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zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第23話 文化祭開催

<<   作成日時 : 2012/03/17 23:30   >>

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 それにしても、今更ながら思うんだが、なんで、束さんは俺にISの設計・開発技術を教えてくれたんだ?
 習志野で訓練受けていた時は、確か…。
「何でかって?簡単だよ。私の大切な弟だし、必要な事だからだよ。いっくんは、男の子。すなわち、戦わねばならないわけで、その為の武器が必要。」
 だったな。
 箒にも、教えておけばいいと思うが、肉親である箒にむやみに接触するのは、絶対にまずい。
 24時間体制で、監視がついているだろうからな。
 だから、してやれる事は、世界最新鋭にして専用機である、紅椿を開発するのが限界か。
 んじゃ、行くとするか。

 第三世代IS打鉄弐式。
 機動力を重視したISで、第三世代兵装は、マルチロックオンシステムか。
 これは、厄介だよな。個別にロックオンして、攻撃ができるんだから、一対多の戦闘でも戦える。
 兵装は、背中に搭載された、荷電粒子砲「春雷」に、白兵戦用兵装に、超振動薙刀「夢現」。
 そして、最大の兵装である、高性能炸薬を使用した、独立誘導型多連装ミサイル「山嵐」。
 しかし、山嵐はマルチロックオンシステムが完成していないと、通常のミサイルとほとんど変わらない。
 それで、未完成のままになっている。
 それに、引きずられて、稼働データも取れていない。
 とにかく、稼働データを取りながら、システムの修正をして、後でハードの微調整をしてから、マルチロックオンシステムを片づける。
 これで行こう。

「更識さん。俺について来てくれ。無理な時は無理って言ってくれよ。」
「う、うん。解った…。」
 何か、更識さん。眼がうるんでいないか?
 気のせいだな。多分。
 じゃあ、始めるか。
 折角、一番広い、第六アリーナをキープしたんだからな。
 まずは、上昇する。
 データを見ると、スピードはブルー・ティアーズにも引けを取らない、高機動型だけど、さすがに、第四世代である白式には勝てないからな。ほどほどに行こう。
 今のところ、問題はないな。
 PICとシールドの、相互干渉は起きていない。
 各スラスターの制御システムも、正常だし、自己診断プログラムも正常に作動している。
 じゃあ、そろそろ、派手に行くかな。
 俺は、上昇から急降下に移って、地面すれすれで、バレルロールをしながら、再び上昇する。
 傍から見たら、かなりエキサイティングらしく、皆が見物している。
 更識さんは、なんとかついてきている。
 さすがに、これだけ派手になると、ISが体になじんでいないと辛いよな。
 それでも、システムは問題なく作動しているから、たいしたもんだ。
 それじゃあ、今度は、軽く、模擬戦闘をするか。
 FCSは大丈夫だな。粒子砲も撃てる。

「こっからは、模擬戦闘だ。」
 俺は、雪羅の荷電粒子砲を更識さんに発射した。
 驚きながらも、回避しようとする更識さんだが、少なからぬダメージを追う。
 更識さんは、春雷で俺に狙いを定めるが、俺は全て回避して、右腕の小型レールガンでお返しをしながら、式神を展開する。
 うん。
 結構、ド派手な戦闘でも、問題ないな。
 更識さんは、このままでは一矢報いる事も出来ないと考えて、夢現を展開させて、フルスピードで、突っ込んでくる。
 望むところだ。
 俺は、雪片をエネルギーブレードモードにして、迎え撃つ。

『強い。全然、歯が立たない…。』
 最初の荷電粒子砲の砲撃を何とかかわそうとしたが、少なからぬダメージを被った。
 その後、春雷で反撃に出たが、打鉄弐式と同クラスのスピードに抑えた白式に、かすりもしなかった。
『完全に、攻撃するポイントを、読まれている。』
 このままでは、一方的に負けるだけだ。
 しかし、簪にも、日本代表としてのプライドがある。
 そう簡単に、負けるわけにはいかない。
 更識の人間として、物心ついた頃から、武術の稽古をしてきた。
 その中で、最も得意とするのが薙刀。
 夢現を手に、一夏に立ち向かう。

