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zoom RSS コードギアス二次小説 AFTER TURN06 スマイル アゲイン

<<   作成日時 : 2008/07/08 00:17   >>

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「スザクはどうしてる?」
「昨日から、ずっと部屋に篭ったままだよ・・・。」
 ジノの問いに、エリファレットが溜息交じりに答える。
「相当、堪えたみたいだな・・・。」
「当然・・・。」
 考え込みながら言うジノに、アーニャがそう言った。
「ナナリーさん、ちょっと熱を出しているわ。」
「医者には見せたのかい?クローディア。」
 エリファレットの部屋に入ってきたクローディアに、そう確認する。
「ええ、ちょっとした疲労だそうよ。今日一日、寝ていれば問題ないって。」
「そうか。」
 エリファレットが言ったきり、皆は沈黙してしまった。
 戦場でナイトメアを駆り、部隊を率いて数多の武勲を立ててきたラウンズ達
も、塞ぎこんだ少年を立ち直らせる知恵は思いつかなかった。
「行ってみようか・・・。」
「どこにだよ・・・?」
 着替えを始めたエリファレットにジノが尋ねる。
「スザクの母校、私立アッシュフォード学園だよ。生徒会のメンバーはスザク
と親しかったそうだしね。なにか、いい知恵を貸してくれるかもしれない。」
「今はそれしかないわね・・・。」
 クローディアが着替えに言った後、ジノとアーニャも部屋に着替えに行く。

『笑ってないか・・・。』
 昨日ナナリーに言われた事を鏡の前で確かめて真実だと知ったスザクは、ず
っと考え込んでいた。
『あの日から、ゼロをこの手で討って、ユフィの仇を討って汚名を雪いだ時か
ら、僕はユフィの理想を実現する為に、戦い続けてきた。戦って功績を挙げて、
いつか、この日本をスタート地点にして、ブリタニアを、世界を変える為に。』
 スザクはこの一年余りの歩みを思い出していた。
 ゼロとの直接対峙。東シナ海での中華連邦との戦い。エリア11を平定する
為の戦い。EUの重要拠点セウタの攻略戦。中東攻略戦。
 その他の数え切れないほどの戦い。

 理想を叶える為の戦い。
 少なくともスザクにとってはそうだった。
 そうだった筈だった。
『本当にそうだったのか?本当に僕はユフィの理想を叶える為に戦ってきたの
か?』
 スザクは自分自身に問いかけた。
「違うな・・・。」
 スザクはデスクの上にある、事務用の羽ペン等を見た。
 生前ユーフェミアが副総督としての職務を務める際に使っていた物で、コー
ネリアから、形見分けとして与えられた物である。
「僕は・・・、ユフィを失ったことの喪失感を埋めようとしていただけだ。何時の間
にか理想の事など忘れていた・・・。何故・・・、どうして・・・、こんな事に・・・。」
 その問いに答える者は、誰もいなかった。

「そうですか・・・、そんな事が・・・。」
 アッシュフォード学園を訪れたエリファレット達は、理事長室で昨日の事を
ミレイに話していた。
「私達は、知り合って一年足らず。まして、スザクは自分の事をほとんど話そ
うとしなかった。だから、以前のスザクの事はほとんど知らない。クルーミー
少佐達の所にも行こうと思ったが、軍人ではない時のスザクの事は貴方達の方
が、詳しいと思って今日来たわけだ。こちらには学生としての彼の姿を映した、
写真や映像が残っているだろうしね。」
「解りました。ちょっと待ってください。シャーリーとリヴァルを呼びますの
で、その上で生徒会室に来ていただきたいと思います。二人の話も参考になる
と思いますので。」
「すまないわね。面倒を掛けて。」
「お気になさらないで下さい。ガーシュイン卿。私達も、スザク君の事は心配
していましたから。」
 校内放送で、ミレイはシャーリーとリヴァルを呼んだ。

 エリファレット達、ラウンズ4人の訪問を受けたアッシュフォード学園は、
困惑して総督府に連絡を入れていた。
「何、エリファレット卿達が、アッシュフォード学園に行った?確か、枢木卿
の母校でもあったな。」
「はっ。何でも当時所属していた生徒会の会長で、アスプルンド伯爵の婚約者
の、ミスミレイ・アッシュフォードに会いに行かれたとか。」
「ふむ。とすると、枢木卿がらみか・・・。」
 指先でデスクを叩きながら、コーネリアは考え込んだ。
「ギルフォード、済まぬがお前も行って来てはくれぬか。少々、気に掛かる。」
「イエス、ユア・ハイネス。」
 こうして、4人のラウンズと現総督の専任騎士が集うという奇妙な事態とな
った。

