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zoom RSS コードギアス二次小説 AFTER TURN20 急 転

<<   作成日時 : 2008/11/12 00:48   >>

驚いた ブログ気持玉 5 / トラックバック 1 / コメント 4

「自分が作戦を立案したのにも関わらず、敵軍中央の突破を出来ずに申し訳ご
ざいません。」
「よい。別に致命的な失敗というわけではない。それに双方合わせて300万
以上の軍が戦う戦は、そうすぐに決着は着かぬ物だ。」
 星刻率いる中央の部隊を突破できなかった事を詫びるスザクに、コーネリア
は気にするなという感じで、言葉をかける。
「我が軍の損害は?」
「敵軍に比べて遥かに軽微です。軍の再編作業も必要ありません。」
 ギルフォードの報告に、コーネリアは頷く。
「ナイトメアの整備が終了し次第、再攻勢をかける。それまでに兵も休む事が
出来よう。皆も休め。明日再び軍議を開く。」
「「「「「イエス、ユア・ハイネス!」」」」
 コルチェスターの会議室から、スザク達は各々の旗艦に戻る。

「しかし、スザクと互角に張り合う奴がいたとはな・・・。」
 戻る途中、頭の後ろで手を組みながら、ジノが感心したように言う。
「ヴァルトシュタイン卿だけだからね。スザクと互角以上に戦えるのは。」
「ヴァルトシュタイン卿だけが、スザクに勝てる・・・。私が相手にした2騎じゃ、
スザクにはまず勝てない。」
 エリファレットとアーニャが続く。
「中央突破を防いだとはいえ、連合軍の損害はかなりのものの筈。次はもっと
楽な戦いになると思うけどね。鶴翼の陣を使用しての包囲殲滅は、もうリスク
が大きすぎる。連合軍の数は質の差を埋められるほどではないのだから。」
「エリファレットの言うとおりだな。むこうのカードを一つ使えなくしただけ
でも立派な功績だ。スザクが責任を感じる事は無いんだけどな。」
「責任感、強すぎ。おまけに真面目過ぎ。」
 アーニャの言葉に、エリファレットとジノは顔を見あわせて肩を竦める。
「ところで、紅蓮と戦った感想はどうだい?ジノ。」
「間違いなく、ラウンズクラス。だけど、勝てない相手じゃない。スザクと手
合わせするよりかは、楽さ。今回はあくまで足止め。次は殲滅になるから、そ
れなりに本気出すけどな。」
 ジノの目が、獲物を見つけた獣のようになる。
「とにかく、次の戦いで決着がつくだろう。もっとも、向こうはそうさせまい
と、必死になるだろうけどね。」
 エリファレット達は、旗艦に戻っていった。

「予想していたとはいえ、あちこちかなりガタがきてるね〜。」
「確かに、そうですね。」
 ロイド達はランスロットの整備をしていたが、神虎の激闘の結果、あちこち
がかなり痛んでいた。
「明日には終わらせられるけど、コンクエスターでもスザク君にはついていけ
ないか・・・。どう、セシル君。」
「はい。今までは、スザク君もそれほど本気になる必要はなかったんですが。
あのナイトメアとの戦いでは・・・。」
 スザクの要求への機体の追従率低下も、無視できないレベルになっていた。
「せめて、あれが使えればね〜。」
「でも、肝心の動力部の調整がやっと半分終わりそうという状態では、とても
使うわけにはいきません。」
「そりゃ、そうだけどさ。」
 2人の視線の先には、ランスロットの隣で調整を受けている、一騎のナイト
メアがあった。

「星刻殿が!?」
 斑鳩で作戦を協議していたシャルンホルストと藤堂に、星刻が倒れたとの知
らせが入った。
「容態は?」
 シャルンホルストが香凛に尋ねる。
「今のところ、落ち着いています。」
「そうか。」
 藤堂がほっとしたように言う。
「中華連邦軍の指揮は、これから誰が取られる?」
「変わらず、星刻様が取られます。」
 香凛の答えに、藤堂が驚いたように目を見開く。
「倒れたというのにか?」
「はい。医師の話では明朝には目を覚まされるとのことです。それに、星刻様
がそれを望んでおられます。そうなれば、私達は指揮権について口を差し挟む
ことは出来ません。」
 香凛が、辛そうに言う。
「そうか・・・。考えてみれば、私達も口を差し挟める事ではないな。周枢密校尉、
済まない事を聞いた。許してくれれば、ありがたい。」
「いえ、お気になさる必要はありません。では。」
 通信が切れてから、藤堂は腕を組む。
「正直、これ以上星刻殿が前線に立つのは、反対だが・・・。」
「それは私も同じだ。しかし・・・。」
 星刻抜きで勝利できるほど、今の戦いは楽ではない。
 藤堂もシャルンホルストも、充分に理解していた。
「作戦を根本から変える必要が、ありますな。」
「ブリタニア軍を退けられる手が、一つだけある。」
 作戦図を見ていた藤堂が、シャルンホルストの言葉を聞いて顔を上げる。
「その様な手が、あるというのですか?」
「秘中の秘なので話さずにいたが、もはやこれを使う以外に無い。それを前提
に作戦を立てるべきだと、私は考える。明日、黎枢密使が目覚められたら、お
話しよう。」

