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zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第10話 トラブルメーカー イン サマー

<<   作成日時 : 2011/08/27 18:36   >>

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「よし。大丈夫だ。」
 朝稽古の為に起きた俺は、ドアに掛けられた幾つものキーをチェックする。
 あの、悪夢のような騒ぎの後、セシリア達はこってり絞られ、俺は地獄のような猛特訓を受けさせられた。
 今でも、時々夢に見る。

 にも、拘らず、俺の部屋に忍び込もうとする奴がいる。
 ラウラだ。
 何でも、夫婦だから問題ないとか、俺は自分の嫁だとか理由をつけて、ロッカーや風呂も男子用を使おうとしたりする。
 極めつけは、夜、俺のベッドに潜り込んだ事だ。
 しかも、裸で…。
 ただ、いろいろ、話してくれたっけ…。

 ラウラは軍で遺伝子操作された試験管ベビーとして、産み出された。
 そして、来る日も来る日も、戦闘技術ばかりを教え込まれて、最強の戦闘マシーンとして仕上げられた。
 しかし、ISが登場し、100%問題ないと言われた、IS適性を上げるための手術で、ラウラの体は拒否反応を起こした。
 それ故に、ラウラはISをうまく扱えずに、できそこないの烙印を押される事になる。
 その証拠が、普段は眼帯で隠されている、金色の瞳。
 ラウラにとっては、屈辱の証だったそうだが、俺は星が輝いているようで、とても綺麗だと言ったら、顔を真っ赤してたっけ。
 それからは、結構好きになれたらしい。
 おっと。話を戻すか。
 その時、教官として千冬姉が着任。
 別にえこひいきはしなかったものの、1か月間、千冬姉の言われた通りの訓練を続けて、ラウラはIS専門の特殊部隊として再編された自分の部隊で、再び最強となった。
 その時に、千冬姉にどうしたらもっと強くなれるかと聞いた時に、俺の事を聞いて、日本に来たそうだ。
 と、同時に、ラウラはある任務を帯びていた。
 そして、逆にそれが面倒を起こす事になる。

 ラウラは俺のボディーガードとして、IS委員会から派遣されてきた。
 つまり、俺の傍にいる事は、ラウラにとっては任務を全うする為の当然の行為なのである。
 楯無さんも俺のボディーガードなのだが、念の為に委員会が派遣してきたそうだ。
 いつの間にか、重要人物になっていたのかよ。やれやれ…。
 ちなみに、トーナメントの後、一度、手合わせをしたが、俺が勝った。
 と言っても、委員会からの命令は変わらず。
 故に、ラウラは常に俺の傍にいようとして、セシリアや鈴、シャルロット達と大喧嘩。
 訓練と称した、凄まじい大乱闘になった事もある。
 無論、千冬姉の裁きが下り、懲罰としての訓練を課せられる事となる。
 そして、協議の結果、楯無さんが1年の寮に引っ越して、ラウラとシャルロットの部屋と楯無さんの部屋が、俺の部屋の両隣りになることで決着がついた。
 が、逆に、それでも、ラウラは俺の部屋に忍び込もうとする為に、ろくに手をつけずに、溜まる一方だった貯蓄を資金として、鍵を増やした。
 無論、普通の鍵じゃないので金はかかったが、それでも俺の貯蓄はたいして減らなかった。
 恐るべし、代表候補の給料。
 さて、朝稽古に行くか。

「待っていたぞ。一夏、軽くランニングをした後で、まずはCQCの訓練だ。」
 軍の訓練着に着替えたラウラが、ドアの外にいた。
 まあ、CQCの訓練は最近やっていないから、やっておくべきだな。うん。
「一夏。剣道場にいくぞ。まずは、素振りをして、居合の稽古だ。」
 胴着に着替えた、箒がいた。
 ちょっと、待て、お前の部屋って2階下だろう?
 わざわざ、来たのか?

