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zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第11話 パニック・イン・ザ・シー <前編>

<<   作成日時 : 2011/09/03 20:13   >>

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 ここは、どこだ?
 湖のほとりにあるコテージに庭に設けられた席に、俺は座っていた。
 小鳥の声が聞こえてきて、澄んだ水の匂いが微かにする。
 なんだか、凄く安らぐ…。

「こんにちは。」
 声の方を見ると、ノースリーブの白いワンピースを着て、つばの大きな帽子をかぶった女の子がいた。
「あ、ああ。こんにちは。」
「頑張っているみたいね。よかった。」
 顔は見えないが、嬉しそうに微笑んでいる気配だけは解る。
 でも、頑張ってるって、何がだ?
 この女の子に見覚えはないし、一体何なんだ?
「あなたが頑張ってくれたおかげで、色々な事を学べたわ。」
 だから、何なのか、さっぱり解らないんだが…。
「もうすぐよ。蛹が羽化するように、私ももうすぐ…。」
 蛹が、何だって…。
 訳のわからない世界で、訳のわからない事を言われても困るんだが…。
 そもそも、俺の目の前の子は誰なんだよ?
 また、死亡フラグが立つとしたら、御免だぞ。

「その前に、会ってほしい人がいるわ。」
 女の子は霞のように消える。
 何なんだここは?
 夢か?
 そうだ。夢に違いない。
 だったら、早く覚めてくれ!
 そう考えていたら、今度はISの物理装甲に似ているような甲冑を纏い、大剣を持つ、まるで騎士のような女性が現れた。

「こうして会うのは、初めてですね。想いから、貴方の姿や人となりを思い浮かべる事は出来ましたが、さすがに会う事だけは、出来なかった。私は、神は信じませんが、一応、感謝だけはしておきますか。」
 そう言って、大剣を構える。
 え、ちょっと待て。
 俺は素手だぞ。
 でも、相手は本気そうだし、やるしかないな。
 大剣は、大振りで隙が多くなる。
 後は、無防備な部分に一撃を叩きこむ。
 俺は、呼吸を整えて、構える。
 すると、女性は黙って頷き、俺の前に剣が現れる。
 見た目は、雪片弐型そっくりだ。
 あれ、後もう一本は、初めて見るな。
 とりあえず、これでなんとかなる。
 俺は、剣を手にして構える。

「良い構えです。心には邪気の欠片もない。ただ、真っ直ぐに前を見つめる者の構え…。」
 俺は、二刀流は習っていない。
 ただ、昔、箒の実家の剣術道場で、篠ノ之流剣術の手ほどきを受けている。
 その際に、二刀流の型を、当時の師である箒の親父さんに見せてもらった。
 片方は攻撃に、片方は相手の攻撃に備える。
 教わった事を、どうにか思い出しながら、自分なりに二刀流の構えを作る。
「では、参ります!」
 早い!
 あの大剣を持ちながら、信じられない速さで接近してくる。
 振り下ろす大剣を、俺は左の剣で受け止める。
「脇が、がら空きだぜ!」
 俺は隙ができた脇に打ちこもうとするが、相手は体を捻りつつ、大剣で俺の左の剣を弾き飛ばす勢いを重ねて、回避する。
 やるな、ただ者じゃないか。
 そして、もう、そう簡単に隙は見せないな。
 そういう、手合いだ。

「次はこっちからだ!」
 正面から、相手に打ちこむ。
 大剣の弱点として、防御が弱くなる。
 元々、一撃で相手を叩き伏せるのが、大剣の戦い方だ。
 防御に回ると、その重さがデメリットとなる。
 まして、俺は片手でも刀を普通に使える。
 国親の重さは1.8kg。
 普通の日本刀より、ずっと重い。
 それを扱えるようになる為に、体も鍛えたし、剣術の稽古も怠らなかった。
 だから、片手で剣を扱うのは問題ない。
 連続した攻撃で、相手を防戦一方にしながら、隙を窺う。
 無論、相手もこちらの隙を窺うだろう。
 どっちが、相手の隙を見つけるか。勝負の分かれ目は、そこにある。
 数合打ち込んで、俺は隙を見つけたが、相手はそれをどうにか防いで、力づくで、俺を押しのけてから、逆に俺に生じた隙に付け込もうとする。
 左の剣で、受け流しつつ、俺は再び生じた隙に一撃を入れる。

