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zoom RSS コードギアス二次小説 AFTER TURN28 黄昏 へ

<<   作成日時 : 2009/11/25 20:27   >>

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「怯むな。陣形を崩す事無く、落ち着いて対処しろ。」
 指示を出しながら、スザクは攻めかかってくるナイトメアの一隊に、ランスロッ
トを向ける。
 エナジーウィングからエネルギーの矢が降り注ぎ、シュナイゼル軍のナイトメ
アが撃破される。
「貴様の相手は、私だ!!」
 独楽のように回転し、スザクの部隊のナイトメアを蹴散らしながら、ジークフリ
ートが向かってくる。
「ヴァルキュリエ隊と黒の騎士団は、ジェレミアの麾下のナイトメアを撃破しろ。
一番手強いのはその部隊だ。」
「承知!」
「イエス、ユア・ハイネス。」
 藤堂の斬月と、ヴァレンティーネのコンクエスターが先頭になり、ニミュエ隊に
襲い掛かる。
「全騎、手近なナイトメアとペアを組め。決して単独で戦おうとするな。紅月!」
「はい!」
 紅蓮の拡散構造相転移砲が、ニミュエ隊に襲い掛かる。
 神経電位接続の高い反応速度と、ニミュエの性能を活かして全騎が回避に
成功する。
「撃て!」
 立て続けに、ヴァルキュリエ隊のハドロンブラスターに他のナイトメアの嵐の
ような攻撃が、ニミュエ隊を襲う。
 さすがに回避しきれず、数騎が撃破される。
「突撃!」
 藤堂の命令で、黒の騎士団が突撃する。
「我らも行くぞ!」
 ヴァレンティーネの命令で、ヴァルキュリエ隊も続く。

「ニミュエ隊、押されています。既に半数が撃破されました。」
「ジェレミアのジークフリートは?」
「ランスロットと交戦中。お待ち下さい。ガヘリスが戦線に加わりました。」
 鋭い視線で、シュナイゼルは戦術パネルに視線を移す。
「まさか、あれまで持ち出すとは計算外だったね…。」
 ガウェインの量産型として開発されたガヘリスは、コストが高い事以外にも操
縦者に求められる技術も高い事から量産されずにキャメロットの格納庫に眠っ
たままになり、もう使用される事はないとシュナイゼルは判断していた。
「誰だ?他に良い手駒がいるとは聞いていなかったが…。」
 さらに1騎、ニミュエが撃破された。

「ニミュエに関しては、私やカレン達で相手をしたほうが損害は少ない。そちら
の損失は?」
 専用に開発された通常のヴァリスより威力も大きいVARIS−HPでニミュエ
を仕留めながら、C.C.は藤堂の斬月に通信を入れる。
「ペアを組ませて牽制に徹する事で損害を抑える気だったが、予想以上だ。カ
レン、零番隊の損害は?」
 C.C.に答えながら、藤堂は紅蓮に通信を入れる。
「こちらの損害も予想以上です。あの機体は私達だけで相手をしたほうが。」
「そうだな。損傷の大きい機体は斑鳩に戻れ。その他の者は一旦後方に。ツヴ
ァイク卿。そちらの損害は?」
「損害はまだないが、私以外は一旦アヴァロンに戻らせるべきと考える。」
 ヴァルキュリエ隊はスザクの親衛隊だけあって技量の高い騎士で編成されて
いるが、さすがにニミュエ相手ではエナジー消費が激しく、ヴィンセントに装備さ
れた追加装備の装甲やコンクエスターユニットを破壊されていた。
 無傷なのは、ヴァレンティーネのコンクエスターだけだった。
「それがよろしかろう。しばらくきつくなるが、あのナイトメアの部隊を撃破すれ
ば、後はかなり楽になる。」
 ヴァルキュリエ隊4騎の内3騎がアヴァロンに帰投する。

