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zoom RSS 機動戦士Zガンダム〜ネオ・ジオン戦役〜 第3話 嘗てと今

<<   作成日時 : 2011/10/01 21:11   >>

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「うわ。すごいな、こりゃ。」
 カレイジャスのMS補修・整備区画に来たアストナージは、目を丸くした。
 今回の戦いで撃墜されなかったが、損傷が激しくて艦の設備では修理不能なMSが、集まっていた。
「これだけ設備が整った艦は、この艦しかないでしょうね。」
「だろうな。」
 さすがに、カミーユとクワトロも驚く。
「見て、カミーユ。ZとMk.U、もう、作業に入ってる。」
 フォウが指さした先では、ZとMk.Uに整備員が集まり、作業が始まっていた。
「すでに、段取りをつけていたという事か。」
「その通りです。さすがは、ブライト中佐ですわ。」
 ブライトが声の方を振り向くと、ビアンカがいた。

「当艦の艦長を務めております、ビアンカ・アドリオンです。」
「アーガマ艦長、ブライト・ノア中佐です。今回の件では、お世話になります。」
 見事な敬礼をするブライトを見て、ビアンカは表情を柔らかくする。
「そう固くならないでください。私達も、エゥーゴの一員。ならば、戦友のMSの補修をするのは当然です。」
 そう言って、Mk.Uの所に行く。
 アーガマのMSの中で、最も損傷が激しいだけに、ブライト達もついていった。

「どう?どれくらいで、終りそう。」
 補修チームのリーダーらしい、中年の整備員に、ビアンカが訊ねる。
「そうですね。ムーバブル・フレームの交換と調整、各部スラスターにバックパックの換装を一辺にやって、ジェネレータを換装してから、装甲をつける前に、システムと各部のチェックをして、OKだったら、装甲をつけて。まあ、1週間てとこですね。時間を短縮する為に、ここに来るまでに時間を短縮する為の用意をしてきたんですよ。普通にやったら、3週間はかかりますからね。」
「それは助かる。よろしく頼むよ。」
「クワトロ・バジーナ大尉ですね。任しといてくださいよ。ああ、そうだ。Zのチームの話だと、Zの改修作業は、3日あれば済むそうです。」
 思ったより、早く作業が終わる事を聞いて、ブライトが考え始める。
「よし。動かせる機体は、慣らし運転を始めよう。早く機体に慣れてほしいからな。ZとMK.Uも作業が完了して、戦闘可能状態になった時には、すぐに同様にしてくれ。」
 周囲は、カレイジャスのMS隊が警戒しているが、いつまた、アクシズの攻撃が来るか解らない状況では、皆に、新しい機体に早く慣れてほしいのが、ブライトの本音だった。
「皆、そのつもりだろうさ。さて、カレイジャスでの用事も済んだし、そろそろグローリーで、アーガマの本格的な修理に取り掛かってはどうかな?」
「そうだな。そうしよう。では、ビアンカ艦長、MSの事、くれぐれもよろしく頼みます。」
「信頼に応える事を、お約束します。」
 二人は握手をしてから、カミーユ達はアーガマに戻る。

「グローリーからの、ガイドビーコンです。」
「よし。そのまま、誘導に従え。」
 ガイドビーコンに誘導され、アーガマはグローリーの中央部に着艦する。
「アーガマ着艦。」
「係留アームで固定。打ち合わせ通りに、まずは損傷しているブロックの、ダメージの度合いをチェック。その旨をアーガマに。」
 アデリーヌが指示を出す。

「グローリーから入電。作業を開始するとの事です。」
「早いな。すでに、打ち合わせが済んでいたという事か。」
 ブライトの目には、損傷したブロックのチェックをする、多くの整備員が映っていた。
「それと、ブライト艦長達の判断をしていただきたい件があるので、グローリーに来てもらいたいそうです。」
「私の判断。なんだろうな?」
 ブライトには心当たりがなく、首を捻る。
「表敬訪問も必要ですから、とにかくいきませんか?ブライト艦長。」
「ああ。そうだな、カミーユ。」
 カミーユに話しかけられて、ブライトが答える。

