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zoom RSS 機動戦士ガンダム 〜Test Force Story〜 第2話 死闘

<<   作成日時 : 2012/03/10 00:27   >>

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「作戦自体は、極めて単純だ。陽動部隊が敵の大半が引きつけている内に、突入部隊が基地施設で破壊すべきものは破壊し、その後、占拠しろ。特に、ミサイルは、必ず全て破壊しろ。この作戦の成功が無ければ、次のキャリフォルニア基地奪還作戦に大きな支障が出る。」
 ジオン軍の、ジャブロー攻略作戦失敗後、北米攻略軍第4MS大隊第1中隊隊長となり、大尉に昇進したヒルトは、作戦会議の場にいた。
『さて、どっちに回されるやら…。』
 今回、攻略対象となる基地の戦力は、MSと戦車等の装甲車両の混成1個大隊と判明している。
 装甲車両とMSでは、後者が圧倒的に有利だが、戦いようによっては、MSが敗北する可能性もありうる。気を抜くわけにはいかなかった。

「さて、今回の役割分担だが、最も集団としての対MS戦能力が優れている、第1中隊に担当してもらう。」
 大隊長のメイスン中佐が、命令を下す。
『こっちか…。』
 MSと装甲車両の混成部隊を蹴散らしながら、基地施設を破壊する役目がヒルト率いる、第1中隊に割り当てられた。
「はっ。了解いたしました。」
 ヒルトは姿勢を正して、敬礼する。

「というわけだ。向こうは、混成部隊。MSの数では、こちらが勝る。攻撃力を前面に押し立てて、短時間で制圧する。これが、作戦の基本構想だ。向こうは、車両を前面に押し出してくる事は無いだろう。殺されに行かせるようなものだからな。かと言って、支援攻撃をされても面倒だ。楔型に隊列を組んだ各小隊の、後方に位置するMSはこいつを排除してから、MSを目標にしてくれ。敵も、死に物狂いで戦うだろう。絶対に、油断するなよ。」
「「「はっ!」」」
 ヒルトが作戦案を説明すると、麾下の中隊を構成する3個小隊の指揮官たちが背筋を伸ばして敬礼する。

「MS1個大隊か…。」
「はっ。」
 ヴァンデンバーグ基地の司令を務め、自らもモビルスーツを駆る、アドルフ・ベレンキ大佐は、執務室で副官のベルマン中尉からの報告を聞いていた。
「キャリフォルニア基地攻略が、間近に迫っているということだな。」
「おそらくは…。」
 この基地は、各種ミサイルが配備され、キャリフォルニア基地が、連邦軍の攻撃を受けた際には、攻撃を阻む任務を課せられている。
「総員、第一級臨戦態勢を取れ。船の燃料は問題ないな?」
「はっ。既に燃料は満タンにしておりますし、負傷兵を搭載する用意も、万事整っております。」
「うん。それと、私のMSを、いつでも出せるように、しておいてくれ。」
 淡々とした口調で報告し、黙々と任務を果たす事から、「鉄仮面」というあだ名をつけられているベルマンの表情が変わる。
「そんな顔をするな。出ると決まったわけではない。戦力を考えれば、不利な事に変わりは無いが、幸い、弾は不足していない。マゼラアタックでも使い方次第では、充分戦力になる。まだ負けると決まってはいないと思うがね。」
 そう言って、ベレンキはベルマンの肩を叩く。
「失礼いたしました。」
 敬礼しながら、ベルマンが謝罪する。
「気にする事は無い。命令を伝達してくれ。」
「はっ。」

