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zoom RSS コードギアス二次小説 AFTER TURN05 コロンボ の 戦い

<<   作成日時 : 2008/06/30 03:29   >>

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「やめろ!紅月!!今の君が勝てる相手ではない!」
「人の心配をしている場合か!!藤堂!」
 藤堂はギルフォードと戦いながら、ランスロットと戦うカレンに呼びかける。
「藤堂殿、彼女は私が引き受ける。何とか態勢を立て直してもらいたい。」
「星刻殿、済まぬ。お願いする。千葉、残存兵力を再編し態勢を立て直すぞ。」
「承知!!」
 四聖剣のうち残る千葉と共に、藤堂は必死に残存兵力を再編しようとするが、
目の前にいるギルフォードとラウンズらの為に、思うように再編ができなかっ
た。
 策を考えていると、レーダーが新たに敵影を捉える。と、同時にブリタニア軍は
上空に上がる。
「何があった。罠か?あれは!!」
 藤堂の目に映ったのは両側面から襲い掛かる、巨大な光の槍だった。
「全軍、回避!!」
 しかし、全てのドウ・シーがフロートユニットを装備していない為、かなりの数が
飲み込まれる。
「ハドロン砲装備のナイトメアか!!すると・・・。しまった、そういう事
か!!」
 藤堂は自分達が罠にかかった事を知らされた。

「ナイスタイミングだな。アーニャ、クローディア。」
 モルドレッドとガレスが近づいてくる。
「でも、思ったより残った・・・。」
「片付ければいいでしょ。」
 麾下の部隊と共に黒の騎士団の側面から突き崩しにかかる。
「くそ!!」
「よくも!!」
 南と杉山のドウ・シーが、ガレスに襲い掛かる。
「じゃあ、終わりにしましょうか・・・。」
 ガレスは背中にマウントされているMVSを抜く。
 それを見た南達は、近づかずにグレネードランチャーの攻撃に切り替える。
「残念ね。離れていれば大丈夫と考えるのは、早いわよ。」
 ガレスのスラッシュハーケンが、2人のドウ・シーの胴体に突き刺さる。
 そして、輻射波動で装甲が泡立ち、大爆発を起こす。
「有線式の輻射波動だと!?」
「南さん!杉山さん!」
 千葉が驚き、カレンが悲痛な叫びを上げる。
「畜生!!手前ら!」
 玉城がドウ・シーが手にする雁翔刀で、ジノのトリスタンに斬りかかる。
「遅いって・・・。」
 軽くかわすと、MVSで真っ二つにする。
「そんな・・・、俺は官僚に・・・。」
 そう言い残して、玉城のドウ・シーは爆発する。
「くっ!!」
 必死に応戦しながら、千葉が悔しさを滲ませる。
「あんたもそろそろ終わり・・・。」
 モルドレッドが、千葉の月下の左腕を掴む。
「この!!」
 右手の刀でモルドレッドに斬りつけるが、装甲を切り裂く事はできなかった。
「腕、邪魔・・・。」
 さらに右腕を掴むと、一気に月下の両腕を握りつぶして、頭を握りつぶそう
とする。危険を感じた機体がコックピットを脱出させ、そのまま月下はモルド
レッドに破壊された。
「残るは貴様とあの2機のみ・・・。他は烏合の衆だ。終わりだな藤堂。」
 既に、黒の騎士団は壊滅状態となっていた。

