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IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第21話 文化祭は何をする?
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作成日時 : 2012/01/28 19:42
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いよいよ2学期が、始まる。
寮から学園に登校する生徒の中には、休みボケしている生徒も、結構いるみたいだ
ちなみに、俺はしてない。
というより、夏休み中忙しかった。
束さんからは、ISの開発依頼と、課題を出され。
フランスの学会に出席して、イギリスではブルー・ティアーズの改修、ドイツでは千冬姉にたっぷりしごかれてから、シュヴァルツェア・レーゲンの改修。
やっと、のんびりできると思ったら、今度は鈴が甲龍の改修を頼んできた。
それを終えて、今度こそと思ったら、箒が紅椿のエネルギー消費の効率化を頼んで来て、さらに楯無さんや、フォルテ先輩、サファイア先輩のISの改修もする事になった。
結局、夏休みを満喫する時間なんか、セシリアの別荘に行った時や、シャルロットに地元を案内してもらった時ぐらいだった。
要するに、夏休みボケする暇なんかない。
これが幸福なのか不幸なのかは、誰かが考えてくれ。
俺は考えないから。
「織斑君、久しぶり。」
「おう。久しぶり、元気だったか?」
「夏休み、どう過ごしてた?」
「どっかに、遊びに行ったの?」
俺より早く来ていたクラスメイトが、話しかけてくる。
う〜ん、昨今の美肌ブームで、日焼けしている人は、ほとんどいないな。
まあ、俺もそうなんだけどな。
日焼けする暇、なかったから。
「おはよう。一夏。」
「おはよう。そっちに行った時は、泊めてくれてサンキューな。」
シャルロットが来たので、挨拶がてら、フランスの学会に行った時のお礼を言ったら、クラスの全員が、固まった。
「織斑君。デュノアさんの家に泊まったの!?」
「ん?ああ。フランスで、学会の発表に行った時に、世話になった。」
心がこもった、シャルロットの手料理は、本当にうまかったな。
「じゃあ、ご飯とかは…?」
「シャルロットの手料理、凄く美味かったぜ。ありがとうな。」
改めて、シャルロットにお礼を言う。
「そ、そう?じゃあ、今度、また何か作ろうか。何か、食べたい物とかある?」
「ラタトゥイユかな。あれは絶品だった。」
「じゃ、じゃあ、また、作るね。あ、ほかにもフランスの家庭料理はいろいろあるから、そっちからも二、三品作るよ。」
「楽しみにしてる。」
「うん。」
頬を真っ赤に染めてはいるが、シャルロットは嬉しそうに頷いてくれた。
「あら。家に泊まったというのは、私も同じでしてよ。」
セシリアが、教室に入って来る。
「久しぶりだな。元気だったか?イギリスに行った時は、世話になったな。」
セシリアの誘いとはいえ、お礼は言わなくちゃな。こういう事をおろそかにしちゃ駄目だ。
「どういたしまして。ねえ、一夏さん。冬は、私の屋敷で過ごしませんこと?冬のロンドンも、郷愁があってよいものですわよ?一夏さんに使っていただいた部屋は、そのままにしてありますし。」
いや、そんなに何度も行っていたら、迷惑だろ?
そういう面で、図々しくなるのは、俺は御免だな。
つうか、何で腕組むんだよ?
胸。胸が当たってるって!
「一夏、久しぶりだな。元気にしてたか…。」
「お、おう。箒か。元気そうだな。」
なんとか、笑顔であいさつする。
すると、箒は俺の元に歩いてくると、腕を組む。
だから、胸が当たってるんだって!!
両方の腕から感じる、柔らかい感触に、俺はどうにかなりそうになる。
「人の嫁に何をしている?」
周囲を見回ってきたラウラが、セシリアと箒に問いながら、近づいて来る。
よし。ラウラなら、二人を引き離してくれるはず。
「ラウラか。悪いけど、二人を…。」
その先は、言えなかった。
何と、俺に胸を押しつけながら、キスをしてきたからだ。
おい、ラウラ。
俺が望んでいるのは、セシリアと箒を引き離して貰う事だぞ。
すると、シャルロットがむっとして、後ろから俺に抱きついて、頬にキスをする。
そして、後ろから感じる、柔らかい、感触。
前後左右から感じる柔らかい感触と、唇と頬から感じる暖かい感触。
これは、男としては幸せなんだろうか。
というか、この状況を何とかしなければ、鈴が来たら大事だ。
だが、鈴が来てしまった。
眉を吊り上げると、もう片方の頬にキスをする。
そして、背中の端から感じる、小さいが柔らかい感触。
ていうか、クラスの人は、誰も助けてくれない。
これは、いじめなのか?