「ゲレヒティカイト・ヴァルキュリエ隊。3騎が帰艦した模様。黒の騎士団も損傷
したナイトメアを含むかなりの部隊を後退させています。」
「アンダーソン隊、敵先陣を押しつつあります。」
「激戦にさらされて、枢木スザクの直属部隊といえども息切れをし始めたと考え
てよいかと。」
「そうだね。それもあるだろうね。だが…。」
『少し脆すぎはしないか?いかにジェレミアとブリガンティアナイツが相手とはい
え、百戦練磨の屈強の騎士たちが揃っている部隊にしては、押されるのが少々
早い。』
 シュナイゼルから見て、スザクの部隊が押されるのが予想より早く見えてい
た。
『だが好機でもある。危険はあるだろうが、今なら形勢をこちらに有利に持って
いくことも出来るだろう。』
「アンダーソン隊は、戦線を更に押し上げろ。敵に対する圧力を強める。クリムト
とツェムリンスキーは現状を維持。中華連邦軍に手を出させるな。メルヴィルと
モンゴメリーはその間に敵先陣の後方に回りこめ、包囲して殲滅する。我がカ
ムランも前に出る。」
「陛下…。」
 カノンもシュナイゼル同様に、今の状況を訝しく思っていた。
「言いたい事は解る。しかし、この機会、うまく活用したい。」
「はっ。」

「敵部隊さらに圧力を強めます。敵旗艦カムランが前に出てきます。」
「さらに敵後方部隊が動き出しました。このコースでは、我が軍が包囲されま
す。」
「予定通りだな。黒の騎士団は当初の予定通りに行動。ロセッティ、そちらの指
揮は任せる。」
「イエス、ユア・ハイネス。」
 スザクは直属軍の指揮をヴァレーリアに委ね、目の前に立ちはだかるジーク
フリートを見据える。

「そろそろだね…。」
 ロイドが懐中時計を手に呟いた
 ジークフリートのコンデンサに、エナジーを再チャージする時が近づいていた。
「ゲレヒティカイト・ヴァルキュリエ隊。発進準備完了しました。」
「じゃあ、発進させて。向こうも大変だろうから。」
 補給と整備を終えたゲレヒティカイト・ヴァルキュリエ隊が、アヴァロンから発艦
していく。

「この!!」
 射出機構を利用して、紅蓮の右腕がニミュエを捕らえ、輻射波動を照射し一
騎を仕留める。
「ぬうん!!」
 斬月の制動刀がニミュエを両断する。
「捉えたぞ。」
 ロヴェルのハドロン砲で牽制したニミュエに、VARIS−HPが命中する。
「伊達に、殿下からこの機体を賜ったわけではない!!」
 コンクエスターのハドロンブラスターが、ニミュエを消し飛ばす。
 残りの2騎は、補給が完了したゲレヒティカイトヴァルキュリエ隊が加わり、た
ちまち撃破された。

「何時までも構っているほど、私は暇ではない。決着をつけさせてもらおう。」
 ランスロットがMVSを両手に持ち構えるが、いつものスザクの構えではなか
った。
「その、構えは…。まさか…。」
 ジェレミアはその構えを知っていた。
「では、決着をつけよう。」
「よかろう。私に通じるか、やってみるがいい。」
 次の瞬間、ランスロットとジークフリートがすれ違う。

「やはり、そうか…。その剣は…。」
 ジークフリートから、ランスロットに通信が入っていた。
「そうだ。ルルーシュとナナリーの母、閃光のマリアンヌの剣。婚約が決まった
日、たった一度だけ、ヴァルトシュタイン卿に見せていただいた剣。」
「なるほど。その剣ならば、このジークフリートの弱点をつけるな。刹那の瞬間
に相手を仕留める閃光の如きその剣ならば…。いや…。」
 ジェレミアの頬を、額から流れた血が伝う。
 コックピットはあちこちで爆発を起こし、ジェレミアは負傷していた。
「その剣でなくとも、お前は勝てただろうに…。何故だ?」
「狂気に囚われていても、忠誠心に曇りはなかった。敵とはいえ真の騎士。そ
の騎士に対する私の手向けだ。」
「なるほど…。ナナリー様が夫として選ばれたのも頷ける。人を見る目に曇りが
ない。私と違ってな…。」
「私もかつてルルーシュを、怒りのままにその手にかけた。今の貴公と変わり
はない。ルルーシュを殺した私が憎かったのだろう?シュナイゼルの小細工と
関係なく。」
「私はマリアンヌ様をお守りする事が出来なかった。忘れ形見のルルーシュ様
の死を聞いた時、私は何としても仇を討つと誓った。そうせねば、私は私を許せ
なかった。」
「ますます変わりはない。何としてもゼロを、ルルーシュを殺すと誓ったあの時の
私と。」
「一つ頼みがある。ギアスを…、終わらせてくれ…。ナナリー様を巻き込まぬよ
うに…。」
「解った…。」
「礼を言う…。」
 ジークフリートは爆散し、通信も途切れた。

