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zoom RSS コードギアス二次小説 AFTER TURN08 世界 の 流れ

<<   作成日時 : 2008/07/28 01:31   >>

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「第12ナイトメア大隊、壊滅。ロボス中佐、戦死!!」
「第2機甲連隊、上空からの攻撃になす術がありません!!」
「対空レーダーは復旧せんのか!?」
「対空レーダーに異常はありませんが、上空にいると思われるナイトメアだけ
は、捕捉することができません!」
EUを構成するポルトガル州の戦場では、EU軍が上空にいるナイトメアを
何故か捕捉する事ができず、劣勢に立たされていた。
「おおまかでいい。敵が攻撃を加えた時の状況から、位置を何としても割り出
せ!!レイピアW発射用意!!」
 レイピアWはEUが新たに開発した対空ミサイルの一つで、徹甲弾にロケッ
トエンジンがついたような構造になっている。通常ミサイルは弾頭に詰められ
ている炸薬の威力で目標を破壊するが、このミサイルは弾頭の重量と速度から
生まれる運動エネルギーで目標を破壊するタイプである。
 また誘導装置を搭載しておらず、ジャミングによる影響を及ぼされる事がな
いため、このようなケースには有効といえる。
 だが、今回はそうはならなかった。

「ベルリオーズ卿、敵のミサイルがそちらに向かっています。おそらく、例の新
型ミサイルかと。」
「問題ありません。作戦を続行してください。」
 上空にいるナイトメア、NOC−01ユーウェイン。
 長い金髪を一房に編んだ女性騎士。ナイトオブイレブン、アンジェリーヌ・
ベルリオーズは、接近してくるミサイルに関して機体が収集したデータを見て
いた。
「そのミサイルでは、このユーウェインは堕とせません。」
 ミサイルは胸部に装備されたブレイズ・ルミナスによって防がれ、機体には
傷一つつかなかった。
 コックピットにいるアンジェリーヌは、戦術パネルを見ながら次の目標を定
めていた。
 表示されている情報は、他のラウンズの機体の戦術パネルが表示する情報よ
りも、遥かに精密であった。
 ユーウェインの特徴は、ガウェインのドルイドシステムをベースにした高度
な電子戦能力にある。
 搭載された高精度情報収集システムの性能は、ブリタニア軍の最新鋭のAW
ACSを凌ぎ、ECMシステムはほぼ全てのレーダーや誘導装置を無力化する。
ラウンズ用のナイトメアには珍しく、指揮官専用機としての性格を持ち合わせ
ていた。
 そして、その能力を生かしたアウトレンジ攻撃こそ、この機体の真骨頂であ
る。
「敵の主力は、地上の味方で充分。そろそろ、司令部を叩きましょうか。」
 背部に装備されている、長射程ハドロンランチャーを展開し、照準を定め始め
る。
 モニターにロックオンと表示され、トリガーを引いた。
 次の瞬間、司令部はハドロンランチャーから放たれた光の矢に、飲み込まれ
壊滅した。
 司令部が壊滅したEU軍は、組織立った抵抗が不可能になり、やがて降伏し
た。

「ポルトガル州の戦闘は終結いたしました。こちらが提示した条約の締結にも、
応じるそうです。」
 副官のカノンが、シュナイゼルに報告していた。
「ふむ、ベルリオーズ嬢はなかなかよくやってくれているね。貴族のご令嬢と
は思えないよ。」
 報告を聞きながらシュナイゼルは、満足そうにコーヒーの香りを楽しんでい
た。
「それなら、コーネリア殿下はどうなりますか?貴族の家柄に生まれたといっ
て、皆が深窓の令嬢でいるとは限りませんわよ。」
 苦笑しながら、カノンが言った。
「そうだね。これでスペイン州を、北アフリカに展開している戦力と共に、反
包囲する体制ができた。スペイン州との条約案の作成に取りかかるとしよう。」
「ですが、向こうが拒絶してくる可能性もありますが?」
「その時は、叩かせてもらうだけだよ。」
 そこに、ある報告がもたらされる。
 それは星刻達によって大宦官が粛清され、人事が一新された報告であった。

