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zoom RSS コードギアス二次小説 AFTER TURN09 御前 会議

<<   作成日時 : 2008/08/05 23:26   >>

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 帝都ネオウェルズにあるブリタニア宮の中心にある、皇帝が生活し執務を行
うペンドラゴン宮に隣接する、イルバル宮。
 主に、皇帝直属の騎士であるナイト・オブ・ラウンズ達や、皇帝が臨席する
御前会議が行われ、また軍事関係の部署が集中するこの宮に、多くの高級軍
人たちが集まっていた。
 その中には、スザク達の姿もあった。

「やれやれ、憂鬱だよな。」
 リムジンから降りるなり、ジノは溜息をついた。
「そんなに嫌なのかい?ジノ。」
 ほぼ同時にリムジンから降りてきたスザクが、尋ねる。
「あいつがいるんだぞ。できれば、一緒の部屋にいるのは御免被りたいね。」
「まあ、あいつがいるからな。私だって御免被りたいさ。」
 20代後半の女性騎士が歩いてきながら、続いた。
 スザクたちと同じラウンズの軍服に、藤色のマント。
 ナイトオブナイン、ノネット・エニアグラムである。
「ひさしぶりだな。みんな。ジノは相変わらずか。スザクは変わったな。コーネリ
ア殿下から聞いてはいたが、めでたい事だ。」
 ノネットはコーネリアの士官学校時代の先輩にあたり、その縁からコーネリア
と話す機会がそれなりにある。
「久しぶりだな、スザク。本当に変わった。あの近くにいるだけで夏が冬に変
わるような雰囲気とは、まるで違う。お前はその方がいいよ。その方が、ユー
フェミア殿下もお喜びになる。」
 笑顔でスザクの肩を叩く。
「ありがとう。他の皆は?」
「ああ、モニカとルキアーノは北アフリカ。アンジェリーナは、ポルトガル州にい
るよ。スペイン州に対する圧力を掛けるためにな。」
「条約の為の布石か・・・。」
「そういうことだよ。エリファレット。まあ、これでスペイン州が条約締結を申しで
てくれば、しめたもの。労を費やさずとも、スペイン州は我がブリタニアの手に入
るからな。ま、どうなるかは解らないが。」
 エリファレットとノネットが今後の見通しについて話しながら、イルバル宮に入っ
ていくのに、スザク達も続いた。

「うわ。やっぱりいやがんの。」
 ジノが嫌そうな顔をしながら、シャルルに続いて御前会議の会場に入ってく
る女性を横目で見た。
 ベアトリス・ファランクス。
 皇帝首席秘書官にして特務総監である公爵の爵位を持つ、20代半ばの女性
である。
 皇帝周辺の警護を全て取り仕切っており、時にはシャルルの代理としてラウ
ンズに対する指揮権を持つ事もある。
 だが、ラウンズとの仲は決してよいものではなかった。
 感情をどこかに置き忘れたのではないかと思わせるほど冷たい性格で、誰一
人彼女に好感を持つ者はいない。
「ルキアーノが喜んでたよ。ベアトリスの顔を見ないで済むのは嬉しいとね。」
「今から、俺と交代できないのか?ノネット。」
「無理・・・。」
 ジノにアーニャがそう言った。
 程なくして、御前会議が始まった。

「ポルトガル州との条約調印は、既に終了したとの連絡が入りました。遠征軍
はそのまま、ポルトガル州に留まります。」
 シュナイゼルが、シャルルに条約調印の報告をする。
「と、するといよいよスペイン州。そして、首都のあるフランス州への侵攻作戦
の立案を始めるべきかと考えます。皇帝陛下のお考えは如何でございましょ
うか?」
 整えられた髭と、鍛えられた体つきの40代後半の将軍。
 ジェイラス・カラレス侯爵が、シャルルの意見を求める。
「宰相。そなたの意見はどうか?」
 シャルルに意見を求められて、シュナイゼルが席を立つ。
「現在スペイン州に駐屯する兵力は、7個師団。ポルトガル州の我が軍の兵力
は6個師団。兵力は劣りますが、戦略によって埋められない差ではありません。
しかしながら、EUがこのまま手をこまねいているとも思えませぬ。攻め込む
姿勢を見せれば、兵力を増強するは必定。まずは、講和条約を申し入れてみる
べきかと・・・。」
「宰相閣下。それではあまりに弱腰に過ぎませぬか?スペイン州如き、簡単に
ひねり潰せましょう。ご命じいただければ私自ら兵を率いて、スペイン州を屈服
させてご覧に入れます。」
 カラレスが強気になって、シュナイゼルにスペイン州信仰を促す。
 強硬派の将軍達もそれに続く。
 ブリタニア軍にも派閥争いはある。特に顕著なのが、シュナイゼルの政策に
賛同する穏健派と、力で蹂躙すべしという意見の強硬派であった。
 特に、この所のEUとの戦いでは連戦連勝である事が、強硬派を勢いづけさ
せている。

