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zoom RSS GUNSLINGER GIRL −FLAMMENTO− 第3話 存在意義

<<   作成日時 : 2008/11/24 20:29   >>

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「キャロルの訓練の状況はどうだ?」
 キャロルの訓練が始まって、1ヶ月になろうとしていた為、アルフは、ロレンツ
ォに呼び出されていた。
「順調です。そろそろ、任務についていい頃だと思います。」
 体を動かす訓練の一環として、パズルを与えたり、格闘訓練を前倒しにした
ことで、キャロルは以前に比べてうまく体を使えるようになっていた。
「論より証拠かと思いまして、最近の訓練の映像を持って来ました。」
 そう言って、DVDを机の上に置く。
「早速、拝見させてもらおう。」
 DVDを再生すると、訓練の映像が映し出される。
 拳銃やアサルトライフルでの射撃訓練、狙撃訓練、格闘訓練、近接戦闘訓
練をこなすキャロルの姿を、ロレンツォは注意深く見る。
「上出来だ。簡単な任務から始めてもらう事になるだろう。」
 訓練の映像に、ロレンツォは満足していた。
「解りました。では、失礼します。」
 アルフがロレンツォの部屋を出ようとする。
「アルフ。」
「はい?」
「武器が必要なら、装備課に申請しろ。自前で用意する必要は無い。」
 アルフに新しい拳銃が届いていたが、代金は自分で負担していた。
「以前に、頼んでおいたものです。これから必要になった場合は申請します。」
 アルフは部屋を出た。

「キャロルをどう思う?」
 しばらくして部屋に入ってきたジャンに、ロレンツォは尋ねる。
「訓練期間から考えると、技量の成長は早いと見てよいでしょう。任務につかせ
ても、支障は無いと考えます。」
「空挺部隊で、指導経験があるという経歴は伊達ではないか。」
 アルフは陸上自衛隊のレンジャー課程を優秀な成績で終了し、教官適任証を
与えられていて、他の兵士の教育を担当した経験があった。
 ジャンがスカウトした理由もそこにある。
「訓練が終了した後、直ちに任務に着かせたいと考えます。」
「解った。それについては任せる。」

 ジャンとロレンツォが話している頃、アルフはキャロルの最後の近接戦闘訓
練を見ていた。
「たいしたもんだな。まだ1ヶ月だぜ。」
 義体の一人、ベアトリスの担当官のベルナルドが、感嘆する。
「主に、市街地や屋内での戦闘を想定した訓練ばかりだからな。俺が陸自で受
けたレンジャー訓練に比べれば、内容はそれ程でもない。義体だから、体力は
そこらの兵隊よりもある。」
 モニターから目を離さずに、ベルナルドに答える。
「本当は、もう少し格闘訓練をしたかったんだがな。条件付けがあるから限界が
ある。ま、そこの所は、実戦を積ませてスキルを上げさせるさ。」
 しばらくして、訓練が終了する。
「上出来だ。今までよくがんばったな。」
 褒められたキャロルが、笑顔を見せる。
「お、可愛いね。」
 二課の課員として、フラテッロのサポート等を担当するアマデオが、モニターに
映るキャロルの笑顔を見ていた。
「お前、ヘンリエッタが好みじゃなかったのか?」
「愛の伝道師は、心が広いんですよ。アルフさん。」
「言ってろ。」
 笑いながらモニタールームを出て、キャロルの元へ行く。