「私の負けですね。見事でした。」
 顔の半分が隠れた兜なので、相手の表情は見えないが褒めてくれているようだ。
「一つ訊ねたい事があります。貴方は、何故、強さを求めるのですか?」
 う〜ん、難しい事を聞いてくるな。
 ちょっと、説明がしにくいんだよな。そこは。
「そうだな。強くなりたいというより、守れるようになりたいんだ。」
「何を?」
 つっこんでくるな。
 こりゃ、きっちりと答えないとな。
「俺には、姉さんがいる。二人して、昔、両親に捨てられたんだ。その後、姉さんは俺を必死に養いながら、守ってくれた。それは、うれしかったけど、苦しくもあったんだ。」
「何故?」
「悔しかったんだよ。守られる対象である事自体が。楽に見えて、守られるって、結構きつくてさ。だから、いつか、守る側になりたい。そう思ってたんだ。
俺が守る人達には、昔の俺の気持ちにさせるかもしれない。ひょっとしたら、凄く、独善的な行動かもしれない。それでも、俺は、誰かを守れるように強くなりたい。守ってもらった分、守りたいから。」
 特に口を挟まないで、俺の話を聞いていた女性を見る。
「そうですか。よく解りました。これからも、励んでください。」
「じゃあ、また、機会があったら。」
 いつの間にか、あの女の子がいた。
 そして、二人が霞のように消えると、俺は目を覚ました。

「ん、う〜ん。あれ?」
 気が付いたら、そこは俺の部屋じゃなかった。
 あ、そうか。
 昨日、俺の部屋に潜り込もうとした女子が数人いて、一騒動あって、千冬姉と山田先生の部屋に寝てたんだっけ。
 さて、朝の稽古にいくか。
 二人を起こさないように、俺は部屋を出る。
「稽古か?一夏。」
「御免、千冬姉。起こした?」
 一夏って呼んだんだから、今は普通に話していいんだよな。
「いや、私も起きた所だ。ちょうどいい。久しぶりに、稽古を見てやろう。」
 いや、そりゃ助かるけど、胴着持ってきてないだろう?
 どうするんだ?
「うん?なるほど。心配するな。浴衣でも充分お前の相手は出来るさ。」
 俺の考えていることなんて、お見通しか。
 たった1人の肉親だから、当然といえば当然か。

「はっ、はあっ!てえぃっ!!」
 刃引きをした、稽古用の模造刀で一夏は稽古を始め、千冬はそれを見ていた。
 IS学園に入学してからは、家事をする必要が無くなった為に、一夏はそれを全て訓練に当てている。
 無論、剣術の稽古の時間も増やしており、腕は上がっていた。
 周囲の手前、一夏に厳しく接する千冬だが、以前より、一夏の太刀筋に磨きがかかっている事は認めていた。
「よし。そこまで。今度は私が相手をしてやろう。」
 ひょっとしたら、一夏の稽古の相手を出来るかと思って、千冬は木刀を持ってきていた。
「遠慮はいらんぞ。全力でかかってこい。」

「うん、う〜ん。」
 外から聞こえてくる音で、箒は目を覚ました。
『何かあったのか?』
 窓から外を見ると、千冬が一夏に稽古をつけているのが見えた。
『なつかしいな…。』
 箒の実家の道場に通い始めた一夏は、箒をはじめとする同年代の少年少女では相手にならなくなるほど実力をつけ、結局は、箒の父や千冬が相手をする事となった。
 無論、実力の差は歴然。
 それでも、一夏は負ける度に相手から何かしら学びとって、自分の血肉にし、向かって行った。
 今、思えば、あの頃が箒にとって、一番幸せな時間だったのかもしれない。
 姉の束が、ISを発表してからは、重要人物の肉親という事もあり、家族は引き離され、各地を転々とさせられた。
 友人はろくにできず、寂しい思いをした事は一度や二度ではない。
 そんな箒が、打ち込み続けたのが剣術だった。
 一夏が、姉の千冬を目標にしていたように、箒は父を目標にし、一夏との稽古の日々の思い出を、心の中に大事にしまっていた。。
 その為に、腕を磨き続ける。
 それだけが、箒の心の支えだった。

