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zoom RSS コードギアス二次小説 AFTER TURN11 加速 する 流れ

<<   作成日時 : 2008/08/20 03:06   >>

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「ふむ、交渉はうまくいっておらんようだな。シュナイゼルよ。」
 スペイン州との条約締結交渉の報告をシュナイゼルから聞いたシャルルは、
跪くシュナイゼルを見て、そう言った。
「残念ながら。私としても忸怩たる思いでございます。」
「で、どうするのだ?攻め込むのか。」
「このままでは、そうなるかと・・・。」
 そういったシュナイゼルを、シャルルは目つきを鋭くして見る。
「そして、尖兵としてラウンズを使わせろと申すか?」
「戦いを短期に終わらせるには、それが上策かと・・・。」
「シュナイゼル・・・。」
 シャルルの声に更に威圧感が増す。
「ラウンズは余直属の騎士であって、お前の私兵ではないぞ。解っておろう
な。」
「無論、承知しております。ですが、戦いとなれば、枢木卿が御前会議で述べ
たとおり、向こうは死兵となりましょう。そうなれば、こちらの犠牲も無視で
きませぬ。」
「ならば、策を立ててそれを回避せよ。その程度もできぬ者に・・・。」
 シャルルは玉座を手で叩く。
「皇帝になる資格などない・・・。良いな。まして、枢木は日本の副総督。連邦エ
リア発足から日も浅いのに、簡単に出兵させるわけには行かぬぞ。下がってよ
い。」
 そう言って、シュナイゼルを下がらせた。
「ファランクス。ナイトオブスリーと、ナイトオブシックスを呼べ。」
「イエス、ユア・マジェスティ。」

 連邦エリア日本設立から1ヵ月半。
 スザクは副総督として総督のナナリーを支え、自治政府の会議にも出席した
りと、多忙な日々を過ごしていた。
「各県の知事は、立派に責務をこなしていると言ってよいと考えます。詳細は
資料をご覧下さい。」
 総務大臣の冬木が、資料を基に説明を始める。
 各県の知事は、ゲットーの代表者から選出し、政治体制は旧日本とほとんど
変わる事はなかった。
 本格的に彼らの自治を行わせるには、なれたやり方でさせるべきと、スザク
が考えた為である。
 実際うまくいっており、スザクが口を挟む事はほとんどなかった。
「枢木副総督、なにかご質問は?」
「いえ、問題ないと考えます。皆さんよくやっていただいているので、自分も
安心して、総督に報告できます。」
「そう言っていただけると、こちらもほっとしますな。」
 連邦エリアになったとはいえ、宗主国がブリタニアである状況に変わらない
中、閣僚たちは当初不安を持っていたが、彼らの自治を重んじるスザクの姿
勢に安心していた。
「次に、自衛軍の編成状況についてですが・・・。」
 防衛大臣の板垣が説明を始める。
 連邦エリア法では、制限つきで固有の戦力を持つ事が認められている為、早
速、軍の編成が開始されていた。
「数は揃い最低限の訓練は終了しましたが、戦力の中核たるナイトメアについ
ては、ブリタニア製を暫く使用する必要があります。サザーランドの貸与を本
国にお願いいただけませんでしょうか?」
「生産中のナイトメア。飛燕でしたね。そちらの生産状況は遅れているのでしょ
うか?」
「必要な数をそろえるには、暫く時間がかかります。」
「どの程度でしょうか?」
「あと一月ほどは。」
 スザクは、皇コンツェルンが生産中の軍用ナイトメア、飛燕の資料に目を通
した。
 無頼や無頼改の延長線上にあるナイトメアで、性能はドウ・シーとほぼ互角
である。
 しかし、紅蓮や月下と同様にコックピットは、バイクのようになっている為、
感覚の違いが出るかもしれないとスザクは考えた。
「本国の生産ラインで生産できないかどうか、問い合わせてみましょう。それ
がだめなら、既存のナイトメアの貸与の願い出を、なさればいい。それで如何
でしょうか?」
「確かに、本国のラインを使用させていただければ、それに越した事はありま
せんが、よろしいのでしょうか。」
「日本の自治を行うのは、貴方方です。軍備も進めてもらわねば、こちらも困
ります。それに、せっかく自分達で設計したナイトメア。やはり最初から使い
たいと思いませんか?」
「そうですな。では、お願いいたします。」
「承知しました。」
 その後も、幾つか報告を受けて会議は終了した。

