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zoom RSS コードギアス二次小説 AFTER TURN15 スザク の 戦略

<<   作成日時 : 2008/09/17 18:40   >>

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「イギリス州の行政区分は、イングランド、ウェールズ、スコットランド、アイルラ
ンド。以上の4つに分かれている。今回の作戦は、それぞれの行政区分の首都
を奇襲によって制圧。降伏に追い込むのが目的だ。」
 密かにイギリス州に向かった、スザクの部隊はアヴァロンの会議室で作戦会
議を開いていた。
「ロンドンだけじゃないのかい?」
 ロイドが尋ねる。
「その場合他の行政区が独立を宣言して、短期攻略が困難になる可能性が高
く、余計な犠牲も出ます。現在イギリス州に残る兵力は、増援を差し引けば6個
師団。こちらが兵を分散しても問題は無いでしょう。ロンドンとスコットランドに3
個師団。他は2個師団を送り込み。短期間で制圧を完了し、その後、再集結。ス
ペイン州に展開中のEU軍の側面を突きます。」
「おいおい、俺達はイギリス州の制圧が任務だろう?いいのか。」
 ラウンズは皇帝直属部隊で独立性が強く、自由な作戦行動もかなり許され
る。
が、御前会議で決定した任務以上をしても大丈夫かと、ジノは尋ねた。
「陛下に、許しは頂いているよ。大丈夫。」
「じゃあ、始めからそのつもりだったのかい?スザクは。」
 エリファレットが尋ねる。
「相手はあの、シャルンホルスト。より効果的な奇襲をする為に、あえて秘密
にしておいたんだ。」
「敵をあざむくには、まず味方からってこと?スザク君。」
「そういうことです。セシルさん。」
 セシルの問いに、スザクは微笑みながら頷く。
「じゃあ、割り当てだ。イングランドは自分が攻略する。ウェールズはロセッテ
ィ。エリファレットとミラーは、スコットランド。アイルランドは、ジノとモーゼスだ。
何か質問は。」
 特に質問は出なかった。
「間もなく、イギリス州の領空に入ります。」
 ブリッジに戻った際、オペレーターの報告にスザクは頷く。
「よし、作戦開始。」
 スザクのイギリス州攻略作戦が、開始された。

「殿下、アヴァロンより入電。作戦が開始されました。」
「そうか。我が軍も動くぞ。ギルフォード。」
「はっ。既に、出撃準備は整っております。」
 コーネリアは頷くと、新しく専用ナイトメアとして開発された、イゾルデの出撃準
備を命じる。
「殿下自らが、ご出馬なさるのですか?」
「何、イゾルデの実戦テストをしたいと思ってな。」
 こうなった時のコーネリアを止める事はできない事は、ギルフォードも解っていた
為、あえて止めなかった。

「副司令。イギリス州より緊急入電です。ブリタニア軍の奇襲を受けたと。」
「何!?そんな馬鹿な、何故レーダー網に掛からなかった!?」
 動揺した扇は、すぐにその答えが解った。
「まさか、奴らも・・・。」
「ゲフィオン・ディスターバを利用しての、ステルスユニットの開発に成功したみた
いだね。やってくれるよ。主な開発者はプリン伯爵だろうけど、ラウンズが一人絡
んでるだろうね。」
 ラクシャータが煙管を口から離し煙を吐いてから、コンソールを操作する。
「ナイトオブフォー。エリファレット・ナイチンゲール。グラスゴー、サザーランド、グロ
ースター、ドーチェスター、ウォード。それに、エース用のヴィンセント。専用機のエ
クターと、ブリタニア軍が使用しているナイトメアのほとんど全ての開発に携わった
技術者でもあるんだよ。」
「ラウンズが技術者?」
「正直、生かしておくと面倒だから、カレンか藤堂に叩いて欲しかったんだけど、こ
れは無理かもね。」
 溜息混じりにそう言う。
「さらに入電。イギリス州の増援部隊が、攻撃を受けています。敵の旗艦はコルチ
ェスター。」
「コーネリアの直属軍が!?」
 ブリタニア軍が、出撃した事はディートハルトの情報網から知っていたが、てっき
り増援だと思っていたので、完全に裏をかかれた形になった。
「この事を、藤堂中佐は?」
「本艦が入電する際、スペイン州にも連絡は入っている模様。」
『後は中佐次第か・・・。』
 扇は拳を握り締めていた。