「ふん。箒、CQCはIS戦闘においても、重要視されるのを知らんわけでもないだろう?常に、兵装があるとは限らんぞ。」
 これは、本当である。
 俺も、習志野で訓練を受けていた時には、その事を体で教え込まれた。
「甘いな。剣の達人ともなれば、徒手戦闘に応用できる。日本の剣術の歴史の重さを甘く見るなよ。」
 これも、本当である。
 箒が転校した後に、武術を習った師匠にそういったシチュエーションの稽古を受けさせられて、その事を思い知らされた。
「ほら、コインの表裏を当てた方の訓練を先にやろうぜ。どっちも理にかなっているんだしさ。」
 溜息をつきながら、俺は部屋から100円玉を取って来る。
 結果は、ラウラの勝ち。
 ラウラは、終始嬉しそうにして、箒はむくれていた。
 どうしろっていうんだよ。

「ところで、一夏。」
「ん?なんだ。」
 甘鯛の干物を口に運びながら、ラウラの方を向く。
「お前。サバイバルナイフ、今のままでいいのか?どうみても、おまえに合っていないぞ。小さすぎるし、軽すぎる。」
 ラウラが真剣な表情で、俺に言う。
 ラウラは現役の軍人なので、軍用のサバイバルナイフを支給されている。
 俺も、どういうわけだか、自衛隊で正式採用されている銃火器やナイフを支給されている。
 今日は、脇差とサバイバルナイフ双方で手合わせをしたが、ラウラに言わせると脇差に比べて、ナイフが釣り合っていないと見えたようだ。
 ちなみに、俺の脇差は2尺1寸(約64cm)。柄の長さ7寸2分(約22cm)。抜刀時の重さは25両(937.5g)と、脇差の中でも、かなり大型でむしろ小太刀に近い。
 俺は、その大きさにすっかり慣れてるし、それよりずっと小ぶりのサバイバルナイフと併用しても、何の問題もない。
 だが、ラウラには問題に見えたようだ。

「今はいいかもしれん。だが、やはり自分にあった武器を手元に置くべきだ。それに、バタフライか、フォールディングナイフで自分に合った物を持っておけ。拳銃や、ライフルもだ。お前には、それが許されている。業者にあてがないなら、私が紹介してやってもいい。」
 ラウラの表情は、いたって真剣だ。
 ラウラの言う事も、正しい。
 千冬姉はまだ教えてくれないが、俺はどうも何かに狙われているらしい。
「お前の装備に必要な金は、申請すれば、経費として委員会から支給される。贅沢と思うかもしれんが、オーダーメイドで自分に合う物を作らせろ。それから銃もだ。許可は出ているはずだ。」
 ラウラの言いたい事は、解る。
 でも、その経費は皆が必死に働いて納めた税金から出ている。
 正直に言えば、凄く心苦しい。
 でも、必要なら、選ばなきゃならないんだよな。
「千冬姉に話してくる。」
「うん。それが、いい。」

「ボーデヴィッヒの意見が、正しいな。委員会には私から伝えておく。業者も紹介する。ボーデヴィッヒに頼まなくても、日本にも業者はいる。お前に装備を修められれば、それだけでもかなりの宣伝効果になるからな、銃の方は海外の代理店の者も習志野に来るから、全て選んで来るといい。選ぶからには、きちんと自分に合う物を選んで来い。遠慮をするなよ。解ったな。」
「はい。」
 職員室に行った俺は、ナイフや銃について千冬姉に相談した。
 そして、来週、習志野に業者が来て、俺が選ぶ事になった。
「それじゃ、失礼します。」
 俺は、次の授業があるので教室に戻ろうとする。
「ああ、そうだ。一夏。」
 珍しいな。学校にいるときは、完全に教師と生徒の関係なのに。
「もうすぐ、臨海学校だろう。これで、新しい水着やら、いろいろ買ってこい。」
 そう言って、自分の財布から3万円を出して俺に手渡した。
「いいって、俺だって稼いでるし。」
 代表候補扱いなので、俺はきちんと給料を貰っている。
 その気になれば、1人暮らしも可能だ。
「そういう事は、一人前になってから言え。それまで、お前の水着や小遣いくらい、私が都合する。」
 結局、俺は千冬姉の前では、まだ子供なんだなあ。

