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zoom RSS コードギアス二次小説 AFTER TURN24 ギ ア ス

<<   作成日時 : 2009/02/08 22:29   >>

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「ふむ。思ったよりも損害が大きいね。相手が相手だけに仕方がないかもしれ
ないが。」
 皇帝用の執務室で、カノンから渡された、本国攻略の損害の報告書に目を通
しながら、シュナイゼルはやや眉をしかめる。
 チェサピーク会戦において、ブリガンティアナイツで編成される、ニミュエ
隊の半数が失われた。会戦に勝利して、降伏したブリタニア軍を加えたとはい
え、降伏するまでに半数に及ぶ損害を与えている。
 ネオウェルズでの戦いにおいても、5騎のニミュエを失い、フレイヤ、ジー
クフリートにならぶ戦力の、ニミュエ隊は既に当初の約半数である。
 蜂起した部隊も、本国へ残さなければならない為、外征できる部隊は87個
師団であり、日本に駐屯しているロシア州への遠征軍より、若干多い程度であ
る。
「軍の再編成や、行政機構の整備にも時間がかかりましょう。」
 主だった、優秀な文官は、ナナリーが即位した際に、ジュリアスが作成した
リストに記され、日本にいる。
 シャルルの元で尚書の任に就いていた者は、シュナイゼルの元で任につくの
を拒否し、自決した者までいる。
 故に、シュナイゼルは、行政機構の整備を人選から始めねばならなかった。
 さらに、全ての軍を国軍として機能させる迄、まだ時間が必要である。
「最低でも、1ヶ月は必要だろうね。」
 報告書を読み進めながら、シュナイゼルはそう結論付けた。
「出来る限り、急がせます。」
「頼む。場合によってはナナリーたちと戦わなければならない。属領エリアや
各国への対応も並行して進めてくれ。」
「承知いたしました。」
 カノンが執務室を去る。

「本国が制圧されたとなっては、シュナイゼルとの決戦は時間の問題でしょう。
戦いを優位に進める為の策を持つ人はいませんか?」
 本国を制圧され、実質ブリタニアの政治機構の中枢となっている、東京の政
庁では、夜間にも関わらず会議が行われていた。
「陛下、ノーフォーク軍港にフレイヤが使用された映像を使ってみては、如何で
しょうか?いずれは、制圧される可能性を示すサインを送るのには、うってつけ
と存じますが。」
 ゲインズバラが発言する。
「しかし、それは諸刃の剣だ。恐怖におののいた国や属領エリアが、シュナイ
ゼルの元につく可能性も、否定できない。」
 クレインが逆効果になる可能性を、指摘する。
「親書を送った各国からの返答は?」
 ジュリアスが、国務尚書のヤコブセンに尋ねる。
「今のところは、まだ。」
「そうか…。」
 ジュリアスは、シュナイゼルがブリタニア本国を制圧した事が、各国にどれ程
影響を与えるかを考えていた。
『事と次第によっては、こぞってシュナイゼルを支持する可能性もある。』
 ジュリアスは、その懸念に対する答えを親書の返事に見出そうとしていた。
「話は変わりますが、陛下。ロシア州からの申し出をいかがなさいますか?」
 会議が始まる前、ロシア州から会談の申し入れる旨の親書が到着していた。
「宰相はどう考えますか?」
「私個人の意見としては、やって損はないかと。向こうの思惑は我が国と同盟
を結び、EUを奪還する事である事は疑いありません。それを利用して、シュナ
イゼルとの戦いを有利に進めることは可能と考えます。」
「スザク。貴方はどう見ますか?」
 ジュリアスの意見を聞いて、ナナリーはスザクの見解を聞こうとする。
「私も宰相の意見に賛成です。本国の奪還作戦の際に、彼らに動いてもらう必
要があると考えておりますので、その環境を作ることができればと、考えます。
その際に、どうしても知っておきたい情報がありますので、それを知る事が出
来ればと期待を持っております。」
 スザクも賛成の意を示す。
「スザク殿下。一つ、お聞きしてもよろしいでしょうか?」
「何かな?ギルフォード卿。」
「殿下が頭に描かれている、本土奪還作戦とはいかなる物でしょうか?概要け
でも、知りたく思うのですが。」
「そうだな。皆も知りたいだろう。」
 スザクは本土奪還作戦の概要を、話し始めた。

「成る程。たしかに、彼らに動いてもらう必要が、ありますな。」
 ギルフォードが納得したように頷く。
「まあ、動かなくても、中華連邦が日本を攻めないという約束を取り付ければ、
それだけでもいいけれどね。向こうとしては、動かなくては取り戻せない。」
 皆が納得して、頷く。
「後は、シュナイゼルの動き次第ですな。」
 クレインの言葉に、スザクが頷く。
「そうだな。本国には文官を呼び寄せる際に、スパイを送り込んでいる。何か
あれば、情報が来る。それを待とう。」
 その時、文官が会議の場に入ってきた。
「何かあったか?」
 慌てた様子の文官に、コーネリアが尋ねる。
「ちゅ、中華連邦から親書が届きました。」
「こちらへ。」
 ナナリーが受け取り、点字で記された親書を読む。
「我が国との会談を、したい。そう記されています。」
「中華連邦が…。」
 シュンペンターが驚きの声を上げると、皆が隣の人間と議論を始める。」
『こちらと同盟を結び気か?いや、まだそう決めるには早計か。こちらの様子を
見るだけにするつもりか。だが、好機ではある。これで、不可侵の約束を取り付
ければ、本国の奪還作戦がスムーズに進められる。』
 議論を聞きながら、スザクはこの会談を実りあるものにしようと、考えていた。
 しかし、そう考えているスザクは、思いもよらぬ事を聞く事になる。
「親書には続きがあります。会談には黒の騎士団からも代表者が出て、臨席す
るとの事です。」
 それを聞くと、会議の場は騒然となる。

