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zoom RSS コードギアス二次小説 AFTER TURN10 連邦 エリア 設立

<<   作成日時 : 2008/08/12 01:01   >>

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「連邦エリア日本か・・・。」
「行政特区以来の奇跡と言うべきですかな・・・。ゼロの凶行のせいで潰えてしま
いましたが・・・。」
「しかも、枢木スザクは副総督にして、駐留軍の総司令官。総督は皇族といえ
ども、目も見えず、歩く事もできぬ小娘。実質的に総督は枢木といってよいで
しょう。今やブリタニア側の人間とは言え、これは独立にかなり近い形といっ
てよかろう。まずは喜ぶべきかな。」
 キョウト六家の面々は、連邦エリア日本の創設の事で色々と話していた。
『まさかな。本当にやってのけるとは・・・。枢木の息子の事で、連邦エリアが創
設されたとは到底思えんが、理由の一部ぐらいにはなっているだろう。それに
うまくすれば、更なる自治権の拡大も見込めよう。』
 話を聞きながら、桐原は考えていた。
『しかし、まさかあの時の人質の一人が総督として帰ってくるとはな・・・。だが、
なぜ思い出すことができなかった・・・?』
 ナナリーとは桐原も面識がある。にも関わらず、今まで思い出すことがなか
った事を、不審に思った。

「いずれにせよ。日本の統治に関する協議が3日後に行われます。その前日に
は、歓迎パーティーもあります。桐原公、以前のような無礼な振る舞いをされ
ては困ります。よろしいですね?」
 カワグチ湖のホテルでの1ヶ月半前の、桐原のスザクに対する態度を思い出
し、二度としないよう神楽那が釘を刺す。
「無論、あのような態度はとりません。ご安心下さい。」
 頷きながら、神楽那は行政特区再設立を要請した会談の時の、スザクを思い
出していた。
『スザク・・・。貴方は今でもあのままなの?』

 神聖ブリタニア帝国首都ネオウェルズの中枢、ブリタニア宮の中のイルバル
宮の執務室でスザクは大量の書類と格闘し、会議に追われていた。
 総督であるナナリーは、総督としての責務を全うする事はできない状態なの
で、キョウト六家との自治に関する会談に向けての、草案の作成。コーネリア
軍が本土に戻った際に、代わりに駐留させる軍の編成等、スザクは多忙極まる
日々を送っていた。
「お〜い、スザク。生きてるか〜?」
「ケーキ、持ってきた・・・。」
 ジノとアーニャが、書類と格闘しスケジュールを確認しなおす、スザクの元を
訪れた。
「生きてるよ・・・。」
 少し困ったような笑顔で2人を迎え入れ、従卒に命じて紅茶を淹れさせる。

