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zoom RSS コードギアス二次小説 AFTER TURN01 ナイト オブ ラウンズ

<<   作成日時 : 2008/06/01 22:28   >>

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一騎のナイトメアを先頭に、ブリタニア軍のナイトメア部隊が戦場を駆ける。
 白と金という美しいカラーリングのナイトメアの名をランスロットという。
今ランスロットは、中東の戦場にいた。

「撃て、撃て!!何としてもあの死神を撃て!!」
 中東のイスラム教を国教とする国々は、エリア18、かつてのイランが現エ
リア11総督にして神聖ブリタニア帝国第二皇女コーネリア・リ・ブリタニア
率いる軍に征服された後、協議を重ね、ブリタニア軍による中東侵攻に備える
為に、神聖イスラム同盟を結成していた。
 今回スザクは皇帝直属の12騎士、ナイト・オブ・ラウンズの一人ナイトオブセ
ブンとして、遠征軍に加わっていた。

 必死に攻撃をする同盟軍だが、その弾丸はランスロットにかすりもしなかっ
た。逆に、AKM自走砲がヴァリスの餌食になるだけだった。
 後方からは、スザク麾下の部隊のAKM低圧砲の砲撃が加えられ、砲台陣地
が一瞬にして吹き飛ばされる。
「ナイトメアだ!ナイトメアを出せ!!」
 急遽輸入された、中華連邦製のナイトメア、ガン・ルゥの部隊が発進していく。
「出すのが、遅い・・・。」
 スザクはヴァリスをMVSに持ち替え、さらにスピードを上げる。
 猛スピードで迫ってくるランスロットに、ガン・ルゥが装備されたマシンガンを発
射するが、その時は既に側面に回りこまれ他の味方機と共に、MVSに
切り裂かれていた。
 後方の自走砲部隊の指揮を取っていた、スザクの副官格のヴァレーリアも麾
下の中隊と共に、ガン・ルゥ部隊に突撃し、次々とショットランサーの餌食にし
ていく。
 その間にも、ランスロットはガン・ルゥを次々と撃破し、既に正面部隊は崩壊し
ようとしていた。
「ロセッティ、信号弾を!!」
「はっ!」
 ヴァレーリアの駆るドーチェスターが信号弾を打ち上げると同時に、上空からヒ
ルダとジーンの部隊が襲い掛かる。
「飛行用ユニットを、既に量産していたのか!?」
 同盟軍のナイトメア部隊の隊長の一人が、驚きの声を上げる。
 ヒルダ達が率いる部隊のドーチェスターには、量産機向けに開発されたフロー
トユニットが装備されていた。無論、ヴァレーリアの部隊のドーチェスターにも装
備されている。
 正面からのスザクとヴァレーリアの猛攻で崩れかけていた陣は、上空からの
奇襲を受けて完全に崩壊した。
 ヒルダは右腕のアサルトライフルを撃ちまくり、量産機向けのMVS、SMVS
でガン・ルゥを斬り、ジーンはハードポイントの一つにアサルトライフルを装備し
て、弾幕を張りながらショットランサーでガン・ルゥを串刺しにしていく。

「そろそろ、こっちに出番を回してくれよな。スザク。」
「君だけで、戦っているわけじゃないんだからね。」
 ランスロットに通信が入ると共に、上空からさらにナイトメア2個大隊が現れる。
 その内の1個大隊を率いているのはナイトメアではなく戦闘機だった。が、それ
はすぐに変形してナイトメアとなる。
 可変ナイトメアフレームトリスタン。ナイトオブスリー、ジノ・ヴァインベルグの駆
るナイトメアである。
 トリスタンの手には長い柄の両端に鎌状の刃がついたMVSがあり、あっけに
取られていたガン・ルゥを次々と切り裂いていく。
「馬鹿な、戦闘機がナイトメアに!?」
 部隊長の一人が、まだ呆然としていた。
「よそ見するなよ。」
 トリスタンの右腕に装備された大型スラッシュハーケンに、部隊長の一人が
騎乗する機体はコックピットを貫かれていた。
「ジノ、敵の航空戦力は?」
「ああ、片付けてきた。」
 スザクの質問にジノは、疲れた様子を微塵も感じさせずに答えた。
 戦闘機形態のトリスタンは、戦闘機では到底不可能な機動性を発揮し、航空
機部隊を一蹴していた。
「さて、こちらもいくか。」
 ナイトオブフォー、エリファレット・ナイチンゲールが自ら設計し騎乗するエクター
も、MVPを手に戦場に降り立ち2機を纏めて両断する。その後方から攻撃して
くるガン・ルゥを両腕の大型スラッシュハーケンで貫いて振り回し、他の機体に
叩きつけ、左手にVARIS−Cを持つと周辺のガン・ルゥを次々と撃ち抜いてい
く。
 そして、アンチマテリアルモードに設定し、3斉射して射線上のガン・ルゥを吹
き飛ばした。
 3人のラウンズが率いる部隊に、同盟軍部隊は全滅した。
「エリファレットも早かったね・・・。」
「これでも、ラウンズの一人だからね。新手が来た。」
 スザクに答えながらも、新手に備える