「以上が会議の内容になります。何か、ご質問は?」
 目の見えないナナリーの為に点字に直された資料を基にして、スザクは会議
で決定した事項等を総督であるナナリーに報告していた。
「いえ、特にはありません。自治はうまくいっているようですね。スザクさん。」
 「スザクさん」とナナリーがスザクの事を呼ぶと、スザクの表情が厳しくな
る。
「総督。そのように名前で臣下を呼ばれるのは、如何かと存じます。以前にも
申し上げましたが、他の者達に示しがつきませぬ。」
「それは・・・、そうですが・・・。」
 スザクにそう言われ、ナナリーが悲しそうに俯く。
「総督。どうか、公人としての立場をご自覚なさって下さい。」
「解りました。以後、気をつけましょう。枢木卿。」
 ナナリーの言葉に、スザクは黙って頷く。
「それでは、こちらが、明日総督がご臨席なさる会議の資料になります。今日
中にお読み下さい。」
「解りました。」
「それでは、失礼いたします。」
 スザクはナナリーの執務室を出る。
 その際、スザクがミスローマイヤの後任としてナナリーの教育係に選んだ、
ミストロロープに外に出るよう、目で促した。

「正直困るな。主君が臣下に、親しみを持つのは大いに結構な事だ。だが、あ
のような場合は、度が過ぎるとしか言いようがない。主君は主君。臣下は臣下。
君臣の区別をつける事を、もう少し促してもらいたい。」
 自分の執務室で、スザクはミストロロープにそう言った。
「私もそう申し上げたのですが、総督が悲しそうな顔をなさるので・・・。」
「教育係は、甘やかすのが仕事ではない。時に厳しき事を言って、主君を諌め
るのも仕事だ。そこを理解してもらいたい。」
「申し訳ありません。以後、気をつけます。それ以外は?」
「特にない。教育学博士、政治学博士としての君の才幹を高く買って、教育係
に選び、責務を全うしてくれているのだから。ただ、教育係として時に厳しく
ある事を忘れないで欲しいだけだ。」
「解りました。以後気をつけます。」
 そう言って、ミストロロープはスザクの執務室を出た。
『もう、昔みたいには戻れないんだよ。ナナリー。』
 書類を決裁しながら、スザクはそう考えていた。

「シュナイゼル殿下、自らのご視察。恐縮に存じます。」
 シュナイゼル麾下の、核物理学研究施設。通称“インヴォーグ”の主任研究
員に大抜擢されたニーナが、シュナイゼルを迎える。
「元気そうだね。結構だ。報告書を見せてもらったが、大分進んでいるようじ
ゃないか。」
「はい、まだかなりの大きさですが。性能そのものには問題ありません。」
 ニーナの言葉に、シュナイゼルは満足そうに頷く。
「この後は、小型化の研究か。頑張ってほしい。今の君の姿を見れば、ユフィ
もきっと喜ぶよ。」
 シュナイゼルの視線の先には、大きな装置があった。

「そう言えば、枢木卿とは連絡を取り合っていないのかい?」
 貴賓室でコーヒーを飲みながら、シュナイゼルはニーナの近況を聞く。
「枢木卿は、今や連邦エリアの副総督。身分が違いすぎますし・・・。」
「そんなこと気にする必要ないじゃない。かつては、生徒会のメンバー同士だ
ったわけだもの。」
「そうなんですけど。彼、自分からプライベートな連絡を送った事が、ないみ
たいなんです。」
「ミスアッシュフォードにもかい?」
「はい・・・。仕事が忙しいんでしょうね・・・。それに・・・。」
「いや。その先は言わなくてもいい。彼の性格だ。まだ完全に傷が癒えたわけ
ではないのだろう。」
 シュナイゼルが、優しく微笑みかける。
「殿下、フォートデトリックへ、出発する時間でございます。」
「ああ。もう、そんな時間か・・・。それでは、引き続き頑張ってくれ。」
「イエス。ユア・ハイネス。」