「よし、これまで。風呂で汗を流してこい。」
 くそっ。こっちは汗だくで、痣だらけなのに、千冬姉は全然涼しい顔していやがる。
 やっぱり、レベルが違うか。
 結構、差を埋められたかと思ったんだけどな。
 太刀筋は悉く読まれて、防戦一方になり、やがて、強烈な一撃が襲いかかって来る。
 少しは、手加減しろっての。

「すいません。ちょっと、一休みさせて下さい。」
 自分の部屋で風呂に入る前に、俺は千冬姉と山田先生の部屋で、少し休ませてもらう事にした。
「ほう。それだけの力が、まだ残っていたとは驚きだな。足腰が立たぬ位にしごいたつもりだったのだが。」
 スポーツドリンクを飲みながら、千冬姉が感心したように言う。
 これでも、道端の子猫の相手を軽くした程度なんだから、驚くしかない。
 さすがに、元ブリュンヒルデ。
「あら、織斑君。おはようございます。」
 ちょうど、山田先生が起きてきたんだが…。
「朝から稽古ですか?相変わらず、熱心ですね。」
 はあ、どうもって…。あの、気づいてください…。
 俺は、凄く困ります。
「まあ、痣だらけ。ナノレベル治療機は持ってきていますか?汗を流した後は、きちんと治療しておくんですよ。」
 解ってます。
 解ってますから…。
「山田先生。自分の身なりをよく見るように。」
 見かねた千冬姉が、山田先生に注意する。
「え?」
 山田先生は浴衣が乱れて、淡い黄緑のブラとパンツが見えてしまっていた。
 気づいた先生は、当然、顔が真っ赤になっていた。
 先生、寝像よくないでしょう?
「ああ!山田先生、織斑君を誘惑しようとしてる。」
「ずるいよ!大人の魅力を武器にするなんて。」
 山田先生って、どっちかっていうと、俺達と同年代っぽい気もするが。
 当の山田先生は、大パニックになっている。
「私の目の前で、そんな事を許すわけがなかろう。各自、部屋に戻るように。」
 千冬姉の鶴の一声で、部屋に来ていた女子は自分の部屋に戻る。
 さて、俺も部屋に戻るか。
 実習前に、この痛みを何とかしないとな。

「それでは、ISの非限定空間での換装装備を用いての、実習に入る。」
 IS学園での臨海学校の主な目的は、学園のアリーナでは到底無理な、広い空間でのISの実習にある。
 そして、ISの拡張領域を利用して、換装装備、通称、パッケージを使用する。
 ちなみに白式にはパッケージはない。
 拡張領域が全て、雪片弐型で埋まってしまっている以上、パッケージは使用できないからだ。
 パッケージを運ぶために、各国から輸送艦や揚陸艦が、この近くに来ている。
 基本的には立ち入り禁止なので、揚陸艇にパッケージを積んで運ぶ事になる。
 日本のおおすみ級輸送艦、アメリカのサン・アントニオ級ドック型輸送揚陸艦、イギリスのアルビオン級揚陸艦、フランスのミストラル級強襲揚陸艦、ドイツのベルリン級補給艦、ロシアのイワン・ロゴフ級揚陸艦、中国の071型揚陸艦。
 と、各国の主な輸送艦や揚陸艦が集結している。
 軍艦マニアが見たら、泣いて喜ぶだろうな
 セシリア達は受け取るや否や、量子化している。
 専用機ともなると、オートクチュールという機能特化パッケージもある。
 無論、白式にはない。
 俺も、一個ぐらいは欲しいなあ…。