『さて、どこまでもつか。オデッサが連邦軍に奪われた事で、地球での勢力図は完全に逆転した。アフリカ戦線も苦戦していると聞く。ここもそうはもつまい…。』
 ベルマンが執務室を出てから、ベレンキはこれから始まる戦いの事を考えていた。
 地球上のジオン軍の最重要拠点としてはキャリフォルニアベースと並ぶ程の重要な拠点であり、最も大きな資源採掘場でもあったオデッサが連邦に奪還された事で、戦局は一変し、各地で連邦軍の反撃の狼煙が上がった。
 量産型MSであるジムが、ジャブロー以外の各地の工場で大量に生産され、国力に物を言わせた物量戦で、ジオン軍を押している。
 そして、キャリフォルニアベースにも大部隊が迫っている。
 もはや、地上にジオン軍の居場所は無くなりつつあった。
 故に、艦船を用意させて、出来る限りの兵を無駄死にさせる事を防ぐために、宇宙へ脱出させる決断をしていた。
「決戦は宇宙か…。」
 間もなく、50になろうかというベレンキは、急に老けこんだような顔をする。
『何とか、一人でも多くの兵士を、宇宙に上げてやりたい…。勝敗が決したら、兵を無駄死にさせる必要はないだろう…。』
 そう考えたベレンキの顔は、精悍さを増した顔つきに変わっていた。

「作戦開始だ。全機突撃!敵戦力及びミサイルを破壊しろ!」
 それぞれ、自分で最も的確だと考えて、主武装のビームスプレーガンの他に武器を選んだジムが、突撃しながら、ミサイルを破壊していく。
『静かすぎるな…。本来なら、MS部隊が迎撃に来る筈…。』
 訝しんだ結果、ヒルトは後列のMSに指示を出した。
「前方に砲撃。相手を突っついてくれ。」
 今回の作戦では各小隊に、必ず、1機は長距離砲を装備させている。
 ヒルトは、その存在を、確かめる必要を感じた。
「敵はおりませんが…。」
「それを確かめるのさ。今は夜だから、闇に紛れる事も出来る。前方のミサイルに隠れる事も出来る。いずれにせよ、奇襲をかけられるのは御免だからな。前方のミサイルを破壊して、相手を引きずり出すんだ。」
「了解しました。」
 ヒルトの説明で納得したパイロットは、長距離砲で遥か前方のミサイルを狙う。
 長距離砲は射程が長いが、徹甲榴弾を使用している為に、爆発がさらに爆発を呼び、周囲のミサイルが連鎖的に爆発する。
「大尉、前方5000に熱源反応。MSです。それに装甲車両。大尉の指示がドンピシャリですよ。MSはザクが7。ドムが1です。さらに、マゼラアタックが5。それから、見慣れないMSが1機です。」
 報告中に、マゼラアタックが砲撃を開始し、他のMSも攻撃を始める。
「小隊ごとに散開。シールドで防御するのを、忘れるなよ。見慣れないMS?クリス。音紋照合で判別できないか?」
 部隊に命令しながら、後方でサポートに当たっているクリスに、連絡を入れる。
「爆発が凄過ぎて、ソナーがあまり役に立ちません。それでも拾えた音紋もありますけど。ザクとマゼラアタックだけです。もう一つは、全く聞いた事がありません。とにかく、ソナーの効力が元に戻らないと、何とも。」
『やれやれ、やり過ぎたかね。でも、こいつらをぶっ壊すのも任務なんだよな。』
 この基地のミサイルが、キャリフォルニアベース攻略部隊を攻撃すれば、味方に大きな損害が出る。
 それを回避する為の、今回の作戦なので、どうしてもミサイルを破壊する必要があった。

『思いきった事をする。多少なりとも戦力を割くべきだったか…。戦力を集中した事が裏目に出たな。』
 ヒルトの判断で、つつき出され、後方から戦況を見ながら、自らのMSのコックピットで、ベレンキは、これからどうするかを考えていた。
「大佐。相手はジムが1個中隊ですが、その中に少し違うのがいます。」
 ベルマンのドムからの映像を見る。
「ふむ。ビーム兵器も他のジムより強力そうだな。ビームサーベルも2本装備している。…隊長機かもしれん。そのジムは、私が叩く。ベルマン、他は頼むぞ。」
「はっ!」
 ベルマン率いる部隊が、中隊と交戦状態に入ると同時に、ベレンキもヒルトが駆るプロトタイプを目標にした。
『優れた判断力を持つ、指揮官と見た。潰すことが出来れば、勝機は、ある。』

