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zoom RSS コードギアス二次小説 BEFORE TURN04 新たなる 道筋

<<   作成日時 : 2008/05/18 16:05   >>

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東シナ海会戦における両軍の被害は、中華連邦側が動員艦艇59隻の内、無
事本国に帰還した艦艇は無く、拿捕された7隻以外は全て撃沈された。
 地上戦に動員したナイトメアは81騎でブリタニア軍を上回っているが、本来の
数の約4割程度である。陸上の決戦においてはナイトメアも69騎が破壊され、
12騎が捕獲された。装甲車両はほぼ全滅している。
 一方ブリタニア側の損害は、増援艦隊に被害はほとんど無く、航空機が5機撃
墜された程度である。
 ギルフォード率いる駐留軍の損害は、ナイトメア72騎の内地上戦で撃破された
のは僅か6騎。海兵騎士団も撃破されたのは7騎であり、損害らしきものは無か
った。
 シュナイゼル率いる派遣軍はカゴシマ港に入港し、駐留軍と合流した。

「ギルフォード、今回はよくやってくれたね。さすがは、コーネリアの騎士。見事
な手際だったよ。」
「光栄です。シュナイゼル殿下。」
 話していると瑠璃色のマントを羽織ってナイト・オブ・ラウンズの軍服に身を包
んだ、エリファレットが歩いてきた。
「あれが、ナイトオブフォーか・・・。」
 駐留軍の騎士達の視線がエリファレットに、向けられる。12人しかいない皇
帝直属の騎士は世界各地の戦線で戦っているが、何処に行っても注目の的
だった。
「現在、我が主コーネリア殿下になりかわり指揮を取っているギルバート・G・
P・ギルフォードであります。」
「ナイトオブフォーエリファレット・ナイチンゲールです。見事な指揮でした。さす
がにコーネリア殿下の騎士といったところですね。」
「恐縮です。ですが、今回の作戦の、最大の功労者はあそこにいる枢木卿で
す。枢木卿、ちょっとよいかな。」
 呼ばれたスザクが、駆け寄ってくる。
「お呼びでしょうか?ギルフォード卿。これは、シュナイゼル殿下!」
 シュナイゼルの顔を見るなり、スザクは姿勢を正す。
「久しぶりだね。今回の働き、ギルフォードから聞いているよ。作戦立案から戦
場での戦いぶりまで、実に見事だ。」
「光栄です。殿下。」
「あは。お久しぶりですね〜。シュナイゼル殿下。」
「君も変わっていないね。ロイド。」
「恐れ入ります。」
 そう言いながら、ロイドの視線はレクレールに向けられている。
「余程、エクターに興味があるらしいね。ナイチンゲール、案内してやってくれ。
私はギルフォードと少し話す事があるから。」
「はっ。」
 エリファレットは、ロイド達をレクレールの格納庫に連れて行った。

