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zoom RSS 機動戦士ガンダム 〜Test Force Story〜 第1話 産声と初陣と

<<   作成日時 : 2012/03/02 20:39   >>

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 南米。
 地球連邦軍の本拠地、ジャブロー。
 地下に建造された、総司令部の一角の工場ブロックで、現在、新しい兵器が建造されていた。

 ジオン公国を名乗ったサイド3からの宣戦布告で始まった戦争は、当初、彼我の圧倒的な国力差から地球連邦の圧勝で終わるかと思われていたが、ジオンの物理学者トレノフ・Y・ミノフスキー博士が発見した、ミノフスキー粒子によって、既存の誘導兵器が意味をなさなくなり、有視界戦闘で有効な戦力となる、ジオンが開発した新兵器MSによって、当初の予想は覆された。
 これに対し、連邦はV計画を発動。
 独自の、3機のMS開発に成功。
 新造艦ホワイトベースと共に、絶大な戦果をあげた。
 しかし、この3機は、そのまま量産するには、コストが高すぎ、近中距離戦闘を主眼にしたRX−78 ガンダムを再設計し、量産機を開発した。
 それが、RGM−79 ジムである。
 
 ジムが完成してから、訓練兵が選ばれ、工場からロールアウトしたジムを受領して、対MS戦闘の訓練を積んでいる。
 だが、その中で、細部が違うジムが1機あった。

「うわあ!」
 白兵戦訓練用のサーベルで打ち込みを受け損ねたジムが、転倒する。
「受けきれないと思ったら、牽制しながら下がれ!バルカンは、その為の兵装でもあるんだぞ。防御にもっと、頭を使うんだ。そうしなきゃ、敵の餌食だぞ!!」
 細部が違うジムから、アドバイスが聞こえるが、その声は厳しかった。

「いまいちだな。やっぱ。」
 典型的なアングロサクソン系で、髪をオールバックにした少尉の階級証を、パイロットスーツにつけた士官、アラン・リトルが、小さな溜息をつく。
「白兵戦は、しょうがないさ。対MS戦闘で、一番難しいのは、白兵戦だからな。もうしばらくはあんなもんさ。にしても、最近は荒れてないな。」
 隣にいる、同じく少尉の階級証をつけた、赤毛の士官、アレクセイ・ベルナルト・シェスタコフ。通称アレクが言った。
 暫くすると、訓練は終了し、整備区画のメンテナンスベッドに機体を乗せて、コックピットから訓練兵達が、出てくる。
 ここでは、3個小隊が訓練を受けていた。
 最後に、細部が違うジムが、メンテナンスベッドに機体を乗せて、コックピットからパイロットから出てくる。

「隊長。お疲れさんです。」
「お疲れさんです。」
 アランとアレクセイが、最後にジムのコックピットから出てきた、中尉の階級章をつけた士官に敬礼する
「ああ…。」
 ヘルメットを取ると、美しい金髪と澄んだ湖のような瞳と、整った顔立ちをした、美しい女性の顔が見えた。
 しかし、彼は男性である。
 名を、ブリュンヒルト・ハルトマン。通称ヒルト
 地球連邦軍戦闘機隊のエースだったが、MSのパイロットに転向した士官である。

 シャワーで汗を流したヒルトは、司令部に行く。
「中尉、お疲れ様です。」
 准尉の階級章を付けて、複数のパソコンのモニターを見ている女性下士官、クリスティーナ・エーリス・アイラネン。通称クリスが、立ち上がって敬礼する。
「どうだ?今のジムのOSで、俺が面倒を見ている連中は、やっていけそうか?」
 ジムはガンダムの学習型コンピュータのデータを元に開発されたOSを搭載され、初心者でもそれなりに、動かせるようになっている。
「後は、訓練を、重ねるだけですね。射撃戦は、ほぼ問題ありません。後は、白兵戦だけですね。こちらも、もう一息です。」
 一応完成の域に達してはいるが、訓練データを元にアップデートが続けられ、新兵がより扱いやすいMSになる事が目標にされている。