「カラレス将軍。そこまで強気になる根拠はどこにおありかな?」
 ジノがいつもの陽気な表情とは違い、優れた指揮官としての顔で尋ねる。
「我が国は、グロースターに変わる強力なナイトメアドーチェスターの配備が
ほぼ終了しました。まして、フロートユニットも実戦配備され始め、他国には
無い戦術をとることも可能です。さらに、試作機としてロールアウトした最新
型ナイトメアヴィンセントも、エリア13との戦いで実戦でも充分有効な戦力
になる事が、確認されております。量産し、精鋭部隊を編成して有効に使え
ば、スペイン州如き恐れる必要もありますまい。」
「どう思う?スザク。確か、北アフリカ戦線にいた時は、あいつと一緒だった
だろ。」
 ノネットがスザクに尋ねる。
「カラレス将軍は決して無能ではないけど・・・。」
「けど・・・。」
「戦術が力押しすぎる。今のEUのおかれた状況から、向こうは死兵になりか
ねない。そんな中で、力押しをしたら相当な犠牲が出るばかりか、僅かなほこ
ろびからも致命的な状況に発展しかねない。仮に攻める事になるとしたら、彼
が的確とは思えない。」
「ま、あいつの率いる軍て、やたらに損害大きいからな。」
 ノネットが頷く。
「で、いつもスザクがそれを助けてた・・・。」
 カラレスが聞いたら、顔が引きつりそうな事をアーニャが言う。

「枢木、ヴィンセントの開発はナイチンゲールの協力を得ていたとはいえ、そ
なたの専属開発チーム、キャメロットが担当しておったな。技術者は何といっ
ておる?」
 シャルルがスザクにそう尋ねる。
「コストを気にしなければ、量産は可能だろうというのが、キャメロットの意見
でございます。陛下。」
 席を立ち、スザクがシャルルに答える。
「つまり、それほどコストがかかるという事か・・・。」
「はっ。さらに、私見を申し上げていただきますと、国庫への影響を考慮しな
がら配備した場合、精鋭部隊や優れた操縦技術を持つ、指揮官に限る事に
なるだろうと、考えます。」
 そして、席に座る。
「陛下、実はそれを見越してエリファレット卿にコストダウンした量産機を開発
できないか聞いてみましたところ、既に設計は終了しておりましたので、試
作機の製作を指示しておきました。」
 エリファレットはラウンズになってからも、変わらず量産型ナイトメアの開発
や改良にも関わっており、それを取り仕切っているのはシュナイゼルであっ
た。
「試作機は既に完成しておるのか?」
「はっ。昨日、ロールアウトいたしました。」
 皇帝の他、御前会議の出席者全員に、資料が配られる。

「ふむ。幾つかの装備が簡略化され、ヴィンセントより性能は抑えてあるとはい
え、資料を見る限りではかなり期待してよいようだな?」
「反応速度、運動性はヴィンセントより20%劣りますが、第7世代量産機として
相応しい性能を持ちます。さらに、ランスロットと同型のフロートユニットの装備も
可能です。」
 シャルルの答えに、エリファレットが自信を持って答える。
「性能評価試験は可能か?」
「陛下がお望みでしたら、明日にも可能でございます。」
「では、明日、性能評価試験を行え。」
「イエス、ユア・マジェスティ。」