「進んでるか?仕事。」
「何とかね。とにかくやることが多すぎる・・・。」
 溜息をついて、ケーキを口に入れる。
「前例がないから、仕方ない・・・。」
 アーニャがそう言いながら、紅茶を口にする。
 事実、アーニャが言った事が、スザクが多忙な日々を送っている理由だった。
特に、自治の案の作成については文官が誰一人、当てにならなかった。
 ブリタニア人とナンバーズを厳密に区別して、統治する従来の統治方針の下
なら役には立っただろうが、今回に関してはほとんど当てにならず。会議もス
ザクが皆を引っ張っていく有様である。
「まあ、俺たちも頭痛いんだよな。直属部隊の増員に件については・・・。」
 連邦エリアの統治に関する法案の作成が御前会議を通じて行われたが、同
時にジノたちラウンズの部隊の拡張が決定された。
 これは、シュナイゼルの提案である。
 帝国の切り札たる、ラウンズの部隊は精強ではあるが数が少ない。できうる
限り拡張して、戦局に対する影響力を強めたいというのが、理由であった。
「いい人材は、見つからないか・・・。」
「そこそこの部隊はあるさ。でも、俺の部隊と連携させるには、練度が足りな
いな。」
 紅茶を飲むジノの表情が渋くなる。
 ラウンズの部隊は、現在ナイトメア1個大隊に2個機甲大隊の1個連隊であ
るが、さらにナイトメア2個大隊を加える事が決定した。
 決定後、スザク達は新たに加える部隊の選別にかかったが、直属の部隊との
練度の差が大きく、頭を痛めていた。
 加えて、スザクはさらに規模の大きい直属軍の編成も並行して進めなければ
ならず、他の仕事が重なりラウンズの中では、最も多忙を極めていた。
「エリファレットも泣いてたぜ。ウォードの生産ラインの視察もしなきゃなら
ないからな。」
 1回目の御前会議の翌日にウォードの性能評価試験が行われ、シュナイゼル
や将軍達を充分に満足させて、正式に採用されて生産が行われており、設計
者であるエリファレットは、生産ラインの視察を行い順調に生産されているかを
チェックしていた。
 さらに、ヴィンセントも採用されて、指揮機としてファクトスフィアや操縦
系が強化されたA型と、一般兵用のB型に分けられて生産が行われていた。
 キャメロットが開発した物だが、エリファレットも設計に協力していた為に、
こちらも見る必要があった為、スザク程ではないが多忙を極めていた。
「どうしたもんかね。正直参ってるよ。下手をしたら増員した部隊が全面崩壊
の切欠になりかねないしな。」
「敵の笑いものになる・・・。」
「元々、僕達が率いていた部隊は、ヴィンセントが配備されるからそれでカバ
ーするという手もあるけど、正直これは御免被りたいな。100点じゃなくても
いい。とりあえず60点の部隊を選んで、鍛えぬくしかないね。」
「それしかないね。あ、ケーキあるんだ。」
 仕事が一段落したエリファレットが、スザクの執務室に入ってきた。
「お、そっちも生きてたか。生産ラインの視察でヒーヒー言ってたのに。」
「とりあえず、生きてる。あ、スザク、行儀が悪いけどケーキ貰っていいかな?
甘いものが欲しくて。」
「どうぞ。」
 スザクの返答を聞いて、嬉しそうにケーキを口に運ぶ。
「エリファレットも忙しそうだね。生産ラインの視察があるし、部隊の増員で
も大変だろうし・・・。」
「あ、部隊のほうは人選を終えて、手続きを済ませたよ。スザク。」
「早いな。いいのが見つかったのか?」
 ジノが身を乗り出して聞いて来る。
「とりあえず、及第点の中隊を6個見繕って、今まで中隊を指揮してきた部下の
麾下において訓練させる事にしたよ。三人には、一個大隊づつ率いてもらう。こ
れなら、訓練もそれなりに進められる。」
「成る程、その手があったか。」
 ジノが感心して手を叩く。
「そういえば、スザク。Y型のヴィンセント、ギルフォード卿に提供したんだっ
て?」
 Y型は最初にロールアウトしたヴィンセントのタイプで、スザクがテストで
使用していた機体である。
 ランスロットよりスペックは劣るが、かなりピーキーな機体で以降のヴィン
セントはテストデータを基に操作性が改善されている。それでも、乗りこなす
には、相応の技量を求められる事に変わりはなかった。
「エリア13、じゃない、スリランカでの戦いで結構使いこなせていたみたい
だからね。提供したよ。元々、テスト機として生産された物だから、許可もす
んなり下りたよ。」
「なるほどね。」
「そっちはどう?生産は順調?」
 アーニャが、ウォードとヴィンセントの生産状況を尋ねる。
「順調だよ。後は、コーネリア殿下の専用機だね。こっちは別チームになるけ
ど。」
「ランスロットの改修データを基に、改良したってヴィンセントだっけか?」
 ジノが最後の一口のケーキを口にして尋ねる。
「まあ、そんなところかな。最初からコーネリア殿下が騎乗なさる事を想定し
た設計になっているから、いい機体になるよ。そう言えば、ジノ達の機体の改
修作業は終わったの?」
「もう3日もすれば終わるな。その時には部隊を再編して演習がしたいところ
だけどな。」
 ラウンズの部隊は年間の予算が与えられ、機体の改修等も許可されてい
たので、それぞれの開発チームはトリスタンやモルドレッドの回収作業を行
っていた。
「私もそんなところかな。ランスロットもコンクエスターユニットが完成して、
機体の調整も終了したんだよね。となると、スザクは日本の事での仕事に
専念できるわけだ。」
「まあね。大変だけど、頑張るよ。日本に住む人達の幸せが、かかっているか
らね。」
 多忙で近頃は屋敷にも戻らず、執務室のソファで眠る日々が続いているにも
かかわらず、スザクの表情は充実していた。