「まさかな・・・。こう来るとは・・・。」
 報告を聞いた藤堂は、焦りを感じていた。
 ブリタニアの大西洋艦隊が不可解な後退をした時、藤堂は奇妙に感じたが、
これまでの戦いで消耗した兵力を、補う必要があった事。突如、行方をくらま
したスザクの直属軍が増援部隊となると判断した為に、扇と同じくスザクに裏
をかかれた形になっていた。
 藤堂も大部分の軍を増援として派遣したイギリス州に対する、奇襲の可能性
を考えていなかったわけではないが、あくまでブリタニア側の優先順位のトッ
プはスペイン州攻略にあると考えていたので、イギリス州攻撃は無いと最終的
に判断していた。
 実際、ブリタニア軍でシャルルがイギリス州攻略の意志をほのめかすまで、
イギリス州に対する軍事行動について誰も考えていなかった。
 藤堂の判断は、決して間違ってはいない。
 だからこそ、スザクの策は有効だった。
「兵は詭道也か・・・。」
 両の拳を握り締めながら、藤堂は対抗策を考えようとしていた。

「ほう、白の騎士が遂に動いたか。」
「はっ、イギリス州は軍の大部分を援軍に裂いている為、戦いはまもなく終わる
かと。」
 カノンの言葉に、シュナイゼルは満足そうに頷く。
「しかし、枢木卿も大胆ですわね。イギリス州に奇襲をかけるなんて。」
「イギリス州が落ちれば、フランス州はさらに脅威に曝される。EU軍に対する心
理的影響は、かなりの物だろう。それも狙いに入っているだろうね。」
「確かに・・・。」
 カノンがシュナイゼルの言葉に頷いた。
「イギリス州の援軍、コーネリア殿下の軍との、戦闘に入った模様。」
「ふむ。結構。コーネリアがくれば、正攻法でEU軍を蹴散らせる。枢木君が来れ
ば、相手の側面を突ける。この戦い、我等の勝利だね。」
 前衛部隊の大敗以降の戦闘の損害は、EUは1個師団。シュナイゼルの軍は2
個連隊である。
 徐々にシュナイゼル軍優勢に、戦況は傾いていた。

「RFN−01/SC イゾルデ、発進シークエンスに入ります。」
 コックピットの中で、コーネリアは機体のチェックを全て終了していた。
「殿下、すぐに私も追いつきます。あまり、無理をなさらぬよう。」
「案ずるな、ギルフォード。すこしテストに行くだけだ。今回はラウンズもいる。」
「はっ。」
「イゾルデ出るぞ。」
 イゾルデが発進していく。
「さて、見せてもらうぞ。お前がどこまで実戦で戦えるかをな。」
 機体に言い聞かせるように呟いて、レーダーを見ると、EUの主力戦闘機タイ
フーンUが迫ってきていた。
「ふっ。」
 襲い掛かる機銃弾を、軽々とかわし手にしているMVSに内蔵されているヴ
ァリスで、次々とタイフーンUを仕留めていく。
「まず1艦。」
 背部に装備されているハドロンランチャーを撃ち、駆逐艦1隻を轟沈させる。
「さあ、コーネリアはここにいるぞ。討ち取ろうとする者はいないのか?」
 通信回線をオープンにして沈んでいく駆逐艦を背に、コーネリアはEU軍を挑
発するように言った。

「相変わらずだな。あの方は。」
 専用ナイトメア、パロミデスを駆りながら、ノネットは苦笑していた。
「困ったものです。あのお方にも。」
「心配するな。ギルフォード卿。そう簡単にやられるお方ではない。」
 ギルフォードにそう言っていると、輪形陣を組んでいるEU艦隊の左翼の駆逐
艦から、対空ミサイルが発射される。
「その程度!」
 パロミデスは胸部に内蔵されているバルカン砲で、1基残らず打ち落とし、
お返しとばかりに、肩部のハドロン砲を発射する。
「よし、邪魔者を蹴散らす。シュトルツ・ヴァルキュリエ隊。続け!」
「「「「イエス、マイ・ロード。」」」」
 自らの親衛隊である、シュトルツ・ヴァルキュリエ隊を率いて、EU艦隊の左翼
に突撃する。
「よし、我らは右翼を崩す。ガーシュイン卿は、敵輸送艦隊を海の藻屑にせよ。」
「イエス、ユア・ハイネス。」
 クローディアの答えを聞くと、自ら先頭に立ちEU艦隊の右翼に向かう。