「ニミュエ隊、全滅!」
「ジークフリート、シグナルロスト!ジェレミア卿戦死!!」
「前衛、押され始めています。」
 カムランの艦橋で、オペレーターからの凶報が相次ぐ。
「隊列を維持しろ。敵を包囲する迄の辛抱だ!」
 カノンが、命令を下す。
『ジェレミアでも仕留められなかったか…。恐ろしい男だ。』
 シュナイゼルの表情は静かだった。

「そろそろ終わらせようか。ブランドリー。ジェレミアは殿下に敗れた。ここらで
決めないと、ラウンズの名がすたる。」
「ほう。やれるのか?」
 パーシヴァル右腕の爪が、ブレイズルミナスを纏う。
「やってみせるさ…。」
 トリスタンが左右の長剣を構える。
「終わるのは貴様だ!!」
 パーシヴァルが、トリスタンの胸部に狙いを定めて突っ込んでくる。
 攻撃を先に仕掛けてきたのは、トリスタンだった。
 しかし、ルキアーノはパーシヴァルのシールドで落ち着いて防ぐ。
「やはり、終わりだな!!」
「いいや、終わりはそっちだ。」
 胸部を貫こうとしていたパーシヴァルの右腕を、逆手に持ったトリスタンの左
の長剣が両断する。
 態勢を立て直そうとしたパーシヴァルが後退するタイミングを見計らって、右
の長剣がパーシヴァルを斬り裂く。
「馬鹿な…。この俺が…。」
 パーシヴァルが爆発する。
「お前は、自ら騎士の誓いを破った。そんな奴に負けるようでは、ナイトオブラ
ウンズなどとは言っていられない。」
 騎士の道を選んだ以上は、騎士の誓いを守り生きていく。
 その信念こそが、ジノの力の源だった。
 故にそれを破ったルキアーノに負ける事は、ジノには出来なかった。
「サラセン撃沈。ルキアーノ・ブランドリー卿戦死。グラウサム・ヴァルキュリエ
隊全滅!」
 ジェレミアに次ぐ切り札のラウンズの一人ルキアーノが戦死した事で、均衡
していた戦況が連合軍に傾き始めた。

「ブランドリー卿…。」
 パーシヴァルのIFFが消えた事は、アンジェリーヌも確認していた。
「天運はこちらに味方したようだな。こちらも決着をつけようか。」
 パロミデスは砲撃用ユニットをパージして、ショットランサーを構える。
 ユーウェインも、MVSを構える。
「行くぞ!!」
「私とて、負けるつもりはありません!!」
 2機がすれ違う。
「この一撃で!!え!?」
 コックピットのモニターに映ったのは、ユーウェイン目掛けて投げつけられたM
VSの切っ先だった。

「成る程。これが、貴方の詰めの一手だった…。」
 自らの身を貫いている、MVSを見ながらアンジェリーヌは敗北を受け入れて
いた。
「そういう事だ。少々詰めが甘かったな。」
「ええ、本当に…。けれど、私の最大のミスは、流れる血に抗えなかったという
事…。スザクを認めていたつもりだった。でも、その先にある変化を認められて
いなかったのかもしれない…。だから、こうして貴方と敵対している。でも…、貴
方は違った。受け入れる強さを持っていた…。」
 ユーウェインが爆発を起こし、四散する。
「そうでもないさ。私はただ、私のままでいただけだ…。」
 ノネットは振り返らず、機体を駆る。

「どうやら、弾切れのようだね。そろそろ決着といこうか。」
「このラモラックと、私を舐めないでいただきたい!!」
 MVSを手に、ラモラックが突撃する。
『狙うは、ただ一点…。』
 エリファレットは、エクターのコックピットの中で冷静にラモラックの動きを見つ
めていた。
「そこだ!」
 MVPが、MVSを振り下ろそうとするラモラックのコックピットを、貫く。
「お見事ですね。ナイチンゲール卿。さすがは帝国随一の槍術の使い手…。」
 賞賛したモニカの口から、血が溢れ出る。
「それだけでないよ。心の…、想いの力が、勝敗の命運を分けた。そう思う。」
「相変わらず甘い…。まあいいでしょう。どこまでもその想いを貫いてごらんな
さい…。」
「言われなくても、そうするよ…。」
 ラモラックが爆発四散する。

「エクトル撃沈。アンジェリーヌ・ベルリオーズ卿戦死。」
「メレアガンス撃沈。モニカ・クルシェフスキー卿戦死。」
『こちらの手札は、全て失われたか…。』
 戦術パネルを見つめながら、シュナイゼルは着実に近づいてくる、自らの敗
北を感じていた。
「こちらの包囲網は、完成しつつあります。ラウンズとジェレミアを失ったのは痛
手ですが、全体としてはこちらがまだ優勢です。」
「だと、いいがね…。」
 強気の意見を言うカノンに、シュナイゼルはどこか力が抜けたように呟いた。

