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zoom RSS 機動戦士Zガンダム〜ネオ・ジオン戦役〜 第13話 地球へ

<<   作成日時 : 2012/01/20 20:21   >>

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「久しぶりだな、ブライト艦長。しかし、周囲の状況は最悪だな。」
 ネオジオンと名乗った、アクシズ。それに合流せんと、各地で動き始めた、ジオンの残党。
 さらに、今の自分達への処遇に恨みを募らせている、ティターンズの残党。
 頭痛の種が、山ほどある。
「ウォンさん。今日、そちらに、通信を入れた件なのですが…。」
 ブライトは、早速、本題に入ろうとする。
「よほど、重要な事のようだな。聞こう。」
「実は…。」
 ブライトは、通信を入れた理由を話す。

「動かせる部隊、か…。あちこちの連邦軍は基地に引きこもっていて、出る気配はない。エゥーゴではアナハイムのリーザム部隊しかない。他の隊を動かすにも、そうはいかんのが現状だ。リーザム隊も、我が社を、守るのに専念させねばならん。残念ながらな…。」
 ウォンが眉間に皺を作って、ブライトに答える。
「そう、ですか…。」
 最後の頼みの綱であった、ウォンも空振りで、ブライトは小さくため息を突く。
「今の艦長にはきつい命令になるかもしれんが、エゥーゴの参謀本部から、新たな命令だ。地球に降りて、ダカールを守備する、カラバの部隊と合流せよ。」
「な…。」
 ブライトは、耳を疑った。
「冗談ではありません!カラバの苦境は、理解しています。ですが、今の宇宙の状況を理解すれば、この後、我々が地球に降りればどうなるか。解らないはずがないでしょう!?」

 ブライト率いる部隊は、今のエゥーゴを含む連邦にとって、自由に動かせる貴重な部隊だ。サイド3にいるハマーンが新たな軍事行動を起こした場合、援軍として駆け付けられる、たった一つの部隊である。
「艦長。まだ続きがある。地球に降りるのは、アーガマだけだ。他の艦は、グラナダに戻り、遊撃戦力となる。新たに竣工したアイリッシュ級戦艦シュレジエンを旗艦としてな。途中、補給艦ノースウッドと合流。補給を受けて、ダカールに降りるように。君にとっては、聞きたくもない命令だろうな。」
 ウォンが気づかうように、ブライトに語りかける。
「了解しました。直ちにノースウッドと合流します。」
 参謀本部の現状認識に、呆れ果てる気も失せたブライトは、命令に忠実に従う軍人に、精神のチャンネルを切り替える。

「さて、嫌な用事は済んだな。これからいい用事に入る。動かせる戦力だが、二線級で良ければ、無くは無い。」
「は…?」
 どこか、間抜けなブライトの表情を見て、ウォンはしばしの間笑って、データを送る。

「これは、マラサイ?」
「を、連邦仕様にした上での、新型だ。」
 MSA−010 ファートゥス。
 マハトと同時期に開発された、ネモの後継機である。
 性能と、生産コストの安さを両立させる為に、RMS−108 マラサイを連邦仕様として改修しつつ、性能を向上させたMSである。
 出来る限り既存の装備を使用することで、コストを安くし、装備における新たな製造ラインを作らないで済むように、工夫されている。
 結果、コストを抑えつつも性能は向上し、特に、バックパックは重力下での運用も考慮された物になっている。

「まあ、最終トライアルでは、マハトが採用されたが、性能はデータの通り、お蔵入りにするには惜しいのでね。予備部隊として、グラナダ、フォンブラウン。それぞれに配備している。今は、カラバの主力機としても、活躍している。グラナダの方なら、私の権限で、動かす事は可能だよ。MS隊隊長はテストパイロットを兼ねてもらっているが、「蒼い稲妻」という二つ名に心当たりは、ないかね?」
 ブライトは、記憶の中にある、エースパイロット達の名前から、思い当たる名前を探す。
「ユウ・カジマ大尉ですか?蒼にカラーリングされたリックディアスを駆って、戦果をあげていた。」
 ユウ・カジマ。
 モルモットと呼ばれていた、最前線でのMS実験部隊の一員だった、MSパイロットである。
 MSの開発で後れを取っていた連邦は、試作型を最前線で試験運用し、データを収集。
 それを反映させる事によって、新型を開発するという、リスクの高い手法も取っていた。
 その為に編成された部隊は、兵士たちに「モルモット」と陰口で呼ばれ、いつの間にか、呼び方が定着した。
 その中で、ユウは突出した戦果をあげて、撃墜機数は60を超える、一年戦争終了時では、連邦でも5本の指に入る、エースである。
「ああ、彼の部隊が、グラナダに駐留している。Mk.Vの機体の方のプロトタイプのテストパイロットを務めたのも、彼だった事も関係してね。今も、新型の開発時に備えての、テストパイロットとしてグラナダにいるわけだ。至急出撃できるように、しておく。」
 思いもよらぬ、頼りになる部隊があった事に、ブライトは胸をなでおろす。
「他にも、私にできる事があるか、考えて見る。だから、艦長、地球の件、頼むぞ。相手の戦力も増強されているらしい。」
「了解しました。」
「うん。それではな。」
 ウォンとの通信が、切れる。