「いやぁ〜。これが新型ナイトメアエクターですか。アヴァロンから戦闘を拝見さ
せていただいていましたけど、凄い性能ですね〜。さすがにグラスゴーからナ
イトメアの設計に携わってこられた事はありますね〜。」
 エリファレットはグラスゴーの開発時からナイトメアの設計に携わってきた技
術者でもあるので、ロイドも彼の事は知っていた。
「どうも。ワンオフ機を作るのは初めてだったけど、いい機体に仕上がったよ。と
言っても、ランスロットのデータに助けられたし、何よりガニメデの設計思想をか
なり盛り込んだから、かなりピーキーな機体になってしまったよ。本当はドーチ
ェスターのカスタム機を使うつもりだったんだけどね。」
 そう言って、データを呼び出す。
「これが、カスタムタイプ。こっちはエースパイロット用として考えたもの。そして、
こっちが私が使おうと思っていたカスタム機になる。」
「まあ、確かに性能はかなり向上していますね〜。第五世代の中では群を抜く
性能でしょうけど。皇帝陛下をお守りするラウンズとして使用するには性能がち
ょっと足りてない気がしますよ。」
「まあ、そういうことでね。結局、こちらは設計が終了しているもののそれ以上は
進んでいない。結局エクターを作る事になった。ランスロットのデータを参考にし
ているけど、他はいままで蓄積したノウハウや新しいアイデアを全て注ぎ込ん
でいるよ。」
 聞きながら、ロイドはエクターの方に装備されている楯状の装備に目を向け
ていた。
「あの肩に装備されているのは、新型のブレイズ・ルミナスですか?戦闘を見
ていた限りだと、随分今までとは違うようでしたけど。」
「さすがだね。あれは試験段階。着弾時にのみ作動させて、エナジー消費量を
減らすという概念からスタートしている。今回のデータとあわせれば、量産機に
搭載可能になる。元々、それを目的にしているしね。エクターは私の専用機だ
が、HSLライフルと反応型ブレイズ・ルミナス、それに操縦系統は量産機の為
の新装備として開発して、エクターでテストしているからね。」
「すると実験機的な意味合いも持っているのですか?ナイチンゲール卿。」
 セシルも興味を持っていたので、尋ねてみる。
「そういう意味合いもあるかな。まあ、今まで量産機の開発に携わっていた
し。どうしても、量産機の為の装備を考えてしまってね。」
 そう言いながら、肩を竦める。
「もっとも、これからはもう量産機の開発に携わる事は無いだろうね。」
 どこか寂しそうな目でドーチェスターを見る。
「ああ、そうだ。枢木卿の意見も聞きたいな。エクターをどう見る?」
 興味深そうな目で、スザクを見る。
「良い機体だと考えます。あの高機動性ですから乗りこなすのは大変でしょう
が、優れたパイロットが搭乗すればこの上なく心強い味方となるかと。」
「光栄だね、貴公にそういってもらえるとは。それにしても大したものだよ。あの
ランスロットを、あそこまで乗りこなすパイロットがいるとは思えなかった。完成
したのは私がエクターの開発を始めた頃だったけど、パイロットが見つからなく
て特派は苦労していたからね。それを考えると、エリア11に来たのは良い事
だったかな。」
「ええ〜。そりゃもう。彼ほどのパイロットは、中々いませんよ。」
 エリファレットにスザクの事を褒められたロイドは、上機嫌で答えた。
「極めて少数だろうね。枢木卿を侮蔑するパイロットで彼に勝てるのは、まずい
ないだろう。」
「恐縮です。自分はそろそろ自室に引き上げたいと思いますが、よろしいでしょ
うか?」
「ああ、そうだね。戦闘の後だし、ゆっくり休むといい。」
 一礼して、スザクは自室に引き上げていった。

「どうだね?ロイド。エクターの感想は?。」
「いや〜。殿下もお人が悪いですね〜。こんな高性能機を持ってナイト・オブ・ラ
ウンズまで連れてきたのに、一切連絡がないんですから〜。」
「アスプルンド少佐。殿下の御前だ。先程からの口調、目に余るものがある。
控えよ。」
 ギルフォードが、ロイドを嗜める。
「構わないよ、ギルフォード。昔からこのような感じでね。ところで枢木君は何
処にいるのかな?話がしたかったのだが。」
「スザク君なら、いまはアヴァロンに戻っていまがすが。」
「何!?」
 それを聞いたギルフォードが、険しい表情になる。
「いつ戻ったのかね?」
 シュナイゼルもセシルに聞く。
「つい先程ですが・・・。まさか・・・。」
 セシルの顔色が変わる。
「まずいね・・・。トウキョウ租界に帰還するまでは、大丈夫だと思っていたん
だけど・・・。」
 ロイドも表情が険しくなる。

 自室に戻ったスザクは胸にある騎士章を外して、デスクの上に置いた。
 デスクの上にあるそれをじっと見つめる。
 騎士の証たる美しい階級証は、今のスザクにとって罪の証だった。守るべき
主君たるユーフェミアを守る事が出来なかった罪の証・・・。
 特区日本は、世界の変化の切欠になるはずだった。
 時期尚早だとしても、切欠の一つになり世界が変わり始める事を、スザクは
願っていた。
 長い時間がかかるとしても、いずれブリタニア人であろうとなかろうと平等
に暮らせる世界に変える切欠にするべく特区構想の実現に、政治に不慣れな
ユーフェミアが奔走していたのをスザクは傍で見続けていた。
 それを見て、スザクは彼女を守るという誓いを新たにしていた。
 にも関わらず、スザクは守るべき主君ユーフェミアを守れなかった。そして、
彼女は魔女とまで呼ばれるようになった。
 その真犯人ゼロを討ち、汚名も雪いだとはいえスザクの罪悪感は消えなかっ
た。
 ユーフェミを守れなかった事に対する責を負う事も無く、自分は出世して貴族
にまでなっている。
 取り外した貴族としての証である金のバッチ。それを机の上において、騎士
の叙勲の際に与えられた剣を鞘から静かに抜き、目を閉じて頚動脈に当てる。
『ごめん、ユフィ。やっぱり僕は君の分まで学校に行く事は出来ない・・・。生き
る事も出来ないよ・・・。そんな資格はないから・・・。』
 かつて、体を走った熱い衝動も無かった。
 今は、生きたいとは思えない。そのせいだろうとスザク考え、剣に力を入れ
た。