 コーネリアは無言だが、その表情は怒りに満ちている。
 皇族としての身分を捨てる決意をして、特区日本の設立に奔走したにも関わ
らず、ゼロによって、虐殺を行った魔女に仕立て上げられ、非業の最期を遂げ
たのだから無理も無い。
 スザクにとっても、嘗ての主君で初めて愛した女性である。ユーフェミアを殺さ
れた事は今でも忘れておらず、黒の騎士団に対しても良い感情など、欠片も持
ち合わせていない。
 目を閉じ、沈黙していたが雰囲気からコーネリアに負けず劣らず、怒りに満ち
ている事は、言うまでも無い。
「この件について、意見のあれば遠慮なく仰ってください。」
「危険です。亡きユーフェミア皇女殿下の事をお考え下さい。陛下を暗殺すると
も限りません。」
「その上で、日本を乗っ取るか。奴らならやりかねんな。」
「中華連邦め、何を考えておる?」
 ナナリーが発言を求めると、皆が一斉に反対の意見を述べる。
「しかし、中華連邦との会談は必要だ。黒の騎士団の意図は解らないが、会談
の申し出は受け入れるべきだろう。」
 目を閉じ、一言も発しなかったスザクが、目を開いて静かにそう言った。
「しかし、殿下。」
「無論、黒の騎士団に対する備えはする。ダールトン卿に命じて、親衛隊から選
りすぐりの者を、陛下の護衛に就ければよいだろう。中華連邦に対しても、黒の
騎士団が、過去この地において何をしたか思い出しておくよう、伝えるよう求め
る。この程度なら、向こうとて拒みはしないだろう。まだ護衛に不安があるなら、
我が麾下のゲレヒティヒカイト・ヴァルキュリエ隊を就ける。それで、どうかな?」
 スザクが、皆を順番に見る。
「お待ち下さい。ゲレヒティヒカイト・ヴァルキュリエ隊は、殿下直属の親衛
隊。もし、殿下の身辺から離れた場合、殿下をお守りする事が出来ません。」
 ターナーが反対の意見を言う。
「直属軍で、殿下直属部隊から、護衛を選んでは如何でしょう?我らとて、今
まで、殿下と共に戦い、生き残ってきました。武勇はそこらの部隊には遅れを
取りません。」
「それでいくしかあるまい。何はともあれ、陛下の身辺を固めるのは現在の、最
優先事項だからな。」
 ヴァレーリアの意見に、コーネリアが賛同する。
 しばらく、議論が続いたが、会談の申し入れを受け入れる事になった。

「そうか。会談が実現したか。」
「明日、夕刻。日本に到着するスケジュールになっている。だが、向こうの黒
の騎士団に対する不信感は予想以上だ。その事は頭に入れておいてくれ。」
「承知している。」
 通信が終わった藤堂は、黒の騎士団の千葉や朝比奈といった指揮官級のメ
ンバーを招集する。
「会談が実現する。明日の朝に出発し、中華連邦の使節と合流。日本に着くの
は夕刻だ。」
「会談に参加するメンバーは、誰になさいますか?」
「まず、私だ。それにディートハルト、副司令、紅月、アルベニス。以上で考えて
いる。千葉と朝比奈はその間、部隊を預かっていてくれ。マルケスとよく相談し
てな。」
「「承知。」」
「司令、ナナリー皇帝は、ロシア州のEU奪還作戦に協力してくれるでしょう
か?」
 元スペイン州の軍人で現在は亡命し、参謀を務めている、フアン・アルベニ
スが藤堂に尋ねる。
「本国を奪還する為には、中華連邦とロシア州が、日本に攻め込まないことが、
絶対条件だ。それを取り付けるためには、ある程度の見返りが必要な事ぐらい、
向こうとて理解しているはず。反対する事はまずありえまい。後は、我らが信
頼を得られるかだ。」
 黒の騎士団で、日本人は日本独立のために今まで戦っていたが、元EUの軍
人は、EUを守る為にシャルンホルストの勧めで、黒の騎士団に加わっている。
 彼らがシュナイゼルに奪われたEUの事を考えるのは、至極当然の事である。
「いずれにしろ、会談当日で全てが決まる。」
 部屋にいるメンバーを見回して、藤堂が言う。

「連絡はこちらにも来ています。これで、中華連邦との足並みが揃えられる。」
 藤堂はシャルンホルストに通信を入れていた。
「ですが、肝心なのはこれからです。我ら黒の騎士団に対し、スザク皇配、コ
ーネリア皇女。この2人はさぞ憎悪を持っているでしょう。最低限、今度の戦い
で信頼できると思わせなければ、なりますまい。」
「そうですな。こちらも、あまり高い見返りを求めていると見られないようにしなけ
ればなりますまい。そうでなければ、シュナイゼルに奪い取られたEUを取り戻
す事は出来ない。我が軍単独では、一蹴されるだけですからな。」
 シャルンホルストの言う事に、藤堂は頷く。
 40個師団に満たないロシア州の軍が、単独でEU奪還に動き出しても、再
起不能になるまで叩きのめされるのは、明らかである。
「そうならぬ為にも、ナナリー皇帝との会談が必要になりますな。歩調を合わ
せることが出来れば、奪還のチャンスはある。」
「その通りです。いずれにせよ。後は会談の日に、全てが決まる。」
「そうですな。では。」
 通信が切れる。

「さて、メニューを組む用意はできた。後は、実際に組んで調理できるか
か…。」
 執務室から外を見ながら、シャルンホルストは会談の行方に思考を巡らしてい
た。

「では、行ってくる。留守を頼む。」
「はっ。お気をつけて。」
 横須賀の軍用空港から、カールレオン級航空浮遊艦、グローテフェントが出港
した。
 乗っているのは、スザクとC.C.。それにランスロットを搭載しているので、ロ
イドとセシルもいる。
 目的地は神根島。
 シュナイゼルとの通信の後の出来事が、関係していた。

