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zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第20話 織斑一夏の穏やかな日々?

<<   作成日時 : 2011/12/17 22:08   >>

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 穏やかな日常って、いいなあ…。
 とにかく、今まで忙し過ぎた。
 束さんからは、宿題やら新型ISの開発を頼まれ。
 政府の思惑で、道具としてイギリスに行かされ、ドイツでは千冬姉の地獄の特訓。
 何で、こんなハードな日々になるんだか。
 けど、もう、それも終りだ。
 朝の修練を終えて、朝食の支度をしながらそう思っていた。

「おはよう。千冬姉。朝飯出来てるぜ。」
「うむ。」
 ちなみに、織斑家では、朝食は必ず和風と決まっている。
 千冬姉の好みが、どちらかというと和風という事もあるが、やはり日本人は飯とみそ汁で、一日が始まらないとな。
 テレビからは、いつもどおりにニュースが聞こえてくる。
 それを見ながら、俺達は食事をする。
 これが、織斑家の朝だ。

「行ってくる。」
 千冬姉は学園に出勤する。
 夏休みだからって、教師にはきちんと仕事が待っている。
「行ってらっしゃい。夕飯なにか食いたいものあるか?」
「そうだな。冷製パスタが、食べたい気分かな。できれば、イタリアンがいい。」
「了解。」
「じゃあ、行ってくるぞ。」

 千冬姉が出勤すると、俺は家の掃除と洗濯に取りかかる。
 ここの所、忙しかったので碌にやってなかったから、汚れがいつもよりか酷いのでしっかりと掃除する。
 洗濯物は、千冬姉は、コインランドリーを使っていたらしい。
 家に、洗濯機あるだろう?
 いい加減に、家事を覚えようぜ。
 洗濯物を干し終えて、俺は自分の部屋に行く。
 夏休みの残りは、家でのんびり過ごすと決めた。
 さすがに、委員会から何かしろとは、もう、言われないだろう。
 ベッドの上で、端末を起動させて、ISの技術関連の最新の論文に目を通す。
 なんだかんだで、この分野は面白いから好きだ。
 しばらく読んでいると、メールが来る。
 楯無さんだ。
 文化祭の資料か。
 えーと、なになに。

『やっほー、一夏君。元気かな?いろいろ、大変だったね。IS委員会や、政治家にも困ったものだわ。本当は、とっちめてやりたいけど、それができないのが。この世の不条理よねー。さて、本題。2学期に入ったら、すぐに文化祭の用意に入るから、資料に目を通していてね。それから、クラスの出し物についての意見もよろしく。あまり悪ふざけが過ぎると、ただ下品になるだけだからね。じゃ、引き続き私達は一夏君の周辺のガードを続けるわね。近くにはラウラちゃんもいるんだから、遠慮なく頼るんだよ。って、一夏君の方がずっと強いんだよね。シュヴァルツェア・レーゲンを改修しても、乗り手の差が大きすぎるからなあ。それじゃあ、2学期、学園でね。』
 
 文化祭か…。
 IS学園も高校なので、文化祭はある。
 ただ、外部の人間は、委員会や政府の関係者、それから、生徒に一枚ずつ渡されるチケットで招待される人だけ。
 学園の性格上、こうなってしまう。
 ただ、それでも、盛り上げたいからみんな頑張るわけだ。
 俺は生徒会長だから、陣頭に立って頑張らないとな。
 さて、目を通すとするか。
 空中に浮かんだディスプレイに、資料を表示させる。
 ふ〜ん、たまに悪ふざけが過ぎたのが、来ているな。
 というか、ここまで来ると、もはや風俗に近くないか?
 とりあえず、そういうのは却下と。
 それ以外だと、メイド喫茶とかの類をどうするかが、問題だよな。
 コスプレだと、かなり際どいのがあるから、これについては議題だな。
 ウィンドウとキーボードを呼びだして、議題をテキストエディタで作る。

「待ってなさいよ。一夏。」
 ツインテールの少女。
 凰鈴音は、非常に不機嫌だった。
 シャルロットは、一夏に最新鋭の第三世代ISを開発してもらい、セシリアとラウラは一夏にISの改修をして貰っている。
 箒は、最新鋭の第四世代なので除外だが、自分だけ、改修をしてもらえないのは、我慢がならない。
 中国としても、甲龍を改修して性能が向上するのは、文句は無い。
 IS委員会に強く働きかけて、了承を取りつけ、一夏に改修の依頼をする為に鈴を向かわせた。
『あたしだけ改修なしだなんて、許さないわよ。一夏。』
 そう心に決めた鈴は、一夏の家を目指す。