「こっちに来るか。各小隊、ブリーフィング通りにやれ。日頃の訓練通りにやれば、必ず勝てる。」
 シート横の照準器を引き出して、プロトタイプに向かってくる、ベレンキのMS慎重に狙いを付けるが、かすりもしない。
「何て、速さだ!ドム以上だな。」
 プロトタイプは、ドムとほぼ同等の性能を誇り、ヒルトも、ドムと互角の勝負ができる自信が、あった。
 逃げ道を狭めて、命中率を上げようとするが、それでもかすりもせず、敵MSは、背部のガトリング砲を発射する。
「ちっ!」
 後退しながらも、ヒルトは攻撃を続ける。

「ほう。MSの性能もそうだが、パイロットもいい腕をしている。楽には勝てんな。」
 専用MSイフリート・シャルフリヒターのコックピットで、ベレンキは楽しそうに呟く。
 マゼラアタックは、既に3両撃破され、ザクも2機撃破されている。
 第一中隊は、集団戦法で、確実に相手を仕留めていく。
 部隊の戦況は劣勢だが、それでも腕の経つパイロットと戦えると思うと、ベレンキは血が騒ぐ。
「さて、こちらのエリアで戦わせてもらうぞ。」
 ペダルを踏み込んで、ホバー走行のスピードを上げる。

「やるしかないか。」
 右のビームガンを左に持ち替えて、ビームサーベルを抜き、ヒートサーベルを両手にしたシャルフリヒターを迎え撃つ。
『ルナ・チタニウムを使ったシールドでも、下手をすれば防ぎきれない。なら…。』
 再び、ヒルトは、左のビームガンを撃ち始めて、右に相手を誘導する。
『よし!』
 ペダルを踏み込み、スラスターを吹かして斬りかかる。

『ぬっ!』
 先手を取られたが、ヒートサーベルで防ぐと、ベレンキは、もう片方のヒートサーベルで、コックピットを狙う。
「させるかよ!」
 ヒルトは頭部バルカン砲を発射する。
「くっ!」
 この頃のジオンのMSにとって、至近距離からのジムやガンダムの頭部バルカン砲は、下手をすれば致命傷になる。
 故に下がるしかなかった。
「そこ!」
 ヒルトはガトリング砲の砲身を、ビームガンで破壊する。
 それで、ビームガンを撃ち尽くし、マウントしていたスペアのビームガンと換える。
 
『予想以上に手ごわい…。向こうの方が機動性も反応速度も劣ると見たが、知恵と腕でカバーか…。』
 本格的な白兵戦にもちこませずに戦う、ヒルトの操縦技術に、ベレンキは舌を巻く。
「なら、弾は撃ち尽くして貰おう。」
 再び、プロトタイプに向かうが、今度は回避して円を描くように動く。
「くそっ!」
 しばらくは冷静に出方を見ていたヒルトだが、その内に焦れて、ビームガンでどうにかシャルフリヒターを仕留めようとする。
『よし、いい子だ。どんどん、撃ってくれよ。』
 円運動を続けながら、スピードも微妙に変えて、射撃タイミングをずらす。
 そうして、ヒルトをいらつかせる。
 そして、ビームガンのエネルギーが底をついた。
「そろそろ、終りにさせてもらおうか。」
 左右のヒートソードで斬りかかる。

「くそっ!」
 無用の長物と化したビームガンを投げつけて、左のビームサーベルを抜く。
 右のビームサーベルとシールドで攻撃を防いで、即座にシャルフリヒターに蹴りを入れる。
「今度はこっちの番だ!」
 態勢を立て直す暇を与えずに、斬りかかるが、僅かにシャルフリヒターが態勢を立て直して下がり、斬りかかって来る。
「まずは、そのシールドを戴く!」
 わざと攻撃を防がせて、プロトタイプのコックピットに、ひざ蹴りを入れる。