 翌日の朝、コルチェスターの会議室で、作戦会議が開かれた。
「さて、敵はどう出るか。意見があれば、遠慮なく発言してもらいたい。」
 コーネリアが出席した幕僚やスザクたちラウンズに、意見を求める。
「もはや、鶴翼の陣は使えますまい。両翼の被害が大きすぎました。我が軍よ
り多数ではありますが、さほど問題にはなりますまい。中央に兵を集中した陣
を敷くかと。」
「つまり、敵は魚鱗の陣を敷くと考えるか?クレイン卿。」
「はっ。全軍一丸となり、我が軍に攻めかかる事を選ぶと考えます。防御に徹
した場合、いずれは兵力差が逆転し敵は敗北しましょう。」
 雑な分析に見えるが、クレインは初日の戦いから、兵の練度、指揮官の質等
の様々な点から分析していた。
 事実、ブリタニア軍を包囲しようとした連合軍だが、ラウンズに黒の騎士団
を抑えられ、コーネリアの指揮で多大な損害を出している。シャルンホルスト
の指揮がなければ、むしろ、連合軍の両翼はズタズタに引き裂かれ、中央に
全戦力を集中できたのではないか。と、クレインは考えていた。
 指揮官の質は同等。ならば、兵の練度、装備の質が勝敗を分ける。
 結論として、全戦力を動員しての攻勢に賭ける。という結果が、クレインの頭
の中で導き出されていた。
「クレイン卿にしては、大胆な予測を立てるな。だが、一理ある。このままで
は、戦うたびに連合軍はやせ細り、結果的に我が軍が勝利するだろう。向こう
とて兵の差の質は思い知ったはずだ。一旦退いて、軍を立て直したいところだ
が、ここで退いたとて、中華連邦はともかくEUには予備の戦力を動員して立
て直すのは不可能。現有の戦力で戦うしかないが・・・。」
 コーネリアが考え込む。
「しかし、クレイン卿の考えはかなりリスクの高い賭け。向こうが死兵となっ
て攻めかかってきても、成功する保証は無い。その様な事を、あのシャルンホ
ルストがするとは、思えないが。」
 ジノが腕を組んで考え込む。
「ヴァインベルグ卿の考えにも、一理ある。確かに常識的に考えれば、全面攻
勢に出ても向こうの勝算は多いとはいえない。だが、このままではコーネリア
殿下の仰られたとおり、戦うたびにやせ細り続ける連合軍に勝機は無い。」
 エリファレットが組んだ手の上に顎を乗せて、考え込む。
「奇策があるかも・・・。」
 アーニャの言葉を聞いて、皆が顔を向ける。
「このまま戦い続けても、連合軍に勝利は無い。その程度はシャルンホルスト
も解っている筈。だとすれば、何か奇策を用意している筈。」
「奇策か・・・。」
 ティーカップの中の紅茶を見つめながら、スザクは考え込む。
「ギルフォード、中華連邦が増援を派遣している可能性は?」
「今の所、報告は届いていません。無いと考えてよいかと。」
「引き続き、警戒を怠るな。側面から我が軍に攻めかかるやもしれん。」
「イエス、ユア・ハイネス。」
 頷いてコーネリアは一同を見渡す。
「奇策があるのならば、このまま動かずにいるのも危険だろう。無論動くのも
危険だ。無いとしても、あるように見せかけることによって、我が軍の動きを
封じようとする可能性も否定できん。ある場合、無い場合。双方の可能性を考
慮しつつ、明朝の布陣を決めたい。」
 しばらく議論が続き、明朝の戦闘での布陣が決まった。