「今、何機だ?」
「は?」
「ここの工場で、ロールアウトしたジムは何機だ。って、聞いてるんだよ。」
「あ、はい。42機になります。」
 ヒルトの問いに、クリスが答える。
「そうか…。何とかなると、思いたいな。」
 そう言って、ヒルトは司令部を去った。

「おい、クリス。さっき、中尉を見かけたけど、どうした?」
 アランが、クリスに訊ねる。
「少尉。いえ、その。ジャブローの工場で生産されたジムの数を訊ねられまして…。」
「成程、そういう事か。」
 納得しながら、アレクが盛大な溜息をつく。

 これには、理由があった。
 ヒルトのジムは、RGM−79−P1 ジム・プロトタイプといい、生産コストをガンダムの10分の1に下げた機体で、本来ならば、こちらが制式採用されるはずだった。
 しかし、反攻作戦に投入するジムの数をより多く欲して、上層部が、さらなる簡易化を命じた結果、現在、アランとアレクが乗機としている機体となった。
 これが、RGM−79−P2 ジム・プロトタイプUである。
 アジア戦線や、宇宙での実用試験で、充分戦力となると考えられ、制式採用され、RGM−79 ジムとして、制式採用された。

 しかし、その代償は小さくなかった。
 ジム・プロトタイプはジェネレーターの出力を下げ、コックピット及びジョネレーター、バックパック周辺にルナ・チタニウム合金を使用。脚部に小型のスラスターを増設し、重力下では、ジャンプや降下時のブレーキ、敵との距離を一気に詰める場合に利用でき、宇宙では姿勢制御能力の向上に、一役買っている。そして、ビームライフルを簡易化したビームガンにする事で、生産期間とコストを下げたが、主な装甲材であるチタン系合金を採用した部分も、ザクマシンガンの直撃に、充分耐える事が可能で、ビームガンも、威力はビームライフルの60%まで下がっていたが、射程距離は変わらず、1回の出撃における発射回数も、ビームライフルより4割増えている。

 しかし、さらに生産期間とコストを下げたジムは、さらに、ジェネレーターの出力を下げ、ザクマシンガンの直撃に、装甲材は耐えられず、新たに主武装として採用された、ビームスプレーガンは、発射回数はさらに増えたとはいえ、有効射程はビームガンより、40%短くなっている。さらに充分に威力を発揮するには、さらに接近する必要がある。
 例えるならば、ビームガンは、射程距離は短い物のライフルと言っていいが、ビームスプレーガンは拳銃である。
 今までのテストで、撃破されなかったのは、アレンとアレクのパイロットとしてのスキルに負うところが極めて大きい。
 無論、2人の運用試験のデータも、OSに反映されている。
 だからといって、全てのパイロットが、2人のようにいくわけではない。
 量産機ならば、さしてスキルが無いパイロットから熟練パイロットでも、扱いやすく、生存性も高い事が必要だと、ヒルトは考えていた。
 だからこそ、それを無視して、コストダウンをし、数を揃える事ばかり考えている上層部の事を考えると、ヒルトはうんざりする。

『さて、仕事。仕事。小さいながらも、部隊の隊長だからな。』
 制式採用されなかった、ヒルトのジムに、アレンとアレクのジムの3機は実験部隊として、今も機能している。
 隊長であるヒルトには、それなりにデスクワークがあった。

「隊長、失礼します。」
 数日後。
司令部区画の一角にある、プレハブ造りの実験部隊のオフィスにいるヒルトの元に、クリスが来る。
「そんな、お堅い言い方するような仲でも、ないだろ。今更。で、何だ?」
 書類にサインしたヒルトは、クリスの方を向く。
「ジムのOSに、隊長のデータを反映してはどうでしょうか?」
「俺の?」
 制式採用されたジムのOSは、ジム・プロトタイプの初期のOSをさらに初心者向けにした物で、ヒルトのデータは反映されていない。
 実用試験とはいえ、既に、6機のザクに3機のグフ。ドムを1機ずつ撃墜しているヒルトは、エースパイロットといって差し支えない程の、技量の高いパイロットだった。
「はい。それで、パイロットの負担も減ると思うんです。私では、上申できませんから、隊長に、お願い…。」
 言い終わる頃に、警報が鳴る。
「敵、MS部隊接近。稼働可能なMSは、全機出撃せよ。繰り返す。敵、MS部隊接近。稼働可能なMSは、全機出撃せよ。」
『ついに、見つかったか…。』
 ジャブローの入り口は、入念にカモフラージュが施されており、地下に建設されているおかげで、厚い岩盤が、空爆を防いでいた事から、ジオンも侵攻する事は出来なかった。
 無論、連邦側も迎撃部隊に、ハリネズミの集団のように、対空砲火群をせっちしていたが、部隊の一部が、基地内への侵入に成功していた。

