑君。執事姿、楽しみにしてるわね。」
 ウィンクして、霧島さんは去っていく。

「一夏さんのクラス、喫茶店やるんですか?」
「ああ。ビクトリア朝風喫茶。最近の秋葉原のメイド喫茶とは、違うな。」
 あの後、クラスで出し物を決める際も、さすがに、今でいうメイド喫茶はちょっと、と、いう意見が多数を占めた。
 まあ、あれは、人によってはきついよな。

「一夏。」
 その声は…。
「ナタル?」
 そこにいたのは、アメリカ海軍の軍服を着た、ナタルことナターシャ・ファイルスだった。
「ちゃんと、手紙の返事くれて、ありがとう。嬉しかったわ。」
「そうか。まあ、手紙の返事書くのは、礼儀だしな。」
 あれ?
 蘭の表情が、険しくなっていく。
 何でだ?空気も、何か冷たい…。
「そう言えば、一夏が作った新しいISの専任、一夏のクラスから出たんですってね。」
「おかげで、大変だよ。」
「悪ぃ。話に首突っ込んで。なんか、それって、まずいのか?一夏。」
 弾が、興味を持ったのか、質問してくる。
「あら。そちらは?」
 そう言えば、弾達の紹介していなかったな。
「ああ。俺の中学時代の友達の五反田弾と、妹の蘭。」
「そう。アメリカ海軍でISのテストパイロットをしている、ナターシャ・ファイルスよ。よろしくね。」
 そう言って、笑みを浮かべる。
 美人だけに、弾なんて鼻の下が、しっかり伸びてるな。
 仕方ないか。
「どうも。五反田弾です。」
 自己紹介も嬉しそうだな。
「初めまして、妹の蘭です。」
 礼儀正しく挨拶するが、どこか固いな。
「じゃあ、自己紹介も済んだし、弾の質問に答えるな。俺のクラスって、俺も含めて、専用機持ちが6人いるんだよ。その内、篠ノ之箒。前に話した、最初の幼なじみな。そいつと俺が、世界でどこも開発に成功していない第四世代型IS。2人は、母国の最新鋭第三世代IS。で、残りが、俺が開発した第三世代ISなわけでさ。こうなると、装備品を扱うメーカーの売り込みが、半端じゃないってことさ。」
 そう。特に俺と箒には、物凄い。
 俺の場合は、もう、慣れて、切り抜けられるけど、箒はパニくることもある。
 それでなくても、最新鋭ISを専用機とする専用機持ちが、集中し過ぎているので、各社とも力を入れているので、はっきりいって、勘弁してほしい。

「じゃあ。私、行くわね。イーリを待たせているから。」
「あ、来てるのか。」
 まあ、ナタルが来てれば、当然か。
「じゃあ、イーリによろしく言っておいてくれ。」
「ええ。じゃあね。マイ・ダーリン。」
 俺の頬にキスをして、去っていく。
 公衆の面前で、なんちゅう事を…。
 て、いうか、マイ・ダーリンてなんだよ?
 年下なんて、範疇外だってことぐらい、解るんだぜ。

「おい、一夏…。」
 弾が俺の名前を呼ぶが、嘗てないほど低く、怨念に満ちている。
 後ろを振り向くと、テレビの心霊特集の心霊写真に写っている、怨霊みたいな目をしている。
「な、何だよ?弾。」
 なんか、怖いんだが…。
 どうした、弾。
「お前、滅茶苦茶モテるじゃねえか…。さっきの美人もだけど、ここに来る途中も、完全にお前目当てで声をかけてきていたぞ…。どうして…、お前ばっかり…。」
「ナタルは違うって。大体、俺みたいな年下なんて、からかいの対象になっても恋愛の対象には、ならねえよ。他の生徒だって、俺しか男子がいないから、珍しがっている、ウーパールーパー状態だって。さて、仕事と案内、再開な。」
 弾の目が怖いので、俺はそれから逃れるために、生徒会の仕事に集中する。

「それにしても、今日の蘭、すっごく可愛いな。」
「えっ。そうですか?」
 蘭が、頬を染める
 どういうわけか、蘭が沈んでいるので、何か褒める所は無いかなあと思って、改めて蘭を見ると、服装がすごくかわいく見えた。
「ああ、そのワンピースとカーディガン。蘭に、凄く似合ってる。」
 今日の蘭の服装は、黒に花柄のワンピースに白のカーディガンだが、カーディガンの白が、ワンピースを引きたてて、凄く似合っている。
「あ、ありがとうございます。」
 ほっ。
 どうやら、蘭は元気になったようだな。
 しばらく、いろんな所を案内して、最後の場所になる。
 大丈夫だとは思うが、確認の必要があるな。
「なあ、二人とも、これから、一般客も見れる、ISの模擬戦トーナメントがあるけど、見るか?」
「え?マジ。見る、見る。」
「私も、参考に見ておきたいです。」
 喰いついたか。

