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zoom RSS コードギアス二次小説 AFTER TURN02 エリア 11

<<   作成日時 : 2008/06/08 23:02   >>

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「調べましたが、車椅子はごく普通の電動式の物です。爆発物、発信機、盗聴
器の類は一切仕掛けられておりません。」
 スザクの連絡を受けて、この区域の警備を担当する憲兵隊が出動し、ナナリ
ーの車椅子を徹底的に調べ上げた。
「それで、彼女の身元は?プティレーブ家という貴族は聞いた事が無い
が・・・。」
「はっ、8年前に事故で当主夫妻がテロに遭い、死亡。当時7歳のご息女は行
方知れずになっておりました。念の為、DNAを照合したところ、一致しましたの
で行方不明のご息女と見て間違いないかと・・・。他にお子様は、いらっしゃい
ませんでした。」
 貴族ともなれば、愛人を持ち子が生まれるケースも少なくない。そして、自
分がその時の子供と名乗る詐欺が起こる事も少なくないので、生まれた子供の
DNAデータを役所のデータベースに登録するのが、貴族社会では慣習になっ
ていた。
 その点を考慮しつつ憲兵の話を聞きながら、スザクはどうするべきか考えて
いた。
「いずれにせよ。放っておくわけにもいかない。暫く、自分が預かりたいと思
う。明日、それに関する申請をしたいと思うが、構わないだろうか?」
「それは問題ありませんが、よろしいのですか?こちらでお預かりする事も可
能ですが?」
「彼女をここに連れてきた方は、自分に彼女を預かった欲しかったそうだ。そ
れを叶えたいだけだ・・・。」
「では、明日手続きをお願いいたします。」
「解った、夜遅くご苦労だった・・・。」
「いえ、それでは失礼いたします。」
 憲兵隊が引き上げていった。
「あの・・・、申し訳ありません・・・。ご迷惑をお掛けしているみたいで・・・。」
「いや、気にしないでいい。中に入ろう・・・。」
 申し訳なさそうにするナナリーの肩に手を置いて、スザクはそう言った。

「で、その娘をスザク君が預かっているの?」
 セシルが驚きのあまり、眼を丸くする。
「はい。身元も確認できましたし・・・、自分に預ける為に連れてきた以上、知ら
ぬふりは出来ないと考えました。幸い、メイドに介護の経験がある者がいまし
たから、世話をさせています。」
 翌日、ナナリーを預かる為の手続きをして、念の為に行った病院での精密検
査が終わり、2日後の執務の合間にセシルにその事を話していた。
「いやいや、他の国の軍人さんにも聞かせてあげたいね〜。「白き死神」なん
て言われてるけど、ちゃんと人の情けを持っていることを教えてあげれば、も
うちょっと、見方も変わるだろうしね〜。」
 ランスロットの改修作業をしているロイドが、休憩を取りに来て話に加わる。
「ロイドさん・・・。人との正しいコミュニケーションの取り方、教えて差し上げまし
ょうか?」
「ありがとう、遠慮しておきます・・・。あ、そうだスザク君。明日、ヴィンセントのチ
ェックをもう一度するから。」
 そう言いながら、スザクにチェックリストを見せて話を始める。

「じゃあ、明日からしばらくこちらにはいらっしゃらないんですね・・・。」
 出発の前日、スザクは屋敷でナナリーと夕食を共にしていた。
「1週間位かな・・・。その間、ナナリーの世話はきちんとさせるから、安心して
いい・・・。」
 スザクはそう伝えて、黙々と食事をする。
「あの、スザクさん・・・。」
「何だい・・・?」
「スザクさんと私の食事って違いますよね。何でですか?」
 ナナリーの食事は、爵位を持つ家の食事としてはごく普通の物だが、スザク
は栄養価を第一に考えた物で、明らかに違っていた。
 ナナリーは目が見えないが、運ばれてくる料理の数や匂いで、自分とスザク
の食事の内容が違うと判断していた。
「僕は軍人だからね。軍務をきちんと果たせる体を維持する為の食事だから、
自然と違うだけだよ・・・。」
 食べ終わると口元を拭い、食後の紅茶を飲む。
「後はお風呂に入って、早く寝るといい。僕は体を動かしてから寝るから・・・。」
 そう言って、日課のトレーニングと剣の稽古をしに行った。