 火がついたな。
 なら、こっちも真剣勝負だ。
 振り下ろされる、薙刀。
 相当に、鍛えてきたんだろう。
 振り下ろすときにも隙が無い。
 なら、作るまで。
 刃が届く寸前、打鉄弐式の腕部装甲を手で押さえて、ごく僅かな間、動きを止める。
 その瞬間に、俺は左薙ぎで、打鉄弐式のシールドエネルギーを削り取る。
 今度は、脇を締めてシャープに振り下ろすと思いきや、下から切り上げてきた。
 下から振り上げられる時も、動きはかなりシャープだが、こういう時は、どこを狙うかを既に相手は、決めている。
 俺は、腕の動きからそれを読んで、かわすと、再びカウンターを入れる。
 データは、充分とれたし、そろそろ決めるか。

『零落白夜。白式のワンオフアビリティ…。まともに喰らったら、今の打鉄弐式では。どうする。どうすればいい…。』
 自分のシールドエネルギーを攻撃力に換えて、シールドを無効化して大きなダメージを与える零落白夜。
 どう対抗するか、簪は必死に考える。
 しかし、答えは出ず、気が付いたら、打鉄弐式のシールドエネルギーは、ゼロになっていた。

「稼働データは、充分に取れました。マルチロックオンシステム以外は、問題ないでしょう。後は、機体と共に微調整をしてから、マルチロックオンシステムに、取りかかりたいと思います。」
 俺は、打鉄弐式のデータの分析結果と、今後のスケジュールを、倉持技研のスタッフに説明する。
「解りました。それで、マルチロックオンシステムの完成は、いつ頃に。」
 やっぱり、そこが気になるか。
 ソースファイルを見たけど、だいぶ苦労していたみたいだからな。
「そうですね。文化祭の準備と並行になりますから、明後日にテストを行いたいと思います。他に、やる事もありますから。」
 俺が開発した、第三世代IS巴御前。
 これの、搭乗者も見つけなければならない。
 上級生から、適応者を検索しているが、最初の3年生は、全てCクラス。
 これだと、性能を活かしきれない。
 戦衣のせいかな?
 かなり、特殊な装備だからなあ…。
 今は、2年生のデータから、検索している。
 出てくれるといいなあ。
 そう思いながら、俺はシャワーを浴びてから、自室に戻る。
 さて、マルチロックオンシステムに、取りかかるとしますか。
 文化祭関係の仕事を終えてから、俺はシステム製作に取りかかる。

「本当によろしいのでしょうか?スコール様からの指示は、出ていませんが…。」
 とある、整備工場でISの整備が行われていた。
「構わねえ。このアラクネの運用はあたしに一任されてるからな。それとも、文句があるのか?死にたいなら、言ってみな。」
 オータムの迫力に、整備員は何も言えずに、黙々と作業を続けた。
『スコールもエムも、やり方が手ぬるいんだよ。折角、手に入れたIS。使わねえでどうするんだよ。』
 ISを手に入れた以上、すぐにでも作戦を立案して実行に移すべきだと、かねてから、スコールに提案していたが、その度に、却下されて、オータムのフラストレーションは限界に来ていた。
『あたしが、手本を見せてやるよ。特に、あの、くそ生意気なガキにな。』
 メンバーの中で最年少のエムの態度に、オータムはずっと腹を立てていた。
 故に、鼻をあかしてやりたいという事も理由だった。