「そこまでだ!!枢木卿!!」
 ロックされた扉をマスターキーで開けて、ギルフォード達が入ってきた。
「ギルフォード卿、シュナイゼル殿下。それにロイドさん達まで・・・。」
 部屋に入ってきた四人の後ろで、エリファレットは沈痛な面持ちでスザクを見
ていた。
「枢木卿、貴公はコーネリア殿下のお言葉を忘れたか!?今後も励めとのお
言葉に背くか!?」
 ギルフォードの視線を受け止めながら、静かにスザクは話し始める。
「忘れてはおりません。ですが、自分はユーフェミア殿下をお守りする事が出来
ませんでした。主を守ってこそ騎士であると自分は考えます。自分には騎士の
資格も、ましてや昇進し爵位を賜る資格などありません。義務を果たせなかっ
た事に対し詫びるには、これしか思いつきません。どうかこのままお見逃し
下さい・・・。」
 そういったスザクの襟元をギルフォードは掴んだ。
「貴公の罪をユーフェミア殿下はお責めになられたのか!?」
「いいえ・・・。」
「では、亡くなられる間際に貴公に何と言った?答えよ!!」
 そういわれたスザクは沈痛な面持ちで答えた。
「自分に逢えて本当に、その後は聞いておりません。その時に殿下は亡くなら
れました・・・。」
「君に逢えて良かったと。そうユフィは言いたかったと思うよ・・・。」
 そう言って、シュナイゼルはスザクの襟元を掴むギルフォードの手を、放さ
せた。
「たしかにユフィは死んだ。だが、君を責めたわけではないだろう?」
「はい・・・。」
「ユフィは君を恨んではいなかった。私はそう思えるよ。いや、特区構想はむし
ろ君がいたからこそ、考えたのではないかな?君を通じて、エリア11を見る事
により、自分にできる事を見つけて、そして実現しようとしたのが特区ではない
かと思っている。切欠となった君が死んだら、ユフィの想いを知る者はこの世か
らいなくなってしまう。ユフィの想いを一番理解していたのは、他ならぬ君だろ
う?ならば君は生きるべきだ。ユフィの想いをこの世から無くさぬ為にも、そし
てその想いを受け継ぐ為にも・・・。」
「自分には資格がありません・・・。」
 うなだれて、スザクが言った。
「私はそうは思わない。それに、ユフィは君が死ぬ事を望んではいないはず
だ。だから、生きるべきだ・・・。いや、生きて欲しい。つらくとも、苦しくと
も・・・。」
 剣が床に落ちた音が、部屋に響いた。
「では自分は罰せられる事はないのですか?主君を守れなかった罪を、いか
にして償えばよいのですか・・・?」
 皆の表情を見て、エリファレットがスザクの傍に行く。
「では、こうしよう。貴公の気持ちをギルフォード卿を通してコーネリア殿下に伝
えていただき、その上で改めて裁いていただく。ギルフォード卿、シュナイゼル
殿下。それで如何でしょうか?」
 エリファレットは2人を見た。
「解りました。コーネリア殿下には、私がお話します。枢木卿、その時はいかな
る裁きにも従うか?」
 ギルフォードがスザクを見る。
「はっ。」
「では、そうしよう。枢木君。それまではこのような真似はしないようにな。」
「イエス、ユア・ハイネス。」
 後でセシルが胸を撫で下ろし、ロイドが小さく溜息をつく。