『俺です。今の所、不審者は見受けられません。受付はどうですか?』
『大丈夫だよ〜。チケットの偽造は認められないし、政府や軍の関係者も照合して本人だって確認済み。企業も、事前登録した所だけ。』
 生徒達に配られるチケットには、特殊な印刷方法でシリアルナンバーが印字されている。
 故に、同じナンバーのチケットを持っている場合には、楯無さんが各所に配置してある警備の人達が、拘束する事になっている。
 ただ、亡国企業の事を考えると、ISを持っている事もあり得るので、ISの授業を受け持つ先生達や、ラウラがチケットを贈った、クラリッサさんもさりげなく、回りながら、備えている。
 場合によっては、俺も出るつもりだ。
 IS学園最強って、言われてるんだからな。皆をそれなりに守る事は出来るはずだ。

「すっげえ。これが、生のIS戦闘か。」
 弾はすっかり、興奮している。
 蘭は、俺が教えたISに関する知識を、頭から引っ張り出して、模擬戦を観察している。
 蘭にとっては、これも勉強か。

「準決勝は午後からになります。皆さん、他のクラスの出し物をお楽しみください。」
 アナウンスが聞こえてきた時に時計を見ると、もう、昼時だった。
「んじゃ、鈴のクラス行こうぜ。点心出してるから、立派に昼食だしな。」
 しかも、鈴のお手製だ。
 期待できるぜ。
「その後、どうするんですか?」
「俺のローテーションだよ。ちょうどその後、模擬戦の準決勝が始まる。」
 それを聞いた蘭は、目を輝かせる。
「それって、一夏さんの接客が受けられるってことですよね?」
「まあ、俺以外にも、接客役がいるけどな。」
 俺がいるからって、当たる確率が100%ってわけじゃないぜ。
 他にも、何人かいるから、俺を待っているわけにはいかないしな。

「織斑君。見回り、ご苦労さまです。」
「山田先生。お疲れ様です。」
 元代表候補で、ISの授業も担当している山田先生も、不測の事態に対応できるように備える事になっている。
 故に、俺の見回りの結果は、山田先生に送られている。
「悪い。ちょっと、待っててくれ。」
 俺と山田先生は、その場から離れる。

「特に、不審な人物は見受けられませんね。受付の段階で、チェックは厳しくしていますから、それもあるかもしれませんが。」
「織斑君特製の、チェックシステムですからね。すり抜けるのは、大変でしょうね。」
 受付の各種システムは、一夏が作成している。
 不審な人物が、どういう手段を講じるかを出来るだけ考えて、それに基づき、システムを構築。
 結果、他の見回り役も、不審人物は見かける事は無かった。
「ただ。ある意味、面倒な事になるかもしれません。」
 考え込む、一夏の眉間に、皺ができる。
「なりふり構わず。ですね。」
 真耶の表情が、真剣になる。
「はい。守りが固く、並大抵の方法では、どうにもならないとなれば…。」
『一理あるな。教官の武装は、拠点防御仕様にさせているが、面倒な事になるかもしれん。』
 教師間の通信回線で、話を聞いていた千冬からの通信が、入る。
 一夏が最も恐れているのは、一般客や各国政府や軍からの来賓に被害が及ぶ事だった。
 そうなると、各国からの干渉をシャットアウトする事が難しくなり、学園の生徒が政治屋の道具になりかねない。
「織斑先生。山田先生。一つ、考えがあります。」
 一夏が、ある策を、話す。
「成程…。その手があるか、早速準備をさせよう。」
「そうですね。現状、最悪の場合は、これが最も被害が少なくなる、プランですね。」

「悪い。待たせたな。先生への、報告しててさ。」
 打ち合わせを終えた俺は、弾と蘭の元に戻る。
「お前も大変だな。見回りしながら、あちこちチェックしたり、先生への報告をしたり。やっぱ、忙しいんだな。生徒会長って。」
 ここだけかもしれないけどな。
 そういえば、他の高校の生徒会長って、文化祭はどうしてるのかな?
 やっぱり、忙しいのか?
 なんか、興味あるな。
「お。ここだな。2組の喫茶店は。」

「いらっしゃいませ。あ、一夏。って、何で、弾と蘭が、来てるのよ!?」
「あ、鈴か。久しぶりだな。元気そうじゃないか。しっかし、チャイナドレス、似合わ、ぐぼおぁっ!!」
 弾は、鈴が投げたトレイが顔のど真ん中に命中して、最後まで、言う事は出来なかった。
 おいおい、下手すれば、顔面陥没だぞ。
「お久しぶりですね。鈴さん。チャイナドレスは素敵ですけど、中身は全然ですね。人の顔に向ってトレイを投げているようでは、折角のドレスが泣きますよ。」
「そっちこそ、一夏に招待されたんで、めかしこんでいるんでしょうけど、女の魅力のレベルは、変わっていないみたいね。」
 げ、しまった。
 鈴と蘭のバトルを見て、この二人が、仲が悪い事を、すっかり忘れていた事に気づいた。
 どうやって、止める?
 鈴を褒めれば、蘭がすねる。
 蘭を褒めれば、鈴がすねる。
 止めようがない。
 とにかく、注文して、さっさと食べて出よう。
「とにかく、座ろうぜ。早く食べないと、俺、クラスのローテーションに間に合わないからさ。」
 クラスの喫茶店のローテーションの時間が迫っていたのは、不幸中の幸いだな。