 文化祭の準備も、だいぶ整ってきた。
 トラブルも、思ったより少ない。
「じゃあ、次は受付のローテーションになりますが、どの時間がいいか。希望のある人は手を挙げて下さい。」
 IS学園の文化祭に招待されるのは、各国のIS関係者にメーカーの担当者。
 それに、生徒から渡された招待券のある人間だけなので、それが偽造されていないかを確かめる必要がある、それで古典的だが受付が必要になる。
 まあ、IS学園に、殴りこみを掛けてくる、命知らずがいるとは思えないけど、それでも、きちんと確認する必要は出るわけである。
「会長も、ローテーションに?」
 虚さんが訊ねてくる。
「ええ。そのつもりですよ。俺だって、生徒会の一員ですからね。」
「会長は、いいよ〜。他にも、仕事があるんだから〜。」
 のほほんさんが、そう言う。
「私も、本音に賛成です。会長は、当日、他にも仕事がおありですし、こういった事は、私達がやります。」
「そうそう。それに、友達を招待しているんでしょう?たしか、片方は友達の妹さんで、IS学園志望なんでしょう?ちゃんと、時間を作って、案内してあげなさいよ。」
 いつの間に調べたんだ。この人。
 まあ、それはいいとして、反論しにくいな。
 向こうの方が理は通っているし、他に仕事があるのも事実だし…。
 う〜ん。
「では、お言葉に甘えさせていただきます。俺の分もよろしくお願いします。」
 頭を下げて、お願いした。
 人によっては、オーバーだと思うかもしれないが、こういうのはきちんとしておきたいからな。
「次に、当日の注意点についてですが…。」
 俺は、次の議題の進行に移った。

「終った〜。」
 テスト前日の夜、マルチロックオンシステムの開発が終了した、一夏は、大きく伸びをした。
 仮にも、ISメーカー、しかも倉持技研は日本では、トップクラスのISメーカーだ。
 そこで、開発がお手上げになっていた、マルチロックオンシステムを短期間に開発できたのは、白式の兵装の一つ、式神のシステムを参考にしたからである。
 場合によっては、総数4基全てを同時に操作し、それぞれに命令を出す、式神のシステムは、マルチロックオンシステムの参考にするには、充分だった。
「さて、明日はテストか。今日は、もう、寝るとするかな。」

 一夏がマルチロックオンシステムの開発を終えた頃、簪はバスケットを持って、一夏の部屋に向っていた。
『大丈夫かな?織斑君の口にあうかな…。』
 自分のISの懸案事項の開発を行ってくれているお礼に、簪はカップケーキとハーブティーを持って、いわば陣中見舞いに行こうとしていた。

 さてと、寝るとするか。
「織斑君、起きてる?」
 ん?この声は…。
「更識さん?」
 ドアを開けると、バスケットを持った、更識さんがいた。
「よければ、お茶にしない?もう、夜も遅いけど。」
「ありがとう。じゃあ、お茶にしようか。」
 楯無さんがハーブティーを入れ始めると、バスケットから、匂いがしてくる。
 これは、ケーキの類だな。
 自分でもケーキの類は作るから、暖かくて、匂いがする内なら、何かは判断できる。
 カップケーキか。
「あの、美味しいかどうかは解らないけど、作ってきた…。織斑君は、料理も上手だって聞いたけど、私、あまり、上手じゃないから。」
 少し間をおいて、更識さんが再び口を開く。
「私は、姉さんみたいに優秀じゃないから…。料理も、武術も、プロポーションも、ISも…。」
 コンプレックスか…。
 まあ、確かに楯無さんは料理上手で、武術の腕もかなりの物。
 プロポーション抜群だし、IS戦の腕前も、どれ程のものか、嘗て戦った、俺は知っている。