「ところで、枢木。そなたは、スペイン州に対してどう当たると考える?思うとこ
ろを申せ。」
「ポルトガル州には、ベルリオーズ卿を中心とする6個師団。北アフリカ戦線に
は、ブランドリー卿、クルシェフスキー卿を、中心とする20個師団。総勢、52万
の兵力が展開しております。既に地中海の制空権、制海権は我が国が握って
おり、スペイン州を半包囲する態勢は、ほぼ整ったといってよいでしょう。これを
カードにして、まずは講和条約の締結を申し入れては如何かと。」
「成る程、他に枢木に賛同する者は立つがよい。」
「私も枢木卿の意見に賛同いたします。「戦わずして勝つ。」これこそが兵法にお
ける最上の策。私も武人。戦う事にためらいはございません。なれど、できる限り
部下を失うのは避けたいと考えます。その為の手段があるのなら、それを行使し
てみるべきかと。」
 ノネットが真っ先に立ち上がり、賛同の意を示す。
「これはエニアグラム卿とも思えぬ、発言でございますな。我がブリタニアの
力を過小評価しておいででございますか?スペイン州、いやEUなど恐るるに
足りますまい。」
 強硬派の一人、マーロー男爵がノネットに反論する。
「貴公は兵法書を読まれぬのか?帰るところを失うかも知れぬ兵は、死兵と化
す。その結果は、多大な犠牲を伴う勝利となるのが高い。戦う以上、犠牲は伴
う。なればこそ、その犠牲を少なくする事を考慮しながら、戦うのが将たるも
のの務めではないか?それとも、勝利した時には、貴公しか生き残っていない
状態であっても、それを武勲と誇るつもりか?」
 鋭い視線を浴びせながら、ノネットはマーローに尋ねる。
「我がブリタニアは精兵揃い。そのような事は、ございますまい・・・。」
 ノネットの視線にひるみながら、マーローがどうにか答える。
「私も枢木卿の意見に賛同いたします。武力を行使するだけが戦ではあります
まい。知略を駆使して、武力を使わずに相手を屈服させるのもまた戦。ノネッ
ト卿は我が国の力を過小評価しているわけではなく、知略の戦を選ぶべきと考
えた。そう、私は解釈いたします。」
 エリファレットが、続いて賛同の意を示し。ジノ達も同様に賛同の意を示す。

「コーネリア。そなたはEUに対しどう当たるべきか、考えを聞かせよ。」
 コーネリアが静かに席を立つ。
 「ブリタニアの魔女」と異名をとる武人であるコーネリアならば、即時の開
戦を呼びかけるだろう。
 強硬派の将軍はそう期待していた。
「私も、まずは講和条約を申し入れるべきと考えます。」
 強硬派の将軍達がどよめく。
「しかし、殿下。スペイン州が条約を受け入れるとは限りませんぞ。」
「それならそれで構わぬ。攻めればいいだけの事。昨日完成した新型の量産機
もその間にそれなりの数を生産できよう。それにフロートユニットも増産し、
我が国のナイトメア部隊の更なる戦力強化をする時間も取れる。その情報を意
図的に流して条約締結を促す事もできる。もし、それを拒めばさらに精強にな
った我が軍の力で攻め落とせばよい。つまり、条約締結の交渉の時間を、我が
軍の戦力整備の時間としても使う。そういうことだ。」
 そう言い、再び席に座る。
「なるほど。受け入れなければ攻めればよいか。」
「確かにな。条約の締結を申し入れても、向こうが受け入れるとは限るまい。」
 強硬派の将軍達が、納得する。
「よかろう。スペイン州とはまずは講和条約を申し入れる事とする。シュナイ
ゼル。条約の概要は出来上がっておるか?」
「はっ。まだおおまかではありますが。」
 シュナイゼルの指示で、条約の大まかな概要に関する書類が配られる。
「ふむ。我が軍の駐留を認め。その費用を負担させる。また、軍備の制限か。」
「牙を抜き、再び戦う力を持たせぬ事が肝要と考え、そのようにいたしました。」
「さらに、EUから離脱し、正式に我が国との同盟国になるか・・・。少々、足り
ぬな。」
「無論、これからさらに詰めていく事になります。期間は1ヶ月を見ております。
その後、交渉にさらに1ヶ月を費やすつもりです。」
「よかろう。そのようにいたせ」
 シュナイゼルの話を、シャルルが遮る。
「はっ。」
「さて、突然だが、余は属領政策を見直す。ベアトリス、例の案を発表せよ。」
「はっ。」
 ベアトリスが、筒状に丸めれた一枚の書類を広げる。
「何だ?」
「それをこれから、発表するんだろ。」
 ジノにスザクが答える。
「あいつが発表するとなると、碌な事じゃないだろうな。徴税を強化するとか
か?」
 そうジノは口にするが、表情には出さなかった。
「これまでのエリア区分、矯正、自治、衛星の他に、新たに連邦エリアを加え
る。」
「連邦エリア?」
 エリファレットが怪訝そうな表情になる。
「何よ、それ?」
 クローディアも首を傾げる。