「うわあ、凄く似合う。」
「織斑君。素敵…。」
 燕尾服を着て、すっかり執事らしくなった一夏を見て、他の生徒達が溜息をもらす。
「あの、注文…。」
 一夏と一緒に来た蘭が、注文を頼む。
「いらっしゃいませ。何になさいますか?」
「え、えと、アールグレイのミルクティ。それに、チーズスフレと、トライフルを。」
「俺は、ダージリンのストレートティーに、アップルクランブル、パノフィーパイ。それと、ピーカンタフィ。」
 一夏は、注文内容を書いていく。
「かしこまりました。少々お待ち下さいませ。」
 恭しく、一夏は一礼します。
「お願いしますね。」
「イエス・マイ・レディ。」
 そう言って、一夏は、蘭に恭しく一礼する。

『どうしよう…。マイ・レディ。って、言われちゃった。』
 主人からの命令に対して、「承りました。」という返事の際に、男の場合は、「イエス、マイ・ロード。」
 女性の場合は、「イエス、マイ・レディ。」となる。
 聖マリアンヌ女学園の生徒である蘭は、そういった方面の知識もあるが、それでも、想い人に言われては、心がときめく。
 今、着ている、ワンピースとカーディガンも、今日の為に、あちこちを回って、念入りに選んだものだ。
 それを、可愛いと褒められた時も、蘭は心がときめいた。
 注文した物を待っている間も、接客している一夏をずっと見ているが、燕尾服を着て、意識するのではなく自然と背筋が伸びて、姿勢がよく、それに容姿の良さが加わって、目を離す事が出来なかった。
 他のクラスから、一夏目当てできた生徒たちや、各国の、女性のIS関係者や、IS企業の女性の営業職も蘭と同じで、数分で席は全て埋まり、行列ができた。
「お待たせいたしました。アールグレイのミルクティと、チーズスフレに、トライフルになります。こちらはダージリンのストレートに、アップルクランブル、パノフィーパイ、ピーカンタフィになります。以上でご注文はお揃いでしょうか?」
「は、はい。」
 心臓の鼓動を必死に抑えながら、蘭は答えた。
「それでは、ごゆっくり、お楽しみくださいませ。」
 恭しく一礼して、一夏はテーブルを離れる。
「んじゃ、食おうぜ。うん、うまい。」
「うん、おいしい。それに、このトライフル。一夏さんのレシピ。味、変わってない。」
 まだ、一夏が中学生の時、弾の所に遊びに行った時に、蘭は一夏と初めて会い、一目で恋に落ちた。その時、お土産で持ってきたのが、今、食べている、トライフルである。
 それ故、蘭にとって、一夏のトライフルは、特別な物だった。
 他にトライフルを頼んだ客も、絶賛している。

「あのトライフルだが、絶品だったよ。誰が作ったのかね?」
 イギリス政府の関係者が、会計の際に当番の生徒に訊ねる。
「厨房担当の生徒ですが、レシピ自体は、織斑君の物です。彼、お菓子作りも非常に上手ですから。」
「彼なら、イギリスでも、充分、店が開けるな。そう、伝えておいてくれたまえ。」
「ありがとうございます。」

「凄いじゃん。織斑君。大好評だよ。織斑君のレシピで作ったお菓子。」
 そうか。それは、嬉しいんだが…。
「どうしよう。材料が、凄い勢いで減っていくよ。」
 うわ、それやばいぞ。
 余るのもなんだけど、足りなくなるのも、それはそれでヤバイ。
 て、いうか、わりと多めに材料は、仕入れておいたんだぞ。
「こうなったら、仕方ありませんわ。余っても、やむを得ません。材料を注文しましょう。」
 セシリアが、厨房担当の生徒と相談して、どの程度、注文するかを決める。
「一夏さん。大変、申し訳ありませんが、ローテーションが終わる頃に到着しますので、取りに行って戴けませんか?」
「解った。それにしても、予想以上だな。何だよ、この売上。」
「織斑君の接客目当てもあるけど、織斑君のレシピのお菓子って、凄く評判がいいんだよ。お客さんが、みんな、褒めてたもん。」
「イギリス政府の人なんて、店が開けるレベルだって、言ってたよ。」
 お世辞じゃないのか?俺は、プロのパティシエの所で、修行したわけじゃないぜ。
「先程の方は、私も存じていますけど、冗談でああいった事は仰らない方ですわよ。資産家ですし、もし、一夏さんがロンドンに店を開くと聞いたら、スポンサーに名乗り出ますわね。」
 いや、パティシエになる気は無いが。

