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zoom RSS 機動戦士Zガンダム〜ネオ・ジオン戦役〜 第18話 決着の後

<<   作成日時 : 2012/04/13 21:54   >>

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「苦戦か…。」
 ラカンの部隊からの報告を見て、ハマーンは苦い顔をする。
 さらに、各地に放ったスパイからの情報を総合して、アムロ専用のNT専用機が完成し、既に届けられた事が、ハマーンに伝わる。
『カミーユ・ビダン、シャア・アズナブル、そして、アムロ・レイか…。ビットやファンネルを搭載していないが、操縦系にサイコミュを搭載されているだけでも、面倒だな。』
 3人とも、ニュータイプであるという事を差し引いても、幾多の修羅場をくぐり抜けてきた、熟練パイロットだ。
 戦局に与える影響は、大きいだろう。
 さらに、新型の量産機も届けられたことで、MSの質はアムロ率いる守備隊とエゥーゴの連合軍の方が、上回る。
 ドライセン等のMSを届けたとはいえ、一年戦争時に開発された旧式が占める割合は、今でも少なくない。
 総合すると、戦力としては、自軍が劣るという事を、否定できなかった。
『ラカンといえども、さすがに、アムロ・レイ達には勝てん。とはいえ、ただでさえ指揮官クラスの人材不足も著しい。その点においても、ラカンを失うわけにはいかぬ。』
 ハマーンは、今後の戦略を変更せざるを得ない事を、認識しつつ、どうするかを考え始めた。

「くうっ!!」
 アムロのηとラカンのドライセンの戦いは、ηが一方的に押していた。
 ドライセンの装甲は各所に、削られた跡がある。
 何とか紙一重で回避できたが、それが、ラカンにとっては精一杯だった。
「化け物め…。」
 汗を拳で拭いながら、ラカンは毒づいた。
 目の前の異形のMSは、スピード、パワー双方で、ドライセンを大きく上回っている。
 地上戦ならば、あるいは勝機があるのではと思っていたが、地上戦を考慮し、ホバー機能を搭載し、ドライセンを翻弄していた。
 アムロとの戦いだけではなく、全体的に戦局は悪い。
 本来ならば、カラバからの補給ルートを遮断する拠点を確保できていたはずだが、その部隊は、エゥーゴの部隊を中心とした戦力に阻まれ、劣勢に立たされていた。
 中央は、アムロ直属の部隊との戦闘で、かなりの損害を被っている。
 このまま、作戦を続行すれば、全部隊が潰走するのは、目に見えている。
 しかし、撤退するにも殿を務める部隊が必要で、どの部隊にするか、ラカンは考えあぐねていた。

「戦況。こちらの優勢変わりません。」
「よし、敵後方部隊に、攻撃開始。味方に当てるなよ。」
 アーガマの砲塔から、メガ粒子砲が発射され、ミサイル発射管は、ミサイルを発射する。

「後方部隊散開!敵の的になるな。」
 常識的な、命令だったろう。
 しかし、これが、全部隊の集団としての秩序が乱れる切っ掛けとなった。
「よし、チャンスだ。進め!」
 アムロが、ラカンのドライセンを仕留めようと、向う。
「おのれ!!」
 ドライセンが、ηにビームトマホークで切りつけるが、サイコミュと連動した大型シールドに阻まれ、さらに、左肩にあるサイコミュと連動しているビームキャノンが、ドライセンのコックピットを射抜く。
 しかし、ラカンはビームトマホークが阻まれた際に、無意識に脱出していた。
 中央部隊の内の1機が、脱出ポッドを大事そうに手に持ち、戦場を離脱する。

 司令官のラカンが撃墜されたことで、指揮系統が崩壊したジオンの残党部隊はその数を減らし、やがて、数機が、戦場を離脱した。

「これで、もう、向こうは戦えまい。ネオジオンとしても、ダカールにこだわるわけにはいかんだろうからな。」
 基地に戻ったクワトロが、ドリンクを一口飲んでから、アムロにそう話す。
「ダカールは、あくまで取引材料か…。」
「そういう事だ。サイド4は、ウラキ中佐達が守っているから、そこのコロニーを使った、コロニー落としは出来まい。他のサイドは睨みあいになっているから、引っ張って来るのは、奪取を含めても、時間がかかる。」
 ドリンクを飲みほしてから、クワトロはゴミ箱に捨てる。