「しっかし、スザクが副総督になる事、よくベアトリスが首を縦に振ったよ
な・・・。絶対、反対すると思ってたんだけどな」
「確かに・・・。」
 ジノが首を傾げながら言って、アーニャも続く。
「最終的にお決めになられるのは、陛下だからね。まあ、意外といえば、意外
だけどね。彼女はスザクの事をあまり評価していなかったようだからね。」
「スザクは日本にとっては英雄というか、希望みたいな物だからな。そこを陛
下が重く見られたんだろう。それに、ベアトリスはスザクだけを評価していな
いわけじゃないさ。私たちだってそうだよ。」
「ノネット。来ていたのか?」
「ああ、コーネリア殿下に言われてな。たまに顔を見てくれと。」
 そう言いながら、執務室にノネットが入ってきた。

「しかし、見事な書類の山だな。明日の午後だったか。NACとの自治に関す
る会談で出発するのは。」
「うん。それに備えて、夕方には会議。ほとんど準備は終わっているけどね。」
「偶には屋敷に帰れ。ここの所、ソファで眠っているだろう。今日位、ベッド
でゆっくり眠って、疲れを癒せ。食事もサンドイッチ以外の物を食べろ。」
 ノネットは、コーネリアに頼まれてちょくちょく、スザクの様子を見ていた
が、泊り込みで業務をこなすスザクを心配していた。
「そうだね。会議の準備も終わって、今日の会議はナナリー皇女殿下もご臨席
なさる。終わったら帰るとするよ。」
「それだ。ろくに会いに行っていないそうじゃないか。寂しがっておられたぞ。」
 ノネットの言葉を聞くと、スザクが苦笑する。
「いくら陛下直属のラウンズとはいえ、皇女殿下に頻繁にお会いするわけには
行かないよ。」
 そう言って、デスクに戻り書類に目を通し始める。
「そう言えば、そろそろスペイン州に提示する、講和条約案が出来上がるよ
ね。」
「ああ、そうだったな。」
 思い出したようにジノが答えた。
「五分と五分・・・。」
 書類にサインするスザクの写真を撮りながら、アーニャが呟く。
「確かに。フランス州やドイツ州が認めるとは思えないな。もしスペイン州が
落ちれば、フランス州自体が危ないからな。兵力を増員してくるのは疑いない
だろう。」
 ノネットがそう分析する。
「問題はどれくらい増員するかだな。」
 ジノが腕を組む。
「今、増援を出せるとしたら、主力のフランス州、ドイツ州、それにポーラン
ド州を初めとする、周辺の東欧諸州。とは言え、北アフリカの我が軍20個師
団の事を考えると、そう兵力は裂けない・・・。」
 エリファレットが腕を組んで考え始める。
「最大で24〜5個師団といったところかな・・・。他の州の兵はロシア州の兵を
動員するという手もあるけど、距離的に間に合わない。スペイン州とあわせる
と、30個師団弱といった所だね。」
 エリファレットが計算した結果を出す。
「それにイギリス州の動きも、気になるな。大西洋艦隊が睨みを聞かせている
とはいえ、派兵が不可能なわけではないからな。それをあわせると35個師団。
といったところか。」
 ノネットがイギリス州が派兵した事を想定して、最大の増援の兵力を計算す
る。
「ポルトガル州に駐屯している6個師団に加えて、30個師団。欲を言えば、
40個師団は欲しいな。」
 ジノが、ブリタニア軍が増援として派遣すべき兵力を、計算する。
「できれば講和で済ませたいけど、それには1ヶ月後には軍の再編を終了させ
ないとね。とりあえず、我々が早期に部隊の再編を済ませるのが、一番圧力に
なる。ここ1ヵ月で、軍工廠のナイトメア生産ラインをフル稼働させているか
ら、後3、4日で必要な数のナイトメアはロールアウトする。それまでに人選
を終了させておいて、1ヶ月以内に訓練で集団として完成させる。こんなとこ
ろか。」
「急ぐ必要があるな。幸い我々のナイトメアの改修も終わっている。後は、機
体が届くのを待つだけか。」
 エリファレットの意見に、ノネットが賛同する。

「枢木卿。ナナリー殿下がお呼びです。アリエスの離宮までお越し下さい。」
 歳は20代後半。眼鏡をかけた女性の名を、ミスローマイヤと言う。
 ナナリーにつけられた、教育係である。
「皇女殿下が、自分に何の御用かな?ミスローマイヤ。」
「そこまでは、存じません。ただ、殿下のお言葉をお伝えに伺っただけでござ
います。」
「解った。身なりを整えてから伺おう。」
 最後の書類にサインを済ませて、従卒に身なりを整えさせて、現在ナナリー
が暮らしているアリエスの離宮へと赴いた。

