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zoom RSS コードギアス二次小説 AFTER TURN18 東への 誘い

<<   作成日時 : 2008/10/14 11:19   >>

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「そう・・・。スザク君、あまり婚約者らしくしてないんだ。」
「はい・・・。」
 今日は総督としての公務が休みである為、ナナリーはミレイ、リヴァル、シ
ャーリー、そして、連邦エリア設立後に入学し、生徒会のメンバーになった日
本人の安西杏子を呼んで、政庁の一室で紅茶を飲みながら、話をしていた。
「まあ・・・、スザクの性格考えたらな・・・。三日前、俺が会った時はプライベー
トの時は別だって言ってたけど、相手がナナリーじゃな。」
「えっ、リヴァルさん。スザクさんに会ったんですか?」
「あれ、ナナリー知らなかったのか?その日は公務は休みだって言ってたから、
知ってると思ってたけどな。そう言えば、ナナリーの事話さなかったな・・・。」
「ちょっと、リヴァル。何でそういう大事な事話さないのよ!!」
 シャーリーが、リヴァルを睨みつける。
「でも、ナナリーさんが日本にいた時は、スザクさんの家でお世話になってい
たのよね。それにしては他人行儀じゃない?」
 杏子が首を傾げる。
「う〜ん。このままっていうのも、不味いわよね。夫婦生活が冷え込むもの。」
 ミレイが考え込む。
「やっぱり、スザクさん。ユフィ姉様の事、まだ・・・。」
「あ〜、ユーフェミア殿下の事か・・・。」
 リヴァルが考え込むような、表情になる。
「ナナちゃん。それってどういう事?」
「スザク君が学園にいた時の学園祭で、ユーフェミア殿下がお忍びで、来たで
しょう。ナナリー、その時、ユーフェミア殿下と話したんじゃないかしら。」
 首を傾げるシャーリーに、ミレイが予想を話す。
「はい。凄く2人の仲、すごく上手くいってたみたいでした・・・。もし、スザク
さんのお相手がユフィ姉様だったら、きっとこんな風にはなってないですよ
ね。」
 ナナリーが俯きながら、ドレスの布地を握り締める。

「大丈夫かな?スザク君たち・・・。」
 帰りながら、シャーリーはスザク達の事を気にしていた。
「とてもそうは見えないけどな・・・。俺達の卒業までに何とかなって欲しいよ
な。」
 リヴァル達は今年でアッシュフォード学園高等部を卒業し、大学に進む事に
なっていた。
 学園のほうも、日本人とブリタニア人の垣根はほぼなくなり、今日これなかっ
た生徒会のメンバーにも、杏子以外の日本人がいる。
「学園のほうは、ほとんど問題ないのに、まさか、ナナちゃん達の方で問題発
生とはね・・・。会長、何とかなりません?」
「こればっかりは、当人同士の問題だもの。どうしようもないわ・・・。」
 ミレイも年内に式は挙げる事になっていたが、貴族の家に嫁ぐ事の手前、大
学には通う事になっていた。
「会長の婚約者のアスプルンド伯爵に、相談はできないんですか?」
 杏子がロイドに相談できないか、ミレイに尋ねる。
「大丈夫かな〜。確かにスザク君とは古い仲だし、相談には乗ってくれるかも
しれないけど。あの性格だからね。」
 空を見上げながら、ミレイは溜息をつきかけたが、ある人物が頭に浮かぶ。
「そうか。クルーミー中佐なら、何とかなるかも。後で連絡とってみるわね。」
『ま、同じ結婚する身としては、放っておけないしね。』

