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zoom RSS コードギアス二次小説 AFTER TURN13 スペイン州 攻防戦

<<   作成日時 : 2008/09/04 20:24   >>

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「後2時間後に、スペイン州領空に差し掛かります。」
「艦載機部隊及びナイトメア部隊、発進準備完了しております。」
 旗艦カムランの艦橋で、シュナイゼルは報告を聞いていた。
「スペイン州に何か動きは?」
「今のところありません。国境から70kmの地点に、防衛線を形成したまま
です。」
「ふむ、そろそろ航空機部隊を出してくる頃だと、思っていたのだがね。先に
こちらから仕掛けるか。艦載機部隊を出す。洋上の艦隊にも発進命令を出して
くれ。」
「イエス、ユア・ハイネス。航空艦隊及び洋上の艦隊は、艦載機部隊を発進せ
よ。」
 航空艦隊及び洋上の艦隊の空母から、次々と艦載機部隊が発進する。
 後に「スペイン州攻防戦」と呼ばれる戦いが始まった。

「ブリタニア軍の艦載機部隊の、発進を確認。数およそ120。」
「随分と送り込んだものだ。ラウンズは本国に帰還したのなら、物量戦で仕留
めようという魂胆らしい。だが、そうそううまく事は運ばせんよ。ベルクト隊、
第1から第5大隊まで発進させよ!!」
「了解しました。ベルクト隊第1から第5大隊、発進せよ。」
 オペレーターがシャルンホルストの指示を伝える。

「よし、行くとしようかい。」
 パイロットの1人が、機体の発進準備を終えて、操縦桿を握っている。
 しかし、コックピットにはおらず、オペレーションルームのような場所にい
た。
 だが、ベルクトと呼ばれる戦闘機は、まるでパイロットが乗っているように
発進していった。

「向こうもおいでなすったか。さて、どんな物かな。」
 VTOL機に搭乗するブリタニア軍のパイロットは、興奮を抑え切れなかっ
た。
 EUの戦闘機隊とのドッグファイトが始まると、すかさず1機目をロックし、
機銃で仕留めようとするが、その瞬間視界から消えた。
「何?」
 通常の戦闘機ではありえない機動で、EUの戦闘機はVTOL機の上から、機
体の左右に装備された機銃で相手を蜂の巣にする。
「な、何であんな機動ができるんだ。あれじゃパイロットが持たないぞ。」
 驚愕していたパイロットはAAMの餌食になる。

「押していますな。」
 副官のデューラー少佐が、興奮しながらシャルンホルストに話しかける。
「ブリタニアのパイロットも、さぞ驚いているだろうな。なにしろ、通常の戦闘機
ではあり得ない機動をしているのだから。ベル計画を進めた甲斐があったとい
うものだ。」
 戦況を見ながら、ベル計画の成果に通常航空戦力に対する優位を確信して、
シャルンホルストは一先ず満足していた。

「ふむ、押されているね。こちらの損失は?」
「すでに、2割を突破しています。」
 戦術パネルに映される戦況の推移を見ながら、シュナイゼルは考えて結論を
えた。
「殿下、これはベル計画による、敵の新型では?」
「間違いないだろうね。」
 カノンと話している間にも、損害は増え続け3割を突破した。
「ナイトメア部隊を発進させよう。通常の航空戦力ではどうにもならないようだ。
艦載機部隊を下がらせてくれ。」
「承知しました。艦載機部隊に連絡、後退せよ。ナイトメア部隊は出撃して、敵を
殲滅しつつ、後退の援護に。」
 航空艦隊から、フロートユニットを装備したドーチェスターが、出撃していく。
『まさか、ここでナイトメアを出す事になろうとはね。この戦い、少々面倒な事に
なりそうだ。』
 出撃するナイトメアを見ながら、シュナイゼルは戦いの雲行きがあまりよくな
い様に感じていた。