 夜、スザクは書斎で書物に目を通していた。
 ナイトオブセブンになってから、様々な戦場に出るうちに読む本は更に増え
て、各種の学術書にも目を通すようになっていた。
「そろそろ寝るか・・・。」
 エリア11にいる間に、読もうと思った本を何冊か選んで寝室に持って行
き、床に着く。

 翌日、ネオウェルズにある軍用空港から、スザクの旗艦であるアヴァロン、
エリファレットのオークニー。そして、どういう訳かジノのユリエンス、アー
ニャのベンウィック、クローディアのペレスも続く。
「何で、ジノたちが来るんだい・・・?」
 アヴァロンの通信スクリーンに映ったジノに、スザクが尋ねる。
「ああ、一応エリア11を見ておきたくてさ。どうも中華連邦もきな臭くなり
始めたから、場合によっては戦いになる。エリア11はその際の重要な戦略拠
点になるから、むこうも黙ってるわけないだろ?それで行くんだよ。アーニャ
も気にしてたしな。クローディアはお目付け。」
「成る程・・・、ところで、トリスタンは持ってきたのか・・・?」
「当然。ちょっと向こうの騎士の腕前も見れればと思ってさ。そっちこそラン
スロットは大丈夫なのか?ロイド伯爵が何か追加装備を開発してたみたいだけ
ど、まだ完成していないんだろう?」
 元々、ランスロットの改修は新しい追加装備の為であり、肝心の装備はまだ
完成していなかった。
「問題ないよ・・・。別にそれがなければ動かないわけじゃないし、ヴィンセント
も持ってきている・・・。」
「でも、あれまだ試作段階だろう?大丈夫か?」
 ジノは試作段階のナイトメアを、実戦で使う可能性を危惧する。
「エリファレットの協力を得ているとはいえ、キャメロットで製作されたもの
だ。今までテストパイロットをしてきて、実戦でも充分使えると判断してい
る。ランスロットのフロートユニットも使えるし、大丈夫だよ・・・。」
「解った。但し、危ないと判断したら勝手にサポートに回らせてもらうぜ。」
「その時は任せるよ・・・。」
 スザクの言葉にジノが頷いて、通信スクリーンが消える。
「スザク君、また中華連邦が何かしてくると、思っているのかい?」
「可能性の一つとしては、常に頭に入れておいています。もっとも、向こうは
権力闘争で忙しいようですし、東シナ海会戦の事もありますから、義勇軍を使
った作戦もまだしばらくは控えるでしょうが・・・。」
「まあ、そうだね。でも緊急時っていうのはいつでもあるからね〜。僕はランスロ
ットの方を見ておくよ。ヴィンセントもあるけど、一番安心できるのは、ランスロッ
トだしね。」
 そう言って、ロイドは格納庫に行った。
「無人偵察機第一陣、間もなく帰艦します。現在、敵対する勢力及び所属不明
の部隊は確認されていません。」
「第二陣の出撃準備。第一陣が帰艦し次第、発進させろ。」
 太平洋上空はブリタニアの勢力圏にある為、特に襲撃があるとは思っていな
いが、まさかの事態を想定してスザクは無人偵察機で周囲の警戒に当たらせて
いた。
 そして10時間後、1年ぶりにスザクはエリア11の土を踏んだ。