「これが・・・、昔のスザクかよ・・・。」
 アッシュフォード学園でのスザクを映した写真やビデオを見て、今のスザク
との落差に、ジノが驚いた。
「私達の中で最初にあったのは私か・・・。東シナ海会戦の時だけど。それから
考えても信じられないな。」
 生徒会のメンバーと楽しそうに笑っているスザクの笑顔を見て、エリファレット
は腕を組む。
「これじゃ、ナナリーさんが泣くはずよ。スザクの本当の笑顔ってこうなんだ
から・・・。その事を彼女感じ取っていたのね。」
 クローディアが溜息をつく。
「全然、違う・・・。」
 アーニャが自分の携帯に記録されている、スザクの姿と比較する。
「これが、今のスザク・・・。一年前より酷いじゃないか。」
 リヴァルが、やるせない表情になる。
「もう、戻れないのかな・・・。こんなスザク君見たくないよ・・・。」
 シャーリーが椅子に座り、悲しげな表情で呟く。

「ああ、こちらでしたか。」
「ギルフォード卿、どうしたんだ?」
 生徒会室に入ってきたギルフォードに、ジノが尋ねる。
「ヴァインベルグ卿達がこちらに来たと、理事長から連絡がありまして気にな
るので来てみたのです。」
「あなたが・・・?」
「私もですが、コーネリア殿下もです。アールストレイム卿。おや、この映像
は、何かの祝いかな?主賓は枢木卿のようだが・・・。」
「それ、スザク君がユーフェミア様の騎士になった際の、パーティーの時で
す。」
 そう話すミレイの目には、昔の明るく優しい性格のスザクの姿が映っていた。
「これを見る為に、貴方方はこちらに?」
「ええ、ちょっと昨日ね・・・。」
 エリファレットが昨日の事を、ギルフォードに話す。

「そうでしたか・・・。そこまで枢木卿は変わってしまわれたのですか・・・。」
 ギルフォードが苦い表情になる。
「それは私も同意見ですよ。ギルフォード卿。ラウンズになって各地を転戦す
る度にスザクは変わってしまった・・・。」
 エリファレットも沈痛な表情になる。
「あの、スザク君にここに来てもらえるように頼んでもらえないでしょうか?
ゆっくり話し合いたいし、見てもらいたいんです。スザク君の存在がもたらし
た物を・・・。」
「ミス・アッシュフォード。何か考えがおありかな?」
「あると言うほどでもありません。けれども、このままスザク君を放って置き
たくないんです。今のスザク君はナイト・オブ・ラウンズの一人で、雲の上の
地位にいる人ですけど、私達にとっては大事な友達なんです。」
「そうだな、やる価値はあるかもしれないな・・・。どう思う?ギルフォード
卿。」
「確かにやってみる価値はあるかもしれませんな。」
「決まりだな。ちょっと電話借りるぜ。」
 ジノが滞在しているホテルに電話を掛ける。
「いない?何所に行ったんだ。ナナリーは?そうか、解った。」
 受話器を置いたジノは、深い溜息をついた。
「スザクがホテルを出て、どこかに行ったらしい。行き先は解らないそうだ。」

 私服に着替えた後、ありふれたデザインのサングラスを掛けて、スザクは一
年前トウキョウ租界でユーフェミアと回った所を歩いて、今は墓地になっている、
シンジュクゲットーの一角にいた。
『思えば、ここからいろんな事が始まったんだね。ユフィ・・・。』
 当時の光景が目に浮かぶ。
 名ばかりの墓地。荒廃したシンジュクゲットー。
 それを目にして悲しげな表情のユーフェミアとスザクは色々と話し合い、そ
の後、アッシュフォード学園に転入して、やがて、ユーフェミアの騎士となっ
た。
 その頃が、スザクにとって日本が占領された後、最も幸福な時間だった。
 自分の周囲には友人がいて、共に過ごせる時間が楽しくて愛おしかった。
 だが、今は僚友であるジノ達ラウンズと過ごす時間を楽しいとも、愛おしい
とも感じる事は無い。
 ただ、過ぎていく時間でしかなかった。
『ああ・・・、そうか・・・。楽しいとそう思えることが無いから、誰かと過ごす時間が
嬉しいと感じられないから・・・、だから・・・、僕は笑えなくなったん
だね・・・。ユフィ・・・、君がいれば僕は少しは違っていたのかな・・・。』
 そうスザクが考えていると、声を掛けてくる者がいた。