「連邦エリアは、衛星エリアの中から特に治安が安定し、反乱のリスクが極め
て低いエリアが選ばれる物とする。なお、連邦エリアのナンバーズには、ブリタ
ニア人と同等の権利が与えられる。」
 出席者から大きくどよめく。ブリタニア人とナンバーズを厳密に区別するの
が、今までのブリタニアの国是だからだ。つまり、国是の大幅な変更となる。
「統治は陛下が直接派遣なされた総督が監督し、基本的にはナンバーズの自
治による物とする。そして、制限付で軍事力を持つ事を認める。」
 ベアトリスの言葉を聞いて、スザクが驚愕する。
 エリアといっても、ここまでくると独立国に近い性格を持つ。まして軍事力の保
持を認めるとすれば尚更だ。
「また、連邦エリアによっては、独自のナイトメアの開発を認める。但し、民間の
ナイトメアについては、ナイトメア法に基づく物とする。また、連邦エリアのナンバ
ーズは、名誉ブリタニア人でなくとも、ブリタニア軍への入隊を認め、更にナイト
メアへの騎乗を正式に認める。但し、これらの権限を持たせると共に、駐留軍の
軍事費の一部を負担する。徴税については見直しを図る。」
 読み終わると、ベアトリスは静かに座る。

「お待ち下さい。陛下。これは、我がブリタニアの国是を根本から変える物。
いま少し、議論をなさるべきではありませぬか?」
「私も同感です。第一、各エリアに住んでいる国民が受け入れるとは思えませ
ぬ。」
 強硬派の将軍達が、反対の意を含んでシャルルに進言する。
「不満を持つ者は、他のエリアに移らせろ。この政策の狙いは、更に優秀な人
材を発掘する事にある。現に、枢木を見よ。ナンバーズでありながらも、ラウ
ンズの一員。その武勇はラウンズでも一、二を争う。ナイトメア戦で枢木に勝
てるとすれば、ビスマルクぐらいであろう?他のエリアの埋もれたままの優秀
な人材を得る事ができれば、我が国はさらに強大となろう。それとも、反対す
る物は自分の力量に、自信が無いか?」
 シャルルが、凄まじいまでの威圧感を感じさせる目で、強硬派の将軍達を見
回す。
「陛下、発表の前に、他のエリアに国民や企業が移る際の処置を議論してから、
発表なさるべきでございましょう。私自身、この政策に何の異議もございませ
ん。優秀な人材が増えるのは私自身も賛成です。部下を選ぶ楽しみも増えます
ゆえ。」
 歴戦を潜り抜けた者の威圧感を放つ、ラウンズの軍服に純白のマントを羽織
った中年の隻眼の騎士が、シャルルにそう進言する。
 ビスマルク・ヴァルトシュタイン。
 ナイト・オブ・ラウンズを束ねる、帝国最強の騎士ナイトオブワンである。
「ふむ、そうだな。関係各省に準備を命じるとしよう。この件に関しては、後日会
議を開く物とする。」
「お聞き入れいただき、光栄でございます。ところで陛下、連邦エリアに昇格す
るエリアはもうお決まりでしょうか?」
 ビスマルクが尋ねる。
「ベアトリス。発表せよ。」
 シャルルが、ベアトリスにそう促す。
「はっ。」
 席を立ち、別の書類を広げる。
「衛星エリアに昇格するのは、以下の2つのエリアとする。一つは、エリア1
3。旧スリランカ。現総督のジュリアス殿下が引き続き、任に着く。」
「復興が驚くほど順調に進んでいると聞きます。ジュリアス殿下の努力が、報
われましたな。コーネリア殿下。」
「うむ。あれも喜ぶだろう。連邦エリアのような政策は、ジュリアスの望みでも
あったからな。」
 侵攻を受けたエリア13の復興は順調に進み、またジュリアス自身もブリタ
ニア人とナンバーズを差別する事には否定的で、エリア13の総督に就任して
からは、国民に対し、ナンバーズや名誉ブリタニア人に対し不当な扱いをしな
いよう啓蒙を続けてきた。
 その甲斐あってか、エリア13ではナンバーズや名誉ブリタニア人に対する、
差別的な行為は、他のエリアと比べて非常に少なかった。
 この点をコーネリアは参考にして、エリア11の統治を行っていた。
「もう一つは、エリア11。旧日本。このエリアの総督は、後日に決定するも
のとする。だが、副総督は既に決まっている。」
「誰・・・?」
「これから発表されるんだろ。」
 アーニャの呟きに、ジノが答える。
「副総督は、ナイトオブセブン枢木スザク。又、駐留軍の総司令官も兼任する
事となる。コーネリア総督は、直属軍と共に本国に帰還する。」
 会議に出席している全ての人間が、驚きのあまり言葉も出せずにいた。
 一人シュナイゼルが、一瞬苦々しげな表情をした。