 整備区画では、ノーマルスーツに着替え終わったパイロットたちが、ジムに乗り込んでいた。
 ヒルト達も、それぞれの乗機に向う。
「中尉、サブウェポン所持の許可が出ておりますが、何になさいますか?」
「東南アジア戦線で使われている、100mmマシンガンがあったろう?あれと、予備マガジンを2つ頼む。」
「了解。」
 プロトタイプのシールドは裏に、別の武装をマウントする事が可能である。
 バズーカ等の火器は、威力は強いが、取り回しに難がある為に、ヒルトは敢えて、マシンガンを選んだ。
 テストで使用した経験があり、これでも今のジオンのMSは充分に撃墜が可能である事を、知っていたのである。
「よし、出るぞ。危ないから、どいてろ。」
 プロトタイプを、メンテナンスベッドから立ち上がらせる。

「少尉はマシンガンですか、俺はバズーカ、アレクはガンダムと同タイプのビームライフルです。」
 アレンからの通信が入る。
「そういや、使った事あったな。よし、俺とアレクが前に出る。後ろから援護頼む。バズーカが尽きたら、こっちに来てくれ。」
「了解。」
 アレンと短く打ち合わせをすると、クリスから連絡が入る。
「中尉、そちらに向っているのは、音紋照合の結果、ザクが6機、グフが3機、ドムが3機、それから、照合できないMSが3機。新型と思われます。」
『15機。こっちは俺達を入れて、12機か。3機の新型が気になるが、そう多い数じゃない。何とかなるか…。』
 クリスからの通信を聞きながら、ヒルトは、彼我の戦力差を考えていた。
 対空砲火と砲台に落とされたMSの数もかなりのものだったので、ジャブローに侵入してきたMSの数はそう多くは無かった事が、連邦に味方した。
 司令部は、重要区画の入口にMS隊を配置。
 さらに、各種地上車両を総動員していた。
「それと、そちらのMS隊の指揮は、中尉が取るようにとの事です。」
「俺が!?」
 ヒルトは、思わず、大きな声を出した。
「あ、そうか。中尉より階級が上のパイロットは、いないですからね。」
 アレクが思い出したように、言う。
 MS小隊の隊長は少尉だが、ヒルト達の部隊は、実験部隊で実戦を経験しながら様々なデータを収集していく中で、ヒルトがエースの条件である5機撃墜を成し遂げた事で、任務中に中尉に昇進していたのである。
「解った。こちら、ハルトマン中尉だ。敵MSの迎撃に際し、俺が指揮を執る。
第1、第3小隊は、第2中隊の両翼に展開。第2中隊は、サブウェポンが近距離戦の者は、俺とリトル少尉についてこい。援護攻撃向きの奴は、後方から支援。両翼部隊は俺達が、敵を引きつけている間、側面から、敵の戦力を削ぎ取っていけ。だが、無理はするな。シールドで防御する事を忘れるなよ。訓練を思い出しながら、戦えば大丈夫だ。敵の数はそう多くない。」
 指示に従って、各小隊が布陣を整えると、ザクが6機現れる。
「よし。攻撃開始。続け!」
 ヒルトはペダルを踏み込み、ザクとの距離を詰めて、ビームガンで1機を仕留める。
「ほんじゃま!」
 爆炎に包まれた時の位置の記憶を参考に、アレンはバズーカを発射する。
 左腕を吹き飛ばされたザクは、ヒートホークを持って突撃する。
「させないぜ!」
 アレクのビームライフルが、コックピットを貫く。
 そうしている間に、グフとドムが現れるが、両翼の第1、第3小隊が攻撃を開始する。
 グフは近接戦闘を得意とし、ドムもホバー推進によるスピードを活かすMSだが、ジムのビームスプレーガンも近距離で威力を発揮する。
 弾幕を張られるなかで、グフの1機が破壊される。
 ドムは、白兵戦の最中に、後方からビームスプレーガンの攻撃を受けた時に隙が生じ、ビームサーベルで撃破される。
「第2小隊は、両翼の援護に回れ。ザクはこっちで仕留める。」
 想像より、楽な戦いになった為に、ヒルトは、第2小隊を援護にまわす。