「さてと、届くのは四日後だから、俺はちょっと買い物してくるけど、ラウラはどうする?」
 今日は、習志野で、銃とナイフを選んだ。
 ナイフは、丈夫で錆びにくいが、非常に加工性が悪い素材を使うので、一本作るのも時間がかかる。
 サバイバルナイフ以外では、バタフライナイフとフォールディングナイフを選んだ。
 バタフライナイフは、ロック機構を特に丈夫にする必要があるので、これまた時間がかかるそうだ。
 フォールディングナイフは、すごくグリップが馴染んだのがあったので、それに決めた。
 が、やはり刃の部分はしっかり作り込みたいので、時間が欲しいとの事だった。
 それまで、代わりのフォールディングナイフを渡された。
 これもなかなかだ
 拳銃は、メインには、各国の軍や警察に採用されて、その性能には定評がある、H&K USPの中で.40S&Wを使用するモデルを選んだ。サブには、スクイーズコックという、グリップを握る事によってセーフティーロックが外れる変わった銃である、H&K P7。その中の、後期型M8を選んだ。
 念の為にアサルトライフルも選ぶように勧められて、いろいろ試して俺が選んだのは、H&K XM8。
 元々は、アメリカ軍の次期正式アサルトライフルとして、開発されていた。
 モジュール式で、携行性を重視したタイプから、狙撃タイプまでいろいろと、簡単に組み替えられる。
 堅実な作りで、使うには文句なし。
 だが、M16の製造メーカーのコルト社のロビー活動や、現場から、まるでSF映画に出てくるみたいな銃からは、頼もしさが感じられないと猛反発がきて、採用は中止となった。
 現在は、PMC(民間軍事会社)に、売りこんでいるらしい。
 確かに、未来っぽい感じだけど、そんなに嫌かね?
 俺なんかは、簡単に換装出来て、様々な状況に対応できるから、頼もしさを感じるけどな。
 見た目だけが、頼もしさじゃないと思うが、これは人それぞれか。
 こうして、銃は全てH&Kの製品を選んだ事が、向こうの担当者は相当に嬉しかったらしく、Tシャツやら帽子やら、さらに他の製品のカタログまでくれた。

「そんなに、宣伝効果になるのか?正直、実感がわかないぞ。」
 商店街を歩きながら、俺はラウラにそう話した。
「ある程度の取材に関しては、規制が解除されたからな。格好の宣伝材料になる。おそらく、次にホームページが変わる頃には、大々的に宣伝されているだろうな。」
 世界規模かよ。勘弁してくれよな…。

「ふんふふん、ふんふふん、ふふふふふん~。」
 鼻歌を歌いながら、1人の女性が空中投影型ディスプレイを見ながら、物凄い早さで、キーボードを叩いている。
 彼女は世界のどこにあるかもしれない、ラボで研究開発を続けていた。
 目の前には、1機のISと一振りの近接戦闘用ブレードがある。
「データは、ばっちし〜。作品は、ばっちし〜。ちょちょっと、やって。はい。出来あがり〜。」
 ディスプレイとキーボードが消える。
「うんうん、我ながら、会心の出来だね〜。やっぱり、私ってば天才。」
 豊かな胸を張りながら、自分を自画自賛する。
「さあ、早速届けて、驚かせないとね〜。それに…。」
 ラボの天井を眺める。
「いっくんや、まだ手出してないけど、ちーちゃんや、箒ちゃんに手を出すつもりなら。束さんは許さないよ。白式もそろそろだからね。後が怖いよ〜。」
 彼女の名は篠ノ之束。
 箒の実姉にして、ISを始めて世に出した、天才科学者である。

「すいません。ちょっとその頃は臨海学校なんで、スケジュールが合わないんですよ。本当に、すいません。じゃあ、失礼します。」
 今、俺達は食堂にいる。
 学園に帰った俺は、家の近くの商店街の組合の人と話していた。
「一夏、誰と話してたの?」
 電話を切った時、鈴が話しかけてくる。
「組合の会長さん。ちょっと、今年はスケジュール合わないから。」
「スケジュール…?ああ、そうか、そういう季節か。」
 俺の話を聞いた鈴が、すぐに納得する。
 今までは、この季節はあるバイトのような物をしていた。
 だが、今年は臨海学校もあってスケジュールが合わずに、断ったわけだ。
「何ですの?スケジュールが合わないって。」
 セシリアが、不思議そうに聞いてくる。
「臨海学校があるだろう?だから、スケジュールが合わないんだよ。」
「今までは、スケジュールがあって、何かをしてらしたんですね?」
 ま、そういうこと。
 どうでもいいがセシリア、興味津々で俺に迫るのはやめてほしいんだが。
「で、一夏、何をしていた?」
「嫁が隠し事とは、感心せんな…。」
 箒とラウラが迫って来る。
 たいしたことじゃないから、勘弁してくれよ。