「は〜い。束さん、参上!」
「失せろ。馬鹿者。」
 近くの岩陰から登場した束さんは、千冬姉のハイキックを喰らって、ドザエモンのごとく、海に浮かぶ。
 何しに来たんだ、あの人?
 それにしても、千冬姉の攻撃を喰らって、よくあの程度ですむよなあ。
 頭の中身はよく解らないのは昔からだが、体の頑丈さについても解らないのも昔からだ、何しろスポーツとかしない人だしな。
 けれども、太り過ぎていないし、プロポーションは抜群だ。
 特に、千冬姉を凌ぐ大きさの胸…。
 っと、考えないようにしよう。
 だが、俺が束さんの胸の大きさを考えているのを悟ったのか、シャルロットはムスッとした表情になっている。
「どうしたんだよ?」
「別に。一夏は胸が大きい方が好きなんだなって、思ったの。どうせ、僕は、そんなに大きい方じゃ、ないしね。」
 いや、そういうつもりは、ないんだが…。
 と、思うぞ。うん。
「それに、年上のお姉さん好みみたいだし!」
 そうか?
 そういうつもりも、ないんだが…。
 というより、どうしてシャルロットが怒るんだ。
「何か、解んないけど、機嫌直せって…。」
「ふんだ。知らないよ…。」
 そう言いながらも、俺の方に手を差し出してきながら、じっと見上げてくる。
 手をつなぐのか?
 今、実習中だぞ?
 でも、シャルロットの機嫌が直らないのも困るし…。
 結局、このままだと困るので、俺は手をつないだ。
 すると、頬を染めたシャルロットが、俺をさりげなく見る。

「は〜い、箒ちゃんとそこのバカップルさんに関係あるので、こっちに来てください。」
 いつの間にか復活した束さんが、俺達を呼ぶ。
「おい、束。いい加減に、自己紹介をせんか。」
「あ、そうだった。私が篠ノ之束だよ。箒ちゃんといっくんが、お世話になってま〜す。以上。」
 それだけかよ。
 相変わらずだな。

「それと、箒ちゃんといっくんに、届け物がありま〜す。そっちの金髪さんのISも見ておきたいし。何せ、いっくんは、世界で唯一人、束さんが直々に整備や設計を含む、ISに関しての知識を伝授した人間だからね。」
 うわ!それ言っちゃ、駄目じゃないですか!!
 委員会の中でも、かなりの機密なんですよ!!
「嘘!?」
「つまり、織斑君て、篠ノ之博士の一番弟子!?」
「道理で、デュノアさんのISの開発に携われたわけよね。」
 ほら、みんな話し始めた。
 明日には、マスコミにも伝わりますよ。

「諸君、これに関してはIS委員会の中でも、かなり重要度の高い機密事項になっている。もし、口外したら、生涯のほとんどを檻の中で過ごし、家族は離散の上に監視つきだ。それを忘れないように。」
 千冬姉が釘を刺す。
 冗談抜きで、当時束さんが俺にISに関しての講義をすると言ってきた時は、委員会が凄い騒ぎになった。
 よく、マスコミに漏れなかったよな。
 担当部門も、この事が漏えいしないように、苦労したんだろうなあ。

「で、何を持ってきた?」
 下らん物なら、許さない。
 千冬姉の目が、そう言っている。
「ふっふっふっふ。大空をご覧あれ。」
 何だ?
 すると、空から逆噴射で降下速度を調整しつつ、何かが降りてきた。
 大きな長方形の箱と、細長い長方形の箱だった。

 大きな長方形の箱から、真新しい深紅の装甲に包まれたISが現れる。
「さあ、まず最初に、お披露目するは、箒ちゃんの専用機。束さんが手塩にかけて開発したIS。その名も紅椿。世界で、2機目の第四世代型ISで〜す。あ。ちなみに、最初の第四世代ISは、試験機である白式で〜す。」
 え?
 第四世代?
 各国が莫大な資金と人材をつぎ込んで、必死に開発しているのが第三世代型だ。
 なのに、それをすっ飛ばして、第四世代!?
 じゃあ、今、努力している人たちって、一体…。
 そして、試験機とはいえ、白式は世界最初の第四世代型だったのか…。
 そうか。そうだったのか…。
 もはや、呆然とするしか、俺にはできなかった。
「えへへへ。いやあ。いっくんがISを動かせる。しかも適性値Aだと解っちゃったし、箒ちゃんは大事な妹だから、ついね。えへっ。」
 えへっ。じゃないでしょ。
 えへっ。じゃ。
 全く、この人は…。