うわ!ラウラ、舌、入れるな!!
ラウラの舌が、俺の中で蠢く。
誰だ?こんなこと教えたのは!!
「ほほう。朝からお盛んだな。若さゆえか?ん?」
ついに来た。IS学園最強の鬼教師にして、俺の実の姉である千冬姉が…。
「この、馬鹿どもが!!」
そして、全員の頭の上に、拳骨が炸裂する。
ちなみに、俺は2発だ。
何でだよ?俺は被害者だっつーの!
「みなさん。今日から、2学期です。文化祭、キャノンボールファスト、体育祭。様々なイベントがあります。是非、いい思い出を残して下さい。それから、学習内容は1学期を踏まえて、より高度になりますので、気を引き締めて下さい。3学期には転科届提出が、あります。この2学期の間に、しっかり考えて下さいね。それから、大事なお知らせがあります。この1組のクラス代表は、織斑君ですが、生徒会長を兼任している事もあり、時としてクラス代表の会議に出席できない時もありますので、副代表を、1学期の最初に立候補した、オルコットさんに、務めてもらう事になりました。」
まあ、そうなるな。
楯無さんは、生徒会長になったら、クラス代表を辞めたって言っていたし、うちのクラスはその点、イレギュラーだな。
セシリアなら信頼できるし、大丈夫だろう。
「オルコット、異存はあるか。」
「いえ、ありません。見事、務めあげてご覧にいれます。」
千冬姉の問いに、セシリアは即答した。
「それでは、文化祭の各クラスの出し物の限度について、話し合います。まず、この件に関して参考になる件ですが…。」
俺達生徒会は、生徒会室でクラスの出し物の色物ぶりについて、どこまで認めるかの会議をしていた。
1年に1回の文化祭。
各クラスの出し物にも、気合いが入るだろう。
だが、あまり色物になりすぎたら、それは個性的じゃなくて、ただ下品でしかない。
その基準について決めるのが、今日の会議だ。
「は〜い、しつも〜ん。」
「本音さん。どうぞ。」
のほほんさんこと、布仏本音さんには虚さんというお姉さんがいて、双方ともに生徒会に所属している。
それ故に、生徒会室にいるときは、名字で呼ぶとどっちを呼んだのか解らなくなるので、双方の了解を得て、名前で呼ばせてもらっている。
「それって〜、メイド喫茶もやっぱり駄目?これも、メイド喫茶みたいなもんでしょ?」
参考にしている映像は、ビキニ型の水着に短いスカートとブラウスを組み合わせた衣装でのメイド喫茶の様なものだが、スカートが極端に短いので、うまくいけば覗ける。
各国のお偉いさんや、軍需企業の関係者のオッサン達も、やっぱり男。相手が女子高生ともなると、良心が弱くなって、盗撮と覗きが多発した。
これがのちに大問題となり、オッサンたちの盗撮映像は軒並み消去。
クラスも、みっちりお説教を喰らった挙句に、懲罰用のトレーニングを課せられた。
「限度を、わきまえて欲しいという事です。生徒や各国家代表候補、さらに学園の品位を下げるわけには行きません。」
「う〜ん、そうか、残念。」
残念て、なにをやろうとしてたんだ?のほほんさん。
変な事やったら、虚さんが怒るぞ。
いつも優しい虚さんだが、怒るとはっきり言って怖い。
「問題が、今のメイド喫茶と、風俗の線引きですね。少し、あいまいになっていると、ネットにあった記憶があります。」
虚さんは、ネットで様々な情報をチェックする。
その中から、そういう情報を、見つけたらしい。
「それは困るわねえ。知らない内に私達自身の線引きが、甘くなる可能性があるわ。」
開いた扇子には、高岸深谷と書かれている。
世の中の常識や考え方なんかが、著しく変化する有様の事を言う。
「確かにそうですねえ。ちょっと、調べて見る必要があるか。」
とはいっても、メイド喫茶なんて、秋葉原に行けば山ほどあるだろうし、そのホームページをアクセスしていたら、一体、どれだけ、時間が必要か解らない。
弾もこういうのは、くわしくないだろうしなあ。
ん?