 その頃、スザクは軍の西部方面軍との演習を終え、政庁への帰途についてい
た。
「演習の結果は上々でしたね。」
「うん。各方面軍との演習もこれで終わりだ。全て満足できるレベルにある。
いざ有事になっても問題は無いだろうね。」
 スザクは、ヴァレーリアと演習の結果について話していた。
「その事ですが、中華連邦はこれからどう動きを見せるでしょうか?近いうちにE
Uでの戦いも始まります。中華連邦とコンタクトを取ったロシア州の事も
気になります。中華連邦では300年以上誰も任命されなかった、枢密使が任命
されました。そして任命されたのは・・・。」
「嘗ての折衝将軍。中華連邦きっての勇将、黎星刻。朱剣の変の際の手際、戦
闘における指揮能力の高さは、諜報部の報告書から嫌でも解る。彼が中華連邦
の軍事のトップになったとすると、かなり面倒な事になる。」
「中華連邦とEUの同盟は、有りうるでしょうか?」
「高い確率であると思う。どちらにしろ、我が国と戦う事になるだろうからね。」
『増大した国力を背景に、正規軍も以前とは比べ物にならないほど、練度が増
しナイトメア部隊も充実している。EUと組まれると、勝敗の行方はどうなる
か・・・。』
 ブリタニア、EU、中華連邦の国力比は、ブリタニアが10とすれば、EUは7、
中華連邦は5であった。
 しかし、現在ではブリタニアを10に対し、EUは5、中華連邦は7である。
 領土を次々と失い、ブリタニアとの戦いで疲弊したEUに比べ、国内の改革
が奏を成し、中華連邦の潜在的な国力が目覚め始めている。本国の研究では、
いずれ、ブリタニアと拮抗する可能性も示唆されていた。
『もしそうなれば、勝敗の行方は全く解らなくなる。そうなる前に、中華連邦を屈
服させるか、友好関係を結び戦を避けるかの、どちらかを選択するか。全ては陛
下のお考え次第。いや、あれがあるかどうかか・・・。』
「枢木卿、ナイトオブフォー、エリファレット・ナイチンゲール卿からの通信です。」
「繋いでくれ。」
 スクリーンに、エリファレットの顔が映し出される。
「ああ、スザク。始まったよ。」
「EUとの戦いが、だね。」
「ああ、北アフリカに駐屯していた、ルキアーノとモニカ達が侵攻を開始した。
ルキアーノはイタリア州。モニカは、ギリシア州にそれぞれ攻撃を仕掛けてい
る。」
「戦況は?」
「これが奇妙でね。傍目にはEU軍が壊走しているようにも見えるけど、私の目に
は意図的に下がっているように思えてならない。」
「意図的に・・・?」
『もしそれが本当なら、シャルンホルストの思惑は・・・。』
 スペイン州での戦いから、確証に近づいていた考えが、スザクの頭に浮かぶ。
「エリファレット達に、出陣の命令は?」
「フランス州の攻略にノネットが、ドイツ州の攻略はアンジェリーヌが出陣する予定
だ。」
「そうか。解った。知らせてくれてありがとう。」
 エリファレットの顔がスクリーンから消える。
「艦長。機関全速。直ちに政庁に戻る。」
「イエス、マイ・ロード。」
 アヴァロンが速度を増す。

「やれやれ、この程度か?張り合いが無いな〜。」
 戦場には、EU軍の主力ナイトメア、パンツァーフンメルの残骸が無数に転がっ
ており、その中心には、一騎のナイトメアフレームがあった。
 「ブリタニアの吸血鬼」と呼ばれる、ナイトオブテン、ルキアーノ・ブランドリーの
専用ナイトメア、パーシヴァルである。
 北アフリカを出たルキアーノを中心とするブリタニア軍はサルディニア島を攻略。
ローマ周辺での戦闘を終えていた。
「うん?」
 一騎のパンツァーフンメルがパーシヴァルに向かってくる。
「ふん。」
 右腕の4本の禍々しい爪が回転を始め、ブレイズルミナスを纏いショットランサ
ーのようになる。
「さあ、散らせ!命を!流し尽くせ!全ての血を!!」
 パンツァーフンメルの背後に回りこみ、容赦なくコックピットを貫く。
「こんなに、早く後退されては、殺す相手も、壊す物もないじゃないか。」
 退屈そうにルキアーノが呟く。
「ブランドリー卿。イタリア州政府が、降伏しました。」
 親衛隊である、グラウサム・ヴァルキュリエ隊が、ルキアーノの周辺に降下
する。
「やれやれ。うん?」
 コックピットのルキアーノはモニターに、ブリタニアのナイトメア部隊の先頭にい
る、ナイトメアフレームを確認する。
「モニカか。終わったのか?」
「ええ、ギリシア州の攻略は完了しました。このまま私達は、補給を受けて周辺
諸州を攻略せよとの事です。他の軍も間もなく到着する予定です。」
 金髪であどけない少女の様な顔の女性騎士は、ナイトオブトゥエルブ、モニ
カ・クルシェフスキーと言う。
 直属部隊と、親衛隊のシクザール・ヴァルキュリエ隊を率いて、先にルキアー
ノらと合流すべく、来ていた。
「そちらも早かったですね。もっとも、私のほうも向こうの軍が早く壊走して、政府
はすぐに降伏。楽な・・・。」
 コックピットに警告音が響いて、モニカは表情を引き締める。
 10騎程のパンツァーフンメルが、モニカが騎乗するナイトメアフレームに攻撃を
仕掛けてきた。
「もう戦闘は終わっているのだけれど・・・。」
 弾幕をかわしつつ、背部のミサイルランチャーからミサイルが発射される。
 弾幕を潜り抜けてきたパンツァーフンメルが迫るが、両肩に装備されたヴァリス
で正確に撃ち抜く。
「最後よ・・・。」
 手にしたライフルからハドロン砲が発射され、残りのパンツァーフンメルを撃破し
た。
 重武装ナイトメアフレーム、ラモラック。
 ミサイルランチャー、ヴァリス、大口径マシンガン等、様々な武装を搭載した、高
い火力を持つナイトメアである。
 特に目を引くのが手持ち武器として開発に成功した、ハドロンライフルである。
 最新鋭の兵器であるハドロン砲を、携帯可能なライフル型として開発に成功した
事は、他のラウンズの開発チームを驚かせた。
「これからは雑魚掃除か・・・。つまらんな〜。」
 ルキアーノがつまらなさそうに、呟く。
「ブランドリー卿。エニアグラム卿とベルリオーズ卿の作戦と合わせて、実行され
る私達の作戦の意味は軽くありませんよ。」
「言われなくとも解っている。俺は殺す相手と壊す相手がいないから、つまらない
だけだ。」
 ルキアーノはラウンズに相応しい実力を持っているが、性格は残虐でスタントプ
レーも目立ち、ラウンズでも浮いた存在だった。
 それを考慮して、ビスマルクはルキアーノとも比較的問題なく作戦行動が取れ
る、モニカを組ませていた。
「3時間後には、後続部隊が到着します。出発は明朝というところですね。」
「仕方ない。楽しめる事を祈るよ。」
 ルキアーノは自分の旗艦サラセンに戻った。
「私たちも帰投します。」
 モニカも旗艦のメレアガンスに戻った。