「ブリタニア軍、ナイトメアを発進させました。飛行用ユニットを装備していると思
われます。」
「ベルクト隊は後退。地上部隊に連絡。敵の攻撃に備えよ。」
 シャルンホルストは、ブリタニア軍の艦載機部隊相手に優勢を保っていた、ベ
ルクト隊を後退させるように指示した。
「閣下、これならば飛行用ユニットを装備したナイトメアにも、対抗可能ではない
でしょうか?」
「真正面から戦っては歯が立たぬよ。ベルクトは本来の戦い方をしてこそ、その
真価を発揮する。今はその時ではない。」
「了解しました。ベルクト隊後退。」
『まずは出鼻を挫いたか。しかし、全てはこれからだ。』
 シャルンホルストは地上での戦いに、既に思考を切り替えていた。

「艦載機部隊及びナイトメア部隊の収容完了しました。」
「こちらの被害は?」
「艦載機の損失は、35%に及びます。」
「予想以上にひどいね。通常の航空戦力はあまり使い物にならないと、見たほ
うがよいかもしれない。」
「では、あくまでナイトメアを主力にすると。しかし、それでは・・・、ナイトメア部隊
に対する負荷が重過ぎるのでは?」
「その通りだ。だが、敵の新型の前では、艦載機部隊は役には立たないだろう。
やむを得ないさ。」
 危惧するカノンに向かって、シュナイゼルは軽く肩を竦めた。
「索敵を厳重にしつつ、我が軍はスペイン州に侵攻する。準備をさせてくれ。」
「承知しました。」

「敵艦隊。艦載機部隊を、発進させた様子はありません。真っ直ぐ我が軍の防
衛ラインに向かってきます。」
「これで、通常航空戦力は封じた。その重荷は嫌でもナイトメアにかかるだろう。
まずは第一段階は成功というところか。防衛ラインの方はどうか?」
「すでに迎撃準備を完了しております。」
『さて、ここからがいよいよ本番か・・・。』
 本格的な戦闘を前に、シャルンホルストの目が鋭くなる。

「ナイトメア部隊、発進ポイントです。」
「アプソン、カラレス、バンヤンの部隊に出撃命令を。」
「イエス、ユア・ハイネス。前衛部隊、地上部隊を発進させよ。」

「カムランより入電、「地上部隊を発進させよ。」以上です。」
「いよいよか!全軍発進せよ!!」
 旗艦グリンメルスハウゼンの指揮官席から立ち上がり、カラレスが麾下の部
隊に発進を命じる。
 アプソン、バンヤン両将軍の航空艦隊からも次々と、ナイトメアを中心とする
部隊が発進していく。

「敵、前衛部隊発進を始めました。」
「数は?」
「およそ9個師団の模様。」
「地上部隊は敵部隊を射程に捉えたら、直ちに攻撃を開始せよ。その後は、当
初の行動計画に従え、彼らにも連絡を入れてくれ。まもなく出番だと。」
「はっ。」
「その他の部隊の発進も確認。前衛部隊の後方に布陣するように、進軍してき
ます。前衛部隊と合計して、総数およそ40個師団。」
「こちらは37個師団。数はとりあえず互角と見てよいでしょうか。」
 総参謀長のフロベール中将が、シャルンホルストに尋ねる。
「数の上ではな。ただ、ナイトメアの性能は向こうが勝る。油断は出来んよ。」
『後は、彼らがうまく動いてくれるかか・・・。』
 戦術パネルに表示される、EU軍前衛部隊の後方にいる部隊に目を向けた。
「敵軍、射程距離に入りました。」
「攻撃開始!!」

「前進!敵を蹴散らせ!!」
 ブリタニアの前衛部隊9個師団が、フロートユニットを装備したドーチェスター
を押し立てて前進する。
「攻撃開始。火力ではこちらが勝る!」
 EUの主力ナイトメア、パンツァーフンメルが主力火器である両腕のキャノン砲
を、上空に向けて打ちまくる。
「ふん。いつまでも火力勝負で勝てると思うなよ!」
 ブリタニア軍の全てのドーチェスターは、反応型ブレイズルミナスを装備してい
る。
 キャノン砲を防ぎながら、機体のハードポイントに装備したミサイルを、発射す
る。
 被弾したパンツァーフンメルが、爆散する。
「自走砲部隊。対空榴散弾を装填。レイピアW発射用意。撃て!」
 自走砲部隊が、対空榴散弾を装填し、ミサイルを搭載型の自走砲は対空ミサ
イルの照準を定めて、一斉に砲撃を開始する。
 対空ミサイルは、弾幕によって防がれた物以外はドーチェスターに向けて進み
続け、対空榴散弾は近接信管が作動して、内部の散弾が一斉に飛び散る。
 反応型ブレイズルミナスを装備しているとはいえ、全ての対空射撃を防ぐ事は
出来ず、被弾したドーチェスターが爆散する。
「よし。自走砲部隊の砲撃と連動して、ナイトメア部隊は攻撃を加えよ。」
 シャルンホルストが指示を出す。

