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zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第17話 フランスの休日

<<   作成日時 : 2011/10/29 23:31   >>

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 空港で、入国手続きを、済ませる。
 俺が生涯初めて、海外に来る国になったのは…。
「一夏。こっち、こっち。」
 可愛らしいワンピースの、シャルロットが手を振っている。
 フランスだった。

「フランス?」
「ええ。織斑君がイリュジオンに使用しているシステムの基礎的な概念について、発表してもらいたいって、学会から要請が来たの。」
 え。ちょっと、待って下さいよ。
「先生、イリュジオンは、今は、シャルロットが専任操縦者になっているので、技術的な情報開示は必要ないはずです。これは、アラスカ条約違反じゃないですか?」
 アラスカ条約によって、各国が新しく開発したISに関する技術は、開示義務がある。
 しかし、IS学園に所属している限りは、その義務はない。
 だからこそ、各国は最新型のISと代表候補生と共に、学園に入学させる。
 言い方を変えれば、IS学園は機密保持の場でもある。
「それは、そうなんですけど…。」
 日本政府が、何か、外交で馬鹿をやったか?
 山田先生が言いにくそうにしているのを見て、俺はそう見た。

「別に、ノブレス・イリュジオンの技術を開示しろと言っているわけではない。あれのOSは出来る限り無駄をなくして、コンパクトにしているのだったな?」
 山田先生では、らちが明かないと考えた千冬姉が、ピンチヒッターになる。
「はい。第三世代兵装の制御システムの容量を確保するテストも兼ねたOSですから。」
 ISのシステム領域は、無限じゃない。
 それは、第三世代ISも同様だ。
 例えば、機体の稼働率や燃費を重視して、その為のシステムに領域を取られ過ぎて、第三世代兵装が、実装できなくなりかけた。なんて話も、聞いた事がある。
「もし、それについてなら、尚更無理です。イリュジオンに取っても重要な部分ですから。」
 これは、事実だ。
 さすがの千冬姉も、反論できないでいる。
「IS委員会からの、要請でもある。」
 IS委員会からの要請書を、千冬姉が俺に渡す。
 つまり、アラスカ条約で決められた事を、決めた連中が破るっていうのかよ…。
 まてよ、確か…。
 そう言う事か…。
「解りました。すぐに準備します。パスポートも作らなければなりませんから…。」
 反論するのも馬鹿馬鹿しくなった俺は、家に帰って準備をする事にした。

「気づいたな。事の真相に…。」
「なまじ、頭がいいだけに、今回の事には、相当怒っていますね。あの態度から。」
 一夏は怒れば怒るほど、普段の性格からかけ離れて、機械の様になる。
 真耶は副担任をしている内に、その事をよく理解していた。
千冬は、小さな溜息をついていた。

「一夏。入るぞ。」
 パスポートを作って、家に帰った俺が支度をしていると、襖をあけて千冬姉が部屋に入って来る。
 俺は、黙って、キャリーバッグに換えのスーツに、一応、パーティー用のスーツ。後はカジュアルな服も、一応入れる。パスポートは今日作ってきたし、
後は、チケットを取るだけだ。
 俺一人だけだから、エコノミークラスで充分だろう。

 まるで、千冬を無視するような態度に、千冬は溜息をついた。
 IS委員会の委員長は、選挙で決まる。
 今の委員長は、日本から選出されている。
 それを利用して、政府が利益を得ようと、フランス政府と極秘裏に取引をした。
 千冬は独自のルートで裏を取り、真耶も予想をしていた。
 そして、一夏も真相に気づいた。
 条約違反をしてまで、国益を得ようとする日本政府の醜悪さに、一夏は吐き気をもよおすほどだった。

「行きと帰りのチケットだ。日本政府から届いた。ファーストクラスなんて、滅多に乗れんぞ。それから、私から小遣いだ、2000ユーロある。何か気にいったものがあれば、買ってこい。お前の言いたい事は解る。私も山田先生も、いい気分じゃない。セコイ政治屋を一人残らず殴り倒してやりたいが、そうもいかない。今回は、堪えろ…。」
 千冬は一夏の肩を叩こうとするが、一夏からは拒絶する雰囲気が漂っていた。
 黙って、自分の部屋に戻った千冬は、ベッドに寝そべって、重い溜息をついた。

 ファーストクラスともなれば、乗り心地は最高だ。
 シートの生地も、いいのを使っているんだろう。
 食事の味もいい。
 本物のキャビア、フォアグラを贅沢に使った料理。
 だが、気分は最低だ。
 恥知らずの政治屋が、国民の血税で用意したファーストクラスのチケットを用意して、それを俺は使っている。
 荷物と一緒の方が、まだマシだ。