「嫌な予感が、当たったか・・・。」
 憂鬱そうな表情でギルフォードが呟く。
「すると、ギルフォード卿はこうなるかもしれないと、予測していらっしゃったわけ
ですか?」
 セシルが驚いたように、ギルフォードに尋ねる。
「ああ、幕僚会議の前からな・・・。」
「どうにか、最悪の事態は免れたがね。後は、コーネリア次第か・・・。」
 シュナイゼルが呟く。
「シュナイゼル殿下はどう思っていらっしゃるんですか?」
「枢木君の責任を追及する必要はないよ。もしあるなら、コーネリアがとっくに
しているさ。とにかく後はコーネリアが枢木君の事をどう見ているかだね。それ
によって、彼が今後どうするかが決定すると言ってもいいだろう。」
 ロイドにそう答えて、シュナイゼルは考え込むような表情をする。
「生きる目的を見つけるような、裁きを下していただければよいのです
が・・・。」
「ナイチンゲール卿は、スザク君を気に入っているんですか?」
 セシルが、エリファレットに尋ねる。
「若いが良い騎士だよ。いまはあの状態だけど、人間としても好感は持てる
よ。とても実直な性格なんだろうね。でなければ、ユーフェミア殿下の後を追っ
て自害しようとはしないだろう。何とか生きる目的を見つけてくれると嬉し
い。」
「そうですね・・・。私もそう思います。」
 掌を握り締めながら、祈るようにセシルが言う。

 病室に設けられた通信スクリーンで、コーネリアはギルフォードから東シナ海
会戦の報告を聞いていた。
「此度の戦い、よくやってくれた。これで、中華連邦も余計な行動は慎むだろ
う。後の外交は兄上にお任せするとしよう。」
「はっ。」
「枢木はどうだ?一個中隊を任せたと聞いたが。」
 騎士として優れた武勇を持つ者が、優れた指揮官の素質を持つとは必ずしも
言えない。コーネリアもその事をよく解っていた。
「先陣として見事な働き振りでした。充分に指揮官としての素質を持っていると
考えます。現在は一個中隊を率いていますが、いずれ一個大隊の指揮官も務
まるかと。」
「成る程、指揮官としての素質も持ち合わせているか・・・。、此度の戦いでは
敵の旗艦を撃沈し、艦隊の指揮系統を破壊したという武勲も挙げている。先陣
としての戦いぶりと合わせて、昇進させぬわけにもいくまい。その際には、さら
に一個中隊を麾下につけよ。詳細は任せる。」
「イエス、ユア・ハイネス。ですが、その前にお伝えしなければならぬ事がござ
います。」
 ギルフォードの表情を見て、コーネリアが不審そうな表情をする。

「そうか。そのような事があったのか・・・。」
 スザクの自殺未遂の件を聞いて、さすがにコーネリアも驚いた。
「申し訳ありません。私がもう少し、気を配るべきでした。」
「そなたのせいではあるまい。その点で言えば私も同罪だ。私が知る限りの枢
木と違っていた事を考えていなかったからな。で、今はどうしている?」
「アヴァロンの自室から出ようとしません。」
「謹慎を命じたのか?」
「いえ、自らそうしております。」
『ユフィの存在はあの男にとって、それ程大きかったのか・・・。憶測に過ぎぬ
が、ユフィにとってもそうだったのやも知れぬな・・・。』
 コーネリアは暫く考え込んでいた。
「コーネリア。ちょっといいかな?」
 気付かぬ間に、通信スクリーンにはシュナイゼルが映っていた。
「これは、兄上。失礼いたしました。」
「いや、詫びるには及ばない。それより、ある物を見つけた。」
「ある物とは・・・?」
「通信の記録だよ。そちらに送るから、聞いてみて欲しい。枢木君とユフィの関
係について参考になるはずだ。」
 少しして病室の端末にデータが送られてきたので、コーネリアは再生した。
 それは澤崎の乱の際の、ユーフェミアのプライベート通信の記録だった。
『そうか、ユフィお前は枢木の事を・・・。』
 何故、スザクがあれ程冷徹になったのかを、コーネリアは理解した。
「枢木に関しては、改めて私が裁きを下します。その時までは、兄上の命に従
うよう言い渡しておいて下さい。」
「解った。それとコーネリア、頼みがある。」
「何でしょうか?兄上。」
「何とか彼に生きる道筋を示してやって欲しい。彼は国にとっても、私達にとっ
ても、恩人だからね。」
「承知しました。」
 通信スクリーンは消えた。
「これで打てる手は打った、本国からの返答とコーネリアの決定。彼の生きる
道筋になるよう祈るしかない。」
 傍にいるギルフォードに、シュナイゼルは言った。