「こしゃくな真似を!対地ロケットで吹き飛ばせ!!」
 前衛部隊を率いる将軍の一人、アプソンが命令を出す。
 フロートユニットのハードポイントに装備された対地ロケットが、自走砲部隊に
向けて発射され、自走砲が爆発、炎上する。
「自走砲を排除しつつ、降下。一気に敵ナイトメア部隊を蹴散らせ!!」
 ブリタニア軍のナイトメア部隊が次々と降下し、本格的な地上戦が始まった。

「全軍、突撃!!敵の前衛を突き崩せ!!」
 バンヤンの命令の元、ドーチェスターがショットランサーの穂先を揃え、EU軍
のナイトメア部隊目掛けて、突撃する。
 EU軍も攻撃するが、ドーチェスターに装備された反応型ブレイズルミナスの
せいで、効果的なダメージを与えられないまま、次々とショットランサーの餌食
になる。
「ひるむな!撃て、撃て!!」
 EUの存亡に関わる戦いだけに、EU軍も死兵と化して戦っており。
 一騎を仕留めたドーチェスターの隙を突いて、仕留める。
 中には、組み付いて騎乗しているパンツァーフンメルごと、ドーチェスターを仕
留める者も続出するなど、当初は優勢だったブリタニア軍にも損害が目立ち始
めた。

「乱戦になってきたね・・・。」
「向こうも必死でしょうから。スペイン州がEUから離れれば、フランス州は目と
鼻の先、首都を制圧され条約文書にサインして、EUは歴史の舞台から去る事
になります。」
 戦術パネルを見ながら、シュナイゼルとカノンは話していた。
「しかし、全体的に見れば、前衛部隊は敵を押しています。このまま敵の前衛
を突破できるのではないでしょうか?」
 参謀の一人、トラークルが意見を述べる。
「だが、そろそろ我が軍の損害も無視できないレベルになってきている。両翼
のクリムトとツェムリンスキーの部隊に連絡してくれ、戦況次第では中央の部
隊も動員する必要がありそうだ。」
「イエス、ユア・ハイネス。」
 頷きながら、シュナイゼルはEU軍の前衛の後方に位置する部隊が、気にな
っていた。

「零番隊、極光の配置完了しました。」
「壱番隊、準備よし。」
「弐番隊、準備完了。」
「よし、各隊、そのまま待機。」
 藤堂は斬月の中で、各隊の配置状況を確認しつつ、戦況を見ていた。
 乱戦になっているものの、ブリタニア軍が押している。
 このまま行けば、EU軍の前衛は突破されるだろう。
「そろそろだな・・・。」
 戦術パネルを見ながら、藤堂は自分達が動く時が近づくのを感じていた。

「よし、そろそろいいだろう。前衛部隊は、敵を予定のポイントに誘導しろ、上手
く芝居をして、崩れたと思わせる。黒の騎士団に連絡。ベルクト隊は対地攻撃
の兵装を準備させろ。」
「はっ。」
 オペレーターが前衛部隊と黒の騎士団に、指令を伝える。
「さて、ここからが正念場か。」

 EU軍の前衛部隊が、ブリタニア軍の前衛部隊を支えきれず、穴が開き始め
た。
「よし、突撃!このまま、前衛を抜く!!」
 アプソンの部隊が、突破を図り始めて、他の部隊も追従して突破を図ろうと
する。
 EU軍も必死に応戦するが支えきれず、3人の将軍が率いる部隊は少なから
ず損害を出したが、突破に成功した。