「Bientot, nous sommes arrives a l'aeroport Charles de Gaulle. Assis dans le siege, attachez vos ceintures s'il vous plait.(間もなく、シャルル・ド・ゴール空港に到着いたします。座席に座り、シートベルトをお締め下さい。)」
 もう到着か、確か、シャルロットが迎えに来てくれるんだっけ。
 フランスにいる間は、シャルロットの家にお世話になる事になっている。
 日本政府の用意したホテルになんて、泊る気にもなれない。
 橋の下の方が、まだマシだ。
 おっと、最低の気分は直しておかないとな。
 シャルロットが心配する。
 飛行機が、空港に到着する。

「Qu'est-ce que le tourisme?(観光ですか?)」
 入国審査で、滞在目的として聞かれたのは、観光だった。
 まあ、俺は一応高校1年だし、そう聞かれるか。
「Said. Publie dans la conference.(いえ。学会での発表です。)」
 俺の答えに、疑わしそうに俺を見る入国審査官に、委員会からの要請の手紙を見せる。
 今度は驚いて目を丸くしながら、手続きを済ませてくれる。

『えと。服装はこれでいいよね。髪型、変じゃないよね。寝癖はなかったし。』
 一夏を出迎えに着たシャルロットは、何度も鏡を見て、髪型をチェックして、
空港のガラスに自分の全身を映して、服装をチェックしていた。
 本来は、デュノア社の創業者にして、社長。
 つまり、シャルロットの父親が迎えに来て、デュノア家に滞在という話もあったが、一夏はシャルロットの家を選んだ。
 世界でたった一人、男性でISを動かす事が可能で、IS開発にも非凡な手腕を持つ一夏と、太いパイプを作っておきたかったが、一夏はそれに気づき、「会場に近いですし、彼女とは積もる話もありますので。」
 そう言って、申し出を断った。
 一夏としては、そういった事に利用されるのは、今回の日本政府の件だけで充分だった。

『本当に、本当に、大丈夫かな?折角、一夏が僕の家に来るのに。』
 今日は朝5時に起きて、薔薇のポプリを入れた風呂に浸かり、さりげなく。だが、念入りに化粧をして、髪型も服も念を入れて選んできた。
 それでも、想い人が到着する時間が迫ると、大丈夫かと気になるのが、恋する少女なのだろう。

 そうこうしてると、一夏の姿が見えてくる。
「一夏!」
 シャルロットは、一夏の名前を呼ぶ。
 シャルロットを探していた一夏が声に気づいて、シャルロットを見つける。
「一夏。こっち、こっち。」
「ああ、今、行く。」

 可愛らしいワンピースを着たシャルロットが、こっちにくる。
「ようこそ。フランスへ。」
「こっちにいる間、世話になるよ。今日の服、可愛いな。考えて見れば、シャルロットの私服見るのって、初めてか。すごく、似合うぜ。」
 学園にいる間は、互いに部屋着以外に私服を着る事もないからな。
 何か、新鮮な感じがするし、よく似合う。
「ほ、本当?変じゃない?」
「俺はこういう事で、嘘はつかないぜ。」
 シャルロットが嬉しそうに、頬を染める。
 やっぱり、可愛い女の子だよな。
 こんな子に、本来の自分を殺してまで産業スパイをやらせようとした、デュノア社の社長に、改めて憤りを感じる。
 会社の社長である以上、会社を守る義務があるし、時には綺麗事を言っていられない事がある位は、世の中を理解できるようにはなった。
 けれど、例え愛人の子であっても、自分の血を分けた娘を道具のように使うなんて、決して許されていい事じゃない。
「行こうぜ。シャルロット。」
「うん。まずは僕の家に行って、荷物を置こう。そうだ。カジュアルな服ってある?」
「うん。あるぜ。」
「学会は明後日だし、明日はあちこち行ってみようよ。リラックスできるよ。」
「そうだな。じゃあ、案内役は頼むな。」
「うん!」
 嬉しそうなシャルロットの笑顔を見ていると、あの時、ちょっと危ない橋を渡ってよかったって思える。
 俺は、今までの、政治屋に対する憤りが抜けていくのを、感じた。
 それ位、シャルロットの笑顔は綺麗だからな。