店に入らなくても、客引きくらいはやっているだろうし、メイド喫茶の特集をしているサイトもあるかもしれない。
第一、女性陣じゃ、こういう事は調べにくいだろう。
「では、その方面は、俺が調べておきます。来週の頭には、資料も揃うと思いますから、それを元に、基準を決めるという事で、どうでしょうか?」
「そうですね。さすがに、私自身、調べるのは躊躇してしまいますし…。」
虚さんが、ほっとしたような表情になる。
ま、普通はそうだよな。
「え〜、面白そうだよ〜。ねえ、会長。一緒にいこうよう〜。メイド喫茶ってどういうとこか興味あるし。」
え、行くのかよ。
しかも、入るのか?
つうか、平気なのか?
「本音。あなた、どれくらい仕事を溜めていると思っているの。会長が合間を縫って、半分以上片づけてくれたのよ。残りは週末と日曜日を使って、やりなさい。」
「え〜、そんな〜。」
のほほんさんは、見かけによらずISの操縦の腕は凄い。
国家代表クラスと見て、いいだろう。
だが、生徒会の仕事を溜める悪癖があり、虚さんにしょっちゅうしかられている。
いい加減、仕事はきちんとやろうぜ。
「じゃあ、情報収集は会長に任せるとして、次の案件に移りましょう。」
楯無さんの言葉で、次の案件に移る。
「文化祭で、各クラスの出し物の予算についてですが、使用する道具の相場はこのようになります。」
別のスクリーンに、テープ等の、文化祭に欠かせない道具の値段の平均や、安い店の情報が表示される。
ここまで調べるとは、さすがに、虚さんの仕事は確かだ。
「なるほど。こうなると、各クラスの出し物が決まり、必要な物が決まった際、クラスごとに提出してもらって、纏めて発注した方が、早いかな。」
その方が、コストも安いだろう。
お金をけちるわけじゃないけど、金ばかり掛けるのが文化祭じゃないしな。
「そうね。それがいいと思うわ。」
賛成と書かれた扇子を、楯無さんは広げる。
「さんせ〜い。」
のほほんさんも、賛成する。
というか、ちゃんと考えているのか?
「それでは、次に…。」
その他の議題について議論した後、生徒会の会議は終了となった。
さて、週末は、調査、調査と。
9月とはいえ、まだやっぱり暑い。
携帯のアプリで温度を見ると、うわ、34℃!
夏と変わらないな。
本当に月が変わったかどうかすら、怪しく感じる。
今日は、Tシャツに麻の薄手のベストに、夏用のスラックスとジャケット。
常に、武器は携帯しているように、千冬姉に言われているので、隠せる服装にしてある。
日本は、銃刀法があって、基本的に、銃や一定の長さ以上の刃があるナイフの類は、携帯が許されていない。
故に、こういう服装が必要になる。
結果、最近、一番金使ってるのは、服だったりする。
ほんじゃま、行くとしますか。
「虚。絶対に、一夏君を見失わない事。それと、時折、狙撃手がいないかどうかも、それとなくチェックしてね、亡国企業が、いつ、一夏君を狙うか、解らない。充分に気をつけてね。」
「承知しております。お嬢様。」
布仏家は更識家に代々使える家柄で、虚は楯無の身の回りの世話をするのが義務であり、更識の当主として楯無が動くときは、それをサポートする。
「ラウラちゃんも、お願いね。臨海学校の話を聞く限り、向こうも、あまり、手段を選ばないと思うわ。」
楯無は、別のポイントにいるラウラにも、通信を入れる。
「ふん。誰に向かって、言っている。こういった事は、我がシュヴァルツェ・ハーゼに身を置く者ならば、出来て当たり前。そして私は隊長だぞ。」
少し、不機嫌になってラウラは言いかえす。
「そうだったわね。御免なさい。本音、聞こえる。」
「は〜い。よく聞こえま〜す。バックアップは、任せて〜。」
虚が手伝ったおかげで、土曜日に仕事は終わり、本音は3人のバックアップを担当していた。
「じゃあ、ミッション・スタート。」
外では、いろんなメイド喫茶の店員が、ビラを配っている。
服装的には、セーフかな。
スカートの短さも、あれなら大丈夫だろう。
ま、風営法もあるし、あまり過激なのは出来ないが、なんだ?あの、戦国メイド喫茶ってのは。
そう言えば、ゲームの影響で歴史ブームだったっけ。
それを利用して、売り上げを増やそうとしてるのか。
成程ね。
とりあえず、ビラを数枚受け取って、読んでみたが、サービスもそんなに過激なのはないな。
ん?お!元祖、メイドって感じだな。19世紀のビクトリア王朝時代のイギリスを、彷彿とさせる、服装だ。