「おい、スザク。ニュース、ニュース。ビッグニュース!!
「どうしたんだい。リヴァル?会長の婚約が解消されたとかかい?」
 アッシュフォード学園に遊びに来ていたスザクが、笑いながら尋ねた。
「いや、そうだったら嬉しいけど、とにかく凄いって!」
 リヴァルがパソコンのTVをニュースチャンネルに変える。
 ニュースとは、星刻達の事だった。
「な、凄いだろ!!いきなりだからな。」
『黎星刻、あの時のパイロットだったと考えるのが妥当か。それにしても手際
があまりにも良過ぎる。やはり、事前に準備をしていたか。』
 エリア13で考えた予想が正しかった事を確信して、スザクは考え込んでい
た。
「スザク君、そういう顔してるって事は、ひょっとして予想してたの?」
 シャーリーが、スザクの顔を覗きこんでくる。
「うん。大宦官の専横ぶりの酷さは、有名だったからね。ある程度予想はして
いたんだ。ただこんなに早い時期に、しかもここまで周到に準備しているとは
思わなかったからね。」
 スザクがすこし苦い表情で、答える。
『もう、大丈夫みたいね。スザク君。』
 以前のような冷徹な表情をしていないスザクを見て、ミレイは安心していた。
その時、ミレイの携帯に電話がかかってきた。
「もしもし。あ、アスプルンド伯爵。お元気ですか?え、スザク君ですか?い
ます。はい、変わります。スザク君、アスプルンド伯爵からよ。」
 ミレイが携帯を手渡す。
「もしもし、スザクです。」
「あ、スザク君。ニュース見た、中華連邦の件。」
「今、見ました。」
「それでね、急遽本国に戻るよう命令が来ているんだ。コーネリア殿下も行く
事になっているから、護衛をしながら本国に戻る事になるね。じゃ、急いで帰
ってきてね。」
 そう言って、ロイドは電話を切った。
「本国に戻るのか?スザク。」
「うん。急遽ね。それだけ、本国も重く見てるって事だろうね。」
「残念だけど。仕方ないわね。スザク君、皇帝陛下直属だし、事と次第によっ
てはかなり忙しくなるかもしれないんだから。ただ、偶には連絡ぐらいよこし
なさい。」
「はい、必ず。じゃ、急ぎますから。」
 そして、スザクは本国への帰途に着いた。

「シュナイゼル。そなたの計画は失敗したようだな。」
「はっ。」
 朱剣の変が起きた事で、天子と第一皇子オデュッセウスの婚姻によって、中
華連邦を属国化する計画は失敗に終わり、シュナイゼルはシャルルに謁見の
間へ呼び出された。
「枢木はこの事を予測しておったが、そなたはこれに関してほとんど備えをし
ておらなかった。理由を聞かせよ。」
「大宦官たちに総領事館を通じて警告をしておきましたが、向こうは重く受け
止めなかったようです。保身欲の塊ゆえ、敏感に反応すると思いましたが、私
の予想が外れました。面目次第もございません。」
 シュナイゼルは、深々と頭を下げる。
「まあよい。いつもこちらの思惑通りに事が進めば、苦労はないゆえな。それ
で中華連邦との間にも戦端を開くか?内政に専念したい時期に仕掛ければ、
有利に戦局を運ぶ事も可能だが。」
「いえ、そのつもりはございません。枢木卿の予想が正しければ、エリア13
に侵攻した中華連邦軍には、此度のクーデターの首謀者、黎星刻がいたこと
は確か。そして、この時期にクーデターが成功した事を考えると、地方の軍に
根回しをするのと同時に、既に侵攻された場合への備えもさせておりましょう。
今、攻めるのは得策とは思えませぬ。EUに城下の盟を誓わせ、増大した国
力を背景にして、交渉に臨むがよいと存じます。」
「そなたらしいな。しかし、交渉に応じぬ場合はどうする?」
 跪くシュナイゼルを、シャルルは見下ろす。
「その時は叩くしかないかと・・・。」
「いずれにしろ、今の我が国の当面の敵はEUだ。今回の失敗をEUとの戦い
で、取り返せ。下がってよい。」
「はっ。」
 シュナイゼルが、謁見の間を去っていく。