「この!!」
 何とか輻射波動でしとめようとカレンは攻撃を仕掛けるが、再びスザクに難な
くかわされる。
「くっ!!」
 左腕のハンドガンを撃ちまくるが、空を舞うようにして、全てかわされる。
「一年間で腕を上げたようだけど、その程度かい・・・?」
「なめるな!!」
 飛翔滑走翼の出力を最大にしてランスロットに迫るが、やはりかわされ、さら
にMVSで左腕を斬り落とされた。
「まだだ!!」
 再び向かってくる紅蓮を迎え撃とうとしたスザクだが、星刻の駆る月下のハン
ドガンの攻撃をかわす為に、後退した。
「紅月殿。大丈夫か。」
「私は大丈夫。それより皆は・・・。」
「脱出した者は手配させた部下に救助させているが、正直多くは無いだろう。
とにかく今はある程度ランスロットの足止めをして、戦場を離脱し生き残る事
を考えるべきだ。」
「でも、沢山死んだ。卜部さんも、仙波さんも、南さんも、杉山さんも、玉城
さんも・・・。」
「今は耐えて、生き延びる事を考えろ。さもなければ、死んだ者達は無駄死に
した事になる。」
「くそーっ!!」
 右腕でランスロットをしとめようとする紅蓮の動きに連動させるように、星
刻も月下でランスロットに向かう。
「カレン、無駄だよ・・・。」
 この一年、過酷なシミュレーションをクリアし続け、実戦で技量を更に磨い
たスザクにはカレンの動きがスローモーションのように見える。
「私もいるぞ。」
 星刻の月下は、ランスロットが回避した隙を狙って、輻射波動が装備された
左腕でランスロットの左腕を狙う。
 ランスロットがかわそうとした時、左腕のハンドガンを撃つ。
 ブレイズルミナスでそれを防ぐランスロットに、すかさず月下が斬りつけよう
とする。
 ランスロットはMVSで、それを受け止める。
『このパイロット、技量はカレンより上か・・・。』
 思わぬ強敵にスザクが気を引き締めた時、背後から紅蓮が迫る。
「このタイミングはかわせないだろ!!」
 狙いは背中のコックピット。確実にランスロットをしとめたと思ったカレンだが、
視界から突如ランスロットが消えた。
「消えた、何処に!?」
 ランスロットの姿を探すカレンの耳に、警告音が聞こえる。
「上!?」
 紅蓮を振り向かせた先には、仙波の月下を破壊した武装を展開するランスロッ
トの姿があり、完全に紅蓮を照準に捕らえていた。
「紅月殿、脱出しろ!!」
 ランスロットにハンドガンを撃ちまくり、それによって生じた僅かな時間で、
カレンはコックピットの脱出レバーを引いて、脱出する。
 次の瞬間には、紅蓮は威力を増したヴァリスの直撃を受けて、爆発した。
『真横に高速で移動しそのままのスピードで上空に逃げるとはな・・・。あれ
程とは思わなかった。「百聞は一見に如かず」とはよくいったものだ・・・。』

「くっ!長くは持たんか・・・。」
 警告音が鳴るコックピットの中で、紅蓮の撃墜を確認した藤堂は額に汗を滲
ませていた。
「藤堂殿。」
「星刻殿か。」
「お互いまだ無事のようだな。もはや、これまでだ。こうなれば、お互い生き延
びる事を考えよう。」
「賛成だ。」
『とは言え、相手が手強い・・・。』
 ギルフォードの駆るヴィンセントの性能もさることながら、ギルフォード自身の
技量の成長に、藤堂は苦しめられ月下は傷だらけになっていた。