「よし、頃合だな。一旦後退。」
 星刻が軍を、ひとまず下げる。
「よし、前進。艦首ハドロン砲用意。」
 藤堂が、指示を出す。
「艦首ハドロン砲、エネルギー充填完了。拡散範囲調整完了。敵軍、射程距離
に入りました。」
「発射!」
 斑鳩の艦首ハドロン砲が、展開していたシュナイゼル軍を薙ぎ払う。

「罠…。」
「彼らの後退の狙いは、これか。一気に我が軍を薙ぎ払える範囲に展開させる
為の、トラップ。こんな手に引っ掛かるとはね…。」
「アレクサンドル撃沈。クリムト将軍戦死!」
「フリードリヒ撃沈。ツェムリンスキー将軍戦死!」
「メルヴィル、モンゴメリー将軍は健在です。しかし、双方共に部隊の3割以上
の損害を出しています。戦線を維持できません!」
 ラウンズの戦死に加えて、前衛を押さえ込んでいた部隊の指揮官の訃報が、
報告される。
「メルヴィル、モンゴメリーの部隊は後退しつつ陣形を再編成。アンドレフ、デニ
ーキンの部隊はどうか?」
「敵本陣、我が軍を押し返しつつあります。」
 シュナイゼルの質問に、最悪の返答が帰ってくる。
「ハドロン砲の発射が、合図にもなっていたのか…。」
 戦術パネルには、コーネリアが指揮する本陣の部隊が、シュナイゼル軍を押
し返していく様が、映し出される。

「よし、ギルフォード、クレイン、ターナーを前衛に陣を押しだせ。ガーシュイン卿
とアールストレイム卿は、突進してくる敵の側面をつけ。この機に攻勢に転ず
る。」
 シュナイゼル軍の別働隊の疲労がピークに達したと判断したコーネリアは、ス
ザクから送られてきた作戦案に従い、攻勢に転じた。
「ガーシュイン卿に伝えよ。家族の仇、存分に討つがよいと。」
「イエス、ユア・ハイネス。」
 均衡がついに崩れ始めた。

「家族の仇、討たせてもらう。」
 出力を強化されたハドロン砲が、シュナイゼル軍の戦列に穴を穿つ。
 ガーシュインはノーフォーク出身で、実家は軍港近くにあった。
 本当は領地に家族を呼び寄せるつもりだったが、長年住んできた地に愛着を
持つ家族達は今のままの暮らしを望み、彼女もそれを尊重した。
 その家族は、フレイヤで跡形もなく吹き飛んだ。
「シュナイゼル。私はお前を赦さない。」
 先頭に立ち、穿たれた穴から戦列を引きちぎりにかかる。

「アンドレフ、デニーキン両部隊。敵本陣に押されています。」
「敵先陣。後退しつつ陣形を再編。」
『何故だ?陣形の再編の必要がある事は認めるが…。』
 考え込んだシュナイゼルの頭に、その答えが浮かぶ。
「こちらも後退。今、味方と合流するのはまずい。」
「駄目です。味方の後退速度が予想以上に速く、合流を避けられません。」
 押し返されて、統率もままならない別働隊は、秩序を回復できないままシュ
ナイゼルの本隊と秩合流し、シュナイゼル軍全体に統率の乱れが広がった。

「全軍、突撃。」
 スザクがランスロットを駆って、真っ先にシュナイゼル軍の戦列に突っ込む。
「殿下に続け!」
 ヴァレンティーネが、ヴァルキュリエ隊を率いて続く。
 続いて、鶴翼の陣に再編が終了したブリタニア軍が、シュナイゼル軍を包囲
して、攻撃を加える。
「損傷の激しい部隊は内側に。他の部隊で防衛線を敷け。枢木が再び来るは
ずだ。彼を討ちさえすれば、戦況は再び我が方に有利になる。」
『しかし、そう上手くいくか…。』
 指示しつつも、自信を持てないでいるシュナイゼルがそこにいた。