「枢木と会談の席を設けたいですと?」
「はい。」
 嘗て日本の財界に君臨し、今はエリア11の自治を行うNACにおいて最大
の影響力を持つキョウト六家の一人、宗像唐斎の言葉に御簾越しのあどけなさ
を残す少女が、そう答える。
 名を皇神楽那。15歳にしてキョウト六家を束ねる皇家の当主である。
「何故、枢木と会談を?日本人としての誇りを忘れ、ブリタニアに尻尾を振る、
あの男と会談の席を設けた上で、何を話そうとなさるのですかな?」
 刑部辰紀が、そう尋ねる。
「彼を通して、要求したい事があるのです。」
 刑部に神楽那が答える。
「それは?」
 かつて、サクラダイトの利権で巨万の富を築いた桐原産業の創始者、桐原泰
三が尋ねる。
「行政特区日本の再度の設立・・・。」
 一同がどよめく。
「何故、枢木を通す必要があるのですかな?内政省を通せばよいでしょう
に。」
 現在はゲットーに住むイレブンに関する交渉は、NACが内政府と行ってい
た。
「桐原公の仰るとおりです。なぜスザクを通して頼むかは、極めて個人的な理
由です。私は彼と、スザクと話がしたいのです。何故、ブリタニア軍に入り、
皇帝直属の騎士になったか?そして何をしようとしているのかを・・・。」
「聞いてどうなさいます?我らの味方に引き込み、再度ブリタニアに戦いを挑
まれますかな?」
 一年前の黒の騎士団の敗戦以降、自治権は認められたもののゲットー再建の
資金を提供させられ、キョウトのダメージは大きく、また総督府からの監視の
目も厳しく、支援するレジスタンスも悉く壊滅し今のキョウトはブリタニアに
抗う術を持たなかった。
「そのようなつもりはありません。今回は私個人が話しをしたいだけです。第一、
スザクを味方に引き入れようとしても、無駄でしょうから・・・。」
 神楽那が、どこか悲しそうな表情になる。
「解りました。内政省に話をしてみましょう。」
 桐原がそう話した。

「遠路はるばるご苦労だった。しかし、枢木卿とナイチンゲール卿以外にも来る
と聞いた時は、驚いたぞ。」
 政庁にあるコーネリアの執務室に、スザクたち5人はいた。
「中東での作戦を終了した後に、中華連邦の件を聞きまして一度エリア11を
この目で見ておく必要があると感じ、今回エリア11に来る事を皇帝陛下に、願
い出た次第であります。」
 スザクとエリファレットを除く3人を代表して、ジノがコーネリアに理由を
述べる。
「成る程、既に聞いていたか。朱禁城の権力闘争は日常茶飯事だが、今回の
一件で暗殺を未然に防いだ黎星刻なる男。今後、更に上に昇る可能性がある
と、総領事館から報告が上がったので、私も気にしていてな。枢木卿、貴公は
どう考える?」
 コーネリアがスザクに尋ねる。
「現段階で結論を出すのは、早すぎましょう。総領事館からの報告を無視する
必要はありませんが、こちらが中華連邦の国内の事件に過敏に反応しすぎる
と、却って暴発させる危険性もあります。いまは、エリア11の内政に力を注ぎ
つつ泰然自若にしているが肝要と考えます。」
「私もそう考える。事態に備えながらも冷静でいるべきだな。」
 コーネリアが頷く。
「現在、エリア11でテロは見られません。各地の租界、ゲットーも平穏そのも
のです。」
 コーネリアの専任騎士のまま、幕僚長となったギルフォードがエリア11の現
在の状況を説明する。
「NAC、いやキョウト六家の様子はどうですか?テロ組織の結成ないし、エ
リア11以外の地域のテロリストと連絡を取り合っている様子は、ありません
か。?」
 スザクが、イレブンたちの代表である六家の近況を尋ねる。
「現在、キョウト六家は自治以外に何かしている様子はありません。ですが、監
視は厳しくしております。不穏な動きがあれば、すぐに察知できる態勢になって
おりますので、現在は無いと考えてよいでしょう。」
 ギルフォードの説明に頷きながらも、スザクにはどうしても気になる事があっ
た。
「黒の騎士団の残党の行方は、掴めておりますでしょうか?自分が最も懸念し
ている点は、実はそこなのです。再び力をつけて、このエリア11に攻め込んで
くる可能性は否定できません。」
「行方は未だ解ってはおらん。周辺の無人島にも捜索の手を伸ばしたが、空振
りだった。」
 コーネリアが無念そうに答える。
「と、なると海外に逃亡したと見るが妥当でありましょう。」
「そうだな。それで、枢木卿はどこに逃亡したと考える?」
 コーネリアが尋ねる。
「おそらくはインドかと・・・。黒の騎士団技術陣の中核だった、ラクシャータ・チャ
ウラーがインド軍区の出身でしたので、海外に逃亡するとなると他に当ては無
いと考えます。」
「ふむ。となると暫くは手を出せんな。だからこそ備えを万全にしておく必要が
あるか。例の物が届くのは明日だったな。明後日にはオオシマの演習場で、
空中戦の訓練があるが、そうなると一層重要度を増すか・・・。」
 コーネリアがスザクの意見に頷く。
「いずれにせよ。明後日は頼むぞ。それまで、休むがよい。租界の見物をする
のもよかろう。」
「では、自分はそうさせていただきます。」

