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zoom RSS コードギアス二次小説 EPILOGE その後 の 世界

<<   作成日時 : 2010/10/06 21:10   >>

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「あなた。そろそろ、天子様ご夫妻が到着なさる時刻ですよ。空港に行きませ
んと。」
「解っているよ。支度は済んだかい?」
「終わっていますわ。こら、ウィリアム、シャルロット。おりこうになさい。」
 3歳になる、双子の兄妹。
 栗色の髪に淡い色彩の緑の瞳を持つ、兄のウィリアム。
 アッシュブロンドにアメジストの瞳を持つ、妹のシャルロット。
 二人は、ナナリーに叱られて、スザクの後ろに隠れる。
「こら。二人とも、お母様の言う事を聞いて、いい子にしないといけないよ。」
 スザクが微笑みながら、二人の頭をやや強く撫でる。
「「は〜い。」」
 スザクはやれやれという表情で二人を見た後、生まれたばかりの次女クレア
を抱いているナナリーを見る。
「もう、すっかり歩けるようになったね。」
 ナナリーは、ラクシャータの研究成果を応用した技術で、歩けるようになって
いた。
「ええ。もう、すっかり。」
 今は、もう3児の母。
 女性らしさと母性が加わり、美しくなったナナリーを見て、スザクは優しく微笑
む。
「じゃあ。行こうか。」

 シュナイゼルとの戦いから、4年。
 スザクはナナリーを補佐して、コーネリアやジュリアスと協力しながら、世界の
安寧とブリタニアの復興に全力を注いでいた。
 軍を再編成し、各エリアの独立を果たさせ、国交を結び、大使を派遣。
 世界は課題を抱えながらも、穏やかである。
 ブリタニアと並ぶ大国である、EU、中華連邦との関係も良好。
 国内の復興も、かなり進んでいた。
 今日は、中華連邦の天子たる麗華と、夫の星刻がブリタニアを訪れる事にな
っていた。

 ブリタニアへ向かう専用機の中で、星刻は書類に目を通し続けていた。
「あなた。少し、お休みになっては?準備の間も、ほとんどお休みなっていらっ
しゃらなかったのですから。」
 麗華が、星刻の体を気遣って、休むように勧める。
「うん?無理をしているように、見えるか。」
 書類から目を離して、目頭をもむ。
「そうなさっているのは、疲れていらっしゃる証拠です。」
「すまん。その通りだな。休憩を取るとするか。」
 書類をしまって、肩の筋肉をほぐす。
「この程度で疲れるとは、私も年を取ったものだ。子供たちが成長するわけだ
な。」
 28歳になる星刻は、やや年寄りじみた事を言いながら、穏やかな寝息を立
てる子供たちを見て、微笑む。
 3人の子供の父親になり、星刻は前以上に仕事に励んでいた。
 嘗ては重い病に蝕まれ、余命も短かった星刻だが、治療の結果、病は完治。
 それでも、麗華は星刻の身を案じていた。
「職務に励むのはいいですが、少しは自分の事を案じてください。もし、あな
たに万一の事があったら、国や私たち親子はどうするのですか?」
 不安げな瞳で、星刻の手を取る。
 14歳で自分の妻になった時は、幼さを残した面影だったが、母親になってか
ら女性らしくなった麗華を、星刻は優しく抱きしめる。
「心配するな。お前や可愛い子供たちを放っておいて、冥土へ旅立つほど無責
任な父親になったつもりはない。お前たちがいてくれるから、私は生きていられ
るのだからな。」
 長女の麗花。
 麗花の双子の弟で、長男の星鳳。
 生まれたばかりの次男、星翼。
 3人の子供たちと、最愛の妻。
 天子の配偶者として太宰子と呼ばれながらも、星刻は家族が力と意欲の源で
ある、どこにでもいる一人の夫であった。

「お久しぶりです。星刻殿。」
「去年の、EUとの三国会議以来ですな。お互い、また家族が増えましたな。」
 二人の視線の先には、久しぶりの再会に喜ぶ、互いの双子と生まれたばかり
の赤ん坊を抱いたまま、話をしている妻たちの姿があった。
 中華連邦とブリタニアは、ロイヤルファミリー同士の親交を深めながら、関係を
良くしているので、年に1回は互いの国を訪問し合っていた。