「よし、もうすぐだ。極光を前に。砲撃準備。」
 暁に両肩に巨大な砲身を取り付けたような、ナイトメアが前に出る。
 嘗て、日本解放戦線が使用し、黒の騎士団も使用した雷光を参考に開発され
た、重砲撃用ナイトメアフレーム、極光。
 155mm長砲身リニアカノンを2門搭載し、そこから巨大な榴散弾を発射す
る。
 電源用に巨大なバッテリー。機体を地面に固定するストッパーが装備されて
おり、砲撃時の強力な衝撃にも万全を期している。
 雷光に比べて威力は劣るが、連射が可能で機動力も備わっているので、運
用次第によっては、充分戦力になる。
 藤堂はこの極光を、零番隊から弐番隊にそれぞれ1個中隊を配備させてい
た。
「撃て!!」
 54門のリニアカノンから、榴散弾が発射される。

「これは!?」
 戦術パネルに幾つも表示される「LOST」の表示に、カノンが驚く。
「やってくれたね。」
 シュナイゼルが僅かに、眉をしかめる。
 3人の将軍の部隊は、自軍真っ只中で炸裂した榴散弾で多大な損害を出し
た。
「第3射、撃て!!」
 混乱を助長するかのように、3回目の砲撃が開始される。
「後方自走砲部隊にも、砲撃をさせろ!ここで一気に敵に損害を与える!!突
撃準備!!」
 藤堂が黒の騎士団全軍に指示を出す。
 極光の砲撃で混乱していたブリタニア軍前衛部隊は、続く砲撃に損害を増
す。
「今だ!突撃!!」
 藤堂が斬月を駆り、直属部隊を率いて部隊の先頭に立つ。
 ブリタニア軍も必死に体制を立て直しており、その中のドーチェスターの一
騎が斬月の前に立ちはだかる。
「遅い!!」
 制動刀の一撃で断ち斬り、さらに進んでいく。
 千葉の率いる壱番隊、朝比奈の率いる弐番隊が藤堂の舞台の両翼につき、
カレンの零番隊が前衛を勤める。
「今だ、紅月!!」
「はい!!」
 カレンの駆る紅蓮可翔式は、さらにカスタム化され新装備も追加されていた。
 胸部が展開され、レンズ状の物体が発射される。
「喰らいな!!」
 そして、大出力のビーム砲が発射され、レンズ上の物体に命中すると、光の
乱反射のようになり、ブリタニア軍を襲う。
 拡散構造転移砲。
 特殊な液体金属をプリズム状に凝固させて射出し、それにビーム砲を命中さ
せる事により、広範囲に攻撃を加える武装である。

「これは、一体・・・?」
 さらに損害を増す前衛部隊の様子を、戦術パネルで見ながらカノンは唖然と
していた。
「EU軍の機体ではないね。少なくともこのような兵器を製造するような技術を、
彼らは持っていない。」
「では・・・?まさか・・・。」
「カラレス将軍の部隊より入電。現在、我が軍に攻撃を加えているのは、EU軍
ではなく、黒の騎士団の模様。」
「やはり、彼らか・・・。」
 報告を聞いて、自分の予想が確信になった事を感じていた。

「おのれ、敵は少数だ。囲んで叩け!!」
 ヒステリックにカラレスが命じる。
「しかし、我が部隊の損害も甚大です。ここは陣容を立て直す事が先決です。」
 参謀の意見に、カラレスは耳を貸さなかった。
「黙れ、少数の敵に怯えるか!!ウォードを前線に投入しろ!!」
 グリンメルスハウゼンから、最新量産型ナイトメア、ウォードが次々と発進して
いく。

「前衛部隊の旗艦と思われる艦から、ナイトメアの発進を確認。データに無い
機体です。」
 斑鳩で扇は報告を聞いていた。
「よし。こちらも部隊を発進させろ。斑鳩は、敵旗艦を沈める。」
 扇が指示を出し、斑鳩から暁が次々と発進していく。
「了解。取り舵30。艦首ハドロン砲、発射用意。」
 ポルトガル州の出身で、現在は斑鳩の艦長を務めるペドロ・マルケスが、指
示を出す。