 目覚めた星刻は、医師の診察を受けて薬を飲み点滴をされて、何でもないよ
うに軍議に出席した。
「では、私の秘策を説明させていただこう。」
 シャルンホルストが、胸に秘めていた秘策を説明する。
「それが、ロシア州に兵を集結させた理由でしたか・・・。」
 シャルンホルストの最期の策を聞いた藤堂が、唸る。
「確かにその策が成功すれば、我らの勝利。しかし、そう上手くいきますかな?」
 星刻が、少々疑問を抱く。
「その為の準備は、スペイン州での戦い前から始まっていましてな。すでに済
んでいます。1時間程前に、その知らせが届きました。そして、ブリタニア軍
は一切この事を知りません。そういう段取りになっています。後は、いつ実行
するかですな。」
 竜胆で軍議を開いている時、斑鳩に咲世子からの暗号通信が届いた。
「すでに準備万端か・・・。時は来ましたな。」
 シャルンホルストが、藤堂と星刻を見る。
「このまま戦い続けても、勝算は多くない。賭けに出る時か・・・。」
「そうかもしれん。で、陣形だが、これでどうだろうか?」
 星刻が布陣を提案する。

「殿下。敵、魚鱗の陣を敷いています。」
「うむ。クレイン卿の考えた通りか・・・。」
 ギルフォードの通信を聞いて、イゾルデの戦術パネルを見ながら、コーネリ
アは呟いた。
「こちらの布陣は、間もなく終わります。」
「解った。」
 やがて、ブリタニア軍も陣を敷き終えた。
「さて、向こうが何をやらかすやらわからぬが、その前に勝負をつけさせても
らうぞ。」

「雁行の陣か・・・。隙を見せぬな。先鋒はやはり枢木か・・・。」
 敵に向かって数段に陣を構え、陣形の変化にも対応した雁行の陣を、ブリタ
ニア軍は敷いていた。
『私が持ちこたえられるかどうか、それが勝負の分かれ目か・・・。』
 中華連邦軍は、当初の91万から70万まで数を減らしている。
 両翼のEU軍と共に戦った部隊は3割の損害を出し、星刻が率いた中央の部
隊も2割を失い、52万まで数を減らしていた。
 EU軍も全軍の3割を失っている。
 一方、ブリタニア軍の損害は1割にも、満たない。
 数の上では、連合軍が未だに上回っているが、兵の質と装備を考えると、連
合軍が優勢とは一概には言えなくなっていた。
 これ以上戦いが長引けば、戦況は明らかに不利になる。
 そういったこともあって、星刻もシャルンホルストの策に賛同した。
「星刻殿。」
「藤堂殿か。どうなされた?」
「今更と思われるかもしれないが、命を無駄になさらぬよう・・・。」
「・・・ご忠告、感謝する。なれど、今は戦う時と考えている。」
 そういって、星刻は通信を切った。
 そして、懐に入れている天子の髪の毛を見つめて、すぐにしまった。

「枢木卿。敵の先陣は星刻率いる部隊です。」
「当然だね。自分が総司令官だったら、やはり星刻を先陣にしただろう。」
 ヴァレーリアの通信に、スザクが答える。
「ゲレヒティカイト・ヴァルキュリエ隊は、ロセッティと共に中央に。ミラーは
右翼に。モーゼスは左翼。先陣の包囲し一気に潰す。」
「「「「イエス、マイ・ロード!」」」」
「突撃!」
 ランスロットを戦闘に、スザク率いる43万が突撃を開始する。

「敵の先鋒が突撃してきます。」
「突撃!ここで負ければ、我らに後は無い!!」
 星刻が神虎を駆り、スザクの部隊に突撃していく。

 両軍はぶつかり合ったが連合軍が明らかに押されており、星刻の部隊も苦
戦を余儀なくされていた。
「進め!ここで負ければ、次は我が国が蹂躙されるぞ!!」
 ウォードを斬りながら、神虎はランスロット目掛けて突撃していく。
「神虎が突撃してきます!」
 ハドロンブラスターでドウ・シーを薙ぎ払ったスザクに、ヒルダから通信が
入る。
「解った。そちらの状況は?」
「我が軍が押しています。敵の攻勢に過日ほどの勢いがありません。」
「よし、そのまま押し続けろ。出来る限り早く決着を着ける。だが、油断する
な。何か策がある可能性もある。」
「イエス、マイ・ロード。」
 スラッシュ・ブレイザーでドウ・シーを破壊し、MVSで両断しながらスザ
クも連合軍にどこか勢いがなく、動きも鈍い事に気づく。
『すでに、息切れしたのか?』
 そう考えながら、スザクは部隊を前進させる。
「両翼は敵先陣を包囲!頭を潰す!!」
「「イエス・マイ・ロード!」
 ヒルダとジーンの部隊が、星刻の部隊を包囲する。