「シュナイゼル殿下。」
 謁見の間から出てきたシュナイゼルに、カノンが駆け寄ってくる。
「心配を掛けたね。おとがめはとりあえずなかったよ。その代わり、EUとの
戦いにさらに力を入れなければならないけどね。」
「我が国の当面の敵はEUですから、当然でしょうね。スペイン州との条約案
の作成を急がせようと思いますが。」
「ああ、頼むよ。ある程度の概要で構わない。明後日のイルバル宮での御前会
議に出せるようにしておいてくれ。」
「では、そのようにしておきます。」
「頼むよ。カノン。その後に、例の件で話がしたいから執務室に来てくれ。それ
と、枢木君が帰ったら私のところに来るように伝えてくれ。」
 一礼して、カノンが立ち去った後、シュナイゼルは執務室に向かう。

「久しぶりの本国だよなあ〜。」
 ネオウェルズの軍用空港でジノが、背筋を伸ばす。
「ジノ。明日には会議なんだから気を引き締めないと。」
「解ったよ。スザク。たく、笑顔になれるようになったついでに、その真面目
すぎる性格も何とかなればよかったのにな。」
「それはそれ。これはこれ。」
 笑いながら、ヴァレーリアと一緒に専用のリムジンに乗り込む。
「やれやれ、兄弟みたいだね。」
 スザクとジノを見て、エリファレットはそう評した。
「でも、いいじゃない。ちょっと前までのスザクなら、ああいう風には笑わな
かったもの。今のスザクの方がずっといいわ。」
「まあ、そうだけどね。」
 クローディアの言葉にそう答えた。
 アーニャは、スザクとジノのやり取りをカメラで撮り、ブログの更新をして
いた。

「ただいま。ユフィ。」
 スザクは、ユフィの墓を訪れていた。
「エリア11は随分変わっていたよ。コーネリア殿下が、君が頭に描いていた
と思った政策を、実行してくれていたんだ。僕が通っていたアッシュフォード
学園に、名誉ブリタニア人も結構入学していてね。」
 スザクはいろいろとエリア11の事を、ユフィの墓の前で話した。
「じゃあ、行くね。」
 スザクは皇族の墓地を去って、イルバル宮の自分の執務室に戻ろうとすると、
侍従の一人が駆け寄ってくる。
「枢木卿。皇帝陛下がお呼びです。「あの場所で待っている。」そう仰っていま
した。」
「解った。」
 スザクは、「あの場所。」に向かった。