 もう一つの箱からは、IS用の近接戦闘用ブレードが現れる。
「で、もうひとつは、いっくんへのお届け物だよ。雪片参型。今までのデータの集積から開発された、白式の新装備で〜す。」
 白式の新装備か。
 凄くシャープな感じの、ブレードだな。
 日本刀を思い出させる。
 雪片弐型より長いな。
「似てる…。夢で、見たのとそっくりだ…。」
 そう。雪片参型は、今日、夢で見た剣とそっくりだった。
「うん?どうしたの、いっくん。」
「あ、いえ。なんでもないです。」
 て、ちょっと、まてよ。
「束さん。白式は拡張領域に、空きが、ないですよ?」
「ああ、それ。今までのデータの集積で、雪片弐型を最適化して、空きを作れるから、問題ないよ。ついでに、白式の各部のアップデートやら、色々、やっちゃうから。あ、金髪さんは、待っててね。そんじゃ、箒ちゃん、紅椿の方に取りかかるよ。」
「はい。」
 金髪さんと呼ばれて、何か言いたそうなシャルロットに構わず、束さんは紅椿の方に取りかかる。
 出たな、束さんの悪癖。
 興味のない人には、まるで構おうとしないのが、束さんの悪癖だ。
 興味があるのは、俺と千冬姉に箒。後は、かろうじて人と思っているのが、自分の両親だったりする。
 ある意味、かなりの欠陥人間でもある。
 まあ、天才なんて、こんなもんだろう。

「箒ちゃんのデータは、予め殆ど紅椿に入れておいたから、後は微調整だけだね。すぐに終わるからね。」
「はい。」
 束さんは、ものすごい速さで設定を行っていく。
 ちょっと、横からデータを見せてもらうと、どうやら近接戦闘をベースにした万能型のようだ。
 ま、箒の専用機だからな。
「は〜い。おしまい。んじゃ、次はいっくんだね。白式を展開して。」
「あ、はい。」
 俺が白式を展開すると、ケーブルでコンソールをつないで、調整を始める。
「は〜い。雪片弐型の最適化終了。そんじゃ、雪片参型の量子変換、スタート!」
 束さんが、再び調整を始めると、しばらくして、装備の一覧が表示される。

展開可能装備一覧。
近接特化ブレード:雪片弐型
多機能ブレード:雪片参型

 多機能ブレード?
 どういう事だ。
 近接戦闘用じゃないのか?

「さ〜て、いよいよ、アップデート開始だね。いっくんが日々成長しているから、やりがいがあるね〜。」
 整備用の器具に新造パーツを実体化させて、束さんは準備を始める。
「束さん、すいません。」
「うん?何、いっくん。」
「雪片参型のデータを、送ってくれませんか?ちょっと気になるんで。」
 俺がそう言うと、束さんが思い出したように手を打つ。
「あ、そっか。今までとは違うからね。じゃ、送るね。その間にアップデートを済ませておくから。」
 送られてきた兵装のデータに、俺は目を通しはじめる。
 これ…。何だ…?
 データに目を通した俺は、呆然となる。
「びっくりしたでしょう?いや〜、理由があるとはいえ、やっぱり雪片弐型だけだと辛いかな〜と思って、前から開発はしていたんだよ〜。それで、めでたく完成しました〜。ぶい!」
 いや、まあ、あなたのやる事ですから…。
 驚く事が、馬鹿馬鹿しい…。
 というか、無茶苦茶疲れる。
「はい。アップデート終了。各部がいっくんにあってなかったから、だいぶあちこち調整しておいたよ〜。加速、最高速度、運動性能、ハイパーセンサーの感度にレンジ、その他ひっくるめて、性能向上率当社比30%で〜す。」
 また、大盤振る舞いだな。
 俺、きちんと整備していたはずなんだけどな。
「あの、束さん。俺の整備まずかったんですかね?」
 気になったので、訊く事にした。
 毎日の整備が駄目だったなんて、本末転倒だ。
「そんなことないよ〜。愛情込めて、しっかりできてたもん。ただ、今のままじゃ、いっくんの力を引きだせないな〜と、私が結論を出したわけ。訓練している頃は、いっくん、一生懸命勉強してたもんね〜。ちーちゃんに恥ずかしい思いをさせたくないし、お給料が出たから、もっとがんばって、ちーちゃんを楽にさせたいって。」
 何だか、千冬姉が恥ずかしそうにそっぽを向いている。
 いい子、いい子と言って、束さんは俺の頭をなでる。
 こういう時の束さんの優しい表情は、昔と変わってないな。
 箒は、どこか複雑そうな顔をしている。
 本当に、何があったんだ?
 あの2人。