 東シナ海会戦で勝利を収めたブリタニア軍は、アヴァロンに移ったシュナイゼ
ルと共に翌日トウキョウ租界へ帰還した。
「ギルフォード、此度の戦い誠に大義であった。」
「身に余るお言葉でございます。」
 畏まるギルフォードを見て、コーネリアは小さく笑う。
「そう畏まらずとも良い。楽にしろ。」
「はっ。」
 跪いていたギルフォードが立ち上がった。
「枢木、見事な戦いぶりだったな。先陣として一個中隊を率いての働き、誠に
見事だった。敵艦隊の旗艦を撃沈した事も加えて、ギルフォードに劣らぬ武勲
と言えよう。」
「もったいなきお言葉にございます。」
 跪いているスザクが、一層頭を下げる。
「だが、一つ聞いておかねばならぬ事がある。何故、自害しようとしたのだ?そ
れ程の罪を貴公は犯したのか?答えよ・・・。」
 静かだが、厳しい口調でコーネリアがスザクに問う。

「我が主君たる、ユーフェミア殿下をお守りする事が出来ませんでした。あまつ
さえ殿下の優しさは踏みにじられ、ゼロによって魔女にされました。全ては殿
下をお守りする事が出来なかった自分の罪です。それに対し償う方法は、自害
する事しか浮かびませんでした。何卒、自分に死をお与えいただきたく存じま
す。」
 しばらくして、コーネリアが口を開いた。
「貴公に問う、それ程死にたいか?」
「それ以外に、罪を償う方法を自分は知らないだけでございます。」
「ユフィは、貴公に自分の後を追って死ねといったか?」
「いえ・・・。」
「私の言葉を忘れたか?」
「忘れてはおりません・・・。」
「では、何故命を絶とうとするか!?私は言った筈だ、今後もブリタニアの騎士
として励む事をユーフェミアは望んでいるだろうと!!それとも私の言葉など貴
公にとっては大した事ではないと申すか!!」
「そのような事は、断じてありません・・・。ですが、自分は生きたいと思っても生
きる資格など無い人間なのです。父を殺したあの日から・・・。」
 コーネリア達がスザクの言葉の意味を理解するまで、暫く時間を必要とし
た。

「貴公の父とは、ニホン最後の首相枢木ゲンブのことか?」
「はい。」
「何故、殺した。」
「父は、ブリタニアと取引をして、相応の地位を保証してもらうつもりだった
事を知ったからです。一国の首相が、国を売り地位を得るなどもってのほか。
故に、自分は父を問い詰めました。しかし、父は聞く耳を持たず・・・。気がつい
たら、自分はナイフを握っていました。そして父を・・・。」
 皆が驚く中、コーネリアが口を開いた。
「その事を、ユフィは知っていたのか?」
「はっ。キュウシュウに出陣する前に、お話しました・・・。」
『成る程、規律にこだわるのはそういう事か・・・。』
 シュナイゼルは、スザクの性格の一部を理解した。
 枢木首相の死後、政府は混乱し戦力を有効活用できなかったことは、シュナ
イゼルも聞いていた。
 だが、枢木首相の死因がこのような物だとは、さすがにシュナイゼルも考え
つかなかった。
 スザクが抱え込んだ闇を知って尚、スザクを受け入れたユーフェミアは、まさ
に未来への灯火だったであろうと、シュナイゼルは考えた。
「それでも、ユフィは貴公を己が騎士として認めた。何故か解るか?」
 沈黙の中、コーネリアが静かに聞いた。
「自分を必要としてくださったからだと・・・。」
「そうだな。そして、貴公を騎士として相応しい人間と思ったからだ。それ
に・・・。」
「それに、何でございましょうか?コーネリア殿下。」
 コーネリアの口調に疑問を感じて、スザクは尋ねた。
「ユフィはお前を好いていたのだろう・・・。サワザキの乱の際のプライベート通
信からその事がよく理解できた。ユフィは貴公に守って欲しかったのだ。そし
て、死ぬ間際でも貴公に生きて欲しいと願ったのだろう。貴公は主君の願いを
無視するのか?」
 スザクは何も答えられなかった。
「いや違うな。貴公は逃げようとしているだけだな。死に逃避しているに過ぎ
ん。生きて欲しいと思う者の願いに耳を傾けず、ひたすら死と言う安楽を求めて
いるに過ぎん!騎士たる者死を覚悟せねばならぬが、貴公は死を求めていた
だけに過ぎん!それでよく今までユフィの騎士を務めていたものだな!!貴公
のその考えは、ユフィの選択を辱める事に何故気づかぬか!?」
 コーネリアの言葉にスザクは一切反論できなかった。
「申し訳ございません・・・。」
 ただ詫びる事しか、スザクは出来なかった。
「では、私の貴公に対する裁きを言い渡す。」
『もう、騎士でもなくなるだろうね。当然だ、元々そんな資格は無いのだから。』
「勝手に死ぬ事は許さぬ。生きよ。」
 コーネリアは静かにそう言った。