『笑顔になれたとはいえ、枢木君の心は、ある意味1年前のままか。ナナリー
の事もあるし。色々とやりようはあるね。』
 専用機の中でそう考えて、シュナイゼルは微笑んでいた。
「彼女の話のままですと、フォートデトリックの方は、必要なくなるかもしれませ
んわね。殿下。」
「そうだね。だが、万が一には備えておきたいし、良いカードが手元に多くある
のは良い事さ。例の件の根回しは進んでいるかい?」
「滞りなく。」
 微笑みながら、カノンがシュナイゼルのグラスにシャンパンを、注ぐ。

「久しぶりね。ナイトオブセブン。それとも枢木副総督と言った方が良いかし
ら。」
「どちらでも、結構ですよ。ファランクス卿。」
 本国から、ベアトリスの通信が入っていた。
「それで、何の御用ですか?」
「ナイトオブスリーと、ナイトオブシックスが、明日そっちに到着するわ。貴
方の指揮下に入る事になるわね。それと、貴方は本日付で中将に昇進よ。」
「言っている意味が解りませんが・・・。」
「そのままの意味よ。それ以外の何物でもない。まあ、強いて言えば、32個
師団を率いる指揮官の階級が、少将では低すぎると陛下がお考えになったか
らかしらね。それに伴って、他のラウンズも昇進するわ。正式な辞令は明後日
届く。後は、貴方の権限でなすべき事をなすように。以上よ。」
 通信が切れた。
「やれやれ。」
 スザクにしては珍しく、溜息をついた。
「副総督、失礼いたします。」
 10個師団からなるスザクの直属軍の副司令で、日本に駐留するブリタニア
軍のナンバー2となったヴァレーリアが執務室に入ってきた。
「何かあったのか。」
「面会を求めてくる者が、おりまして。」
「確か、そんな予定はなかった筈だが・・・。」
 デスクの端末で予定を見ながら、スザクは確認する。
「はい。アポイントメントは一切ありません。」
「名は?」
「カトリーヌ・クープランと名乗っております。」
 名を聞いても、スザクが知っている人間ではなかったが、暫く考えてある事
に気づいた。
『カトリーヌ・クープラン。Catherine Couperin。C.C.か・・・。』
「通して構わない。連れてきてくれ。」
「よろしいのですか?暗殺者の可能性も・・・。」
「それなら、その場で斬り捨てればよい事。心当たりがなくもないから、連れ
てきてくれ。」
「解りました。」