 一方、中華連邦では国内政治では范質が、軍事面では星刻が中心となって
建て直しをしている真っ最中だった。
「これほど、蓄財をしていたのか・・・。」
 汚職に関わり逮捕された軍人から没収した不正な蓄財の総額を見て、星刻
は眉をしかめた。
 逮捕者のリストは、星刻が築き上げてきたコネクションから持たされた情報
を元に既に作成されており、逮捕まで思いの他スピーディーに進んだものの、
不正蓄財の総額は星刻の予想を遥かに超えていた。
「はっ。正直私も驚きました。軍までここまで腐敗していたとは・・・。」
 香凛も総額の計算が終わった時には、あきれ返っていた。
 星刻は禁軍の総司令官たる折衝将軍の為、このような事をする必要は本来な
いが、軍の高官、特に洛陽にいた高官が多数、汚職に手を染め逮捕された為、
後任の人物が着任するまでの間、軍の再建や綱紀粛正を行っていた。
「星刻、どうじゃな?軍の再建計画は。」
「これは張宰相。わざわざおいでになられたのですか。
 星刻がデスクから離れ、出迎える。
「硬くならんでいいよ。ちょっと様子を見に来ただけでな。」
「はっ。汚職に手を染めていた者は捕縛いたしましたが、不正な蓄財の総額
が、あまりに多く、正直呆れていたところです。」
 星刻が書類を范質に手渡す。
「なるほど、これは凄い・・・。もっともこちらも似たようなものじゃがな。」
 大宦官を初めとする宦官達や、その他の文官の汚職も、軍に負けず劣らず
で、閉口した范質は気分転換に星刻の顔を見に来ていた。
 来客用のテーブルに座った星刻と范質の為に、香凛が茶を運ばせた。
「よくもまあ、ここまで汚職に手を染めたものじゃよ。どうすれば、ここまで
本分を忘れられるのやら・・・。没収した財産で民の救済がかなり進むほどじ
ゃからな・・・。もっとも、本来は国の為、民の為に使われるべき金じゃから、当
然と言えば当然じゃがな・・・。」
 溜息混じりに言って、茶を一口飲む。

「ところで折衝将軍としては、どちらに重きをおくと考えておるかな?」
「今は、疲弊した民を救う事に重点を置くべきでございましょう。国を支える
民が疲弊していては、国を守る事は叶いますまい。民あってこその国。幸い、
ドウ・シーは思った以上に生産されております。ガン・ルゥも使いようによっ
ては、まだ戦力となりましょう。」
「確かに、今は民を救う事が第一じゃが、ブリタニアの方はどうする?大宦官
との密約が反故になったからには、怒り狂って攻めてくる可能性も、否定でき
まい?」
「ブリタニアの当面の敵はEU。我が国との戦端を開けば二正面作戦を強いら
れます。宰相であるシュナイゼルは、優れた人物。そのような事はしないと考
えます。おそらくEUを完全に屈服させた上で、増大した国力を背景にして交
渉を呼びかけてくるでしょう。ですが、EUとて簡単に攻め落とされはしない
でしょう。既にポルトガル州がブリタニアとの講和条約に調印し、同盟国とい
う名目の属国に成り下がった今は、国家存亡の危機。首都のパリがあるフラ
ンス州を守る陸の城壁のスペイン州を守る為に、全力を挙げるでしょう。シュナ
イゼルもそこは考慮しているはず。暫くは攻撃をせずに、外交によってスペイ
ン州を取り込む事を試みるでありましょう。EUもそう見ており、その間に、例の
ベル計画で戦力を整備すると私は見ております。諜報部からの報告によりま
すと、この一ヶ月の間、不眠不休の努力で実戦配備する機体の開発に成功し
たようです。さすがに、どのような機体かは掴んでおりませんが。」
「ブリタニアもその事は知っておるかな?」
「おそらくは。」
「その件も、明日の会議で議論しよう。場合によってはシベリアの件は譲歩し
て問題を片付けて、同盟も考える必要があるかもしれんからな。」
 范質は星刻の執務室を去った。