「しまった!」
 態勢を立て直す前に、シャルフリヒターは左に回り込んだ。
 すかさずシールドで防ぐが、左右のヒートサーベルが、シールドの上半分を斬り裂く。
「この!!」
 バルカン砲でシャルフリヒターの左肩の装甲を吹き飛ばす。
「まだだ!」
 右腕のヒートサーベルで、プロトタイプの左腕を肩から斬り落とす。
「この!」
 再び、ヒルトは頭部バルカン砲を、残弾を無視して撃ちまくり、胸部と右肩の装甲にダメージを与える。
 そして、残った右のサーベルを、シャルフリヒターの左腕と胴体の間に突き立てて、左腕を使用不能にする。

 双方とも、一旦距離を置いて、態勢を立て直す。
 再び、互いに斬りかかり、プロトタイプは、左右大腿部の装甲を、スカートアーマーごと持っていかれる。
 シャルフリヒターも、偶然にも同じ個所にダメージを与えられる。
『まずいな。このままじゃ…。』
 警告音が鳴り続けるコックピットで、ヒルトは、何とかとどめをさす方法を、模索する。
 機体性能は、確実に相手の方が勝る。
 今までは、どうにかなったが、これ以上続くのは望ましくない。
「死中に活を求めるか…。」
『そろそろ終わりにせんとな。さすがに、これ以上は機体がもたん。』
 シャルフリヒターも、限界が近づいていた。
 互いに、後、一撃が限界という、状況だった。

『こうなれば、一か八かだ。こいつがスクラップになっても、奴を倒す。データはたっぷり取れたから、元は取ったろうしな…。』
 ヒルトは、大きく深呼吸をする。
「行くぞ!!」
 全速力でプロトタイプを走らせ、スラスターを最大出力で吹かす。
「来るか!」
 ベレンキも、シャルフリヒターのホバーを最大速度にして、迎え撃つ。
 シャルフリヒターのヒートサーベルが、プロトタイプの胸部装甲を切り裂く。プロトタイプの胸部があちこちで小さな爆発を起こし、その影響でプロトタイプの頭部にもダメージが及ぶ。
ヒートサーベルは、コックピットの装甲も斬り裂き、ベレンキは、メインモニターに映った、ジムの胸部装甲の裂け目から、ノーマルスーツを着たヒルトを見た。
 が、その瞬間、プロトタイプのビームサーベルが、シャルフリヒターのコックピットを貫く。
 攻略部隊の隊長であるヒルトと、基地司令官のベレンキの勝負は、僅かな差でヒルトが勝利を収めた。

「大丈夫ですか?大尉。うわ、こりゃ、ひでえ。」
 アランが、驚いてそう言ったきり、言葉が出なかった。
「一応、生きてるよ。あとちょっと深く切られたら、俺はバーベキューになってたがな。そっちはどうだ?」
 中隊も敵部隊に勝利していたので、損害状況を聞く。
「損傷したジムはありますが、パイロットは無事です。はっきり言えば、一番損害が酷いのは隊長ですね。」
「まあ、勝ったならいい。もう、相手の手札もないだろう。戦える機体で、基地を制圧してくれ。」
「了解。」
 こうして、ヴァンデンバーグ基地は、連邦軍に攻略された。

後書き
ジオンで面白い所は、基地や部隊の長が、階級が高くとも自らMSを駆って、戦場に出る時が、決して少なくない所ですね。
それに、ゲーム「THE BLUE DESTINY」のコミックで、キャリフォルニア基地攻略の前に、ミサイル基地を攻略する所が、ちょこっとですが出ていたので、そことかけ合わせて見ました。
楽に勝ちすぎるとつまらないので、今回はイフリートという、カスタムメイドに近く、スペックも高いMSとの戦いになる為に、必然的に壮絶な戦いになりました。
さて、かなりのダメージを受けたプロトタイプはどうなるでしょうか?





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