ちょっと、行ってみるか。
「む!おりむーが動いたよ。え〜っと、ここは、「ビクトリア」だね。ビクトリア王朝時代のメイドの服装を忠実に再現して、本格的なイギリスのティータイムを体験できる店だね。料金は高いけど。」
「成程ね〜。これなら、入りやすいか。」
「ふむ。何もなければいいが、一応、誰かが周辺にいるべきだろう。一番近いのは私だから、引き受けさせてもらおう。」
ラウラが、ビクトリアの周辺で待機する。
メイド喫茶なんだが、性別関係なく客がいるな。
俺の頭にあるメイド喫茶とは、違うってことか。
う〜ん、紅茶がうまい。
スコーンによく合う。
こういうのは、受けないのかな?
それが駄目なら、純和風とか中華風もいいと思うんだけどなあ。
まあ、メイド喫茶をやるクラスが無い可能性もあるわけだし、それほど気にする必要もないかもしれないな。
一応、あちこち歩いて見て、その後は、普通のノートパソコンを見て見るか。
思えば、俺、そういうの、持ってないんだよなあ。
さて、行きますか。
「あ、あの…。」
ん?なんだ。
「はい、何でしょうか?」
「ひょっとして、織斑一夏さんですか?世界で唯一人、ISを動かせる男性の。」
眼鏡をかけた、俺と同い年位の、おとなしそうな女の子が、まるで、清水の舞台から飛び降りる覚悟をしたという感じで、俺に話しかけてくる。
「そうですけど…。何か?」
俺の、知り合いじゃないな。
誰だろう。
クラスメイトの知り合いか?
「あ、あの。夏休み中、山形で舞を舞われましたよね?私、テレビであれを見て、すっかりファンになっちゃって。」
へ?それ位で、なるのか?
うーん。俺って、好きなアイドルとかいないから、この手の心理は良く解らん。
「それで、あの…、ですね…。あの、あ、握手してください。もし、御迷惑でなかったら、サ、サインも戴ければ…。」
俺は、アイドルじゃないんだがなあ。
『一応、お前に対する情報や取材規制は、多少は緩やかになって、雑誌やテレビの出演。まあ、ありていに言えば、芸能人みたいに、握手やサインも許可されている。頼まれたら、多少は聞きいれてやれ。』
夏休み下旬に、千冬姉にそう言われた。
とは言っても、俺自身、あまりそういう状況には、出くわさないようにしていた。
しかし、こういう時もあるか。
ま、練習って事で。
「いいですよ。俺なんかで良かったら。」
「あ、ありがとうございます。」
すごく喜んで、頭を下げてきた。
その後、握手をして、筆記体でサインをした。
これからは、これでサインをする事にしよう。
まあ、それでも、限度とか考えながらだけどな。
喫茶店を出た後に、その人とは別れたが、凄くうれしそうだった。
さ、調査の開始。
「うーん。こういう状況には、いつかは出くわすとは思っていたけど、遂にね。最初にしては、すごく紳士的だったわねえ。合格、合格。」
楯無が満足そうに、頷く。
「会長は、凄く紳士的な所をお持ちですから、当然といえば、当然ですね。」
虚からの通信が来る。
「ふん。ミーハーな女だ!人の嫁に!!」
ラウラは、機嫌が良くなかった。
と、いうより、明らかに悪かった。
「仕方ないでしょう。国家代表や代表候補は、アイドルとしての一面も持ってるんだから。中には、俳優もいるし。」
事実、セシリアや鈴は、モデルとしても活動している。
楯無も、それなりにその方面の仕事をしている。
ラウラは、断固拒否している。
「我々は、国を背負っている。そんな事をしているのなら、訓練をすべきだろう!?」
「まあ、まあ、そう怒らない。ほら、護衛を続けるわよ。」
うーん。結構、線引きが難しいな。
学校の校則じゃないけど、とりあえず、スカートの長さと肌の露出である程度ルールを決めよう。
普通の喫茶店より、少し、長めなら大丈夫だろう。
民族衣装は、基本的に許可だけど、アレンジし過ぎて、露出が凄いのは駄目だな。
これで、行こう。
それにしても、あんまりこういうとこ来ないから、時々、世の中の流行が解らなくなるな。
何だか、浦島太郎になった気分だ。
偶には、来るか。
『護衛つきか。うかつに動く事も出来ん。』
さりげなく、一夏と同じ方向に歩いていた少女。
エムは、警戒の厳重ぶりに、舌を鳴らしそうになった。
『奴自身も武装している。隙は見せんか。とりあえず、それだけでも収穫という事にしておくか。』
他の店に入って、一通り店の中を回ったエムは、そのまま、秋葉原を後にした。
あれ?空中投影型が無いぞ。
ハイエンド機なのか?