 暫くして、ヴァレーリアが連れてきたのは、間違いなくC.C.だった。
「ご苦労。執務に戻っていい。」
「解りました。何かありましたら、すぐに人をお呼び下さい。」
 そう言って、ヴァレーリアと兵士は執務室を去った。
「やれやれ。来た途端、銃を突きつけられるとは思わなかったぞ。さすがに副
総督に会うとなると、骨が折れるな。」
「何の用だ。」
 「白き死神」の目で、C.C.を見る。
「恐ろしい目だな。その視線だけで、敵は逃げ出すのではないか。」
「何の用だと、聞いている。」
 C.C.の傍まで行って、腰にある剣に手をかける。
「おいおい。いきなり、それか?」
「用も無しに来る人間が、どう見られるのか解らなかったのか?事と次第によ
っては、ここに来る前に蜂の巣にされても文句をいえる立場ではない事を弁え
てもらいたいね。」
 それを、聞くとC.C.が煩わしそうに、溜息をつく。
「私を雇え。秘書ぐらいはできるし。ナイトメアの操縦もできる。」
「どういう風の吹き回しだ?君は黒の騎士団にいるんじゃないのかい?」
「生憎とゼロの事がばれて、追い出されてな。居場所がない。それで、職を求
めに来た。私は役に立つぞ。私を通じて、ルルーシュの策を用いる事もできる
しな。」
 その言葉で視線がさらに鋭くなり、鞘から抜かれた剣はC.C.の咽喉元に
突きつけられる。
「僕がルルーシュの策を?ふざけるな!」
 静かだが、恐ろしいまでの威圧感を含んだ声で、C.C.にそう言い放つ。
「よほど、ルルーシュを憎んでいるのだな。トウキョウ租界での決戦前にお前
がルルーシュに掛けてきた電話から、解っていたつもりだったが。だが、ナナ
リーが皇族として総督になったのなら解るだろう。お前なら、私が話さずとも
ルルーシュの真の目的が・・・。」
「ああ、解るよ。その為に多くの人間をユフィを、犠牲にしたことがな!」
 剣の切っ先が、僅かにC.C.の咽喉元に触れる。
「そう言われても仕方がないな。ギアスの危険性について、充分注意していた
のに結局抑え切れなかった、ルルーシュの罪だ。だから、償いの機会を与えて
やる気はないか?」
「そんな物があると思うのか?償う方法があると思うのか?」
 今にもC.C.の咽喉笛を切り裂こうとする勢いで、C.C.を問い詰めた。
「無いだろうな。その程度、私もルルーシュも解っているさ。なら、こう考え
たらどうだ。お前の目的のために私とルルーシュを利用しろ。物のようにな。
なんなら、毎晩、ベッドの相手をしてもいいぞ。お前とて男だろう?女が欲し
くは無いのか?」
「生憎と、そんな時間の余裕は無くてね。だが、まあいい。秘書官として雇う
事にしよう。軍籍も与える。」
 そう言って、剣を鞘に収める。
「ありがたいな。」
「勘違いは止めてもらおう。君にちょろちょろ動かれると、面倒なだけだ。だか
ら近くにおいて監視する。」
 端末を操作して、正式に辞令を交付する。
 そこには、帝国軍中尉として、スザクの秘書官に任命する旨が書かれてい
た。
そして、女性用の士官服と宿舎を用意させる。
「宿舎には生活に必要なものは、全て揃っている。明日から、職務につくよう
に。クープラン中尉。」
「イエス、マイ・ロードと答えておくよ。一応、上下の区別はしっかりしておくべ
きだしな。」
 そう言って、C.C.は服を脱いで下着姿になる。
「何をしているんだ?ここは更衣室じゃない。」
「解っているさ。私に剣を突きつけた事に対する、嫌がらせだ。目は逸らすな
よ。それと、今晩は、私と寝てもらうぞ。意味は判るな。」
 そう言いながら下着も脱ぎ去り全裸になって、細身の体をスザクに見せつけ
ながら、新しい下着を身につけ、軍服を着る。
「その様子では、女を知らぬというわけでもないようだな。少々意外だったぞ。」
 くすりと笑いながら、スザクを見る。
「君には関係ない。机と端末を運ばせるから、とりあえず職務をこなしてもら
おうか。2時間後に会議がある、まずそこで君の実務能力を試させてもらう。」
 部下に命じて机と端末を運ばせ、心配そうにしているヴァレーリア達、古参
の部下達の元に行く。

「よろしいのですか?あのような者を、登用して。」
「ああ、陛下のご命令でもある。傍で監視せよとの。詳細は言えないけどね。」
 ヴァレーリア、ヒルダ、ジーン。
 この3人の前では、スザクも物腰が柔らかくなる。
「陛下の。成る程、それでは易々とは口には出来ませんか。」
 ヴァレーリアが納得する。
「済まない。話せる時期が来れば話すよ。」
「いえ。お気になさらず。我等も軍人です。伏せねばならぬ事があることも、
存じております。それに我らは、副総督を、枢木卿を信じております。」
「ありがとう。」
 スザクがヴァレーリアに礼を言う。