「ナナリー殿下。枢木卿がお越しでございます。」
 メイド長が、スザクの来訪を知らせる。
「こちらにお通ししてください。」
 ナナリーが嬉しそうに答える。
「ナイトオブセブン、枢木スザク。お召しにより参上いたしました。皇女殿下にあ
られましては、ご機嫌麗しくおられるようで、喜ばしき事と存じます。」
 車椅子に座るナナリーに、恭しく跪き挨拶を述べる。
 今のスザクにとって、ナナリーは「幼馴染」ではなく、「皇女殿下」である。
 それを自覚しているのか、ナナリーの表情が悲しげになる。
「殿下、いかがなさいましたか?」
「いえ、何でもありません。もうお立ちになってください。」
「はっ。」
 スザクが立った後席を薦め、スザクが座る。
 メイドに紅茶とパイの用意をさせる。
「暫くの間人払いを。枢木卿と2人で話がしたいので。」
「畏まりました。」
 控えていたメイドたちを引き連れてメイド長が去り、部屋はナナリーとスザ
クの2人だけになる。
「して、今回のお召しはいかなるご用件にございますか?殿下。」
「スザクさん・・・。」
 やや俯いて、スカートの上で、掌を握り締める。
「ここには、私達しかいません。」
「存じております。それが、何か・・・?」
 ナナリーが顔を上げる。
「確かに、今の私はブリタニアの皇女です。だからといって、私自身が変わっ
たわけではありません。公の場ではともかくこのような場合は、昔のようにナ
ナリーと、名前で呼んでいただけませんか?」
 それを聞いたスザクの表情が一瞬つらそうになるが、すぐに元に戻る。
「恐れながら、申し上げます。自分は皇帝陛下に剣を捧げた臣下。殿下は、陛
下のご息女であらせられます。であるのに、そのような話し方をしては、他の
者達に示しがつきませぬ。皇女殿下はご不満でしょうか、君臣の区別をはっき
りとさせる為には、必要な事と存じます。どうか、ご承知いただけますよう。
お願い申し上げます。」
「私はスザクさんを臣下と思ったことはありません。今でも大切な人です。せ
めて私たち二人だけの時は、日本にいた頃のようにしてはいただけません
か?」
「先程申し上げましたとおり、それでは君臣の区別がつきませぬ。さらに秩序
が乱れる可能性にも繋がりましょう。どうか、自分の言葉をお聞き届けくださ
いますよう・・・。」
 跪いて、スザクがそうナナリーに言う。
「ゼロが、お兄様だったからですか?」
「ナ・・・、殿下?」
 ナナリーと呼びそうになるに気づいて、スザクはそう呼ぶまいとした。
「お兄様がゼロで。クロヴィス兄様やユフィ姉様、さらに多くの日本の人を殺
したからですか・・・。」
 そうナナリーが言った事で、1週間前スザクが失われていた記憶を取り戻し
た事を思い出していた。

「ただいま。どうしたんだい?アイナ。」
 ナナリーの世話をさせている、メイドのアイナが深刻そうな表情で、スザクを
迎え入れる。
「ナナリーお嬢様のご様子が、おかしいのです。お館さまにお知らせしようと思
いまして。」
「おかしい?病気かい。」
「いえ、そうではないようです。」
 スザクが訝しげな表情に、なる。
「解った。とにかく僕が会おう。それと、いつでも医師の手配ができるようにして
おいてくれ。」
 そう言って、スザクはナナリーの部屋に入る。
「ナナリー?どうしたんだい。」
「スザクさん・・・。お兄様はゼロだったんですか?」
「え、何を?」
 だが、その瞬間、スザクは神根島やナナリーについての記憶を取り戻した。
『そうだ。僕は・・・、あの時・・・。ゼロがルルーシュだという事を突き止めて・・・、
そして、この手で・・・。』
 脳裏にある光景が、浮かんだ。
 スザクとルルーシュ。
 互いに銃を突きつけて、引き金を引いた。
 スザクの銃弾は、ルルーシュの胸の流体サクラダイトごと心臓を打ち抜き、
ルルーシュの銃弾は、ヘッドセットを破壊しただけであった。
『だが、その時の光景を今になって、思い出したのは何故だ?』
「そうだ・・・。ルルーシュはゼロだったんだ。そして、僕が・・・、殺し
た・・・。」
 真実をナナリーに伝えた。