 3機のセンサーが捕捉したのはナイトメアではなかった。
 バミデスという名の、ホバー装甲の巨大な装甲車両だった。
「まだ、使ってたのかよ!あんな物。」
 ジノが驚きのあまり目を丸くする。
「中東ではナイトメアの開発に成功した国はないからね。仕方ないよ。あ、さらに
ナイトメア部隊か、パンツァーベーア。EUの前主力ナイトメアじゃない
か。」
「エリア11に密輸されたったいう、あれか?」
「こっちは正規に購入したんだろうね。EUとしては旧式だし、売ってもいいと考え
たんじゃないかな。中東を取られたら向こうだって他人事じゃないしね。」
 ジノにエリファレットが答えている間に、新たに航空機部隊が現れたが、巨大
な光の槍に3分の1が消滅させられた。

「まず、3分の1・・・。」
 航空機部隊を撃破したナイトメアの名をモルドレッドという。
 ナイトオブシックス、アーニャ・アールストレイムの専用機で、4連装ハドロン砲
の他に多数のミサイルを装備する、火力ならラウンズの中でも屈指の重ナイトメ
アである。
 残りの航空機部隊がミサイルを発射する。が、全てモルドレッドの装備するブ
レイズルミナスに防がれ、逆に多数のミサイルとハドロン砲により全滅させられ
る。
「相変わらず派手だな。アーニャは。ところでクローディアはどうした?」
「もう着いてる・・・。」
 ランスロットら3機の後から、見た目にも重量級とわかるナイトメアが見えてく
る。
「あの手のデカブツはこっちの方が相性いいでしょう。」
 重ナイトメアガレス。ハドロン砲の他強力な武装を装備する、ナイトオブエイト、
クローディア・ガーシュインの専用機である。
「それじゃ、いくわよ。」
 両肩にマウントされている、砲塔型ハドロン砲が発射され、正面のバミデスを
一瞬で破壊する。
 パンツァーベーアとバミデスが、ガレスに必死の攻撃を加えるが、巨体に似合
わぬ機動性でかわし、装備されたブレイズルミナスで防ぐ。
 ガレスがお返しとばかりに、両腕のスラッシュハーケンでパンツァーベーアの
機体を貫く。が、それでは終わらず、装甲の表面が泡立ち機体が破壊される。
 輻射波動。高周波を連続的に照射する事によって敵を内部から破壊する、黒
の騎士団のエース機、紅蓮弐式の主武装を参考に開発されているが、ガレスの
それはスラッシュハーケンを打ち込んで、高出力の高周波を短時間に照射し敵
を破壊する。
「あいかわらず、えげつない装備だよな。それ。」
 ジノが、やれやれと言いたげな口調になる。
「トリスタンの変形能力も、十分怖いわよ。お互い様。」
 ハドロン砲で、残りのパンツァーベーアとバミデスを薙ぎ払い始め、麾下のナイ
トメア部隊も態勢を立て直そうとする同盟軍を蹴散らし始めた。

「ま、何はともあれこれで部隊は片付いたな。な、スザク。」
「ああ・・・。」
 話しかけたジノにスザクは何処か冷めた口調で、そう答える。
 モニターを見つめるスザクの視線は、酷く冷たかった。
 他の戦線の部隊も壊滅し、神聖イスラム同盟はその短命な歴史に幕を下ろし
た。