「敵艦、接近。ナイトメアを発進させて、ウォード隊の頭を抑えようとしていま
す。」
「ウォード隊に急ぐよう伝えろ。攻撃準備、敵艦を迎え撃つ。」
 カラレスが指示を出すと、艦載砲の全てが斑鳩に照準を定める。
「敵艦、射程内に入りました。艦首ハドロン砲、エネルギーチャージ完了。発射
準備よし。」
「艦首ハドロン砲、発射!!」
 オペレーターの報告を聞いて、扇がハドロン砲を発射させる。
 発射されたハドロン砲は、発進中のウォードごとグリンメルスハウゼンを轟沈さ
せ、艦橋にいたカラレスも消滅する。

「グリンメルスハウゼン撃沈。カラレス将軍、戦死!!」
「殿下、このままでは我が方の損害が増えるばかりです。」
「前衛部隊の直上からナイトメア部隊。さらに、両翼から戦闘機部隊。おそらく
例の新型と思われます。」
「クリムトとツェムリンスキーは前衛部隊を援護。一時撤退して、陣容を立て
直す。」
 シュナイゼルは撤退すべく、前衛部隊に援護をまわす。

「おのれ!!崩れるな、陣を立て直せ!!」
 アプソンが必死に部隊を立て直そうとするが、黒の騎士団の攻撃で損害が増
え続ける。
「よし、我等も攻勢に転ずる!!」
 崩れたと思われたEU軍のナイトメア部隊も、1個中隊単位で部隊を纏めて、
攻撃を仕掛けてくる。
 ベルクトもASMでブリタニア軍を狙い、確実に撃破する。
 そして、信じられない事が起きた。
 ベルクトが変形し、ナイトメアになったのである。

「可変型!?そんな、馬鹿な・・・。」
 カムランの幕僚の一人が、呆然とする。
「これが、ベル計画の真の目的か。まさか、パンツァーフンメルと戦闘機を掛
け合わせて、可変型ナイトメアを完成させるとは・・・。」
 シュナイゼルの眉間に、僅かに皺が寄る。
「これは・・・。敵可変型、パイロットは騎乗していない模様。誘導電波らしき物
を捉えました。」
「遠隔操縦式の、可変型ナイトメア。それがベル計画の真の目的か!」
 オペレーターの報告を聞いて、カノンが珍しく激しく舌打ちをした。
 そうしている間にも、ナイトメアに変形したベルクトは、主武装のキャノン
砲を撃ちまくりながら、前衛の左右両翼の側面をかく乱し続ける。
 暫くして、中央部隊から増援すべく出た、クリムトとツェムリンスキーの部隊
が到着するが、ベルクトは再び戦闘機形態に変形し、戦場を離脱する。
「追う必要は無い。前衛部隊の救援を最優先に。」
 シュナイゼルが指示を出す。
『しかし、一筋縄ではいくまい・・・。』

「そう簡単に、逃がさないよ!!」
 グレンの左腕に新たに装備された、荷電粒子速射砲がドーチェスターを次々
を撃破する。
「自慢のシールドも、これは防げないみたいね。次は、こっち!!」
 輻射波動弾が発射され、飲み込まれた機体が次々と爆発する。
「紅月、そろそろ潮時だ。タイミングを合わせて、こちらも陣容を立て直す。」
 丁度その頃、ブリタニアの前衛部隊の残った将軍2人の戦死のほうが届いて
いた。
「ヴィッテルスバッハ撃沈。アプソン将軍戦死!」
「シュレーゲル撃沈。バンヤン将軍戦死!」
 新たに発進したベルクト隊に、懐に飛び込まれた結果である。
「直衛のナイトメア部隊は、何をしていた?」
「敵機のステルス機能が予測以上の為、発進が遅れた模様。」
「カノン。落ち着いてくれ。こちらの艦載機もレーダーでは捉えきれず、目視で発
見しただろう。あり得る話だよ。前衛が敵を押していた為の油断もあった
のだろう。その後の敵の動きは?」
「陣形を再編しながら、後退しつつある模様。」
 オペレーターの報告を聞いて、シュナイゼルは大きく頷く。
「それでは、こちらも後退させるとしよう。前衛部隊の再編をしなければならない
しね。」