「どうだ?調子は。随分、繁盛しているみたいじゃないか。」
 俺のローテーションが終わって、制服に着替え終わった頃、千冬姉が来た。
「あ、織斑先生。見回りですか。」
「そんなところだ。それにしても、こう、甘いにおいがすると、何か食べたくなるな。」
 厨房の甘い匂いの誘惑に、脳が糖分補給を求めていたのか、千冬姉は残っていそうなお菓子が無いか、さりげなく探す。
「そこの、ショート・ブレッドならいいですよ〜。もうすぐ、材料きますから。」
 2枚残っているショート・ブレッドを、のほほんさんが指さす。
「ふむ。織斑のレシピか。」
 食べながら、千冬姉はすぐに見抜いた。
「いいな〜。織斑先生。織斑君のお菓子、食べたい時に食べられるんですから。」
 相川さんが、どこか恨めしそうに言う。
「そんなに、羨ましがる事か?」
「織斑君のレシピで作ったお菓子、凄い人気だったんですよ。イギリス政府の人なんて、ロンドンでお店が開けるって、太鼓判を押した位ですから。」
「ほう。引退後はパティシエか?金はあるから、開店資金は申し分ないな。他にも、ケーキや和菓子も作るからな。お前は。」
 わ、ちょ、千冬姉、そういうこと言うなって。
「ひどいよ。織斑君。そういうの隠すなんて。」
 いや、隠してないから。
「和風喫茶でも、問題なかったって事じゃない。」
 他のクラスと、被るぞ。
「織斑君。ぜひ、お菓子作りクラブと生徒会のかけもちを。」
 鍛錬の時間が、無くなるって。
 お、時間か。
「じゃあ、材料届くころだから、受け取りに行ってくる。こっちに届けたら、そのまま、生徒会の仕事に戻るから。じゃあな。」
 三十六計逃げるにしかず。
 こういう時は、こうするに限る。
 ちょっと、情けないけどな。

『今の所、怪しい人物はいないか。向こうも、どうするか、頭を捻っている頃かな?』
 生徒会室で、招待客のチケット、来賓として来ている、各国のIS関係者に、IS関連企業の人間について、一夏は改めてデータを見ていたが、特に怪しい点は見受けられなかった。
『このまま、無事に終われば、万々歳なんだけどな。』
 その時、茶道具と和菓子を持ってきた虚が、生徒会室に入ってきた。
「少し、休まれてはいかがですか?会長。」

 考えて見れば、俺、休んでなかったな。
 弾達を案内しながら、学園内の見回り、クラスのローテーション。
 そして、今は改めて、学園内のチェック。
 生徒会長の役目とはいえ、休みなしでやるのは問題かな。
 一息入れるか。
 静かな、雰囲気の中、虚さんがお茶を点てる音だけが聞こえる。
 俺はその間、薯蕷饅頭を食べていた。
 甘さが体に染みわたるような感じと共に、疲れが抜けて体が軽くなる気がする。
 疲れてたってことか。
 ひょっとしたら、こうなるのを虚さんは予想してたのかな。
 さすがに、整備科3年首席で、楯無さんから、ミステリアス・レイディの整備を、任されているだけある。
 細やかな所に、気がつく人だよな。
「どうぞ。」
 茶碗が差し出される。
「お手前、いただきます。」
 虚さんが点ててくれたお茶は、程良い塩梅だった。

「では、私はこれで。それから、織斑先生から伝言です。生徒会の仕事は、他の者に引き継がせるから、のんびり羽を伸ばしてこいだそうです。」
 それ程、無理はしていないつもりだけど、そうだな。
 いざという時に備えて、心身ともにリフレッシュする必要はあるか。
「解りました。虚さんも疲れすぎない程度に。」
「はい。では。」
 さて、俺は俺で、回るか。
 弾達も、弾達で回ってるしな。

 さてと、どこから回るかな。
 手始めに、虚さんのクラスから行くか。
 お茶の味も、いい塩梅だったし、薯蕷饅頭も美味かったから、舌鼓を打ちながら、のんびりできるだろう。

「いらっしゃいませ。って、織斑君!?」
 ああ。そういえば、3年生で接点があるのは、ケイシー先輩に虚さん、後は剣道部の部長さんと副部長さんか。
 けど、そんなに驚く事かね?