「お帰りなさい。スザク君。お疲れ様。」
 アヴァロンに帰還したスザクに、セシルがドリンクを差し出す。
「どうも・・・。ランスロットの整備お願いします。」
 受け取ったドリンクを飲みながら、スザクは近くにあった椅子に腰掛けて、ラン
スロットを見た。
 ナイトオブセブンとなった際に、ランスロットはエリファレットの協力を得て改修
が為された。
 補助動力機構の設置等の省電力化、新型エナジーフィラーの採用により稼働
時間は大幅に延長され、操縦系や駆動系もスザクの身体能力に合わせて、徹
底的な改修が行われ、スザクの要求にも充分に答えられる機体になり、新型の
ユグドラシルドライブを装備し、改修前より遥かに性能は向上していた。
 Z−01V2ランスロットver.2。
 これが、改修後のランスロットの正式名称だが、スザクやロイド達は今まで通
り、ランスロットと呼んでいる。
 ランスロットが装備している新型のユグドラシルドライブは、改修への協力の
礼としてエリファレットに提供され、エクターにも装備されている。
『いつもの事だけど、戦いが終わる度にランスロットが血塗られたように見え
る・・・。当然か・・・。所詮やっている事は侵略行為・・・。他人の土地を踏み荒らし
て、守ろうとする人々を殺している。8年前の日本がされた事を、僕は他国にして
いる・・・。ランスロットが血塗られたように見えるのは罪悪感かな・・・?そんな権
利は無いというのに・・・。』
 整備されているランスロットを見ながら、スザクはそう考えていた。

皇帝直属のラウンズの一員になってから一年が経ったが、常にブリタニアの
領土拡張の戦いの尖兵となって、各地の戦線で戦ってきた。
 戦いを経る度に、パイロットとしての技量は磨かれ、指揮官としても成長し
ていった。
 今や重要な戦いでは、必ずスザクが作戦に参加してブリタニア軍を勝利に導
き続け、他国からは「ブリタニアの白き死神」と恐れられる存在にまでなって
いる。
 だが、勝利の度にスザクは、心はさらに凍てつき、浮かべる笑みは人間関係
を維持する為の仮面のように、なっていた。
「スザク君。そろそろシュナイゼル殿下の本隊に合流するよ。いつまでもパイ
ロットスーツのままじゃまずいんじゃないかな?」
 特別派遣嚮導技術部、通称特派はスザクがナイトオブセブンになった事によ
り、組織が改編され名称をキャメロットと変えてスザク専属の機関となってい
る。同時にロイドはスザクの後見人となった。
「そうでしたね。では、着替えてきます・・・。」
 スザクはロッカールームに行く。
「セシル君。本国に戻ったら、定期健診あるよね?」
 ロイドが念を押すようにセシルに聞く。
「はい。ヴァインベルグ卿たちと一緒に。」
 ナイトメアに騎乗する騎士達は、定期的な検診が義務付けられている。無論
スザクたちも例外ではない。
「うちはうちで独自の検診をしてみようと思うよ。特にメンタル面を重視して。幸
い、組織が再編されてキャメロットになったお蔭で、予算は前以上にたっぷりあ
るし、開発中のあれの予算を差し引いてもそれ位捻出できるしょ?」
 ロイドはセシルにそう確認した。
「はい、充分可能です!」
 セシルは嬉しそうに答えた。