「さて、このままでいられるほど、私は素直では無くてな・・・。」
 飛翔滑走翼の出力を最大にして、ランスロットに向かっていく。
「無駄だよ・・・。」
 スザクが迎え撃つ。
 月下がスラッシュハーケンを放つが、ランスロットのMVSが弾く。
 その隙を突いて、月下が斬りかかりランスロットがそれを防ぎ、反撃する。
 上から切りかかってくるMVSを月下が受け流し、ランスロットの胸目掛けて
突きを放つが、ランスロットは機体を逸らしてかわし、左薙ぎを放つ。
 月下が刀で防ごうとするが、タイミングが遅れMVSが装甲を裂く。
「この剣技・・・。やはり、今まで戦った中で間違いなく最強だな。」
 かつてない強敵に星刻の胸は躍ったが、目の前のランスロットにつけ入る隙
が見つからなかった。
「ブリタニアの白き死神。やはり我が国にとって、最強の敵になるか。できれば
ここで仕留めたいが、脱出する隙を見つけるのが先か・・・。」
 一方スザクも、星刻の技量に驚いていた。
「あの一撃、カレンなら間違いなく反応できなかった・・・。藤堂さんでもどうだっ
たか。これほどの使い手が黒の騎士団にいたのか。いや、おそらくは中華連
邦の軍人。とすると、大宦官が始末したがっている反乱分子の一人か・・・。」
 これほどの人材を粛清してでも保身を図る大宦官の欲深さに、スザクは辟易
していたが、レーダーに無数のミサイルが映る。
「まずい、全軍散開しろ!!」
 スザクの指示に、ブリタニア軍は散開しガレスとモルドレッドが、弾幕を張る
が、損害は免れなかった。
「スザク、そっちの損害はどうだ?こっちは喰らったが、戦闘は可能だ。ブレイ
ズ・ルミナスが無ければやばかったけどな。」
「こちらも撃墜は免れた。けれども、エリア13駐屯軍の損害が思ったより酷
い。誰か、援護に行かないと・・・。」
「私が行く。多分今のは潜水艦のVLSから発射されたミサイルだ。タミル人の
部隊だと思う。そっちを潰してくれ。」
 エリファレットが、コロンボの防衛ラインの援護に向かう。

「多少は潰せたな。」
 潜水艦の艦橋で、指示を出していた六十代に差しかかった中華連邦の将軍
が、潜望鏡を下ろしながら、一息ついた。
「星刻に通信を入れられるか?」
「はっ。どうぞ。」
「星刻、聞こえるか?急いでその場を離れよ。逃げる為の時間は儂が稼ごう。」
 来緋剣。中華連邦の将軍だが、反大宦官派の為、星刻と同様に粛清リストに
名を連ねた武人である。
「将軍、お下がり下さい。既に勝敗は決しました。まして、ナイト・オブ・ラウ
ンズが5人もおります。こちらはこちらで逃げます故、急いで撤退してくだ
さい。」
 スザク追い詰められながら、星刻は撤退を進言する。
「ほう。ラウンズが5人と!最後に戦場に相応しいな。」
「将軍!」
「星刻、そなたは生きよ。生きて、天子様をお救い申し上げよ。国と民を頼む。
よいな。では、さらばじゃ。」
 そういって、緋剣は通信を切った。
「龍騎兵隊出撃準備!!上陸した味方の援護に回る!!」
「しかし、将軍。ラウンズが相手ではガン・ルゥでは相手になりませんぞ!今は
ミサイルでの援護に止め。星刻達が戦場を離脱した後、我らも後退を。」
「我等の位置は既に特定されていよう。追い立てられてなぶり殺しにあうだけ
じゃ。ならば、儂は彼らが築く祖国の未来の為に死にたい。」
「将軍、離脱なさってください。発射ポイントを特定されていようとも、今ならま
だ間に合います。」
「藤堂殿か。申し訳ないが、それはできん相談じゃな。これが儂の最後の晴れ
舞台。今更退く気はない。死は覚悟の上じゃ。今は生き延び、若い連中の助け
になってやってくれ。」
「・・・解りました。ご武運を。我ら黒の騎士団を信じてくれた事、嬉しく思いま
す。」
 そう言って、藤堂は通信を切った。
「降りたい者は今のうちじゃ。咎めはせぬ。後方のタミル人の部隊と共に逃げ
るがいい。」
「いえ、将軍がそこまでご覚悟を決めておられるのなら、我々もお供いたしま
す。」
「済まぬのう。後方の部隊には後退指示を、我らは撤退の為の時間を稼ぐ。機
関最大戦速!全バラストタンク、ブロー用意。上陸に備えよ。」
 潜水艦部隊は全速で、コロンボに向かっていった。

「来将軍・・・。敵わぬまでも、腕の一本は貰っていくぞ!!」
 星刻の駆る月下が、全速でランスロットに向かっていく。が、星刻の視界から
ランスロットが突如として消える。
「なっ!何処だ?下か!!」
 スザクはランスロットを急降下し、再度急上昇して月下を狙う。
「この機体の反応速度では無理か!」
 星刻は防ぐのは無理と判断して脱出し、月下は下から真一文字に斬り裂かれ
爆発する。