「ご注文は?」
 なにやら、ジャンケンをしていたようだが、それに勝ったらしい人が、注文を聞きに来た。
「抹茶に、水羊羹に、葛桜を。」
「はい。少々、お待ちくださいませ。」
 注文を聞いて、お茶を点てる場所に行く。
 今の所は、問題無しか。
 頼むから、来ないでくれよ。亡国企業。
 この日の為に、皆、準備してきたんだからな。
「お待たせいたしました。」
 注文した抹茶と菓子が、届いた。
 うん、うまい。
 控えめで上品な甘さで、口の中で羊羹の形から喉を流れて行く清水のようになる水羊羹。
 滑らかな周囲の葛と、餡が相性バッチリの葛桜。
 一般の人でも、親しみやすい、優しい味の抹茶。
 内装も綺麗で、心が落ち着く。

「織斑君の和菓子の食べ方って、上品ね。」
「さすがに、茶道の心得があるだけあるわね。」
「私の聞いた限りだと、茶人の号も持ってるって話よ。」
「え、本当?」
 一夏が、抹茶と和菓子を堪能している間、生徒達は一夏について、なんやかんやと話をしていた。

「あ、あの。すいません。織斑一夏さんですよね?」
 ん?誰だ。
 抹茶を飲み終って、声がした方向を向くと、20代後半くらいの許可証を首にかけた男性だった。
「はい。そうですが。何か?」
「私、こういう者でして。」
 慌ただしく、名刺を出す。
 なになに、芝崎インダストリーIS部門営業担当村山仁。
 ああ。装備の売り込みか。
 ずっと、生徒会の仕事に、クラスの仕事で、各メーカーとも売り込む機会が無かったからな。
 今は、大丈夫と踏んだか。
 って、窓を見ると、廊下には同業者らしい人が、何人もいる。
「それで、何か?」
「もし、よろしければ、我が社の装備を使っていただきたいと思いまして。あ、新製品でこんな物があるんです。」
 うん?これは、興味あるかも。
「じゃあ、整備室で。」
 俺がそう言うと、村山さんは嬉しそうになった。
 整備室は、ISのメンテナンスだけでなく、装備の売り込みの際の説明および契約の場所にもなっている。

「これって、小型のパイルバンカーですよね?材質は、新開発されたタングステンとベリリウムの特殊合金か…。火薬じゃなくて、電磁式なんですね。俺も、電磁式のパイルバンカーは考えましたけど、同じようなことを考える人っているんですねえ。」
 村山さんの端末の空中投影ディスプレイに表示されていたのは、小型化された電磁式パイルバンカーだった。
 俺もノブレス・イリュジオンの固定装備で、電磁式パイルバンカー「リオン・セール」を開発したけど、これはそれよりも小型だ。
 このサイズだと、肘や膝にも装備可能だな。
 CQCだと、肘や膝も攻撃手段になるから、IS戦でも近接戦闘になれば、有効な武器になる。
 まあ、小さい分威力はリオン・セールに劣るが、連続で叩きこめる。
 後は、白式のコアが受け入れるか否かだな。
 何より、俺の場合、契約をどうするかだ。
 国家代表や候補の場合は、担当官が同席した交渉で決まるんだが、そもそも俺は所属する国家が無い。
 千冬姉に聞くか。

「白式やお前の装備の契約は、政治的な意図が絡まないように、お前に一任されている。お前が考え、お前が決めろ。お前なら、浪費はしないだろう。」
 やれやれ、他人が絡むと面倒なことになるから、俺に一任か。
 でも、原資は税金だ。
 本当に必要な装備は、何かを考えて、無駄遣いはしないようにしないとな。
「信頼されているようですね。」
「そう見ていいんですかね?」
「織斑先生は、織斑さんのお姉さんであると同時に、親といってもいいそうですからね。私も3歳の娘がいる、人の親ですから。それなりに解るつもりですよ。」
 成る程。そういうもんか。
 俺も、いつか、人の親になれば、解るのかな?
 とりあえず、こいつを、試してみるかな。
「ええと、試せますか?これ。両膝、両肘に装備して。」
「本当…ですか…?」
 村山さんが、信じられないことを聞いたような顔をする。
「こういうことで、嘘は言いませんが。」
 暫く、村山さんは、呆けていたが、すぐに我に戻り、携帯取り出す。
「村山です。鋼牙を、4つ。大至急、IS学園に。僕が、出迎えますから。テストしたい人が出たんです。誰かって、織斑一夏さんです。世界でただ1人、ISを動かせる男性の。はい。はい。大至急頼みます。」
 会社との連絡を済ませた村山さんは、深呼吸する。
「もう少ししたら、来ますので、よろしければ、カタログをどうぞ。」
「あ、どうも。」

 そういえば、芝崎インダストリーは、自衛隊に医療キットも納めているんだったな。
 この傷パッド、良さそうだな。
 付属するのは、簡易型圧搾注射器に、洗浄用の精製水、混合ワクチン、鎮痛剤や解熱剤等がそれぞれ入っている。
応急処置セットとしては充実してる。
 後は、実弾系のライフルやミサイルポッドか。
雪羅の大出力荷電粒子砲は、エネルギー消費が激しい。小口径レールガンも、エネルギーを使う。
 そういうのがない、実弾系ライフルは、魅力的だよなあ。
 エネルギーを節約しなければならない時に備えた装備も、揃えていた方がいいかな。
 ハードポイント付きの増加装甲を作れば、大丈夫だし。
 後は、既製品を使うか、専用装備を自分で考えるかだな。
 このあたりが、意外と難しい。
 とりあえず、スペックを見てからだな。