 二人を見守っている、影があった。
 無論、ラウラである。
「大丈夫そうだな。教官から話を聞いて心配していたが、一安心だ。」
 ラウラがほっとしているのは、今後こういった事が何度も起こり得る可能性があるからである。
 委員会にとっては、各国との交渉のカードに使える。
 日本政府としては、委員長が日本から選出されている事と、一夏の国籍が日本である事から、やりようによっては利益を得る事が出来る。
 しかし、そのような事を続ければ、最悪、一夏自身がISを使う事を拒否して、学園を退学するか、開発できても出来ないようにするという事態も起こるだろう。
 それを考えていない、想像力の貧しさにラウラは呆れかえりながら、一夏の護衛を続けた。

「そうか。大丈夫そうか。」
 ほっとしたような口調で、千冬は受話器を置く。
「ボーデヴィッヒさんですか?」
「ああ。機嫌は直ったらしい。」
 千冬がそう言うと、真耶が沈んだ表情になる。
「どうした?」
「情けないなあって…。このIS学園は国家や企業からの干渉をブロックして、生徒達がISについて学べる高校であるはずなのに、私達教師が、生徒を守ってあげられない事が…。特に、政治的な思惑から…。」
「今回はIS委員会のお墨付きだ。我々には、どうにもならん。だが、次はそんな事はさせん…。私は自分の生徒や弟を、他人のおもちゃにされるのを黙って見ていられるほど、人間はできていない…。」
 静かだが、千冬の声には凄まじい怒りが籠っていた。

「へえ。ここが、シャルロットとお袋さんが暮らしていた家か。」
 ごく普通の一戸建てで、少し古めだけど、掃除はきちんとされていて、何よりどこか暖かい。
 高級ホテルには泊まった事はないが、俺はこういう家の方が好きだ。
 俺の家も、千冬姉が中古の家を破格の安さで買ったものだ。
 作りは古めだけど、きちんと手入れをしてやれば、その家の持つ暖かみがでてくるもんだからな。
「お客様用の部屋があるから、一夏はそこを使って。」
「ああ。サンキュ。」
 俺はキャリーバッグを置いて、ジャケットをハンガーに掛けた。
 その時、俺はじっと見つめてくる、シャルロットの視線に気がついた。
「ん?なんだ。」
「あ、うん。一夏のそういう服装見たことなかったから。その、かっこいいなって。」
 ちなみに、俺が来ているのはライトブルーのスーツだ。
 それに、白と淡いブルーのストライプのワイシャツ、青系の涼しげな印象を受けるネクタイ。
 全体的に、やはり涼しげな感じがするスーツ一式にしている。
 夏になった時に、千冬姉にスーツは季節ごとに合わせて用意しておけと言われたので、用意してある。
「そうか?俺がスーツ着るの見るのが、初めてだからじゃないのか。」
「そ、そんなことないよ!すごくかっこいいもん。」
 なんか、むきになってるな、どうしたんだ。
「あ、そうだ。冷たいものでもどう?デザートも作ってあるんだ。」
「あ、それ楽しみ。」
「じゃ、僕、用意してくるから。」
 シャルロットは、バタバタと下に降りて行く。

『ど、どうしよう。あんなに大きな声出して、変な娘だって思われないかな?』
 キッチンでシャルロットは、自分の胸の鼓動を抑えながら、そう思っていた。
 空港で可愛いと言われて嬉しさが、シャルロットが一夏のスーツ姿を見た時に思った事を抑えてきたが、家に帰って抑えが無くなった。
 夏だという事で、涼しげな印象のスーツは、ISの操縦だけでなく、設計・開発もこなす一夏の知的な部分をアピールしている感じがして、クールな感じが一夏に似合っていると感じて、シャルロットの胸は高鳴っていたのだ。
『やっぱり、一夏ってかっこいい…。』
 だが、それはあくまで一夏の一部でしかない。
 男装して学園に入学してから、それがばれた時も、一夏はシャルロットの為に何とかしようと奔走してくれた。
 そっと、矢車菊のペンダントを手にする。
 シャルロットの専用機ノブレス・イリュジオンの待機状態である。
 シャルロットが男装をして、学園に入った事を不問にする為の取引材料として、一夏が開発した第三世代IS。
 さまざまな、新技術が投入されており、さらに第三世代兵装として搭載されている、補助制御システム。デュー・コネサンスはハリネズミのように武装を装備しても、ISがハングアップする事はなく、運用を完全にサポートしてのける驚異的な処理能力を持っている。
 これらの技術は、第三世代ISの開発が、遅々として進まなかったデュノア社に、第三世代ISを開発するだけの技術力を持たせ、経営危機を乗り切り、この技術を利用した、ラファール・リヴァイブの改修の発注を大量に受け、莫大な利益を手にした。
 しかも、一夏はフランス政府と直接取引をして、シャルロットの男装の事、それを強いたデュノア社に対しては、不問とする事を承諾させたのだ。
 会って、間もない。
 しかも、自分の専用機のデータを盗み出そうとした人間の為に、ここまでしてくれる人間がどこにいるだろうか?
 普通では考えられない、優しさと人の好さ。
 シャルロットは、一夏のそこに惹かれて、恋をした。
『と、とにかく、用意、用意。』
 シャルロットは、デザートの用意を始めた。