「ごちそうさま。」
 冷蔵庫にあるありあわせで、俺は昼食を済ませた。
 文化祭の資料には目を通し終っているので、俺は今晩の献立を考える事にした。
 メインは冷製パスタだな。
 フルーツトマトと、みじん切りにした、にんにくに、オリーブオイルと塩・胡椒にレモン汁を合わせたのを和えて、冷蔵庫で冷やす。
 後は、パスタをゆでた後、冷水で冷たくして合わせた後に、生ハムとバジルを散らす。
 アンティパストは、オリーブや生ハムに野菜を挟んだパニーノにしよう。
 カルパッチョもいいかな。後は冷製スープといったところかな。
 大掃除の時に、パスタマシンの手入れをしっかりしておいたから、手作りでカペッリーニにしよう。
 ええと、デュラムセモリナ粉は、確かあったよな。
 よし、久しぶりに、パスタを打つか。
 その前に、白式の燃費向上の策を、考えよう。
 ウィングスラスターもそうなんだが、やっぱり雪羅が問題ありだしな。

「一夏、開いてるってことは、いるのよね?」
 鈴?
 何か、微妙に怒ってると思うのは、俺の気のせいだろうか。
「何だよ。いきなり、人の家の戸をあけるってのは、マナー違反だぜ。」
 うん。これは間違っちゃいないよな。
 インターホンがあるんだから、やはりそれを鳴らさないとな。
「何よ?今更、そんな仲でもないでしょう。それとも、エロいDVDでも見るつもりだったの!?」
「見ねえよ!まあ、いい。とりあえず、上がれ。そのつもりで来たんだろう?」
「じゃあ、お邪魔します。」
 きちんと靴を揃えるのが、鈴のいい所だ。
 というより、引っ越す前には、よく、俺の家に遊びに来ていて、靴を揃えないと、千冬姉の拳骨が飛んできたからなんだが。

「で、何の用だよ?」
 麦茶を入れたコップをコースターの上に置きながら、鈴に用件を聞く。
 すると、鈴がじっと俺を見つめる。
 だから何なんだよ?
「改修。」
「は?」
 いきなり、なんだよ、藪から棒に。
「かいしゅうが、どうしたって?」
 時々、解んないこと言いだすんだよな。鈴は。
 かいしゅうって言われてもな。
「廃品回収で、何か出すのか?寮にそんなの置いてたのか?」
「違うっての、ISの改修よ!」
 いきなり、ISの改修なんて言われても、解んねえっての。
 きちんと、改修対象のISは、何かを言えよ。
 でないと、話が解んないだろうが。
「あたしの、ISよ。改修して。」
 は?

 ええと。ちょっと、頭の中身を整理しよう。
 俺は、夕飯のメニューを考え終わって、これから雪羅のエネルギー消費の効率化について考えようとしていた。
 そこに鈴が来て、自分のISを改修してくれと言ってきた。
 よし、整理が終わったぞ。
「で、何で、俺が甲龍の改修をするんだ?あれはあれで、もう完成の域に、殆ど達しているぞ」
 鈴のISは、中国が開発した第三世代IS甲龍。
 燃費の良さと、稼働率の高さが特徴だ。
 兵装は、青龍刀「双天月牙」と、空間を圧縮して砲身とし、砲弾を発射する、衝撃砲「龍咆」。
 双天月牙は取り回しが少々悪いが、使いこなせるようになれば、強力な武器となる。
 龍咆には、死角という物が無い。
 その気になれば、真後ろにも撃てる。
 他のISに比べても、稼働時間は長いし、設計も手堅い。
 これに手を加えると、下手をすれば、甲龍の設計コンセプトが、崩れてしまうかもしれない。
 俺は、その事を懇切丁寧に、鈴に話した。
「解ったか?甲龍が、殆ど完成の域に達していると言ったのは、そういう事だよ。改修すれば、いつもいい結果が出るとは限らないんだぜ。」
 これで納得するかと思いきや、鈴は何だか拗ねた様な表情になっている。
 どういう事だ?
 きちんと理由を、話したから納得するはずなんだが。

 実際、鈴は拗ねていた。
 ただ、自分だけ、ISに一夏の改修が施されていないのが、悔しいし嫌なだけだったのだ。
 一夏の言いたい事は解る。
甲龍は、今までの稼働データを元に、中国では調整が行われ、殆ど完成の域に達している。
一夏なら、調整が行われている事は、織り込み済みだろう。
それでも、鈴は甲龍の改修をしてほしかったのだ。