「貴様が、ギアスをルルーシュに与えたのか!!」
 C.C.が、ルルーシュにギアスを与えた事を聞くと、コーネリアは激昂し腰の
剣に手を掛ける。
「義姉上、落ち着いてください。今は話を聞くほうが先です。剣は私が先に咽喉
元に突きつけておきました。」
 スザクがコーネリアを落ち着けようとする。
「解った…。話だけは聞いてやる。それで、何を話そうと言うのだ。」
「ここでは込み入った話は出来ない。ある場所に行ってもらう必要がある。」
 コーネリアの態度を予想していたC.C.は、先を話す。
「場所は?」
 スザクが尋ねる。
「神根島。そこでなら、込み入った話が出来る。」
「神根島?ルルーシュが東京での決戦の際、向かった場所か。」
 コーネリアは、2年前の戦いを思い出していた。
「そうだ。ついでにいうと、あそこで話が出来るのは、スザクだけになる。他
の者がいると、不可能だ。」
 ついていくつもりだった、コーネリアはそれを聞くと、険しい表情になる。
「義姉上、御心配には及びません。必ず、帰ってきます。」
「…解った。」
 しぶしぶといった表情で、コーネリアは承諾した。
 こうして、神根島に行くことが決定した。
 アヴァロンでは目立ちすぎるので、配備数の多いカールレオン級の一艦を使
用する事になった。

「再び、剣を突きつけられるとはな…。」
 スザクの部屋で、C.C.がそう言いながら、紅茶を飲んでいた。
「君がルルーシュにギアスを与えた事で、様々な人に苦しみや悲しみがもたら
された。義姉上もその一人だ。当然だろう。」
 そう、スザクが言うと、C.C.は自嘲気味な表情になった。
「そうだな…。そうだったな…。解っていたつもりだったのだがな…。」

「やれやれ。やっと、太陽炉の調整が終わりそうなのに、何だか、騒がしいよ
ね〜。スザク君も何でこんな辺鄙な島に来るのか、教えてくれないしさ〜。」
 ロイドは、格納庫で調整中のランスロット・アルビオンを見ながら、ぼやい
ていた。
「ロイドさん。もう、スザク君なんて呼んじゃだめですよ。れっきとした皇族になら
れたのですから、スザク殿下とお呼びしないと。」
 セシルが窘める。
「え?何かまずいの?キャメロットでは階級は気にしないのがルールでしょ?」
「それとこれとは、問題がちがいます。まあ、それは置いて、本当に良かったん
でしょうか?」
「何がだい?」
 不思議そうに、ロイドがセシルを見る。
「確かに、間もなく太陽炉の調整は終わります。そうすれば、ランスロットは性
能をフルに発揮できますが。それだと、殿下にもかなりの負担が…。」
「本人がそれでいいって、言ってるんだから、仕方ないよ。第一、前の稼動デー
タを見ても、まだまだ余裕があったしね。これぐらいじゃないと。それに、せっか
く、アロンダイトの調整も終わったんだしさ。」
「それは…、そうですが…。」
 セシルの視線の先には、新たに開発された太陽炉対応のMVS、アロンダイ
トがあった。
「僕達は、科学者。出来る範囲でできる事なんて、これ位。なら、やらないより、
ましでしょ。」
 どこか、投げやりな口調で、ロイドは太陽炉の調整を再開した。

「間もなく、神根島に到着します。」
「周辺の警戒を、厳重にせよ。」
 艦長のアクトン中佐が、周囲の警戒をさせる。
「さて、行くとするか。出来る限り早く戻る。艦長、留守を頼む。」
「イエス。ユア、ハイネス。」

「ここは…。」
「懐かしい場所だろう?」
「そうだね…。僕がルルーシュがゼロだと知り、そして、殺した場所だから
ね…。」
 神根島の遺跡。
 そこが、C.C.がスザクを連れてきた場所だった。
 流体サクラダイトの爆発の後が、床に残っており、2年経って尚、当時の事を
スザクに思い出させた。
「これに似た遺跡は、世界に幾つかあってな…。」
「知っている。義父上は何故か、この遺跡を求めておられた。そして、僕は、そ
れを感じることが出来た。」
「やはり、そうか。アーカーシャの剣。そこまで完成していたか…。」
「何故、知っている…?」
 スザクの表情が鋭くなる。
「嘗ては、私はブリタニア本国にいた。客人としてな…。」
 そう言って、C.C.は、遺跡の扉に触れた。
「さて、話を始めようか。」
 扉が光を放ち、スザクの意識が奇妙な世界に飛ばされた。

 それは、海戦の様子だった。
 しかし、船は古い。
 木造で、骨董品にしか見えない大砲を装備していた。
 それぞれの陣営の軍船のマストには、旗が掲げられているが、それはスザク
が良く知っている物だった。
「フランス州にイギリス州の旗…。」
「トラファルガーの海戦だ。知っているだろう?ブリタニア史には必ずといってい
いほど、登場するからな。

 トラファルガーの海戦。
 皇暦1805年。
 ナポレオン・ボナパルト率いる、革命軍の侵攻を防ぐべく、ホレーション・ネルソ
ン率いるイギリス艦隊と、ピエール・ヴィルヌーヴ率いる革命軍艦隊との戦いで
ある。
 2列の縦列陣で、革命軍艦隊の側面を突き分断しようとする、ネルソンの狙い
を逆手に取ったヴィルヌーヴは、旗艦及び周辺を固める艦に、選び抜いた狙撃
兵を配置。
 旗艦ヴィクトリーにいるネルソンに狙いを絞り、狙撃に成功。
 指揮官を失ったイギリス艦隊に肉薄し、縦列陣の前衛の艦には水兵による白
兵戦を挑み、後衛の艦は砲撃で牽制し足止めをして、大勝。
 その後、ナポレオン率いる侵攻軍35万は、カンタベリーの戦いにおいて、イギ
リス軍を撃破。ロンドンを包囲する。
 ロンドンを脱出した、エリザベス3世はエディンバラで革命軍に追い込まれ、王
政を停止させられた。
 その時、彼女をイギリスから脱出させ、後、皇位についたのが、リカルド・ヴァ
ン・ブリタニアである。