「うん。うまい。シャルロットって、料理上手だったんだな。」
 シャルロットお手製のフルーツジュレと、バナナのアイスを添えた、苺の冷製スープは、すごく美味い。
 今度、千冬姉にも作ってやるか。
 後で、作り方を教えてもらおう。
「本当?」
「ああ。すごい、美味い。今度、作り方教えてくれよ。」
 シャルロットが笑顔で、約束してくれた。
 うん。これで、デザート系のレパートリーが増えたな。

『良かった。一夏が、おいしいって言ってくれた。』
 食器を洗いながら、シャルロットは嬉しさで心が躍っていた。
 母親が死んでから、誰かに料理を作ったことなどなかった。
 父親に引き取られてからは、別邸のシェフがシャルロットの料理を作っていた。
 学園には食堂があるので、作る機会が無い。
 久しぶりに誰かに食べてもらうので、シャルロットは大丈夫かとはらはらしていたが、一夏が心から美味しいと言った時の笑顔を見た時、本当にうれしかった。
 その一夏は、今で論文のチェックをしている。
 いきなり、学会に出る事になったので、何か事情はあるのだろう。
 しかも、酷く腹立たしい事情が。
 それでも、やる以上は一夏は手を抜かない。
 そういう人間だと、シャルロットは今まで過ごした時間の中で、その事をよく知っていた。

「ねえ、一夏。」
「うん?何だ。」
 論文のチェックが終わった頃、シャルロットが話しかけてきた。
「あの、これからお母さんのお墓参りに行くんだけど、一緒に行かない?あ、よければだけど。」
 シャルロットのお袋さんの、お墓か。
 行っておきたいな。
「行くよ。ちょっと、待っててくれ。着替えるから。」
 俺は、カジュアルとフォーマルの中間の服装に、着替えてシャルロットのお袋さんの墓参りに、行った。

 パリの郊外にある、小さな教会。
 そこに、シャルロットのお袋さんの墓はあった。
「アンヌ=マリー・デュノア」
 お袋さんの名と、生没年が書かれた墓碑に、俺とシャルロットはそれぞれ花を供えた。

「お母さん。この人がイチカ・オリムラさん。僕を助けてくれた、王子様だよ。いろいろごたついてたし、イチカもいろいろ大変だったから、やっと紹介出来たよ。」
 シャルロットが、お袋さんの墓に静かに語りかける。
 もうちょっと、俺を早く連れて来たかったらしい。
 王子様か…。
 俺の事を、そんな風に思う位に辛かったんだろうな。
 シャルロットの身の上を聞いた時の事は、今でも覚えている。
 いや、覚えているというより、忘れられなかった。
 
 守りたい…。
 この、理不尽極まる状態から。
 何とかして、守りたい。

 俺の心にあったのは、その事だけだった。
 何とかなって、今更ながら、俺はほっとしていた。
 本当、無茶やったもんだぜ。

「一夏。一夏からも何かないかな?お母さんに話す事。」
 話す事か。
 う〜ん。
 うん。そうしよう
「初めてお目に掛かります。イチカ・オリムラです。少しの間ですけど、ルームメイトでした。最初は俺の他にも、ISを操縦できる男が来て、嬉しかったと思いましたけど、実は女の子だと思った時は、本当に驚きました。それから俺が、シャルロットの為にやった事は、シャルロットの為でもありますけど。何より、俺の為だったんだと思います。大人の都合に振り回されているシャルロットを見ていられなくて、何とかしたくて、守りたくて、勝手に危ない橋を渡ったんです。結果、どうにかうまくいった。ただ、それだけです。守られ続けたきたから、今度は誰かを守りたい。そう思ったんです。シャルロットは、恩を感じているみたいですけど、そういうふうに思う必要はないんですよ。今晩、夢の中でシャルロットに、そう言い聞かせてやってください。」
 もし、シャルロットのお袋さんが生きていたら、言いたかった事を言った。
 そうさ。恩義に感じる必要はないし、シャルロットは、多少は誰かに甘えてもいいと思う。
 前に、弾に借りたCDの歌手の人が、「男の子の仕事は、女の子を甘えさせてあげる事。いっぱい、甘えさせて上げてください。」
 そんな事を、言っていた。
 あまり甘え過ぎだと、考えものだけど、シャルロットは逆に甘えなさすぎだしな。
 って、あれ?
 何で、シャルロットが泣いてるんだ。