「イタリア州、ギリシア州の攻略は終了しました。ブランドリー卿、クルシェフスキ
ー卿の部隊は、東欧諸州の攻略に向かうとの事です。」
 政庁に戻ったスザクは、EU戦線の戦況報告を聞いていた。
「ご苦労だった。」
 報告を聞くと、壁にある世界地図に目を移す。
『これで、フランス州は孤立無援に近い。ノルウェー州らが援軍を派遣しようにも、
イギリス州がこちらの手にある以上、難しい。しかし、それ位はシャルンホルストも
理解しているはず・・・。』
 世界地図を見ながら、スザクは今後の戦況の予測を立てていた。

「閣下、イタリア州、ギリシア州は陥落。しかし、軍の半数以上は離脱に成功。
合流地点に向かっております。」
「うむ。まずは予定通りか。」
 副官のデューラー少佐から報告を聞いて、静かに頷く。
「ロシア州のほうはどうなっている?」
「準備は整っておりますが、中華連邦の方は・・・。」
「今だ結論が出ないか・・・。」
「はっ、間もなくとは思いますが・・・。」
 シャルンホルストは、顎をつまんで考え始めた。
『どちらに出るにせよ、分からないままと言うのは、不安だな。』
「パリのラトゥール議長に通信を入れてくれ。」
 士官の一人に、そう言う。
『私が出るべきかも知れぬ。』

「ブリタニア軍は、イタリア州とギリシア州を取ったか。予想以上に早いな。」
 枢密院で星刻は、戦況報告を聞いていた。
「確かに。ところで気になる情報が入りました。双方の州軍の一部が、独断かど
うかは定かではありませんが、国境を越えたとのことでございます。」
「何?」
 香凛の報告に、星刻はやや表情を変える。
「目的地は何所だ?」
「ハンガリー州のブダペストのようです。」
『イタリア州とギリシア州のほぼ中間か・・・。反攻作戦の一環か?』
 腕を組んで、星刻は考え込む。
「そうか。そういうことか・・・。」
 ロシア州の申し入れと合わせて、星刻はEUというよりシャルンホルストの考え
を見抜いた。
「星刻様、御前会議の時間でございます。お仕度を。」
「ああ、解っている。」
『いずれにせよ、ブリタニアは戦う事になる相手。問題はどのようにして戦うか
だ。』