 コーネリアに挨拶をしてから一時間後、スザクの他にジノたちも租界を見に行
く事にした。
「へえ〜、一年前にここで戦いがあったなんて、想像も出来ないな。」
 サングラスを掛けて、名門貴族とは思えない服装のジノが、辺りを見回す。
「確かにね。うん?あの警官。ひょっとして・・・。」
 スラックスを穿いて、ジャケットを羽織ったエリファレットが、一人の警官
に目を留める。
「名誉ブリタニア人みたいね。エリア11の。」
 スカートを穿いて、ブラウスの上にカーディガンを羽織って、バックを下げている
クローディアもエリファレットが見た警官の顔を見た。明らかにエリア
11出身の人間だった。
『コーネリア総督は、ちゃんとユフィの想いをついで下さっているな・・・。』
 ジーンズ姿のスザクはそう考えて、心が不思議と暖かさを覚えた。
「記録する・・・。」
 歳相応の少女らしい服装のアーニャがカメラつきの携帯電話を手に、警官の
下へ歩いていく。

「あ、あの、本官に何の御用かな・・・。」
 写真を撮るアーニャに戸惑いを覚える警官に、スザク達が駆け寄る。
「アーニャ。もうそれ位にして。済まない、悪気があったわけではないんだ。
赦してやって欲しい。」
「こ、これは、枢木卿。と、すると他の方々もナイト・オブ・ラウンズの方々で
あられますか?」
「ああ。アーニャの事は自分に免じて許してやってもらえないか・・・?」
「いえ、別に怒るつもりはありませんでしたので、構いません。それより、本
官は枢木卿に会えた事が本当に光栄です。自分がこうして名誉ブリタニア人
でありながらも、警官として公職に就けるのも枢木卿のお蔭です。生活もよく
なりました。皆に代わってお礼を述べさせていただきます。それでは本官は巡
回の途中なので失礼いたします。」
 敬礼して去ろうとする、警官にアーニャが自分のブログのアドレスを書いた
紙を渡す。
「よかったら、見て・・・。」
「では後ほど、拝見させていただきます。では。」
 敬礼して巡回に戻った。
「変わってきているね。確実に。」
 エリファレットが嬉しそうに、巡回に戻る警官を見ていた。
「お、なんか嬉しそうだな。」
「まあね。昔、日本と呼ばれていた時に留学していたからね・・・。」
 エリファレットは、ジノにそう答えた。
「だから、エリア11と呼ばれていても、思い出深い土地だよ。名誉ブリタニ
ア人に対する扱いも大分変わってきているし、誰にとっても穏やかに暮らせる
土地であって欲しい。そう願っているよ・・・。」
「そうだったのか。なら、尚更、中華連邦との戦いは、負けられないな・・・。」
「ああ・・・。」
 ジノの言葉に頷きながら、エリファレットは嘗ての留学の日々を思いなが
ら、空を見上げた。
「さて、これからどうする?僕はちょっと行きたい所があるけど・・・。」
「どこ・・・?」
「シンジュクゲットー。」
 アーニャの問いにエリファレットは答えた。が、思いもよらぬ場所だったので、
ジノが目を丸くした。

「租界とは違うけど、あれはあれでよかったな。」
 宿舎となっているホテルに戻りながら、ジノがシンジュクゲットーを見た感想
を言った。
 シンジュクゲットーは、嘗てのスラムのような姿から人が住む町として再建さ
れており、企業も設立されていた。
 人々も以前より遥かに生活水準も向上しており、今の生活に満足して穏やか
に暮らしていた。
 シンジュクに限らず各地のゲットーも同様に再建され、自治の元、自分達の生
活の面倒を見られるようになっている。
 それに伴い犯罪の件数も激減しており、エリア11は数ある属領の中でも、非
常に安定したエリアになっている。
「とりあえず、エリア11に中華連邦がちょっかいをかける口実は、ほとんど無い
わね。統治政策が功を奏しているわ。」
 クローディアも、統治政策を高く評価していた。
 五人にはホテルのロイヤル・スイートがあてがわれている。
 その一つのエリファレットの部屋に、ルームサービスで紅茶を運ばせて五人
はくつろいでいた。
「そう言えば、スザクは統治政策の作成に関わっていたんだよね。」
「僕なりに、意見を言っただけだよ・・・。」
 エリファレットにそう答えて、スザクは紅茶を口に運ぶ。