 退却が終了した後、前衛部隊の調査が進められたが、全軍の3分の1以上に
も及んでいた。
『目的は果たしたが、こちらの損害が大きすぎる・・・。このままでは及び腰にな
っているイギリス州まで、増援を送り込む可能性が高い。そうなれば、兵力差
が逆転する。』
 予想外の損害に、シュナイゼルはこれからどうするか思案を巡らせていた。

「まずは、上々の戦果だな。」
 シャルンホルストが、一息ついていた。
「敵の前衛部隊の指揮官は、全て戦死。かつ部隊にもかなりの損害を与えたと
の事ですからな。」
「だが、こちらの損害も決して小さくは無い。今は守りを固めよう。この戦いは、
必ずしも勝つ必要がある戦いではない。相手を撤退に追い込めればそれで
いい。負けなければ、それでいいのだからな。北アフリカのブリタニア軍の動き
は?」
 デューラーの報告を聞いて、今後の方針を決定したシャルンホルストは、北ア
フリカのブリタニア軍の動きを尋ねた。
「今だ、動きはありません。」
「結構だ。このままの状態が続いて欲しい物だな。」

「そうか、まずは満足すべき結果かな。」
 朱禁城の執務室で、星刻は藤堂から戦闘の結果を聞いていた。
「今は、双方とも守りを固めている。暫くはにらみ合いになるだろう。ブリタニア
軍は指揮官を失った前衛部隊の再編もしなければ、ならないしな。」
「だが、このまま黙って退却するようなシュナイゼルではないだろう。充分注意
してくれ。」
「承知している。では・・・。」
 通信が切れた。
『さて、この戦闘次第でロシア州がどう出るか。それで、我が国とブリタニアの間
に戦端が開かれるかどうか、解るというもの。どうなるかな・・・。』
 星刻はロシア州との会談の事を思いながら、これからの事態の推移を考え始
めた。

「前衛部隊の3分の1以上を失い、3人の将軍が全て戦死!?」
 EU軍との戦闘結果を聞いて、スザクは愕然とした。
 想定より損害が大きい。
 しかも、指揮官全員が戦死したとあらば、士気の低下も予想以上に激しいだ
ろう。
「本国でも大騒ぎになっている模様です。」
 報告の為、スザクの執務室に来たヴァレーリアも、平常心を保つのに苦労し
ていた。
「尚、EU軍に黒の騎士団が参加しているとの、報告も入っております。」
「そうか・・・。」
『藤堂さんが指揮を取っていれば、少数でも他の部隊の動きを見つつ、相手に
損害を与える事は可能か・・・。』
「本国から何か指令は、来ていないか?」
「今のところは。」
「解った。ご苦労だった。下がっていい。」
 ヴァレーリアが敬礼して執務室を去った後、執務室の窓からスザクは外を見
上げていた。