「星刻様、EUは持ちこたえられるでしょうか?」
 香凛が危惧を抱き、星刻に尋ねた。
「しばらくは、持ちこたえられるだろう。シュナイゼルは武力を行使するより、
外交交渉を先に仕掛ける。根はやはり政治家だからな。彼にとって戦争はあく
まで政治手段の一つでしかない。その性格が、自然とEUに貴重な時間を提供
する事にもなる。もっとも、ブリタニアも戦力を整えるだろうがな。それに背
後には切り札たるラウンズが控えている。だが、それが却ってEUの兵士を死
兵にさせる。そうなれば、ブリタニアも苦戦を強いられるのは必至だ。」
「確かに。」
 兵法においても、国家間との戦争は城攻めと並んで下策とされている。
 攻める側は長い遠征の末、戻るところのなくなる可能性で死兵となった敵軍
と戦って大損害を被る可能性があるからだ。
 その点で言えば、星刻の言っている事は正しい。アフリカを奪われた挙句に、
欧州本土の一部を落とされたEUの危機感はかなりの物だろう。スペイン州に
攻め込むとなれば、死兵となったEU軍相手にかなりの犠牲を強いられる可能
性は確かに高いだろう。
「いずれにせよ。明日の会議で、我が国の今後の方針を決めてからだ。これか
らどう動くかはな。」
 星刻はデスクに戻って、軍の建て直しに関する書類に目を通し始めた。

「お召しにより、枢木スザク参上いたしました。」
 アーカーシャの剣。
 皇帝シャルルと直属の侍従以外には、スザクしか知らぬ場所である。
 シャルルは、しばしばこの場所にスザクを呼び寄せていた。
「うむ。エリア13での事、ご苦労であったな。」
「もったいなきお言葉にございます。」
「相変わらずよな。立つがよい。」
「はっ。」
 シャルルの言葉を聞いて、跪いていたスザクは立つ。
「中華連邦の件、聞いておるな?お前の予想が、物の見事に当たりおった。」
「はっ。」
「もっとも、シュナイゼルはお前の予想を生かすことができずに、自ら考案し
た和平案を潰される結果になったがな。これから、中華連邦に対してどう出れ
ばよいと思う?」
 振り返って、スザクの方を見る。
「恐れながら、陛下。その件に関しては明日のイルバル宮での御前会議にて、
話し合われる予定のはず。何故、自分にお尋ねになられるのですか?」
「事前にお前の考えを聞いてみたくなってな。それで来るよう命じたのだ。遠
慮はいらぬ。思うところを申すがよい。」
 シャルルの言葉を聞いて、スザクは改めて姿勢を正す。
「それでは、陛下のお許しを得て申し上げます。当面はEUとの戦いに全力を
注ぐがよいと考えます。二正面作戦。しかも、広大な国土を持つ中華連邦を相
手にするとなると、こちらも相当の兵力が必要となりましょう。莫大な戦費は、
国庫に多大な負担を強いる結果となります。当面はEUとの戦いに専念するが
よいかと。」
「なるほど。だが、EUを相手にしている間に、中華連邦が戦力を整えはせぬ
か?」
「暫く時間がかかりましょう。大宦官の専横が原因で、中華連邦の国民は貧困
に喘いでおります。そのような状態で、戦争を起こせば国が耐えられません。
まずは、国を立て直す事を最優先にすると考えます。エリア13で使用された
ナイトメア、ドウ・シーという名だそうですが、性能的にはドーチェスターに
劣ります。しかも、ガン・ルゥに代わって配備するとしても、両機の性格の違
いから機種転換訓練を経ても、対ナイトメア戦における熟練度も我が国が勝り
ます。総合的に戦力の優劣の差は縮まる事があっても、無くなる事はございま
すまい。事前の戦略さえしっかりしていれば、勝利するのは我がブリタニアで
ございます。とは言え、侮ってよい相手ではありません。最も望ましい形は、
EU諸州を得た上で増大した国力を示して、相手の戦意を挫き戦わずして勝つ
事でございましょう。」
 スザクの意見を聞いたシャルルは、静かに頷いた。
「お前の意見よく解った。戦うにしても、考えなしにただ攻め立てれば、手痛
い目に遭うのも確かだな。確かに戦わずして勝つ事が叶えば、労少なくして、
大きい獲物を獲ることも可能であろう。何はともあれ、EUが最優先事項か。」
「御意にございます。それから一つ、陛下にご報告申し上げたき議が。」
「何だ?」
「ある人物のエリア11において接触しました。名前はC.C.。昨年の黒の
騎士団の反乱に深く関わっていた人物にございます。」
「ほう。接触はしたが、捕らえはしなかったか?」
「申し訳ございません。」
 スザクが深々と一礼する。
「よい。手配はされていない以上、現段階では捕縛の対象とは言えぬ。」
 「気にするな。」と言わんばかりの口調でシャルルが言った。
「次に接触した時はいかがなさいますか?陛下。」
「そうだな・・・。とりあえずお前の傍においておくがよい。必要とあらば、軍籍
を与え、お前の部下にしても構わぬ。」
「陛下?」
 驚いたように、スザクがシャルルを見る。
「黒の騎士団と関わりがあるのなら、近くに置いたほうが監視にもよかろう。
そういう意味だ。」
「では、そのようにいたします。」
「とりあえず、それで様子を見るがよい。下がってよいぞ。」
「はっ。失礼いたします。」
 恭しく一礼して去ろうとするスザクに、シャルルが言葉を掛ける。
「枢木、プティレーブ家の生き残りはまだ記憶が戻らぬか?」
「はっ。未だに。」
「戻った時は即座に余に知らせよとの命、忘れてはおらぬな?」
「勿論でございます。」
「それでよい。下がって休め。」
 今度こそスザクは去って行った。
「許せよ。マリアンヌ・・・。だが、ナナリーは・・・。」
 亡くなったマリアンヌに話しかけるように、シャルルは呟いていた。