「さて、子供たちを遊ばせている間に、明日の会議について二、三、話をすると
いたしませんか?スザク殿。」
「そうですね。ナナリー、済まないけど、子供たちを見ていてくれ。」
「もう、お仕事の話ですか?どうしてこう、私の夫は仕事一点張りなのでしょう
か。」
「それが、殿方というもの。私の夫なんて、ついさっきまで、書類仕事に精を出
していたんですのよ。その内、家庭を顧みなくなるのではと、心配で。」
 夫たちに小言をぶつけながら、ナナリー達は子供たちを連れていった。
 後ろ姿が見えなくなると、小言をぶつけられた夫達は肩をすくめる。
「少し自嘲するようにしませんと、家庭崩壊になりそうですな。スザク殿。」
「そうですね。努力しないといけませんね。」
 星刻の言葉に、苦笑しながら、スザクは答える。

「昨日、ブリタニア現地時間10:00。中華連邦天子夫妻が、ネオウェルズ空港
に到着。ナナリー皇帝陛下らの出迎えを受けました。今日から始まる首脳会談
における議題は…。」
 小さい家の中で、ラジオから、アナウンサーの声が聞こえる。
 家主たる藤堂は、黙々と小刀で木を削っていた。
 家にいるのは、1人はなく、カレンらが来ている。
「いいのか?紅月。母親についてやらなくて。」
「咲世子さんが、ついていてくれてます。1人で聞いていると、なんか落ち着いて
いられなくて。」
 そうか。と、答えて、藤堂は小刀を動かす。
 手の中には、大分出来てきた観音像がある。
 シュナイゼルとの戦いの後、黒の騎士団は本土から少し離れた無人島の開拓
をしていた。
 その合間に、戦死した者たちの弔いとして、藤堂は、毎日、観音像を彫ってい
る。
「ナナリー皇帝の足も、問題ないって聞いてるし、世界もおおむね落ち着いてい
る。まずは、良かったと言っていいかね。」
 ラクシャータは医学の知識がある者と一緒に、診療所を開き、カレンはそこで
手伝いをしていた。
 開拓もほぼ終わり、しばらくすれば、本土への行き来も自由になる事になって
いる。
「おふくろさんも回復してきたし、本土の医大の受験を考えてみてもいいんじゃ
ない?学費は、ほら、アッシュフォードの会長さんが援助してくれるって、言う
し。」
 嘗ての、アッシュフォード学園生徒会のメンバーとは、手紙のやりとりを通じ
ての交流が続いており、ロイドと結婚したミレイから、カレンは医大への進学を
勧められていた。
「決めるのは、もう少し先にしたいんです。今は、考えることがいろいろあります
から…。」
 朝比奈にカレンは、そう答える。
 戦いが終り、母親の介護をしながら、カレンは今までの日々を、自分なりに考
えていた。
「まあ。ゆっくり考えればいいだろう。時間は山ほどある。」
 皆の湯呑に茶を淹れながら、千葉が言う。
「いずれにせよ。世界は変わった。穏やかな方向にな。このままの方向に、世
界が進んでくれれば、私に不満はない。」
 観音像を彫りながら、藤堂が静かに語る。
 黒の騎士団の目的は、日本の独立を取り戻すためだったが、それが切っ掛け
となって、世界に良い変化が生まれる事を、藤堂なりに願っていた。
 それが現実になり、その流れが変わらぬ事を望んでいた。
 観音像は、供養の為に日々彫っているが、祈願の意味もあった。