「枢木卿の部隊、敵先陣を包囲しました。」
「敵の本隊、枢木卿の部隊の側面を狙う模様。」
「ターナーとマルサスの部隊を出せ。敵部隊を押さえよ。」
「「イエス、ユア・ハイネス。」」
 ターナーとマルサスの部隊が、スザクの部隊の援護に出る。
「クレイン卿とゲインズバラ卿の部隊に、両翼を固めさせよ。後方部隊もいつ
でも総攻撃にかかれるようにしておけ。」
 連合軍が崩れ始めたら、コーネリアは即座に陣を左右に広げ一気に揉み潰
す事を考えていた。
『このまま、勝てるとは限るまい。何か、手を打ってくる筈・・・。』
 戦況を見ながら、コーネリアはそう考えていた。
「上空より、敵襲!黒の騎士団です!!」
「先陣を引きつけて、一気に本陣を狙うか・・・。」
「殿下、ここは我等にお任せを。」
 ジノ達が迎撃に出る。

「藤堂さん。ラウンズが来ます。」
「何としても、ラウンズを抑えよ。血路を開く!」
「承知。」
 朝比奈が、藤堂の指示に答える。
「韓惇将軍、慧叡将軍。今のうちにコーネリアの本陣を!」
「済まぬ。この命に代えても、コーネリアは討ってみせる!!」
 韓惇、慧叡の両将軍は、2日前の戦いでEU軍と共に中央と後方の部隊と戦
ったが、コーネリアの指揮によって3割の損害を出したが、その後、軍を再編
し、コーネリアの本陣の奇襲部隊として黒の騎士団と共に行動していた。
「全軍、突っ込め!!」
 両将軍率いる部隊が、コーネリアの本陣に突撃する。

「殿下をお守りしろ!!グラストンナイツは、何があっても殿下のお傍を離れる
な!!」
「「「「「イエス、マイ・ロード!」」」」」
 ギルフォードが麾下の部隊を率いて、迎撃に出る。
「貴様達など、我が姫様に近づけはせぬ!!」
 ギルフォードの駆るヴィンセントが、MVSで次々とドウ・シーを撃破していく。
 親衛隊も、韓惇、慧叡の部隊を押していた。
「強い・・・!さすがはコーネリアの親衛隊。」
 韓惇の額に、冷や汗が滲む。
「だが、我が国の為にも退くわけには行かぬ!」
 再び、部隊を突撃させる。

「ほう。コーネリアの本陣に奇襲をかけたか・・・。大胆な事をするね。」
 カムランの戦術パネルを見ながら、シュナイゼルは感心したように呟く。
「殿下。用意が整ったようでございます。」
 カノンがシュナイゼルに報告をしていた。
「さて・・・。始めようか・・・。」
 シュナイゼルが凄みのある笑みを浮かべる。

「相変わらず、手強い!!」
 苦痛を耐えながら星刻は神虎を駆り、ランスロットを押さえ込んでいた。
「耶律信、耶律閃。生きているか?」
 星刻は、直属部隊の部下に通信を入れる。
「はっ。」
「どうにか。」
 2人が答える。
 しかし、声にあまり力はなかった。
 既に、損害が1割を突破していたからである。
「もう少し、持ちこたえてくれ。間もなく、我等に勝利の切欠が訪れる。それ
まで、何としても持ちこたえよ。王琴と典敬の部隊も前面に!」
 ランスロットと剣を交えながら、星刻は指示を出しスザクの部隊の攻撃を食
い止めようとしていた。
『あと少し、あと少しで・・・。』
 吐血した血の跡を拭いながら、星刻は神虎を駆りランスロットに斬りかかる。
 そして、急転の時が訪れた。

「後方より、新たな部隊の接近を確認。IFF照合、応答なし。恐らく敵か
と・・・。」
「敵だと?しかも後方から・・・。中華連邦の新手か?」
「映像を確認。パンツァーフンメル。EUです。」
「馬鹿な。EUには我が軍の部隊も駐屯しているのだぞ!?」
 常識ではありえない事態に、コーネリアも平常心ではいられなかった。
「後方部隊、迎撃!!近づかせるな!!」
 命令している時に、イゾルデに皇室専用チャンネルで、撤退命令が届いた。
「どういうことでありましょうか?まさか、陛下はこの事を予測なされてい
た?」
 ギルフォードが自分を落ち着かせながら、考える。
「今は余計な事を考えるな。撤退に移る。」
「イエス、ユア・ハイネス。」
 後方部隊にEU軍を迎撃させながら、コーネリアは部隊を退かせて航空艦隊
に収容させる。