「藤堂!!」
 ギルフォードの駆るヴィンセントが、MVSを構えて突っ込んでいく。
「くっ!まだ来るか。」
 藤堂が迎え撃とうとヴィンセントに突っ込んでいくが、斬り結ぶ瞬間、ヴィンセ
ントが大きく迂回しながら、繋いでいるMVSを切り離し、片方を月下に投げつ
ける。
「これまでか!」
 藤堂は脱出レバーを引いて脱出し、次の瞬間月下はMVSに貫かれ爆発す
る。
「逃がしたか・・・!」
 迂回の際の強烈なGの影響で荒い息づかいをしながら、ギルフォードは悔し
そうな表情をする。
 そこに、上陸した緋剣のナイトメア部隊が攻撃を仕掛けてくる。
 が、上空から攻撃を仕掛けるナイトメア部隊があった。

「我が名は神聖ブリタニア帝国第二皇女、コーネリア・リ・ブリタニア。もはや貴
様達に勝ち目はない。降伏せよ!」
 コーネリア率いる、本隊が到着した。
「ギルフォード、遅くなってすまなかったな。」
 部下に命じて、エナジーフィラーを交換させ、新しいMVSを渡す。
「申し訳ありません。藤堂を取り逃がしました。」
「よい。今は、目の前の敵を退けるが最優先。その事に専念せよ。」
「イエス、ユア・ハイネス!」

「コーネリア。ブリタニアの魔女か・・・。相手にとって不足はない。全軍魚鱗の
陣を敷け。目指すはコーネリアの首一つ!他の者には構うな!」
「コロンボの駐留軍は、後方に下がれ。クリフトは右翼に、エンドーヴァーは、
左翼にそれぞれ布陣。私とギルフォード、フランドルは中央に布陣する。ラウ
ンズは遊撃部隊として、必要に応じて投入する。敵は死兵となって向かって
こよう。油断するな!」
「「「「イエス、ユア・ハイネス。」」」」
 両軍がそれぞれ布陣を完了し、緋剣の部隊が、コーネリアが布陣する中央部
隊に突撃していく。

 コーネリアのドーチェスターが、ミサイルを発射し数騎のガン・ルゥを撃破しつ
つ、一騎のガン・ルゥをショットランサーで貫き、さらに突進して行く。
 ギルフォードのヴィンセントも、MVSとヴァリスを手にガン・ルゥを撃破して行
く。
「殿下が仰られたように、相手は死兵と化しております。どうかお気をつけ下
さい。」
「お前の主はそれほど惰弱ではないぞ。それに相手はもはや生きて帰るつもり
はないと見える。それほどの覚悟を持って挑むのなら、全力で戦う事が武人と
しての礼と私は思う。」
「申し訳ありません。出すぎた事を申しました。」
「別に責めたわけではない。気にするな。フランドルの部隊に上空からの攻撃
を命じよ。我々はそれと呼応して、敵陣を崩す。」
 ヴィンセントの信号弾を確認して、フランドルの部隊が上空から攻撃を仕掛
ける。

「将軍このままでは、陣が崩れます。」
「後方部隊に、対空射撃を命じよ。上空の敵を抑える。我らは、コーネリアの首
のみを狙う!」
 崩れかけた前衛を再編成しながら、緋剣の部隊は損害を出しつつも突撃を敢
行する。
 しかし、グロースターより性能が向上して、長距離砲を装備しつつも白兵戦
が可能なドーチェスターを主力とし、ブリタニア軍でも指折りの精鋭部隊であ
るコーネリア軍とラウンズ相手に損害は増え続け、コーネリア軍の損害は思っ
たより少なかった。