「任務ですか?」
 1ヶ月の訓練が終わって、アルフはジャンに呼ばれた。
「ミラノ派がテロリストをローマに送り込むとの、情報が入った。それを阻止す
る。」
「確か、ミラノ派はピノッキオの件で、ダメージを受けていると聞いていますが?」
 担当官の中でもリーダー格のジャンの前では、アルフも敬語で話す。
「確かに幹部の一人クリスティアーノは、海の藻屑になった。だが、奴は中堅幹
部だ。まだ、上がいる。」
「正当派閥のミラノ派としては、幹部がやられたまんまじゃ面目が立たない。そ
んなところですか。」
 アルフは地図を睨む。
「ミラノの空港からローマにひとっ飛びという手があるが、これではローマで一網
打尽になる。むこうもそれを考慮して、分けて送り込んでくるようだ。お前が奴ら
ならどうする?」
「ミラノには空港が2つあります。これを利用しますね。2つに分けて、空港を経
由して、最終的にローマに行く。向こうが公社を警戒していると仮定すると、こう
すると思いますが。」
 ジャンに自分の考えを説明する。
「どこを使うと思う?」
「こちらの戦力を分散させるとすれば・・・。フィレンツェとピサの空港でしょう。そし
て、一部はそのままローマに、残りはローマから離れた空港。ナポリの空港です
ね。ナポリから陸路でローマに。こんな所でしょう。」
「かなり、こちらを引っ掻き回して一暴れか。で、対抗策は?」
「水際で止めます。但し、ミラノで抑えるとなると、リスクがかなり高くなります。連
中にしてもお膝元で好き勝手されるのは、ごめんでしょうからね。フィレンツェとピ
サで抑えましょう。」
「空港で直接抑えるのか?」
「それは向こうも織り込み済みでしょう。下手に動けば、イタリア中の空港の警備
が厳重になる。空港では騒ぎを起こさず、一先ず近くに潜伏して、それから、ロー
マに向かうはず。そこを突きます。」
「ふむ。」
 アルフの考えを、ジャンは頭の中で整理していた。
「よし、それでいこう。ピサのほうは、お前とキャロルで押さえろ。フィレンツェは他の
フラテッロで押さえる。」
 アルフが何かに気がついたように、ジャンに尋ねる。
「キャロルはこれが初仕事になります。少々、レベルが高すぎると思いますが?」
 いかに義体の能力が高いとはいえ、キャロルには荷が重過ぎるように思えた。
「訓練を見せてもらったが、予想以上に成長している。何より、お前がいる。レンジ
ャーの経験を生かしてもらいたい。今は他のフラテッロが出払っていて。
人手が足りない。」
「解りました。直ちに現地に向かいます。ところで、テロリストは全員捕まえます
か?」
 テロリスト相手ともなれば、時には相手を殺す事もあるだろう。
 が、公社としては、何らかの情報を得たいはず。そう考えて、ジャンに尋ねる。
「リーダー格はなるべく捕らえてくれ。他の連中も、出来る限り生かして捕ら
えて欲しい。無理なら、殺して構わん。」
 そう答えるジャンの目には、鬼火のような炎が見えたような気がした。
「解りました。準備を始めます。」
「終わり次第、出発しろ。」

「アウグスト・ギベルティ。こちらに来ているグループのリーダーです。」
 4日後、アマデオと同じく、フラテッロのサポートをするアルフォンソが、ピサの
ホテルの一室で聞き込みの結果をアルフに報告する。
「どんな奴だ?」
「ミラノ派の中でも、過激な派閥に属しています。今までも、あちこちで暴れてい
たようです。」
「そりゃまた、危ない奴だ。」
 アルフォンソからアウグストの事を聞いたアルフは、やれやれと言いたげに、
肩を竦める。
「他に何人来ている?」
「見張りを含めて、12人です。交代制で、24時間玄関の前に2人います。」
 アジトにしている家の見取り図等の資料を、テーブルに広げる。
「家の広さはそこそこか・・・。周囲は塀があって、しかも木まで植えている。
覗き見されるのを警戒しているんだろうが、この場合は諸刃の剣だな。ちょう
どいい。利用させてもらうか。」
 アルフは作戦を組み上げていく。
「大丈夫ですか。キャロルは今日が初任務なんですよね?」
「こういったケースを想定した訓練も積ませている。まあ、少しレベルが高い
かとは思うがな。そこは俺が、カバーするさ。その為の、フラテッロだろ?」
 見取り図を真剣な表情で見るキャロルに、視線を移す。
「決行は今夜ですか?」
「聞き込みによると、そろそろ引き払いそうなんだろ?その前に、とっとと終
わらせるさ。キャロル、武器の点検をしておけ。今夜中にかたをつける。」
「はい。」

「明日、ナポリに行く。そこからは陸路でローマだ。思う存分暴れてくれ。」
 アウグストは連れてきたメンバーにそう言って、モチベーションをあげよう
としていた。
 案の定、それは効果があった。
 もう、ピサに来て3日立つ。早くローマに行きたがっているメンバーはいらつき
始めていたが、それも今日で終わって、何日後にはローマで自分達の血税を際
限なく南部に注ぎ込む政府に、一泡吹かせてやれる。
 そう考えると、皆、モチベーションが上がっていた。
「グリエルモ。異常はないか?」
 外で見張りをしている2人のうちの一人、グリエルモにアウグストは連絡を入
れていた。
「いや、何も無い。」
「解った。交代まで定期連絡は忘れないようにな。」
「了解。」
 ミラノ派の中堅幹部の一人、クリスティアーノが公社にやられているので、アウ
グストは、24時間態勢で外に2人の見張りを着け、襲撃にもすぐに対応できるよ
うに、ライトビアー以上のアルコールを飲ませないようにし、銃も常時携帯させて
いた。

「ほう、さすがに用心深いな。」
 家の後ろの塀を登って、敷地内の木で身を隠しながら、アルフとキャロルは、
家の両側から、闇に紛れて見張りの様子を見ていた。
 しばらくすると、連絡が終わったのか、無線機をしまう。
『よし。行くぞ。』
 事前に打ち合わせをした通り、ジェスチャーで作戦開始をキャロルに伝える。