「ポルトガル州は、ブリタニアとの条約を締結する意向です。さらに、ジブラ
ルタルも押さえられ、セウタと北アフリカの戦力により、地中海の制海権及び
制空権は、ブリタニアの手に落ちました。」
「その後のブリタニア軍の動きは!?」
「ポルトガル州に侵攻した軍は、そのまま留まっております。数は6個師団。」
「戦力を増強する動きは!?」
「今のところありませんが、全てのナイトメアには飛行用のユニットが装備さ
れております。」
「ベル計画の遅れが、痛いな・・・。」
 EUではポルトガル州の陥落を受けて、会議が行われていた。
「次は、いよいよスペイン州か・・・。駐留する軍は7個師団。今の戦力なら
ば持ちこたえられるだろうが、今後はどうなるか・・・。」
「ベルクトはどれ程、生産が可能だ!?」
「現在のラインでは、1ヶ月に2個大隊分が限界です。」
「とても足りんぞ!!」
 紛糾して実りの無い会議を、冷たい視線で見ている、一人の軍人がいた。
 名を、アーダルベルト・ヴィルギニア・フォン・シャルンホルスト。
 ドイツ州軍の総参謀長の職にある。
『現有の戦力を生かして、どう守りきるか。それを踏まえて戦略を立てられる
のは誰もいないのか・・・。』
 シャルンホルストの頭には既に決戦場となる地名があったが、言ったところ
で今の状況では実りの無い会議を更に悪くするだけと判断し、冷静になるのを
辛抱強く待っていた。
『彼らとコンタクトをとるべきかもしれんな。このままでは、EUはブリタニ
アに飲み込まれる。そうしない為にも・・・。』
 ヒステリックな喚き声が増えてくる会議が終わった時に、彼はそう考えてい
た。

「ご招待いただき、ありがとうございます。殿下。」
 招かれたスザク共にテラスにはシュナイゼルがおり、テーブルには料理が並
べられていた。
「いや、そう硬くならないでいい。楽にしなさい。」
 スザクは、シュナイゼルの住むライブラの離宮での夕食に、招待されていた。
「エリア13では、本当にご苦労だったね。黒の騎士団のエースが駆る、あの
赤いナイトメアも撃破したというじゃないか。さすがに、我が国の誇るラウン
ズの一員。その中でも一、二を争うといわれるナイトメア戦の技量と、指揮官
としての優れた能力を持つ騎士だ。本当に心強いよ。」
「恐縮です。」
 スザクは恭しく一礼する。
「それに、ようやく笑顔になれるようになったね。ユフィもきっと喜んでいる。
これからも我が国と属領の平和の為に尽力して欲しい。」
「イエス、ユア・ハイネス。」
「ほら硬くならないで。さあ、乾杯しよう。」
 2人のグラスに、年代物の赤ワインが注がれる。