「よし、本陣の前衛は敵正面に砲火を集中せよ。突破口が開け次第、敵旗艦
を沈め一気に勝負をつける。」
「はっ。ギルフォード、行け!!」
「イエス、ユア・ハイネス。」
 コーネリアはギルフォードに命じて、突破口を開かせる。
「全艦、砲火を一転に集中しろ!穴を穿つのだ。」
 ギルフォードの命で、親衛隊の艦砲射撃が一点に集中される。
 浮遊航空艦にはブレイズルミナスが装備されているが、防御できる限界を超
えて装甲を食い破られ、次々と撃沈していく。
「アティラリー部隊は、敵を牽制。突入部隊の援護を!突撃!!」
 ギルフォードはイゾルデの予備パーツを使用して限界までチューンされたヴ
ィンセントを駆り、シュナイゼル軍のナイトメア部隊を蹴散らしていく。

「敵陣に穴が開きました。」
「よし、最後の一撃だ。EU方面軍に暗号を打電。」
「はっ。」
 スザクの命を受けて、エセックスからEUのシャルンホルストに暗号が送られ
た。
「ようやく、デザートか。よし、軍を押し出せ。芝居を打つぞ。」
 シャルンホルストは一部の部隊を残して軍を大西洋上に集結させて、さも侵
攻するような振りをさせる。

「EUの敵軍からの通信を傍受。平文です。」
「平文だと?」
 傍受される事が確実な平文での通信に、シュナイゼルが疑問を持つ。
「内容は?」
「はっ。本土への侵攻準備完了。指示を待つ。以上です。敵軍司令官シャルン
ホルストからの通信です!」
「…。その通信、我が軍に知られぬようにしろ!急げ!!」
 スザク達の意図を察したシュナイゼルが、味方に知られぬよう指示を出した。
「駄目です!!既に、全軍に伝わりました。」
『とどめの一撃か!』
 戦術パネルには、動揺し統率が更に乱れたシュナイゼル軍が映っていた。
「アールストレイム卿、ガーシュイン卿の部隊は更に前進。包囲を完全な物に
せよ。前衛はそのまま攻撃を続行。あと一押しで、敵軍は瓦解する。」
 コーネリアの命令に従ってブリタニア軍は両翼を伸ばし、シュナイゼル軍を
完全に包囲する。
 シュナイゼル軍の前衛は完全に崩れ、浮き足立っていた。

 ランスロットがスーパーヴァリスを両手に構える。
 ハドロン砲が展開され、上下に装備されたヴァリスも展開される。
 エナジーウィングの光の矢と共に、スーパーヴァリスの引き金が引かれる。
 スーパーヴァリス・バーストモード。
 ハドロン砲とヴァリスを一斉に発射する、広域砲撃モードである。
 光の矢と共に、ハドロン砲とヴァリスがシュナイゼル軍のナイトメアと航空艦
を沈める。
「これで終わらせるぞ。全軍、突撃!!」
 ランスロットを先頭にギルフォードらの部隊も突撃し、前衛は完全に崩壊す
る。
 両翼もアーニャ達に攻め込まれて、崩される。
『勝敗は決したか…。』
 戦術ディスプレイに映る自軍が崩壊する様を見て、シュナイゼルは敗北を受
け入れていた。
「直撃、来ます!!」
 カムランに砲撃が命中する。

「敵軍からの、降伏の申し出はありませんか?」
「いえ。ございません。」
「そうですか…。」
 コーネリアの答えを聞いたナナリーは、悲しそうな表情になった。
 戦いには素人のナナリーでも、もはや勝敗は決した事は解る。
 できれば降伏して、無駄な血を流さぬ事をシュナイゼルが考える事を望んで
いた。
「カムランに砲撃が命中。少なからず損害を加えたとの事です。」
「うむ。終わったな…。」
 静かに頷いたコーネリアは、ナナリーを見てから戦術ディスプレイに視線を移
した。
 シュナイゼル軍は、もはや集団としてのまとまりを維持する事も不可能になっ
ていた。