 驚いて顔を上げたスザクに、コーネリアは話す。
「ユフィは貴公に生きて欲しいと思っていた。ならば、そなたは生きなければな
らぬ。それもまた騎士の忠義。そして、このエリア11の平穏も願っていた。そ
の為に生きそして戦え。そしてその後は、ブリタニアと全ての属領の民の為に
戦え。ユフィの願った世界になるまでな。それまでは決して死ぬ事を許さぬ。
良いな・・・。」
 コーネリアの言葉の意味を理解してスザク答えた。
「イエス、ユア・ハイネス・・・。」

「さて、私からも伝える事がある。枢木君、本国から君の行動に対しての、通
達事項がある。今回の自害しようとした行為に免じて、今後一切ユフィの死に
ついて咎める事は無い。また、ギルフォード卿と共にリカルド勲章が授与され
る。」
 シュナイゼルの言葉に、スザクを含めて周囲の人間は驚いた。
 リカルド勲章は最高位のアルウィン勲章に続いて、国家への大功があった人
間に授与される勲章であり、帝国の貴族社会においてもかなりのステータスに
なる。
 今は貴族とはいえ、ナンバーズであるスザクに与えられると考える者はいな
いだろう。
「枢木君、いや枢木卿。今回の武勲、実に見事だ。この点だけでもユフィが君
を騎士に選んだ事は決して間違いではなかったと、私は考えている。だから、
自害などしようとしないでくれ。君の働きによって救われた人間も確かにいる。
その事を胸に留めて、今後も励んで欲しい。」
「はっ、誓って必ず。」
 スザクの答えに、シュナイゼルは微笑みながら頷いた。
「私からも、伝える事がもう一つある。」
 再びコーネリアが、スザクに話し始める。
「何でございましょうか?」
「汝、枢木スザクを大佐に任命し、麾下にナイトメア一個中隊をさらにつける。
今後エリア11に平穏を取り戻す為に、テロリストの掃討に力を尽くせ。」
「イエス、ユア・ハイネス。」
 皆が胸をなでおろした。

「シュナイゼル殿下。それでは私は先に本国に戻らせていただきます。向こう
でやる事も残っていますので。」
「ああ、そうだったね。此度の戦いご苦労だった。」
「光栄にございます。では失礼いたします。」
 スザクの道が決まった事に安堵したエリファレットは、本国に戻る為に軍用
空港に向かう。
「さて、それでは私も戻るとしよう。今回の中華連邦との戦いを終わらせる会談
に望まねばならないからね。」
 シュナイゼルが病室を出ていった。
「枢木卿、貴公も特派の者達のところに戻って、安心させてやれ。特にクルー
ミー大尉は、心配していたぞ。」
 ギルフォードがスザクにそう言った。
「それでは、失礼いたします。」
 スザクも病室を出た。
「ギルフォード、今後のエリア11の統治政策について文官たちと共に草案を
纏めよ。但し、国是を守りつつもイレブンや名誉ブリタニア人の権限を大きく
しろ。枢木の助言があれば問題なかろう。ユフィが何を思い願っていたのかを
一番知っているのだからな。纏まり次第、私のところに持って来い。」
「イエス、ユア・ハイネス。」
 ギルフォードも病室を出た後、医師の診察を受けてコーネリアは横になっ
た。
『ユフィ、お前はもうこの世にはおらぬが、枢木が必ずやお前の想いを受け継い
でくれよう。だから、安らかに眠ってくれ。』
 そう考えながら、眠りについた。