「お寛ぎのところ、失礼いたします。今夜は中華連邦の総領事が参加する、パ
ーティーが予定されておりまして、皆様も参加するようにとの総督の御言葉で
す。」
「解った。すぐに仕度を整える。」
「はっ。すでに迎えの車も来ておりますので、準備が出来ましたら下においで
下さい。」
 グラストンナイツの一人、アルフレッド・G・ダールトンが敬礼をして、部屋を出
て行く。
「あまり、乗り気ではないね。」
 社交界にめったに顔を出さない、エリファレットはそう呟く。
「総督の言葉・・・。」
 そう言って、アーニャは自分の部屋に戻る。
「仕方ないわね・・・。」
 クローディアも部屋に戻る。
「ほんじゃ、俺たちも仕度しようぜ・・・。」
 スザクを連れてジノも部屋に戻ると、エリファレットも仕度を始めた。

 本来、コーネリアはパーティーの類は好まないが、中華連邦と問題を抱え込
まないように、必要であれば会食等もしている。
 無論、恒久的な友好が結ばれるとは思ってはいない。だが、今は戦うのは得
策ではないと判断しているだけである。
 今日のパーティーも、その為に開いている。
「高亥の他に、見慣れぬ顔がいるな。ギルフォードお前は知っているか?」
「はっ。昨日、武官として着任した黎星刻と申します。」
「ふむ、朱禁城の騒動を治めた男とは、あれか。」
 シックな雰囲気のドレスを着たコーネリアが、貴族と談笑している星刻を見
る。
「これはこれは、コーネリア総督。ご機嫌麗しゅう。」
 宦官特有の甲高い声で、総領事である高亥がコーネリアに挨拶する。
「ご挨拶、痛み入ります。今宵はどうぞ、存分に楽しんでいっていただきた
い。」
『相変わらず、好かぬ顔だ。』
 天子を頂点とする共産主義国家、中華連邦も今は大宦官に実権を握られて、
天子は操り人形と化している。中枢の腐臭が臭ってくる感じがして、コーネリ
アは初対面から、高亥を嫌っていた。
「昨日、総領事館の武官として着任いたしました、黎星刻と申します。名高い
コーネリア総督にお会いする事が叶い、光栄の極みです。」
 星刻は二十代半ばで、漆黒の髪を長く伸ばし鋭い目をしている。
「朱禁城での事は聞いている。一度会ってみたいと思っていた。」
「恐縮です。」
「それでは。星刻、行くぞ。」
「失礼いたします。」
 コーネリアに一礼して、星刻が高亥について去っていく。

「殿下。あの男・・・。」
「ふむ。あの権力欲に溺れた下種より、余程歯ごたえがありそうだな。それに
あの目、只者ではない。洛陽の総領事館が目をつけるのも頷ける。」
「私は、騎士として相当な技量を持つ。そのように感じました。」
「同感だな・・・。」
 その時、パーティーの参加者がどよめき始める。
 スザク達がパーティー会場に到着した為である。
「ナイト・オブ・ラウンズ・・・。」
「帝国最強の騎士か・・・。」
 参加者の中でも、特に目を引くのがスザクだった。
「ナイトオブセブン。ブリタニアの白き死神・・・。」
 どのような不利な状況でも常に覆しブリタニア軍を勝利に導き続け、数十騎
のナイトメアを相手にしても、後れを取らずに蹴散らすスザクは、ナイトメア
戦ではラウンズの中でも一、二を争う技量の持ち主で、ブリタニア軍ですら畏
怖する存在だった。