「なあ、更識さん…。楯無さんと自分の事を、そんなに比較する必要はないと思うんだ。」
 慎重に言葉を選びながら、俺は話を続ける。
「俺もさ。千冬姉と自分を比べると、差は感じる。週末は、家の道場で稽古をつけてもらっているけど、まるで、歯が立たなくってさ。だから、へこむ。けど、俺は次には、真っ直ぐ前を見る。千冬姉を目標にするんだよ。誰かを守れる強さを持つ、俺の姉さんを。」
 そうさ。
 コンプレックスを持つ必要なんてない、目標にして、いつか追い抜いてやる。
 そう決めて、毎日、稽古をしている。
 そうしていれば、気がつかない内に、コンプレックスなんて、どっかに吹っ飛ぶ。感じている暇なんてないからな。
「やっぱり、織斑君は強いね…。私とは、全然違う。」
 更識さんの笑みは、自分の弱さを攻めているようなそんな感じだった。
「人間はみんな違うさ。俺は俺、千冬姉は千冬姉。楯無さんは楯無さん。そして、更識さんは更識さんだ。」
 話していると、更識さんの目に、大粒の涙が浮かぶ。
「更識さん。楯無さんを、お姉さんを、そんなに意識する必要はないぜ。更識さんには更識さんの道がある。それを歩いて行けばいい。俺は、そう思う。」
 他人の道を歩く事は、人間にはできない。
 人間にできるのは、自分の道を歩く事。
 だから、俺は自分の道を、織斑一夏の道を歩く。
「うん。うん…。ありがとう。私は、私で、頑張る。」
 大粒の涙が、ポロポロと落ちる。
 その一粒、一粒が、更識さんが今まで感じてきた、辛さ。
 出来のよ過ぎる姉を持つと、弟や妹は苦労するよな。本当。
 でも、それはそれ。
 俺達は、俺達で頑張るだけさ。
 そう思いながら、俺はそっと、更識さんの涙をハンカチで拭う。
 ようやく、更識さんは笑顔になった。
 うん。やっぱり、人間、笑顔が一番だな。

「じゃあ、私、帰るね。」
「ああ、カップケーキとハーブティー、御馳走様。」
 しばらくの間、二人は互いのクラスの事など何という事もない話をしていた。
 傍から見ても、普通のおしゃべりにしか、見えないだろう。
 しかし、簪にとっては今までで、一番楽しい時間だった。
「あ、あのね…。」
「うん?」
「私の事は、簪でいいから。その代わり、私も一夏って呼んでいい?」
 勇気を総動員して、簪は訊ね、答えを待つ。
「ああ。いいぜ。お寝すみ、簪。明日は、打鉄弐式の全能力をテストするから、ゆっくり休んでおいてくれよ。」
「うん。一夏もね。白式の事とか、いろいろ忙しいって聞いてるけど、あんまり無理しちゃだめよ。」
「解ってる。じゃあ」

 ちゃんと、ああいう顔もできるじゃん。
 コンプレックスが完全に取れたわけじゃないんだろうけど、これでクラスメイトとかと、うまくいくといいんだけどな。
 前に、少し耳にしたが、クラスの中でも浮いていて、はっきり言って、疎外されている感じらしい。
 様子を、見に行った方がいいか。
 場合にもよるけどな。
 そう考えながら、巴御前の適合者検索用端末のデータを見た。
 ふうん…。

「凄い!それ、最新型のISだよね?どこの企業が開発したの。」
 巴御前の適性でAランクを出したのは、何とクラスメイトの高階玲子さんだった。
 まあ、専用機持ちを除いた生徒の中だと、実力は5本の指に入っていたとはいえ、よくもまあ、これだけ専用機持ちが集まるな。うちのクラスは。
 簪が帰った後、適合者の検索でAランクを出したのが高階さんだと判明してすぐに、俺は千冬姉と山田先生に報告。
 待機状態である、プラチナの台座のサファイアのリングとマニュアルを、渡した。
 ちなみに、俺は完成後、夏休み中に1日使って武装の改修を行った。
 プラズマ薙刀は、攻撃力を上げ、消費エネルギーの最適化を行い、「如月」と改名。
 さらに、遠距離兵装として、高出力長距離荷電粒子砲「那須与一」を追加。
 このままでも、全距離対応型のISになっている。
 次の日の4組との合同のISの授業で、打鉄弐式と一緒に初お目見えになった、俺の二作目のIS、第三世代型IS「巴御前」。

「本日より、専用機が2機増えた。まずは、1組の巴御前。そして、4組の打鉄弐式だ。巴御前は織斑が設計・開発を担当。打鉄弐式は、開発が難航していた箇所を、織斑が担当して完成した。織斑、今日は、高階と更識の面倒を見てやれ。」
「はい。」
 授業を、テストに当てるのか。
 まあ、それでデータを蓄積して微調整か。
「ええ!どっちも織斑君が関わってるの!?」
 さすがに、驚くか。
「高階さんは、織斑君が開発したIS。どうして、神様は私を選んでくれなかったの!?」
 いや、選ぶのはISであって、俺じゃないから。
「今度から、神社通いよ。何としても神様から、織斑君の専用機を授かれるようになってみせるわ!!」
 いや、そう簡単には、無理だと思うけどな。
 委員会の上層部にでも、掛け合ってみてくれ。
 というか、何で、俺が開発した専用機が欲しいんだ?
 黒真珠のネックレスは、ついてないぞ?