 サイレンサーをつけた、キャロルのH&K HK416。
 コルトM4A1カービンの改良型の銃弾が、見張りの胸に命中する。
 もう一人の見張りが、倒れていく仲間に気がつき、注意がそれた隙に、アル
フが接近して、新しく取り寄せた、サイレンサー付のH&K P46の狙いを
頭につける。
H&Kの最新型サブマシンガン、MP7A1で使用されている、高い防御力
を誇るクラスVのボディーアーマーすら貫く弾丸が、頭部を貫通する。
 家の中に気づかれぬよう、見張りが地面に倒れる寸前に、2人はそっと地面
に下ろす。
『まずまずだな。』
 訓練の成果が出ている事にほっとしながら、扉に近づく。
『よし、次は中だ。』
 ジェスチャーで示し、家の中に突入する。

 扉を蹴破ると、2人の男が気がついて、ウージー サブマシンガンを撃とうと
するが、キャロルの発砲が早く、アサルトライフルの斉射で、崩れ落ちる。
 仲間が倒される事に気がついたのか、もう2人他の部屋から出てきて、キャ
ロルを後方から撃とうとするが、アルフが仕留める。
アルフがジェスチャーで示すと、2人は階段を駆け上る。

「何か音がするな…。」
「アウグスト!」
「警察か!?」
 2階にいるメンバーの一人が、アウグストに呼びかける。
「例の公社の連中かもしれん。半分がやられた!」
「仕留めろ!」
 アウグストが焦りながら、命令する。

 残りの6人が左右に分かれ、廊下においていたテーブルをバリケードにして、
AK47 アサルトライフルを構えて待ち構える。
 その音は、1階のアルフ達にも聞こえた。
『気づかれたか…。もう2人もいれば、1階を制圧する隙に、2階も押さえられた
んだがな。それにしても、用心深い。』
 テーブルを倒す音から、廊下にバリケード用として置いていたのを察する。
 2人が階段を上る前に、アルフは再びジェスチャーで指示を与える。

 足音からアルフ達が来る事を察して、左側の4人がアサルトライフルを撃ち
まくる。
 キャロルが撃ち返すと、頭を下げてテーブルの陰に隠れる。
 その隙に、キャロルが下に少し降りて、アルフは残りの2人を狙える位置に
素早く移動して、すかさず2人を撃つ。
 仲間が殺された事で頭に血が上った4人が、再びライフルを撃とうとするが、
その時には、キャロルがアサルトライフルを構えており、4人が頭を上げた時、
発砲する。
 アルフォンソの情報にあった、アウグストの部屋にキャロルを向かわせて、
アルフは手近な部屋に入り、マウントレールに装備していたレーザーサイトを
ONにする。
 キャロルが部屋に入って、どうにか下に逃げようとしたアウグストは、自分
の頭にレーザーが当たっているのを感じて、逃げる事が出来ないと理解して、
大人しくなった。

「お見事でした。」
 アウグストを連行する為、アルフォンソが来ていた。
「できれば、下っ端も何人か確保しておきたかったんだけどな。」
 他の12人は、全て死亡していた。
「まあ、リーダーは捕らえたわけですし。失敗というわけではないですよ。」
「まあ、たしかにそうだけどな。」
 その時、アルフォンソの携帯の呼び出し音が鳴った。
「ジャンさんですか。こっちは片付きました。アウグストは生きて抑えてあり
ます。」
 状況報告をすると、携帯を切る。
「フィレンツェの方も、片付いたそうです。」
 ジャンはジョゼと共同で、フィレンツェのグループを抑えていた。
「そうか。今晩は休んで、明日帰るとするか。」

「ふむ。初任務としては、申し分ないな。」
 アルフが出した報告書に目を通しながら、ロレンツォが目の前のジャンに言
う。
「はい。充分戦力になります。」
 ジャン自身、アルフ達の任務報告には充分満足していた。
「ところで、2人はどうしている?」
「外出届を出して、ローマに行っています。」

「あの、どうしたんですか?」
 トレビの泉の前に、2人はいた。
「今日も、観光客が大勢いるだろう?」
「観光名所ですから。」
「でも、パダーニャの連中が来て、暴れまわっていたらどうなっていたかな?」
 キャロルに視線を向ける。
「こんな風に観光を楽しむ人も、いなかったかもしれませんね。」
「そういうことさ。」
 小さく頷きながら、キャロルの正面に立つ。
「昨日、俺達が連中を捕まえたから、こうやって今日も皆が観光をしたりして、
普通に日々を過ごしている。それが俺達の存在意義なんだよ。」
「存在意義…。」
「そうだ。」
 キャロルに優しく微笑む。
「私、頑張ります。」
「ああ、お互い頑張ろうな。」

後書き
初任務をこなす話に、キャロルとアルフが何故公社にいるのか、その意味を、
アルフが話す話です。
一期の義体ではありますが、二期生の試験体という意味とアルフの希望で、ヘ
ンリエッタたち程、条件付けで公社への忠誠心は強くありません。

次回第4話チーム。
他のフラテッロとチームを組んでの、任務になります。

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