「駆逐艦エイジャックス、アポロ撃沈!!」
「巡洋艦ケント、駆逐艦ユーライアス、リッチモンド撃沈!!」
「このままでは、輪形陣が引き裂かれます!!」
 旗艦ドレッドノートの艦橋では、撃沈の報告が相次いでいた。
「まさか、ブリタニアの魔女だけでなく、ナイト・オブ・ラウンズまで出てくると
は・・・。」
 司令官のクリストファー・ジェンナーは、体勢を立て直そうと必死に考えを巡ら
せていた。
「敵部隊の一部、輸送艦隊に迫ります。」
「出来る限り、艦載機を向かわせろ。何があっても守りぬけ!!」
 援軍がいる輸送艦隊を叩かれては、出撃の意味を喪失してしまう。
 EU艦隊としては、それだけは避けねばならなかった。

「援軍の状況は?」
「現在、コーネリア率いる軍と交戦中。既に少なからぬ損害を出している模様。
一部は援軍を乗せた輸送艦隊に接近中。」
「まずいな・・・。」
 シャルンホルストも焦っていた。
 このままでは、援軍を撃破してコーネリア軍がシュナイゼルの軍と合流し、兵
力差が一気に開く。
 今までの小競り合いでの損害も、EU軍の方が大きい。
「藤堂殿はどう思われる?」
 隣にいる藤堂に意見を求める。
「このままでは、兵力差が開きこちらの敗北は、必然となりましょう。それを避ける
ならば、可能な限り早く残りの兵力を総動員し一気に本陣を叩き、シュナイゼルを
討つか、捕縛する。もしくは、撤退せざるをえなくなるほどの損害を負わせるしかあ
りますまい。」
「そうだな。それしかあるまい。ベルクト隊もフル活用すれば、やれぬ事はなかろう。
今のうちならば・・・。」
 シャルンホルストは、各部隊長に指示を出し始める。

「よし、これで止めにさせてもらうわ。」
「ガーシュイン卿、後方からEU軍の戦闘機が迫ります。」
「向こうも必死ね。お前達は戦闘機隊を抑えろ。輸送艦隊は、私とポルティエー・
ヴァルキュリエ隊が仕留める。」
「イエス、マイ・ロード。」
 ガレスは改装の結果、フロートユニットが強化されており加速が増している。
 輸送艦を護衛する駆逐艦に接近すると、スラッシュハーケンをブリッジに叩き
込み、輻射波動で破壊する。
 ポルティエー・ヴァルキュリエ隊も、駆逐艦を沈め続け、守りが薄くなった時に、
クローディアはハドロン砲の照準を輸送艦に定める。
「これで、終わり。」
 3回の発射で、輸送艦隊は全滅する。

「輸送艦隊全滅しました・・・。」
「やむをえん。降伏する・・・。」
 ほぼ同時に、イギリス州政府からも停戦命令が届き、ドレッドノートのマストに
白旗が掲げられた。

「本国に通信を。イギリス州攻略を完了したと。」
「イエス、マイ・ロード。」
「何だ。意外にあっけないな。これじゃテストにもならないぞ。」
 改装したトリスタンの実戦テストも行おうと考えていたジノが、どこか気が抜け
たような声で通信を入れる。
「ジノ。この作戦の目的は犠牲を少なくして、イギリス州を攻略する事だ。あっけ
なくて当然だよ。」
「そういうスザクだって、エナジーウィングのテストにもなってないだろう?
シュナイゼル殿下と合流するまでに、テストぐらいしておいたほうがいいと思わな
いか?」
「まあまあ、ジノ。合流すれば嫌というほど実戦テストになるんだから、そう言わ
ない。今回は、イギリス州を降伏させた事でよしとしよう。」
 エリファレットが、苦笑しながらジノをたしなめる。
「後方の交渉団、後2時間でエディンバラに到着します。イギリス州側の代表
団もほぼ同時刻に到着。ホリールード宮殿にて、条約の調印式が行われま
す。」
「条約の調印後、わが軍はセント・ジョージ海峡にて再集結。自分はエディンバ
ラに向かう。」
 スザクはエディンバラに向かった。