『来たか。』
 丸みを帯びた、今まで見た事のないMSが3機、現れた。
 MSM−04 アッガイ。
 MSM−07 ズゴック。
 ジオンが開発した、水陸両用のMSである。
「2機いる方を頼む、俺は、隊長機らしいのを仕留める。」
「「了解!」」
 既に、ザクを全機撃破していた為に、2機のアッガイと、1機のズゴックにのみを撃破の対象にする。
 1機だけ違うフォルムの、ヒルトのプロトタイプを見て、ズゴックは左右のメガ粒子砲を発射する。
「うおっと!!」
 とっさにシールドで防ぐ。
『ジオンも、遂にMSにビーム兵器の類を装備する事に、成功したか…。』
 今までのジオンのMSは、全て実体弾を装備していた為に、来るべき時が来たと、ヒルトは考えながら、ビームガンを発射する。
 1発はかわされたが、もう1発は右腕を破壊していた。
 しかし、それで、ビームガンは撃ち尽くしていた。
 ビームガンをマウントして、100mmマシンガンに持ち替えて、ズゴックを足元めがけて弾幕を張る。
 後方に下がってかわそうとするが、左ひざに直撃を受ける。
 爆発はしないまでも、動きに影響は出ていた。
「終りだ!!」
 プロトタイプは、シールドをバックパックに取りつけ、ビームサーベルを抜く。
 100mmマシンガンを撃ちまくりながら、ペダルを一気に踏み込み、バックパックの推力を全開にして、一気に詰め寄り、ズゴックをビームサーベルで両断する。

「ようし。終ったな。」
 全機を撃破して、戦闘は終わった。
 損傷した機体はあったが、撃破された機体は無く戦死者は一人もいなかった。
『初陣にしちゃ、上出来か。集団行動を叩きこんで、そいつを守らせりゃ何とかなるな。ま、スキルも磨かせなきゃならんがな。』
 整備区画に戻りながら、ヒルトは、今後の訓練について考えていた。

 結局、かなりの戦力を割いた、今回のジャブロー攻略作戦が惨敗に終わった事で、ジオンの地球における戦力に与えた影響は大きく、逆に集団運用という、ジムに最適な戦術の切っ掛けを、実戦の中で掴んだ連邦軍は各地の工場で生産されたジムの戦力化を早める事が出来た。
 これ以降、連邦とジオンの、地球における戦力の差は急激に埋まっていく。

後書き
最近、久方ぶりに、ガンプラを作っている内に、頭の中にこんな考えが、浮かんできました。
「なんだか、ジムって雑魚扱いで弱いMSしか見えないなあ。」と。
そこで考えたのが、「ジムに愛の手を計画。」です。
要するに、ジムのプラモを改造して、ハイスペックなオリジナルのジムの設定を作ろうというものです。
現在は、初代ジムと、ジムコマンドの宇宙型をベースに作っています。
この話は、初代ジム達のプロトタイプを、試験運用する部隊の物語です。
その中で、改造したジムを登場させていきます。
舞台は一年戦争ですので、後は主な大きな戦いも少ないですので、話数も少ないです。
その中で、実験部隊のジムがどのように、改造されるか。
お楽しみいただければ、幸いです。


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