「じゃあ、始めようぜ。まずは、飛行試験からな。ついて来てくれよ。結構、飛ばすからな。」
「よろしくね。織斑君。」
「頑張ろうね。一夏。」
 うん。簪も、すっかり明るくなったな。
「更識さん。頑張って。」
「4組代表。ファイト!」
「ありがとう!」
 クラスメイトの声援に、簪は笑顔で答える。

「速いですね。どっちも、第三世代では、屈指のスピードと機動力と言っていいんじゃないですか?」
 飛行試験をしている、巴御前と打鉄弐式を見て、真耶が感想を言う。
「一夏らしい設計だな。巴御前は。まずは機体に高機動性能を与える事から始まり、そして、武装を考える。あれは、機動性を犠牲にして防御力を高める機体というのは、好きではないのかもしれん。」
 「それはそれで、問題なのだが。」と、千冬は言いながら、テストの様子を見る。
 簪は、日本の代表候補だけあって、スキルは高く、見事に打鉄弐式を使いこなしている。
 玲子は、専用機持ち以外では、屈指の実力者だけあって、やや、難儀しているが、使いこなしている。

『速い…。これが、第三世代ISの性能。打鉄やリヴァイブとは、違うわ。』
 巴御前のスピードに、玲子は驚く。
 それ以上に驚いたのは、レスポンスの驚異的な早さだ。
 自分の思い通りに、動く。
『これが、第三世代IS巴御前。私の専用機…。』
 昨夜に、千冬から待機状態の巴御前と、マニュアルを渡されて、胸の鼓動を抑えながら、むさぼるように読んだ。

 へえ、簪はともかく、高階さんもなかなかやるな。
 さすがに、専用機持ち以外の1年生では、5本の指に入るだけある。
 その後、二人には、簡単な模擬戦をしてもらった。
 どっちにも、俺は関わっているので、見ておく必要がある。

「よし。二人とも中々だな。特に、高階は初めて専用機を使うにしては、見事だった。軽い模擬戦とはいえ、双方ともに、機体を使いこなせていたな。さらに使いこなせるように、努力をするのを忘れるなよ。いいな。」
「「はい!」」
 はあ。千冬姉って、俺の事は、あまり褒めないのに、他人の事は素直に褒めるのな。
 それって、えこひいきじゃねえの?ホント。

「一夏、ちょっといいかな?左脚部のPICとシールドシステムの干渉防止設定なんだけど…。」
「うん?問題あるか。」

「やっぱり、織斑君か。」
 一夏と簪が、打鉄弐式の調整について話していると、4組の生徒がそれを見ながら話している。
「不思議だったんだよね。あの、影が薄いっていうか、無口で消極的な更識さんが、あんなに変わるんだもん。」
 今日、登校してきた簪は、近くのクラスメイトに挨拶をしたり、近くでおしゃべりをしている生徒たちの輪に入ったりと、積極的にクラスに溶け込もうとしていた。
 始めは、不思議に思っていた4組の生徒たちだったが、すぐに簪を受け入れて、朝のHRまでに、簪はすっかりクラスの一員になった。
 だが、理由が見つからなかった。
 そして、今、その理由がようやく解った。
「いいなあ。専用機持ちって…。」
 女子の1人が、羨ましそうに呟いた。