「成る程。ほぼ纏まったか。」
 上海のホテルの一つで、星刻は藤堂と密談をしていた。
「人員の補充、資金援助。どちらも魅力的だ。それに、中華連邦からの援助が
減らせる。いつまでも、そちらに頼りきりというわけにもいかぬ。」
 黒の騎士団は、インド自治区に傭兵として雇われている形になっているが、
資金の一部は、軍の機密費から捻出されている。
 下手をすれば、その事が外部に漏れブリタニアにつけ込まれる可能性を、藤
堂は常に頭においていた。
「律儀な方だ。それ位、隠し通すのは造作も無い事だが。」
 星刻が珍しく、苦笑する。
「ところで、軍のほうは如何かな?」
「そうだな。とりあえず、私の禁軍は問題ない。他の軍の練度も増してきた。
だが、戦力増強を図るブリタニア相手では、まだ戦うわけにはいかん。それに
もう少し民政を充実させたい。とは言え、文官は恐怖に震えていてな。張宰相
にはご苦労をお掛けしている。とにかく、今はまだ戦うべき時ではない。私は
いつもそう言っているのだがな。文官の不安を拭うまでにはいたってはおら
ん。」
 そう言って、茶を口にする。
「武官はどうかな?」
「決戦の時は近いと見ている。が、今しばらくは、国内を安定させつつ、軍を
鍛え上げるべきだと、意見が一致していてな。奇妙なものだ。普通は文官が
戦争に異を唱え武官を宥めて、武官がそれに反論するのが、世の常なのだ
が・・・。」
 今の星刻の一番の悩みの種は、文官達の恐怖心であった。
 いくら説明しても、恐怖心を拭い去る事が出来ずに、星刻としてもどうする
べきか考えていた。
 文官として優秀な人材を集めたつもりだが、こうなるとは想定外だった。
「一度、演習を行い、文官に見せるか・・・。多少は不安を拭えるかもしれぬ。」
「それは良い考えだ。練度が増しつつある軍の様子を見れば、文官も多少は
落ち着くだろう。」
 藤堂も星刻の考えに賛同する。
「ところで天子様は如何か。まだ御歳13歳。不安に思っておいでのはずがな
い。」
「ところが、意外と落ち着いていらしてな。政治の勉強をしながら、議論に一
生懸命に耳を傾けられて、ご自分の意見を述べていらっしゃる。私にとっては
救いだな。」
「良い事ではないか。天子様にも演習をご覧になっていただければ、その上で
文官たちを宥めてくださるかもしれん。特に貴公の禁軍の練度を御覧になって
いただけば、安心なされよう。」
「そうだな。禁軍は基本的には天子様をお守りする為の軍だ。だが、時に全軍
の主力ともなる。見ていただくのも良いか・・・。」
 2人が話していると、香凛が入ってくる。
「失礼いたします。張宰相から連絡が入りました。ロシア州の総領事が、会談
を申し込んできたそうでございます。」
 この事が、中華連邦に影響を及ぼすのを知る者は、誰もいない。

「以上が、現在の各軍区における状況であります。コーネリア殿下の麾下にあ
っただけあって、直属軍までとはいきませんが練度に問題はありません。戦い
の際に足並みが乱れるという事は無いと考えます。」
「結構。軍容は整ったと見て良いな。」
 スザク達は、駐留軍の状況についての会議をしていた。
 中華連邦との戦いが起こった際には、重要な戦略地点となるだけに、スザク
は本国で選び徹底的に鍛えぬいた直属軍との、練度の差を気にしていた。
 いざ足並みが揃わず、敗北しては目も当てられない。が、前総督がコーネリ
アだった事、その際スザク達ラウンズが加わっての演習が行われた事がプラス
になり、心配するレベルではなかった。
 考えながら、スザクは横目でC.C.の仕事振りを見ていた。
『一応、問題ないと考えて良いかな・・・。』
「副総督。中華連邦との関係はこのまま続くでしょうか?」
 参謀の一人、マッキントッシュが尋ねる。
「それは何とも言えないな。国際情勢は、ある意味海に似ている。今まで静か
だったのに、突然荒れ狂う時もある。だからこそ、備えは怠ってはならないと
考える。ただ、荒れ狂う際には何か予兆もあるだろう。それを見極めるのが大
事だ。最終的な決定は本国が決めるとは言え、情勢には常に気を配っておい
て欲しい。」
「「「「「イエス、マイ・ロード。」」」」」