「陛下…。ご無事でしたか…?」
「ああ…。君のおかげだ。いつも、すまないね…。」
「いえ…。私は陛下に忠誠を誓った身…。これぐらい…。」
 言い終わる事ができずに、カノンは息を引き取った。
 カムランはかなり被弾しており、幕僚やオペレーターもほぼ全て戦死してい
た。
「通信機器がまだ生きていてくれると、嬉しいが…。」
 操作して使用可能である事を確認したシュナイゼルは、ランスロットにメッ
セージを送る。
「結局、届かない物は届かないのか…。それでも求めてしまうのが、人の性な
のかな?それとも私の性かな…。」
 シュナイゼルが反旗を翻したのは、世俗的な理由ではなくシャルルに世界を
支配されるのが好ましくないと考えたからなのだが、それが全てではなかった。
 生まれつき優秀な素質を持っており皇族であったシュナイゼルは、手を伸ば
して手に入れられない物はほとんどなかった。
 第二皇子とはいえ、オデュッセウスを排除し実質的な皇太子になることなど
造作も無かったが、それにシュナイゼルは喜びを見出せなかった。
 そして、いつからか手が届かない物を欲していた。
 それがスザクだった。
 優秀な騎士であるスザクを手に入れようとしたが、ユーフェミアが専任騎士に
したり、シャルルがナイトオブラウンズの1人に加えたりと、常にシュナイゼルの
手に収まる事が無かった。
 最後には、ナナリーの夫となり敵同士になっても、2人の優しさを逆手に取る
形で自分の物にしようとしたが、それすらも叶わなかった。
『だが、不思議と悪い気分ではなかった。残念ではあったのだが…。ああ、そ
うか…。』
 シュナイゼルは小さく笑った。
『届かない物を欲していたがそれを手に入れたいわけではなく、いつまでも手
を伸ばしていたかったのか…。届いてしまっては、今までと変わりはないのだ
から…。』

「カムラン撃沈確認。」
「脱出艇は確認されたか?」
 オペレーターの報告を聞いて、コーネリアは質問する。
「脱出は認められません。」
 それを聞いたナナリーは、悲しげな表情になる。
「陛下…。」
「解っています。敵軍に降伏勧告を。これ以上戦う意味はありません。寛大な
る処遇を約束すると伝えなさい。」
「敵軍より入電。降伏の申し入れです。」
 ナナリーが降伏勧告を命じたと同時に、シュナイゼル軍の残存部隊から降
伏の申し入れがあった。
 スクリーンに映ったのは、シュナイゼル麾下の将軍メルヴィルの副官ゴー
ルディングだった。
 シュナイゼルの麾下にいた六人の将軍の内、クリムト、ツェムリンスキー、
アンドレフ、デニーキンは戦死。
 メルヴィル、モンゴメリーは勝敗が決した際に自決。
 モンゴメリーの副官クリスティも自決していた。
 従来のブリタニア治世では、反逆者は例外なく死罪となっている。
 それ故の将軍達の自決と、コーネリアは理解していた。
 しかし、ナナリーの顔色は決して良くはなかった。
「降伏を受け入れます。別命あるまで謹慎。勝手なまねをしてはなりません。
いいですね。」
 ゴールディングは黙って頭を垂れた。

「コーネリア。反逆に加担した者の家族は、旧来の法ではどうなっていました
か?」
「13歳未満の子供以外は、全て死罪となっておりました。」
「すぐに声明を。例え反逆者の家族であろうとも、私の治世では死罪にはしな
いと。」
「イエス、ユア・マジェスティ。」
 コーネリアはナナリーの言葉を声明として伝えるよう、オペレーターに命令
する。
『しかし、おそらくは…。』
 コーネリアの予測どおり、将軍達の家族は幼子を残して全員自害していた。
 さらに、シャルンホルストからの通信でヒューム、アーバスら本土に駐留し
ている軍を指揮していた将軍たちも家族と共に自決していた事が伝わり、ナナ
リーは愕然とした。

「陛下の御様子は?」
 スザクは七星に通信を入れ、星刻と話していた。
「今は落ち着いておられます。今回の事態、私は予測していましたが、陛下に
はやはり過酷だった様です。」
 ナナリーが落ち着きはした物の、スザクの表情はよいとはいえなかった。
「無理もありますまい。おそらくナナリー陛下は、他の将軍たちを厳罰に処し
ても死罪になさるおつもりはなかったのでしょう。だが…。」
「陛下のお気持ちは理解していますが、さすがに将軍達は死罪にする他はな
かったでしょう。特赦を加える理由がありません。」
「それ以外になかったでしょうな。内外に対し示しもつかない。」
「仰るとおりです。軍人としては、そうするべきと考えますが…。」
 スザクが口ごもる。
「夫としては、やはり複雑ですかな。」
 星刻が小さく笑う。
「必要とはいえ、妻が辛そうに処刑命令書にサインをする姿を想像するのは、
やはり…ね。」
「同感です。私とて、妻の、麗華の同じような姿を想像するのは辛い…。」
 かつては敵同士だったスザクと星刻は、すっかり気心の知れた仲になって
いた。
 それだけに、互いの考えている事が解る事もある。
「とにかく、これで世も静かになりましょう。後は、このような事態にならぬ
よう、我々がしっかりと妻を支えてゆけばいい。」
 気を取り直したように、星刻が話す。
「ですね。そうするとしましょう。では。」
 スザクが頷き、通信が切れた。