「枢密使は、いかなる戦略でブリタニアを迎え撃たれるおつもりかな?」
 宰相の范質が尋ねる。
「EUと手を結ぶか、結ばぬかによって変わりましょう。と言っても、双方共に共通
点は多くあります。」
「枢密使、説明をお願いします。」
「はっ。」
 天子に促され、説明を始める。
「ブリタニアが我が軍を攻める場合についてですが、周辺のエリアから軍を派遣
し、国境を突破する事を狙うでしょう。これに関しては、国境の軍は守りに徹し、
決してその姿勢を崩さぬ事が肝心でございます。もし、それを崩せば、隙を突か
れ国境が突破されるは必定。占領した地を橋頭堡として、洛陽に迫りましょう。
国境軍はとにかく守り抜く事。これが大事でございます。頼むぞ、守国。」
「承知いたしました。」
 驃騎将軍の守国が頷く。
「しかし、ブリタニアは国境に迫ると同時に精鋭部隊に国境を突破させ、洛陽を
突こうといたしましょう。」
「ロシア州に攻め込もうとする部隊かな?」
「いえ、宰相。この場合、ロシア州に攻め込んだ部隊も、他の部隊も陽動。本命
はこの精鋭部隊です。」
「何所の部隊ですか?枢密使。」
「この地の部隊でございます。」
 天子の問いに答える形で、星刻が指揮棒で指した地は日本だった。
「ブリタニアの白き死神か・・・。奴ならやるやも知れぬな。」
 車騎将軍の洪古が表情を引き締める。
「動員できる兵力は、最大64万。ある程度は、日本に残す必要があるとしても、
かなりの大軍を叩きつけてくるか・・・。」
 兵部尚書の平仲も、表情が険しくなる。
「対策はおありかな?」
「日本を取り囲むように、国境に軍を展開。牽制するが良いかと。さらに、枢木をこ
の地から引き離す必要があります。その為にも・・・。」
 星刻が周囲を見渡す。
「EUと同盟を結び、枢木をロシア州での戦いに釘づけにします。」
「しかし、奴が加われば、ロシア州での戦いは、EU軍の敗北に終わる危険性が
高くなるのでは?」
 吏部尚書の粛啓が、不安げになる。
「その心配を払拭する為に、ロシア州に援軍を派遣する。指揮官は私だ。」
 会議の場が騒がしくなる。
「枢密使自身が、援軍を率いるのですか?」
 天子もさすがに、不安そうになる。
「黒の騎士団も、再建が進んでいます。彼らもいれば、枢木を釘付けにする事
も、充分可能でしょう。それに、あの白き死神と渡り合えるのは、自惚れではな
く、私しかおらぬかと存じます。」
 反論は一切出なかった。
 実際、中華連邦でスザクに対抗できるのは、星刻しかいないというのは共通
の認識だったからである。
「解りました。枢密使は軍の編成に入ってください。但し、相手が相手です。選り
すぐった兵を連れて行くように。そして、必ず生きて帰ってきなさい。い
いですね。」
「はっ。必ずや。」

「結局、星刻様が出陣なさいますか。」
「そう言うな、香凛。シュナイゼルが枢木をいざという時の切り札にするのは、目
に見えている。そうなれば、私が出る以外あるまい。」
 星刻はEU救援軍の、編成準備に入っていた。
『ふむ。枢木の直属軍を抑える精鋭を、別に選び出す必要があるな。それに念
の為だ、コーネリアが出てきた場合も想定する必要があるだろう。となると、さら
に選りすぐりの、20個師団を選ぶ必要があるか。』
 星刻の直属軍は100個師団。総勢130万にもなるが、スザクの直属軍と戦え
る部隊となると、決して多くは無い。さらに、コーネリアが出陣する可能性も想定し
ていた為、精鋭部隊の編成は極めて困難である
「失礼いたします。張宰相が、お呼びでございます。」
「何かあったか?」
 文官に尋ねながら、星刻は軍の編成を考えていた。
「はっ。EU軍総司令官。アーダルベルト・ヴィルギニア・フォン・シャルンホルスト
閣下が、会談を申し入れてきたとのことでございます。」
「解った。すぐに行く。」
『まさか、総司令官自ら来るとはな・・・。』

 EU軍との戦いが開始されてから、1週間後。
 スザクは本国での御前会議に出席する為、本国での執務があるナナリーと共
に帝都ネオウェルズに来ていた。
 会議を明日に控えて、二人はユーフェミアとマリアンヌの墓に来ていた。
「ユフィ。日本の事は大丈夫だ。あともう少しで、本当の意味での自治が行え
るようになる。」
 司法機関での日本人の採用は、自治政府の懸命の努力が実を結び確実に増
えている。
 最大の懸案である、司法機関の問題は着実に解決に向かっていた。