「工作艦グローリー艦長、アデリーヌ・オベールです。」
 アデリーヌが、背筋を伸ばして挨拶する。
「アーガマ艦長、ブライト・ノア中佐です。早速、アーガマの修理を始めて下さり、助かります。」
 実際、グローリーの艦の補修及び整備能力は、ラビアン・ローズに比べても、そう低くはない。
 ブライトは、心からほっとした。
「それで、私の判断してほしい件というのは?」
「はい。連れてきて。ただし、充分に気をつけて。」

 連れてこられたのは、3人の男だった。
 作業員用の服を、着せられている。
浅黒い肌で、金髪をリーゼントにした20代後半の男は、強力な電磁石式の手錠をはめられ、さらに上腕、下腕双方、頑丈そうなベルトで拘束されている。
 そして、後ろには、不穏な動きを見せたらいつでも銃殺できるように、兵士がいた。

「彼らは?」
「ティターンズさ。俺は、ヤザン・ゲーブル大尉、そっちはアマデウス・オルコット少尉にアレン・リー少尉だ。」
 ヤザンが、自分以外の二人分も自己紹介する。
「どうして、ティターンズの軍人が、ここに?」
 ブライトが、アデリーヌに訊ねる。
「漂流している脱出ポッドを回収して、ハッチを開けたら、そこのヤザン大尉が、艦を乗っ取ろうとしたんです。幸い、アマデウス少尉とアレン少尉が助けてくれたので、大事には至りませんでしたが。」
「なるほど。二人に訊ねたい。何故、ヤザン大尉に協力せずに、アデリーヌ艦長を助けた?」
 二人の方を向いて、ブライトが訊ねる。
「助けてもらった相手の艦を、乗っ取る事は、軍人としてすべき事ではありません。確かに、僕はティターンズに志願したくちです。ですが、それは軍人として、地球とそこに住む人たちを守りたかったからです。蓋を開けて見れば、まるで逆の組織でしたが…。ですが、軍人としての矜持を失った覚えはありません。」
 アマデウスは、ブライトの顔をまっすぐに見て話す。
「俺も、アマデウス少尉と、同じ理由ですね。確かに俺はティターンズの一員として、貴方達と戦った。ティターンズの本性を知らずに。エゥーゴを叩けば、地球も宇宙も、平穏になると信じてね。間抜けなピエロになった挙句に、恩知らずになる気はありません。」
 ブライトを見るアレンの目は、嘘を言っていなかった。
「ご立派な事で、いいじゃねえか。結構、結構。」
 茶化すように笑いながら、ヤザンが言う。
「あの時、撃墜しても性格は変わらないんだな。あんたは。」
 カミーユが、怒りをあらわにする。
「知っているのか?カミーユ。」
 クワトロが、カミーユに訊ねる。
「顔を合わせるのは、初めてですけどね。こいつの感覚は覚えています。戦場で殺し合いを楽しんで、エマ中尉をピンチにして、助けようとしたラーディッシュを撃沈したのも、こいつですよ。だよな!?ヤザン・ゲーブル!!」
 カミーユはさっきの籠った目で、ヤザンを睨みつける。
「そうさ。俺は、一度ついた奴を裏切らない。だから、シロッコの下で戦って、お前たちの仲間を殺した。だがな、お前たちだって、俺の部下を殺したじゃねえか?戦場なんてのはな、どう言いつくろっても、殺し合いの場なんだよ。そこで、ちょっとばかり楽しんでも、罰は当たらねえだろう?そうは思わないか。え、クワトロ・バジーナ大尉さんよ?」
 笑みを浮かべながら、クワトロを見る。
「一部に関しては、否定はできんな。戦場は、殺し合いの場である事は、間違いない。そして、我々も、ティターンズに属する者を多く殺した。それも事実だ。だが、戦場は遊び場ではない。楽しむ場でもないな。ヤザン・ゲーブル。」
 クワトロは肯定する所は肯定するが、否定する所は否定する。
「それで、なんでこの艦を乗っ取ろうとしたんだ?」
「生き延びるためさ。脱出ポッドよりかは生存率が高いからな。誰も傷つける気はなかったぜ。」
「もう少し、やり方を考えるべきだったな。」
 ヤザンにそう言ってから、ブライトに顔を向ける。
「どうだろう。両少尉をアーガマの一員として迎えるというのは?信頼できると、私は見ている。無論、二人の意思が最優先だがね。」
 ブライトは、アマデウスとアレンを見て、少し考える。
「どうかな?エゥーゴの一員として、戦う気はないか。MSはあるんだが、正直、パイロット不足で頭が痛いところでね。」
 アマデウスとアレンは、互いに顔を見合わせる。
「ブライト中佐は、俺達が逃げるという事を、考えていないんですか?何より、つい最近まで、我々は敵同士だった。それでも、そう、おっしゃられますか?」
 アレンがブライトの方を見て、何か決意したように、問う。
「確かに逃げる可能性は、ゼロとは言えない。互いに戦友を殺されてもいる。わだかまりの一つもあるだろう。だが、元は同じ連邦軍だ。コロニー落としをやって、多くの人々を虐殺した、ザビ家の残党である、アクシズに合流するとは思っていない。もちろん、しばらくは戦闘以外の艦内での自由は制限されるがね。」
 二人は、しばらく考え込んだが、やがて意を決した表情で、背筋を伸ばし敬礼する。
「申し出を受けさせてもらいます。全力を尽くします。」
「ザビ家の復活を許す気はありません。お役にたてるのでしたら、喜んでエゥーゴの一員として戦わせていただきます。」
 アマデウスとアレンが、ブライトの申し出を受ける事を伝える。