「洛陽に連絡。我ら勝利せり。」
 星刻は洛陽に戦闘終結の報入れるよう、命じる。
 私室に戻った星刻は、麗華の髪をしばし見つめていた。

「天子様。たった今、連絡が入りました。戦いは連合軍勝利との事です。」
 霊廟で祈る麗華の元に、文官が勝利を報告する。
「そうですか。ご苦労でした。」
 文官が立ち去る足音を聞いて、麗華は星刻の髪をしばし見つめていた。

「ようやく、フルコースを平らげ終わったか…。」
 外の景色を見ながら、シャルンホルストは呟く。
「後は、EUの復興だけですな。」
「ディートハルト、情報工作の件ご苦労だったな。」
「これが、私の仕事でしたので。篠崎もよくやってくれた。」
「私の務めでございます。」
 今回の戦いで、情報工作を一手に担っていたディートハルトと、EUでの隠密
活動に従事していた咲世子がシャルンホルストの傍らにいた。
「後は、我等の処遇だけか…。」
 千葉が空を見上げる。
「とりあえず死刑はないと思うけどね。後は、今後の身の振り方か…。」
 朝比奈も空を見上げる。
 皇暦2019年5月11日。
 プトランの会戦でシュナイゼルが反旗を翻した事に端を発した一連の戦いは、
幕を閉じた。

 戦闘が終結して2ヵ月後、ナナリーはペンドラゴン宮で執務を行っていた。
「陛下。没収した財産の詳細です。目をお通し下さい。」
 財務尚書グレシャムが、シュナイゼル一派から没収した財産についての資料
を提出する。
「多いですね…。」
 わずかに残った将軍達の遺族の為に残した物を差し引いても、没収した財産
は膨大なものだった。
「反乱に参加した者は、全て爵位を所有する貴族たちばかりでしたので。」
「自ら命を絶った人たちのことです…。」
「申し訳ありません。思慮に欠けておりました…。」
 ナナリーの言葉に見当違いの事を言っていた事に気づいたグレシャムは、跪
いて謝罪する。
「私の責任でもあります。戦いの前に、宣言すべきでした。」
 沈痛な面持ちのまま資料に目を通し続けるナナリーに礼をして、グレシャム
は執務室を去る。
「あまりに、多すぎた…。」
 そう口にして、ナナリーは悲しげに溜息をつく。

「では、各エリア駐留軍の段階的縮小については以上のように。」
 スザクはコーネリアら軍首脳と共に、各エリアに駐留軍の縮小について会議
を開いていた。
「これで損害を受けた本土駐留軍の補充はできますが、軍備の縮小について
はまだよろしいのでは?」
 ギルフォードが意見を言う。
「いや。本土の傷痕は深い。復興の為の労働力の確保は出来うる限り早く進
めておきたい。」
「私も賛成です。ギルフォード。お前の懸念は理解できる。が、中華連邦やE
Uに不審を抱いたままでは、これからの外交にも影響が出る。向こうとて、こ
れから戦を仕掛けるような事は、まず無い。その為の条約だからな。」
 国内の整備を進めているブリタニアの軍事力は、以前に比べて少なからず
弱体化している。
 三国の条約の事があっても、つい最近まで敵対していた国に対する不審が
ギルフォードにはある。現在もコーネリアの専任騎士である身としては、どんな
小さな不安も考慮する必要があった。
「来月には、最初の会談。それが終われば、不安も取り除けるだろう。その為
の布石でもある。いつまでも旧来依然のままでは、国家間の信頼関係に影響
を及ぼしかねない。そういう意味でもある。各エリアの独立と、その後の事もあ
る。」
「申し訳ありません。出すぎた事を申しました。」
 ギルフォードが謝罪する。
「いや、構わない。もうすぐ力量にふさわしい地位についてもらう事になるだ
ろう。その時には今のように積極的に意見を言ってくれなければ、困るから
ね。」
 今まで、コーネリアを支える立場にあったギルフォードだが、これまでの功績
と力量、人材不足を鑑みて、スザクは表舞台に立つにふさわしい地位につか
せる事を考え、ナナリーからも承認を得ていた。