「貴殿が枢木卿ですな。私は中華連邦総領事館の武官、黎星刻と申します。」
「枢木スザクです。ご丁寧な挨拶痛み入ります。」
「いや、勇名を轟かせる貴殿には、一度会いたいと思っておりました。こうして
会う事が叶った事を嬉しく思います。」
「自分も貴殿の事は、聞いています。どのような人物かと興味を持っていまし
た。お会いする事ができ嬉しく思います。」
「光栄です。では。」
 一礼して、星刻はその場を離れた。
『ブリタニアの白き死神か・・・。呼び名に相応しい男だ。今後、相見えるとす
れば、我が国にとっても恐ろしい敵となるだろう。欲に溺れきった大宦官共
では歯が立つまい・・・。』
 高亥の元に戻りながら、星刻はスザクを強敵として認識していた。
『黎星刻か・・・。今の身分で終わるとは到底思えない。いずれは戦う事にな
るか・・・。』
 スザクは星刻の後姿を見ながら、そう考えていた。
「久しぶりね。スザク君。」
「会長・・・。」
 ドレスを着たミレイがそこにいた。

「どう?1年ぶりのエリア11は?」
「そうですね・・・。随分変わったなと思いました・・・。ゲットーも1年前と比べて、
格段に暮らしやすくなっている・・・。ところで何故会長がここに?そうか、ロイド
さんと婚約していますからね。そろそろ結婚なさるんですか?」
「彼女、今、ある事が理由で留年しているんだよ。だから、結婚は延期。」
 いつもの白衣姿ではなく、正装のロイドがそう言った。
「ある事、ですか・・・?」
「今年から、アッシュフォード学園は名誉ブリタニア人の入学も認めている
の。とは言え、いきなりでしょう。まだまだ、見下したような態度を取る風潮
もあるから、それを払拭する為に留年したのよ。シャーリーやリヴァルもその
事で大忙しなのよ。」
 コーネリアはエリア11の治安が落ち着くにつれ、名誉ブリタニア人が警官
等の公職に着く事も認めてきている。また、租界に在る学校にも名誉ブリタニ
ア人の入学を認めていた。
「変わってきているんですね。僕が思う以上に・・・。」
「それも、あなたがいたからこそよ。スザク君がいなければ、このエリア11
は今頃どうなっていたかしらね?それに、私も今の状況は嬉しいのよ。理想論
かもしれないけど、国是で私達ブリタニア人と、ナンバーズが区別されていて
も、互いを同じ人間として見ていける切欠になるかもしれないから・・・。」
「そうですか・・・。そうですね・・・。そうなるといいですよね・・・。」
 スザクの表情は、僅かに和らいだ感じがした。
「スザク君。よければ、学校にいらっしゃい。リヴァル達も会いたがっているし。」
「すみません・・・。明日、式典に出た後は軍務がありますので、行く暇が無
いんです・・・。失礼します・・・。」
 スザクはミレイの傍から去って行き。ミレイは深い溜息をついた。

「心を閉じすぎるのは、あまり感心できんな。」
「コーネリア総督。」
 スザクは姿勢を正した。
「そう畏まらずとも良い。遅れたが、中東の戦いでの武勲、見事であったな。
少将への昇進も頷ける。」
 中東侵攻での武勲で、スザクは少将に昇進していた。
 皇帝直属であるラウンズは、軍では一階級上として扱われるので、スザクは
実質的に中将であった。
「お褒めのお言葉。恐縮です。」
「ユフィがおれば、さぞかし喜んだだろうな・・・。この1年、エリア11の統治をし
ながらつくづく思い知る・・・。ユフィがどれだけ私よりいろいろな物が見えていた
か。どれだけ、自分の視野が狭かったかがな・・・。貴公がそ
の象徴ともいえよう。もっと早く貴公を取り立てておけば良かったと思う。が、私
は国是にこだわりすぎた為にそれができなかった。結果はユフィの死だ。どれ
だけ悔やんでも悔やみきれぬ。貴公が仇を討ち、汚名を雪いでくれたのがせめ
てもの救いだ・・・。」
「総督・・・。」
「枢木卿、もう少し笑ってはくれぬか?今の貴公を見れば、ユフィはきっと悲し
む。今すぐとは言わぬ。少しずつな・・・。」
「努力いたします・・・。」
 一礼して、スザクはその場を去った。
「殿下、いかがなさいました。」
 珍しく溜息をつく、コーネリアを見てギルフォードが傍に来た。
「私には、ユフィが頭に描いたであろう政策を実行する事はできても、一人の
人間の心を変えることはできぬ。そう思っただけだ・・・。」
「枢木卿のことですか・・・。」
 一年ぶりに見た、スザクの前にも増して冷徹な表情を、ギルフォードは思っ
た。