 ブルー・ティアーズは、懐に飛び込まれたら、撃破されるリスクが極めて高いし、ブルー・ティアーズを使用している際は、動けないので唯の的。
 搭乗者が自由自在に動けなければ、オールレンジ攻撃ができても、リスクは大きい。
 さらに、レーザー兵器しかないのも、問題だ。
 一夏はこの弱点を修正する改修をし、弱点が解消されただけでなく、スラスターの推力を向上させ、推力偏向方式にして、機動力を著しく高めた。

 ラウラのシュヴァルツェア・レーゲンは、遠距離攻撃はレールカノンでよいが、中距離になると、ワイヤーブレードでは荷が重い場合が多いのは、一目瞭然である。
 故に、一夏は、砲身を折りたたみ、チャージサイクルをコントロールする事によって、中距離でも対応できるようにした。さらにプラズマ手刀を、プラズマブレードと一体になった、小口径レールガンに換装。中距離に、さらに万全の備えをしている。
 レールカノンとレールガンは、稼働に必要なエネルギーをバッテリー式にして、マガジンと一体化している為に、稼働エネルギーに影響は無い。
 重量が増した分、スラスターの出力を向上させている。
 全ての距離で、憂いなく戦えるようになった、シュヴェルツェア・レーゲンにラウラは満足していた。

 シャルロットのISは、一夏の処女作である、ノブレス・イリュジオン。
 高い汎用性と機動性を誇り、ビット兵器を初めて、搭乗者が戦いながらも、運用する事が可能にしたISで、さらに様々な兵装を増設しても、システムがハングアップする事は無いISで、追加武装パックを装備していない状態でも、高い攻撃力を誇る。
シャルロットの得意技である、ラピッド・スイッチも、無論、健在である。

 要するに、鈴は羨ましいのである。
 最新鋭機の紅椿を専用機とする箒を除いて、一夏の周囲にいる1年の専用機持ち全員がISを開発してもらったり、改修をして貰っているのである。
 実際は各国政府やIS委員会の思惑が絡み、一夏に取っては不愉快な出来事も少なからずあったとしても、やっぱり、想い人である一夏に、自分のISの改修をして欲しいのである。
 ただ、それをうまく言葉にできなかった。

 参ったな…。
 本当に甲龍って、やりようがないんだよな。
 設計は凄く堅実だし、双天月牙を使った白兵戦を考慮して、運動性能もいい。
龍咆は死角なしだし、加速も第三世代の平均水準だし…。
 あれ?
 なんか、引っかかるぞ。
 加速が平均水準か…。
 これだと、加速も運動性能もそして、センサー系統も優秀で、白兵戦能力に優れているIS相手は厳しいな。
 欲を言えば、ミサイルの迎撃能力も欲しいんだよなあ。
 ただ、チャフやフレアも100%防げるわけじゃないし、最近のミサイルはECMに対しても、強いからなあ。
 待てよ。衝撃砲を拡散モードで使用すれば、防げるな。
 各スラスターの、推力も上げるか。
 俺は改修案を、仕上げに掛かった。
 龍咆は空間圧縮関係の部分改修と、システムの書き換えで対応できる。
 スラスターは圧縮比率を、引き上げればいい。
 パワーアシスト機能にも手を加えて、双天月牙を扱いやすくしてみるか。
 ここは調整が簡単だしな。
 それと、奇襲用や、近距離戦の切り札も、装備させるか。

「これで、どうだ?」
 俺は、甲龍の改修案を鈴に見せた。
 拗ねていた鈴が、空中投影ディスプレイを見る。
 加速能力の向上。
 龍咆の拡散モードの追加。
 中国風の手裏剣である飛刀に、HEAT弾頭を中に仕込んである「火剣(ホォジアン)」。
 高電圧縛鎖の先に、近接戦闘用に短剣状のプラズマブレードを着けた、縄標「鉄蛇(ティエシュア)」
 パワーアシストの強化。
「うん!これでいい。」
 無論、燃費と稼働率を極力落とさないように、工夫を凝らしている。
 これなら、甲龍の機体のコンセプトを、崩さないで済む。
「あの…、ごめんね…。我がまま言って…。」
 鈴が、叱られた子供の様になる。
「いいか、鈴。IS関係となると、下手すると外交問題にまで発展するんだからな。」
「うん…。ほんとにごめん。」