「これがどうしたんだい?」
 名誉ブリタニア人になる際には、ブリタニア史の知識が必要になる。
 故に、スザクも良く知っていた。
「何故、革命軍は勝てたのだろうな?海軍力においてはイギリスより貧弱であ
ったのに…。」
「ヴィルヌーヴが、ネルソンの戦術を読みそれに的確に対応したからだ。いかに
優れた艦隊を擁していても、戦術で活かすことが出来なければ、烏合の衆だか
らね。」
 スザクがそう答えると、C.C.は少し意地の悪い表情になった。
「では何故、ヴィルヌーヴは、ああも、的確にネルソンを狙う事ができた?イギリ
ス艦隊は、二列の縦列陣を敷いていた。ネルソンは右翼部隊を指揮していた。
その先に、ヴィルヌーヴが、ああも、周到に狙撃の体制を整えられたのは、少
々、不思議ではないか?しかも、開戦前に…。」
 理にかなっていたので、スザクは答えられなかった。
 イギリス艦隊に、スパイを送り込んだという記録は残っていない。
 ヴィルヌーヴは偵察も出していたが、成果はイギリス艦隊を発見したのみで
ある。
 さらに当時の銃の精度ではあり得ないほどに、迅速に、正確に、ネルソンの
狙撃に成功している
「もし、ナポレオンが知っていたら、どうだろうな?ヴィルヌーヴに当然伝えただ
ろうな。そして、策を授ける。ネルソンに狙いを定めろと…。」
「まるで知っているような口調だね。」
「当然だ…。私がナポレオンに与えたギアスがあればこそ、奴はのし上がる事
が出来たのだからな…。未来の戦略を読むギアスを…。」
「何…?」
 スザクが目を見開いて、C.C.を見る。

「別に、ナポレオンを勝たせたかったわけではないぞ。ただ、私の願いを叶える
える為に、必要だった。その為に、奴にギアスを与えた。その前は、どこぞの修
道女だったか…。」
「C.C.。君は何者だ…?」
「calends of calamity。それが、私。C.C.だよ。この体の名前は、カトリーヌ・
クープランだがな…。」
「災厄の始まりか…。ゆえに、自分をC.C.と呼んでいるのか?」
 スザクがそう言うと、C.C.は静かに笑った。
「私が誰かにギアスを与えると、災難しか起きないのでな。ナポレオンはヨーロ
ッパに戦争の渦をもたらした。修道女は、類稀なるカリスマをギアスで獲得した
が、それを恐れた人間によって迫害され、罪も無い人間が多数死んだ。その前
も、その前も、ずっと…。」
 そう語るC.C.はまるで自分を嘲笑っているようだった。
「Cの世界にいたままなら、このような事は起きなかったろうな。この体の主も、
違った人生を送っていたのだろうか…。元は、奴隷の少女であったのに、偶然、
私に触れてしまったばかりに、不老不死の魔女になってしまった…。」
「Cの世界?何だ、それは…。」
 黙ってC.C.の話を聞いていたスザクが、Cの世界について質問する。

「お前達の言葉で言えば、集団的無意識というやつでな。」
「ユングの唱えた、あれか?人間の深層心理に存在すると言われる。」
 皇暦1900年代初期に唱えられた、心理学用語である。
 集団的無意識の中には、他者の意識との壁が存在せず、故に、他者の意識
を直接感じ取れると、提唱された。
「つまり、君は元は、集団的無意識と言う、意識の海の中に存在していた。そ
う解釈していいんだね。」
「海か…。なかなか、詩的な表現をするな。その通りだよ。そのままなら、私
は、こうしてお前達の元にはいなかっただろう。だが、600年ほど前、魔女
狩りから逃げ出した一人の少女の意識と、触れ合った。彼女は、もう、この世
に絶望しか感じていなかった。その時、私の居場所と交換するかわりに、私は
少女の体を得た。私は只の意識でしかない。だが、体を持たなかった。ありえ
ないことだが、集団的無意識の中で、生じた誰の物でもない意識。それが、私
だよ。元々、意識と言う死を知らぬ存在であった事が作用したのか、肉体を得
た私は、死ぬ事の無い存在になっていた。おかげで、魔女狩りの拷問でも死ぬ
事は無かった。そして、その最中、ある修道女にあった。古い修道院でな。信
者もこない。シスターの苦悩を、私は意識に触れて知った。だが、それが後に
災厄を呼んだ。さっきも話したがな…。」
 近隣の住民の襲撃を受ける修道院の様子を見ながら、C.C.はスザクにそ
う語った。
「ナポレオンにしてもそうだ。フランス革命の後、確かに諸国を制圧し、大統領と
なったが、結局、最期は暗殺者に殺された。まあ、国内の統治機構を整備し、
議会も作っていたから、参謀長を務めたベルティエが大統領に選ばれ、混乱こ
そ起きなかったが、戦争で多くの死者が出た。ただ、穏やかに過ごしていたか
った、大多数の人間にとっては、いい迷惑だったろうな。それも、私が士官学校
の学生だった頃の奴に会い、ギアスを与えなければ起きなかっただろう。なにし
ろ、奴の成績は贔屓目に見て、中の下といったところだった。ギアスの他にその
後、軍略家としての才能に目覚めはしたがな。」
「答えてもらおう。ギアスとは、いったい何だ。」
 スザクはC.C.に厳しい視線を向けて、そう尋ねる。
 答えは意外な形で、返って来る。