「ナナリー、大丈夫かい?疲れているんじゃないか。顔色があまりよくない。」
 ペンドラゴン宮の部屋の一つで休憩を取っているナナリーの元に、スザクが
戻る。
「大丈夫です。私は皇帝。義務は果たします。」
 自分を気遣ってくれるスザクの気持ちに嬉しさを感じながら、ナナリーは疲れ
を振り切るかのように微笑む。
「それはそうだけど、こういう時は僕に寄りかかってくれると嬉しいな。僕達は夫
婦だ。助け合って当然だよ。」
 そう言って、ナナリーを優しく抱きしめる。

 翌月、EU、中華連邦、日本の首脳がネオウェルズを訪れて、最初の会談が
開催された。
 その席で、各国の軍備制限、復興状況、各植民エリアの独立に向けての状
況が報告され、今後についての論議が交わされた。
 その中で、国際平和の確立に向けての各国の協調が確認され、最初の会談
としては各国とも満足できる結果が出て終了した。

 会談が終了して帰国する各国の使節団を、ネオウェルズの空港から見送った
日の夜、スザクは一人謁見の間にいた。
 爆破されて瓦礫の山と化していた謁見の間は修復されている。
「やはり、ここは前のままか…。」
 巧妙にカモフラージュされた、隠し通路の入り口を開けた。
『あの時送られてきたメッセージ、それに神根島で聞いたC.C.の話。それを判
断材料にした結論は…。』
 通路をスザクは真っ直ぐに進む。
 そして、その先に2人の人物がいた。

「やはり、貴方は生きていたのですね。先帝陛下。それとも義父上と呼んだほ
うがよろしいですか?」
「そんなことは、どうでもいい事だよ。ようやくブリタニア家の悲願をかなえること
ができる。」
 V.V.が歌うように喋る。
「ようやく来たな。ワイアードの一族の長よ。それとも剣の一族の長といったほう
が良いかな?いずれにせよ。これで始まるぞ…。」
 どこか歪んだような笑顔になる。

「ラグナロクの接続がな!!」

後書き
シュナイゼルとの決着がつき、クライマックスに向かうのが今回の話です。
スザクの戦術は、今回は心理戦がメインとなっています。
露骨に隙を見せても、シュナイゼルは引っ掛からないでしょう。
あえて、引っ掛かるように心理的に揺さぶる。
それが、最終局面のスザクの策でした。
前回動かなかったEU軍も、その一翼を担っています。
さて、シュナイゼルのお話をさせていただきます。
どうにも、シュナイゼルという人物が掴みきれずにいて、ふと考えたのが何かを
目指しているようで、じつは何も目指していないように見えたのです。
アニメでも、どうにも世界平和を目指しているように見えて、どこか違うようにず
っと感じていました。
そこから、私の描くシュナイゼルは「手の届かない何かを手にしようとしている」
人物になっています。
シュナイゼル麾下の将軍の末路は死と決めていましたが、どういう風にするか
はずっと悩みました。
最初はナナリーの命で処刑とするつもりでしたが、どうにもナナリーに似合わな
いように思えて、最終的に自決にしました。

さて、いよいよクライマックスです。
実は、タイトルが決まっていません。
体調不良とスランプで、相当間が空いてしまいましたが今度は出来る限り早く
書き上げたい物です。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
シュナイゼルが執着しているのはルルーシュでは?
まさかシュナイゼルタイプの人間が「体力バカ」を相手にするとは思えませんしね。
nana
2009/12/06 01:32
nanaさん。
ありがとうございます。

>シュナイゼルが執着しているのはルルーシ
 ュでは?
 あくまで、私の二次創作の中ではシュナイ
 ゼルは、スザクに執着しているんです。
 本編でも、シュナイゼルがルルーシュに執
 着しているとは、私自身あまり感じられな
 かったですね。
CIC担当
2009/12/06 16:34
とても面白いです!他の二次創作作品とは違って登場人物に人間味を感じます。細かく描写された戦闘など、もう興奮が止まりません!ギアスはメカがかっこいいのにあまり活躍しませんでしたから、勿体ないと思ってたんです(*_*)って場違いな意見ですみません(汗  続き楽しみにしています(>_<)それでは。
千晶
2010/03/03 21:47
千晶さん。
コメントありがとうございます。

>メカがかっこいいのにあまり活躍しませんでし
 たから、勿体ないと思ってたんです
 ナイトメアでの戦いは、戦略目的を達成する仕
 上げをする為に、戦術面で目的を完遂する手段
 だっと思っています。
 凡そ、戦いは戦略面で勝利した者が勝ちますか
 ら、それ故でしょうね。

 続きは現在執筆中です。
 出来る限り早くUPするつもりです。
CIC担当
2010/03/06 21:27

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