「陛下、シュナイゼル殿下より連絡です。神聖イスラム同盟が降伏いたしまし
た。」
 侍従がいつもシャルルがいる場所に、報告に来る。
「ほう、いかにラウンズが5人赴いていたとはいえ、早いな。僅か10日あまりと
はな・・・。枢木がまた暴れまわったか?」
「御意にございます。それともう一つ、枢木卿が最初に侵攻したイラクですが、
やはり例の物が発見されました。既に封印が解かれている事が確認されてい
ます。」
「さすが枢木の直系よ。その周辺に関しては、天領とせよ。その後の統治方針
は、本国での会議にて決定する物とする。ところで、枢木の爵位は何であった
かな?」
「子爵でございます。陛下。」
「ふむ、ラウンズに加わってからの働きを考えれば、さらに上げておいても差し支
えはなかったかもしれんな・・・。もっとも、他の貴族達は不満を漏らしておろう
な。「枢木はナンバーズだから。」と。」
「は、そのようでございます。」
 侍従の答えを聞くと、シャルルは可笑しそうに笑う。
「なかなか笑わせてくれる。わがブリタニアでの特権階級は、有能で国家に貢
献できる者達であって、別にブリタニア人である必要は無い。国是はあるにし
ても、それが永久に変わらぬとは言えぬだろうに・・・。第一、ナンバーズが騎
士になってはならぬと余は言った覚えはないし、国法にも記されてはおらぬ。
貴族にしても又然り。有能である事が第一なのだ。何故、枢木をナンバーズ
であるのにも関わらず、ラウンズに加えたのか考えもしないとは、愚かな者達
よ。」
 侍従は黙って、シャルルの言う事に耳を傾けている。
 ブリタニアは確かに、本国出身者と属領出身者を厳密に区別する国家である
が、頂点に立つ皇帝シャルルは属領出身者であろうとも、有能であれば取りた
ててきた。
 ブリタニアの力の象徴たるナイトメアの開発においても、属領出身者が多く関
わっている。その中で特に際立った功績を残したのが、黒の騎士団の一員とし
て指名手配されている、ラクシャータ・チャウラーである。
 出自に関わり無く有能な者は取りたて、無能な者は切り捨てる。
 皇帝シャルルはそういう人物であった。
「ご苦労であった。下がれ。」
「はっ。」
 侍従が恭しく礼をして、その場を去る。
 しばらく、前を見ていたが愉快そうな表情になる。
「ほう。奇妙だな。自分を殺した相手を、何故そのように信じようとするのだ?
第一、お前が信じようとする男は儂の直属の騎士の一人だぞ。それでもなお、
信じようとするのか?まあ、よかろう。枢木の血が発現した男を我が臣下に出
来たからな。お前たちを日本に送った甲斐があったというものだ。我が息子ル
ルーシュよ。もし、枢木を己が忠実な部下にして、エリア11を完全に手中に
収めたならば、いま玉座に座るはお前であったかもしれんが、残念な事よ。」
 僅かに溜息らしき物を漏らしながら、シャルルはその場所を後にした。

「間もなく、カムランと合流します。」
「本艦の右200にユリエンス。左200にベンウィック。更に後方300にオークニ
ーとペレスを確認。」
 指揮官席に座るスザクは、オペレーターの声を聞きながら前方の浮遊航空艦
を見ていた。
「小型艇の準備整いました。」
 副官でもあるヴァレーリアが、カムランに赴く準備が整った事を知らせに来る。
「解った・・・。」
 スザクがマントを翻して、小型艇に向かう。
「じゃあ、セシル君。僕たちも行こうか。フロートユニットの稼動データも渡さなき
ゃいけないしね。」
「はい。」
 ロイドとセシルも続く。

 カムラン級1番艦カムラン。
 アヴァロン級を改良したこの艦は、2ヶ月前に竣工したばかりの最新鋭艦であ
り、アヴァロンに代わるシュナイゼルの旗艦である。
 浮遊航空艦はアヴァロン級がラウンズ向けに量産され、12隻が就役してい
る。アヴァロン級をスケールダウンして設計されたカールレオン級に大型艦で
あるログレス級も就役しており、航空艦隊は着々と数を増やしている。
 アヴァロン級のネームシップであるアヴァロンはスザクに、ユリエンスはジノ
に、ベンウィックはアーニャに、オークニーはエリファレットに、ペレスはクロー
ディアにそれぞれ与えられ、各部隊の旗艦として使用されている。

「スザク。お疲れ!」
 カムランの格納庫で小型艇から降りたスザクに、ジノが駆け寄ってくる。
「ジノ・・・、場所を弁えて・・・。」
 常に冷徹な表情のスザクだが、ジノは気にも留めずスザクと友人関係を築い
ており、今は最も親密な人物となっている
 そうしているとカメラのシャッター音が聞こえてきた。
「ボーイズ・ラブ・・・。」
 撮った写真をアップして、アーニャが記事を書き始める。
 様々な事を記録して、頻繁にブログを更新するのが彼女の日課である。
「アーニャ、せめて男の友情にしなよ。」
 エリファレットが、苦笑しながらアーニャに言う。
「お年頃かしらね。やっぱりそういうの好きなのかしら。」
 笑いながら、クローディアが小型艇から歩いてくる。
「かもね。そうだ、フロートユニットの稼動データをお願い。」
 今回、ドーチェスターに装備されているフロートユニットは、エリファレットが開
発した物であり、今回の稼動データをチェックした後に、本格的に量産すること
が決定していた。
「いや〜、量産機向けとは思えない性能ですね〜。僕、こういう大量生産向き
のパーツに全然興味持てないから感心しちゃいますよ。さすがに長い間量産機
の開発に携わっていらっしゃっただけの事はありますね〜。」
「ロイドさん・・・。正しい報告の仕方について、後でゆっくり話し合いますか?」
「いえ・・・、忙しいので、遠慮しておきます。」
「さて、行こう。シュナイゼル殿下がお待ちだ。」
 エリファレットに続いて、シュナイゼルの待つ会議室へ向かう。