「殿下、それとこれとは無関係でございます。自分がこうしていますのは、貴
方様が、皇女殿下であらせられるからでございます。」
 スザクの態度は変わらなかった。
「そうですか・・・。すいません、気分が優れません。お引取りいただけませ
んか。会議には出席いたしますので・・・。」
「はっ。それでは、侍医を呼ばせておきます。失礼いたします。」
 部屋を出た、スザクは外で控えているメイド達に、侍医を呼ぶように言って
アリエスの離宮を去った。
『僕は君の大事な兄の、ルルーシュの敵なんだよ。いまさら、昔のようには戻
れない。解ってほしいんだ、ナナリー・・・。』

「わざわざご足労いただいて恐縮です。ヘルトウドウ、ヘルリード。」
「で、何の御用でしょうか?篠崎から聞いた所では、我々の力を借りたいとの
事ですが。」
 ドイツ州州都ベルリンのとあるホテルで、シャルンホルストは咲世子とディ
ートハルトを伴った藤堂と密会していた。
「わが軍の諜報部が得た情報によると、間もなくブリタニアからスペイン州に
講和条約締結の申し出があるようです。」
「存じております。もっとも講和条約とは名ばかり。実質的にはブリタニアの
属国となるだけでしょうが。」
「ヘルリード。貴方は黒の騎士団で情報収集を担当しておられましたな。ご存
知なのも当然ですな。この条約が締結されれば、我がEUの首都がおかれて
いるフランス州は正面から危機に曝され、国の存亡の関わります。さら
に・・・。」
「地中海の制空、制海権が握られている今の状況から、半包囲。しかもスペイ
ン州のときとは比べ物になりませんな。双方から直接狙われるのですから。兵
力としては・・・、60いや70個師団。ロシア州の兵を加えれば耐えうるで
しょうが。ブリタニアには切り札たるラウンズが控えている。」
 朱剣の変から、各地に亡命している日本人の黒の騎士団に対する見方が変
わり、以前よりも兵力は増員できただけでなく、情報提供者も増えていた。藤
堂は軍事力の再編に、ディートハルトは情報網の整備に取り組んでおり、咲世
子はディートハルトの副官として世界を飛び回っていた。
 ディートハルトの収集した情報を元に、スペイン州がブリタニアの同盟国にな
った後の事は、大方の想定はしていた。
「さすがに「奇跡のトウドウ」。既にお分かりでしたか。私は今の危機を乗り越
える為に、貴方達黒の騎士団の力をお借りしたい。行動に当たってのできうる
かぎりの便宜は図らせていただく。無論、戦いとならば、我らも全力で戦う。
が・・・。」
「「ブリタニアの白き死神」ナイトオブセブン、枢木スザク。ですな?」
「その通りでしてな。もし枢木が戦いに参加するようなら、どうなるか・・・。ラ
ウンズになってから、我が軍は幾度となく苦杯を舐めさせられました。一度だ
け殿を務める枢木を単騎にして、ナイトメア1個連隊で取り囲んだのですが。」
「負けましたか?」
「はい、3分とかからずに、全滅しました・・・。」
『エリア13の戦いで、成長していたのは充分解ったが、そこまでとは・・・。』
 コロンボ攻防戦で、スザクの戦いぶりを見て以前とは比べ物にならないほ
ど、成長しているのは理解していたが、その事をさらに思い知った。
「さらに、指揮官としても極めて有能です。枢木が真に恐ろしいのは、ナイト
メアのパイロットとしても超一流であるのに加えて、指揮官としても超一流で