「よし、これでOK。でも、いいのか。これだと、ちょっと制御が大変じゃないか?」
「ちょっと、過保護な設定だったから。あ、織斑君の設定が悪いってわけじゃないよ。少し、心持ち、自由度の幅が狭かったから。」
 ISはシールドによって、機体及びパイロットを守る。
 だが、そのシールドが駆動システムであるPICに干渉するケースがあり、そうなると機動に即座に影響が出る。
 それを考慮して、俺は、打鉄弐式で最もその可能性が高い左脚部に干渉防止機能の設定を強くしていた。
 簪の指摘通り、心持ち、機動の自由度が狭くなるが、打鉄を使用した簪のデータを解析した結果、問題が無いと判断した。
 が、本人は、それを感じたようだ。
 難しいな…。
 こういうったのは、肌で感じた結果が、正しいから、第三者からのデータ解析じゃあ正しい回答に辿り着きづらいからなあ。
 細かい部分の整備は、難しいな。本当。

「さて、これで、文化祭の準備はほぼ終わりですね。ところで、どうするんです?生徒会の出し物。」
 そう。
 準備に忙殺されて、生徒会の出し物について、時間がまるで割けなかったのだ。
 だが、楯無さんが「大丈夫。大丈夫。任せといて。」と、いつも言っているが、本当に大丈夫か?
 何か、不安なんだよなあ。いろんな意味で。
「今回は、アドリブ進行の劇で、行ってみようと思うの。衣装とかは、私が作っているから安心して。実を言うとね。あなたが話題になっていた時から、既に準備を始めていたのよ。だから、問題無し。」
 そう言ってウィンクをするが、なんか、凄まじく不吉な予感がするのは、気のせいだろうか?
 いや、気のせいじゃないだろう。
 楯無さんが大丈夫と言い、虚さんも心配ないと言ったから、それを信頼したが、やっぱまずかったかなあ…。
 でも、今更、別の物を準備できないしなあ…。

「確認、OK。じゃあ、当日はくれぐれも気を付けてくださいね。サファイア先輩。」
「了解。しっかし大変だな。クラスじゃ執事もやって、生徒会長の仕事もやって。でも、訓練はいつも通り。新しく専用機持ちになったのと、ようやく、専用機が完成したのと、2人の面倒も見るんだろう。倒れないようにな。」
 クレープ屋をやるサファイア先輩のクラスの状況をチェックしながら、ちょっとした立ち話をする。
「ありがとうございます。でも、大丈夫ですよ。日頃から鍛えてますからね。いざとなったら、栄養剤のアンプルもありますし。」
「お前、残業続きのサラリーマンかよ…。ま、とにかく、前日はたっぷり寝とけよ。」
「そのつもりですよ。じゃあ、これで。」
 俺は、次のクラスの状況の確認に、向った。
 その後も、チェックや打ち合わせが続いて、いよいよ、文化祭当日となった。

「これより、IS学園文化祭を、開催します。」
 校門が開かれると、各国のIS関係者に交じって、生徒に一枚ずつ配られた招待券を持った一般人も来る。
 IS学園が、限られているとはいえ、一般人にも開放される数少ない日なので、招待された人は興味津々だ。
「家族に送った人、多いですね。」
 不穏な人物がいるか、モニターで確認していると、親と会っている生徒が少なからずいる。
「親と離れていますから。こういう時は、やはり、親類に送る人が多いですね。後は、友人ですか。」
 モニターをチェックしながら、虚さんが、そう教えてくれた。
 のほほんさんは、今は、メイドの当番でいない。
 楯無さんは、受付をしている。
 とにかく、無事に文化祭を終わらせる。
 それが、生徒会長である俺の仕事だ。
「それじゃあ、俺は、見回りに行ってきますから。交代で監視お願いします。亡国企業の人間らしいのがいたら、マーキングしてくださいね。」
 こういうのは、楯無さんや虚さんの十八番。
 口にはしないが、世の暗部を人知れず処理してきた、楯無に関わる人間だからな。
『そう言えば、織斑君。友達とその妹さんを招待したんでしょう?見回りついでに、いろいろ案内してあげなさいよ。』
 コアネットワークに、楯無さんからの通信が入る。
『え?いいんですか。何かあったら、まずいですよ。』
 亡国企業は戦力として、ゴーレムシリーズに、イギリスの最新鋭第三世代ISサイレント・ゼフィルスの他にもISを所有しているという情報が、委員会から来ている。
 下手をすれば、弾や蘭を巻きこむ可能性も高い。
『ケイシー先輩や、サファイアに、テロがあったら、すぐに駆けつけてもらうように頼んでいるわ。それに本音もあちこち回りながら、見回りもちゃんとしているから、不測の事態には対応できる。それに、学園最強のあなたと互角以上に戦うには、国家代表クラスでも相当の実力者が必要になる。それに私達もいるしね。楯無の名を継ぐ者として、二重三重に備えをしているわ。だから、なんとかなるわ。もし、向こうがちょっかいを掛けてきたら、IS学園にイタズラしてきた事を、骨の髄まで後悔させてあげる。』
 楯無さんはいつもどおりだが、例えようもない獰猛さも、感じられた。
 亡国企業も、今日は来ない方がいいな。
 俺も、弾や蘭、他の生徒達に怪我人を出すようなまねをしたら、ただで済ますつもりは、毛頭ない。
 後悔って言葉の意味を、たっぷり教えてやるさ。
「じゃあ、行ってきます。緊急事態時は、先生達との合同会議通りに、お願いします。」