「墓地に来て笑顔でいろとは言わんが、そのような不景気な顔をする前に、花
束の一つも供えろ。」
 C.C.。
 ルルーシュにギアスを授け常に行動を共にしてきた、女性である。
 C.C.は持ってきた花束を合同慰霊碑に供えて、手を合わせた。
「どうした?この地の出身なのに、弔い方を忘れたのか?」
 そう言われて、スザクも手を合わせる。
「君は、あの時カプセルの中にいた・・・。すると、君がC.C.か!?」
 スザクの視線が鋭くなる。
「死者の眠る場所で、血を流すのか?罰当たりもいいところだな。まあいい。
ついてこい。」
「どこにだ?」
「始まりの場所・・・。」
 そう言って、歩き始めるC.C.に続いて、スザクも歩き始めた。

「ここは・・・?あの時の・・・。」
「そうだ・・・。私とお前と、そして、ルルーシュが最初に会った場所だ。」
「やはり、ゼロの正体はルルーシュだったのか・・・。」
「ほう。驚かないのだな・・・。意外だったぞ。」
 意外そうな表情で、C.C.はスザクを見る。
「ルルーシュが一人で、しかも、当時関係が悪化していた、日本に送られてき
た事を考えて、ゼロの今までの行動と当てはめれば、僕には自然と見当がつい
たよ。」
『こいつ。ナナリーの記憶が無い・・・?ギアスか?いや、特区での時から、こい
つにギアスは通用しない。まさか、あいつか・・・?』
 C.C.の頭に、一人の少年の事が思い浮かんだ。

「ふうん。C.C.が枢木スザクに接触したか・・・。」
 皇帝の部屋の一つで、C.C.の頭に浮かんだ少年、V.V.は、シャルル
とチェスをしていた。
「ほう。ルルーシュから、枢木に鞍替えするつもりですかな?」
「さあ、それはどうだろうね。彼が拒否する可能性も充分にあるしね。ところ
で放っておいていいのかい?」
 ナイトでポーンを取って、V.V.はシャルルに尋ねる。
「問題ありますまい。さらに、貴方が消し去った記憶を取り戻したとしても、
計画に差し支えはありませんからな。むしろ・・・。」
 シャルルもナイトでポーンを取って、話を続ける。
「その方が却って都合が良いやも知れません。」
「成る程、彼の裏切りを阻止する口実にするつもりかい?それでナナリーと枢
木スザクの仲が深まり、さらに功績を立てれば2人の結婚の口実にできる。そ
うなれば、あの性格だ。君を裏切る可能性もずっと低くなるからね。」
『でもね。シャルル。いつも君の思惑通りにいくとは、限らないよ。』
 そう考えながら、チェス盤を見て次の一手を考える。

「お前が、ギアスをルルーシュに与えたのか!」
「そうだ。」
「何故だ!?」
「ルルーシュが欲したからだ。ブリタニアを崩壊させる為に、ある目的の為に
な。」
「ある目的?」
「じきに解る時も、来るだろう。ただ一つだけ言えることがある。ルルーシュはそ
の目的の為に修羅の道を選び、お前と敵対する事も覚悟していた。お前に負け
はしたがな。それにしても、お前はどうだ?お前の目的はそんな情けない顔をし
て、果たせる物でもないし、ただの戦闘マシーンのままでも無理だぞ。
少なくとも今のままでは果たす事など夢のまた夢だ。感情を捨て去った人間に、
人はついてこない。昔のお前に戻る事は無理でも、人並みに笑えるようになれ。
私が言いたいのはそれだけだ。後はお前が考えて決めろ。」
 スザクは俯いて考え込んでいた。
「では、私は行くぞ。いずれ会うこともあるかもしれないな。ルルーシュがう
るさく言ってくればな。」
「ルルーシュが!?」
「そうだ。そうでもなければ、こんなお節介はしない。ではな。」
 そう言って、C.C.はその場を去った。