ある事です。」
「ディートハルト。コロンボの戦いで、ラウンズたちの戦術を考えたのも彼だ
ったな?」
「ブリタニアがそう宣伝しております。間違いないでしょう。」
 ディートハルトの答えを聞いて、藤堂は考え込む。
『指揮官としても、成長していたか・・・。スザク君の名前を聞いただけで、兵た
ちの士気はそがれるだろうに、プラス指揮官としての能力か・・・。泣きっ面に蜂
だな・・・。』
「それで、なぜ我々に加勢を求められますか?現在我々の戦力は、ナイトメア
部隊でいえば2個大隊に過ぎません。お力になれるとも思えませんが?」
「今の数でいえば、確かにそうですな。ですが、それに訓練をつんだ兵が加わ
れば、如何ですかな?」
「どういう事ですかな?」
 藤堂がシャルンホルストの真意を計りかねて、相手を探るような表情になる。
「ポルトガル州の兵の内、ナイトメアのパイロットを含む300名を、貴方方
の、元に送る用意が我が国にはあります。そうなれば、さらに戦力を増強する
事は可能でしょう。」
「ポルトガル州の兵の一部が、貴国に亡命していると取ってよろしいのですか
な?」
「正確には、我がドイツ州にですな。彼らの了解は取ってあります。すぐにそ
ちらに向かわせる事も可能です。資金面でも、できる限り援助いたしましょう。」
「ふむ・・・。」
 藤堂はシャルンホルストの提案について、考えた。
 確かに魅力的ではある。
 設計コンセプトが違うとは言え、実戦経験のあるナイトメアパイロットは藤
堂も咽喉から手が出るほど欲しい。資金面の援助もありがたい。
 だが、シャルンホルストの話に乗れば、現在身を置いているインド軍区。さ
らには中華連邦も巻き込みかねない。現在国の建て直しを図っている中華連邦
としては、ブリタニアとの戦いより内政のほうを最重要視したいのは明白だ。
『ようやく、床から起き上がることができつつある病人を、戦場に駆り立てるが如
き所業が、我らに許されるだろうか?』
 さらに、ブリタニア側の戦力整備の件もある。
 世界の3分の1以上を占め、強大な軍事力を誇るブリタニアが新型ナイトメア
の生産を急ピッチで進めているのは、ディートハルトを通じて藤堂も知っていた。
 その中には、藤堂が激戦を演じたヴィンセントも含まれている。
 さらに、新型量産機としてウォードが生産されている。
 現在のブリタニア軍の主力ナイトメアのドーチェスターが、配備を完了したの
を考慮すると、精鋭部隊に配備されると藤堂は考えていた。候補の筆頭はブ
リタニアの切り札たる、ナイトオブラウンズだろう。第二はコーネリアの直属部
隊。
 皇帝直属の帝国最強の騎士に加えて、「ブリタニアの魔女」と言われるほど
の武人であるコーネリアが率いる精強な軍。
 どちらが戦力を増強しても、厄介極まりない相手だろう。
 場合によっては、EUの敗走も考えなければならない。その時、黒の騎士団
は切られかねない。つまり、シャルンホルストの申し出を受ける事は、黒の騎
士団の存亡の危機になる可能性もあり、そうでなくとも中華連邦と共にEUと
運命共同体になる可能性もある。
「シャルンホルスト閣下。私の一存では決めることができぬ事、一度皆と相談し
てから、返答をさせていただきたく存じますが、如何でしょうか?」
「無論です。」
 そして会談は終わった。