 スザクが神根島に行っている最中、日本自治政府では、閣議が行われてい
た。
「シュナイゼル議長を取るか、ナナリー皇帝を取るか、か。官房長官。君はどう
思う。」
 伊藤総理が、官房長官の本居に尋ねる。
「今の日本は、かなり自治権が大きいとはいえ、ナナリー皇帝が治める属領の
一つである事に変わりはありません。ここで、シュナイゼル議長につけば、どう
なるかは、火を見るより明らかです。さらに、私はシュナイゼルを信用できませ
んな。」
「ほう?どんな点がかね。」
 伊藤が尋ねる。
「あの徹底したマキャベリズムです。必要な時に必要な手を打つ。それ自体、
私は否定しません。ですが、今までブリタニアの拡大政策の中枢にいたのにも
関わらず、必要とあれば、国を捨て、裏切るような事を平気でするような人物を
信用してよい物か。私はそこで彼に対し、懐疑的にならざるをえません。場合に
よっては、自分のところにつけば、日本の独立を約束すると、言ってくるかもしれ
ません。ですが、必要になれば、再び、侵攻してくる可能性も高いと言ってよい
かと、考えます。その点で言えば、政治には素人ではあるものの、ナナリー皇帝
は信用できると言ってよいでしょう。これは、昨年、日本が連邦エリアとなってか
らの総督としての行動が、物語っております。更に、副総督であった、スザク皇
配も、自衛軍のナイトメア、飛燕の配備等、必要とあらば、本国との折衝も引き
受けてくれました。シュナイゼルより、この2人は遥かに
信頼できるでしょう。」
「ふむ。」
 本居の意見を聞いて、伊藤が考え始める。
『確かに、シュナイゼルという人物は、どこか得体の知れないところがあり、信
頼できるとは言えない。だが、今の皇帝夫妻は、総督、副総督としての行動か
ら信頼できる。これは、事実だ。まして、スザク君は…。』
 極東事変の前は、議員として枢木邸に何度か出入りした事が、伊藤にはあっ
た。
 その度に、少年の頃のスザクに見ていた。
 気性の荒いところはあったが、卑怯な事や、信頼に背くような事は、絶対に
赦さず、ブリタニアを嫌いながらも、人質として日本に送られてきた、ナナリー
やルルーシュに対していやがらせをしている少年たちを見れば、ただちに、そ
れを止めさせていた。
 まして、成長したスザクは、ナンバーズ出身の異色のラウンズではあったも
のの、忠誠心篤く、公明正大な人物として、知られていた。
 一見すると、ブリタニアに尻尾を振ったようにも見えるが、幼い頃の卑怯や不
正を赦さぬ性格が、そのまま失われなかったと言うことでもある。
 騎士道でも武士道でも、主に忠節を尽くす事は同じだ。
「総理。ナナリー皇帝への、謁見を申し出てみれば如何でしょう。今回のシュナ
イゼルの行動に対し、我が自治政府としても出来る限りの事をしたいので、何
を求めているかを聞きたいと申し出れば、向こうも首を横には、振りますまい。」
 総務大臣の冬木が、提案する。
「そうだな。そうするとしよう。」
 こうして、ロシア州、中華連邦に、日本自治政府も続く形となった。

「何の用だ?ルルーシュ。」
 「白き死神」の目で、ルルーシュを見る。
「相変わらずか。そうだな…。俺はユフィをこの手にかけた。その事実は、永久
に消えない…。だが、今はお前の敵ではない。信用できないかもしれないが
な。ギアスとは何か。それは俺が答えよう。ギアスを持っていた者としてな。」
「…解った。聞かせてもらおう。」
 感情を抑えて、スザクは話を促す。

「マオを覚えているか?」
「覚えている。それがどうかしたのかい?」
「マオもギアスを持っていた。だが、俺とは違っていた。ナポレオンも、さっき見た
修道女も俺のギアスとは違う。それが、ギアスとは何かを知る最大の鍵だ。」
 ルルーシュの言葉を聞いたスザクは、怪訝そうな表情をする。
「ギアスとはな。人の無意識に存在する、最も大きな欲望を相手に強制する力
だ。」
「…成る程、そういう事か。ならば、話は解る。父親の命により、日本に人質と
して送られ、戦争が起きて、アッシュフォード家に引き取られたのが君とナナリ
ーだ。でも、そこに君達の自由意志は何処にも存在していなかった。その時々
の事態に、君達は抗う術も持たなかった。そんな生活の中で、君は無意識に、
誰かに命令を。それも絶対に逆らえぬ命令をしたくなった。そして、君は、その
ギアスを手に入れた。そうだね?」
 納得したスザクが、ルルーシュに確認した。
「マオは孤独で、話し相手もいなかった。誰の心も知る事が出来なかった。故
に、人の思考を読むギアスを手に入れた。ナポレオンは、その軍人としての野
心ゆえに、未来の戦略を読むギアスを。修道女は、キリスト教ではない土着の
宗教の教会を存続させたかったゆえに、カリスマを得るギアスを手に入れた。」
 C.C.がスザクにマオやナポレオンのギアスについて、説明した。
「そして、ギアスの力が強まった者は、Cの世界と直接つながる事。つまり、人
々の無意識に干渉する事も出来る。ある意味で言えば、神になったとも言える
だろう。そして、その中でさらにギアスの力が強まった者が得る物。それが、
“コード”だ。これを得たものは、生命体と言うより、意識体に近くなる。故に、老
いや死とも無縁になる。私のようにな。もっとも、私は意識体なのだがな。そこま
で行かなくともいい。Cの世界に干渉する者をシャルルは欲していた。より厳密
に言えば、ブリタニア家がだ。」
「どういう意味だ?」
 スザクは意味が解らず、尋ねた。
「エリザベス3世を始めとする王族たちが、今のブリタニア本土に追いやられた
最大の原因。つまりギアスだな。それを根絶やしにする為、そして、私を抹殺
する為だ。」
「神を殺す…。」
 ラウンズでたった一人、それを教えられたスザクは、その時の事を思い出し
ていた。