「サイド3のコロニーを使う可能性は、あると思いますか?」
 カミーユが、クワトロに訊ねる。
「それはないな。国力をやせさせるような愚行を、ハマーンは犯すまい。」
「でも、観光施設となっているコロニーが、サイド3にはありますよ。それがコロニー落としに、使われる可能性があると思うのですが?」
 一年戦争後、サイド3は娯楽施設が主な収入源となるサイドにされている。
 一つや二つは、コロニー落としに使われる可能性があるのではないかと、カミーユは考えていた。
「いや、2つの可能性からそれはないだろう。」
 アムロが、カミーユの疑問に答える。
「2つの可能性ですか?」
「第一に、兵を休ませる為に、娯楽施設は必要だ。第二に、戦局がひっ迫した場合に、軍需系ないし食糧生産コロニーにするのに、ハマーンは取っておきたいだろう。ひょっとしたら、既に、農業、畜産業、そして、食品加工の拠点にし始めているかもしれないな。」
 戦争は、大量の物資を消費する。
 消費した物資を、供給できなければ、戦争は出来ない。
 さらに、戦時下で市民の食糧が不足すれば、暴動が起きる可能性がある。
 それを鎮圧していては、それこそ、戦争どころではない。
 安心して、戦争が出来る態勢を整える為に、ハマーンは、コロニー落としはしないだろうと、アムロは、考えていた。
「なるほど、そうですね。」
 アムロの話に、カミーユも納得する。
「さて、ブライトの所に行ってくるか。今までの、アーガマのMS部隊の働きに対して、感謝しているしな。」

「ラカンが敗れたか…。」
「は。しかし、戦死されてはおりません。」
「そうか。ご苦労。」
 幕僚の1人から、報告を聞き、さってから、ハマーンは安堵した。
『あれには、指揮官としても働いてもらわねばならん。今回の敗北は、問わぬが、吉か。百戦して百勝とはいかぬしな。』
 今回の敗北に対して、ハマーンは処分しない事にした。
『面倒ではあるが、各コロニーから、連邦にとって重要なコロニーを、攻略するか。それを交渉の材料にして、戦力の充実を図るとしよう。』
 すでに、ソロモンの工廠では、MSと艦船の量産が順調に進み、予備パーツや軍用食料等の軍需物資も順調に生産されている。
 連邦といずれ全面戦争をするにしても、戦力を整えなければ、話にならない。
 MSにしても、量産MSの他にワンオフの強力なMSを建造している。
 こちらも戦力として、前線に投入したいので、ハマーンは時間を欲していた。
 その為に、連邦との交渉材料として、手に入れようとしたのがダカールだった。
「カードが一枚あるか。良い手駒を有してはいるし、この際、ちょうどよかろう。」
 ハマーンは、ある男の事を考えていた。

「誰か、あるか?」
「はい。」
 ハマーンの声に応えて来たのは、やや薄い金髪の17、8の少女だった。
 アマーリエ・エールラー。
 最近、ハマーンの副官となり、ニュータイプでもある。
「地球戦線の、立て直しを図る。会議の準備をしてくれ。」
「承知しました。」
 パイロットとしての技術も確かで、副官としても優秀な彼女をハマーンは高く評価し、専用のMSも与えていた。
『少し、私も動くとするか…。』

「ハヤト・コバヤシ。久しぶりだな。元気そうで、何よりだ。」
 カラバに譲渡された、アーガマ級巡洋艦であるアイアースの艦長に赴任していたハヤトは、補給部隊をひき連れて、ダカールの守備を固める為の増援部隊を引き連れていた。
「クワトロ大尉も、変わりないようですな。ダカールの防衛では、いろいろとお世話になりました。カミーユも、よく頑張ってくれた。カラバを代表して、礼を言わせてもらうよ。」
「あ、いえ…。」
 礼を言われたカミーユは、照れくさそうに頬を掻く。
「カミーユ、照れてる。」
 腕をからませながら、フォウは可笑しそうに言った。
「フォウ少尉も元気そうだ。やはり、想い人に逢えたからかな?」
 ハヤトは、フォウがカラバに助けられた経緯から、面識があり、カミーユの事を想っている事も知っていた。
「はい。」
 頬を薔薇色に染めながら、答える。
「やれやれ、御馳走様だな。」
 ハヤトがそう肩をすくめると、周囲が笑い出した。
 少しして、ハヤトはブライトと握手をする。
「本当に、よく、増援に来てくれた。どれだけ、心強かったか解らない。」
「なに、カミーユやクワトロ大尉が、世話になったからな。借りはいつか返したいと思っていた。そういう事だ。上からの命令だったが、ちょうどいい機会だったよ。」
「別に、貸しを作った覚えはないがね。いずれにしても、皆、よく、頑張ってくれた。敵もしばらくは、作戦行動はとれまい。MSの整備とオーバーホールが数日の間、行われる。ボーナスが出るから、今夜は自由にしてくれ。但し、羽目は外しすぎるなよ。それと、カミーユとフォウ少尉。」
「「はい?」」
 二人は、首を傾げる。
「まだ、子供は作るなよ。使う物は、きちんと使ってくれ。」
「ああ、それなら、問題ありませんぜ。俺が、きちんと渡してますからね。」
 ヤザンの言葉に、皆が一斉に笑いだすが、フォウとカミーユは顔を真っ赤にした。