 届いた鋼牙をインストールできるか、試してみる。
 うん。白式のコアも、拒否していない。
 ISの装備は、機体ごとにコアの好みが反映されるので、好みと正反対だと、インストールと量子化はできない。
 それにしても、よくここまで小型化したよな。
 楽じゃなかっただろうな。

「織斑さん。実弾系の装備も試されませんか?」
「どうして、また?」
 鋼牙だけじゃなかったのか?持ってきたのは。
「さっき、本社に連絡を入れたら、この機会に、他の装備も試して貰おうって、新型や試作型をいろいろと届けてきたんですよ。」
 「本社も、大騒ぎでしたからね。」と言いながら、村山さんはコンテナの扉を開ける。
 いろいろあるな。
 カービンタイプのライフルに、ミサイルポッド。
 お、スナイパーライフル。コンパクトでいいな。これ。片手でも使えるじゃん。しかも、アサルトライフルとしても、使える。
 こっちのガトリング砲は、小口径だけど、攻撃力は高いな。
 俺は、興味を引いたものを、一通り試してみる事にした。
 んじゃ、試してみますか。

 整備室で、ハードポイントを兼ねた増加装甲を作りながら、生徒会室に通信を入れる。
『はい。こちら生徒会室。あ、一夏君。装備のテストを、するみたいね。使えると思ったのは、一通り、購入しておきなさい。あなたの場合、何があるか解らないから。ちなみに、現在、異常無し。お友達も楽しんでるみたいよ。あの妹さんの事は聞いたけど、来年の、期待のルーキーになるかもしれないわね。』
『入学したらですけどね。じゃあ、気に入ったのがあって、契約が終わったら、俺も見回りに加わりますんで。じゃあ。』
『相変わらず、真面目ねえ。まあ、それが一夏君の取り柄だけど。じゃあね。』
 異常無しと。
 インストールと量子化を済ませると、俺はターゲットのモードを選択する。
 テストスタートだ。

 今回は、CQC用の装備である鋼牙のテストがメインだから、サバイバルナイフを装備させたターゲットを、使用する。
 白式を展開させて、ターゲットの群れに突っ込むと、多連装ミサイルポッド「アース・ラム」から、ミサイルが発射され、俺に向ってくる。
 丁度いいから、試すか。
 右側に増設したハードポイントに装備した、ガトリング砲「連弩」で迎撃する。
 弾丸が通常より小口径だから、弾倉には通常より大量の弾丸が入っているので、ミサイルの迎撃時は助かる。
 初速も速く、徹甲榴弾だから威力も大きく、ミサイルは小さな破片になって、地面に落ちる。
 使える。
 んじゃあ、行くか!
 一気に距離を詰めて、右膝の鋼牙でターゲットを破壊する。
 うん、威力も申し分ない。
 そう考えていると、後方から、サバイバルナイフで俺を狙うターゲットが迫る。
 ナイフが振り下ろされるより早く、左肘の鋼牙で破壊する。
 おお。使える、使える。
 戦術の幅が、広がるな。
 他の装備も、試すか。

『噂には聞いていたけど、凄い。』
 コンテナの傍で、一夏のテストを見ていた村山は、次々とターゲットを減らす一夏の戦いぶりに驚いていた。
「どうですか?織斑は。」
 いつの間にか、千冬が、今、テストで使用している第3アリーナに来ていた。
「あ、これはどうも。私、芝崎インダストリーIS部門営業担当村山と、申します。」
「ISの操縦訓練の授業を担当している、織斑です。」
 互いに、名刺を交換する。
「それにしても、すごいですね。初めて使う装備ばかりなのに、もう、完璧に使いこなしてます。うちのテストパイロット以上ですよ。」
「ああ。あれは、入学前の訓練で、入手できる限りの、IS用装備の訓練をしていますからね。たいていの新製品は問題なく、使いこなしますよ。
 アサルトライフルとしても、狙撃用ライフルとしても使用できる、新型ライフル「天穹」を試している一夏を見ながら、千冬はそう説明する。
「うわ。須佐之男を、片手で使うつもりですか!?」
 白式が手にした、加農砲を見て、村山は驚いた後、唖然となる。
 大口径加農砲「須佐之男」。
 実用化に向けて、運用試験中の物だが、開発部はコンテナに収めて送ってきた。
 凄まじい轟音と共に、新開発されたHEIAP弾が、ターゲットに命中して、燃やし尽くす。
飛び散った破片が周囲のターゲットを破壊する。
「たいした威力ですね。」
「まあ、そうですが、それにしても、あれを片手で難なく使いこなすとは、恐れ入りました。」