「さらに、新たなる敵影。そ、そんな馬鹿な・・・。」
「落ち着け。敵に関しての報告をせよ。」
 コルチェスターの指揮官席に座りながら、コーネリアは報告を促す。
「シュ、シュナイゼル殿下の直属部隊と、EUに駐留している部隊です。」
「何だと!?」
 コーネリアが驚愕して、指揮官席から立つ。

「シュナイゼルの部隊だと?どういうことだ!」
 補給の為に竜胆に戻った星刻が、オペレーターに確認する。
「解りません・・・。しかし、EU軍の後方にはウォードを始めとする、ブリタニア軍
が続いています。」
 暫く考えて、星刻は真相を悟った。
「そういう事か・・・!」

 その頃、後方部隊に代わり、スザクの部隊が殿を務めていた。
「始めから、仕組まれていたか・・・。」
 シャルンホルストが、何故この地まで撤退を続けたか。そして、それをシュナ
イゼルが利用して内部工作を進め、スザク達に知られることなくEUを手中に収
めた事を悟った。
「揃いもそろって、踊らされていたか・・・!」
 スザクが唇を噛み締めながら、ハドロンブラスターでシュナイゼル軍を薙ぎ払
う。
「しまった!エナジーが・・・。」
 星刻の部隊との激闘に続いて、シュナイゼル軍と戦っているうちに、ランスロ
ットのエナジーは底をつきかけていた。

「セシル君。あれの出撃準備をさせるよ。」
「ロイドさん・・・。待ってください。動力部の調整がどうにか半分終わっているに
すぎません。今の状態で、出撃させるのは危険すぎます。」
「だが、それしか方法が無い!このままでは、撤退もおぼつかないぞ。あれな
ら、少しの時間で撤退する余裕を作り出せる。すぐに準備を!」
 ロイドが、いつもとは別人の口調でセシルに命令する。
「・・・解りました。スザク君。一旦アヴァロンに戻って。」
「解りました。ロセッティ。暫く指揮を任せる。」
「イエス、マイ・ロード。」
 スザクはアヴァロンに戻る。

「Z−01/N ランスロット・アルビオン起動準備。デヴァイサーの搭乗を確認。
個体識別情報を登録。マンマシンインターフェース確立確認。」
「エナジーフィラー装着。電子生成機構。異常なし。ガンマ線生成機構、異常
なし。人工太陽光変換機構異常なし。太陽炉異常なし。」
 Z−01/N ランスロット・アルビオン。
 当初からスザクの専用機として、キャメロットが開発した第9世代ナイトメアフ
レームである。
 エナジーウィングを、フロートユニットとして採用。さらに新型の動力機構とし
て太陽炉を装備。
 ラウンズのナイトメアとも一線を画す性能を与えられている。
「太陽炉稼動。」
「電子生成機構稼動正常。人工太陽光変換機構内に、阻害電子壁の生成を
確認。」
「ガンマ線生成順調。変換機構内で阻害電子壁に進行を阻害されました。人
工太陽光への変換を開始。」
 オペレーターの報告を聞きながら、セシルとロイドはコンソールから目を離
していなかった。
「人工太陽光を炉心部に。」
「人工太陽光、炉心部への到達を確認。エナジー生成においての問題は認め
られません。」
「エナジー、ユグドラシルドライブへ供給開始。」
「ユグドラシルドライブ、出力リミッター内での臨界点に到達。出撃準備完了。」

「枢木卿。作戦概要を説明します。現在、我が軍はEU軍とシュナイゼル軍の
追撃にあっています。Z−01/N ランスロット・アルビオンは、敵が追撃
を断念するだけのダメージを与えてください。今回はラウンズの部隊も共に殿
を務めます。尚、アルビオンの太陽炉はまだ調整が完全ではありません。出力
は52%。稼動限界は12分です。決して忘れないようにしてください。」
「了解。アヴァロンを始めとする艦は、後退しつつ支援砲撃を頼みます。それ
と、ECMを忘れないように。」
「イエス、マイ・ロード。」
 ランスロットが、レールガンの射出位置に移動する。
「ランスロット・アルビオン発艦!」
「発艦!」
 ランスロットが、空に舞い上がりエナジーウィングを展開する。
「無人偵察機発進。ECM開始。」
 セシルの指示で、ECMポッドを装備した無人偵察機が発進していく。