「モデル?一夏さん、モデルをやっていらしたんですか。」
 結局、喋る事になった。
 この時期、商店街は、夏ものや浴衣の売り上げを伸ばすためにチラシを作っているんだが、その時にモデルが必要になって、俺がいつもやっていた。
 バイト料もそれなりによかったので、ちょっとした臨時収入でもあったわけだ。
「でも、一夏がモデルやると、売上、上がったわよね。商店街の人達、喜んでたもん。」
 鈴はその事を知っているので、懐かしそうに話す。
「鈴さん、その時の写真、持っていらっしゃいませんの?」
 セシリアが凄い表情で、迫って来る。
 どうしたんだ?何か、おかしいぞ。
「あるわよ。ちょっと待ってて。」
 鈴が携帯から、データを呼び出す。
「ほら。これ。」
 そこには、夏物の洋服や、浴衣を着た俺の写真があった。
 おー、懐かしいな。
 ファンデーションまで使って、写真写りがいいように、してたっけ。
「一夏さん。どうして教えて下さらなかったの?」
「酷いよ!一夏。」
「私の嫁だという事を、忘れたか?」
「一夏、貴様…。」
 セシリア、シャルロット、ラウラ、箒が、凄い表情で俺に迫って来る。
 別に、そんなに目くじらを立てる必要なんてないだろうが。
 たかが、ちらしに使った写真だぞ。

「ねえねえ、凄いの見つけちゃった。見て見て。」
 のほほんさんが、空中投影型のノートパソコンを持ってくる。
 何だ?よく解らないが、凄い、悪い予感がする。
「見て見て、会長のお宝映像。商店街のチラシのモデルやってたなんて、知らなかったよ。」
 オークションサイトに、商店街のチラシが出品されていた。
 でも、なんで…。って、俺の取材の規制がある程度解除されたからか?
 公表したらまずい部分以外は公開されたので、そのせいか?
 よくはわからんが、これからは、まともに外も歩けない気がする…。

「はあ…、疲れた…。」
 臨海学校に向かうバスの中で、一夏はそう呟いた。
 整った容姿を持つ美少年であり、世界で唯一人、ISを動かせる一夏は注目の的だった。
 既に、雑誌の取材やテレビの出演の依頼も殺到している。
 無論、一夏が受ける事はなかった。
「大丈夫?一夏。」
 一夏の隣の席を巡るくじで、当たりを掴んだシャルロットが心配そうに一夏に話しかける。
「大丈夫。疲れただけだから…。」
 そう言って、一夏は外を見る。
 少しすると、甘い匂いがしてくる。
「良かったら食べて。今日、作ってきたんだ。」
 マカロンに、胡桃のパウンドケーキが入った包みを、シャルロットは一夏に手渡した。
「サンキュ。うん。うまい。シャルロットって、料理上手なんだな。」
「そう。よかった。」
 美味しいと言われて、シャルロットがにっこり笑う。
 美味しそうに食べ続ける一夏を、シャルロットが嬉しそうに見る。
「ごちそうさま。うまかったぜ。疲れた時には、甘いものに限るな。」
「ありがとう。そう言ってもらえて、よかった。」
 シャルロットが、にっこり笑う。
 ここ2、3年はまともに料理をする事もなかったので、不安があったが、一夏が喜んで食べてくれた事が、何よりうれしかった。
「シャルロットは、いい嫁さんになるな。相手が羨ましいよ。」
「そ、そう…。そうかな…?」
 一夏の何げない言葉に、シャルロットの顔は真っ赤になる。
「そうだよ。」
 しかし、当然、その様子をよく思わない面々もいる。
「一夏さん?シャルロットさんのお相手は、誰でしょうね。」
「うむ。興味がある。」
「さて、誰か、話してもらおうか?」
 殺気を帯びた、セシリア達に一夏は詰問されそうになる。

「お前たちは、小学生か?この、馬鹿者共!」
 千冬の、拳骨が頭に直撃する。
「それほど、力が有り余っているのなら、お前たちには特別メニューをくれてやるが、どうだ?」
「「「「いいえ、結構です!」」」」
 全員、心の奥底から遠慮する。
「少しは、大人しくしていろ。いいな。」
 そう言って、千冬は自分の席に戻る。

 ちょっと騒動があったが、俺達は臨海学校の場所になる海岸に来ていた。
 へえ。なかなか、よさそうだな。
「遠い所から、ようこそ。」
 30代の綺麗な女の人が、俺達を出迎えてくれた。
「これから、我々がお世話になる宿の女将さんだ。皆、迷惑をかけぬようにな。それで、お話していた通り。」
 そう言って、千冬姉は俺をちらりと見る。
「ああ、そちらが。お話は聞いていますよ。なかなか、しっかりした弟さんのようですね。」
「いえ。まだ、未熟者です。」
 そりゃ、千冬姉から見れば、俺は未熟者だけど、そこまではっきり言われるとショックだよなあ…。