「とりあえずこれでいいか?ルルーシュ。しかし、お前もとんだお人好しだな。
自分を殺した相手をどうすれば信じられる?私だったら、もう信じる事を捨て
去るぞ。とにかく私なりにやる事はやった。あとはあいつ次第だ。ナナリーを
守るも、ナナリーが望む世界を作るも。な。」
 苦笑しながら、C.C.は死んだルルーシュと話をしていた。
「まあ、いずれにしてもまた会う事もあるだろうよ。何しろ、私は黒の騎士団
を追われた身。何所に行くあてもなく、彷徨い続ける身だからな。」
 あてもないまま、歩いていった。

「おー、スザク。こんな所のいたのか。探したぞ。」
「あ・・・、ジノ。どうしたんだい?」
 シンジュクゲットーから歩いて、トウキョウ租界に入ったところで、スザクはジノ
と出遭った。
「どうしたんだじゃないぞ。ホテルからいなくなって、皆で探してたんだぜ。まあ、
いい。ちょっと来い、アッシュフォード学園に行くぞ。生徒会長がお前を呼んでい
る。」
「え、会長が僕を・・・?」
 訳が分からず、スザクはジノにアッシュフォード学園に連れて行かれた。

「あ、来たわね。ごめんなさいね。急に来て貰ったりして。」
「いえ、で、何か?」
「ついて来て。あなたに見てもらいたいの。今のアッシュフォード学園を。」
 そう行って、スザクを学園のあちこちに連れて行き始めた。

「ほう、学園の案内をしていると?」
「はっ。ミスアッシュフォードの発案です。枢木卿がこの学園にもたらした変化を
見てもらいたいと。」
 ギルフォードは一旦、コーネリアに連絡を入れていた。
「そうか。見終わったら、政庁の屋上の庭園に来るように伝えておいてくれ。」
「はっ。殿下、その後、枢木卿と話をさせていただいてよろしいでしょうか?」
「それは構わぬが、どうした?」
「私も話したい事がありますので・・・。」

「どう、驚いたでしょう?」
「はい。思ったより多いんですね。名誉ブリタニア人の生徒。仲も結構良さそ
うですね。」
 ミレイが見せたのは、今のアッシュフォード学園のありのままの姿だった。
 良くなったところも、問題点もみな見せた。
「まだまだ問題もあるけど、少しずつ解決していっているわ。シャーリーやリ
ヴァルだけじゃない、他の皆もいろいろ協力してくれているしね。何でか解
る?」
「いえ・・・、会長が陣頭指揮をとっておられるとか?」
「違うわ。去年、あなたが転入してきたからよ。そして、新しい統治政策の発
案に頑張ってくれたからこそよ。あなたが来た頃は、いろいろ大変だったけど、
でも、日が経つにつれて、みんなあなたを友人として受け入れて行ったでしょ
う。国是はたしかにあるけど、せめて学校の中ではそういうのを抜きにしよう
って、考える生徒が増えてきたの。」
「そうだったんですか・・・。」
 そう言いながら、スザクは少し前までは見せなかった柔らかい微笑を浮かべ
ていた。
「やろうと思えばできるじゃない。今みたいな笑顔が、本当のスザク君の笑顔
よ。」
「そうですね・・・。」
『頑なすぎたかな・・・。ただただ上を見てばかりで、僕は周りを見ていなかった
んだね。周囲の事を見失って、そして、自分が何をしているか、どんな顔をし
ているか、それも解らないままでいた。過ぎていく時間に楽しさや嬉しさを感
じなくなって、何時の間にか僕は笑顔になる事を忘れていた。何かをなす事は
大事だけど、本当に大事なのは、何の為に何をするか。ユフィは皆の笑顔が見
たいから、頑張っていた。本当に僕がユフィの想いを引き継いで実現しようと
するなら、もっと周りを見ていなければ、ならなかったんだね。でないと、本
当にやらなければいけないことが解らないまま、見当違いの事をしてしまうか
もしれないんだから。そうだよね?ユフィ。』
「会長。」
「何?」
「僕はもう少し、エリア11にいます。また、ここに来てもいいですか?」
「勿論よ。いつでもいらっしゃい。」
 優しく笑いながら、ミレイはそう答える。