「ふむ。イギリス州は落ちたか。さすがに枢木よな。」
「コーネリア殿下も、イギリス州の軍を壊滅なさいました。わが大西洋艦隊もE
U艦隊を撃滅。枢木卿は陛下の命に従い、エディンバラに向かっております。」
「ご苦労。下がってよい。」
 侍従が恭しく、下がる。
「頑張るね。君のナイトオブセブンは。後は、スペイン州を取るだけか。」
「他の者が無能なだけに、余計有能さが解りますな。これで、マリアンヌが健
在なら、さらに楽ができたのですが・・・。」
「まだ解らないのかい?マリアンヌ暗殺の実行犯は。」
 皇暦2009年の第5皇妃マリアンヌ暗殺事件は、未だに真犯人が捕まって
いなかった。
 貴族社会では、マリアンヌが平民出身にも関わらず皇妃になり、最もシャル
ルに愛された事に対する恨みが原因との説が最も有力であるが、その線から
当たっても犯人は浮かび上がらなかった。
「未だに解りませぬ。」
「そう。正直、彼女の死は痛かったね。君の計画にとっても、そして、君の心に
とっても。」
 V.V.は去っていった。

 2時間後、「エディンバラ条約」が結ばれ、イギリス州はEUから離脱。
 表向きには、ブリタニアの同盟国となった。
「自分はこれから、アヴァロンに戻ります。各部隊の集結状況はどうですか?」
「スザク君以外は、全員戻ってるよ。君も早く戻っておいで。エナジーウィン
グの方もチェックしたいからさ。」
「解りました。」
 スザクはランスロットを、セント・ジョージ海峡へ向けた。

「イギリス州までが、降伏か・・・。」
 険しい表情で、シャルンホルストは作戦図を見る。
『これでは攻勢に出たとしても側面を突かれ、半包囲される。だが、撤退する
のも容易ではない・・・。あの策を用いる前に、私が戦死する可能性が高い
な・・・。』
 ほとんど空の状態だったイギリス州を落としたスザクの軍は、たいして損害を
受けていないと考えたシャルンホルストは、自分の首に死神の鎌が突きつけ
られているように感じていた。
「報告します。コーネリア軍が敵軍と合流する気配を見せています。」
 デューラーが報告にやってくる。
「合流するまでの時間は?」
「距離から計算しますと、後3時間程かと。」
「予想より動きが早い・・・。もはや、攻撃は不可能だと思うが、どうだろうか?」
 シャルンホルストが、藤堂の意見を聞く。
「同感です。もはや撤退するしかありますまい。それも、出来る限り早期に。そ
の上で、ロシア州等の無傷の兵力を加えて、軍を建て直すべきかと。このまま
では、殲滅され、総司令官が戦死される可能性もあります。そうなれば、EU軍
の士気はどこまで落ちましょうか?攻勢に出ると見せかけて、敵に痛烈な一撃
を与えて、動揺を誘い撤退する。これしかありますまい。これならば、攻勢の準
備も無駄にはならないでしょう。」
「ヘル藤堂、貴方の案を採用しよう。デューラー、直ちに撤退の用意にかか
る。」
「はっ!」
『とは言え、楽には撤退できまい。どれだけ、損害を減らせるか・・・。』
 デューラーの声に答えながら、シャルンホルストは撤退の困難さを噛み締め
ていた。

「コーネリアは、間もなくこちらに到着するか。これで、兵力差は逆転する。こち
らから攻勢に出られるね。」
「イギリス州の降伏、援軍の壊滅で、士気も上がっています。合流次第、攻勢
の用意に出ますか?」
 満足そうに報告を聞くシュナイゼルに、カノンが今後の方針を聞く。
「うん。その間に兵をできるだけ休めよう。コーネリアの軍も遠征で疲れてい
るだろうしね。」
 その時に、報告が入った。
「EU軍が撤退の用意を始めた?この地を捨てるというのかな。」
 シュナイゼルが軽く、首を傾げる。
「どうなさいますか?」
「おや、私がどうするか、解らないかい?」
「失礼いたしました。愚問でしたね。」
 カノンの問いに、微笑むながら逆に尋ねるシュナイゼルに、カノンも微笑み
で答える。