「お母様。ナナリーです。」
 花束を備えながら、ナナリーがマリアンヌの墓に語りかける。
「まだまだ、未熟ですが、スザクさんや他の方々が助けてくださっているので、何
とかやれています。これからも、私たちを見守っていてください。」
 話し終えた時、ナナリーの専任騎士のドロシーが、花束を供え恭しく跪く。
「此度、ナナリー殿下の専任騎士を務める事になりました、ドロシー・F・ダールト
ンと申します。若輩の身ではありますが、この命を懸けて殿下をお守りする所存
でございます。」
 ドロシーが、マリアンヌの墓前で誓いを立てていると、どこからかナイフが
飛んでくる。
「その誓い、守れるといいがなあ・・・。そこにいる騎士は守れなかったが
な・・・。」
 スザクがナイフを受け止めると、髪を逆立てた一人の騎士が歩いてくる。
 着ているのはラウンズ専用の軍服と、オレンジ色のマントを纏う騎士。
 ルキアーノである。
「中央アフリカ戦線以来ですか。ブランドリー卿。」
 今回の御前会議は、EU戦線にいるルキアーノとモニカも来る事になっていた。
「また、皇女殿下をたらしこんだのか。そういう事は上手いらしいな。しかし、皇女
殿下も人を見る目が無い・・・。」
「ブランドリー卿、今のあなたの発言は皇族批判に値します。これ以上、続けるな
らば、見過ごす事は出来ません。」
 自分だけでなく、ナナリーやユーフェミアをもバカにするような事を言う、ルキア
ーノをスザクは睨みつける。
「ほお・・・。私と戦うつもりか?一度勝ったぐらいで、いい気になるなよ。」
 ルキアーノが懐から、ナイフを取り出す。
 スザクも腰の剣に、手を伸ばす。

「そこまで。双方とも剣を引け。ここは皇族の墓地である。」
 スザクとルキアーノが振り向いた先には、スリランカの総督である、ジュリアス・
ディ・ブリタニアがいた。
「これはジュリアス殿下。」
 スザクが恭しく跪く。
 ルキアーノもそれに続く。
「枢木卿、ブランドリー卿。墓地は死者を弔う場所であって、決闘の場ではない。
それを弁えられよ。」
「申し訳ございません。」
「解ってくれればいい。ところでブランドリー卿。誰の許可を得て、ここにいる?例
えラウンズであろうとも、皇族の墓地に入るには許可がいる事位、知っていよ
う?」
 スザクは嘗てユーフェミアの騎士で、今はナナリーの婚約者である。
 故に、皇族の墓地に入る許可が与えられている。
 例え、ラウンズのルキアーノといえども、許可がなければ皇族の墓地に足を踏
み入れる事は出来ない。
「これは失礼をいたしました。では・・・。」
 ジュリアスすらも、何処か馬鹿にした態度でルキアーノは立ち去った。

「そうか。中華連邦には感じぬか・・・。」
「はっ。少なくとも自分には・・・。」
 アーカーシャの剣で、中華連邦に探している物があるかどうかを、シャルルはス
ザクに確かめさせていた。
「ことさら、中華連邦に戦いを挑む必要は無いか。さて、枢木よ。中華連邦はEU
につくと、思うか?」
「このまま進み続ければ、おそらくは・・・。」
 シャルンホルストの策を、ほぼ完全に読んでいたスザクはこのまま侵攻を続け
れば、中華連邦との戦いは避けられないと考えていた。
「そうか。続きは明日の御前会議で聞くとしよう。ご苦労であった。」
 スザクが恭しく頭を下げて、アーカーシャの剣から立ち去る。