「どうするのだ。このままでは、ブリタニア軍は撤退するしかないぞ。」
「それは君の意見かい?クープラン中尉。いや、C.C.。」
「ルルーシュの意見だ。下手をすれば、他の州からの援軍も駆けつけて、事実
上の総力戦となる。シュナイゼルはそのような事態を避けたいはずだと、言っ
ている。」
 外を見ながら、C.C.を通してのルルーシュの意見を正しいと、認めざるを得
なかった。
 今回の派兵は、スペイン州から遠く離れた州の派兵が無い事を前提に進め
ている。シュナイゼルとしては、スペイン州を下しフランス州の目と鼻の先に軍
を進める事によって、講和を迫りたかったはずだろう。
 このまま留まり続ければEU軍の兵力が増し、ブリタニア軍もそれに対応す
べく、兵力を増強せざるを得ない。
 できれば、ラウンズを参加させたいだろうが、指揮権を握っているのは皇帝
であるシャルルである。
 帝国宰相といえども、ラウンズを自由に動かす事は出来ない。
 通常戦力では、苦戦は必死で損害も少なくないだろう。
「僕達に陛下の命が下されない以上、残る精鋭はコーネリア殿下の軍か。
だが・・・。」
 スザクが警戒しているのは、イギリス州や北欧諸州の派兵だった。
 もし、それがあれば兵力差が逆転した事態で、シャルンホルストが攻勢に
出てくる可能性もある。
『士気が低下した軍が、どこまで戦力を発揮できるか・・・。』
 考えながら、スザクは壁にある世界地図を見る。
『もし、僕が増援軍の作戦を立てるとしたら・・・。』
 考え始めて、スザクは頭を振ってデスクに戻り、書類の決裁を続ける。
『僕は、日本の副総督。この地の安寧を保つのが最優先だ。』
「どうやら、策があるようだな。聞いてみたいのだ。その上でルルーシュの策
を聞けば、よりよい策を立てられるのではないか?」
 C.C.がスザクをけしかける様に、言う。
「中尉。執務中だ。私語は慎むように。」
 スザクがそう言い渡す。
 それを見て、C.C.も執務を再開する。
『どうするつもりだ?ルルーシュ。あの様子ではやはりお前の策を聞こうとも
すまい。それでは私が来た意味が無いぞ。』
『だが、俺に策がある事を聞かせるだけでも意義はある。スザクが策を立て
るよう、背中を押す事が出来るからな。話す機会があれば、スザクとは俺が
話す。』
『解った、解った。当面はこれで行くよ。』

「ほう、見事な負けっぷりだな。シュナイゼルよ。」
 カムランの通信室で、シュナイゼルが跪きながらシャルルの言葉を聞いてい
る。
「面目次第もございません。」
「で、援軍を送れと申すか?」
「事と次第によっては、増援が必要かと・・・。」
 そんなシュナイゼルを、シャルルはどこか見下したような視線で見ていた。
「解った。お前の言葉は、覚えておこう・・・。」
 そう言って、通信を切った。

「ベアトリス。幕僚達を招集して、御前会議を開く。但し、今回はラウンズは
呼ばなくて良い。」
「イエス、ユア・マジェスティ。」
 ベアトリスが会議の準備に取り掛かる。
『まあ、良い。能無しの無様さを見て楽しんでから、本当の会議を開くとする
か。例のポイントの、EU本土での位置も解っておらぬからな。』
 凄みのある笑みを浮かべながら、シャルルは外を眺めていた。

後書き
いよいよ、スペイン州を巡る戦いの火蓋が、切って落とされました。
シャルンホルストとしては、最低でもブリタニア軍を撤退させれば良いので、必
ずしも勝つ必要は無いんです。負けなければいいのですから。
ここの所は、銀河英雄伝説のダゴン星域会戦の同盟軍の戦略構想と、類似し
ます。
ブリタニア軍は、敵より優れた装備の大軍を派遣した以上、ここで負ければ面目
は丸つぶれ。
国内の反乱分子や、属領エリアのレジスタンスを勇気づけてしまう可能性があり
ます。
負けるのは非常にまずい状況にあります。
にもかかわらず、前衛の3将軍は、猪突猛進の挙句、罠に嵌って自滅してしまい
ました。

次回 AFTER TURN14 出 陣
緒戦の敗北は、ブリタニア本国にも大きな衝撃を与えます。
皇帝シャルルは、どう出るでしょうか?

目次へ戻る。

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コメント(2件)

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はじめまして
先週あたりから読ませてもらっています。とても面白いです! 続き楽しみにしています!
あと一つ質問(頼み?)なんですが、ジェレミア卿がまだ出ていないのですが彼は生きているんですか?
フロッガー
2008/09/09 01:00
フロッガーさん。
コメントありがとうございます。

>とても面白いです! 続き楽しみにしています!
 ありがとうございます。
 予想以上にアクセス数も伸びて、私自身びっくり
しています。
 面白いといってくださる方もいて、ありがたい限
りです。

>彼は生きているんですか?
 生きてますよ。
 彼はこれから先の大事件で、復活します。
 お楽しみに。
CIC担当
2008/09/12 18:17

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