「じゃあ、また遊びに来るのか?」
 何時の間にか、生徒会室に戻っていたリヴァルが尋ねる。
「リヴァル。うん、いろいろ軍の仕事があるかもしれないから、来れるかどうかは
解らないけど。時間があったら来るよ。」
「そう来なくっちゃな。今のお前、昔みたいに冷徹な顔してないぜ。やっぱ、スザ
クはこうでなくちゃな。」
 リヴァルが嬉しそうに、スザクの肩をたたく。
「あれ、何か楽しそうね。」
「シャーリー、お疲れ様。」
「スザク君・・・。そうよ!そういう風に笑っているのが、私達の知っているスザク
君よ!」
 シャーリーがスザクの手を握って、笑顔になる。
「枢木卿、申し訳ありませんが、コーネリア殿下がお呼びです。政庁の屋上の
庭園に来るようにと。」
「解りました、ギルフォード卿。ごめん、行かなくちゃ。」
「仕方ないわね。その代わり、必ず一回は来るのよ。」
「解りました。会長。」

「お召しにより、参上いたしました。」
「そう硬くなるな。別に、軍事のことではない。あくまで私事の事だからな。
立つがよい。」
「はっ。」
 立ち上がったスザクの表情を見て、コーネリアの眉が軽く上がる。
「何かあったか?表情が隋分と柔らかくなっているぞ。」
「いろいろと、考えさせられましたので。そのせいでありましょう。」
 それを聞くと、コーネリアが小さく笑う。
「そうか。エリア11を見ての感想はどうだ。私なりに色々と努力してみた。
感想を聞きたい。」
「今の統治方針を継続すれば、この地は誰もが穏やかに暮らせる地と、なりま
しょう。」
「その切欠となったのは、貴公とユフィだ。前にも話したが、いろいろと考え
させられたよ。自分の思考がどれだけ硬直していたかもな。国是は確かにある。
だが、国是を守りつつも、ナンバーズの権限を拡大する事は可能だ。その事に
私はもっと早くに気づくべきだった。それに誰よりも早く気づいていたのは、ユフ
ィだった。その事を日が経つにつれ思い知る。だが時計の針を戻しても、過去に
は帰れぬ。だから、私はユフィならどうしていただろうと考えて、政策を実行す
る。それが、ユフィへの手向けになると、考えているのでな。」
 そして、スザクの顔を見る。
「東シナ海会戦が終了した後の、私の命、忘れてはおらぬな?」
「はっ、一日たりとも・・・。」
 それを聞くと、コーネリアの表情が柔らくなる。
「ならばよい。生きろよ。貴公の栄達が、今後のナンバーズ統治政策に大きく
影響する。貴公が武勲を立てれば、それだけナンバーズを見直す機会にも繋が
ろう。そうすれば、ユフィも喜ぶ。死んではならんぞ。よいな。」
「イエス、ユア・ハイネス。」
 コーネリアが満足そうに、頷く。
「しばらく、ここにいてくれ。もう一人、話がしたいものがおるのでな。」
 そう言って、コーネリアは執務室に戻った。

「ギルフォード卿、貴方でしたか。」
「ええ、少し話したい事がありましたので。それと、しばらく昔に戻ってもよいでし
ょうか?かつてエリア11にいた頃に。」
「構いませんが・・・。どうなさったのですか?」
 スザクの了承を得ると、ギルフォードが話し始めた。
「貴公は今は、ナイト・オブ・ラウンズ。切欠となったのはセウタ攻略戦だが、
正直に言えば、私はこの地を離れるのは反対だったんだ。あのままの性格で、
エリア11を離れるのはどうかと思っていてな。」
「そうでしたか。」
「まあ、その点に関してはどうにかなったようだから、安心しているがな。だ
が、貴公が面倒を見ている少女を泣かせてしまったのは、感心できんな。後で
ちゃんと謝っておけ。」
「そうですね。ナナリーにはきちんと謝るつもりです。」
「ならば、いい。願わくば、貴公がそのままの性格でいる事を祈っているよ。
その方がユーフェミア様もお喜びになる。例え亡くなられても、貴公はユーフ
ェミア様の騎士だった。それは事実だ。陛下直属のラウンズとなったとはいえ、
ユーフェミア様が悲しまれるような事はするべきではないぞ。私もコーネリア
様が亡くなられたら貴公のようになる可能性もあるから、偉そうな事は言えな
いがな。まあ、先輩としての助言だ。覚えておいてくれ。」
「はい。」
 ギルフォードは微笑して頷いた後、背筋を正す。
「それでは、失礼いたします。」
 敬礼して、ギルフォードは立ち去ろうとする。
「ギルフォード卿。」
「はっ。」
「自分やコーネリア総督といる時は、昔のようになさって結構ですよ。貴方の
階級は少将。ラウンズは一階級上として扱われるとは言え、階級は自分も少将
なのですから。」
「そうさせてもらおう。但し、公務の時にはそうはいかない。それは理解して
くれ。」
「ええ、解っていますよ。」
 頷いて、ギルフォードは去り、スザクはホテルに戻った。