「ヴァインベルグ卿、枢木卿が戦線に復帰します。」
「そりゃ結構。」
 ウォードをMVSで両断しながら、ジノはトリスタンのコックピットで溜息
をついていた。
『まさか、友軍が敵になるとはな・・・。』
 その時、後方から太い光の槍が2本放たれ、シュナイゼル軍を薙ぎ払ってい
く。
「何だ!?」
 エクターの右肩に装備された、長距離砲撃用のヴァリス、VARIS−LR
で、アウトレンジ攻撃をしていたエリファレットが思わず後方を見る。
 そこには、エナジーウィングを展開した、ランスロットがいた。
「アルビオン。完成したのか?ん?」
 エクターにアヴァロンからの暗号通信が届く。
「成る程・・・。無茶をする・・・。」
 通信文にはランスロットの稼働時間の限界と、ECM下での通信可能な周波
数の帯域が記されていた。
「残り12分か・・・。」

 殿を務めるラウンズらに暗号通信が入れた後に、強力なECMが展開される。
 同時に、アルビオンが追撃してくるシュナイゼル軍に突撃を始める。
 が、シュナイゼル軍は追尾できずに、次々とロイドが新たに開発したスーパ
ーヴァリスの餌食になる。
「な、何だあれは?」
 シュナイゼル軍の騎士が、コックピット内で恐怖に震える。
 その瞬間、大きく展開したエナジーウィングから、光の矢が撃ち出される。
 先頭部隊のナイトメアが、次々と爆発し数を減らしていく。
 そして、高速飛行に移ったランスロットはMVSを手に、シュナイゼル軍の
ウォードを両断していく。
「こっちも・・・。」
 アーニャが兵装コンソールを操作してミサイルを装填し、シュタルケハドロ
ン砲を展開する。
 発射されたシュタルケハドロン砲と、ミサイルがシュナイゼル軍に襲い掛か
る。
 ジノとエリファレットも部隊を率いて、うろたえるシュナイゼル軍を一気に
押し返し始める。
 さらに、コーネリアの指揮の元、航空艦隊の援護射撃がシュナイゼル軍に降
り注いだ。

「通信妨害はまだ続いているか?」
「はっ、強力で対処のしようがありません。」
『ロイドの仕業か・・・。』
 オペレーターの報告を聞きながら、シュナイゼルはそう考えていた。
「新たな部隊を派遣なさいますか?」
 カノンがシュナイゼルに、尋ねる。
「いや、やめておこう。ここで戦力を消耗する必要は無いよ。信号弾を。部隊
を撤退させる。」
 カムランから信号弾が発射される。
 その間にも、ランスロットは猛威を奮い、シュナイゼル軍に多大な損害を与
え続けた。
「枢木卿、アヴァロンに帰投してください。そろそろ限界です。」
 すでに10分以上経過しており、ランスロットの稼動時間も限界に来ていた。
「了解、帰投する。」
 スザクはアヴァロンに帰投した。

「新型のナイトメアフレームか・・・。」
 追撃部隊の損害は2割を超え、シュナイゼルの予想を大きく上回っていた。
「はっ。ウォードでは攻撃を加えるのも不可能でした。さらに映像を捉える事
も不可能でして、記録が残っておりません。」
 カノンが報告書を読み上げる。
「敵軍、探知範囲外に逃れました。」
「引き上げよう。出来れば、白き騎士を手中に収めたかったがね。まあ、まだ
チャンスは残っている。」
 その時、シャルンホルストから通信が入った。

「これはシャルンホルスト殿。いかがなされましたか?」
「どういうことですかな?何故、EU軍を貴方が率いておられる。」
「これは心外ですね。EU各国は我がブリタニアの同盟国。私が率いていても
不思議は無いでしょう?」
「では、何故、友軍のブリタニア軍の背後を襲われたのかな?」
「EU各国の要請で、私がEU議会の議長に就任しました。今回の軍事行動は
議会の決定です。」
「何!?」
 シャルンホルストが目を見開く。
「貴官をEU軍総司令官の任から解きます。これは、既に議会で決定されてい
ます。」
『そういう事か・・・。不覚・・・!』
 シャルンホルストは自分の策を読まれ、そしてそれを利用する形でシュナイ
ゼルにEUを乗っ取られた事を理解した。
「既に、首都はパリに戻っています。部隊を率いて戻るならそれ相応の地位を
用意しましょう。戻らぬのなら、それもよし。但し、敵対する行動を取った場
合は、容赦なく叩かせていただきます。それでは・・・。」
 通信が切れた。
 シャルンホルストは、拳を固く握り続けていた。