 凄え破壊力。
 雪羅の大出力荷電粒子砲の代わりになるかなと思って、試してみたけどこりゃすごいわ。
 ただ、ちょっと大きいから、懐に飛び込まれるリスクがあるか。
 それを考えて、納入してもらう装備を考えるか。

「はい。はい。今、契約書にサインしていただいているところです。ただ雷神は試験中なのでどうするかの判断を、仰ぎたいと思いまして。解りました。はい。はい。では。」
 村山さんが、携帯を切る。
「須佐之男に関しては、我が社での運用試験を終えた正式仕様を、後にお届けします。故障を考慮して3丁を無償で納入させていただきます。もし、何か意見がありましたら、私の方にご連絡をお願いします。」
 全て試したが、満足いく出来だったので、ミサイルポッド「連弓」、カービン「矢竹」、ガトリング砲「連弩」を一対ずつ。
 それに、アサルトライフルとしてもスナイパーライフルとしても使える「天穹」。
 雪羅の代わりに充分なり得る、大口径加農砲「須佐之男」。
 それに両肘、両膝分の鋼牙。
 う〜ん、買いすぎたかな?いくら、装備の購入は俺に任されているとはいえ、使いすぎだよなあ…。

「済んだようだな。どれどれ。」
 千冬姉が契約書に記されている、俺が納入してもらうことにした、装備の一覧を見る。
「なんだ。少ないな。遠慮する必要はないぞ。お前が、様々な追加装備を使用した際のデータは、金では買えん貴重なものだからな。それの4、5倍買ったところで、委員会は眉一つ動かさんよ。」
 なんだ、そりゃ…。
 言うことは解るが、まだ使って大丈夫ってのは、ちょっとなあ。
 大体、束さんから、毎月、研究費として、すごい額の金が、俺の口座に入金されている。
 いざとなれば、自分で作れるぞ。
第一、 雪羅は、攻撃防御双方で、様々な状況に対応できる。
 今回の購入を決めた装備で、エネルギーが危ないときも問題はない。
 俺は、必要なものは高くても、金をためて買うが、必要なものは金があっても買わないんだぞ。千冬姉。
「それでは、本日のはサンプルですので、無償で納入となります。後日、改めて新品納入・・・。」
 契約書を本社に送った後、村山さんの携帯が鳴る。
「失礼します。もしもし。お疲れ様です。はい?はい、解りました。」
 村山さんは短い話をして、携帯をきった。
「まもなく、新品が届くそうです。」
 早いな。

「くそっ!隙がねえ。」
 亡国企業の襲来を想定している、IS学園のガードは鉄壁で、侵入する隙が無かった。
 チケットは偽造が出来ないように、特殊な方法で作られ、IS関係の企業の人間を装うにも、事前登録した人間しか、入ることは許されない。
 情報を改ざんしようにも、IS学園はゴーレムシリーズの事件で、外部からハッキングされた事で、ハッキング対策を極めて強固にしているので、手が出せない。
「こうなったら、強引にぶち破って、中に入るまでよ。」
 ゴーレムシリーズのレーザー砲なら、アリーナのシールドを破ることが出来る。
 後は、中に入って、一夏と白式を奪取するのみ。
 作戦とは言えない作戦を実行することに、決めた。
 しかし、IS学園の様子を伺っている、オータムは、監視されていることに気づいていなかった。

「そう。解った。ご苦労様。こちらはこちらで、準備は出来ているから、大丈夫よ。」
 更識家当主の楯無に戻って、部下からの報告を聞く。
『全ての、専用機持ちにお願いがあります。現在、このIS学園は狙われている模様です。2人でペアを作り、至急、第1から第6アリーナに来てください。そこに誘い込み、殲滅します。尚、これはあくまでIS学園に所属する専用機持ちのデモンストレーションという形にします。』
 楯無は全ての専用機持ちに、通信を入れた。

「狙いは一夏だね。」
「だろうな…。いい機会だ。改修の結果を試させて貰おう。」
 シャルロットとラウラは、第1アリーナに向かう。

「やれやれ、どうしてこう、騒動が起きるんだか…。」
 フォルテが溜息をつく。
「さあてね、とりあえず、行こう。楯無の頼みだし、無下に断るのもなんだしさ。」
「お、先輩、義理がたいッスね。何か、借りでもあるんスか。」
「私は、元々、義理人情に厚いんだよ。」
 漫才のような会話をしながら、フォルテとケイシーは第2アリーナに向う。

「あ、高階さんだよね?」
「うん。4組の代表の更識さんだよね?」
 簪は、黙って頷く。
「どうするの?高階さん。私は行くけど。」
 簪の言葉にしばし迷っていたが、高階は歩きはじめる。
「私も専用機持ちだから、だから戦う。それが今の私の本当の気持ち。」
 歩きながら、玲子は簪に決意の意思を込めて、言う。
「じゃあ、行こうか。いつまでも、一夏に頼りっきりじゃ、何か情けないし、私も、日本代表候補の一人だし。」
 日が経つごとに、明るく積極的になった簪が、玲子と肩を並べる。