 午前の首脳会談が終わり、スザクと星刻は遊んでいる子供たちを見ていた。
「穏やかですな。嘗ての日々を思うと、嘘のようだ。」
「そうですね…。戦いに明け暮れていた頃を思うと、夢でも見ているかのように
思える。」
 敵同士として戦っていた日々を、2人は思い出していた。
 ブリタニアの、白き死神。
 中華連邦随一の、勇将。
 そう呼ばれ、ナイトメアを駆り、2人は戦場で相対した。
 戦場の外でも、相手の頭の中を読んでいた。
「私などは、今、こうして生きている事が、不思議でならなくなる事がありま
すよ。」
 嘗ては、余命幾許も無い身で、命の炎が尽きる日まで戦い抜くと、星刻は誓
っていた。
 だが、今は最愛の妻である麗華から求婚されてから、世界は変わった。
 遠征から帰還した星刻を待っていたのは、自分の子を宿し、頬を染めながら
その事を伝える麗華だった。
 治療を開始して1年が経つ頃に、星刻と麗華は二児の親となる。
 子供が生まれて半年後には、病は完治。
 その後は、職務に励みながらも自分の体に、気をつけるようになった。
『もっとも、麗華に言わせれば、まだまだだがな…。』
 職務に励む星刻に小言をぶつけながらも、気遣う麗華を思いながら、星刻は
心の中で苦笑した。
「ヴァインベルグ大使は、どうですか?」
「よくやってくれていますよ。ご夫婦の中も、睦まじい。」
 軍の再編成の中、皇帝直属の騎士団である、ナイトオブラウンズは解体され
た。
 単騎で戦況を一変させるラウンズを残したままでは、他国の不安を招きかね
ないと判断し、スザクはコーネリア達との協議の結果、解体を決定した。
 同時期、ジノとエリファレットは、軍を退役。
 ジノは、中華連邦に。
 エリファエレットは、日本に。
 ノネットは、EUに。
 それぞれ、大使として赴任している。
 その後、クローディアはエリファレットと。
 アーニャは、ジノと結婚していた。

「あなた。少しは、子供たちの相手をしてください。」
「うん?ああ、ごめん、ナナリー。ついね…。」
 頭をかきながら、スザクはナナリーにあやまる。
「あなたもです。お仕事のお話も結構ですが、父親の義務を、しっかりはたして
ください。」
「そうだな。すまん、すまん。」
 あやまりながら、星刻は子供を抱きかかえる。

 皇暦2023年、今の世界の状態を表すように、優しい風が吹いていた。

後書き
予定より、遅くなりましたが、ようやく最終話です。
ブログの設定の都合上、今回は本編とエピローグと分けてあります。
最後のシーンは決まっていましたが、そこに至るまで書き直しをしたり、体調不
良になったりと大変でした。
お待ちくださった方々には、深くお詫びいたします。
この先も、二次小説は書く予定です。
ギアスも新作の構想がありますので、ひょっとしたら書くかもしれません。
外伝は、いくつか書く予定です。
それでは、他の作品でお会いしましょう。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
コードギアス二次小説 完結 お疲れ様でした、

また、違う作品の二次小説をもし書くご予定が、御座いましたら、是非、読ませて頂きます。
お疲れ様でした。
lrbm
2010/10/08 22:16
lrbmさん。
コメントありがとうございます。

>また、違う作品の二次小説をもし書くご予定
>が、御座いましたら、是非、読ませて頂きま
>す。
 ありがとうございます。
 今、構想を練っています。
 掲載時、お楽しみいただければ、幸いです。
CIC担当
2010/10/11 15:04
ごぶさたいたしております。凪です。
まずは完結おめでとうございます。
ものがたりの終わりにつける言葉。
よかったね、とつけたいです。


子供が小さい時はきっとあの長い髪を引っ張られたでしょうね。で、天子様に「助けてくれ」と言ったら、天子様が子供に言うのですね。
「だめよ。星刻の髪で遊んでいいのは私だけだから」
周りで聞いているほうが赤くなる。
星刻も固まってしまうけど、天子様はにこにこ。

そんな優しい世界を想像しました。
では、無理のない範囲でCIC様の次の1粒をお待ち申しております。

2010/10/22 01:54
凪さん。
コメントありがとうございます。

>周りで聞いているほうが赤くなる。
>星刻も固まってしまうけど、天子様はにこ
>にこ。
 国政においては、星刻の方が重要な部分を
 司るでしょうが、家庭においてもそういう
 風になるとは、思えないんですよねえ。
 星刻って、どこか不器用な感じがしますか
 ら。
 世間一般とは違いますが、家庭では天子様
 の方が力ありそう。
 微笑ましい、カカア天下でしょうね。

>では、無理のない範囲でCIC様の次の1粒
>をお待ち申しております。
 そう言っていただけると、嬉しいです。
 ギアスは、まだ話が作れそうな気がしますの
 で、また書きたいですね。
CIC担当
2010/10/24 23:57

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