「で、俺はどうするんだ?ティターンズが壊滅しちまった以上、俺は連邦軍に復帰かい?」
 何故だか、置いてけぼりにされたような気分になって、ヤザンは自分の処遇を訊ねる。
「アーガマには、修理が完了次第、月のグラナダに向かうよう、命令を預かっています。どこかのサイドに駐留している連邦軍に引き渡すのが、通常ですが、寄り道をしている時間はないと考えますが。」
 アデリーヌの言う事が正論だろうと、ブライトもクワトロも思う。
「金と食糧をやって小型シャトルで、サイド7にでも行かせればいい。正直に言って、同行する艦だろうが、アーガマだろうが、こいつがそばにいるのは、僕は耐えられません。」
 吐き捨てるように、カミーユが言う。
「つまりは、放り出せ。そう言いたいのか?」
 クワトロがカミーユに訊く。
「どうしろって言うんです?アーガマは、他の艦に比べて修理は早くすむでしょうから、グローリーは同行できない。かと、言って、グローリーにいつまでも置いておくと何をするか…。アーガマは、尚、危険ですね。」
 ヤザンを横目で見ながら、カミーユはクワトロに答える。
「カミーユの提案も、一つの手だが、その前に、私は彼を裁かなければならない。その為に、私が呼ばれたのだから。」
 ティターンズも連邦の一部隊なので、連邦の軍規に遵守する義務がある。
 重大な軍規違反となれば、軍法会議が開かれる。
 ただし、軍法会議が開けない状況では、最高位の将校が処断する事になっている。
『まいったな。もう少し、人間的にまともなら彼も誘うが、これではな…。さて、処断するにしてもどうする。』
 アデリーヌはヤザン達を、救助した。
 ところが、ヤザンは艦を乗っ取ろうとした。
 普通ならば、軍刑務所に収監されるが、ここにはない。
 つまり、通常の処分を下しようがなかった。
『やはり、カミーユの提案通りが妥当だろうか…?』