「それでは、我が国の最終的な意志をお伝えいたします。」
 朱禁城では、EUとの会談が大詰めを迎えていた。
「我が国は貴国との同盟を締結し、貴国に危機が迫った時には援軍を派遣する
事を決定しました。」
 星刻がシャルンホルストを長とする、EUの使節団にそう告げる。
「ありがたく存じます。」
 シャルンホルストが頭を下げる。
「もはや貴国の残りの領土は、バルト三州と、ベラルーシ州、ウクライナ州それに
ロシア州。事、ここに至っては、我が国にとってももはや放置して置けぬ事態で
す。」
 スペイン州が陥落した後、ブリタニアでのクーデターが続発した為に、ブリタニ
アの進行は止まっていたが、3月になってからは4人のラウンズを前線に投入。
EUはスペイン州の戦いで軍が大損害を被っていたのがたたって、瞬く間に各州
を落とされた。
 すでに、EUはシャルンホルストの策を実行に移し、政府中枢をロシアに移して
おり、残存戦力も、ロシア州に集結させていた。
 星刻も率いる部隊の編成を、ほぼ終了させている。
「後は、ブリタニアがいつ侵攻を開始するかですな。」
「そう遠くはありますまい。議論はあるでしょうが、最終的には侵攻を開始いたし
ましょう。」
『ブリタニアの占領地域とロシア州の間にある地域。バルト三州とベラルーシ、
ウクライナがそう遠く無い内に火種になるは明白。そうなれば、戦いは避けられ
まい。』
 シャルンホルストと議論をしながら、星刻は今後の事を考えていた。

「残った地域をそのまま放置するのは、危険と考えます。ウクライナを始めとする
五州が、報告にあるロシア州のEU残党、中華連邦と組み、逆侵攻を開始する可
能性があります。この際、我が陣営に取り込み、その上で交渉のテーブルについ
てもよいと存じます。」
 御前会議でモニカが、自分の考えを示していた。
「成る程・・・。他に意見のある者はおらぬか?」
 シャルルが、皆を見渡す。
「この際、ロシア州も陥落させた上で、中華連邦との交渉に臨むべきかと。シベ
リアのサクラダイト鉱脈の事で、多少よい思いをさせれば、彼我の国力の差から
考えて、外交にて相手を屈服させられるかと。それでも駄目なら、モンゴルとウイ
グル自治区を取ればよいでしょう。そうすれば、向こうも態度を変えるかと。」
 モニカに続いて、ルキアーノが意見を述べる。
 自ら人殺しの天才と自称し、破壊と殺戮を何よりも好む性格ではあるが、指揮
官としては優秀で、中華連邦との事に関しても自分なりの考えを持っていた。
「陛下は、どうお考えですか?」
 シュナイゼルが、シャルルに伺いを立てる。
『モニカやブランドリー卿の言う事にも一理ある。確かにウクライナを始めとする五
州を放置は出来ない。永世中立国にするという手もあるけど、我が国によってな
されては、意味が無い・・・。』
 スザクが考え込んでいるのを、シャルルはずっと見ていた。
「枢木、考えは纏まったか?」
「ロシア州に攻め込むのは、今となっては危険と考えます。」
「根拠は?」
「それこそ、シャルンホルストが望む形であると考えるからでございます。ロシア
州はEUの中でも最も広大な領土を持つ州。引きずり込まれた挙句、中華連邦に
後方を遮断されては目も当てられません。他の州での軍の動きは、シャルンホル
ストの策でしょう。残存している軍をできるかぎり集め、ロシア州の兵力と加えて
再編。そして、中華連邦と手を結び反攻作戦に出る。自分はそう考えます。既
に、中華連邦との同盟が締結されている可能性も高いと考えます。」
「成る程。一理ある・・・。確かに、ああも無様だと策に思えるな。」
 シャルルが納得したように、頷く。
「仮にそうだとしても、寄せ集めのEU軍など、中華連邦軍と共に蹴散らせばよい
だけの事。ナポレオンはロシア遠征に成功しただろう?枢木卿の意見とは思え
んな。」
 ルキアーノが挑発するような口調と目つきで、スザクに言う。
「向こうもそれを教訓にするのは、目に見えている。ナポレオンは成功したが、我
々は失敗したという事にも、なりかねません。」
 挑発に乗らずに、冷静にスザクは自分の意見を言う。
「枢木卿、いずれにしても五州を放置はできないだろう。私が交渉して彼らに独
立するよう促してみるよ。」
 シュナイゼルが、ルキアーノとスザクの間の空気が険悪になったのを感じたの
か、仲裁をするように交渉を買って出る。
「よかろう。そなたに任せる。それ次第で、EU、中華連邦と刃を交えるかを決める
とする。ご苦労であった。」