「EU軍が撤退するにしろ、しないにしろ、シュナイゼル殿下は、コーネリア殿下
と合流して、明朝、攻勢に出るだろう。その際、我々は側面から敵を叩く。」
「シュナイゼル殿下たちには、通信を入れないのか?」
 アヴァロンの会議室で、スザクは今後の作戦方針を説明していたが、シュナ
イゼル達に通信を入れない事に、ジノは疑問を持った。
「私も少し疑問だね。陛下に密かにお許しを頂いての奇襲とはいえ、予め知ら
せておけば、士気は更に高まる。そうすれば、我々の仕事もやりやすいと思う
けどね。」
 エリファレットも、ジノに賛同する。
「明朝の戦いは、かなり激しくなるはずだ。確かに、奇襲の事を知らせておけ
ば、スペイン州の我が軍の士気は上がるだろう。けれど、それに比例して向こ
うも更に死兵と化す。イギリス州陥落や、増援の壊滅が与えた心理的影響の
事も考慮すると、それは避けたい。奇襲が成功したとしても、損害はかなりの
ものになると思う。シュナイゼル殿下なら、何か策を講じられるだろうけど、策
だけでは人間の心理状態は制御できないからね。」
「成る程、そういう見方もあるか。解った。それでいこう。」
「私も賛成だ。死兵と化したEU軍の恐ろしさは、前衛軍の敗北で立証済みだ
からね。」
「じゃあ、作戦会議は終了だ。2人とも、戻って休んでいて。ナイトメアの整
備も入念にね。」
「ああ、解った。」
「了解。」
 会議は終了した。

「ルルーシュも、お前の策に賛同していたぞ。」
 執務室に戻り、マントを脱いだスザクにC.C.はそう告げた。
「ルルーシュの名は、口にして欲しくないな。」
 C.C.をスザクが睨む。
「そこまで嫌うのか?嘗ての親友を・・・。」
「だからこそ、許せない・・・。もっとも、僕もルルーシュの事をどうこう言えないけ
れど。僕もまた、血塗られし身だからね。」
「ならば、和解の話し合いぐらいしろ。お前にとって、損にはなるまい。」
「損得勘定の問題じゃない・・・。中尉、少しくつろぎたい。出て行ってくれ。」
 C.C.は敬礼して、執務室を出る。
「やれやれ、お前もだが。あっちもかなりの頑固者だな。」
 自室に戻りながら、ルルーシュにそう話した。

「よくやってくれたね。コーネリア。それに、エニアグラム卿、ガーシュイン卿。さ
すがは、ラウンズだ。見事な戦いぶりだったよ。」
 シュナイゼルの軍と合流した、コーネリアはノネットとクローディアを伴い、カム
ランのシュナイゼルの元に訪れた。
「恐れ入ります。EU軍の状況は?」
 コーネリアが、戦況を尋ねる。
「現在、撤退の用意をしています。」
「撤退?この地を捨てると。」
 カノンの答えに驚いて、ノネットが尋ねる。
「ええ、どういうつもりか解らないけど。確かよ。」
 カノンの返答を聞いて、ノネットが腕を組んで考える。
「残る可能性としては、フランス国境に防衛線を構築するという考え方もあります
が、考えにくいですね。枢木卿がイギリス州を落とした今となっては、イギリス海
峡、ビスケー湾に面する地域も無視する事はできません。ブレストを母港とする
艦隊も、我が軍の大西洋艦隊の前に、大損害を被っています。海上で我が軍を
阻止する事は不可能では?」
「そうだね。その通りだ。ひょっとしたら何か思惑があるのかもしれない。罠の可
能性も否定は出来ない。ともかく、こちらとしては素直に撤退させてやる必要も
無いだろう。」
 クローディアの言葉に頷きながら、シュナイゼルが攻撃の意志を示す。
「明朝、攻撃を仕掛けて、相手を叩く。作戦だが・・・。」
 作戦図を前にシュナイゼルは作戦を説明し、コーネリアたちの意見を聞いて修
正を加えていく。