「ふむ。治世に問題はないようだな。自治政府に対する監督方針は、このまま
で良い。」
 スザクはシャルルに、日本の状況を報告していた。
「はっ。」
「自衛軍のナイトメアの件だが、本国で空いている生産ラインを使う事を許そう。
そちらのナイトメアの性能を知っておけば、万が一反乱を起こす事になった時
に、役立つだろう。」
「ありがたく存じます。」
「そちらは、情勢も穏やかなものだ。一方できな臭くなっている所もあるが。」
「スペインとの交渉、決裂いたしましょうか?」
「恐らくそうなるであろうよ。当初の予定からほぼ2ヶ月が過ぎようとしてい
るにも関わらず、この有様。その間にこちらは戦力強化が出来たからよいもの
の、向こうも派兵の準備を進めているだろうよ。場合によってはお前が軍を率
いて赴く事になるやも知れぬ。日本の内政を固める重要な時期ではあるが、
いつでも麾下の軍を動かせるように準備はしておけ。」
「イエス、ユア・マジェスティ。」
「うむ。ところでC.C.を秘書官にしたか。今のところどうだ?」
「来たばかりもあって、特に怪しい所は見受けられません。ですが、監視は続
けます。本人は黒の騎士団を追い出されたと言っておりますが・・・。」
「信じられぬか?」
「半信半疑といったところでございます。しばらくは見極めるための時間が必
要と考えます。」
「それでよい。何かあったら、すぐに知らせよ。」
「イエス、ユア・マジェステイ。」

「邪魔者は、籠の鳥に出来たようだね。」
「まだ、解りませぬな。この程度で、諦めはしますまい。」
 アーカーシャの剣で、シャルルとV.V.が話していた。
「それは、どっちだい?C.C.かい?それともルルーシュかい?」
「どちらもですな。」
 シャルルはそう答えた。

「言っただろう。私は役に立つと。」
 夜、宣言したとおりに、スザクの宿舎までついていって、ベッドで同衾して
いるスザクとC.C.の姿があった。
「たしかに、秘書官として優秀なのは認めよう。だが、それ以上の事はしない
でいい。」
「ふっ。やはりまだ信用しきれないか。」
「信用されるとでも、思ったのかい?それから、このような事は今回限りだ。
あらぬ噂を立てられると、軍の規律が乱れる。」
「別にお前なら、愛人の一人もいたとておかしくなかろう?皇帝直属のラウン
ズの一人。しかもその武勇と知略は、一、二を争うほどの男にして、ブリタニ
アの貴族、そして、連邦エリア日本の副総督。しかも、お前は独身だ。これか
らも、お前のベッドの相手をしてやろうか?」
 鍛え抜かれたスザクの肉体に、C.C.は胸を押し当てる。
「明日は大事な会議がある。きちんと寝ておくように。クープラン中尉。」
 C.C.を押しのけ、C.C.を背を向けるようにして横になる。
「解った。その前に一つ言っておくことがある。」
「何だい?」
「カトリーヌ・クープランというのは、紛れもない私の本名だよ。勝手につけ
られた名前だがな。」
「では、C.C.という名前は?」
「私が勝手に自分をそう呼んでいるだけだ。」
 そう言って、スザクを後から抱きしめるようにして、C.C.も横になった。
『大きくなったな・・・。幼き日々から比べて、ずっと・・・。』
 スザクの幼少の頃を思い出した。
『さて、これからお前はどうする?シャルルがワイアードの血に目覚めたお前を
利用しようとするのは、必然・・・。その時お前はどうする?枢木スザク。』
 C.C.は目を閉じ、眠りについた。

「ナイトオブスリー、ジノ・ヴァインベルグ。本日付で、枢木副総督の指揮下
に入ります。」
「ナイトオブシックス、アーニャ・アールストレイム。同じく。」
 翌日、軍用空港に到着した、ジノとアーニャがスザクに敬礼する。
「ご苦労。」
 ラウンズには身分の上下はナイトオブワンであるビスマルクを除いてはない
が、現在は皇帝の勅命でスザクの指揮下に入っているので、スザクは上官とし
て接する。
「昨日付けで、枢木副総督の秘書官を拝命いたしました。カトリーヌ・クープ
ラン中尉であります。」
 C.C.がジノたちに敬礼する。
「ああ、よろしく頼む。」
 その後、スザクはジノとアーニャを政庁の、休憩室に通す。