「いつも以上に、慎重ね。スザク。」
「モニカか。スペイン州の戦いの前から、シャルンホルストの策については考えて
いたんだ。イタリア州とギリシア州の戦いの推移を見て、さっき陛下に申し上げた
事が、シャルンホルストの策だとほぼ確信したんだ。だからこそ、ロシア州に攻め
込むのはリスクが大きいと思う。中華連邦だって黙っていないだろうからね。」
 「じゃあ。」と言って、スザクは自分の屋敷に戻った。
 それから2週間後、ウクライナ州の州都キエフでウクライナ州、バルト三州とベ
ラルーシ州とブリタニアとの間で条約が結ばれた。内容は五州がEUから独立し
て永世中立国になる事をブリタニアが承認。国交を結び、さらに相互不可侵条約
を締結する事となっていた。

「では、条約を結んだ国とは・・・。」
「そうだよ、ナナリー。わが国が攻め込む事は決してない。その為の不可侵条約
だからね。後は、EUと中華連邦が攻めてこない事を祈るだけだよ。」
 アリエスの離宮では、再び本国に来ていたナナリーとスザクに、シュナイゼル
が加わって、夕食を共にしていた。
「永世中立国になった各国が、我が国とEUとの仲裁役になってくれれば、これで
戦も収まるはず・・・。そう願うばかりです。」
 スザクがワインを飲む。

 しかし、ここで思わぬ事態が生じる。
 ウクライナは歴史的に、他国の思惑に国の運命を左右され続け、国としての主
権を確立したのは、歴史の流れで見ればごく最近のことである。
 EUへの加盟も、隣国の大国ロシアに強制されたような物である為、ロシア州
への反感は強かった。
 永世中立国とはいえ、ブリタニアという強国と国交を結んだ事が切欠で、国民
が反EU感情をむき出しにしてしまったのである。
 これを受けてEUも危機を感じ、小規模ではあるが国境に軍を展開。
 事態の沈静化を、ウクライナに求める事となる。
 だが、これが逆に火に油を注ぐこととなり、民衆の反EU感情はさらに激しくな
り、ウクライナ政府はEUに軍の撤退を求めたが、現在の状況では応じる事は困
難であり、事態は泥沼化の様相を見せていた。

「ホロヴィッツ大統領からの親書です。」
 宰相府で、カノンがウクライナの大統領、ウラジミール・ホロヴィッツからの親書
をシュナイゼルに手渡した。
「困ったものだね・・・。」
 親書にはEU軍の国境からの撤退がなければ、民衆を宥めるのは不可能と書
かれていた。
「ウクライナ国内では、ブリタニアとの同盟を締結し、EUを撃つべしとの世論も強
まっているとの事です。ですが・・・、これで・・・。」
 カノンがシュナイゼルに、微笑みかける。
「そういう事だ・・・。」
 シュナイゼルは微笑みで、答える。

 その後、さらに事態は悪化し、ブリタニアとしても放置できない状況になった。

 政庁の執務室で、スザクはウクライナでの状況の報告書を見ながら、険しい表
情をしていた。
「このままでは、ブリタニアは再びEUとの戦う事になるな・・・。お前はどう思
う?」
 C.C.がスザクに尋ねる。
 報告書には、EUの首都となったハバロフスクでも、さらに軍の増強が検討され
ている事も記されていた。
「それにしても、妙だな・・・。如何にウクライナが永世中立国とは言え、ブリタニア
にもできる事はあったはずだが・・・。」
 C.C.がポツリと呟いた。
『そうだ。確かにブリタニアにもできる事はあった。』
 ウクライナ、EUの仲裁をするという選択も、ブリタニアにはあった。
 だが、ブリタニアはこの件に関して、何もしようとはしなかった。
 その事は、スザクも奇妙に思っていた。
『シュナイゼル殿下なら、この対立を解消しようと動いたはず。少なくとも、僕なら
そうしていた。なのに・・・。』
 少し考えて、スザクはある結論に達した。
『あえて、何もしなかった?でも、何の為に?まさか・・・。』
 スザクはある事の確証に至ったが、認めたくないという気持ちが強かった。

「事態は、良くなる兆しを見せません。このままでは、我が国にも影響が及ぶで
しょう。EUに軍を引くよう、私が親書を送ります。」
 4月になっても、ウクライナとEUの関係は、よくなる兆しを見せなかった。
 このままでは、ブリタニアの属国となった欧州の地域にまで、影響が及ぶ事が
懸念され、御前会議が開かれた。
「それはそれでよい。だが、それでも相手が引かない場合はどうする?」
 EUに親書を送って状況の打破を主張したシュナイゼルに、シャルルが尋ねる。
「その場合は、如何ながらロシア州への侵攻となりましょう。できれば、そうなっ
て欲しくはありませんが・・・。」
 そう言うシュナイゼルを見るスザクの目には、不信の光がかすかに灯ってい
た。