「もう、ハヤトさんもいい加減にして欲しいわ。」
「だよなあ。」
 二人は、ダカールで指折りのホテルのレストランで、ドレスとスーツに身を包み、高級フランス料理を食べていた。
 ダカール守備隊で、同じ部隊に属するパイロット同士が恋人というのは、この二人である。
今日一日だけで、少なからずからかわれたが、それだけ、二人が、強く結ばれた恋人同士だったので、皆、それを羨ましがったり、微笑ましく思っているからである。
「でも、ダカールを守りきれて、素敵なディナーを堪能できるのだから、よしとするわ。」
「そうだね。守りきれなかったら、その後、どうなっていたか…。サイコミュを通じて感じたよ…。前に、ハヤトさんが館長をしていた博物館に飾られていても、おかしくないMSで戦っているジオン残党の意志。いや、そんな、生易しい言葉じゃ表現しきれない。そう、怨念だね。それを思い出すと、守りきれてよかったって、本当に思う…。」
 そう言って、カミーユは、グラスに注がれたノンアルコールのシャンパンを、一口飲む。
『カミーユ…。』
 ニュータイプとしての能力が非常に強く、戦場で敵の意志を感じやすいカミーユは、ニュータイプや強化人間のプレッシャーだけではなく、そうでない敵パイロットの意志も感じてしまう。
 一念戦争終結以来、地球の各地に潜んでいる間に蓄積された、ジオン残党の怨念は、凄まじいものがあるだろう。
 普通の人間なら、少し感じただけで、どうにかなるだろう。
 そんなものを、カミーユは嫌になる程感じている。
 繊細で感受性が強いカミーユにとっては、いいとは決して言えなかった。

「カミーユ。シャンパン、後で、部屋に届けさせましょう。」
 デザートを食べながら、フォウがカミーユに提案する。
「何故だい?」
 カミーユは不思議に思い、訊ねる。
「ベッドの中で、乾杯するのよ。」
「そういうことか。いいね。そうしよう。」
 カミーユの精神を、出来る限りリフレッシュさせようと考えた、フォウの機転だった。」

「では、任せるぞ。グレミー・トト。」
「はっ。必ずや、ダカールを陥落させて、ごらんに入れます。」
 アクシズでは、ハマーンがグレミーにダカール攻略を命じていた。
「うむ。で、準備にはどの程度かかる?」
「サイコガンダムの擬装等、手間のかかる作業もありますので、1週間ほどかかります。」
「そうか。万事ぬかりないようにな。予定通りの期間で終わっても、不完全では、作戦が瓦解する切っ掛けになりかねん。今回は、ティターンズとの戦いをくぐり抜けたアーガマだけでなく、あの、アムロ・レイもいる事を忘れるなよ。エルピー・プルといったか。あれとは、ニュータイプの能力、何より積み上げた経験が違う。恐ろしく手強い敵だ。心してかかれ。」
「はっ!お言葉、肝に銘じましてございます。」
 グレミーが、うやうやしく頭を垂れて、ハマーンの執務室を出る。

 グレミーが退室した後、しばらく、ハマーンは書類の決裁をしていたが、そこにある人物が来た。
「ハマーン。少し、良いか?」
「ミネバ様。このような所に来ずとも、お呼びいただければ、私が出向きましたものを、さ、お座りくださいませ。」
 執務室を訪れたミネバに、ソファに座るよう勧めて、ハマーンはミルクティを運ぶ事を、侍女に命じる。