「そうだ。よく知っていたな。願いをかなえるために、各地を放浪していた私は、
マリアンヌと出会った。しばらく客人としてアリエスの離宮にいた時は、さほど完
成はしていなかった、アーカーシャの剣。それに神根島を含む、各地の遺跡。
それらを利用して、ギアスを持つ可能性のある全ての者、そして、ギアスを与え
る事の出来る私を殺すのが、ブリタニア家の目的。その為にブリタニア皇帝は
存在していた。もっとも、実行に移したのはシャルルが初めてだったがな。V.V.
の。ヴァレンタイン・ヴァン・ブリタニアの苦労もようやく報われると言う事になる。」
「リカルド皇帝の異母弟と言っていたが、事実か。」
「事実だよ。リカルドの跡を継いだ、アダルバート・リィ・ブリタニアの他、素養の
ある者にギアスを与え、後継者を選定し続けてきた。ブリタニア家はギアスの
素養を持つ者が生まれる確率が高かったからな。だが、ブリタニア家の目的を
聞かされても、まるで実行に移そうとしなかった。「神を殺す。」と言われて、す
ぐに信じる者などそうはいないからな。それでも辛抱強く待って、ようやくシャル
ルが実行に移した。だが、その最中、ギアスを持たずとも、Cの世界に干渉でき
る血筋を知った。それが、枢木家。繋がりし者。ワイアードの一族だ。」
「枢木家が…。」
 事実を完全に受け入れられずに、スザクは困惑する。

「元々、シャルルの血を受け継いだ者の中で、ギアスの素養がある者はルルー
シュだけだった。故に、保険として枢木の血筋の者。つまり、お前を手に入れ
ようとしたわけだ。人質として日本に送り込んだ最大の目的はそれだよ。ルル
ーシュたちとの間に、縁が育まれる事を狙ってな。そして、さらに縁を深める為、
そして、神根島の遺跡を手に入れる為に、日本を占領した。マリアンヌは、ルル
ーシュ達をブリタニア家の目的から、遠ざけるために、敢えて死を選んだ。が、そ
れは事実上無駄に終わった。そして、計画遂行の確率を、さらに上げる為に、ナ
ナリーとスザクの結婚まで行われた。」
「何故?」
 スザクが尋ねる。
「マリアンヌの血を濃く引いていたからだ。マリアンヌ自身はギアスの素養はな
かった。だが、シャルルはマリアンヌを后に迎えてから、ある事実を知った。マリ
アンヌとシャルルの間に産まれた子供は、男ならば優れたギアスの素養を持ち、
女ならば、マリアンヌと同様の素質を持つ事を。それを知ったマリアンヌは、一計
を案じ、実行に移した。それが、マリアンヌの暗殺事件だ。丁度、実行に移そう
とした者もいたからな。」
「それは、誰だい?」
「第1皇女ギネヴィア。俺の一番上の姉だ。」
 ルルーシュが怒りをむき出しにして、スザクに答えた。

 ブリタニア本国の執務室に、生き残った皇族であるギネヴィアが、兵士に連
行されていた。
「姉上。こういう形で会うのは残念ですよ。」
「黙れ!大罪人にして簒奪者の分際で、何を言う。」
 ギネヴィアが、憎しみを込めた目でシュナイゼルを睨む。
「大罪。ふむ…、なるほど。そうですね。ですが、それは貴方も同じでしょう。」
「何の事だ!?」
「アリエスの離宮で起きた、マリアンヌ皇妃暗殺事件。そういえばお解かりに
なりますかな?」
「何故、それを?!証拠になる物は全て抹消したはず。」
「欠片が幾つか残っていましてね。それを元に調査をしていたのですよ。10年
以上かかりましたが、ようやく真実に辿り着く事ができました。」
 シュナイゼルの指が、デスクの上の報告書をトントンと叩く。

「あの夜。マリアンヌは、各方面に密かに手を回して、ギネヴィアが自分を暗殺
したくなるように、お膳立てをした。庶民の出である自分が死ねば、アッシュフ
ォード家以外、碌に後ろ盾の無い、ルルーシュとナナリーは皇帝の座からは一
応遠のく。シャルルとて、そんなルルーシュ達を庇い立てして、騒動を起こす事
はしないと考えてな。「血の紋章事件」のような騒動を起こしては、戦争どころで
はない。遺跡の確保もままならない。だが、シャルルはそれでも、「神を殺す」為
の行動を止める気はなかった。そして、ルルーシュ達は日本に人質として送られ
た。」
 神根島で、C.C.はマリアンヌ暗殺事件の真相を、スザクに話した。

「あの夜。貴方は、警備を緩んだ時に備えて用意した暗殺者たちを、アリエス
の離宮まで誘導して、そして、マリアンヌ皇妃を殺害させた。エインズワース男
爵が、全て教えてくれましたよ。」
「エインズワースが…。」
 自分の腹心が、寝返っていた事を悟って、ギネヴィアはうなだれた。
「例え、皇族でも、皇妃殺しは大罪。死は免れない…。本当に残念で、悲しい
ですよ…。」
 シュナイゼルは悲しげに溜息をつく。
「お前はEUの議長であろう?!EUにその様な法はあるのか?」
「これほどの暗殺は、すでに立派なテロです。動員した人数、事前の準備、そ
の他諸々を鑑みた場合、EUの法でも死刑を免れる事は出来ない。ですが、処
刑するのは、出来れば避けたい。今晩のうちに、身辺整理を行っていただきま
しょう。お気に入りのワインを届けさせます。」
 暗に自決を、シュナイゼルは求めた。
「お連れしなさい。」
 カノンの命令で、兵士に部屋へ連れ戻されていった。