近くのパソコンショップに入った俺は、ノートパソコンのコーナーに行ったものの、空中投影型が無かった事に、驚いた。
う〜ん、やっぱり普通は、きちんとメカニカルキーボードと液晶ディスプレイが一体化してるだな。
お。こっちは、ヘッドマウントディスプレイの技術を、フィードバックしたタイプか。
結構、安いな。
眼鏡タイプだから、そんなに違和感ないし。
でも、眼鏡タイプのディスプレイと、メカニカルキーボードって、結構シュールだよな。
スペックは、そこそこか。
上は、ハイエンドコーナーか。
お!3Dゲームもバッチリか。
じゃ、俺は、そっちでっと。
「ふーん。一夏君も、普通の高校生らしいところが、やっぱりあるのね〜。」
楯無が意外な物を見たように、呟く。
考えて見れば、楯無達が知っている一夏は、高いIS操縦技術と、単独での最新鋭IS開発が可能な明晰な頭脳、千冬譲りの天性の戦闘センス。
射撃、格闘、その他の戦闘技術は超一流で、剣術と武術の達人。といった、まるで、完璧超人のような面だけだ。
だが、今、自分達の目の前にいる一夏は、ごく普通の高校生だった。
考えて見れば、偶然、ISが倉庫に転がりこまなければ、一夏の高校生活は、ごく平凡な物だったろう。
ひょっとしたら、今の一夏は、ISに関係しなかったらという仮定の存在が形になったものなのかもしれない。
楯無は、ふと、そう思った。
そして、その方が、一夏にとっては幸せだったのかもしれないと…。
うお、凄え!
この、ゲーム対応モデル。
普通のノートとしても、相当なハイスペックだけど、ゲーム用としても、相当なもんだぜ。
「凄え!難易度トップで、ノーミスで最終面かよ!」
「頼む!エンディングを見せてくれ。」
俺は、ハイエンドPCのフロアで、デスクトップに決して劣らないスペックで、ゲームにも対応したマシンで、3Dシューティングゲームをしていたが、いつの間にか、人だかりができていた。
試しにスペック通りかを確かめようと思ったんだが、難易度設定を間違えて、最高度にしてしまい、さらにノーミスでラストまであと一歩に来ているからである。
あと、一発が、最終面のボスに止めを刺す、ラストショット。
ハデにいくか!