 3日後、遠征軍は日本に駐屯していた。
「そうですか・・・。シュナイゼル兄様が・・・。」
 ロシア州での戦いでの事を聞いて、ナナリーは複雑な表情を浮かべる。
「それにしても、シュナイゼル殿下がどう出られるか・・・。」
 エリファレットが考え込む。
「我が軍の後方に攻め込んだとなると、味方と考えるのは無理だろう。EUを
手中に収めて、場合によればブリタニア本国に攻め込むやもしれぬ・・・。」
「殿下・・・。」
 憂鬱な表情で自分の予想を話すコーネリアを気遣うように、ギルフォードが
声を掛ける。
「ギルフォード、気遣いはありがたいが、今のシュナイゼルは我が兄にあらず。
ブリタニアに反旗を翻した反逆者だ。」
「EUから、全世界に向けて声明が発表される模様です。」
 士官の一人が、報告に来る。
「スクリーンに映し出せ。」
 スクリーンには、シュナイゼルの顔が映る。

「EU議会議長。シュナイゼル・エル・ブリタニアです。本日は全世界に向け
て、我が国の声明を発表させていただきます。」
 会議室にいる全員が、険しい表情でスクリーンを見ていた。
「EUは本日を持って、ブリタニアとの同盟条約を破棄することを宣言いたし
ます。尚、我が国に駐留するブリタニア軍は、亡命を要求。我が国はこれを受
け入れる事を決定しました。EU軍に編入することになります。」
「やはり、そう来たか・・・。」
 コーネリアが溜息をつきながら呟く。
 ジノの顔からいつもの陽気な表情が、消えていた。
 エリファレットは、腕を組み考え込んでいる。
 アーニャはごく僅かに、目を見開いている。
 スザクは、今後のシュナイゼルの動きを考え始めていた。

「やってくれるねえ。シュナイゼルも・・・。」
「こうなるとはな・・・。」
 斑鳩の艦橋で、シュナイゼルの声明を聞いていた千葉と朝比奈が、顔をしか
める。
 カレンは言葉が出なかった。
「藤堂中佐。これからどうします?分裂したブリタニア同士、共倒れになるの
を待ちますか?」
「共倒れになるとは限るまい。シュナイゼルも充分に勝算あっての挙兵のはず。
その為にEUを乗っ取っただろうからな・・・。」
 今後の方針を尋ねる扇に、藤堂は答える。
『しかし、本国には最強の騎士ナイトオブワンの他に、本土直属軍もいる。どう
やって勝利をもぎ取る気だ?』

「ようやく、今までの労が実ったね。白き騎士を得ることができなかった事は、
残念だが。」
 議長の執務室で、演説を終えたシュナイゼルはコーヒーを飲んでいた。
「すでに、フォートデトリックにはダラスとトロモ機関から例の機体が到着してい
ます。ダラスからも例の物が到着しております。」
 新しいコーヒーを淹れながら、カノンが報告をする。
「結構。それでは、本国を落とした後で改めて白き騎士に呼びかけるとしよ
う。」
 微笑みながら、新しく淹れられたコーヒーを口にする。

「陛下。」
「ビスマルク、そなたは本土直属軍とラウンズを率いて戦う用意をしておけ。」
「イエス、ユア・マジェスティ。」
「ナイト・オブ・エイト。ナイト・オブ・ナイン。そなたらには別命を与える。この場に
残れ。」
「「イエス・ユア・マジェスティ。」」
 クローディアとノネットを残して、ビスマルクは軍議の準備の為、ルキアー
ノ、アンジェリーヌ、モニカを引き連れて謁見の間を去る。
 その中で、何故かルキアーノは薄笑いを浮かべていた。