「ディートハルトすぐに戻るぞ。篠崎は引き続きEUでの情報収集を頼む。」
「わかりました。」
「藤堂中佐、何故お受けになられなかったのですか?」
 ディートハルトが不満そうに言う。
「下手をすれば切り捨てられかねない。それに我々の一存で中華連邦まで、巻
き込むわけにはいかん。」
「既に、中華連邦は覚悟を決めていると見たほうが良いでしょう。そうでなければ
我々は、動きようがありません。」
 ディートハルトの言う事にも一理ある。
「ディートハルト。マキャベリズムも結構だが、それだけでは人はついてこない。
黒の騎士団も中華連邦も人の集まりだと言う事を肝に銘じておけ。」
 そう言いながら、中華連邦行きの便で戻る最中、連邦エリアになる日本と、
副総督になるスザクの事を考えていた。
『これが、君の努力の終着点か?それとも尚、先を目指すのか?スザク君。』

「以上が、連邦エリアの自治の草案になる。誰か質問があれば、遠慮なく言っ
てもらいたい。」
 夕方の会議で、最終的な草案が発表されスザクは皆を見渡す。
 相変わらず、どう質問してよいか解らない出席者を見て、スザクは密かに溜
息をつく。
「ナナリー皇女殿下。如何でございましょうか?」
 点字でプリントアウトされた書類を読んでいたナナリーに、質問する。
「申し分ないと思います。日本の人たちにも充分にメリットもありますし、ブリタ
ニア人の市民権も与えられる事が明記され、ブリタニア人の不当な暴力を見
逃す警官に対しても厳しい処罰が下されますし、これでいきましょう。」
「恐れ入ります。」
「ですが、枢木卿。これは彼らを甘やかしすぎでは?貴方がナンバーズの出身
者とは言え、もう少し・・・。」
 先を続けようとしたミスローマイヤは、スザクの視線を感じるなり顔が青白
くなる。
「ミスローマイヤ。先の御前会議での発表を忘れているのか?連邦エリアに住
む者は、例えナンバーズであろうともブリタニア人と同等の市民権が与えられ
る。君には記憶力というものがないのか?それに確かに自分はナンバーズ出
身者だ。だが、陛下への忠誠を誓った騎士でもある。自分の忠誠には、一点の
曇りもない。君は、そんなに自分が気に食わないのか?そう思うなら、皇帝陛下
に申し上げればどうかな?ナンバーズ出身者は騎士にすべきではないとね。今
からでも行って来るといい。」
 「白き死神」の視線を向けられた、ミスローマイヤは何も喋れなかった。ナンバ
ーズへの差別意識の塊でデスクワークしか経験のない彼女と、幾多の死線を
潜り抜けてきたスザクでは、対峙しても勝敗は明らかだった。更に言えば、スザ
クの言う事は完全に正論だからでもある。
「どうした?早く行って来たらどうだ・・・。」
「け、決してそのようなつもりでは・・・。ただ、私は国是を・・・。」
「その国是を、変更なさろうとしているのは皇帝陛下。それをないがしろにす
るのか?もしそうなら、陛下への侮辱。自分としては、見過ごすわけにはいか
ない・・・。」
 スザクが剣の柄を握ると、ミスローマイヤは腰を抜かしてへたりこむ。
「枢木卿、ミスローマイヤ。ここは会議の場であって、血を流す場ではありませ
ん。枢木卿、ラウンズとしての貴方の気持ちは理解できますが、ここは剣を鎮
めていただけませんか?」
 ナナリーが毅然とした態度で、スザクにそう言った。
「申し訳ありません。つい熱くなりすぎました。」
 柄から手を放し、恭しく頭を下げながら、スザクはナナリーに詫びる。
「顔を上げてください。気持ちを鎮めてくだされば、結構です。」
 ミスローマイヤは、ほっとして気を失い医務室に運ばれた。
「では、これで会議を終了する。」
 スザクは会議を終了し、シャルルの元に報告に向かった。

「ふむ。草案は纏まったが、文官は使い物にならぬか・・・。」
「はっ。このままでは自分が、総督府を引っ張って行く事態になりかねません。
駐留軍の総司令官である自分が、政治面でも力を振るいすぎれば、軍部によ
る独裁という形になります。それはいかがかと存じます。」
「それはそれで、構わぬと思うが、まあよかろう。で、代わりの当てはあるの
か?」
 スザクが自らピックアップした、人材のリストを恭しく差し出す。
「ふむ。どれも、出自ゆえに出世を阻まれ続けた者達ばかりか。能力はあるよ
うだな。よかろう。この者達を使うが良い。今後、総督府の人事については、
ナナリーの承認があれば、好きにして良い。教育係もお前が選ぶが良い。出
自は問わぬ。」
「はっ。では、失礼いたします。」
 スザクが謁見の間を去る。

「やれやれ、苦労人だね。もっとも、今回のような変化についていけない柔軟
性ゼロの連中も、どうかと思うけどね。」
「これで、使えぬ人材のピックアップもできましたのでな。枢木には多少苦労
してもらわねば、新陳代謝も進みますまい。何しろ、地位で他人の出世を阻む
阿呆の集団と化している面が、強いですからな。」
「成る程。使えない人材を放り出す狙いもあったのか。君も存外人が悪いね。
シャルル。」
「そうですかな?我が祖よ。」
 V.V.の言葉にシャルルは苦笑する。

 一ヵ月後、総督府の人事、軍の編成も完了し、連邦エリアの設立式の日が来
た。
 奇しくも、その日はユーフェミアの誕生日でもあった。
「いろいろと、苦労は多いが励めよ。ユフィの為にもな・・・。」
「はっ。全力を尽くします。」
 本国に戻る、コーネリアを見送りに来たスザクに、そう言葉を掛けてコーネリ
アは、本国に戻っていった。
「スペイン州は、講和に応じるでしょうか?」
 ナナリーがスザクに尋ねる。
「それは解りかねます。ですが、応じてくれる事を願っています。そうすれば、
無駄な血が流れずに済みます。」
「そうですね。」