「今日は、一日自由時間です。夕食まで、泳ぎたい人は好きに泳いでくれていいですよ。」
 山田先生の言葉に、皆が大はしゃぎする。
「ねえ。一夏はどうするの?」
「う〜ん、そうだな。久しぶりに、思いっきり泳ぐか。」
 海で遊ぶのも久しぶりだからな。
 訓練を受けている時、海中での戦い方を想定した訓練なら、やったけどな。
 まあ、今回はそこまで心配する必要はないか。
 IS学園の臨海学校は、訓練も兼ねている。
 その関係から、今は、部外者は立ち入り禁止だしな。
 そう言えば、俺の部屋ってどこだ?
 まさか、外で、テントでも張って寝ろって、いうんじゃないだろうな?

「織斑。お前の部屋はこっちだ。ついてこい。」
 俺は千冬姉や山田先生と一緒に、一般生徒達の部屋を通り過ぎていく。
 連れてこられたのは、教員用の隣の部屋だった。
 なんか、広いな。皆の部屋より広いんじゃないのか?
「他の生徒達の部屋で、1人部屋を作るという話も出たが、絶対に門限を破る者が出るだろうと考えてな。ここにした。」
 部屋には、露天風呂もジャグジーもある。
 風呂好きにはたまらない部屋だな。
 ま、ここなら、わざわざ、門限破りをする奴もいないか。
 地獄の門番の前を通る、物好きはいないだろう。
「それと、念の為だ。最低限の装備は持って行け。正直、何が起こるか見当もつかないからな。」
「はい。」
 最低限て、言ってもなあ…。
 どこの世界に、拳銃やらナイフを持って、海水浴楽しむ奴がいるんだよ?
 俺は、特殊部隊の隊員じゃないってーの!
 結局俺は、H&Kの最新型水陸両用拳銃P12に、サバイバルナイフを持っていく事にした。
 すげえシュールな光景だな、おい。

「あ、会長、かいちょ〜う。」
 水着、というより着ぐるみに着替えたのほほんさんが手を振って来る。
 思えば、のほほんさんて、着ぐるみ多いよな。
 こだわりでもあるんだろうか?
「遅いわよ!一夏。」
 オレンジのタンキニタイプの水着を着た鈴が、手を振って来る。
「おう。わりい。」
 そう言う俺を、じろじろ見る。
 まあ、水着を着て、拳銃やらサバイバルナイフを持ってくる奴は、そういないな。
 でも、P12はデリンジャータイプで小型だから、そうは目立たないんだぞ。
 って、目立ってるか。
「あんたも、大変よね。なんか、いろいろあるらしいけど。」
 肩を叩きながら、鈴が同情してくれた。
 うう、なんでかこういう時は、人の情けが身にしみるぜ…。
「一夏。向こうで、ビーチバレーでもやろうよ。」
 ワンピースとセパレートの中間タイプの、黄色の水着を着たシャルロットが手を振ってくる。
 お、久しぶりに行きますか。

「一夏さん。ビーチバレーもよろしいですが、二人でゆったりと…。」
 パレオ付きの青のビキニを着たセシリアが、腕をからめてくる。
 む、胸!
 胸が、当たってるって!
「あら、どうなさいましたの?一夏さん。」
 セシリアが、ますます胸を押しつけてくる。
 だから、やめろって…。
「なにやってんのよ!この、色ボケ!!」
 鈴が目をつり上げて、歩み寄って来る。
 胸にコンプレックスを持っている鈴にとっては、セシリアの大きめの胸は、羨望と嫉妬の対象である。
「何って、ゆっくりしようとお誘いしているだけですわ。」
 そう言って、ますます、胸を押しつけてくる。
 わ、バカ!
 これ以上、鈴を刺激するな!
 浜辺で、IS同士の乱闘なんて、御免だぞ!