「一つ尋ねたい。この遺跡は何だ?」
 スザクがかねてから持っていた事を、尋ねた。
「言葉通り、遺跡だ。とある名も無い宗教のな。古代から、宗教というものは、
常に争いあい、そして、敗れた宗教は歴史から消え去った。キリスト教におい
ても、正統かそうでないかで、宗派は分かれただろう?消えていった宗派もあ
るイスラム教にしてもそうだ。特にキリスト教は、敵対する宗教を徹底的に弾圧
した。元々、悪魔とされている物は、土着神であったものが大半だ。この遺跡。
正確には神殿だが、これを建てた宗教もそうやって迫害され、各地に逃げ延
び、そこで密かに信仰を守ってきた。結局は滅んだがな。だが、神殿の遺跡
は、このまま残った。人々に忘れ去られてな。だが、この国にその宗教に関す
る記録が多少残っていてな。鉄砲伝来とともに、この国を訪れた修道士がその
記録を書物に記し、国に持ち帰った。興味を示さぬものばかりの中で、当時の
ブリタニア家当主、セドリック・ヴァン・ブリタニアが蔵書の一つにした。聞くとこ
ろによると、各地の伝承や神話。そういった物に、少なからぬ興味を持ち収集
していたそうだ。もっとも、次の当主以降は、興味も示さなかった。事態が変わ
るのは、トラファルガーの海戦から30年前。V.V.。ヴァレンタイン・ヴァン・ブ
リタニアが生まれた時だ。」
「V.V.も、C.C.同様、不老不死だ。元々、ギアスを持つより、ギアスを与え
る素養が強く出た。ブリタニア家では異例だな。だが、12を境に一切、歳を取
る事がなくなった。そして、確実に死亡するはずの怪我を負っても、死ぬ事はな
かった。イギリスは魔女狩りが最も長く続いた国。何しろ、第二次世界大戦が
終了して、EUが発足した1947年まで、続いていたからな。そういった異質の
存在が、一族から生まれたことが知られてみろ。ブリタニア家の存続に関わる。
だが、殺す事は不可能だ。故に、幽閉した。表向きは事故死という事にしてな。
そしてV.V.の不老不死に関する事を知る者には、金を掴ませて、口止めし、
敵対する貴族は陰謀を巡らして粛清した。」
 C.C.に続く形で、ルルーシュが説明する。
「本来ならば、V.V.の問題はそれで解決。だが、トラファルガーの敗北がV.
V.の利用価値を生んだ。そうだな?ルルーシュ。」
「その通りだよ。スザク。カンタベリーの戦いで、ウェリントン率いるイギリス軍は、
敗退。ロンドンは包囲され、女王エリザベス3世も捕虜になるかと思われた。だ
が、エディンバラに逃げる事に成功した。その立役者は、リカルドだ。何故、ロン
ドン脱出に成功したと思う?」
「まさか…?」
「お前の想像通りだよ。ギアスを使って、ロンドン脱出に成功した。そして、その
後、革命軍に抗う術は無いと考えて、新大陸。ブリタニア本国へ逃れる事を提
案し、実行したのもリカルドだ。そして、奴にギアスを与えたのがV.V.だ。取
引としてな。」
「取引?」
「幽閉から抜け出す為に、イギリス王家が逃げる術を与えると、取引を持ちか
けたのさ。そして、それに乗ったリカルドは、王家を新大陸に逃げさせて、後に、
ブリタニア皇帝となった。その時に、奴はナポレオンがギアスを使った事を知っ
た。そこから、ブリタニア家の目的の為、V.V.が皇帝の選定役となって、今に
至る。」
「成る程…。ところでC.C.。君の願いは何だ?」
 ずっと気になっていた事を、C.C.に尋ねる。

「一人になる事だ。より正確に言えば、Cの世界において、他の意識と触れ合
う事ができなくなる事だがな。そうすれば、もうギアスを持つ者は、永久に現れ
なくなる。V.V.もギアスを与える事は出来るが、それは私が他の意識と触れ
合う事が出来ればこそだからな。」
 それを聞いたスザクは、不思議そうな表情をする。
「なら、何故、ブリタニア家に協力をしなかった?君が死ねば、ギアスを持つ者
はいなくなる。素養を持つものを殺す必要も無いだろう?」
「私を殺せば、その影響が他の意識にも及ぶ。そして、現実世界にも影響が出
る。あまりに危険な事だからだ。シャルルもその事は知っている。だが、目的を
変えようとしなかった。何故かはシャルルしか知らない。会えれば、聞き出して
みろ。奴がそう簡単に死ぬとは、思えん。」
「そうか。で、話はこれで終わりかい?」
 スザクは、出来る限り早く東京に戻るつもりだったので、誘導するような口調
で、C.C.に尋ねる。
「あと少し付き合え。まだ、現実世界では10分程度しか経ってはいない。ルル
ーシュ。お前は話があるんだろう。」
 それを聞いた時、スザクの目が鋭さを増す。
「ルルーシュと話す事は、何一つ無い…。」
 早く、現実世界に戻せと言わんばかりの口調で、C.C.に言った。

「スザク。ナナリーを守ってくれ。」
 スザクが視線をルルーシュに向ける。
「藤堂が処刑される前、お前に話があると言った。覚えているか?」
「そんな事もあったね。で、それが何か?」
 スザクは素っ気無く、尋ねた。
「俺はあの時、ナナリーをお前に託すつもりだった。事態が進めば、俺はナナリ
ーの元にいられなくなる。その時、ナナリーを託せるのは、お前だけだ。俺はお
前に殺された身。それでも、お前以上にナナリーを託せる人間はいない。その
代わり、俺はお前の頭脳になる。C.C.を通じて、お前の為に策を講じる。シュ
ナイゼルとの戦いも近い。お前にとっても、損ではないだろう。だから…。」
 その時、スザクの視線はこれ以上無いほど、殺気が篭った。