「ま、真でございますか?陛下。」
 カラレスが咽喉から声を絞り出すように尋ねる。
「枢木を連邦エリアとなるエリア11の副総督にする事は、紛れも無く余の決
定である。不服か?カラレス。」
 シャルルが視線をカラレスに向ける。
「しかし、枢木卿はラウンズの一人とはいえ、ナンバーズ。副総督という要職
にはやはりブリタニア人をつけるべきでは・・・。」
 視線に押しつぶされそうになりながら、カラレスが意見を言う。
「ほう・・・。ラウンズは皇帝たる余の直属の騎士。それは要職ではないと申
すか?まして、その実績はこの中にいる者の中でも、一、二を争う。それでも、
相応しくないと申すか?枢木はナンバーズではあるが、れっきとしたブリタニ
アの貴族であるぞ。」
「し、しかし・・・。」
「カラレス将軍。皇帝陛下の御前である。控えられよ。」
 ベアトリスが、カラレスの言葉を遮り書類の続きを読む。
「尚、連邦エリアはナンバーでは呼ばず、我が国の属領となる前の国名を使う
事を正式に認め、そこに居住する者もナンバーズには区別はしないものとす
る。」
 書類を読み終えたベアトリスが、席に座る。

「さて、枢木。連邦エリア日本は変わらず中華連邦との間の重要な戦略拠点で
あるが、これから中華連邦にはどうあたるべきと考える?開戦か、和平か。思
うところを申せ。」
 スザクが席を立つ。
「周知のように、中華連邦は世界最大の人口を誇る国。さらに国土も広大で、
正面から戦えば、我が軍といえども大きな犠牲は免れません。シベリアのサク
ラダイト鉱脈を巡っての争いで、EUが全面戦争に踏み切らなかった理由の一
つともいえましょう。ナイトメアの性能は我が軍に比べて劣りますが、生産性
を重視した設計。エリア13での戦いに投入された機体にも、この設計コンセ
プトは受け継がれているとのキャメロットの報告があります。さらに大宦官が
粛清され治世が改められた結果、目覚める潜在的な国力も無視できません。
できるならば、EUを屈服させ増大した国力を背景に、有利な講和条約を結ぶ
が上策と考えます。無論、戦わざるを得ない状態とならば、戦うしかございませ
んが。」
 スザクが席に座る。
「宰相。そなたの意見はどうか?」
「私も、枢木卿の意見に賛成でございます。和平を軸とした政策で臨むべきか
と。」
 シュナイゼルが、意見を述べる。
「ふむ・・・。」
 シャルルがしばし目を閉じる。
「よかろう。中華連邦との間の関係は、現状を維持とする。当面の敵、EUと
の戦いに専念せよ。」
「御意。」
 シュナイゼルが恭しく、頭を垂れる。
「これにて、本日の会議は終了する。一同、大儀であった。」