「大丈夫だ。絶対に大丈夫だ。」
 レースをふんだんにあしらった黒のビキニを見て、何度も自分に言い聞かせているのはラウラだった。
 習志野に行った際に、ラウラはある会話を耳にした。
「おニューの水着で、彼もイチコロよ。」
 女尊男碑の世の中であっても、女は男を好きになる。
 というわけで、意中の男を虜にする為に、あれこれと手を尽くす。
『水着で、イチコロ。水着でイチコロ。』
 ラウラは一目につかない場所を探して、ISのコアネットワークで、ある人物に連絡を取った。

「受諾。クラリッサ・ハルフォーフ大尉です。」
 訓練中の休憩時間に、ラウラからの通信を受けたのは、ラウラが体調を務めるIS特殊部隊、シュヴァルツェ・ハーゼ副隊長クラリッサ・ハルフォーフ大尉だった。
 日本文化を愛好し、常に漫画やアニメを欠かさず見ている事から、隊の中では最も日本文化に造詣が深く、ラウラが一夏を「嫁」と呼ぶようになった原因でもある。
 しかし、それがいわゆるオタク文化である事を、本人は知らない。
「ラウラ・ボーデヴィッヒ少佐だ。」
「これは、隊長。如何なさいましたか?」
 筆談で、ラウラから連絡があった事を、他の隊員に伝える。
「実は、破壊力のある武器を探しているのだが、私には選択基準が解らん。そちらの判断を参考にしたい。」
「了解しました。それで、ターゲットは?使用する火器は?」
 『強力な敵に遭遇した模様。通常火器では対応不能。ISは使用できない状況と思われる。』
 隊員たちに緊張が走る。
「じ、実はだな…。今度、臨海学校があってだな…。そ、そこで、一夏を、私の嫁を、いわゆるイチコロにする水着が、私には選べなくてだな…。」
「ふむ、なるほど…。それは、難しい問題ですね。」
 『ターゲットは、織斑教官の弟。恋愛に対する鈍さという重装甲の為に、通常の水着という兵装では、対応不能な状況。』
 数々の、漫画やアニメで得た情報から、クラリッサは状況を判断する。
「隊長、コアネットワークを通じて、水着の映像をこちらに回してください。それで、兵装を選びましょう。」
「了解した。頼むぞ。」
 軍用の小型カメラを通じての映像が、コアネットワークを通じてドイツに送られ、あれがいい、これはどう?と、騒がしく選んだ事は言うまでもない。

「一夏…。」
 うん、この声は、ラウラか?
 振り向いた先には、フリルをふんだんにあしらった黒のビキニをつけたラウラが、そこにいた。
 うっ!
 凄え、かわいい…。
 つうか、何とも表現しがたい、綺麗さがある。
 いつも通り、ストレートに流した綺麗な銀色の髪とが、怖いくらいによく合う。
 何か、凄え、神秘的な感じがする。

「に、似合うか…?」
 頬を染めたラウラが、恥ずかしそうに訊いてくる。
 いつもは、きびきびとしているから、ギャップが凄い。
 でも、可愛いし、綺麗だし、とにかく似合っている。

「あ、ああ。凄え、似合ってる。可愛いし、その、凄え、綺麗だって思う…。」
 うわ、何で俺まで、顔真っ赤になってるんだよ。
 お、落ちつけ、精神を落ちつけるんだ!
 ラウラはラウラで、恥ずかしがっているみたいだし。
 でも、それも可愛かったりして。

「一夏。貴様、何をしている。」
 嫌な予感がしたが、振り向かないと余計に嫌な予感がするので、振り向く事にした。
 そこには、縁に黒のラインが入った、白のビキニを着た箒がいた。
 うわ、結構、露出が高い。
 箒にしては、珍しいな。
 で、何故、緋宵を持っているんですか?箒さん。

『一夏め!せっかく、選んだのに、何故、ラウラといい雰囲気になっているのだ。』
 水着を着るときは、自分の大きな胸を協調させないような、地味なワンピースの水着にしていた。
 だが、今回は一夏へ自分をアピールする為に、清水の舞台から飛び降りる気持ちでビキニを選んだ。
 しかし、当の一夏は、ラウラと向き合って互いに、頬を染めている。
「一夏、覚悟はいいな…。」
 鞘から抜かれた緋宵が、太陽の光を受けて輝く。
「箒、落ちつけ!どこの世界に臨海学校で、日本刀を振り回す女子高生がいるんだよ!?」
「問答無用!覚悟!!」
 緋宵を振り下ろす箒の前に立ちふさがった、ラウラが立ちふさがる。
「邪魔をするな!一夏は、ここで斬り捨てる!!」
「黙れ。人の嫁を切り捨てるな。」
 サバイバルナイフの二刀流で、箒の剣戟をはじき返したラウラが身構え、箒も構えなおす。
「おい。二人ともやめろって!!」
 一夏が慌てて、仲裁に入ろうとする。