「君の策だと?冗談も大概にしろ!!敵の策を必要とするほど、僕は無能じゃ
ない!!ユフィが死んでから、僕は軍略を学び続けた。何の為か解るか!?単
なるナイトメアのパイロットではなく。自分自身で戦略構想を練れるようになる為
だ!!その僕の気持ちを知らないで、よくも言えたものだな!!君に言われなく
ても、ナナリーは守る!!僕と君は敵同士だが、それにナナリーは何の関係も
ない!!それで、いいだろう!!」
 スザクはルルーシュから視線を外した。
「お前がルルーシュを憎む気持ちは解る。だが、そう頑なになる事も無いだろ
う。利用できる物は利用する。そう考えたらどうだ?」
 C.C.がスザクを宥めるように言う。
「成る程。君の言う事にも、一理あるね。ならC.C.に肩代わりしてもらおう。君
にはナイトメアに騎乗してもらう。それなりの機体も用意しよう。後の判断は任せ
る。そろそろ、戻るぞ。中尉。」
 暗にルルーシュの策を使う事を、スザクは了承した。
「済まない…。感謝する、スザク。」
 スザクとC.C.がCの世界を去る際に、ルルーシュは謝罪と感謝の意を伝え
た。
 その際、スザクはルルーシュを見ようとはしなかったが、軽く頷いた。

「殿下。東京より、通信。皇室専用チャンネルです。」
「解った。」
 スザクが会戦を開くと、中華連邦、ロシア州、そして日本自治政府が会談の
用意が整った事が、知らされた。
「事態が動いたか…。これで、後方の備えを固める準備が出来る。」
 東京に戻る最中、来るべき本国奪還作戦の細部を、スザクは考えていた。

後書き
一ヶ月以上、間が開いての更新です。
アニメでは、ギアスとは何なのか語られていなかったので、自分なりの解釈を
書いた話を書くことは、既に決めていましたが、日記を読んだ方は御存知かと
思いますが、足の激痛でなかなか進まずに、ようやく最近になって、見直しを
終えて、完成しました。
この話を書く際に、トラファルガーの海戦について、再び調べてみたら、フランス
が勝てる可能性もあったことから、ナポレオンのギアスを考え付きました。
後は、ブリタニア家の秘密の話になります。
これに関しては、以前から出来上がっていましたので、楽でした。
それにしても、もう少し早く更新したかった物です。

次回AFTER TURN25 東京 会談
ブリタニア、ロシア州、中華連邦等、シュナイゼルに属さない勢力の代表が、
東京に集います。
何が話し合われ、何が決まるか?

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好きな色について  ミレイ・アッシュフォードのインタビュー ...続きを見る
金属中毒
2009/02/12 18:43

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは凪です。
コードギアスが終了してすでに5ヶ月。まだまだギアス世界は熱いです。
そもそもこれだけがっちりと作られた世界をアニメ1作だけで味わいつくす事は無理だったのですね。小説やビデオなど、まだまだ楽しめそうです。
さて、今回でルルーシュとは一応和解ではなくても一定の理解をしたと見て良いですね。でもスザク君。ルルーシュに啖呵切るのは良いけどナナリーとの関係を言い忘れてます。
俺の妻だ。俺が守る。
言って欲しかったです。
まさか、うっかり忘れてたとか言わないでくださいね。
当たり前すぎて言う必要を感じなかっただけ・・・ですね。
皇帝家の秘密が少しずつ見えてきています。ここではシャルルは双子ではないようですね。
では早く暖かくなってcic様の足が痛まなくなるのを祈ります。

2009/02/12 18:56
凪さん。
コメントありがとうございます。

>一定の理解
 まあ、ナナリーに関してはですね。
 ただ、理解だけで、和解に至るには、まだまだ
 難しいでしょうね。
 大切な人を殺されて、それを許すのは普通無理
 ですから。

>ナナリーとの関係
 ナナリーとの関係については、ちょっとスザク
 が、距離を置いているんですよね。
 これに関しては、理由が次回に多少明らかにな
 ります。

>早く暖かくなってcic様の足が痛まなくなるのを
 祈ります
 ありがとうございます。
 最近は、良くなりつつあるようです。
CIC担当
2009/02/13 22:08
お久しぶりです。24話と外伝(?)2話拝読しました。

CIC氏のギアスに関する設定は、オフィシャル外伝のナイトメアオブナナリーとは一味違った斬新な設定でとても驚きました。その人間の心の底の“欲望”が
ギアスの能力となって現れる・・・ほんとにすごいです。

足に病気(?)を抱えてるそうですが、どうゆうものなのでしょうか?去年の夏ごろにフラッとこのブログにきたのでよくわからないのです。
なんにせよ一日でも早い回復を祈りつつ、25話とビスマルクvsスザクの御前試合の外伝(?)、楽しみに待ってます!(ジェレミアの活躍も楽しみにしています!)
フロッガー
2009/02/16 00:38
フロッガーさん。
コメントありがとうございます。

>ギアスの能力となって現れる・・・
 ルルーシュの今までの人生や、マオの身の上話
 を参考にして考えて、私なりのギアスの解釈が
 できました。
 楽しんでいただけて、嬉しいです。

>足に病気
>一日でも早い回復を祈りつつ
 ありがとうございます。
 足の病気については、主治医
 の神経内科の先生も、よく解
 っていませんが、精神科での
 治療も効果を上げつつありま
 す。
 今は、リハビリをしている毎
 日です。
CIC担当
2009/02/18 21:28

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