「ブリタニア軍、動き出しました!!」
 明朝、EU軍に先駆けてシュナイゼルは攻撃を開始した。
「早いな・・・。作戦開始!」
 シャルンホルストの命令で、EU軍の撤退作戦が開始する。
 両軍のナイトメア部隊が、激しく激突する。
「成る程、まさに死兵だな・・・。」
 イゾルデを駆り、次々とパンツァーフンメルを撃破しながら、コーネリアは今まで
とのEU軍とは違う事を感じていた。
 イゾルデを見た、4騎のパンツァーフンメルが前後左右から襲い掛かってく
る。
「だが・・・。」
 コーネリアはスピードを増し、正面から迫ってくるパンツァーフンメルをスラッシュ
ハーケンで仕留めて、上空からヴァリスで3騎を仕留める。
「私にはまだ、及ばんよ・・・。」
「殿下。」
「ギルフォードか。戦況は?」
「はっ。我が軍が優勢なのは明らかですが、敵も攻撃の姿勢を崩しません。前衛
部隊の層が厚く、こちらの損害も想定以上です。」
「そうか。第2陣を投入する。」
『まさか、こうなるとはな。』
 コーネリアは直属軍が加わった前衛部隊を率いていたが、EU軍の攻撃の予想
以上の激しさに、さらなる戦力投入を決めた。

「敵軍、第2陣を投入。」
「ラウンズか?」
「いえ、ラウンズの機体は確認されていません。」
「確認次第、報告しろ。」
「はっ!」
 オペレーターの声を聞きながら、シャルンホルストは戦況の推移を見ていた。
「さすがに、コーネリアの直属軍。あの時、叩いた前衛部隊とはわけが違う。
明らかにこちらが不利か。」
 現在のEU軍の陣形は、本陣を堅固に固め、他の戦力を前衛部隊に集中して
いる。
 藤堂が提案した布陣であり、「流形の陣」という。
 日本の戦国時代において、戦況が不利になった際に、撤退時に用いられた陣
形である。
 シャルンホルストは、日本の戦国時代にさほど詳しくなかったが、藤堂から示
された時に、有効だと考え採用した。
「自走砲部隊、榴散弾装填。敵第2陣を狙え!」
 前衛の左右に配置されている、自走砲部隊に砲撃を命じる。

「敵も粘るね。」
 第2陣が砲撃されたのを見て、シュナイゼルが呟く。
「ラウンズを投入なさいますか?」
 カノンが進言する。
 カムランの戦術パネルは、劣勢でありながらもEU軍の前衛が、コーネリアの
軍と死闘を繰り広げている様を映している。
 ノネットとクローディアは、前衛部隊にはおらず、中軍に配置されている。
「準備をさせておいてくれ。」
 シュナイゼルとしては、EU軍の前衛が崩れだしてから投入するつもりだった
が、戦況を見て投入する時期を早めるべきだとの結論に達した。

「エルガーとキップリングは自走砲部隊を片付けろ。その間、両部隊に敵を近
づけるな。」
 ハドロンランチャーでパンツァーフンメルを薙ぎ払いながら、コーネリアは命じ
た。
「殿下。第2陣の損害は思ったより軽微です。このまま戦線に参加しても問題
はありません。」
「よし、参加させよ。」
「イエス、ユア・ハイネス。」
 ギルフォードの復唱を聞きながら、MVSでパンツァーフンメルを両断する。
 暫くして、第2陣が戦線に参加し、EU軍を押していった。

「後備え以外の戦力全てを投入しろ。ベルクト隊と黒の騎士団もだ。急げ!」
 シャルンホルストはさらに劣勢になっているのを感じ、後備え以外の全ての
戦力の投入を決定する。
『枢木スザクの部隊の所在がわからないままでは、後備えの部隊は投入でき
ん。』

「殿下、敵が更に戦力を投入。黒の騎士団も確認されています。」
 敵自走砲部隊の壊滅を聞いた直後、コーネリアはギルフォードから黒の騎士
団を確認したとの報告を聞いた。
「エルガー隊とキップリング隊に、ベルクトの部隊が近づいてきています。」
「その場に留まり迎撃させよ。まともに当たれば、負ける相手ではない。」
 命じながら、パンツァーフンメルを仕留める。

「全軍、目標はコーネリアだ。他の者にかまうな!!」
 斬月が先頭になり、黒の騎士団がコーネリアめがけて突撃を開始する。
 ウォードがMVSを手に立ち塞がる。
「邪魔だ!!」
 斬月が、制動刀で両断する。
「道を開けな!!」
 輻射波動弾で紅蓮が道を作り、黒の騎士団が更に突撃する
「殿下をお守りしろ!!」
 黒の騎士団が、コーネリアに狙いを定めたと見るや、ギルフォードが指示を
出しながら、コーネリアの元に急行する。