後書き
このギアスの二次小説も、今回で25話。外伝を含めますと、26話。
連載を開始して、半年になります。
ここまで、続けられたのは、ひとえに拙い作品であるにも関わらず、読んでくだ
さる方々のお蔭です。
心より、お礼申し上げます。
さて、いきなり急展開のAT20話です。
シャルンホルストの秘策。
一旦、ブリタニアに服従したふりをして、ロシアで戦っている隙に、密かに国を
奪還。
温存していた部隊と共に、挟み撃ちにするものでしたが、読んでいたシュナイ
ゼルに利用され、水泡に帰してしまいました。
ブリタニア軍は、アルビオンの活躍もあってどうにか日本に撤退しましたが、
いつ、本国にシュナイゼルが攻め込むか解らない、危険な状況です。
そして、スザク達はどう出るか。
話は完結に向かいます。
ちなみに、アルビオンの動力機関である太陽炉ですが、これは00のGNドライ
ブとは、全く関係ない私のオリジナルです。
もっとも、実際に太陽炉は存在しますが、それとも違います。
簡単に言ってしまえば、太陽光のメカニズムを利用して、ウランを利用した放射
線生成機構、エナジーフィラーを利用した電子生成機構と、太陽光発電システ
ムを利用した動力生成機関です。
核エンジンを使用すると、SEEDの二番煎じですし、原子炉の基礎理論すら確
立されていないギアスの世界では存在自体に無理があります。
でも、フレイヤという核を利用しているであろう兵器が出てきたので、核が絡ん
だ動力源はできないものかなと、調べているうちに、太陽光が地球上では結構
エネルギーロスしているという感じの資料を発見しまして、「だったら、出来うる
限りエネルギーロスしないで、動力に利用できるシステムなら。」と考えて、調
べながら完成した設定です。

次回AFTER TURN21 即 位
シュナイゼルの行動を受けて、ブリタニア、中華連邦、そして、日本にいるスザク
達はそれぞれ、協議したり対策を練ります。
その最中、シャルルは・・・。

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てふてふ
てふてふ エリア11政庁、ナナリーが総督として赴任するときの空中浮遊艦、ダモクレスなど、ブリタニア皇族が居るところ必ずある設備。お花畑。 ブリタニア皇族は花畑が好きなのか、単に可愛い女の子を配置したとき絵になるからなのか。 ナナリーもユーフェミアも花畑のお姫様が良く似合っていました。 そこに必ず現れる白い蝶。 録画を見返した限り、必ず白い蝶、それも一般的にモンシロチョウといわれるかわいい蝶です。何故か白以外は一度もでない。ブリタニア皇帝家の過去に白い蝶が縁起物として認められる経緯があったのか。例... ...続きを見る
金属中毒
2008/11/13 19:51

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
turn20拝読しました。いやー今回は一気に物語が進んでいたので驚きました。
アルビオンの太陽炉やシュナイゼルの“反逆”のシナリオと本編に負けないくらいのオリジナル設定はとても面白かったです。

シュナイゼルのカードには例の二つ以外にも何かありそうなのでとても楽しみです。turn20期待しています。
フロッガー
2008/11/13 01:54
よく、公式に週刊どんでん返しなる言葉が使われましたが、cic様は更新どんでん返しです。
急転直下の題名の通り。トモロ機関の名が出るという事はやはりフレイアの出番もあるわけですね。
戦術を戦略がひっくり返し、さらに政略がそれをひっくり返す。今回のターンは5回読み返しました。
シャルンホルストは自分の策を読まれ、そしてそれを利用する形でシュナイ
ゼルにEUを乗っ取られた事を理解した。
。ヨーロッパ連合はシュナイゼルの統治下に。シャルンホルストは、ここで逆らったら反逆者になるわけですか。それは好ましくないだろうし、でもシュナイゼルの指揮下に入ってもヨーロッパの未来は・・・。
悩みは尽きません。

シャルンホルスト氏がどういう決断をするのか、大いに楽しみに次回のアップをお待ちしております。

2008/11/13 20:23
フロッガーさん。
コメントありがとうございます。

>本編に負けないくらいのオリジナル設定はとて
 も面白かったです。
 ありがとうございます。
 シュナイゼルの水面下での動きの結果を楽しん
 でいただけるか不安でしたが、お楽しみいただけ
 て何よりです。
 太陽炉も、どういう風に判断されるかと思ってい
 ましたが、楽しんでいただけてほっとしてます。

>シュナイゼルのカード
 一つは、は既に登場しています。
 他は、これからのお楽しみです。
CIC担当
2008/11/13 22:51
凪さん。
コメントありがとうございます。

>戦術を戦略がひっくり返し、さらに政略がそれ
 をひっくり返す。
 個人的には、シュナイゼルはこういうやり方が
 一番力量を発揮するタイプの人間だと思ってい
 ますので、この展開は随分前から決まっていま
 した。
 ですので、今までの話で、それを匂わせる様な
 会話を入れていたんです。

>シャルンホルスト氏がどういう決断をするのか
 このまま終わるようでは、設定を作った意味が
 ありませんから、彼ももちろん機を見て、動き
 ます。
CIC担当
2008/11/13 23:00

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