 限界までカスタム化された専用のドーチェスターを駆り、次々とガン・ルゥを撃
破するコーネリアの前に、緋剣のガン・ルゥが立ちはだかる。
「我が名は、来緋剣。コーネリア殿、お相手仕る!」
『中華連邦においても、かなり高名な将軍の筈。大宦官共め、これほどの人材
を犠牲にしてでも、保身に走るか・・・。』
 報告から、大宦官たちが自分達に歯向かう軍人達を粛清しようとしている事
を見抜いていたコーネリアは、大宦官の自己保身欲にうんざりしていた。
「将軍。お相手仕る。皆の者、手を出す事は許さぬ!!」
 緋剣のガン・ルゥ。コーネリアのドーチェスター。
 2機が同時に動き、交差する時にはショットランサーがガン・ルゥの胴体を貫
通していた。
「今だ!全軍、総攻撃。」
 緋剣を失って浮き足立った軍に、コーネリアは総攻撃を指示する。
 そして、2時間後、緋剣の軍は壊滅した。
 全軍の9割が犠牲になったが、残りは海に自ら飛び込んだ。

「姉上、此度の救援、心より感謝いたします。」
 政庁でコーネリアを迎えた、ジュリアスは礼を述べた。
「いや、お前こそよく持ちこたえたな。」
 自ら軍を率いた経験の無いジュリアスが、予想以上に持ちこたえた事をコー
ネリアは褒めた。
「しかし、さすがはナイト・オブ・ラウンズ。見事な戦いぶりだった。」
「光栄にございます。」
 皆を代表して、エリファレットがそう言った。
「ささやかではあるが、戦勝祝いの席を設けている。今宵は楽しんで欲しい。」
 そう言って、ジュリアスはスザクに歩み寄る。
「貴公が枢木卿か。一度ゆっくり話してみたいと思っていた。こういった形に
なったが、会えて嬉しい。」
「光栄に存じます・・・。」
 スザクが恭しく礼をする。
「此度の働きも見事であったな。さすがに我がブリタニアの誇る、ラウンズの
一人だ。」
「いえ、敵を取り逃がし、申し訳ございません・・・。」
 戦場を離脱した潜水艦部隊を追撃したスザクは、ほとんどを撃沈したが全滅
させるには至らず、何隻か取り逃がしていた。
「よい。此度はこのエリア13を守る為の戦いだ。あの赤いナイトメア、紅蓮とか
いったな。見事に討ち果たしたではないか。これで黒の騎士団の戦力は、大
幅な戦力ダウンを免れまい。再起するにしても、インドは曲がりなりにも中華
連邦の一部。六家の支援も、もはや得られまい。気にする必要はなかろう。」
「はっ。」
 答えながらも、スザクは何処か嫌な予感がしていた。