「あんたらに、用は無いの!!」
 荷電粒子速射砲でドーチェスターを撃破しながら、紅蓮がイゾルデに迫る。
「コーネリア!!」
 援軍が撃滅された際の情報には、コーネリアの専用ナイトメアの情報も含まれ
ていた為、紅蓮はイゾルデに迫る。
「久しいな。だが、今度はナリタのようにはいかぬぞ!」
 輻射波動弾をかわしながら、イゾルデが紅蓮に斬りかかる。
「くっ!!」
 紅蓮が特斬制動刀で防ぐ。
「あの時とは違う。このイゾルデならば!」
 イゾルデの鋭い剣さばきを防ぎながら、カレンはどうにか隙を見つけようとする
が、中々隙が見えない。
「紅月!一旦退け!」
「でも・・・。」
「いいから退け!ここで死ぬつもりか!?」
「了解・・・。」
 乱戦に紛れて、カレンが下がる。
「殿下、ご無事ですか?」
「心配いらぬ。一旦態勢を立て直すぞ。」
 投入可能な戦力を全て投入してきたEU軍の激しい反攻の前に、一旦態勢を
立て直すべきだと判断したコーネリアは、全軍に指示を出す。

「我が軍、一旦態勢を立て直す模様。」
「EU軍も一部の部隊が、後方に下がります。」
 アヴァロンのブリッジでスザクは、オペレーターの報告を聞いていた。
「コーネリア殿下も、少々手こずっているみたいだね。スザク君の予想が正解
か。」
「犠牲を厭わなければ、敵の前衛を突破できますよ。ただ、コーネリア殿下は
無理はなさらぬ方ですから。」
『予測どおりか。そろそろ、頃合かな・・・。』
 戦況を聞きながら、スザクは出撃の時が近いと判断した。
「ユリエンスとオークニーに発光信号。全軍、出撃準備。」
「イエス、マイ・ロード。」
「艦長。アヴァロンの事は任せる。」
「はっ。ご武運を。」
 アヴァロンの艦長、ゴドフリー・へリングの復唱を聞いて、スザクがナイト
メアの格納庫に向かう。

「よし、そのまま部隊を徐々に下がらせろ。撤退に移る。警戒を怠るな。」
「はっ!」
「さすがに、コーネリアの直属軍。苦労させてくれる。これがほぼ唯一のチャン
スか。」
 この頃、シャルンホルストは、司令部を斑鳩に移していた。
「ブリタニア軍の新手は?」
「確認されておりません。」
『来ないというのか?情報によれば、イギリス州を出たはずだが・・・。本国に帰
還したか・・・?』
 戦術パネルを見ながら、シャルンホルストはスザクの部隊の所在を考えてい
た。

「枢木卿、全軍出撃準備完了しました。」
「よし。10分後、全艦のステルスユニットの稼動を停止させろ。」
 タッチパネル式の端末の、チェック項目に触れながら指示を出す。
「機体状況に問題はありません。エナジーウィングをフル稼働させても、問題は
無いはずです。」
「解った。」
 端末を整備士に渡して、スザクがランスロットに騎乗し起動キーを挿して、機体
の起動操作を開始する。
「枢木卿。現在、我が軍正面にはEU軍が展開。徐々に後退しています。この
まま行けば、敵軍の右側面をつけます。」
「このまま、敵側面を突き、本隊と呼応して敵軍を撃破する。」
「了解。ランスロットの各部リミッターの、解除作業に入ります。」
 セシルは、コンソールを操作して、ランスロット各部のリミッター解除を開始する。
「駆動系及びエナジーウィングのリミッター解除確認。ユグドラシルドライブ出力リ
ミッター解除確認。ハドロンブラスターへの動力供給ライン正常稼動確認。エナジ
ーウィング、問題なし。Z−01/D ランスロット・コンクエスター、全システムオー
ルグリーン。」
 Z−01/D ランスロット・コンクエスター。
 ランスロットに追加武装としてハドロンブラスターを搭載し、高い砲撃能力を得た
機体である。
 さらに、開発中の新型フロートユニット、エナジーウィングが試験的に採用されて
いる。
「枢木卿、時間です。ステルスユニットの稼動を停止します。」
「了解した。全軍出撃!」
「ランスロット・コンクエスター、発艦!」
「発艦!」
 アヴァロンから発進したランスロットは、フロートユニットを展開するが、
通常とは違い、ブレイズルミナスを展開するように、供給されたエナジーが翼を形
成する。
 エナジーウィング。
 セシルが以前から開発していた、新型フロートユニットで、ユグドラシルドライブか
ら供給されたエナジーで、エネルギー翼を形成し推進力にする。
 コンクエスターに搭載されているのは、オリジナルの3分の1にも満たない出力で
あるが、それでも現行のフロートユニットを大きく上回る機動性を、ランスロットに与
える事が出来る。
「全軍、敵軍右側面を叩け!」
 ランスロットが戦闘になり、スザクの直属軍がEU軍の右側面に襲い掛かる。