「ふう。捨てる神あらば、拾う神ありか。とにかく、宇宙の戦力は、なんとかなるかもしれん。」
「後は、地球ですね。」
 操舵手のサエグサが、ブライトに話しかける。
「楽ではない事は、解っている。だが、ダカールをネオジオンに渡すわけにはいかん。ノースウッドとの最短の合流コースへ艦を向けろ。全速で合流するんだ。ネオジオンの妨害が入らんとは言えん。その前に、地球に到達する。トーレス、クワトロ大尉達を、ブリーフィングルームに。」
「了解。」

「ご苦労だったな、グレミー・トト。サイド5攻略の手並み、見事であった。キュベレイMk.U、エルピー・プルと言ったか。十分使えそうだな。」
「はっ!」
 サイド3に移ったハマーンの元に、サイド5を落とした、グレミーが挨拶に来る。
「後は、サイド5からの航路を確保するのが課題だが、お前はどう思う?遠慮なく、考えを申せ。」
「現段階では、他のコロニーに駐留している連邦部隊が、動く気配はありません。残りのコロニーに派遣された攻略部隊と睨みあいになり、膠着状態を作り出せば、それでよいかと。出たくても出られず。エゥーゴとティターンズの戦いで、連邦自体も少なからず疲弊しておりますので、他の基地の部隊は奴らにとっては貴重。嫌でも慎重に、ならざるを得ますまい。」
「そうだな。その通りだな。さすがに、頭が切れるな。」
「恐れ入ります。」
 恭しく一礼するグレミーだが、その視線の奥には、解る者には解る危険な光があった。
「話は変わるが、面白い物を拾った。読んでみろ。」
 ハマーンは、一冊のマニュアルを、グレミーに渡す。
「拝見させていただきます。」
 マニュアルを受け取ったグレミーは、読み進めるうちに表情が変わる。
「これは…。連邦は、こんな物を…。」
「正確には、ティターンズだがな。サイコガンダムMk.U、お前に預ける。使いこなせ。」
「しかし、仕様を見る限り、並みの者には使いこなす事は、不可能では?」
 パイロットに求められる、ニュータイプとしての能力が非常に高く、強化人間でも使いこなせるかは、グレミー自身、疑問だった。
「お前の手駒に、ニュータイプ部隊というのがあるのだろう?それならば、何とかなるのではないか?」
 意味ありげな視線で、ハマーンはグレミーを見る。
「どこで、耳になされたかは存じませぬが、根も葉もない噂でございます。」
「そうか。まあ、いい。とにかく、お前に預ける。ご苦労だったな。下がって休め。」
「はっ。」
 グレミーは、一礼して、ハマーンの元を去る。
『さすがに、そう簡単には、尻尾を出さんか…。まあ、いい。拾い物の修理品。直すのも楽ではなかったが、それで奴の腹の内が、多少なりとも探れれば、充分に収支が取れると言うもの。精々、好きに使うがいい。』
 解析を進め、隅々まで調べ尽くしたハマーンは、キュベレイ単機で出撃しても、撃破できる確信があった。

「ふむ。フライングアーマーがこれだけあるのは、助かる。地球でも宇宙でも、役に立つからな。」
 補給艦ノースウッドと合流したアーガマは、各種補給物資を受け取っていたが、その中に多数のフライングアーマーがあった。
 しかも改良され、折りたたむ事によって、より多く搭載する事が出来る。
「うん?あれは何だ。」
 クワトロの視線の先には、MSの脚に装着できそうなスキー板の様なものがあった。
「ああ、あれですか。ジオンの装備を参考にして開発した、地上用のホバーユニットですよ。アーガマに搭載されているMSはどれでも使用できますから、地球では、役に立つはずです。」
「成程。それは助かるな、砂漠用に開発されたジオンのMSは、その機動性で連邦を翻弄しているからな。」
 ジオンが開発した、ドム系のMSは砂漠用に開発された物もあり、その機動性に、連邦の砂漠用のジムは翻弄されて苦戦を強いられた。
「予備のパーツ、砂漠の砂塵対策用のシーリングキットもある。これだけあれば、ダカールの防衛、何とかなりそうだな。ありがとう。感謝するよ。」
 クワトロは、補給士官に握手を求める。
「どうか、ご武運を。宇宙に戻られた時、またアーガマの補給作業に従事したいものです。」
 クワトロの手を握り、士官は笑顔を見せる。
「ああ、その時は頼む。」