 東京では、キョウト六家も参加して連邦エリア設立式典が開催され、その模
様は全世界に中継された。

「これで、ほぼ独立となったか・・・。」
 藤堂がテレビを見ながら、呟いた。
「とは言え、ブリタニアの統治下にある事に変わりはあるまい。現状のまま日
本人が満足し続けるとは思えん。その時が、黒の騎士団の出番だと私は思っ
ているが、そう早くは来ないだろう。シャルンホルスト殿の申し出を受けてみて
はどうかな?」
 星刻が藤堂に、そう提案する。
「しかし、それでは中華連邦も巻き込まれかねないが・・・。」
「無論、その点は天子さまを交えて、我等も論議する必要がある。内政もよう
やく整い始めた。そろそろ、ブリタニアとの戦いに備えねばなるまい。既にそ
の点は、文官の間からも議論すべしと意見が出ていてな。EUと同盟を組むか
本格的に考えねばならぬ時期だ。それを踏まえて、黒の騎士団の今後を決め
ても良かろう。」
 中華連邦は、新しく採用された人材が各地で活躍し、内政は見る見る内に
立て直され、国民も穏やかに暮らせるようになってきていた。
 星刻が思ったよりも早く、ブリタニアとの戦いを考える時間ができたので、
文官からもブリタニアにどう対応するか考えるべきだという意見が出ていた。
「解った。我々も話し合いをしてみよう。」
 藤堂はそう答えた。

 一方、宰相府で中継を見ていたシュナイゼルは、ナナリーからの手紙を読ん
でいた。
『枢木君の君臣の区別をつける態度が、利用できるかもしれないとはね。』
 読み終えたシュナイゼルは、やや凄みのある笑みを浮かべていた。

「何、日本に行けだと?お前、何の冗談だ?枢木を助けるつもりか?やれやれ、
お前のお人好しは底無しだな。うん?あいつだけだと?ふむ。まあ、お前の言
う事にも一理ある。いいだろう。行くだけいってやろう。但し、枢木が受け入
れるとは限らないぞ。私は相当憎まれているだろうからな。」
 C.C.はルルーシュから日本に行くよう、言われていた。
「ああ、解ったよ。お前までそういうな。マリアンヌ。行くよ。行けばいいんだろう。」
 C.C.は溜息をつきながら、日本行きの航空チケットを買いに出かけた。

後書き
遂に連邦エリアが設立です。
その裏で、各勢力が動いていきます。
国を立て直しつつある中華連邦、復活の機会をうかがっている、黒の騎士団。
ブリタニアの侵攻に対し、対抗手段を練っている、ドイツ州のシャルンホルスト。
そして、何かを企んでいるシュナイゼル。
それぞれの思惑が世界を動かしていきます。

次回、AFTER TURN11 加速 する 流れ
思惑で、変化の流れは加速します。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは、凪です。
アップされた時間からして、小生が1番乗り?
さて、日本、いえエリア11は半開放に近い段階ですね。
歴史的に見て、無理に独立するよりも宗主国がいてくれたほうが国民の総合幸福度は高い場合がある。それを考えれば、完全独立を今すぐ!と意気込むよりは、新しい人材の成長と共に少しずつ入れ替えていく方がいいのでは、小生もこの方法が間違いとは思えません。
ただし、現実の平和より、理想を追う人がいるのも事実。それに宗主国人がやろうが、同国人がやろうが悪政は悪政ですから。
枢木卿は大変な舵取りを任されたようです。
しかも、まだまだ2段3段の仕込が物語りには見え隠れしている。
では、ご無理のない範囲での次回のアップをお待ちしております

2008/08/12 20:30
>無理に独立するよりも宗主国がいてくれたほ
うが
 独立して国がやっていけなければ、独立する
意味はありませんからね。
 完全な独立をするにしても、行政、経済、治
安等で問題が山積みならば、独立する意味があ
りませんし、したとしても未曾有の混乱に国が
叩き込まれてしまう。
 幸い、エリア11は元々、有数の経済大国で
高度な技術も持っていましたから、その他の面
で優秀な人材が育てば、仰るようにブリアニア
人との入れ替えを行い、ブリタニアが宗主国で
あっても、総督が一種の名誉職となる、現在の
カナダみたいになる可能性も出てきますから。

>枢木卿は大変な舵取りを任されたようです。
 本国には連邦エリアを廃止すべしという、貴
族もいますから、自治政府とのある意味板ばさ
みになるであろうスザクは、中間管理職みたい
なものですからね。とにかく困難だらけ、それ
にシュナイゼルの企みとスザクは無関係ではな
いですから。
 それは、話が進むにつれて明らかになってい
きます。
CIC担当
2008/08/12 23:28
いつも楽しく読ませていただいてます。
できれば、この小説ないの組織図やナイトメアに関してまとめたものをアップしてもらえたらうれしいです。次の話も楽しみにしています。
ゆう
2008/08/14 16:13
ゆうさん。
コメントが遅れまして、すいません。
>この小説ないの組織図やナイトメアに関してま
 とめたもの
 時間がかかりますが、うまくまとめてみます。
CIC担当
2008/08/17 16:13

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