「今回は、ご苦労だったね。思っていたより早く作戦が終了した。さすがは、我
が国の誇る、最強の騎士達だ。」
 シュナイゼルはそう言って、皆の労をねぎらった。
「恐れ入ります。ですが、今回の最大の功績は、枢木卿にあると考えます。最
初のイラク制圧がスムーズに進み、他の同盟軍に同様を走らせる事が出来た
からこそ、当初の予定より早く進んだと考えております。」
 ジノがそうシュナイゼルに言った。
 スザクと親しい間柄であるが、公私混同はしない人柄で、指揮官としても一
流の彼の言葉はシュナイゼルも受け止めた。
「そうだね。その後も枢木卿の働きは大きかった。他国にとっては「白き死神」
かもしれないが、我々にとっては「白き守護神」だよ。君は。今後も励んでく
れ。」
「もったいなきお言葉。恐悦至極に存じます。」
 シュナイゼルの言葉に、スザクは起立し恭しく礼をしながら感謝の言葉を述べ
る。

「さて、このまま談笑といきたいところだが、話しておかなければならないことが
ある。」
「EUか中華連邦に何か動きが・・・?」
 クローディアがシュナイゼルに質問する。
「どちらもだ。中華連邦はまたなにやら、朱禁城の中が騒がしくなっているらし
い。」
「大宦官達の権力闘争・・・?」
 アーニャがそう尋ねる。
「いや、そうじゃない。その周辺だ。他の宦官たちによる大宦官の暗殺計画が
あったらしい。」
「確かに騒がしくなりますな。らしいという事は未然に防がれたと考えてよいの
でしょうか?殿下。」
 今度はエリファレットが尋ねる。
「ああ、最近頭角を現している一人の武官が主導になって防がれたらしい。総
領事館が前々から目をつけていた人物でね。黎星刻という名だそうだ。これか
らますます頭角を現してくるかもしれないから、頭に入れておいてくれ。」
「「「「「イエス、ユア・ハイネス。」」」」」
「それと、もう一つ。EUが今回の我が国の軍事行動に、危機感を強めたらしい
のか、ベル計画をさらに推進している事が確認された。諜報部が入手した技術
関係の資料を、ロイドとナイチンゲール卿に渡しておく。本国に戻るまで出来る
限り検証してみてくれ。」
 2人にディスクが渡される。
「資料を見てもらえれば解るが、まだ、実戦投入段階までは至っていないと見て
いいだろう。もっとも、これからは解らないがね。」
 エリファレットとロイドにシュナイゼルがそう話す。
「遠征の後だ。ゆっくり休んでもらいたいが、本国に戻ったら会議がある。そのつ
もりでいてくれ。」

 一週間後。本国に戻って定期健診と会議を終えたスザクは、皇族専用の墓地
を訪れていた。
「帰ってきたよ。ユフィ・・・。」
 そう言って、花束を添える。
 嘗ての主だったユーフェミアの墓に、遠征の前と帰還後に必ず行くのがスザク
の習慣だった。
 その時は、いつもの冷徹な表情にはならない。が、酷く悲しそうな眼差しにな
る。
「話せる事は、相変わらずないんだ・・・。せめて、花をと思ってね・・・。」
 何か話をしようと、スザクは賢明に言葉を探すが何一つ見つからなかった。
「じゃあ、行くね・・・。」
 そう言い、立ち去るスザクの表情は、いつもの様な冷徹な表情に戻っていた。
「あ、スザク君・・・。」
 一年前の学生服ではなく、シュナイゼル直属の研究機関の制服を着た一人の
少女がいた。
 ニーナ・アインシュタイン。
 スザクも嘗て通っていた、私立アッシュフォード学園で共に生徒会のメンバー
だった少女である。
 大学を卒業して、今年シュナイゼル直属の核物理学研究所の一員となってい
た。
「お墓参りかな・・・。」
「え、うん・・・。シュナイゼル殿下から許可をいただけたの・・・。」
 皇室の墓地は誰もが入れるわけではない。通常、皇族以外では余程皇族と
の関係が強い者、例えば皇族のかつての選任騎士や腹心ぐらいしか、訪れる
事は許されない。
「そう・・・。」
 ろくに言葉を交わす事無く、スザクはその場を去った。