 戦勝祝いのパーティーでも、スザクは嫌な予感を拭いきれず、パーティー会場
のテラスで、考え事をしていた。
『あの月下のパイロット。一体、何者なんだ?あれ程の腕を持つ者が、そう簡
単に死ぬとも思えない。戦いには勝ったけど、これで本当に終わりなのか?』
 スザクの頭にある男のことが浮かんだ。
『もし、あの男だとしたら。反大宦官派の一人だとしたら、戦場にいたとしても
別に不思議じゃない。そして、初めから負ける戦いだということを前提にして策
を立てるならば、僕なら・・・。』
「どうした、枢木卿。貴公もパーティーの主役の一人だ。こんな所にいなくても
いいだろう。」
 シャンパンが注がれたグラスをスザクに渡しながら、ジュリアスが話しかけて
きた。
「それとも、ナンバーズである事を気にしているのかな?そんな事は考えなく
てもいい。貴公はラウンズとして相応しい武勲を立ててきた。胸を張っていい
はずだよ。」
「お気遣い、ありがたく存じます。そういう事ではないのです。少し考え事をし
ていただけでございます。」
 グラスを受け取りながら、スザクは答えた。
「さっきの残党の事かい?仮に彼らに何かする意志があったとしても、婚儀が
成立すれば問題はないだろう。考えすぎだよ。」
「それは、そうですが・・・。」
「それ程気になるなら、報告書に書いておけばどうだろうか?本国が貴公の考
えを正しいと見れば、中華連邦に警告をしてくるだろうしね。」
「はっ。あの、自分の顔がどうかいたしましたか・・・?」
「いや。貴公は何と悲しい表情をしているのかと思ってね。ユフィの事を思っ
てくれるのは、腹違いとはいえ兄としては嬉しいが、ユフィは本意ではないと
思うよ。出すぎた事を言っているのは解っているんだがね・・・。このエリア13
だけでなく、他の属領でも貴公は希望の星だ。もう少し優しい表情をしてほし
いと思っているんだ。」
 そう言って、待ちを見下ろす。
「貴公の栄達は、他の属領の統治政策にも大きな影響を与えた。我が姉コー
ネリアも統治政策の転換は貴公がいたからこそだと、話していたしね。ナンバ
ーズもエリアによって差はあるが、生活水準は向上し、限定的ではあるけれど
公職にも就けるようになった。それに伴い、テロも少なくなっている。私はこの
エリア13を統治するに当たってはこの地の今までの歴史を踏まえて、以前か
らある争いを和解によって鎮める事に務めてきたが、最初は弱腰だと随分言わ
れた。だが、今は違う。自分が思ったとおりの政策を実行する事の障害も、随
分少なくなったよ。だから、貴公に会ってみたかった。私の前の障害を無くす
のに、大きく貢献してくれた貴公にね。」
「買いかぶりすぎでございます。ジュリアス総督。」
「そんなことはない。貴公はもっと自分を評価すべきだよ。そろそろ戻るとし
よう。」
 ジュリアスとスザクは中に入った。

「エリア13の戦いは終わったか。よく働いてくれるものだな。枢木は。」
 シャルルは侍従から報告を受けていた。
「陛下。枢木卿が報告書に書いている件、いかがなさいますか。」
「シュナイゼルに全て任せよ。中華連邦との件はあれが全て仕切っている。奴
とて無能ではない。枢木の懸念が考えすぎでない事ぐらい、理解できよう。」
「はっ。」
 侍従が去っていく。
「相変わらず見事だね。君のナイトオブセブンは。他のラウンズではこうはいか
ないんじゃないかな?騎士としても、指揮官としても極めて優秀だよ。」
 姿を現したのはV.V.だった。
「まさか、これほどとは思いませんでしたがな。それにしても、陰口を叩く者達
は不甲斐ない。一人として、枢木には及びませんからな。」
「だから陰口を叩くんだろう。それしかできないのだからね。」
「そうですな。」
 シャルルが苦笑じみた表情をする。
「いずれにせよ。彼がラウンズの一人になって、君の計画も実行に向けて随分
前進したじゃないか。その褒美が、君の娘でもあるナナリーかい?」
「ナナリーが望むなら、枢木に嫁がせても良いと考えています。しかし、何故
あのような真似を?他の者の記憶やナナリーの記憶を操作しただけではなく、
貴族のデータベースの改竄までなさるとは、どのようなお考えですかな?」
「おや?君は意外に文学に疎いんだね。記憶を失ったヒロインが記憶を取り戻
した時には、主人公との絆がより深まっているものだよ。もっともこれも、神
根島の遺跡の封印が解かれていたからこそだけどね。」
「ほう。それは、それは。」
「まあ、いずれにせよ。君の計画の邪魔になる事はしないつもりだよ。何しろ、
君以外の皇帝は、この計画を実行しようともしなかったからね。特にあのシュ
ナイゼルは皇帝の座についたとしても、興味すら示さないだろうし。」
 そう言って、V.V.はその場を去った。
『相変わらず変わった方だ。その割には、余のような人間が現れなかったとは、
中々面白い、リカルド皇帝にはまともな人間の血が流れていたという事か。』
 階段を降りながら、シャルルはそう考えていた。
『計画を実行するにしては、まともな血が流れていたのだね。シャルルは。』
 シャルルの考えを見抜いていたV.V.はそう考え、面白がっていた。