「地球の戦況は、よくないようだな。憂鬱さを感じる。」
『お気づきだったのか…。』
 ミネバがニュータイプであるかは、現在未知数だが、非常に勘の鋭い所があるのは事実で、度々、ハマーンは、驚かされた経験がある。
「面目次第もございません。全ては、私の不徳の致すところでございます。」
「責めているのではない。強い。とても強い力を、エゥーゴから感じるのだ。私に引き留めるだけの器が無かった為に、シャアはジオンを見限ってしまった。何より、あの、アムロ・レイがいる。苦しい戦いになって当然だ。それに、そなたですら、苦戦した、パイロットがエゥーゴにいる。無理もない。せめて、シャアだけでも、我らの側にいてくれれば、もっと、違っていたろうな。つまり、私にも、かなりの責任はある。そう言いたいのだ。だから、あまり、自分を責めるな。」
「ミネバ様…。」
 自責の念が表情となって浮かんでいるミネバの顔を、ハマーンは言葉を発する事も出来ず、しばらく見ていた。

「ミネバ様のお言葉。誠にありがたき事にございます。現在、新たな兵力を、地球に送りだす準備に入っております。ティターンズが製造した物ですが、強力なニュータイプ用MSも投入します。やがて、ミネバ様の懸念も無くなりましょう。しばし、御辛抱下さい。この、ハマーン・カーン。必ずや最後には、勝利を、ミネバ様に、献上いたします。」
 床に膝をついて、ハマーンが恭しく頭を下げる。
「すまぬな。苦労を掛けるが、そなたしか、私には頼れるものがおらぬ。許せよ。」
 そう言って、ミネバは、ハマーンの手を取る。

 1週間後、グレミーは全ての準備を整え、新たな旗艦として与えられた、戦艦グレゴリオの指揮官席に座った。
「全軍、出撃!!シュロスに固定されているMS部隊は、大気圏突入10分前に、パージ。第一陣として、本営施設ポイントを確保せよ。」
 戦艦1、巡洋艦4、大型輸送艦1で構成されるグレミー率いる新たな部隊が、アクシズを発進した。
「例の物は着いているな?」
「はっ、既に。」
 ハマーンがグレミーの監視の為につけた副官に、グレミーは何かを確認した。

後書き
ネオジオンて、考えて見れば、泣きどころが少なからぬありましたね。
彼我の国力差に、兵の練度、人材不足。
それでも、それなりに戦えたのは、連邦のお偉いさんが、犯罪的なボンクラだったお陰です。
しかし、ブライトの様にきちんとした見識を持った指揮官に、優秀な部隊がつくとこうなってしまいます。
ZZでも、序盤は優勢でしたが、それが真だったとは言えない所もありますね。














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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
先が、無茶苦茶楽しみです(o^-')bオールスターでのダカールの戦い!
ジュドー達は、出て来るのか?
ロザミアは、どうなってるのか?
プルツーや、プルトゥエルブ(マリーダ)さんは?
カミーユとフォウのカップルは、まだまだラブラブなのか? (笑)
宇宙世紀最高ですねd(^O^)b

タケゾウ
2012/05/10 17:08
タケゾウさん。
再びのコメントありがとうございます。

>オールスターでのダカールの戦い!
 カミーユ、クワトロ、アムロ。
 確かに、オールスターですよね。
 しかも、サイコミュを搭載したニュータイプ専
 用機に搭乗してますから、強い。
 この二次創作はあくまでも、Zの続編ですから
 ZZのキャラはどこまで出るかは、ご想像にお
 任せします。

>プルツーや、プルトゥエルブ(マリーダ)さん
>は?
>カミーユとフォウのカップルは、まだまだラブ
>ラブなのか? (笑)
>宇宙世紀最高ですねd(^O^)b
 ガンダムUCを見ると、やはり宇宙世紀を舞台
 にした作品はいいですよね。
 ガンダムAGEも見てはいますが、UCに比べ
 ると、ストーリーの重厚さやキャラの魅力が、
 段違いですから。
 プルツーや、プルトゥエルブですか?
 私はクシャトリヤ大好きです。
 これがヒントになりますね。
 カミーユとフォウは、どうなりますかな?
 バカップルになるかも(笑)。
CIC担当
2012/05/11 19:53

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