 中華連邦首都洛陽。朱禁城で権力を握る大宦官たちが、話し合っていた。
「ドウ・シーの生産は、順調のようですな。」
「ところで、どの部隊を向かわせますかな?去年のような事になっては目も当
てられますまい。」
「あの連中でよかろう。どうせ帰るところも無い、流浪の身。我が領土におい
てやっているのだ。精々、働いてもらうとしよう。」
「ところで、ついでに我等の邪魔になりそうな連中も、始末いたしませんか
な?」
「それは名案。」
「では、決まりだな。高亥に連絡を入れるとしよう。」
 だが、彼らの思惑通りに事が運ぶと思っているのは、彼らだけであった。
 その事を思い知るのは、もう少し後になる。

後書き
ユーフェミアの特区構想を活かした統治政策を行っていたら、どうなるかなと考
えて、今回のお話を書きました。
原作では特区でルルーシュのギアスの暴走で、「虐殺皇女」と呼ばれているユ
ーフェミアですが、生きていて特区が一応の成功を見れば、寛容な心を持つ皇
女として、日本人にも慕われたはずです。
原作の21話でも、特区設立の宣言を聞いた、日本人も喝采を上げていましたか
らね。
彼女の悲しい最後は、見るに耐えなかったので、どうしても書きたかった話で
す。
次回はAFTER TURN03 前 奏です。
カレンたちも、今後の展開に向けて、少し出てきます。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
スザクの心の闇が払拭されていくのは、まだまだのようですね。元に、とは言わないまでも、せめて自然と笑顔が作れるようになる事を早く期待したいです。

大宦官達が言ってる「あの連中」って騎士団かな。
でもインドの方みたいな事かいてあったし、うーん、気になる。

>彼女の悲しい最後は、見るに耐えなかったので、どうしても書きたかった話です。
これは分かります!!。私もたまに空気嫁、みたいな事書きましたが、彼女の理想、そして行動には胸打たれるものがありました。
実際、行政特区が成功していたら、彼女はそれこそ歴史に名を刻む偉業をなした人物として、後世に伝えられてもよかった人物となっていたかもしれないですし。
ルルも、好きで暴発させた訳でも無いのですが、もしあの事故が起こらなかったら・・・、と思う事もあります。

sora
2008/06/09 21:40
soraさん。
コメントありがとうございます。

>スザクの心の闇が払拭されていくのは
 自分の心の闇に気づくのって、凄く難しいと思う
んですよ。
 主観的に見ては、見えないものがどうしてもあり
ますから。
 気づかせてあげる人間が、どうしても必要だと思
っています。
 実は近くにいるんですけどね。

>これは分かります!!
 そういっていただけると嬉しいです。
 世間知らずなお姫様の善意ではありましたが、未
知の可能性も秘めていた事は間違いないと思ってい
ましたから。
 特区の成功如何によっては、コーネリアも統治政
策の変更もあったかもしれないと思っていたので、
私の二次小説のエリア11はこのようになったわけ
です。
CIC担当
2008/06/10 00:26
女の子のオ●ニーをじっくり見たのはじめて(;゜∀゜)=3
彼女いわくオ●ニーにも前戯があるらしく、最初はナスビ入れてたよwwww
やっとバイブ使ったと思ったら一瞬で死ぬほど潮吹いてるしΣ(´Д` )ナンジャソリャ
見てるだけで6マンはウマかったわぁ(゜Д゜)y─┛~~
http://jazzye.net/nasukko/psOYzbkg
マサマサ
2008/06/14 19:28
マサマサさん。
コメントありがとうございます。
と言いたいところですが、一体何をお考えです
か?
コメントを書くのは個人の自由としても、何を
書いても良いはずはないと思いますが?
今後、このようなコメントを書かれた場合は、
即刻削除しますので、頭に入れておいていただ
きます。
CIC担当
2008/06/15 00:57

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