「やはり、我等の白の騎士は頼りになる。」
 エリア13の戦闘終結の知らせを聞いたシュナイゼルは、満足そうにコーヒー
を飲んでいた。
「それにしても、あの状況をひっくり返すのに、このような策を用いるとは思いま
せんでした。」
「相手はあの“奇跡の藤堂”だからね。一流の指揮官は、自分と考えるレベル
の策で状況を打開するだろうと、考える事がしばしばある。枢木君はそこをつ
いた。そういう事だよ。カノン。」
 もし藤堂ならば、スザクのように戦力の逐次投入を行わず、戦力を一気に集
中して一気に指揮系統を破壊しようとしただろう。事実藤堂もその可能性は頭
に入れていた。少数の戦力を逐次投入するのは各個撃破の機会を与えるだろ
うから、それはすまいと考えていた藤堂の裏をかいて、まず、ギルフォードに藤
堂を抑えさせてジノ達と共に四聖剣の部隊の指揮系統を破壊。その後、両翼
からアーニャとクローディアに攻め込ませた。
「成る程・・・。仰るとおりですわね。」
 シュナイゼルの言葉に、カノンが苦笑しながら頷く。
「しかし、これで陛下はますます彼を登用なさいますよ。よろしいのですか?」
「その方がこちらとしても都合がいい。構わないさ・・・。ところでポルトガル州
の戦闘はどうなっているかね?」
「ナイトオブイレブンが加わってから、我が軍が優勢です。攻略が終了するま
でそれほど時間もかからないでしょう。」
「結構。なにしろ推薦したのは私だからね。枢木君とまでいかなくともそれな
りに功績を立ててもらわないとね。せっかくの手駒だ。頑張ってもらおう。」
「ルークはこちらの手駒ですけど。果たしてナイトはこちらの手駒になります
でしょうか。」
「するさ・・・。手はあるしね。」
 余裕の笑みを浮かべながら、シュナイゼルは新たに淹れられた、コーヒーを
口にする。
「ところで中華連邦の件、いかがなさいますか?」
「大宦官たちに警告をしておいてくれ。保身に長けたお歴々だ。頑張ってくれ
るだろうさ。」

「スザクさん!」
「ナナリー・・・。」
 一週間後、戦いの後始末を終えたコーネリア達はエリア11に帰還したが、
ナナリーが来ていた。
「どうして、ここに?」
「すいません。なかなか帰っていらっしゃらなくて、心配になって・・・。」
「そう、ありがとう・・・。」
 スザクはそう礼を言ったが、素っ気無く感じられ、ナナリーの表情が少し悲
しげになる。
「とりあえず、貴公らはホテルに戻って休むがいい。此度の事、ご苦労であっ
たな。」
「「「「「はっ。」」」」」

「ま、何にしても、戦いは勝ったし、まずはめでたいな。とりあえず乾杯とい
こうぜ。」
「だね。ああ、ナナリーさんはワインは駄目だよ。アーニャもね。」
 ジノ、エリファレット、スザク、クローディアのグラスにはワインが注がれ、アー
ニャとナナリーのグラスにはアップルジュースが注がれる。
 ホテルに戻ったスザク達は、ささやかながらもスザクの部屋で祝いを兼ねた
食事をしようとしていた。
「それでは、今度の戦いの勝利を祝って、乾杯。」
「「「「「「乾杯。」」」」」」