「おい、ここは映画の撮影所ではないぞ。自重せんか。」
 声の方向には、スポーティーでありながら、所々に色っぽさを演出するような黒のビキニを着た千冬姉がいた。
 いつものビジネススーツでは、解りづらい部分があるが、胸は大きいし、スタイルもいい。
 胸は箒も大きいし、セシリアもお嬢様的な色気があるし、ラウラにはどこか神秘的な綺麗さがあるし、鈴の太陽みたいな元気さは充分チャームポイントだし、シャルロットはさりげなく咲いている綺麗な花のような優しさや包容力にあふれた魅力がある。
 けど、それを全部吹き飛ばしてしまいそうなほどの、大人の魅力が千冬姉にはあった。
 そう言えば、ここ数年は、一緒にプールにも行ったことないしなあ。
 全然、気づかなかった。
 少し後ろには、レモンイエローのビキニを着た山田先生がいる。
 相変わらず、胸が大きい。
 なんか、それを強調するような水着を着ているような気がするのは、気のせいだろうか?

「とにかく、何があったかは知らんが、こんな所で立ち回りをするな。刀とナイフをしまえ。それでも納得できないのなら、後で私が話を聞こう。」
 千冬姉に言われると、逆らうわけにもいかずに、二人とも大人しくなる。
 俺は、密かに溜息をついた。

「あの、織斑君…。」
 そう、俺に話しかけてきたのは、山田先生だった。
「はい。何ですか?」
「あの、私、水着、似合ってますか?」
 もじもじしながら、上目づかいで俺を見る。
「ええ、似合ってますよ。」
 ちょっと薄めのレモンイエローの水着は、地味すぎず、自己主張し過ぎず、ちょうどいい塩梅だった。
「よかった…。」
 山田先生が、妙にほっとする。
 何でだ?
 やっぱり、女性はよく解らん。
「ああ!山田先生、織斑君がファーストキスの相手だからって、アピールしてる!!」
 え?
「まさか、山田先生も織斑君を!?」
 何がだ?
「ずるいよ!大きい胸を武器にして、教師の立場を利用しようとする気なんだわ!」
 だから、何だって!?
「え、あ、あ、あの、ですから、つまり。」
 山田先生が、パニックになる。
「おい。そのへんにしておけ。折角の自由時間だ。有意義に使えよ。」
 千冬姉の言葉で、皆、遊びに行ったりする。
「こうなったら、実力行使も辞さないわ。夜が勝負ね!」
「どうするの?」
「大丈夫、……とか、……持ってきてるから。」
「ええ!ついに、決断したわけ?」
「相手は、あの織斑君よ。それ位しないと。」
 何かするつもりか?まあ、俺の部屋は千冬姉の部屋の隣だから、大丈夫だけどな。
「会長、会長、ビーチバレー。」
 おっと、そうだった。
 俺は、皆とビーチバレーを始めた。

 一夏達IS学園の生徒達が、臨海学校の自由時間を存分に楽しんでいる間、空は色々な物が飛んでいた。
 旅客機、鳥、輸送機etc。
 しかし、その日だけは異様な物が飛んでいた。
 巨大な人参だった。
 巧みに高度を変えて、人目を避けて、完璧なステルス性でレーダーも捉える事が出来なかった。
 しかし、ある物からは逃れられなかった。

 白式のハイパーセンサーが、一夏に緊急警告を出す。
「これって…。この大気の変化…。織斑先生!何かがこちらに向かって来ています。推定速度マッハ1.2。いえ、徐々に、スピードを落としてきています。ここに来るようです。推定接触時間まで、およそ15分!」
「何!?」
 一夏からの報告に、千冬の表情が厳しさを増す。
 端末を呼び出して、各方面に問い合わせてから、決断する。
「専用機持ちは、ISを緊急展開。オルコットは鳳と。ボーデヴィッヒはデュノアとツーマンセル。織斑を側面から支援。織斑、相手にもよるが、こちらに敵意を持つなら遠慮はいらん。一撃で仕留めろ!いいな!」
 白式を展開した一夏は、零落白夜を発動させる。
『何だ?一体、何が来るんだ!?』
 ハイパーセンサーの情報を見つつ、一夏は精神を集中させる。
 以前と同じ無人機なら、この辺りは大惨事になる。
 それだけは、絶対に避けねばならなかった。
 催眠や洗脳の類を施された人間が搭乗するISなら、封月で強制的に稼働停止させられる。
 一夏は、できればそうしたかった。