「敵艦捕捉。これは・・・、アヴァロン。枢木スザクの旗艦です。さらに多数のナ
イトメアを確認!」
「来たか・・・。」
 モニターに拡大されて映るランスロットを見て、シャルンホルストの額に汗が
滲む。
「あれは・・・、セシルのエナジーウィング・・・。プリン伯爵。あれを搭載させたの
かい。」
 ラクシャータが苦々しい表情になる。

「アヴァロン、ユリエンス、オークニーを確認。枢木卿の直属軍です。敵右翼に
迫ります。」
「来てくれたか。我等の白の騎士が。これで決まったな。前衛の状況は?」
「既に、攻勢に移っています。」
「エニアグラム卿とガーシュイン卿に連絡。クリムト、ツェムリンスキー、アンダー
ソンと共に敵軍左翼を突くように。」
「イエス、ユア・ハイネス。」
「さて、そろそろ終わりにさせていただくか・・・。」
 勝利を確信したシュナイゼルは、笑みを浮かべながら戦術パネルを見ていた。

後書き
スザクの戦略の元ネタは、三国志演義の単福こと徐庶の作戦案です。
樊城を根拠にし、荊州に攻め込んできた曹仁、李典を迎え撃つ際、関羽の軍が
樊城を占領しました。
銀英伝を読んだ方は、ヤンのイゼルローン攻略戦を思い浮かべたかもしれませ
んね。
頼みの綱の援軍は壊滅に追いやられ、イギリス州は陥落。
さらに、スザクの奇襲によってEU軍は大ピンチに。
さて、どうなるでしょうか?

次回AFTER TURN16 勝利 と その後
スペイン州における、EU軍とブリタニア軍の決着がつきます。
そして、その後各陣営は思惑の元、新たに動き始めます。

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22話後その7
22話でルルーシュが確認した、ギアスのことを知るのは、星刻はじめとする中華の中核と旧黒の騎士団のメンバーのみ。 ...続きを見る
金属中毒
2008/09/18 22:18

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
23話をbiglobeで聞きながら第15話を読んでいると、文章から音声が聞こえてくるような錯覚を覚えます。とくにシュナイゼル宰相のお声が。

前回、いや前々回の話にも絡みますが、ステルス機体については小生もぜひ出してみたいとデータを探しているところでした。ただしステルスそのものが問題ではなくて、有名になってきた黒の騎士団を襲い倒す事で、ステルス機体を売り込もうとした、武器業者の話ですが。
テレビでも数多くのナイトメアが出ては破壊されを繰り返していますが、製造メーカーは違っていても中の部品メーカーは同じとか・・・。
cic様のスザクはすっかり管理職が板についてきたので、そろそろコスト面なども気にし始めるころですね。
同じ予算なら、より華やかな勝利を。そうすれば威嚇効果で無血開城の可能性が増えるから。
では、次回16話をお待ち申しております。

追伸。同じ症状からどんな診断を考えられたのか、そちらの面も楽しみにしております。

2008/09/18 22:33
凪さん。
コメントありがとうございます。

>とくにシュナイゼル宰相のお声が。
 私もシュナイゼルは何を考えているか、解ら
ないように書いていますので、そこがリンクし
ましたかな?
 そろそろ、彼の思惑が明らかになりますよ。

>ステルス機体について
 成る程、武器業者の話ですか。
 それは、面白そうですね。
 私は、技術者サイドの話が好きなので、MS
イグルーが好きで、その関係かオリジナルキャ
ラのエリファレットを技術者出身にしました。
 ステルス機は、ネットでも結構資料はありま
すので、頑張ってください。

>どんな診断を考えられたのか
 結構衝撃的な診断です。
CIC担当
2008/09/21 13:46

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