「やってくれたものだね。父上も・・・。」
 宰相府の執務室に戻るなり、シュナイゼルは深く溜息をつく。
「連邦エリア構想を殿下が発表なさる事を、陛下は予期していらしたのでしょ
うか?」
 コーヒーを入れながら、カノンも苦い表情になる。
「かもしれない。問題なのは、枢木君を先に指名された事だよ。正直これは痛
いな・・・。今後の計画に支障をきたす可能性は決して低くない。」
 組んだ手の上に顎を乗せて、シュナイゼルは考え込む。
「フォートデトリックとダラスの視察のスケジュールを、組んでくれ。向こう
に比重を大きく傾ける可能性を、考慮する必要がありそうだ。」
「解りました。」
 カノンが、今後のシュナイゼルの視察スケジュールを、組み始める。
「とは言え、白の騎士をそう簡単に諦める気はないがね・・・。」
 シュナイゼルは、白のナイトの駒を手に取り、愛しそうに見ていた。

「君も物好きだね。連邦エリアの創設か。正直、諸刃の剣とも言えるんじゃな
いかい?水面下で徒党を組まれると大変だよ。」
「その為に、総督を派遣する形を変えなかったのですよ。首に鎖を繋いでおけ
ば、勝手な事はしますまい。それに人は甘い味を味わうと、忘れる事はできぬ
者。それを失いたくなければ、反乱を起こす事はないでしょう。」
「そして、最も重要な日本には、君のナイトオブセブンを派遣するか・・・。忠誠
心が篤いからね。反旗を翻す事はないだろうけど。用心はすべきじゃないか
い?」
 電話越しに、シャルルの笑い声が聞こえてきた。
「それで覆るなら、ブリタニアもその程度ですな。が、私はそれほど惰弱では
ありませんよ。挑んでくるなら、潰すまで・・・。私はそうやって勝ち抜いて、皇
帝の座についたのですからな。今回の連邦エリアは、私が先手をとった形に
なりますが、それでシュナイゼルが屈するならば、その程度の男でしょう。皇
帝の座は望めますまい。」
「まあ、今の皇帝は君だしね。僕がどうこう口出しをする必要はないか・・・。好
きにしなよ。じゃあ・・・。」
 V.V.は電話を切った。
「さて、そうは言っても、このままでは僕も困るんだよね。何しろ適合者がい
ないんだから。やはりスザクに舞台に上がってもらう必要があるか・・・。」
 V.V.は目の前の遺跡に入っていった。
 遺跡のある島の名前を、神根島という。
「じゃあ、開こうか。閉じられた扉を・・・。」
 目の前の巨大な扉に手を翳して目を閉じると、刻まれた紋章が光を放った。

 連邦エリア創設の発表から1週間後、連邦エリア日本の総督の名が発表さ
れた。
 第87位の皇位継承権を持つ皇女で、名をナナリー・ヴィ・ブリタニア。と、
いう。

後書き
前話の予告で書いたサプライズ。
連邦エリア構想です。
モデルはイギリス連邦です。
意外に知られていないようですが、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド等
結構多いんですよ。
まあ、ほとんどの国が独立国ですし、総督も名誉職に近い物のようです。
連邦エリアはそれに似ていますが、制限もあります。
要するに飴ですね。
シュナイゼルもこの構想を持っていたのですが、結局はシャルルに先を越されて
しまいしました。
ここから、水面下でシュナイゼルは動き出します。
視察もその一環です。

次回、AFTER TURN10 連邦 エリア 設立
連邦エリア設立までと、その間の水面下の動きのお話です。

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はじめまして。凪と申します。御サイトにはいつも楽しませていただいておりますが、コメントは初めてです。
さて、本当は感想を書きたいのですが、筆力が伴わない若輩者ですので、取り急ぎの用件のみ書かせていただきます。感情をどこかに置き忘れたのではないかと思わせるほど冷たい性格で、誰一人彼女に交換を持つ者はいない。
これ交換は好感ですね。
小生もよくこういう見逃しやすい変換ミスをしておりますので。せっかくの宝玉に埃がついているような状況に(あ、勿体ない)とコメントに入れさせていただきました。
では、御サイトの今後のご清栄をおいのりいたします。

URL
2008/08/06 20:10
凪さん。
初めまして。コメントありがとうございます。

誤字のご指摘、ありがとうございました。
気をつけて、見直しはしているのですが、どう
しても、偶に出てきてしまうんですよね・・・。

感想は、思った事を書いていただければ、それ
でいいですよ。
極端な話、つまらないと思えば、つまらないと
書くのも、感想と言ってよいと思っていますの
でお話は、まだ続きます。
お楽しみ頂ければ、幸いです。
CIC担当
2008/08/06 20:19

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