「あの秘書官。なかなか美人だったな。」
 ジノがC.C.をそう評する。
「まあ、そうだね。実務能力もなかなか高いよ。」
「その様子だと、相変わらず女に興味ないみたい・・・。」
 アーニャが、携帯を操作しながら呟く。
「今は・・・、忙しいからね・・・。総督をお助けして、連邦エリアとしての
日本の統治をよき前例にしないと・・・。あ、そうだ。もう少ししたら会議だ
から。2人はここでゆっくりしていて。」
「いや、そうじゃなくて・・・。そうか、知らないか・・・、例の噂を。」
 ジノが頭をかきながら、話しにくそうにする。
「噂?何だい?」
「いや、まあ・・・、その・・・。」
「スザク・・・、聞いて良い?」
 言い出せないジノを見て、アーニャがスザクに質問する。
「何だい?」
「あなた、ロリコン?」
 そう言われたスザクは、コーヒーを噴出しそうになるのをかろうじて、堪え
る。
「何?それ。僕にそういう趣味はないよ。それに何の関係があるんだい?」
「あるんだよ。それが・・・。スザク、連邦エリア設立から、1ヶ月半が経つ
が、お前のやり方がどういわれているか知っているか?」
「つまり、甘やかしすぎだの、ナンバーズ出身者がやりそうな統治政策だの、
そんな所かな。」
 連邦エリア法が定められているものの、基本的にブリタニア人とナンバーズ
を厳密に分けて統治するのが従来の属領の統治政策だった為、連邦エリアを
廃止すべしと言う声は、表立って言う者はいないが貴族社会では主流を占めて
いる。まして、日本の副総督はナンバーズのスザクである。ナナリーは体が不
自由な事に加えて、政治に関して素人である事。スザクが駐留軍の総司令官
である事から、スザクが実質的に総督のようなものであり、内政の安定を重視
しかつての日本の政治形態を自治方針にしている事から、スザクを批判する声
は強く、それは皇室でも同じであった。が、連邦エリア設立も、スザクの副総督
並びに駐留軍総司令官就任も、皇帝であるシャルルの決定であるので、表に
出ないだけである。
「やっぱり解っていたか。特に、ギネヴィア皇女殿下、カリーヌ皇女殿下はか
なり露骨にお前を批判しているよ。ま、陛下の手前、表立っては仰られないけ
どな・・・。」
「別にいいよ。それ位。覚悟していたしね。大体、誰かに褒められたいから、
頑張っているわけじゃないし。ただ、この地が穏やかであって欲しいから、連
邦エリアがさらに増える切欠になって欲しいから。だから、頑張っているんだ
よ。」
 小さく笑いながら、スザクがコーヒーを飲む。
「で、君が言おうとしている噂と、僕の評価が関連しているのかな?僕を副総
督から解任しようとか、暗殺しようとか、そんな感じ?」
「そうじゃない。批判されているお前に箔をつけようという目的があるの
か・・・。」
 ジノがコーヒーを一口飲む。
「お前とナナリー総督の結婚を、陛下がお考えになっているという噂がある。」

「な・・・。」
「だから聞いたの。ロリコンか・・・。ついでに私が相手である噂もある。」
 スザクは眉をしかめて、コーヒーカップを見つめる。
「ラウンズなら、結婚相手に相応しいと、陛下がお考えになられたのかもしれ
ないな。実際、例もある。まして、属領の副総督。普通なら、皇族かそれに準
ずる家柄の貴族が任される地位だ。可能性は充分あるな。」
「まさか・・・。」
「まあ、一応頭に入れておいたほうがいいぜ。噂の真偽はともかくとして。」
「そうしておくよ。ところで、スペイン州との交渉はどうなってる?」

「最後通告が突きつけられるそうだ。2週間後に、条約締結の回答がない場合、
スペイン州への武力侵攻に踏み切るってな。」
「そうか・・・。そうなるか・・・。」
 スザクは溜息をついた。
「今のところ、俺達ラウンズに出撃の準備は出されていないが、どうなるんだろ
うな?向こうも死に物狂いで戦うのは目に見えている。舐めてかかると、大火
傷するのは確実だしな。」
「まだ、2週間ある。向こうが、条約締結に踏み切る可能性もあるよ。」
「多分、ない。もしそうなら、とっくに締結されてる・・・。」
 「解っているんでしょ。」そう言いたそうな視線で、アーニャがスザクを見る。