 俺と鈴はその足で、中国大使館に赴き、20代後半の女性で候補生管理官の、楊麗々さんに改修案を見てもらっている。
 何だか、驚いて目を皿に用にして見ているな。
 コロンブスの卵みたいな物でも、あったのか?
「実によくできていますね。さすがは、織斑大人。見事です。それで、いつから、改修に入れますか?」
「そちらの設備が空いていれば、明日からでも。」
 実を言えば、今日からでもやろうと思えばやれるけど、千冬姉が晩飯を楽しみにしてるからな。
「では、用意をさせておきますので、明日からよろしくお願いします。」
 楊さんが、頭を下げる。
「はい。それでは、失礼します。」

「聞いたぞ。鳳にせがまれて、甲龍の改修を引き受けたそうだな。」
 トマトと生ハムとバジルの冷製パスタに、舌鼓を打ちながら、千冬姉が話をしてくる。
 多分、楊さんからお礼と、お詫びの電話が言ったんだろな。
「中国政府からの、正式な要請もあったしな。鈴がなんか、拗ねてたというか、いろいろとさ。」
 あの状態で断わるのは、良心が傷つくようでちょっと辛かったからな。
「お詫びもあったぞ。我が国の候補生が、無茶を言って申し訳ないと。織斑大人によろしく言っておいてくれとな。」
 大人(たーれん)は、男に対する尊称だ。
 でも、俺がつけられるほどの人間か?
「しかし、まあ。お前はつくづく穏やかな日々というやつに、縁のない男だな。日頃の行いが、そうさせるのだという事を、少しは考えろよ。それと、早く決めろ。騒がしいのが続くと、私が、暴力教師と思われかねん。」
 いや、既に思われてるって。
 端末でぶん殴り、生徒の顔を机に押し付けたり、厳さんの拳骨と同等の威力を持つ拳骨を、生徒に叩き込む時点で、立派に暴力教師だぞ。
 まあ、いいか。
 よくは無いんだが、考えると気づかれて千冬姉から制裁を受ける。

「ごちそうさま。お前の料理の腕前も中々だな、ISを動かせなかったら、コックにでもなっていたかもしれんな。」
「そうか?」
 食器を片づけながら、俺はそう言った。
 コックねえ…。
 想像がつかないな。
 さて、さっさと片付けて夜の稽古をするか。
 小さいながらも、隣に剣道場を作った。
 もちろん、完全防音だ。
 ご近所に、迷惑はかけられないからな。

「さて、食後の運動代わりに、稽古をつけてやろう。ドイツでの成果が、どの程度出るか見せて見ろ。」
 にやにやしながら、千冬姉は俺の方を見る。
 げっ、嫌な予感のする笑いだ。
 つうか。ドイツで散々俺をしごいたのは、どこの誰だよ?
 そんな事を考えていると、千冬姉は、俺を道場まで引きずっていく。

「ほお、思った以上に伸びているな。ここまで来てもへばらんとは。さあ、もう少し行くぞ。」
 千冬姉が、間合いを詰めて打ち込んでくるが、俺はそれを受け止める。
 チャンス!
 俺は木刀を受け止めた瞬間、間合いを詰めつつ木刀に円の軌道を描かせて、千冬姉を、その中に巻き込もうとする。
 明王流円流剣。
 相手の剣を、防御した瞬間に間合いを詰めて攻撃に転ずる技だ。
「これは驚いた。だが…。」
 千冬姉は手首を回転させて、俺の木刀を巻きこんで宙に舞わせる。
「動きが、まだ遅い。思考に、体がついていっていない証拠だ。考えた時には、即座に動け。でないと、いくら考えても、少なからず、無駄になるぞ。」
 反論できないなあ…。
 考えてから、動くまでのスピードを高める。
 自身の思考能力と、運動能力の融合か…。
 呼吸を整えながら、俺自身の大きな課題について考える。
「さて、きょうはここまでにするか。明日の事もあるしな。汗を流した後は、すぐに寝ろ。」
 言われなくてもそうするって。
 シャワーで汗を流した後、俺はベッドに入って10秒も経たずに眠りについた。

「一夏、支度できてる?」
 鈴か。
 うわ、公用車じゃないか。普通に迎えに来いって。
「じゃあ、千冬姉。行ってくるな。」
「しっかりやってこい。」
 コップに麦茶を汲んでいる千冬姉に、そう言って、ボディーガード役のラウラと中国専用のIS用アリーナに向かう。
 無論、男子用と女子用で、着替えもトイレも、シャワールームも分かれている。
 こうしてくれないと、俺も困るしな。
 着替えが済んだあと、メンテナンスベッドに寝かされている、甲龍の改修を始める。
 必要な部品のデータは渡して、すでに作られているから、後はそれを使って改修するだけだ。
 今が、午前9時か、改修といっても一番大変なのは龍咆だけだから、意外にすぐ終わる。
 全ての作業が終了したのは昼を挟んで午後3時ちょうどだった。