「いっそ、エアロックから俺を放りだしたらどうだい?そうすれば、問題は解決だろう?」
 ヤザンが、処分を待つのに飽きたのか、ブライトに提案する。
「そこまでの、罪状ではない以上、それはできんな。」
 基本的に、生真面目な性格のブライトは、軍規を基本にヤザンの処分を考えていたので、即座に拒否する。
「いいんじゃなですか?本人がそれを望んでいますし、一番手っ取り早いですからね。」
「カミーユ、それはヤザン大尉に対する個人的な感情からの、意見か?」
 クワトロがサングラスを外して、鋭い視線を向けて問う。
「ユニフォームが違ったから、互いを敵と見て、戦った。要するに、そういう関係なんですよ。ヤザン大尉と僕達は。同じユニフォームだったら、戦友になっていたのかもしれない。でも、違うユニフォームでも、戦友になれることだってある。エマ中尉のようにね。でも、僕はヤザンを信じる気になれません。戦場で、殺し合いを楽しむようになった時点で、人は人でなくなる。偽善と言われるでしょうけど、戦場で1人殺すたびに、心に痛みを感じることで、人は人でいられるんです。罪悪感を、感じている証ですからね。でも、僕がヤザンを撃墜した時に、そう言った感覚を感じなかった。僕は、人とは肩を並べて戦えます。だからこそ、ヤザンを信用できない。さっき、提案した理由は、それです。」
 カミーユが、クワトロの目を見てはっきりと答える。
「ふん、センチメンタルな奴だぜ。戦場はやるか、やられるかだ。いちいち、感じている暇なんてねえよ。だが、一つ言っておく事があるな。俺は互いの腕を競い合った戦いが好きだから、軍人にしかなれなかった。だから軍人になって、ティターンズに配属された。けどな、コロニーに毒ガスをぶち込むだの、コロニーを都市に落とすなんて、クズのやるような戦いはあんた達が嫌いなように、俺も気に食わねえ。殺し合いを楽しむのもな。俺が好きなのは、あくまでも、腕の競い合いさ。」
「なるほど。まるで、傭兵のような生き様だな。にしては、非人道的な大量虐殺を嫌う当たり、騎士のようだな。君も充分、センチメンタルだよ。」
 クワトロが笑みを浮かべながら、言うと、一瞬拗ねたような表情になるが、すぐにブライトの方を見る。
「艦長さんよ。俺もパイロットとして加えてくれないか?あんたのバカみたいな生真面目さが気に入ったよ。シロッコは面白い奴だったが、あんたも別の意味で面白いな。そして、俺は自分でこいつにつくと決めた奴は、裏切らねえ。これは、俺が自分に課した絶対のルールだ。もし信頼できなければ、俺が乗るMSに自爆装置をつけて、裏切ったと判断したら、遠慮なく、俺をふっ飛ばしてくれて構わねえ。どうだ?」
 クワトロが、少し考え込む。
「どうだろう?艦長。私は彼を信用していいと思うんだが。」
「理由は?」
「彼は、他の職業についても他人と競い合う事をこのんで、ひたすら腕を磨いただろう。だが、彼には軍人の適性しかなかった。だがら、軍人になって、MSのパイロットになっただけだよ。嘘をついている目をしていないし、何より、自分のルールに忠実な人柄のようだ。まあ、性格に、問題がありはするがね」
 クワトロの話を聞いて、ブライトがしばらく考え込む。
「そうだな。大尉がそう言うのなら、大丈夫だろう。君をパイロットに迎えよう。但し、階級は一つ落として中尉だ。艦を乗っ取ろうとした事に対しての、処罰としてな。」
「構わねえよ。階級をいちいち気にする趣味はないしな。」
 ヤザンは、ブライト、クワトロと握手をする。
「カミーユ。いろいろと言いたい事はあるだろうが、ヤザン中尉はアーガマの一員だ。解ったな?」
 ブライトに言われて、カミーユはヤザンの前に立つ。
「中尉、僕はあなたが語った人柄を、まだ完全に信じているわけじゃない。」
 何か言おうとしたブライトを、クワトロが制する。
「それに関しては、これからの行動で証明して貰います。ですが、パイロットとしては、信用できます。」
 カミーユがヤザンに向かって、手を差し出す。
「約束する。パイロットとして信頼できる事も、証明して見せるさ。ところで、艦長。俺達3人が乗るMSを見せてほしいんだが。」
「そうだったな。挨拶も済んだし、アーガマでお披露目と行こう。」
 こうして嘗て敵だった者達が、アーガマの一員となった。

後書き
私はかねがね、ヤザンを興味深く見ていました。
戦いは好きなんでしょうけど、人殺しを楽しんでいる節はない。
その点は、ダブルオーのサーシェスとは、違う気がするんですよね。
サーシェスは戦争で多くの人間が死ぬと認識していても、戦争をビジネスとしている点で、人殺しを楽しんでいると判断しました。
でも、ヤザンはその点では、明らかにサーシェスとは違う。
じゃあ、軍人になった理由は何だろう?
ひょっとして、軍人にしかなれなかったから軍人になったのではないか?
そう感じましたね。
だから、軍人として敵であったエゥーゴに、容赦なく襲いかかり、多くの人間を殺した。そう考えました。
彼のルールに関しては、ジャマイカンとシロッコに対しての態度の違いから考えて見ました。
とりあえず、カミーユとは仮の和解ですね。
これから、戦友として信頼しあえるかは、これからのヤザン次第ですね。

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