俺は、回避しつつ、残りの武装を全て叩き込む準備をする。
「ラスト!」
発射ボタンを押して、ボスを倒してゲームをクリアした。
周囲からは、割れんばかりの拍手が聞こえてきた。
当然、スコアはトップ。
「I.ORIMURA(イチカ.オリムラ)。と。」
しかし、それがまずかったらしい…。
「織斑一夏!?」
「世界でただ一人、男でISを動かせる、あの、織斑一夏か!?」
なんだか、やばそうだな。
驚いている合間に、俺は、ノートを買って、さっさと秋葉原を後にした。
部屋で、俺は文化祭で、各クラスが出す出し物についての基準の原案を、作成していた。
秋葉原で見たメイド喫茶や、ブログなんかに俺の考えを反映させたものだ。
メイド喫茶に限らず、風俗じみた物は基本的にアウトだな。
やるクラスがあるとは、思えないけどな。
作業をしていると、携帯が鳴る。
弾か。
「もしもし。」
「一夏、お前、今日、アキバに行ったのか?」
「ああ。文化祭の出し物の、基準づくりの、資料集めでな。」
「そういうことか。それで、何で、アームドデバイスシリーズの最新版の、最高難易度を、ノーミスで全クリしたんだよ?ネットで、大騒ぎだぞ。」
あ、そうか。
あのシリーズ、難しいんだよな。
俺は、ある程度コツ掴んでるけど。
「俺、普通のノートパソコンとか持ってないからさ。ついでに買いに行ったら、プレイできたから、やったんだよ。」
「何だ。そういう事か。しかし、お前も大変だな。基準づくりの、資料集めなんてさ。」
生徒会長だからな。
これくらいは、やらなきゃな。
「これ、やっとかないと、クラスの出し物の申請が出された時に、大変だからな。他にも仕事あるから、変に面倒な事になったら、文化祭どころじゃないぜ。」
これは、俺の本音だ。
あまり、変な物を出されると困るし、その申請を受理する際に揉めでもして、他の仕事に支障が出るのは勘弁願いたい。
楽しい文化祭どころか、嫌な思い出リストの、最初に載りかねないからな。
だから、申請に関しての基準は、しっかりと作っておきたい。
「あ〜、そりゃそうだよな。つーと、あれだな。俺の学校の文化祭も、あんまり変な物は出さない方がいいか。」
「ああ、そうしとけ。」
無難な線でも、工夫次第では結構面白くなるからな。
「じゃあな。頑張れよ、会長さん。」
「おう、そっちもな。」
弾との電話が終わってから、俺はある事で考え事をしていた。
秋葉原を回っている時に、常に感じていた、見事なまでに周囲に溶け込みながらも俺を見ている視線。
明らかに、普通じゃない、俺を射抜くように監視する視線。
各国の諜報機関かとも思ったが、それとは微妙に感じが違った。
「楽な文化祭には、ならないな…。」
呟いた俺は、天井を見上げた。
「一筋縄ではいかん。気づいてないふりをしていながらも、明らかにこちらに気づいていた。」
秋葉原から戻ってきたエムは、スコールと話をしていた。
「変装の類は、通じそうもないわね。」
IS関連企業の関係者を装って、一夏に接近しようと思ったが、無理だと、スコールは確信した。
「別に、織斑一夏じゃなくても、いいじゃねえか。他の奴。そうだな。篠ノ之箒なんてどうだ?うまくすれば、紅椿も手に入るぜ。」
部屋に入ってきたオータムが、箒を人質に取る事を提案する。
「死にたいのなら、やるがいい。忘れたのか?白式がどんなISかを。」
白式は元々、攻撃に特化したISで、零落白夜は出力次第によっては、絶対防御をも無視し、操縦者の肉を斬り、骨を断つ。
まして、一夏は幼少より、剣術に鍛錬に打ち込んできた、達人。
天下に知られた名刀を持っている屈強の剣客に、勝負を挑むようなものだという事を、エムは示唆する。
「まして、篠ノ之箒も織斑一夏ほどではないものの、剣術の腕は並大抵ではないわ。一筋縄ではいかないだろうし、彼の怒りに火を灯すのは得策ではないわね。他の生徒でも、同様よ。」
エムとスコールに、お前では不可能だと言われ、オータムが怒りをあらわにして、部屋を出る。
「エム。不本意だろうけど、逃げる手伝いをしてあげて。」
「借りは大きいぞ。いいな。」
スコールの依頼を受諾する意思を伝えて、エムも部屋を出た。
後書き
文化祭と聞くと、懐かしい響きがします。
そう感じるのは、年を取った証拠ですね。
なんせ、30代のオッサンですから。
私が通っていた高校では、1、2年は無難な出し物で、3年で食べ物系という、暗黙のルールみたいなものがありました。
なんで、こうなっていたかは知りませんが。
ただ、無難な線と言うのは、ワンパターンになりがちなので、苦労した事をよく覚えています。
さて、一夏達のクラスはどうなりますかね?
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