「スザクさん。昨日はすいませんでした。でも・・・。」
「いいんだよ。ナナリー。僕の方こそごめん。」
 すっかりよくなっていた、ナナリーの部屋にスザクは真っ先に行った。
「そうそう、女の子を泣かせる奴は、地獄行きだぜ。スザク。」
「ジノ。それなら、君だって人の事言えないだろう。」
「あ、そうなのか?でもさあ、地位目当ての貴族の令嬢なんて、付き合う気に
もなれないんだよな。明日は、ナンパでもしてくるか。」
 それを聞いてスザクは、やれやれといった表情で苦笑する。
 その時、ナナリーが嬉しそうな表情をする。
「どうしたの?ナナリーさん。」
 クローディアが尋ねる。
「スザクさん、やっと笑ってくれた。心から笑ってくれた。」
 そう言って、スザクの手を取る。
「暖かい・・・。スザクさんが笑顔になった時、本当に暖かい。」
「よかったね。ナナリーさん。スザク、もう泣かせたりしては駄目だよ。」
「解ってるよ。」
 エリファレットの言葉にスザクは笑顔で答える。

 しかし、和やかな時間が流れていても、歴史の流れは加速していた。
 それが、後の世に「朱剣の変」と呼ばれる事件である。

後書き
ナナリーに指摘されて、自分が別人のようになった事に気づいたスザクの話で
す。
人間は自分を客観的に見るのは、酷く難しいと思うんですよね。
他人から指摘された事を、自分では全く認識できない事もありますから。
スザクが以前のように戻るには、今の自分がどのように変わってしまったかを
知る事も大事ですが、何より周囲を見渡す事が大事と感じました。
今のようなスザクでいる事を望んでいる人間は、誰もいませんから。
そして、ユフィの理想を受け継ぎ実現するには、周囲の人間の事を考える事が
大事である事を、再認識する必要があると考えて、その切欠を与える人物とし
てナナリーのほかに、死んだルルーシュの考えを伝えるメッセンジャーとして、
C.C.を登場させました。
彼女は以後、話に深く関わってきます。
ご期待下さい。

次回 AFTER TURN07 朱剣 の 変
中華連邦のお話になります。

目次へ戻る。

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内 容 ニックネーム/日時
こんばんわ^^。長らく休んでおりましたが、ようやく復帰の目処が立ちました。

はわぁ〜、ようやく少しづつスザクの心の闇が祓われて来ましたね。それにC.C.が絡んでくるなんて、何で出てこないんだろうって思ってたんですが、ここで使いますか!!。

皇帝とV.V.も何かまだ悪巧みをしてる感じですし、黒の騎士団の動向も気になるなぁ。てか、C.C.は騎士団じゃないんですね。

これからどう話にこれらかからんで来るのか楽しみにしています。

今週のギアスは、
オレンジ味方 \(^o^)/ワッショイ
シャーリー死亡 |||orz|||
で、天から奈落へと叩き落とされました(涙)。
sora
URL
2008/07/08 20:43
soraさん。
遅くなりました。

>ここで使いますか!!
 この二次小説の設定では、C.C.が黒の騎士
団にいるのは難しいと考えて、どうしようかと考
えて、このような形になりました。
 C.C.はルルーシュにかなえてもらう願いを
諦めたわけではありませんので、そこが話しに絡
むポイントになっていきます。
CIC担当
2008/07/12 01:30

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