「あれから資料を再検討してみたけど、やはり機体は試作段階の半ばもいって
いない気がするね。少なくとも空中戦が可能なナイトメアはそう簡単には出来
ない。既存のEUのナイトメアを空中戦も可能にするのは、EUの技術では、ほ
とんど無理といっていい。ナイトメアVTOLを改造してフライトユニットにしても、遅
すぎて戦闘機や対空砲火の的になるだけ。それでも、やろうとするとこのような
感じになる気がするね。」
 エリファレットが予想図を、デスクトップパソコンのディスプレイに表示させて、
ロイドに見せる。
「まあ、確かにこんな感じですかね。でもこれじゃナイトメアもどきですね〜。や
りあったら大負け決定な気がするんですけど。」
「いや、こちらの方がうまくいく気がする。足を畳んで空気抵抗を少なくするぐらい
は可能だと思う。それに、これなら戦闘機の技術をかなり応用できるだろうしね。
ところで通信関係はどう思う?」
「そうですね。むしろこちらの方が展望は明るいと思いますよ。対ECMの技術
開発は元々どの国でもやっていますから、技術者の動員も簡単でしょうからね。
後は研究設備と予算と言うところですか。」
「同意見だね。いずれにせよ、今回の遠征で欧州方面の軍が動員されていたか
ら、フロートユニットの整備に関しての、レクチャーは充分にしてきたつもりだし、
配備されても運用に支障をきたす事は無いと思う。後は、訓練次第だね。エリア
11を基点にして極東方面の軍にも、整備のノウハウを伝えておく事は今後を考
えると大事だ。ああ、スザクお邪魔してるよ。」
 ロイドとエリファレットがベル計画の事に関して意見交換をしている時に、ユー
フェミアの墓参りを済ませたスザクが戻ってきた。
「エリファレット、来ていたのか・・・。」
「うん、ロイド伯爵と意見交換をしていたんだよ。出発は来月だから、準備はして
おいて。」
「ああ・・・。解っている・・・。」
 そう言って、執務室に行く。
「本当は行かない方がいいと思うんだけどね。」
 ティーカップの中の冷め切った紅茶を飲み干して、エリファレットは溜息をつ
く。
「そうも行きませんよ。公務ですからね。」
 スザクはエリア11の駐留軍に対し、フロートユニットを装備した際の戦いのレ
クチャーをする為と、ユーフェミアに関係する式典に出席する為に、エリア11に
行く事になっている。
「式典の出席はコーネリア殿下の頼みだったね。まあ、エリア11は落ち着きを
取り戻したし、あれの実用試験を兼ねるのにも丁度いい・・・。何といってもコー
ネリア殿下の軍は、我が軍の中でも一、二を争う精鋭。ナイトメアでの空中戦に
慣れておくのは、確かにメリットがある・・・。」
 エリファレットの視線の先には、真新しいナイトメアフレームがあった。

 エリファレットが来月に向けての準備を済ませに行くと、セシルがロイドの元に
来る。
「本当に大丈夫なんですか?カウンセリングの結果は、相変わらず『軍人として
責務を全うする以外に関心を示さない。』ですよ。そんな状態なのに、エリア11
に行くなんて・・・。」
 セシルは暗に反対の意を示した。
「仕方ないでしょ。公務だし、実際やらなきゃいけないこともある。それにコーネ
リア殿下と話す機会があるのはいいことだと思うよ。二人とも、ユーフェミア殿下
を亡くなった事の悲しみを強く感じている。ある意味、似た物同士とも言えるよ
ね?話す事で、コーネリア殿下がどうやって喪失感を埋めているのか、スザク君
は見つけられるかもしれないし。」
 ロイドが期待しているのは、スザクがコーネリアと話す事だけだと、セシルは理
解した。
「まあ、似た者同士で話すことも、スザク君には必要だよ。」
 そう言って、コンソールの前に座る。