 刻々と時間は過ぎていく。
 真耶の誘導に従って他の生徒達は避難し、一夏達は迎撃ラインを形成する。
「監視衛星、目標探知。映像を送る。」
 ラウラが、各自に映像を送る
「了解。って、これ…。」
 映像を見たシャルロットが、一瞬、固まる。
「人参ですわよね…。」
 セシリアが、何とも言えない表情になる。
「人参ね…。」
 鈴が呆れ顔になる。
「油断するな。外見が人参でも、敵でないという保証はないぞ。」
「ラウラの言うとおりだ。みんな、攻撃の用意だ。長引かせたくない。遠慮せずに、最大の攻撃を叩きこんでくれ。同時に、俺は零落白夜で仕留める。」
「「「「了解」」」」
 各自が兵装を展開し、衛星とリンクしたFCSで目標を捉える。

「ちょ、ちょっと、待ってよ〜。いっくん。敵じゃないって〜。」
 へ?この声。
 人参が、急速に速度を落としながら、接近する。
「各自、一旦、攻撃中止。ラウラ、織斑先生に連絡。トラブルメーカーが来た。そう言えば分かる。」
 はあ。まったく、なんて、騒動起こしてくれるんだよ。
 折角の、自由時間なのに…。

「そうか…。そういうことか…。篠ノ之来い。」
「私がですか?」
「ああ、どうも、お前が少なからず関係していると見ていい。山田先生。自由時間に戻してくれ。」
 真耶にそう言って、頭痛をこらえるような表情で、ビーチに向かう。
「じゃあ、危険はないようですから、自由時間、再開です。」
 生徒達は、再び自由時間に戻る。

「ちーちゃ〜ん。会いたかったよ〜。さあ、二人の愛の深さを、ぶべっ!」
 着陸した巨大な人参から出てきた、今回の騒動を起こした、張本人。
 世界屈指の科学者でISの生みの親である束さんは、千冬姉に抱きつこうとして、見事な右フックを喰らって、海に吹き飛ばされる。
「この馬鹿者が!!」
「やあ、さすがに見事なパンチだね〜。うんうん、それなら今すぐにでも世界を征する事も出来るよ〜。ごっ!」
 かかと落としを喰らい、砂浜に顔をうずめた束さんは、頭を千冬姉に踏みつけられている。
「何を、訳のわからん事を言っている。馬鹿者。余計な騒ぎを起こしおって。」
 う〜ん。こういうところ、あんまり変わらないなあ。この二人。
 束さんは、ISを開発する前から、何かと騒動を起こして、こうして千冬姉に制裁を受けていた。
 ここまで来ると、もはや、漫才の領域だな。
「で、一体、何をしに来た?」
「うんうん、それなんだよ、と、その前に…。」
 束さんは、箒の元に駆け寄る。
「久しぶりだね。箒ちゃん。元気にしてたかな?」
「どうも…。」
 嬉しそうな束さんと対照的に、箒は表情が硬い。
「いやあ、成長したね〜。綺麗になったね〜。これなら、いくらでもいっくんを誘惑出来るね〜。」
「なっ!」
 箒の顔が真っ赤になる。
「昔はしてたでしょ。お風呂に入った時に、いっくんにおっぱい揉ませたり…。」
 先を続けようとした時に、束さんに峰打ちが炸裂した。
「怒りますよ…。」
 う〜ん。さすがに連続しての千冬姉と箒の攻撃は、強烈だな。さしもの束さんも、ちょっと稼働停止しているみたいだ。
「まあまあ、そんな怖い顔しないで、明日はビッグなイベントを用意したんだよ。期待しててね。あ、そうだ。いっくんと、いっくんが開発に関わったISを専用機にしてる子。明日、ちょっと機体見せてね。」
 回復する時間、早いな。
 まあ、何かある事は確かなようだな。
 頼むから、ろくでもない事じゃないように。

後書き
夏といえば、海。
そして、臨海学校。
私の高校は、そういうのは、ありませんでしたけどね。
今の高校って、臨海学校あるんですかね?
各自、水着で一夏にアタックするも、恋には発展しそうもないですね。
ラウラの場合は、恋とはちょっと違うと思います。
そして、やってきました。束さん。
巨大な人参で降って来るという、傍迷惑でないようで、傍迷惑な事をしてくれます。
一夏達は、無事に、臨海学校を終える事が出来るのでしょうか?
束さんは、何か騒動を起こすのでしょうか?
それは、神のみぞ知る。です。

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