「お、おい。俺、何か、変な事言ったか。気に障ること言ったら、謝るから。」
 シャルロットは、一夏に抱きついた。
 解ってはいた。
 一夏が、こういう性格だと。
 目の前に、困っている人がいれば、何かしてあげたいと思う、優しい心を持つ少年だという事が。
 それでも、嬉しかった。
 嬉しくて、嬉しくて、涙が止まらなかった。
『ずるいよ、一夏は。こんなに優しいんだもん。こんなに暖かいんだもん。強いのに、強いのに。どうしてもっと、それを誇らしげに思わないの?だから、
涙が、止まらないよ…。』
 最初はおろおろしていた一夏だが、少しすると、シャルロットを抱きしめて、泣きやむまで、優しく髪をなでていた。

 え?
 何で、こうなるんだ?
 いきなり泣き出されたら、どうしていいか解らないって。
 …そうか。
 本当は、こんなに泣きたい位、お袋さんが亡くなってから、自分を押し殺して生きてきたのか…。
 デュノア家からの誘いを断って、良かったぜ。
 どんなに贅をつくした食事でも、美味いとは思えないからないな。
 俺は、ただシャルロットを抱きしめていた。
 シャルロットが、泣きやむまで。
 シャルロットの、気が済むまで。
 押し殺していた辛さを、発散しつくすまで…。

 しばらくして、シャルロットは泣きやんだ。
 長かったようにも、短かったようにも思える。
 そんな事は、どうでもいい。
 シャルロットが、抱えてきた物を少しでも減らせればそれでいい。
 俺は、そう思った。
「ごめんね。ずっと、泣きっぱなしで。」
 やれやれ、そういう所は一生変わらないか?
「いいさ。辛い時に泣く為に、人は泣けるんだと、俺は思っている。泣く事を恥に思う必要はないって。」
 俺はハンカチで、そっとシャルロットの涙を、拭う。

『やっぱり、一夏って、優しいな。』
 涙を拭ってもらいながら、シャルロットはそう思った。
 だが、誰にでも一夏は優しい。
 えこひいきも、特別扱いもしない。
 そこが一夏の魅力でもあり、溜息をつく所でもある。
 自分を特別に思って欲しい。
 そう思って、それを伝えようと思っても、目の前にいる鈍感男にはまるで通じない。
 伊達に「唐変木ズオブ唐変木」と呼ばれていないのが、一夏だ。

 いきなり、シャルロットが俺と腕を組む。
「うん?どうしたんだ。」
「ただ、こうしたいだけ…。駄目…。」
 シャルロットは、子犬のような目で俺を見上げる。
 偶に思うんだが、シャルロットって子犬とか子猫とか動物の赤ちゃんの属性がないか?
「ま、別にいいけどな。」
「今日と明日の夕食は、期待していいよ。腕によりをかけて作るから。」
 お、そいつは楽しみだ。
 腹が立つ理由の学会だが、ヘマはしたくないからな。きっちりチェックをしておいて、力を蓄えておかないとな。
 
 周囲の目は気になったが、俺達は組んだ腕をそのままに、家路についた。

後書き
今回はシャルロットのお話です。
この二次創作では、シャルロットのISは、一夏が作った最新技術満載の新鋭機。
そこから、話作りを始めました。
シャルロットは、IS学園に所属しているので、使用されている技術の開示義務はありません。
しかし、それを喉から手が出るほど欲しい国は、数多あるもの。
そういう時には、水面下で取引が行われるのは、歴史の常。
しかし、今回のメインは一夏とシャルロット2人でのシャルロットのお母さんのお墓参り。
そこで、語られる一夏の胸中。
一夏は、凄まじい唐変木であると同時に、相当なお人よしでもあります。
そこを改めて、強調してみました。
原作でシャルロットが一夏に惹かれたのも、一夏の無意識の優しさ。
それを再認識した場合、どうなるのかなと、私なりに考えまして、ラストへと
つなげました。

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