「ふっ、ふっふっふっ。ついに来たぜ。IS学園。女の園。」
 校門の100m程前で、弾がどこかいやらしい笑いを浮かべると、蘭の拳骨が脳天に炸裂する。
「お兄のスケベ!そんな顔では入ったら、一夏さんが恥かくのが、解らないの!?」
「解ってるって。だがな、IS学園といえば、女子のレベルが高い事でも、有名なんだ。男なら、期待しちまうんだよ。そこんところは、理解してくれよ。」
 頭を押さえながら、弾は蘭に理解を求める。
「そう。なら、お兄は来なくていいよ。他の友達を呼ぶから。」
「すまん。俺が悪かった。気をつけるから、それだけは…。」
 招待券を預かっているのは、蘭なので、弾としては、今日の所は逆らえない。

「おっ、来たか。おーい、こっち、こっち。」
 校門の前で、待っていると、弾と蘭が見えたので、声をかける。
「一夏さーん。」
 おいおい、パンプスで走ると、危ないぞ。転ぶなよ、蘭。
「夏祭り以来か。元気だったか?二人とも。」
「はい。お陰さまで。」
「俺も、この通り、元気だよ。おい、蘭。受付済ませろよ。」
「解ってるって。お願いします。」
 蘭が、ポシェットから、招待券を出す。
「ふうん。あなた達が、一夏君の、おっと、会長のお友達と妹さんね。前に話を聞いた事が、あるわ。妹さんは、ISの簡易判定で適性A。IS学園が第一志望ですってね。受験勉強頑張ってね。」
 奮励努力と書かれた、扇子が開かれる。
「ありがとうございます。今は、受験勉強と並行して、一夏さんにISの事を、教わってるんです。」
「期待のルーキーになりそうね。」
 楯無さんは、チケットを確認して渡す。
 それじゃあ、確認と同時並行で、二人を案内しますか

後書き
原作とは違いますが、簪が初登場です。
姉の楯無を過度に意識している所は、そのままにしておいています。
周囲に、自分より非常に優れているように見える人間がいると、どうしてもコンプレックスを抱いてしまうのが、人間という物。
私自身、障害者で、普通の人のように、コンビニや本屋でアルバイトをして、せめて自分が使うお金は、稼ぎたいのですが、それが出来ないので、内職で僅かなお金を稼いでいるのが現状なので、普通に働いている人には、コンプレックスを感じてしまいます。
自分は自分。
他人は他人。
解ってはいても、比較して、意識してしまうんですよね。
変えようと。
今は無理かもしれないと、いつかは変えようと前を向いて歩けば、光明は必ず見えると考えながら、私は日々を過ごしています。
そうすれば、意外な事になんとかやっていけるんですよね。
原作を呼んでいる時も、自分なりに努力すればいいじゃないかと思ったのですが、現実でもやはり難しいですね。
簪みたいなケースは。
さて、いよいよ始まる文化祭。
様々なケースを想定している一夏達。
無事に終わるか否かは、一夏達の頑張りにかかっているわけで、さて、どうなるでしょうか?


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