 翌日、EU議会議長、シモン・ド・ラトゥールに親書が送られたが、EUはシュナ
イゼルの要求を拒否。内政干渉と激しく糾弾した。

 その日の御前会議でロシア州への侵攻が決定され、軍の編成がなされた。
 総司令官はシュナイゼルだが、前線の指揮はコーネリアが取る事となった。
 スザクも直属軍を率いて、侵攻軍に加わる事が決定し、さらにラウンズから、エ
リファレットとアーニャ、ジノが加わる。

 三大勢力の残りの一つ、中華連邦はブリタニアの行動を非難し、EUとの同盟
を発表。
 枢密使である星刻を指揮官として、援軍を派遣する事を決定。

 戦乱の雲は、東の地を覆うとしていた。

後書き
いよいよ、ブリタニア対EU、中華連邦との戦いが始まります。
書いている途中、ウクライナの歴史について調べてみたのですが、ソ連建国まで
は、ロシア帝国とポーランドの間。ソ連に組み込まれるまで、ソ連との戦いがあ
り、ソ連に組み込まれてからは主権を奪われ、国として主権が確立したのは、ソ
連崩壊後。
歴史で見れば、本当にごく最近です。
個人的に言えば、ポーランドの方が各国の思惑に振り回されている印象があった
のですが、こちらも負けず劣らずといった感じがしましたね。
次回AFTER TURN19 プトラン の 会戦。
いよいよ、星刻が軍を率いてブリタニアと戦います。
もちろん、星刻とスザクの戦いもあります。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
久しぶりに感想書かせてもらいます。
コードギアスのssとなるとやはりカップル系や学園系などの作品が多いですが、cic担当氏の緻密な設定のもとのssはとても魅力的で自分は思いっきり引き込まれました。

氏の作品では本編で活躍したKMFやキャラに加えて、ナイチンゲール卿やシャルンホルスト、KMFドーチェスターなどのオリジナル要素が輝いていて、またギアス自体があまり使われないという点も作品の魅力なのかも知れませんね

本編はルルーシュ達の「暴力」により世界が変わっていきましたが、この作品では世界は何によって変わっていくかを楽しみにしつつ、19話楽しみにしています。

>あと自分はジェレミア卿とテンさん(ルキアーノ)が好きなんで、彼らの活躍期待してます!
フロッガー
2008/10/17 01:45
フロッガーさん。
コメントありがとうございます。

>ギアス自体があまり使われないという
 元々、ギアスを使うつもりはほとんどなかっ
 たんです。
 ギアスとは何なのか。C.C.の正体。と、
 いう事に関しては書きますが。

>この作品では世界は何によって変わっていく
 か
 スザクの決断が鍵を握ります。
 お楽しみいただければ、幸いです。
CIC担当
2008/10/20 10:44
初めてコメントさせてもらいます。拙いコメントですがご容赦ください。いろんなギアス二次創作をみてきましたがやはりこの作品が一番ですね、私も銀英伝ファンなので戦略、政治、謀略、等と言った場面が好きなのでとても楽しんで読ませてもらってます。
もし、またギアスの二次創作を書く機会ができましたら今度はぜひルルーシュを主人公にしてほしいですね。
たとえばトウキョウ決戦で勝利したという設定などどうでしょうか?
あとEUにもルルーシュや星刻のような反逆者をできたらだしてほしいです。
アニメではあまりにもEUが空気でしたから・・・・
初めてのコメントで長文&要望失礼しました。
最後におもしろい作品ありがとうございます、次回も楽しみにまってます。
ヨウケン
2008/10/26 02:17
ヨウケンさん。
初めまして。
コメントありがとうございます。

>いろんなギアス二次創作をみてきましたがや
 はりこの作品が一番ですね
 ありがとうございます。
 他の方からも、過分のお褒めのコメントを頂
 き、嬉しい限りです。

>またギアスの二次創作を書く機会
 もしまた、ギアスの二次創作を書く機会があ
 れば、ルルーシュを主人公にするのも面白い
 ですね。
 とすると、スザクはどうしようかな?

>アニメではあまりにもEUが空気でしたから
 そうですね。
 結局、何の為に設定されたのかな。と、不思
 議に思いましたから。
 それで、オリジナルキャラとして、シャルン
 ホルストを設定したんですよ。
 黒の騎士団と上手く絡ませると、EUも存在
 感が出るんでしょうけどね。
CIC担当
2008/10/27 20:58

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