 EUの首都パリにある、EU議会議事堂で会議が行われていた。
「それでは、賛成する各国代表の起立を求めます。」
 EUを構成する、全ての代表が起立する。
「賛成多数により、EU決議第221号及び222号は可決されました。」
 割れんばかりの拍手が議事堂内に響き渡るが、その表情は緊張していた。
 ここで可決された決議は、スペイン州への派兵に関するものと、EU軍総司令
官の選出であった。
 総司令の名は、アーダルベルト・ヴィルギニア・フォン・シャルンホルスト。
 ドイツ州軍総参謀長の職に就いているが、嘗てはエルアラメインにおいて、
ブリタニア軍を圧倒し続けた名将である。

後書き
連邦エリア発足後の日本や、ブリタニア、EUのそれぞれの状況のお話です。
スザクは、副総督ですが、ナナリーのサポートをしたり、駐留軍総司令官の仕
事をこなしたりと大忙しです。
しかし、その間にも、世界は動きます。
黒の騎士団も、再び舞台に上がるべく準備をしていますし、星刻も来るべき日
に備えて、準備をしています。
そして、EUも本格的にブリタニアとの戦いに備え始めようとします。

次回AFTER TURN12 開戦 の 前
戦乱の気運は高まり、そして戦いが始まろうとします。

目次に戻る。

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今年の花火は完全に不作でした。いつもなら近場の空き地で打ち上げるひとが複数板のですが、不況のせいか、今年はゼロ。わざわざ自分でやるほどでもなく、ブログの花火めぐりでもします ...続きを見る
金属中毒
2008/08/29 21:33

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは凪です。
今8/24の21時38分、先ほど最新の記事を読ませていただいたところです。
つまりこのコメントはこの記事へのコメントではありません。本来最新のところでコメントすべきでしようが、いろいろ考えてこちらにしました。
小生も2年前危うく死に掛けました。たまたま、腰痛でかかっていた医者が血液検査を言い出してくれて、結果完全に手遅れになる前に手術となり、いまも生きてます。
そのとき、生きててよかったと最初に思えたのが3ヶ月ぶりに見た病院の外の世界と舞散る桜ではなくて、家に帰ってすぐ開いたネットのページめぐりだった事は、小生の秘密です。
 

2008/08/24 22:07
若い人は生きる意味を考えないかもしれませんが、小生のような歳になると、なぜ生きるのか、どうやって生きるのか、どのように生きるのかを突きつけられるときがあります。
 あの、医療改革は小生の知る範囲でさえも「それ、改革ですか?」という声がきこえる不思議な改革でした。政府は弱いところを削り取ってますます細くし、その分をどこに使うつもりなのか?
 小生は昔ほんの一時薬業界で働きましたが、cic様にお伝えできるデータがないのです。ただ、以前生活保護を申請した事がありました。その折、個人に動いても完全に無意味だ。必ず、最低でも議員を通せといわれました。結局保護は申請しなかったのですが、医療の世界でも議員を通せば・・・という事はあるのではないでしょうか。
まったく、参考にもならないことで申し訳ないですが、それに議員を通せばという考え方そのものが、ほめられたものではないでしようが。
最後はあえて、ルルならこういう言い方をすると、「正義だから通るんじゃない。通したから正義だ。」


 

2008/08/24 22:07
凪さん。
遅くなりまして、申し訳ありません。

>医療の世界でも議員を通せば・・・
 残念ながら、無理なんです。
 まず、国会で法律を変えてもらわないと。
 地方自治体も、障害者福祉は障害者自立支援
法に基づいてやるしかありませんから。
 だからこそ、私は自分の状況をブログで、公
表する事に決めたんです。
 こういう状況があり、そのせいでつらい思い
をしている人達がいる事を知って欲しくて。
 やがて、国政選挙で今の状況が変わる事を願
って・・・。
CIC担当
2008/08/30 00:17

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