「サイド3及び、アクシズから新たな部隊が発進していないな。」
「はい。確認されていません。」
 アーガマは、合流前から、観測を続けていた強行精密索敵用のマハトの運用を引き継ぎ、増援部隊が送られたか監視を続けていた。
「補給終了までの、時間は?」
「あと、1時間ほどです。」
「出来る限り、急がせろ。アムロ達も苦労しているはずだ。」
 トーレスに指示を出しながら、ブライトはダカールでカラバと合流してからの戦いについて考えていた。
 MSの性能でこちらが上回っていたとしても、ダカールのように、周辺が砂漠になっている環境では、ジオンのMSにアドバンテージがある。
 ドム系は、元々ホバーで移動する事を前提に設計されているので、各部のシーリング、熱対策等を行えば、機動力を活かしてこちらを翻弄できる。
 さらに、現地の連邦基地から様々な物資が強奪されているとの情報から、性能向上の改造も行われているだろう。
『砂漠戦では、カラバのファートゥス隊が頼りか…。連邦の駐留部隊がどこまで頼りになるかが重要な点だな。』
 アーガマと、カラバのファートゥス隊、アムロ率いるカラバの精鋭部隊で横列陣を敷き、後方からは連邦のジムV隊に後方からの援護をさせる。
 ジムVは、後方からの支援任務で性能を発揮する特性を持っているので、支援に徹してもらうのがベストだが、一部には地上用のホバーユニットを搭載して前線に出てもらわないと、前線の陣容が薄くなるのでそうする事に決めた。
「パイロットたちを、ブリーフィングルームに。ダカールでの戦闘について、最終確認を行う。」
「了解。」

「砂に対するシーリングは、しっかり頼むぞ。あんなのが関節に入られちゃ。紙やすりをパーツの間に挟んだまま、戦うようなもんだからな。」
 ヤザンが整備員に、念を押す。
「中尉、ずいぶんしっかり念を押しますね?」
「ああいう、大都市の連中は、ぬるいんだよ。基本的に。俺らでやるしかない。それに残党連中にしても、ずっと、苦い肝を舐め続けてきてるんだ。機体のスペックが、あてにならない時もあるだろうよ。」
 カミーユとヤザンは、MSのシステムチェックをしながら、ダカールでの事について意見交換していた。
「それに、食糧ならともかく、武器や装甲材まで強奪されているのは、ちょっと。いくらなんでも…。」
 フォウが、会話に参加する。
「だよな。僕たちとアムロ大尉達で、頑張るしかないか…。」
 カミーユは、溜息を突く。
「パイロットは、全員ブリーフィングルームに集合だ。急げよ。」
 クワトロが、全員に声をかける。
「了解。中尉、フォウ、チェック終わった?」
「おう。」
「終ってるわ。」
 各々の機体をチェックしていたパイロットたちは、コックピットから出てブリーフィングルームに向かう。

「結局、俺らが最前線ですかい。ダカールの連中はぬるいねえ。」
「ここで愚痴っても、仕方ない。とにかく、ダカールをネオジオンに渡すことだけは、何としても避けねばならん。幸い、内通者の類は徹底的に掃除されているとの事だ。」
 愚痴るヤザンを嗜めながら、ダカールをネオジオンに渡すことだけは避けねばならない事を、ブライトは説明する。
「ふむ。そうだな。ところで、キャプテン。我々がダカールに着いた際に、戦闘が始めっているかそうでないかで、状況は変わって来るだろう。それを考慮して、MSは発進して大気圏突入する方が良いのではないのかな?」
 クワトロが、意見を言う。
 もし、戦闘が始まっていたら、上空からの奇襲作戦が可能になる。
 が、発進していないまま、戦闘状態だった際には、アーガマに攻撃が集中し、発進が困難になる可能性がある。
「俺も賛成ですね。元々、MSは敵に襲われる前に発進させるのが、セオリーですから。」
 ビリーも、クワトロの意見に賛同する。
 出撃も出来ずに、艦と運命を共にするのはMSのパイロットとしては、耐えられないというのも、あるのだろう。
「よし。では、それでいく。総員、直ちに出撃準備。出撃が完了次第、ダカールへの降下コースを取り、カラバと合流する。」
「「「了解!」」」

「急げ!一秒でも早く、発艦を終わらせろ!」
 アストナージが整備員たちに、指示を出す。
 Zは大気圏突入が可能なので、対象となるのはそれ以外のMSである。
 後は、Gアーチャー隊だけのみとなった。
「やれやれ。慌ただしいぜ。Gアーチャー隊。いくぞ!」
 愚痴をこぼすビリーに、ヘルマンとジェームスが続く。

「艦長。MS隊、全機発進完了しました。」
「よし。全機、横列に隊形を組め。降下、開始。ダカールのカラバとの通信は?」
「確保できています。」
 トーレスの返事に、ブライトは頷く。
「バリュート開け。これより、ダカールに降下する。」

後書き
サイド3と5は奪還され、他のサイドの連邦軍は身動きが取れない。
そして、首都のダカールは、攻撃されている。
まさに弱り目に祟り目のブライト達に、アーガマ単独でカラバの支援に向えという、無茶な命令。
しかし、捨てる神あらば拾う神あり。
とりあえずなんとかなりそうです。
マラサイの連邦仕様のMSというアイデアは、結構前からありまして、元々が性能の高いMSでしたから、最新の技術を投入した上で連邦仕様にすれば、いい機体になるだろうと思っていました。
さて、現在、ハマーンがこれに対して、動きを見せるか否かは、次回以降のお楽しみです。


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