「じゃあ、最後、金髪の子のISと白式について、最後のお調べしようか。うりゃ。」
 束さんはイリュジオンにもケーブルをつなげて、ディスプレイに表示されたデータを見る。
「ふうん。成程、成程。各種システム制御のサポートを強力に行える機能を第三世代兵装にしたわけか。通常のサポートシステムとは言えないから立派に第三世代兵装と言えるね。これなら、BT兵器を運用しながらも自由に戦えるし、その他の外部兵装や索敵系の制御も、楽だよね。拡張領域も大きいから、汎用性も相当に高い。いい仕事してるね。機体の基本スペックも高いね。処女作としては上出来だよ。フラグメントマップも、高い汎用性を持つ機体のパターン。これもいっくんの、狙い通りかな〜。」
 フラグメントマップは、ISが独自に発展していく道筋の事だ。
 進化の道筋と言っても、いいかな。
 う〜ん。さすがにこの方面の俺の師匠だけあって、何もかもお見通しか。
 ISは普通に動かすだけでも様々な理論を習得する必要があるし、まして火器を使うとなると尚更だ。
 なら、それをサポートできれば、操縦者の負担も軽くなるんじゃないかと考えたのが、出発点だった。
 そして、少しずつ理論を構築して、シミュレートした後に図面を引いたのが、イリュジオンの第三世代兵装デュー・コネサンス(神の知識)だ。
 それを実装したISの設計を始めて、シャルロットの事があって、ちょっと危ない橋を渡って完成した。
 デュー・コネサンスの利点は後付けの兵装の制御のサポートにも、問題なく対応する事だ。
 拡張パッケージを追加して、ハリネズミや、高機動戦闘に相当に特化したタイプになっても、機体の制御システムを強力にサポートする。

「さて、白式のフラグメントマップはと…。何これ…?」
 何これって…、作ったのはあなたですよ。
 何これは、ないと思いますが…。
「こんなフラグメントマップ、見たことないな。ええと、これがこうで。こっちが、こう行って。あれ?」
 しばらく、束さんは白式のフラグメントマップと睨みあいながら、ブツブツ言っていた。
「う〜ん、いっくんが男の子だって事と、今までの戦闘が、ISの自己進化機能に刺激を与え過ぎたのかな?これからどうなるか、私にもさっぱり解らないよ。これからも、何かが切っ掛けで、激変する可能性は高いね。」
 「ここまでくると、未知の生命体だね。」
 束さんはそう言って、ディスプレイの表示を切り替えた。

「それじゃあ、紅椿とアップデートして兵装を追加した白式のテスト、行ってみようかー!」
 束さんがそう言うと同時に、紅椿と白式に繋がれていたケーブルが一気に外れる。

後書き
再び前後篇です。
ついに、紅椿が皆の前にお披露目されて、一夏がイリュジオンの開発を出来たわけが明らかにされます。そして、白式の新武装雪片参型と、新たなる白式の謎。
夢の中で出会った少女と、女騎士。
ここから先は、後編をお楽しみください。

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