「ようし、鈴。飛行テストから始めるぞ。飛びたいように飛んでみてくれ。」
「解ったわ。」
 早速テストが始まる。
 俺は、各モニターを見ながら、各部が正常に稼働しているか、チェックをする。
 ちなみに端末は、俺のオリジナルだ。
 キーボードが、パイプオルガンみたいに増えるのが、特徴だな。
 ようし、PICは正常作動。
 スラスターの推力も想定通りで、各部も問題はない。
 シールドの干渉もないな。
 んじゃ、メインのテストをするか。
「ほら、発射だ。」
 弾頭を模擬弾にした、中国の携帯式地対空ミサイルQW−4、20発が鈴に襲い掛かる。
「試させてもらうわよ!一夏。」
 非固定式の肩部装甲が開き、龍咆の砲口の周辺に設けられた幾つもの小さな砲口から、拡散した龍咆が襲いかかる。
 拡散している為に、威力はどうしても落ちるが、ミサイルを破壊するには充分以上の破壊力を持っている。
 よし、テスト終り。とは、いかない。今度は複数のポイントから、さっきより遥かに多いミサイルが発射され、シーカーに映る赤外線画像の鈴に向かう。
 鈴は回避すべく上昇する、ミサイルもそれに惹かれて多方面から上昇する。
「甘いわよ。」
 鈴はFCSに範囲を入力して、拡散式の龍咆を発射して、数十発のミサイルを撃ち落とす。
 その後、火剣と鉄蛇も使用しての、俺との模擬戦をした。
 無論、拡散モードの龍咆も使用するので、ミサイルポッドを借りた。

「駄目。全然、歯が立たない…。」
 膝をついた凛は、粗く息をついていた。
 兵装が増え、加速と運動性も向上しているのに、ミサイルポッドを追加しただけの一夏には、手も足も出なかった。
 その証拠に、一夏は涼しい顔をして、ドリンクを飲んでいる。
「よし、全テスト終了。鈴、疲れただろう。しばらくここで休んでろよ。俺は帰って、晩飯の支度があるから。じゃあな。」
 ラウラを伴って、一夏がシャワールームへと向かう。
「あの、一夏!」
 何とか声を出して、一夏に呼び掛ける。
「うん?何だ。」
「ありがと…。」
「おう。じゃあ、二学期に会おうぜ。」

 翌日、俺は今度こそ、白式のエネルギー消費の最適化の研究をしていた。
 これで、一年の専用機持ちは、全員、ISを改修したな。
 紅椿は、何と言っても、世界最新鋭のIS。
 今の所は、やる必要はない。
 はあ、これで、やっと自分の為に時間を使えるぜ。

 が、神様はそんな事を許してくれなかった。

「箒…。」
 呼び鈴が鳴って玄関に行ってみると、箒がいた。
「実は、紅椿の事なんだが…。」
 まさか、改修か?
「エネルギー消費の効率が悪過ぎて、すぐにガス欠になってしまう。効率化の力を借りたいのだ。」
「束さんに頼めば、いいだろう?連絡取れないのか。」
 元々、開発したのは、束さんだろう?
 なら、束さんに頼むのが、ベストだろう。
 行方不明っていったって、実の妹の箒になら、連絡先は教えてるはずだ。
「連絡を取ったら、白式と紅椿は兄弟機。しかも、紅椿は白式とペアで運用する事を大前提にして設計しているから、一夏なら充分、エネルギー消費の効率化ができるから、お前に頼めと言われた。」
 ちょっと、束さん。
 何で、そうなるんですか?
「だから、その…、頼む。」
 深々と頭を下げる箒だが、その内、下から、俺を上目遣いで見る。
 うっ…。
 そういう目で、見られると…。
 「それと、更識先輩と、ケイシー先輩とサファイア先輩から、これを預かってきた。」
 全てに目を通した俺は、肩を落とした。
 全部、政府からの、正式なISの改修依頼と、先輩達からのお願いの手紙だった。
 俺の、穏やかな日々は、どこに…。
 白式の最適化の時間は、確保できないのか…。
 
 そう考えながら、一夏は天井を見上げた。
 唯一つ、言える事がある。
 織斑一夏という、世界でただ一人ISを動かせる少年には、穏やかな日々などないと…。

後書き
色々あった夏休みの、終わりごろのお話です。
のんびり過ごしている一夏の日常を書いても、面白くありませんし、結局こうなってしまいました。
どうにも、私は一夏をいぢめたいらしいです(笑)。

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