「すると、今、中華連邦を攻めるのは得策ではないと・・・。」
「はっ。ポルトガル州を落とし、北アフリカの戦力との半包囲が可能になったと
ははいえ、ここで中華連邦とも先端を開けば、かなりの兵力を割かねばなりま
せん。まして、大宦官が粛清された今となっては、軍事力で威嚇しても有効と
は思えません。クーデターのスムーズさから思考を進めると、既にその点に関
する備えもしておりましょう。効果があるようには思えません。」
「私も同意見だ。皇帝陛下にもその事は申し上げたよ。明日の御前会議でこれ
からの方針が決定されるが、我々は勝ち続けた為か軍には強硬派が多くてね。
ラウンズである君が同意見である事は心強い。できれば、EUとの戦いも外交
中心で行きたい所だ。そうすれば、無駄な血が流れずに済む。」
 シュナイゼルが食後のコーヒーを口にする。
「スペイン州がどう出るか・・・。敵わぬと見て、講和条約の締結を申し出る
か。他の州の兵力を動員し、死守しようとするか、五分五分ですね。フランス
州やドイツ州といったEUの主力軍は未だに健在。ポルトガル州にはフロート
ユニットが既に届いております。これが吉と出るか凶と出るか・・・。」
 スザクが腕を組む。
「微妙なところだね。ベル計画の実戦投入機が完成したとの情報も入っている。
それを受けて向こうが強気になるとも限らない。」
「成る程・・・。確かに微妙なところですね。それではそろそろ自分は失礼さ
せていただきます。」
「そうか。今日は楽しかったよ。また時間が在れば、こういった時間を設けた
いところだね。」
「光栄です。それでは失礼いたします。」
 スザクが一礼して、去っていく。

「どう御覧なさいますか。殿下?」
「私と意見が一致するところが多いというのは、助かるね。これからもそれを
探させてもらうよ。明日、例のプランを発表するつもりだが、そのプランに彼
が賛同してくれれば、しめたもの。」
 新しく運ばせた白ワインを、カノンと共に飲みながらシュナイゼルは微笑ん
でいた。
「白き騎士を手に入れられる可能性も、また増すからでございますか?」
「そういう事だ。」
 グラスの中の白ワインを一気に飲み干す。

「ふうん。シュナイゼルも色々企んでいるんだね。適合者じゃない分、知略に
は優れているというところかな?シャルルも結構大変かもしれないね。」
 ライブラの離宮のテラスを眺めながら、V.V.は面白そうな表情をしてい
た。
「事の次第によっては、もうすこし僕が関わってみてもいいかな。何しろ儀式
の適合者がいなくなってしまったからね。これで、スザクが残るような展開も
面白いかもしれない。」
 微笑を浮かべながら、V.V.はそう口にした。

後書き
随分予定から遅れての、AT8話です。
星刻達のクーデターが成功し、ブリタニアは対中華連邦路線を変更せざるを得
せん。
EUも欧州本土が、削り取られて存亡の危機です。
星刻は国の立て直しを図って、ブリタニアに対抗する力を蓄えようとし、EUは
ベル計画によって、劣勢を覆そうします。
その中で、人々の思惑が絡み合って、世界は動いていきます。
ちなみにユーウェインの元ネタは、Zガンダムのポリノーク・サマーンと、Vガン
ダムのザンネックです。

次回 AFTER TURN09 御前 会議
これからの方針が、皇帝臨席の御前会議で話し合われます。
しかし、その中であるサプライズが・・・。

目次へ戻る。

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