 ラウンズは全て爵位を与えられている為、無論領地も与えられている。
が、皇帝直属の騎士という性格から、帝都ネオウェルズにも屋敷を持つ。スザ
クはその日の全ての執務と訓練を済ませて、夜に屋敷に戻った。
「誰だ!?そこにいるのは。」
 人の気配を感じて、スザクの視線が鋭くなる。ラウンズや他の重臣の屋敷が
ある区域はブリタニア宮の周辺区域で、夜間には関係ない人間がこの区域に
入るのは通常禁じられている。
 答えが返ってこない事がスザクの警戒感を強め、腰にある剣に手を伸ばす。
「あの・・・、枢木スザクさんですよね?」
『女の子!?』
 警戒しながら近づいてみると、そこにいるのは車椅子に乗った小柄な少女で
あった。
 アッシュブロンドの長い髪と、何より閉じられた瞳が印象的を強い与える。
「たしかに自分は枢木スザクだが、君は誰だい・・・?見覚えは無いが・・・。」
「あの、ある人に連れてこられたんです。ここにいる枢木スザクさんのお世話に
なるようにと・・・。」
 訳が分からずスザクは考え込んだ。
『このままにしておくわけには、いかないか・・・。』
「解った。でも、その前に申し訳ないけどいろいろと調べさせてもらうよ。ここの規
則だからね・・・。それと、君の名前は・・・?」
「ナナリーです。ナナリー・プティレーブといいます。」
 少女はそう名乗った。

「さて、これで役者が揃ったね。ヒロインの登場で、今回の舞台はどうなるか
な?」
 離れたところから、楽しそうにその様を見ている少年をV.V.と言う。
 スザクにギアスの事を教え、ナナリーを連れ出した謎の少年である。
「いずれにせよ。今回の舞台は中々、楽しめそうだね。ちょっと変わった展開に
なりそうだし。」
 そう言って、V.V.はその場を去っていった。

後書き
さて、いよいよAFTER TURNが始まります。
序盤で、スザクが中東への遠征軍に加わっており、ブリタニアの領土拡張政策
の尖兵として、戦っています。
当面の敵である、大国EUも征服されるのを待っているわけもなく、対抗策として
ベル計画とやらを進めています。
中華連邦は星刻が、活躍しています。
皇帝直属の騎士となったスザクは、これらの動きとは無関係ではいられませ
ん。
いずれ、大きな戦いに身を置く事になるでしょう。
尚、ナンバーズが騎士になってはならないと国法に記されていないというのは、
アニメの小説版に書いてあります。
どうやら、ナンバーズが騎士になれないのは、慣習と見ていいでしょう。
そして、行方不明のナナリーが最後に登場しましたが、記憶を失っています。
V.V.が何の意図を、持っているのかが解るのは、これからになりますので、
どうぞ、お楽しみ下さい。
次回はAFTER TURN02 エリア 11です。
ブラックリベリオンから1年後の、エリア11の話です。

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AT始まりましたね!!。
ブリタニアの戦力が、余りにも他国と比べてブッチギリに違い過ぎますね、人材も含めてw。

謎の少年はやはりV.V.でしたか。
現れたナナリーは、と言うよりスザクも含めて記憶を改竄されているのかな?。スザクの凍り付いてしまった心を溶かしてくれるのかな?。そうだといいな^^。

次回はエリア11ですか。
時系列的には今アニメでしているエリア11のアナザーワールドになるのかな。
sora
URL
2008/06/01 23:50
soraさん。
コメントありがとうございます。

>ブリタニアの戦力
 中東諸国は、ナイトメアの開発できなかったよう
ですし、それに加えてラウンズ5人を率いたシュナ
イゼルが相手では、こうなると思いますよ。
 ただ、EUや中華連邦相手では、苦戦も免れない
でしょうね。

>スザクの凍り付いてしまった心を溶かしてくれる
 のかな
 「プティレーブ」という姓がヒントです。
 フランス語の単語をくっつけて作った姓です。

>エリア11のアナザーワールドになるのかな。
 コーネリアが生きていますし、何よりユフィ
の想いを継ぐような政策を実施していますから
ね。

CIC担当
2008/06/03 02:40

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