「しつこい連中ね。何度来たって、私達には勝てないのに。」
 鈴が呆れたように言う。
「それだけ、欲しい物があるのだろう。あの時のように…。お前なら、解るだろう。」
 理解した鈴は、一瞬、悲しい顔をした。
「あんなのは、二度と見たくないわね。箒、絶対に防ぐわよ。」
「ああ。紅椿は、いい餌になるだろう。犯した罪を償わせてやる。」
 箒と鈴も、アリーナに向う。

「オルコットさん。連絡は行っていると思うけど、あなたはどうするの?」
 1組の教室に来た楯無が、問いかける。
「愚問ですわね。私とて、ブルーティアーズの専任にして、イギリス代表候補。この学園を狙うなら、戦うのみですわ。」
 迷いのない目をしたセシリアの答えに、楯無は満足そうに頷く。
「悪いけど、私と組んでくれるかしら?他の人達は、全員ペアを組んだらしいのよ。」
「承知しましたわ。愚行の報い、たっぷりと与えましょう。副会長。」
「ええ。」
 お互いに、どこか物騒な笑みを浮かべて、アリーナに向う。

『虚、本音。手筈通り、お願いね。』
 襲撃されたケースを想定して、生徒会と教員の合同会議で、対応策は決定していた。

「各施設、シールド最大。」
「電源、アリーナとの分離完了。アリーナは敵が侵入したと同時に、最大展開します。」
「光学迷彩準備OKです。目標を確認次第、全ての窓をモニターに切り替えて、欺瞞出来ます。」
 生徒会室では、教師たちが慌ただしく作業をする。
 本来なら、整備科の生徒を動員したかったが、事の性格上、不可能だった。
「よし、アリーナ用の電源を再確認。各施設用の電源の監視も、同様に。一般人には、被害を出すな。」
 千冬が状況を確認しながら、指示を出す。

「ラウラ・ボーデヴィッヒ、シャルロット・デュノア組、第1アリーナに着きました、IS展開。戦闘準備完了です。」
「フォルテ・サファイア、ダリル・ケイシー組、第2アリーナに到着。さらに、凰鈴音、篠ノ之箒組は第3アリーナに、更識簪、高階玲子組は第4アリーナにそれぞれ到着。更識楯無、セシリア・オルコット組、第5アリーナに到着。織斑一夏…、単独で第6アリーナに到着。」
 本来ならば、虚か本音をパートナーにつけたいところだが、いざという時の控えでもある為に、無理であった。

「来ます!!ゴーレムシリーズ18機、尚、ゴーレムシリーズは、15機がさらにカスタマイズされている模様。3機は、新型です。さらにISが1機。アメリカ製第2世代ISアラクネです。」
「あれか…。」
 千冬がかすかに眉をひそめる。
「アリーナの欺瞞システム展開。相手の映像を描き変えろ。」
 ゴーレムシリーズの存在を、一般人に知らせるわけにはいかないので、千冬は映像処理システムで、実戦用の重装備ターゲットの映像で欺瞞をする。
「さらにカスタマイズされた、ゴーレムシリーズ。それに新型のゴーレムシリーズ。加えて、面倒なISが、出てきましたね。高階さんは、専用機持ち以外で、1年では5本の指に入っていた実力者とはいえ、専用機では初めての戦闘。来てほしくないですね。」
「そうなったら、更識に上手くやってもらうしかあるまい。打鉄弐式は完成したばかりだが、日本代表候補だしな。アラクネはどのアリーナに向っている?」
「第3アリーナです。」
「狙いは、紅椿か…。」
 箒と鈴が向った、第3アリーナに向った事で、相手の狙いが、千冬にはすぐに解った。
 世界最新鋭の第四世代型である紅椿は、亡国企業も、喉から手が出るほど欲しい事は、明らかだからである。

『乗り切ってくれよ…。向こうは、さらに戦力を投入するかもしれんから、こちらは、動けん。』
 各アリーナの状況を映した、空中投影ディスプレイには、それぞれのアリーナに着いた、ゴーレムシリーズと、アラクネが映し出されている。
 万が一の備えを確認しながら、千冬は教え子たちがこの困難を乗り切る事を、祈っていた。

後書き
久方ぶりの更新です。
亡国企業側もついにしびれを切らして、強硬手段にでます。
迎え撃つは、IS学園の専用機持ち達。
国家の誇り、威信を背負って、日々研鑽している彼女たちと機械人形が、相見えます。
それにしても、やはりメイド喫茶というのは、王道的なヴィクトリア風ですよ。
美味しい紅茶と共に、ゆっくり時を過ごす。
私自身、昨今のメイド喫茶って、駄目なんですよね。
池袋には、執事喫茶というのがあるのに、これのメイド版はないんですよね。
需要ないのかなあ?

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