「スザクさん。今度の戦いでも大活躍したそうですね。」
「そんな事は無いよ・・・。皆が協力し合えたからこそ勝利できたんだから。」
「何言っているのよ、スザク。別に貴方一人でもどうにかなったんじゃない。」
「買いかぶりすぎだよ。クローディア・・・。」
 クローディアの言葉にスザクが苦笑しながら答えるが、その笑みはどこか作
り物めいていた。
「そういえばスザクさん。また勲章が授与されるそうですね。おめでとうござい
ます。」
「ああ・・・、ありがとう。」
 ナナリーにスザクは笑顔を向けるが、向けられたナナリーはスカートを握り
締めて俯く。
「そういや、先月ナイトオブイレブンになったアンジェリーナ、ポルトガル州の戦
いで頑張っているって聞いたぜ。ほら、スザクが御前試合で相手したあの娘。
あの後、随分猛特訓してたみたいだぜ。」
 ナナリーの表情を見たジノが、話題を変えた。
「ランスロットとユーウェインじゃ機体の性格が違うからね。あの時はユーウェイ
ンにとって組み合わせが悪かったのも有利に働いた。実戦だとどうなるか解ら
ないよ・・・。」
 微笑みながら答えるスザクだが、作り物めいた印象の笑顔は変わらなかっ
た。

「どうしてですか・・・?」
「ナナリー・・・?」
 俯きながら悲しそうにしているナナリーに、スザクは声を掛ける。
「どうして、嬉しそうにしないんですか!?どうして、楽しそうにしないんです
か!?いつもそうです!スザクさん笑っているけど、全然笑っていません!!
ただ顔が笑顔の形になっているだけです!!どうして、ちゃんと笑ってくれない
んですか!?」
 ジノは掌で顔を覆い、エリファレットは溜息をつき、クローディアは苦い表情に
なり、アーニャも批判するような視線をスザクに向ける。
「僕が・・・、ちゃんと笑っていない・・・?そんなこと無いだろう?笑う時は、ちゃ
んと笑っているよ。」
 半ば愕然としながら、スザクが答える。
「だったら、ちゃんと笑ってください!私は目が見えません。けれど、雰囲気で
解ります!!スザクさんが笑っている時、笑ってる感じがしません!暖かくあ
りません!!」
「そんな事・・・、ないよ・・・。」
 スザクが辛そうな表情になる。
「お願いです!ちゃんと笑顔になってください!!私・・・、私・・・、そんなスザ
クさんをこれ以上見ていたくありません!!」
 ナナリーが激しく泣きじゃくる。

『暖かくない?僕の笑顔は、笑顔じゃない?』
 ナナリーに反論できず、スザクは愕然としていた。
「食後のコーヒーも飲んだし、今日はお開きにしましょう。ナナリーさんには、
部屋を手配させておいたから、そこで休んでもらう。私が連れて行くわ。」
 ナナリーを宥めて、クローディアが泣き続けるナナリーを部屋に連れて行く。
「スザク、お前、一度笑っている自分の笑顔を、鏡で見てみろよ。ナナリーの
言っている事が正しいって解るぜ。」
 ジノが真剣な表情で、スザクにそう言った。
「そう・・・、するよ・・・。」
 スザクがバスルームに向かう。
「あれ・・・、おかしいな・・・。笑っているつもりなのに、笑って・・・、ない・・・、
よ・・・。」
 洗面台の鏡の前で笑顔になったスザクは、作り物めいた自分の笑顔を見て、
呆然とし頭が真っ白になった。
「いつから・・・、僕は・・・、こんな風になってしまったんだ・・・。」
 どうすればいいか解らず、スザクは洗面台の前に立ち尽くした。


後書き
エリア13を巡る戦いは、ラウンズとコーネリアの軍が駆けつける事によって、
ブリタニアの勝利です。
黒の騎士団は、カレンの紅蓮、藤堂の月下が撃墜され、その他の人的損害も
大きいです。
無論、このまま黒の騎士団が終わる事はありません。
今回の戦いが敗北することは、藤堂も解っていたのですから。
今後の黒の騎士団はどうなるか。
それはこれから、明らかになっていきます。
最後は、ナナリーですね。
スザクが笑顔も忘れて、冷徹なままでいる事に絶えられず、遂に感情を爆発さ
せて、それが切欠でスザクは今自分がどんな状態かを知る事になりました。
今のままでは、ナナリーは悲しみ続けるだけ。
スザクはどうなるでしょうか?

次回AFTER TURN06 スマイル アゲイン
久しぶりに、ある人物が登場します。

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