 スザクは特派の専用スペースに戻りながら、これからの事を考えていた。
『もう、ユフィは戻らない。でも、僕が本当にユフィの想いを継ぐ事ができるとす
るなら・・・。』
 スザク頭の中に、一つの地位が浮かんだ。
『そうだ。ユフィの想いを大きな規模で実現するには、力が必要になる。ならば
その為に生きよう。例え、この身がどれだけの血を浴びようとも・・・。それま
で、僕に安息の日々は許されない。』
 歩いているスザクの表情は、再び冷徹な表情に戻っていた。

「まったく、うまくいかないものだよ。まさかあんな事になるなんてね。出番が来
ないうちに、舞台に上がる人物がいなくなっては元も子もない。」
 トウキョウ租界の一角で、一人の少年が肩を竦めながら、政庁を見下ろして
いた。

 それから1週間後、中華連邦とブリタニア帝国との間に東シナ海会戦を完全
に終結させるためのフクオカ宣言が発表された。
 内容にはこの度の出兵と義勇軍の侵攻に対する謝罪として、多額の賠償金
の支払いが盛り込まれていた。
 また、総督府からは今後の統治政策が発表され、各地のテロリストの掃討と
共に、フクオカ宣言に基づき中華連邦から支払われた賠償金と、NACの自治
の継続を条件にシュナイゼルが提供させた復興の為の資金を元に、暴動に参
加したイレブンの手によるゲットーの復興を刑罰の代わりとし、復興が完了次
第罪を許すと発表され、ブリタニア人には及ばないがイレブン及び名誉ブリタ
ニア人の人権の保障等の内容が盛り込まれていた。
 特区での真相がエリア11全土に知られた事で、黒の騎士団が怒りの対象
となった事が統治政策の追い風になった事もあり、その後ブリタニアに対する
敵愾心は徐々に薄れていった。

後書き
もし、スザクがユーフェミアの仇を討ち汚名を雪いだら、どうしようとするのか考
えてみたのですが、考える度に死を選ぶだろうと結論が出ました。
実際、死という贖罪を求めてスザクは生きてきたわけですが、その考えを変え
させたのは、ユーフェミアでした。
生きる灯火を失ってしまえば、時計の針は戻ってしまうと思ったわけです。
ここで、もう一回生きようとさせることが出来るのは、コーネリアと考えました。
最愛の妹を失ったコーネリアなら、スザクの気持ちもよく解り、そして新たに道
を示す事が出来るだろうと思い、今回のような展開になりました。
それでも、スザクの凍てついた心は変わりませんでしたが・・・。
尚、コーネリアが発表した統治政策は、唐王朝後期に起きた仇捕の乱の際に
鎮圧を任された政治家、王式が乱を鎮める際にやむなく乱に加わった者は、
罪に問わなかったと言う話を参考にして、考えました、

次回BEFORE TURN05 序曲 終了です。
起承転結の「起」が終了します。

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内 容 ニックネーム/日時
いつもいつも読み応えのある話でとても大満足です。
「そこまでだ!!枢木卿!!」の所からは胸を熱くしながら読みふけりました。ギアスのSSはルルサイドからの視点か、もしくはエロくらいしかない中、CIC担当さんのこのBTは珍しくブリタニアサイドの話で、とても魅力的で面白い話です。
特に私の好きなキャラであるギルフォードが多分に出てくれてるのがとても嬉しいです^^。

>トウキョウ租界の一角で、一人の少年が肩を竦めながら
これは誰だろう・・・。V.V.かな?。


次回も楽しみにしています。無理をなさらず、頑張ってください^^b。
sora
URL
2008/05/19 00:58
soraさん。
拙い小説にコメントありがとうございます。

>珍しくブリタニアサイドの話
 ルルーシュが、ブリタニア側にいるという設定
の二次小説を書いていらっしゃる方もいますよ。
 ただ、どうしてもルルーシュの視点になってい
ますけどね。
 主役であるのにも関わらず、ルルーシュが死ん
だ設定にして連載物を書いているのは多分、私位
でしょうね・・・。
 一話完結の短編なら、どこかで見た記憶があり
ますけど。

>ギルフォード
 この物語ではコーネリアが健在なので、彼も活
躍しますよ。
 ライバルとの決着も着いていませんしね。

 次回でBEFORE TURNは終了し、その後はAFTER T
URNになります。
 お楽しみいただけるよう、頑張りますのでよろ
しくお願いいたします。
CIC担当
2008/05/19 22:47

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